説明

冷菓自動攪拌装置およびこれを備える冷菓製造装置

【課題】操作の簡略化を図ることができる冷菓製造用自動攪拌装置およびこれを備えた冷菓製造装置を提供する。
【解決手段】自動攪拌装置90は、制御部50の制御に基づいて、スクリュー1による自動攪拌機能、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bによる自動洗浄機能を備えている。このため、操作者の熟練を要することなく、簡単な操作で短時間に所望の冷菓を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓自動攪拌装置およびこれを備えた冷菓製造装置に関し、詳細には、冷菓の主成分である冷菓ベースに添加材を加えてなる冷菓材料を自動攪拌する冷菓自動攪拌装置およびこれを備えた冷菓製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトクリーム、アイスクリームなどの冷菓ベースに対し、イチゴおよびバナナなどの果肉や、抹茶、インスタントコーヒーなどの飲料用粉末である添加材を加えてなる冷菓材料を攪拌するための冷菓製造用攪拌装置が用いられている。上記冷菓製造用攪拌装置としては、冷菓材料を収容するカップ、上記冷菓材料を攪拌する螺旋状の攪拌部材を備える冷菓製造用攪拌装置が用いられている。
【0003】
このような冷菓製造用攪拌装置によれば、回転するスクリューによって、カップ内の冷菓材料が攪拌される。カップ底部には、攪拌された冷菓材料を抽出する抽出穴が設けられており、攪拌された冷菓材料が抽出され、コーンカップなどに盛り付けられる。
【0004】
このような冷菓製造用攪拌装置によれば、別個に低温保存された冷菓ベースおよび添加材を用いることができる。すなわち、冷菓ベースと添加材とが混合された状態で低温保存されている必要がない。このため、添加材が必要以上に低温保存されることによって、食感または風味が悪化することがない。また、冷菓ベースと添加材とで好ましい保存温度が異なる場合であっても、両材料を別個に好ましい温度で保存しておくことができる。なお、低温保存されていない添加材を冷菓ベースに添加し、冷菓ベースと添加材とを混合してもよい。
【0005】
冷菓攪拌装置の従来例としては、例えば、特許文献1に、手動で操作する冷凍デザートミキサーが開示されている。この冷凍デザートミキサーは、弧状歯車およびピニオン歯車によって、混合用コーン容器が手動によって昇降する構成となっている。
【0006】
また、特許文献2には、ブレンダに、本明細書に言うスクリューに相当するミックススクリューが備えられた冷菓製造用攪拌装置が開示されている。さらに、同文献には、上記冷菓製造用攪拌装置を用いて、アイスクリームまたはフローズンヨーグルトと他の食材との混合抽出によるソフトクリームの提供方法についても記載されている。同文献においては、冷菓材料を攪拌し、抽出した後、ミックススクリューおよび攪拌容器の洗浄については記述されておらず、冷菓材料が残留した残留物が、他の冷菓材料に混入するなどの問題が生じ得る。
【0007】
また、特許文献3には、本明細書に言うスクリューに相当するオーガが本明細書に言うカップ機能を有するファンネルに完全に包囲されており、さらに上記ファンネルが洗浄目的のためのスプレーノズルを備える冷菓製造用攪拌装置が開示されている。上記スプレーノズルによって冷菓材料の残留物を除去することができるため、残留物が冷菓材料に混入する問題は軽減される。
【特許文献1】特開昭61−187753号公報(昭和61年8月21日公開)
【特許文献2】特開2001−299228号公報(平成13年10月30日公開)
【特許文献3】特表2002−532106号公報(平成14年10月2日公表)
【特許文献4】特開昭60−259146号公報(1985年12月21日公開)
【特許文献5】特開昭38−014378号公報(1963年8月8日公開)
【特許文献6】特開昭62−023431号公報(1987年1月31日公開)
【特許文献7】特表2002−532106号公報(2002年10月2日公表)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の冷菓製造用攪拌装置または冷凍デザートミキサーでは、以下の問題点を有している。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の冷凍デザートミキサーでは、カップを手動で昇降させねばならず、昇降動作の操作には熟練を要し、上記装置の操作は困難であるという問題点がある。具体的には、特許文献1に記載の冷凍デザートミキサーでは、カップを上昇させるレバーの操作が必要であり、操作者が行う作業が煩雑となる。さらに、上記冷菓製造用攪拌装置の左方にレバーが突出しているため、設置面積が広く必要であるという問題も付随する。
【0010】
また、他の問題点として、特許文献3に記載の冷菓製造用攪拌装置では、ファンネルおよびオーガの洗浄を行うことができるものの、洗浄されたオーガはファンネルに包囲されており、洗浄後のファンネルの一部およびオーガを目視で確認できない。そのため、冷菓材料の残留物が、再度他の冷菓材料に混入することによって、冷菓の触感、風味および美観が損なわれるおそれが生じることとなる。冷菓にとってこれらの要素は非常に重要なため、残留物の混入を抑制することは解決すべき問題として挙げられる。また、特許文献3においては、大型のファンネルが用いられるとともに、オーガを昇降させているため、冷菓製造用攪拌装置が大型となる問題も付随する。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その主な目的は、操作が容易であり、攪拌の労力を軽減することができる冷菓製造用攪拌装置を提供することにある。また、本発明の他の目的としては、洗浄動作を行った後に、冷菓材料の除去をより的確に行うことができる冷菓製造用攪拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る自動洗浄機能を備えた冷菓製造用自動攪拌装置は、上記課題を解決するために、回転駆動手段によって回転駆動されることにより、収容部材内に収容された冷菓材料を攪拌する攪拌部材と、上記収容部材および上記攪拌部材を洗浄する洗浄手段と、少なくとも上記収容部材または上記攪拌部材の何れか一方を昇降させて、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させる昇降手段と、上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置を検出する位置検出手段と、上記攪拌部材による攪拌処理、上記洗浄手段による洗浄処理または上記昇降手段による昇降動作を指示するための入力手段と、上記入力手段から出力される信号と、上記位置検出手段から出力される信号とに基づき、上記昇降手段、上記回転駆動手段または上記洗浄手段の対応する動作を制御する第1制御手段とを備え、上記第1制御手段は、上記昇降手段により、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を変化させながら、上記回転駆動手段または上記洗浄手段が、攪拌処理または洗浄処理を行うように制御し、さらに、上記収容部材、上記攪拌部材および上記洗浄手段の全てを外部から遮蔽することができるように設けられた遮蔽部材であって、上記入力手段により指示された処理または動作に応じて、上記収容部材、上記攪拌部材および上記洗浄手段を、外部に対し遮蔽または開放可能に設けられた遮蔽部材と、上記遮蔽部材の遮蔽状態を検出する遮蔽状態検出手段とを含むことを特徴としている。
【0013】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、さらに、上記収容部材、上記攪拌部材および上記洗浄手段を外部から遮蔽可能に設けられた遮蔽部材と、上記遮蔽部材の遮蔽状態を検出する遮蔽状態検出手段とを含む構成とすることが望ましい。
【0014】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記入力手段により上記攪拌部材による攪拌処理が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記攪拌処理に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該攪拌処理に対応する上記回転駆動手段および上記昇降手段の動作を抑制するように制御することが望ましい。
【0015】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記入力手段により上記洗浄手段による洗浄処理が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記洗浄処理に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該洗浄処理に対応する上記洗浄手段の動作を抑制するように制御する構成とすることが望ましい。
【0016】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記入力手段により上記昇降手段による昇降動作が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記昇降動作に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該昇降動作に対応する上記昇降手段の動作を抑制するように制御する構成とすることが望ましい。
