説明

冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置およびこれを備えた冷菓製造機

【課題】 冷菓製造機に後付けでき、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズルを冷却し、雑菌の増殖を抑制することができる冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置およびこれを備えた冷菓製造機を提供する。
【解決手段】 冷菓を製造する冷菓製造機10に設けられ、冷菓を吐出する吐出ノズル11内の雑菌の増殖を抑制する冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1であって、吐出ノズル11における雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズル11を冷却するノズル冷却手段4を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローズンヨーグルトやソフトクリーム等の冷菓を製造する冷菓製造機に設けられ、冷菓を吐出するノズル内の雑菌の増殖を抑制する冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置およびこれを備えた冷菓製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フローズンヨーグルトやソフトクリーム等の冷菓を製造する冷菓製造機が知られている。例えば、特開2005−333881号公報には、本体内の冷却シリンダを冷却する冷却装置を備えた冷菓製造装置において、前記冷却シリンダ内と連通する冷菓の取出通路が内部に構成され、前記取出通路内に移動自在に設けられ、前記取出通路の取出口を開閉するためのプランジャーを備え、前記取出通路の内面及び前記プランジャーの外面を熱良導性の材料で構成することが記載されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−333881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷菓製造機においては、冷菓を吐出するノズル内に冷菓が残留するところ、当該ノズルが外気に曝されている。このため、当該ノズル内で雑菌が増殖したり、残留した冷菓が腐食してしまうという問題がある。また、当該ノズルから冷菓を吐出する際、冷菓が溶けて食感や風味が損なわれてしまうという問題もある。
【0005】
一方、特許文献1に記載された発明では、ノズル(取出通路の内面及びプランジャーの外面)の温度を低下できるとされている。しかしながら、上記発明は単に、冷菓を製造するための冷却シリンダから、冷熱をノズルへ熱伝導させているに過ぎない。このため、既存の冷菓製造機には、後付けで上記発明を適用することができない上、実質的には冷菓製造機メーカーしか実施できないという問題がある。
【0006】
また、上記発明における冷却装置は、本来、冷却シリンダを冷却するためのものである。したがって、ノズルへの冷却作用が十分ではなく、温度管理もできないため、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下にノズルを冷却できない。さらに、上記発明に係る構成は、換言すれば冷却装置の冷熱をノズルへ逃がしてしまう構成である。このため、冷却シリンダを十分に冷却できず、冷菓の品質を低下させてしまうという、本末転倒な状態を引き起こすおそれもある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、冷菓製造機に後付けでき、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズルを冷却し、雑菌の増殖を抑制することができる冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置およびこれを備えた冷菓製造機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置は、冷菓を製造する冷菓製造機に設けられ、前記冷菓を吐出する吐出ノズル内の雑菌の増殖を抑制する雑菌増殖抑制装置であって、前記吐出ノズルにおける雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に前記吐出ノズルを冷却するノズル冷却手段を有している。
【0009】
また、本発明の一態様として、前記ノズル冷却手段は、前記吐出ノズルを空冷するための冷気を生成して前記吐出ノズルへと供給する空冷機器と、前記吐出ノズルの周りに設けられて周囲からの熱を遮断するための断熱カバーフレームとを有していてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、前記断熱カバーフレームは冷気を取り込み可能な中空状に形成されており、前記空冷機器と前記断熱カバーフレームとの間には、前記空冷機器で生成された冷気を前記断熱カバーフレーム内を経由して前記吐出ノズルへ供給するための供給パイプが連結されているとともに、供給した後の冷気を前記断熱カバーフレーム内に吸い込んで前記空冷機器へ戻すための循環パイプが連結されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、前記断熱カバーフレームは、前記吐出ノズルの上方に配置された上方断熱カバーと、前記吐出ノズルの左右に配置された右側断熱カバーおよび左側断熱カバーと、前記空冷機器で生成された冷気を前記断熱カバーフレーム内に取り入れる給気口と、前記上方断熱カバーに設けられ前記冷気を前記吐出ノズルに向けて吹き出す吹出口と、前記給気口と前記吹出口とを連通してなる冷気供給路とを有していてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、前記断熱カバーフレームには、エアカーテン