【0017】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記遮蔽部材が、少なくとも上記攪拌部材を遮蔽可能に形成された第1ドア部材と、当該第1ドア部材と共に、少なくとも上記洗浄手段を遮蔽可能に形成された第2ドア部材からなり、上記遮蔽状態検出手段により、上記第1ドア部材が、所定の遮蔽状態にない場合、上記第1制御手段は、少なくとも上記回転駆動手段または上記昇降手段の何れか一方の動作を抑制するように制御する構成とすることが望ましい。
【0018】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記遮蔽部材は、少なくとも上記攪拌部材を遮蔽可能に形成された第1ドア部材と、当該第1ドア部材と共に、少なくとも上記洗浄手段を遮蔽可能に形成された第2ドア部材からなり、上記遮蔽状態検出手段により、上記第1部材または第2ドア部材が、所定の遮蔽状態にない場合、上記第1制御手段は、少なくとも上記洗浄手段の動作を抑制するように制御する構成とすることが望ましい。
【0019】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記位置検出手段により検出された、上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置が、所定の距離以上離れている場合、上記第1制御手段は、上記回転駆動手段の動作を抑制するように制御する構成とすることが望ましい。
【0020】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、自動洗浄機能を備えた冷菓製造用自動攪拌装置であって、回転駆動手段によって回転駆動されることにより、収容部材内に収容された冷菓材料を攪拌する攪拌部材と、上記収容部材および上記攪拌部材を洗浄する洗浄手段と、少なくとも上記収容部材または上記攪拌部材の何れか一方を昇降させて、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させる昇降手段と、上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置を検出する位置検出手段と、上記攪拌部材による攪拌処理、上記洗浄手段による洗浄処理または上記昇降手段による昇降動作を指示するための入力手段と、上記入力手段から出力される信号と、上記位置検出手段から出力される信号とに基づき、上記昇降手段、上記回転駆動手段または上記洗浄手段の対応する動作を制御する第1制御手段とを備え、上記第1制御手段は、上記昇降手段により、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を変化させながら、上記回転駆動手段または上記洗浄手段が、攪拌処理または洗浄処理を行うように制御し、上記昇降手段が、上記収容部材を当接摺動させながら所定の保持位置に案内する案内部を備えていることを特徴としている。
【0021】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記収容部材には鍔部が備えられており、上記昇降手段は、上記案内部により案内された上記収容部材が、上記鍔部と契合するように設けられた規制部を備えている構成とすることが望ましい。
【0022】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記鍔部は、対角線上に位置する2つの被規制部を有し、上記規制部は、対角線上に形成された2つの溝部を有し、上記案内部により所定の保持位置に案内された上記収容部材は、上記攪拌部材の回転方向に回転した状態で、上記2つ被規制部が、それぞれ上記2つの溝部と契合することにより、上記収容部材の回転移動および上下移動が規制される構成とすることが望ましい。
【0023】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記昇降手段は、上記収容部材を保持する保持部材と、上記保持部材または上記攪拌部材の少なくとも何れか一方を昇降させる駆動手段とを含み、上記収容部材が、上記保持部材と分離可能に設けられており、上記駆動手段による上記保持部材または上記攪拌部材の少なくとも何れか一方の昇降動作により、上記収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させる構成とすることが望ましい。
【0024】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記案内部および上記規制部が、上記保持部材に形成されている構成とすることが望ましい。
【0025】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記入力手段により上記洗浄手段による洗浄処理が指示された場合、上記第1制御手段は、上記攪拌部材が上記回転駆動手段により回転駆動されながら洗浄されるように、上記回転駆動手段および上記洗浄手段を制御する構成とすることが望ましい。
【0026】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記収容部材には、上記攪拌部材による上記冷菓材料の攪拌処理により製造された冷菓を抽出するための抽出穴が形成されており、上記第1制御手段は、上記抽出穴から上記冷菓が抽出された後に、上記洗浄手段を動作させるように制御する構成とすることが望ましい。
【0027】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、さらに、上記収容部材、上記攪拌部材、および上記洗浄部材を格納する筐体を備え、上記筐体の下方位置に、排水路への異物流入を防止するための分離手段を備えていることが望ましい。
【0028】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、さらに取付用ピンを備え、上記攪拌部材と上記回転駆動手段とが、上記取付用ピンによって貫通されることにより、上記攪拌手段が上記回転駆動手段に取り付けられていることが望ましい。
【0029】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記回転駆動手段および上記攪拌部材の一方は、柱状の回転軸を有し、上記回転駆動手段および上記攪拌部材の他方には、上記回転軸を嵌めるための穴が設けられ、上記回転軸は、上記穴に嵌められていることが望ましい。
【0030】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、さらに、ワイヤ状のバネを備え、上記バネの一端は上記取付用ピンの一端に接続され、上記バネの他端は上記取付用ピンの他端に接続されていることにより、上記取付用ピンに、ワイヤ状のバネが取り付けられていることが望ましい。
【0031】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記回転軸または上記穴には、上記回転駆動手段または上記攪拌部材の挿入方向に延びる溝が形成されていることが望ましい。
【0032】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、上記の構成において、上記穴の内面に突出部が形成され、上記回転軸の表面に、上記突出部を嵌めるための誘導溝が設けられており、上記誘導溝の終端部の手前から当該終端部への方向は、上記回転駆動手段の回転によって上記終端部が移動する方向と反対であることが望ましい。
【0033】
本発明に係る冷菓製造装置は、上記課題を解決するために、冷菓原料の冷却攪拌を制御する第2制御手段を備え、当該第2制御手段の制御により冷菓原料から冷菓ベースを製造する冷菓ベース製造装置と、上記冷菓ベース製造装置により製造された上記冷菓ベースに、所望の添加材を加えてなる冷菓材料を攪拌して冷菓を製造する上記冷菓製造用自動攪拌装置とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置は、以上のように、自動攪拌処理により、操作者の熟練を要することなく、所望の味覚または食感を持った材料の冷菓を短時間で製造することができ、また、必要に応じて自動洗浄を行うことができるため、添加する果肉等の食感または風味を損なうことなく新鮮な冷菓を効率的に提供することができる。
【0035】
また、本発明に係る冷菓製造用自動攪拌装置を備えた冷菓製造装置は、冷菓ベース製造装置と自動攪拌装置とが一体化されているため、上記2つの装置が独立した従来装置と比べて、装置の小型化を図ることができ、より狭いスペースにも設置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明に係る一実施形態について図1ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0037】
<冷菓製造装置>
図1は、本実施の形態に係る冷菓製造装置100の概略構成を示している。冷菓製造装置100は、冷菓原料であるソフトクリームミックス等を攪拌冷却し、ソフトクリーム等の冷菓ベースを製造する冷菓ベース製造装置80と、冷菓ベース製造装置80により製造されたソフトクリーム等の冷菓ベースに、イチゴおよびバナナなどの果肉や、抹茶、インスタントコーヒーなどの飲料用粉末などである添加材料を加えてなる冷菓材料を自動攪拌して冷菓を製造する冷菓製造用自動攪拌装置である自動攪拌装置90とを備えている。
【0038】
本実施の形態では、冷菓ベース製造装置80が図1中右側に、自動攪拌装置90が図1中左側に配置しているが、冷菓ベース製造装置80を左側に配置し、自動攪拌装置90を右側に配置することはもちろん可能である。
【0039】
<冷菓ベース製造装置>
まず、本実施の形態にかかる冷菓ベース製造装置80の構成について説明する。
【0040】
冷菓ベース製造装置80は、冷菓ベースであるソフトクリームの原料であるソフトクリームミックスを貯蔵する図示していないタンク、タンクから供給されるソフトクリームミックスを攪拌冷却して冷菓ベースを製造する図示していない冷却シリンダ、ソフトクリームミックスの攪拌冷却を制御する第2制御手段である図示していない第2制御部を備えている。
【0041】
冷却シリンダで製造された冷菓ベースは、図1に示す冷菓ベース抽出口15から抽出される。上記のタンク、冷却シリンダ、第2制御部および冷菓ベース抽出口15の具体的な構成としては特に限定されるものではなく、従来公知の形状や材質の部材や、従来公知の機構や構造を有する手段を用いることができる。
【0042】
冷菓ベース製造装置80は、例えば、バニラ風味である一種類のソフトクリームを製造する単一の冷却シリンダを備えたものであってもよいし、例えば、バニラ風味、イチゴ風味およびチョコレート風味等の複数種類のソフトクリームを製造する複数のシリンダを備えたものでもよい。
【0043】
<自動攪拌装置>
次に、本実施の形態に係る自動攪拌装置90の構成について説明する。自動攪拌装置90は、図1に示すように、上記冷菓ベースと添加材とからなる冷菓材料を攪拌する攪拌部材である螺旋状のスクリュー1、上記冷菓材料を収容する収容部材であるカップ3を保持する保持部材であるカップホルダ4、スクリュー1およびカップ3を洗浄する洗浄手段であるスプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bを備えている。
【0044】
スプレーノズル6aは、筐体5の内壁の上部に設けられている。スプレーノズル6aは、カップホルダ4を上端位置に移動させた状態において、カップ3の上端よりも上方となる位置に取り付けられている。一方、スプレーノズル6bは、カップホルダ4に取り付けられており、カップホルダ4の昇降動作に伴って、上下移動するように構成されている。
【0045】
スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bの角度は適宜調整すればよく、スプレーノズル6aによってカップ3が洗浄され、スプレーノズル6bによってスクリュー1が洗浄されるよう、角度を調整することもできる。
【0046】
本発明に係るスプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bの数は、2つに限定されるものではなく、スクリュー1またはカップ3の形状などによって、適宜設置箇所数を変更すればよい。また、スプレーノズルから放出する洗浄液は、冷菓材料の成分によって適宜変更すればよいが、水等食しても害のない成分からなる洗浄液が用いられる。
【0047】
これらのスクリュー1、カップ3、カップホルダ4、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bは、筐体5内に収納されている。
【0048】
筐体5には、カップ3のスクリュー1に対する相対位置に相当するカップホルダ4の位置を検出する位置検出手段である上位置センサ40aおよび下位置センサ40bが設置されている。なお、上位置センサ40aはスクリュー1の付近に配置されており、カップ3とスクリュー1との接触を回避させるように、カップホルダ4の位置の検知を行うものである。一方、下位置センサ40bは筐体5の下部に配置されており、カップ3の動作可能範囲を逸脱しないよう、カップホルダ4の位置の検知を行うものである。
【0049】
上位置センサ40aおよび下位置センサ40bとしては、例えば、金属センサを用いることができる。カップホルダ4には金属ネジが備えられており、上位置センサ40aまたは下位置センサ40bがこの金属ネジを検知することにより、カップホルダ4の位置を検出できる。上位置センサ40aおよび下位置センサ40bは、金属センサに限定されるものではなく、光センサまたはスイッチ等公知のセンサ類を好適に用いることもできる。
【0050】
筐体5には、さらに、後述する上部ドアおよび下部ドアの遮蔽状態を検出する遮蔽状態検出手段である上部ドアセンサ60aと、下部ドアセンサ60bとが設置されている。上部ドアセンサ60aおよび下部ドアセンサ60bは、金属センサを用いることができる。例えば、上部ドアおよび下部ドアの各遮蔽状態を検出する金属センサを、筐体5に埋め込み、上部ドアおよび下部ドアの各検出部分に設けられた金属ネジを検知することにより、各ドアのそれぞれの遮蔽状態を独立に検出することができる。
【0051】
さらに、図1に示すように、冷菓製造装置100の筐体の上部14における左部分に、入力手段である複数の入力スイッチが設けられており、それらは、攪拌処理を指示するためのブレンドスイッチ10、カップホルダ4の下降動作を指示するための下降スイッチ11、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bによる洗浄処理を指示するための洗浄スイッチ12である。本実施の形態では、これらの入力スイッチとして、ボタンスイッチを用いている。しかしながら、本発明の入力手段は、これに限定されず、例えば、リモートコントローラーを用いる構成としてもよい。
【0052】
また、洗浄スイッチ12の右側には、ランプが4箇所備えられている。このランプが点灯または消灯することにより、自動攪拌装置90において行われている動作状況が示される。ランプとしては、攪拌ランプ17、昇降ランプ18、洗浄ランプ19およびエラーランプ20が備えられている。各ランプの制御については後述する。
【0053】
また、図2は筐体5、底部13および上部14の内部を示している。同図に示すように、上部14の内部には、回転駆動手段である攪拌モータ21が回転軸2に連結されている。攪拌モータ21は、スクリュー1を回転駆動可能なように構成されている。上記攪拌部材としてのスクリュー1および攪拌モータ21は、特に限定されるものではなく、種々の公知のスクリューおよび攪拌モータを用いることができる。
【0054】
スクリュー1は、回転軸2と一体となって回転するように構成される。スクリュー1を回転軸2に取り付けるための詳細な構成については、後述する。
【0055】
さらに、筐体5の内部に備えられた昇降手段の他の部分である昇降軸28はカップホルダ4に連結されており、昇降軸28を回転させる昇降モータ22が上部14内に備えられている。昇降軸28の外周面には、ネジが形成されており、昇降軸28がカップホルダ4を貫通するカップホルダ4の貫通穴内面にもネジが形成されており、両者が契合する構造となっている。
【0056】
カップ3の昇降は、昇降モータ22が回転し、昇降軸28が回転することによって、カップ3が搭載されたカップホルダ4が昇降されることによってなされる。これにより、カップ3の上下位置を所望の位置に変化できるように構成されている。上記昇降モータ22としては、ベルト式、油圧式等種々の公知の昇降モータを用いることができる。
【0057】
さらに、底部13には、洗浄手段の他の部分である水用電磁弁23が備えられている。水用電磁弁23の一端は、外部の図示していない給水設備に接続され、給水を受ける。水用電磁弁23の他端は、ジョイント24に連結されており、ジョイント24はスプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bに水を送るホース25と連結されている。ホース25は、カップホルダ4の昇降動作に伴い、スプレーノズル6aが上昇した場合であっても水を送液できるように十分な長さを有している。本構成により、水用電磁弁23が開弁すると、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bから、スクリュー1およびカップ3を洗浄する水が放出される。
【0058】
また、底部13におけるカップホルダ4の下方位置に、排水路26および分離手段であるストレーナ27が備えられている。これにより、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bから放出された水は、後述するスクリュー1およびカップ3に残った冷菓とともに、排水路26へ排水される。また、ストレーナ27が設けられていることにより、水に含まれる冷菓の残渣である果肉などの添加物が排水路26に排出し難くすることができる。
【0059】
また、筐体5には、図3に示すように、スクリュー1、カップ3、カップホルダ4、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bを遮蔽可能に設けられた遮蔽部材または第1ドア部材である上部ドア7および遮蔽部材または第2ドア部材である下部ドア8が備えられている。さらに、上部ドア7および下部ドア8の筐体5側の左中央部には、金属ネジ7aおよび金属ネジ8aがそれぞれ備えられている。
【0060】
図3は、上部ドア7および下部ドア8が閉じられた遮蔽状態を示している。図3に示す状態で、上部ドア7および下部ドア8は、スクリュー1、カップ3、カップホルダ4、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bを外部から遮蔽するように構成されている。図3において、金属ネジ7aおよび金属ネジ8aは、それぞれ、図1に示す上部ドアセンサ60aおよび下部ドアセンサ60bによって検知できる位置に配置されている。
【0061】
図4を用いて上部ドアセンサ60aおよび下部ドアセンサ60bについて説明する。図4(a)において、実線で描かれた上部ドア7は、上部ドアセンサ60aによって、検知可能な上部ドア7の配置を示している。一方、一点鎖線で描かれた上部ドア7は、ずれが生じた場合の上部ドア7の配置を示している。このように、上部ドア7の位置にずれが生じた場合、上部ドアセンサ60aによって、遮蔽状態ではないと検知されることとなる。下部ドア8にずれが生じた場合についても同様に、下部ドアセンサ60bによって検知される。
【0062】
図4(b)において、実線で描かれた下部ドア8は、下部ドアセンサ60bによって、検知可能な下部ドア8の配置を示している。一方、一点鎖線で描かれた下部ドア8は、下部ドアセンサ60bから離れるように、ずれが生じた場合の下部ドア8の配置を示している。このように、下部ドア8の位置にずれが生じた場合、下部ドアセンサ60bによって、遮蔽状態ではないと検知されることとなる。上部ドア7にずれが生じた場合についても同様である。
【0063】
図4(c)は、下部ドアセンサ60bの詳細な構造の一例を示している。下部ドアセンサ60bは、コンデンサ61、インダクタ62、磁芯63、増幅器64および周波数測定装置65などから構成されている。下部ドアセンサ60bおよび下部ドア8に備えられた金属ネジ8aの配置は、下部ドア8が遮蔽状態である場合の配置である。
【0064】
下部ドア8がこの位置からずれ、移動すると、金属ネジ8aと下部ドアセンサ60bとの距離が変化し、インダクタ62の磁芯63と金属ネジ8a及び両者間の空隙により構成される磁気回路の特性が変化し、インダクタ62の値であるインダクタンスが変化することとなる。そして、インダクタンスの変化に伴い、コンデンサ61とインダクタ62とで構成される共振回路の共振周波数が変化し、共振回路と増幅器64により構成される発振回路の発振周波数が変化する。この周波数変化が周波数測定装置65によって検知され、制御部50に周波数に応じた信号が送信される。制御部50では、この信号に応じて、下部ドア8が遮蔽状態であるか、または、遮蔽状態でないかが判定される。
【0065】
また、図1において、自動攪拌装置90は、ブレンドスイッチ10、下降スイッチ11、洗浄スイッチ12、上位置センサ40a、下位置センサ40b、上部ドアセンサ60aおよび下部ドアセンサ60bから出力される信号に基づいて、カップホルダ4の昇降動作、スクリュー1の攪拌動作、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bの洗浄動作を制御する図示していない第1制御手段である制御部50を内蔵している。制御部50としては、マイクロコンピュータなどを用いることができる。
【0066】
図5を用いて、制御部50を用いた制御方法について説明する。同図に示すように、ブレンドスイッチ10、下降スイッチ11または洗浄スイッチ12が操作されると、各スイッチから信号が制御部50に出力される構成となっている。また、上位置センサ40a、下位置センサ40b、上部ドアセンサ60aおよび下部ドアセンサ60bは、検知対象物である金属ネジ7a、金属ネジ8aおよびカップホルダ4に設けられた金属ネジを検知している状態の信号を制御部50に出力する構成となっている。
【0067】
制御部50は、上記入力された各信号に基づいて攪拌モータ21、昇降モータ22および水用電磁弁23を制御する構成である。さらに、制御部50は、攪拌ランプ17、昇降ランプ18、洗浄ランプ19およびエラーランプ20に接続されており、上記信号に基づき各ランプを点灯または消灯させる。
【0068】
次に、本実施の形態にかかる自動攪拌装置90による攪拌処理、下降動作および洗浄処理の動作について説明する。
【0069】
まず、操作者が、ブレンドスイッチ10を操作し、攪拌処理を指示した場合の動作について説明する。はじめに、上部ドア7のみを自動攪拌装置90に装着し、図6に示すように、操作者が、冷菓ベース抽出口15から冷菓を取り出し、カップ3に入れる。次に、カップ3に冷凍フルーツなどの添加材を入れ、カップ3をカップホルダ4に装着する。続いて、操作者がブレンドスイッチ10を操作する。
【0070】
図7は、自動攪拌装置90による攪拌処理の一例を示すフローチャートである。以下、Sは「ステップ」の略称であるとする。カップホルダ4には、操作者により、冷菓ベースであるソフトクリームと添加材である冷凍フルーツが入ったカップ3が装着されている。S1において、操作者によりブレンドスイッチ10が操作されると、攪拌処理を指示する信号が、制御部50に出力される。これにより、S2において、攪拌処理が開始される。次にS3において、制御部50は、カップホルダ4の位置を検出する下位置センサ40bから、カップホルダ4が検出位置にある信号の有無を判断する。
【0071】
S4において、下位置センサ40bによりカップホルダ4に設けられた金属ネジが検出されない、即ち、カップホルダ4が下位置センサ40bの位置にない「NO」の場合には、制御部50から安全上支障がある位置であることを示す信号(以下「危険信号」と称する)がエラーランプ20に送信され、エラーランプが点灯する。その後、攪拌処理は終了する。一方、カップホルダ4が下位置センサ40bの位置にある「YES」の場合には、S5に移行する。
【0072】
S5において、制御部50は、昇降モータ22に制御信号を出力し、昇降軸28の回転駆動によりカップホルダ4が上昇を開始する。さらに、制御部50から、昇降ランプ18へ信号が送信され、昇降ランプ18が点灯する。
【0073】
次にS6において、例えば3秒の所定時間の経過が制御部50によって判定される。所定時間経過した後、S7において、攪拌モータ21に制御信号を出力し、回転軸2の回転駆動によりスクリュー1が回転し、攪拌が開始される。さらに、これとほぼ同時に、制御部50から、攪拌ランプ17へ信号が送信され、攪拌ランプ17が点灯する。これにより、すでに上昇を開始しているカップホルダ4に装着されているカップ3に収容されている冷菓材料が、回転しているスクリュー1と接触し、攪拌される。
【0074】
S8において、上昇しているカップホルダ4の位置は、上位置センサ40aによって検知される。上位置センサ40aによって、カップホルダ4に設けられた金属ネジが検知されない「NO」の場合、検知が繰り返される。一方、上位置センサ40aによって、カップホルダ4に設けられた金属ネジが検知された「YES」の場合は、S9において、制御部50から昇降モータ22に制御信号が送信され、昇降モータ22が停止すると共に、制御部50から、昇降ランプ18へ信号が送信され、昇降ランプ18が消灯する。さらにS10において、例えば、3秒の所定時間経過する。その後S11において、制御部50から、攪拌モータ21と攪拌ランプ17とへ信号が送信され、攪拌モータ21が停止すると共に、攪拌ランプ17が消灯し、S12において攪拌動作が終了する。なお、カップ3から攪拌された冷菓が取り出される状態については、後述する。
【0075】
用いられる冷菓ベースおよび添加材の範囲で、スクリュー1の回転速度と、カップホルダ4の上昇速度は、カップ3に収容された冷菓材料を攪拌するために適切な値が適宜設定される。
【0076】
図8は、制御部50において、上記攪拌処理または後述する下降処理と同時並行に行われる上部ドア検知処理による危険防止機構の一例を示すフローチャートである。まず、S20において、攪拌処理または下降処理開始後、S21において、上部ドアセンサ60aによる上部ドア7の遮蔽状態が継続して検知される。
【0077】
同図に示すように、上部ドアセンサ60aによって上部ドア7の検知がなされ、上部ドア7が所定位置にない、即ち、上部ドアに手が触れるなどして、手が回転しているスクリュー1に接触し、怪我をするような、遮蔽状態にない「NO」の場合、危険信号が制御部50に送信される。そして、S22において、制御部50から、エラーランプ20に信号が送信され、エラーランプ20が点灯する。さらに、S23において、制御部50から攪拌モータ21および昇降モータ22に制御信号が送信され、作動している攪拌モータ21および昇降モータ22が停止される。これにより、S24において、攪拌処理は終了することとなる。即ち、本実施の形態においては、上記危険防止機構が備わったものとなっている。
【0078】
一方、S21において、上部ドア7が所定位置にある、即ち、遮蔽状態である「YES」の場合、再度、上部ドアセンサ60aによって、上部ドア7の検知が行われる。この上部ドア検知処理は、図7に示す攪拌処理が終了するとともに終了する。
【0079】
自動攪拌装置90は、上記の自動攪拌機能および危険防止機構を備えることで、操作者の熟練を要することなく、操作者の手が回転しているスクリュー1に触れてしまうといった問題を回避し安全に冷菓材料の自動攪拌を行い、短時間で所望の冷菓を製造することができる。
【0080】
次に、操作者が、下降スイッチ11を操作し、カップホルダ4の下降処理を指示した場合の動作について説明する。また、下降処理が行われる際には、攪拌処理と同様に、上部ドア検知処理が同時になされる。
【0081】
図9は、自動攪拌装置90による下降処理の一例を示すフローチャートである。S30において、操作者により下降スイッチ11が操作されると、カップホルダ4の下降動作を指示する信号が、制御部50に出力される。これにより、S31において、下降処理が開始される。
【0082】
ここで、S32において、制御部50は、カップホルダ4の位置が、下降動作を行うに安全上支障がある位置であることを示す信号が、下位置センサ40bから発信されているかを確認する。カップホルダ4が検出される、即ち、カップホルダ4が下位置センサ40bの位置にある「YES」の場合には、S33において、制御部50から信号がエラーランプ20に送信され、エラーランプが点灯する。その後、S37において、昇降処理は終了する。
【0083】
一方、S32において、カップホルダ4が下位置センサ40bの位置にない「NO」の場合には、S34において、制御部50は、昇降モータ22に制御信号を出力し、昇降軸28の回転駆動によりカップホルダ4が下降を開始する。さらに、制御部50から、昇降ランプ18へ信号が送信され、昇降ランプ18が点灯する(S34)。
【0084】
S35において、下降しているカップホルダ4の位置は、下位置センサ40bによって検知される。下位置センサ40bによって、カップホルダ4の位置が検知されない「NO」の場合、再度、検知が繰り返される。一方、下位置センサ40bによって、カップホルダ4の位置が検知された「YES」の場合、S36において、下位置センサ40bから送信された信号に基づき制御部50から昇降モータ22に制御信号が送信され、昇降モータ22が停止すると共に、制御部50から昇降ランプ18へ信号が送信され、昇降ランプ18は消灯する。これにより、S37において、下降処理は終了する。
【0085】
なお、下降処理と同時並行に、図8に示した上部ドア検知処理もなされているので、上部ドア7が、上部ドアに手が触れるなどして、手が下降中のカップホルダ4に接触し、怪我をするような、遮蔽状態でない状態となった場合、昇降モータ22は停止され下降処理は終了する。即ち、本実施の形態においては、上記危険防止機構が備わったものとなっている。
【0086】
自動攪拌装置90は、上記の自動昇降機能および危険防止機構を備えることで、操作者の熟練を要することなく、安全にカップホルダ4の昇降動作を行うことができる。この下降スイッチ11の操作による下降処理は、例えば、後述する洗浄処理が不要な場合、例えば、連続して、同じ種類の冷菓を製造する場合に有用である。
【0087】
図10は、攪拌処理が完了し、スクリュー1が、カップ3内に挿入された状態の断面図を示している。図10に示すように、カップ3から、上述の攪拌処理により製造された冷菓を抽出し、コーン等の所望の容器に盛り付け終えた段階では、カップホルダ4は上端位置にある。したがって、後述する洗浄処理が不要な場合は、カップホルダ4を下降させて、カップ3をカップホルダ4から外し、カップ3内に次に製造する冷菓の冷菓材料を収容する必要がある。この場合、下降スイッチ11の操作により、操作者は、上述の通り、カップホルダ4を自動で下降させることができる。
【0088】
図11は、スクリュー1によって攪拌された冷菓をコーンカップ31に盛り付ける図を示している。冷菓製造装置100を用いることによって、冷菓ベース29中において、添加物30が均一に攪拌された冷菓を製造することができる。上記攪拌は自動で行われるため、短時間で攪拌された冷菓を製造することが可能である。
【0089】
次に、上記攪拌処理後において、操作者が洗浄スイッチ12を操作し、スクリュー1およびカップ3の洗浄処理を指示した場合の動作について説明する。
【0090】
図12は、自動攪拌装置90による洗浄処理の一例を示すフローチャートである。S40において、操作者により洗浄スイッチ12が操作されると、上記の洗浄処理を指示する指示信号が、制御部50に出力される。これにより、S41において、洗浄処理が開始される。ここで、S42において、制御部50は、カップホルダ4の位置が、指示された洗浄動作行うに安全上支障がない位置であることを示す信号が、上位置センサ40aから発信されているかを判断する。
【0091】
S42において、上位置センサ40aにてカップホルダ4が検出されない、即ち、カップホルダ4が上位置センサ40aの位置にない「NO」の場合には、S43において、制御部50から制御信号がエラーランプ20に送信され、エラーランプが点灯する。その後、S51において洗浄処理は終了する。一方、カップホルダ4が上位置センサ40aの位置にある「YES」の場合には、S44に移行する。
【0092】
S44において、制御部50は、水用電磁弁23に制御信号を出力し、水用電磁弁23の電磁弁が開かれる。これにより、水がジョイント24に供給され、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bからカップ3およびスクリュー1に向けて、水の放出が開始される。水用電磁弁23の開弁とともに、制御部50から洗浄ランプ19へ信号が送信され、洗浄ランプ19が点灯する。
【0093】
次に、S45において、制御部50から攪拌モータ21に信号が出力され、攪拌モータ21が作動する。同時に、制御部50から攪拌ランプ17へ信号が送信され、攪拌ランプ17は点灯する。このように、本洗浄処理では、スクリュー1を回転させながら、水を吹き付ける構成としているが、スクリュー1を回転させずに洗浄する構成としてもよい。しかしながら、本実施の形態のように、洗浄対象のスクリュー1を回転させながら洗浄すれば、より短時間で綺麗に洗浄することができる。
【0094】
さらに、S46において、制御部50によって、昇降モータ22が作動し、カップホルダ4の下降が開始される。同時に、制御部50から昇降ランプ18へ制御信号が送信され、昇降ランプ18は点灯する。S47において、下降しているカップホルダ4の位置は、下位置センサ40bによって検知される。
【0095】
S47において、下位置センサ40bによって、カップホルダ4の位置が検知されない「NO」の場合、検知が繰り返される。一方、下位置センサ40bによって、カップホルダ4の位置が検知された「YES」の場合、S48において、下位置センサ40bから送信された制御信号に基づき制御部50から昇降モータ22に制御信号が送信され、昇降モータ22が停止する。同時に、制御部50から昇降ランプ18へ信号が送信され、昇降ランプ18は消灯する。
【0096】
その後、S49において、制御部50からの信号によって、攪拌モータ21が停止され、さらに、攪拌ランプ17は消灯される。さらに、S50において、制御部50からの信号によって、水用電磁弁23が閉弁され、さらに洗浄ランプ19が消灯される。これにより、S51において、洗浄処理が終了する。
【0097】
図13は上記洗浄処理と同時並行に行われるドア検知処理による危険防止機構の一例を示すフローチャートである。ドア検知処理では、上部ドア7および下部ドア8の遮蔽状態が検知される。S60において、洗浄処理が開始した後、S60において、上部ドアセンサ60aによる上部ドア7の遮蔽状態が検知される。
【0098】
S61において、上部ドアセンサ60aによって、上部ドア7が所定位置にない、即ち、遮蔽状態にない「NO」の場合、S63において、制御部50から、エラーランプ20に信号が送信され、エラーランプ20が点灯する。さらに、S64において、制御部50から攪拌モータ21および昇降モータ22に制御信号が送信され、作動している攪拌モータ21および昇降モータ22が停止され、昇降ランプ18が消灯される。また、水用電磁弁23が閉じられ、洗浄ランプ19が消灯される。最後に、S65において、洗浄処理は終了することとなる。
【0099】
一方、S62において、上部ドアセンサ60aによって、上部ドア7が所定位置にある、即ち、遮蔽状態である「YES」の場合、上部ドア7の場合と同様に、下部ドアセンサ60bによって、下部ドア8の検知が行われる。エラーランプ20に信号が送信されない場合、S61およびS62において、上部ドア7および下部ドア8の遮蔽状態が繰り返し検知される。このドア検知処理は、洗浄処理が終了するとともに終了する。一方、S62において、下部ドア8が検知されない「NO」の場合、S63に移行する。S63以降の処理は、前述のとおりである。上記から、上部ドア7または下部ドア8が正規に取り付けられていない場合に、スプレーノズル6aまたはスプレーノズル6bからの水が、自動攪拌装置90の外部に飛散し、操作者の服を濡らすなどの危険を防止できる。
【0100】
自動攪拌装置90は、洗浄処理において同時に上記の危険防止機構を備えることで、操作者の熟練を要することなく、操作者の手が回転しているスクリュー1に触れてしまう、もしくは、洗浄に使われる水が飛散するといった問題を回避し安全に冷菓材料の自動攪拌を行い、短時間で所望の冷菓を製造することができる。
【0101】
本実施の形態では、冷菓の抽出後に上記の洗浄工程が自動で行われるのではなく、洗浄スイッチ12を操作者が手動入力することによって、自動的に上記の洗浄が行われる構成について説明した。これにより、例えば、前の需要者と、次の需要者とが同じ味覚または食感を持った材料の冷菓を注文した場合等、洗浄処理が不要な場合は、適宜洗浄処理を省くことができる。これにより、無駄な水、消費電力および洗浄時間を省くことができる。
【0102】
さらに、洗浄スイッチ12を操作者が手動入力することに代えて、上記冷菓の抽出後に上記の洗浄処理が自動で行われる構成としてもよい。すなわち、後述するように、カップ3には、スクリュー1による上記冷菓材料の攪拌処理により製造された冷菓を抽出するための抽出穴が形成されており、制御部50は、上記抽出穴から上記冷菓が抽出された後に、上記洗浄手段を動作させるように制御する構成となっていてもよい。
【0103】
上記「制御部50は、上記抽出穴から上記冷菓が抽出された後に、上記洗浄手段を動作させる」とは、「制御部50は、上記冷菓の抽出が完了する時間後に、上記洗浄手段を動作させる」と換言することができ、また、「制御部50は、上記攪拌処理の完了から所定時間後に上記洗浄手段を動作させる」と換言することができる。上記所定時間は、下部ドア8を装着するに要する時間などに基づき、適宜設定すればよい。また、上述の時間によらず、下部ドア8が装着されたことを検出し、洗浄手段を動作させてもよい。
【0104】
このように、洗浄スイッチ12を介さずに洗浄作業を自動化で行う場合は、前の需要者と、次の需要者とが異なる味覚または食感を持った材料を所望する場合に非常に適しており、洗浄処理に移行するまでの時間を短縮することができる。
【0105】
以上のように、本実施の形態にかかる自動攪拌装置90は、制御部50により、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bを制御し、スクリュー1およびカップ3を自動で洗浄できるように構成している。このため、手動で洗浄を行う構成に比べ、操作者の熟練を要することなく洗浄することができる。
【0106】
また、上記危険防止機構を備えることで、操作者の手が回転しているスクリュー1に触れてしまうといった危険を回避し、スプレーノズル6aおよびスプレーノズル6bから放出される水の飛散、洗浄により取り除かれた冷菓の残留物の飛散といった問題を生じることなく安全にスクリュー1およびカップ3を洗浄することができる。
【0107】
次に、図14を参照し、カップ3およびカップホルダ4の構成の詳細について説明する。図14は、カップ3とカップホルダ4とが契合している状態を示す模式図である。同図中(a)は契合状態の上面図を、(b)は契合状態の側面図を示している。同図に示すように、カップ3は、カップ本体3aおよび鍔部3bからなり、カップ3の底部には、製造された冷菓をコーン等の盛り付け容器に抽出するための抽出穴3cが形成されている。
【0108】
カップホルダ4は、カップホルダ本体4aおよびカップ3を所定の保持位置に案内する案内部4bを備えている。図14(b)に示すように、案内部4bには傾斜がつけられており、カップホルダ4の上方から案内部4bにカップ3の鍔部3bを当接させると、カップ3の鍔部3bが、カップ3の自重により上記傾斜を滑りながら位置調整され、カップホルダ4と契合するように構成されている。このように、案内部4bが備えられていることによって、カップ3を、カップホルダ4の所定の保持位置に容易にセットすることができる。案内部4bに形成する傾斜は、カップ3およびカップホルダ4の形状、材質等によって適宜変更される。
【0109】
カップホルダ4には、上記案内部4bにより案内されたカップ3の鍔部3bと契合するように設けられた規制部4cを備えている。さらに、カップ3の鍔部3bには、規制部4cにより規制を受け、対角線上に位置する2つの角部3dおよび角部3eが形成されている。一方、カップホルダ4の規制部4cには、上記2つの角部3dおよび角部3eに対応する対角線上の位置に、2つの溝部4dおよび溝部4eが形成させている。
【0110】
案内部4bにより所定の保持位置に案内されたカップ3は、スクリュー1の回転力が冷菓を介してカップ3に伝達され、カップ3がスクリュー1の回転方向に回転した状態で、上記2つの角部3dおよび角部3eが、それぞれ対応する2つのカップホルダ4の溝部4dおよび溝部4eと契合することにより、上記カップ3がスクリュー1の回転方向に回転移動すること、およびカップ3がカップホルダ4に対して上下移動することが規制される。
【0111】
本実施の形態の自動攪拌装置90では、図4に矢印で示した方向の、スクリュー1の回転に伴い、カップ3も時計回りに回転する。つまり、スクリュー1が回転すると、カップ3内の冷菓材料が回転する。この時、上記冷菓材料の粘性によりカップ3も同じ方向に回転する。これにより、一点鎖線で示す位置に案内されたカップ3は、実線で示す位置に回転する。この状態で、鍔部3bの被規制部である角部3dおよび角部3eは、規制部4cの対応する溝部4dおよび溝部4eと契合する。これにより、鍔部3bの上下方向の移動および回転が規制される。
【0112】
この結果、カップ3内に収容された冷菓材料を攪拌する際に、カップ3が振動などによってカップホルダ4から外れることを防止することができる。また、カップ3をカップホルダ4から外す場合には、反時計回り方向に、カップ3をわずかに回転させるだけでカップ3を、カップホルダ4との契合状態から解除することができる。
【0113】
本実施の形態では、冷菓ベースとして、ソフトクリームを用いたが、本発明の冷菓ベースは、これに限定されず、クリーム状のアイスクリームおよびフローズン状のヨーグルトなどの乳製品を用いることができる。
【0114】
また、添加材は、イチゴ、バナナ、モモ、ナシ、ブドウおよびマンゴ等の果肉、アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツおよび松の実などの木の実、モロヘイヤ、ほうれん草およびにんじんなどの野菜、抹茶,インスタントコーヒーなどの飲料用粉末等、冷菓ベースに添加しうる添加材であれば、特に限定されるものではない。
【0115】
以上のように、本実施の形態にかかる冷菓製造装置100は、ソフトクリーム等の冷菓ベースを製造する冷菓ベース製造装置80と、冷菓ベース製造装置により製造された冷菓ベースに果肉等の添加材を加えてなる冷菓材料を自動攪拌して冷菓を製造する自動攪拌装置90とが一体化されているため、上記2つの装置が独立した従来装置と比べて、冷菓製造装置100全体を小型化することができ、より狭いスペースにも設置できる。冷菓ベース製造装置80の冷菓ベース抽出口から抽出した冷菓ベースに添加材を加えた冷菓材料を、自動攪拌装置90にて、速やかに攪拌し、所望の味覚または食感を持った材料の冷菓を提供することができる。また、冷菓製造装置100は、冷菓ベース製造装置80のソフトクリームなどの冷菓ベースの原料であるソフトクリームミックスなどの攪拌冷却を制御する第2制御手段である第2制御部と、自動攪拌装置90の第1制御部である制御部50への電源供給を、冷菓製造装置100の筐体の右下部に設けられた単一の電源スイッチ16をON/OFF操作することで制御することができる。冷菓製造装置100において、上記電源スイッチ16の操作にて、冷菓ベース製造装置および自動攪拌装置の各制御部への電源供給を制御することができるため、操作の簡略化を図ることができる。
【0116】
また、図1,2,3または10に示す冷菓製造装置100は、上述したように、冷菓材料を攪拌するために用いることができるが、添加材を加えずに冷菓ベースのみを、カップなどに盛り付けるために用いることももちろん可能である。
【0117】
続いて、スクリュー1を回転軸2に取り付けるための詳細な構成について、図15ないし図20に基づいて説明する。
【0118】
図15は、図1に示す冷菓製造装置100において、スクリュー1が回転軸2に取り付けられた状態を示す断面図である。スクリュー1には、回転軸2を通すための略鉛直方向の穴1aの他に、取付用ピン9を通すための略水平方向の貫通穴1bが設けられている。また、回転軸2にも、取付用ピン9を通すための略水平方向の貫通穴2aが設けられている。
【0119】
貫通穴1bは、スクリュー1の側面から、スクリュー1の断面の中心部を通り、スクリュー1の他方の側面に貫通する穴である。スクリュー1を回転軸2に取り付ける際、貫通穴1bと貫通穴2aとが一直線に揃うようにスクリュー1の位置を調整し、貫通穴1b・貫通穴2aに取付用ピン9を挿し込む。これにより、スクリュー1と回転軸2との相対位置が固定され、スクリュー1は、回転軸2と一体となって回転する。
【0120】
ここで、取付用ピン9の直径は貫通穴1bおよび貫通穴2aの直径よりも小さいので、取付用ピン9を貫通穴1bおよび貫通穴2aから用意に挿抜できる。また、回転中に取付用ピン9が外れないように、取付用ピン9を以下のように構成してもよい。
【0121】
図16(a)は、取付用ピン9の断面図であり、図16(b)は、図16(a)に示す取付用ピン9を90°回転させた状態を示す平面図である。取付用ピン9は、図における左端付近に、貫通穴9aを有しており、右端付近に括れ部9bを有している。貫通穴9aおよび括れ部9bは、後述するワイヤ状のバネ91を取付用ピン9に取り付けるために設けられている。
【0122】
図17は、取付用ピン9にバネ91を取り付けた状態を示しており、(a)は、水平正面方向から見た場合の図であり、(b)は上方から見た場合の図である。また、図18(a)〜(d)は、それぞれバネ91を4方向から見た場合の図である。具体的には、図18(a)は、図17(a)と同様、水平正面方向から見た場合の図であり、(b)は、水平左方向から見た場合の図であり、(c)は、上方向から見た場合の図であり、(d)は、水平右方向から見た場合の図である。バネ91の材質としては、例えばステンレス銅が用いられる。
【0123】
図18(c)に示すように、バネ91は、半円弧形状であり、図18(a)に示すように、一方の端部には矩形状の環状部91aが形成されている。図17に示すように、環状部91aを、取付用ピン9の貫通穴9aを通すことにより、バネ91の一方端が取付用ピン9に取り付けられる。
【0124】
また、図18(d)に示すように、バネ91の他方の端部には、鉤状部91bが形成されている。図17に示すように、鉤状部91bを、取付用ピン9の括れ部9bに嵌めることにより、バネ91の他方端が取付用ピン9に取り付けられる。
【0125】
このように、取付用ピン9にバネ91を取り付けることにより、図15に示す状態において、取付用ピン9が貫通穴1b・貫通穴2aから外れることを防止している。なお、本実施の形態では、取付用ピン9の両端に貫通穴9aおよび括れ部9bを設け、バネ91の両端に環状部91aおよび鉤状部91bを設けることにより、取付用ピン9にバネ91を取り付けたが、これに限定されない。取付用ピン9の両端とバネ91の両端との接続は、通常の使用状態において外れなければ、他の方法を用いてもよい。
【0126】
なお、環状部91aは、スクリュー1を回転軸2に取り付ける前に、あらかじめ取付用ピン9の貫通穴9aに取り付けられている。スクリュー1を回転軸2に取り付ける段階では、まず、鉤状部91bが括れ部9bに嵌められていない状態で、取付用ピン9の括れ部9bが形成されている端部から取付用ピン9を貫通穴1b・貫通穴2aに挿入する。挿入が完了した後、鉤状部91bを括れ部9bに嵌めることにより、バネ91の円弧部分がスクリュー1の側面外周を取り囲む状態で、取付用ピン9にバネ91が取り付けられる。
【0127】
ここで、バネ91の材質は、比較的弾性のあるステンレス銅等であるので、鉤状部91bの湾曲部分を指で開くことができる。したがって、鉤状部91bを括れ部9bに容易に嵌めることができる。同様に、鉤状部91bの湾曲部分を指で開くことにより、容易に鉤状部91bを括れ部9bから外すことができるので、取付用ピン9を貫通穴1b・貫通穴2aから容易に外すことができる。
【0128】
なお、図17(a)に示すように、環状部91aは、矩形部分の一辺が貫通穴9aに挿通されており、また、図17(b)に示すように、環状部91aは、半円弧の内側に折れ曲がっており、貫通穴9aに挿通された辺と対向する辺が、取付用ピン9の外面に当接している。この状態において、折れ曲がった付け根部分と環状部91aとのなす角度をα°とする。
【0129】
また、図18(c)に示すように、バネ91の単体状態においても、環状部91aは、半円弧の内側に折れ曲がっている。このとき折れ曲がった付け根部分と環状部91aとのなす角度をβ°とすると、α<βである。したがって、図17(b)に示す状態において、環状部91aと折れ曲がった付け根部分との角度αを広げる方向にバネ91自身の弾性力が働くので、バネ91の鉤状部91bが図中の矢印の方向に引っ張られる。したがって、鉤状部91bが括れ部9bからさらに外れにくくなっている。
【0130】
なお、バネ91の円弧部分の半径は、スクリュー1の貫通穴1bが設けられる部分の断面の半径と略同一であってもよいが、バネ91の円弧部分の半径をさらに大きく形成すると、スクリュー1の回転時のバネ91自身の遠心力もより大きくなるため、鉤状部91bが括れ部9bからさらに外れにくくなる。
【0131】
図15ないし図18に示した上記実施例においては、取付用ピン9の抜け留め用に、バネ91を用いたが、バネ91以外の手段により、取付用ピン9の抜け防止を施しても良い。
【0132】
また、図19(a)に示すように、回転軸2には、スクリュー1の挿入方向に延びる溝2bが設けられている。溝2bは、スクリュー1の穴1aに回転軸2を差し込むときに、スクリュー1内部の空気を外部に逃がす役割を果たす。これにより、回転軸2をスクリュー1の穴1aにスムーズに差し込むことができる。
【0133】
なお、溝2bを設けるかわりに、図19(b)に示すように、スクリュー1の穴1aの内壁に、スクリュー1の挿入方向に延びる溝1cを設けてもよい。溝1cも、図19(a)に示す溝2bと同様、スクリュー1の穴1aに回転軸2を差し込むときに、スクリュー1内部の空気を外部に逃がす役割を果たす。
【0134】
続いて、回転軸にスクリューを取り付ける構造の変形例を図20に基づいて説明する。
【0135】
図20(a)は、冷菓製造装置に設けられる回転軸72を示す概略図である。回転軸72の側面には、下端から略P字状に形成される誘導溝72aが設けられている。
【0136】
図20(b)は、スクリュー71の構成を示す断面図である。スクリュー71の外部形状は、図19に示すスクリュー1と略同一である。また、スクリュー71は、回転軸72を差し込むための穴71aを有しており、さらに、側面から穴71aに通ずる貫通穴71bを有している。
【0137】
貫通穴71bには、取付用ピン92が差し込まれている。取付用ピン92の長さは、貫通穴71bより若干長く、取付用ピン92の先端部92aが、穴71aの内壁から突出している。スクリュー71を回転軸72に取り付ける際に、先端部92aと誘導溝72aとを嵌合させ、先端部92aが誘導溝72aの終端部72bに位置するように調整する。
【0138】
ここで、終端部72bの手前から終端部72bへの方向(図中左方向)は、回転軸72の回転によって終端部72bが移動する方向(図中右方向)と反対になっている。これにより、回転軸72の回転時に、先端部92aが終端部72bに押し付けられるため、スクリュー71が回転軸72から外れることはない。なお、穴71aの内壁から突出する先端部92aの代わりに、穴71aの内壁に凸形状の突出部を設けてもよい。
【0139】
図15ないし図20に示した上記実施例においては、スクリュー1を回転軸2に取り付けるための構成においては、スクリュー1に穴1aが形成され、穴1aに回転軸2が挿入されるものである。これに代えて、回転軸2に穴を形成し、該穴にスクリュー1を挿入するようにしても良い。
【0140】
さらに、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、ソフトクリームおよびアイスクリームなどの冷菓ベースと、果肉などの添加材とを攪拌する冷菓製造用攪拌装置の分野に好適に用いることができる。さらには、上記冷菓製造用攪拌装置を備える冷菓製造装置の分野にも広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明に係る冷菓製造装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る冷菓製造装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図3】上部ドアおよび下部ドアの閉状態における本実施の形態に係る冷菓製造装置を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る冷菓製造装置における下部ドアセンサを示す概略図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係る自動攪拌装置の動作を示す機能ブロック図である。
【図6】冷菓ベースをカップに取り出す状態を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の一形態に係る攪拌処理例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の一形態に係る上部ドア検知処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の一形態に係る下降処理例を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る冷菓製造装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図11】攪拌された冷菓材料をコーンカップに盛り付ける状態を示す概略図である。
【図12】本発明の実施の一形態に係る洗浄処理例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の一形態に係るドア検知処理例を示すフローチャートである。
【図14】カップおよびカップホルダの構成を示す模式図である。
【図15】図1に示す冷菓製造装置において、スクリューが回転軸に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図16】(a)は、上記スクリューと回転軸に差し込まれるピンの断面図であり、(b)は、(a)に示すピンを90°回転させた状態を示す平面図である。
【図17】上記ピンにバネを取り付けた状態を示しており、(a)は、水平正面方向から見た場合の図であり、(b)は上方から見た場合の図である。
【図18】上記バネを示しており、(a)は、図17(a)と同様、水平正面方向から見た場合の図であり、(b)は、水平左方向から見た場合の図であり、(c)は、上方向から見た場合の図であり、(d)は、水平右方向から見た場合の図である。
【図19】(a)は、上記回転軸を示す図であり、(b)は、上記スクリューを示す断面図である。
【図20】(a)は、上記回転軸の変形例を示す図であり、(b)は、上記スクリューの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0143】
1 スクリュー(攪拌部材)
1c 溝
2 回転軸(回転駆動手段)
2b 溝
3 カップ(収容部材)
3a カップ本体(収容部材)
3b 鍔部
3c 抽出穴
3d 角部(被規制部)
3e 角部(被規制部)
4 カップホルダ(保持部材)
4a カップホルダ本体(保持部材)
4b 案内部
4c 規制部
4d 溝部(規制部)
4e 溝部(規制部)
5 筐体
6a スプレーノズル(洗浄手段)
6b スプレーノズル(洗浄手段)
7 上部ドア(第1ドア部材、遮蔽部材)
8 下部ドア(第2ドア部材、遮蔽部材)
9 取付用ピン
9a 穴
10 ブレンドスイッチ(入力手段)
11 下降スイッチ(入力手段)
12 洗浄スイッチ(入力手段)
16 電源スイッチ
23 水用電磁弁(洗浄手段)
40a 上位置センサ(位置検出手段)
40b 下位置センサ(位置検出手段)
50 制御部(第1制御手段)
60a 上部ドアセンサ(遮蔽状態検出手段)
60b 下部ドアセンサ(遮蔽状態検出手段)
71 スクリュー(攪拌部材)
72 回転軸(回転駆動手段)
72a 誘導溝
72b 終端部
80 冷菓ベース製造装置
90 自動攪拌装置(冷菓製造用自動攪拌装置)
91 バネ
92 ピン
92a 先端部
100 冷菓製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動洗浄機能を備えた冷菓製造用自動攪拌装置であって、
回転駆動手段によって回転駆動されることにより、収容部材内に収容された冷菓材料を攪拌する攪拌部材と、
上記収容部材および上記攪拌部材を洗浄する洗浄手段と、
少なくとも上記収容部材または上記攪拌部材の何れか一方を昇降させて、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させる昇降手段と、
上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置を検出する位置検出手段と、
上記攪拌部材による攪拌処理、上記洗浄手段による洗浄処理または上記昇降手段による昇降動作を指示するための入力手段と、
上記入力手段から出力される信号と、上記位置検出手段から出力される信号とに基づき、上記昇降手段、上記回転駆動手段または上記洗浄手段の対応する動作を制御する第1制御手段とを備え、
上記第1制御手段は、上記昇降手段により、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を変化させながら、上記回転駆動手段または上記洗浄手段が、攪拌処理または洗浄処理を行うように制御し、
さらに、上記収容部材、上記攪拌部材および上記洗浄手段の全てを外部から遮蔽することができるように設けられた遮蔽部材であって、上記入力手段により指示された処理または動作に応じて、上記収容部材、上記攪拌部材および上記洗浄手段を、外部に対し遮蔽または開放可能に設けられた遮蔽部材と、
上記遮蔽部材の遮蔽状態を検出する遮蔽状態検出手段とを含むことを特徴とする冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項2】
上記入力手段により上記攪拌部材による攪拌処理が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記攪拌処理に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該攪拌処理に対応する上記回転駆動手段および上記昇降手段の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項3】
上記入力手段により上記洗浄手段による洗浄処理が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記洗浄処理に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該洗浄処理に対応する上記洗浄手段の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項4】
上記入力手段により上記昇降手段による昇降動作が指示された場合であって、上記遮蔽状態検出手段により検出された上記遮蔽部材の遮蔽状態が、上記昇降動作に対応した所定の位置にない場合、上記第1制御手段は、当該昇降動作に対応する上記昇降手段の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項5】
上記遮蔽部材は、少なくとも上記攪拌部材を遮蔽可能に形成された第1ドア部材と、当該第1ドア部材と共に、少なくとも上記洗浄手段を遮蔽可能に形成された第2ドア部材からなり、
上記遮蔽状態検出手段により、上記第1ドア部材が、所定の遮蔽状態にない場合、上記第1制御手段は、少なくとも上記回転駆動手段または上記昇降手段の何れか一方の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項6】
上記遮蔽部材は、少なくとも上記攪拌部材を遮蔽可能に形成された第1ドア部材と、当該第1ドア部材と共に、少なくとも上記洗浄手段を遮蔽可能に形成された第2ドア部材からなり、
上記遮蔽状態検出手段により、上記第1部材または第2ドア部材が、所定の遮蔽状態にない場合、上記第1制御手段は、少なくとも上記洗浄手段の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項7】
上記位置検出手段により検出された、上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置が、所定の距離以上離れている場合、上記第1制御手段は、上記回転駆動手段の動作を抑制するように制御することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項8】
自動洗浄機能を備えた冷菓製造用自動攪拌装置であって、
回転駆動手段によって回転駆動されることにより、収容部材内に収容された冷菓材料を攪拌する攪拌部材と、
上記収容部材および上記攪拌部材を洗浄する洗浄手段と、
少なくとも上記収容部材または上記攪拌部材の何れか一方を昇降させて、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させる昇降手段と、
上記収容部材の上記攪拌部材に対する相対位置を検出する位置検出手段と、
上記攪拌部材による攪拌処理、上記洗浄手段による洗浄処理または上記昇降手段による昇降動作を指示するための入力手段と、
上記入力手段から出力される信号と、上記位置検出手段から出力される信号とに基づき、上記昇降手段、上記回転駆動手段または上記洗浄手段の対応する動作を制御する第1制御手段とを備え、
上記第1制御手段は、上記昇降手段により、当該収容部材の攪拌部材に対する相対位置を変化させながら、上記回転駆動手段または上記洗浄手段が、攪拌処理または洗浄処理を行うように制御し、
上記昇降手段が、上記収容部材を当接摺動させながら所定の保持位置に案内する案内部を備えていることを特徴とする冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項9】
上記収容部材には鍔部が備えられており、
上記昇降手段は、上記案内部により案内された上記収容部材が、上記鍔部と契合するように設けられた規制部を備えていることを特徴とする請求項8に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項10】
上記鍔部は、対角線上に位置する2つの被規制部を有し、
上記規制部は、対角線上に形成された2つの溝部を有し、
上記案内部により所定の保持位置に案内された上記収容部材は、上記攪拌部材の回転方向に回転した状態で、上記2つ被規制部が、それぞれ上記2つの溝部と契合することにより、上記収容部材の回転移動および上下移動が規制されるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項11】
上記昇降手段は、上記収容部材を保持する保持部材と、上記保持部材または上記攪拌部材の少なくとも何れか一方を昇降させる駆動手段とを含み、
上記収容部材が、上記保持部材と分離可能に設けられており、
上記駆動手段による上記保持部材または上記攪拌部材の少なくとも何れか一方の昇降動作により、上記収容部材の攪拌部材に対する相対位置を所望の位置に変化させることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項12】
上記案内部および上記規制部は、上記保持部材に形成されていることを特徴とする請求項9ないし11の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項13】
上記入力手段により上記洗浄手段による洗浄処理が指示された場合、上記第1制御手段は、上記攪拌部材が上記回転駆動手段により回転駆動されながら洗浄されるように、上記回転駆動手段および上記洗浄手段を制御することを特徴とする請求項1ないし12の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項14】
上記収容部材には、上記攪拌部材による上記冷菓材料の攪拌処理により製造された冷菓を抽出するための抽出穴が形成されており、
上記第1制御手段は、上記抽出穴から上記冷菓が抽出された後に、上記洗浄手段を動作させるように制御することを特徴とする請求項1ないし13の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項15】
さらに、上記収容部材、上記攪拌部材、および上記洗浄部材を格納する筐体を備え、
上記筐体の下方位置に、排水路への異物流入を防止するための分離手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項16】
さらに取付用ピンを備え、
上記攪拌部材と上記回転駆動手段とが、上記取付用ピンによって貫通されることにより、上記攪拌手段が上記回転駆動手段に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし15の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項17】
上記回転駆動手段および上記攪拌部材の一方は、柱状の回転軸を有し、
上記回転駆動手段および上記攪拌部材の他方には、上記回転軸を嵌めるための穴が設けられ、
上記回転軸は、上記穴に嵌められていることを特徴とする請求項16に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項18】
さらに、ワイヤ状のバネを備え、
上記バネの一端は上記取付用ピンの一端に接続され、上記バネの他端は上記取付用ピンの他端に接続されていることにより、上記取付用ピンに、ワイヤ状のバネが取り付けられていることを特徴とする請求項17に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項19】
上記回転軸または上記穴には、上記回転駆動手段または上記攪拌部材の挿入方向に延びる溝が形成されていることを特徴とする請求項17または18に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項20】
上記穴の内面に突出部が形成され、
上記回転軸の表面に、上記突出部を嵌めるための誘導溝が設けられており、
上記誘導溝の終端部の手前から当該終端部への方向は、上記回転駆動手段の回転によって上記終端部が移動する方向と反対であることを特徴とする請求項17ないし19の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置。
【請求項21】
冷菓原料の冷却攪拌を制御する第2制御手段を備え、当該第2制御手段の制御により冷菓原料から冷菓ベースを製造する冷菓ベース製造装置と、
上記冷菓ベース製造装置により製造された上記冷菓ベースに、所望の添加材を加えてなる冷菓材料を攪拌して冷菓を製造する請求項1ないし20の何れか1項に記載の冷菓製造用自動攪拌装置とを備えることを特徴とする冷菓製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−237211(P2008−237211A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306556(P2007−306556)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000226909)日世冷機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】