用の空気を前記断熱カバーフレーム内に取り入れる給気ファンが設けられているとともに、前記上方断熱カバーには、前記吹出口よりも前面側に空気を吹き下ろすエアカーテン用スリットが形成されており、前記給気ファンと前記エアカーテン用スリットとを連通してなるエアカーテン用給気路が設けられていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、前記断熱カバーフレームは、前記右側断熱カバーおよび前記左側断熱カバーが前記吐出ノズルの下端位置より下方まで延設されているとともに、前記右側断熱カバーおよび前記左側断熱カバーの下方内面に設けられて前記吹出口から吹き出された冷気を吸い込む吸込口と、前記吸込口で吸い込まれた冷気を前記空冷機器へ戻す循環口と、前記吸込口と前記循環口とを連通する冷気循環路とを有しており、前記供給パイプが前記給気口に連結されているとともに、前記循環パイプが前記循環口に連結されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、前記断熱カバーフレームは、前記右側断熱カバーと前記左側断熱カバーとの間に架設され、前記吐出ノズルの前面からの熱を遮断するフロント断熱カバーを有していてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、前記ノズル冷却手段は、前記吐出ノズルの表面に巻き付けられる冷却コイルと、この冷却コイルに冷媒を供給する冷媒供給機とを有していてもよい。
【0016】
また、本発明に係る冷菓製造機は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷菓製造機に後付けでき、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズルを冷却し、雑菌の増殖を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置の一実施形態を冷菓製造機に設けた状態を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置の底面図である。
【図4】本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置の中央縦断面右側面図である。
【図5】図4のX部分を示す一部拡大図である。
【図6】本実施形態において、拡散防止ファンを設置した例を示す図である。
【図7】本実施形態において、フロント断熱カバーを設置した例を示す図である。
【図8】本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置を取り付けた冷菓製造機の設置例を示す図である。
【図9】本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置を取り付けた冷菓製造機を複数台並べて設置した例を示す図である。
【図10】本発明に係るノズル冷却手段の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置およびこれを備えた冷菓製造機の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1は、冷菓を製造する冷菓製造機10に設けられ、冷菓を吐出する吐出ノズル11内の雑菌の増殖を抑制する雑菌増殖抑制装置1であって、図1および図2に示すように、吐出ノズル11を空冷するための冷気を供給する空冷機器2と、冷菓製造機10の前面に取り付けられる断熱カバーフレーム3とからなるノズル冷却手段4を有している。以下、各構成部について詳細に説明する。
【0021】
なお、本発明において、冷菓とは、フローズンヨーグルト、ソフトクリーム、アイスクリーム、シャーベット等のように、冷やしたり凍らせたりして製造される全ての菓子を含む概念である。また、冷菓製造機10とは、上述した各種の冷菓を製造し、当該冷菓を吐出するための吐出ノズル11を備えた全ての機器を含む概念である。
【0022】
空冷機器2は、吐出ノズル11を空冷するための冷気を生成して吐出ノズル11へと供給するためのものである。本実施形態において、空冷機器2は循環ファン21を有しており、生成した冷気を断熱カバーフレーム3へ供給するとともに、供給した冷気を断熱カバーフレーム3から吸い上げて循環させている。このため、外気を冷却して冷気を生成する場合と比較して冷却効率が高く、ランニングコストが抑制されるようになっている。
【0023】
断熱カバーフレーム3は、吐出ノズル11の周りに設けられて周囲からの熱を遮断するためのものであり、冷気を取り込み可能な中空状に形成されている。また、空冷機器2と断熱カバーフレーム3との間には、図2に示すように、空冷機器2で生成された冷気を断熱カバーフレーム3内を経由して吐出ノズル11へ供給するための供給パイプ5が連結されているとともに、供給した後の冷気を断熱カバーフレーム3内に吸い込んで空冷機器2へ戻すための循環パイプ6が連結されている。
【0024】
具体的には、断熱カバーフレーム3は、吐出ノズル11の上方に配置される上方断熱カバー31と、吐出ノズル11の左右に配置される右側断熱カバー32および左側断熱カバー33と、冷気を断熱カバーフレーム3内に取り入れる給気口34と、冷気を吐出ノズル11に向けて吹き出す吹出口35と、給気口34と吹出口35とを連通してなる冷気供給路36と、吹出口35から吹き出された冷気を吸い込む吸込口37と、吸込口37で吸い込まれた冷気を空冷機器2へ戻す循環口38と、吸込口37と循環口38とを連通する冷気循環路39とを有している。
【0025】
上方断熱カバー31は、吐出ノズル11の上方からの熱を遮断するように配置されており、図3に示すように、複数のパンチ穴からなる吹出口35を有している。この吹出口35は、図4および図5に示すように、断熱カバーフレーム3内で仕切られた冷気供給路36を介して、断熱カバーフレーム3の背面に設けられた給気口34と連通されている。このため、空冷機器2で生成された冷気は、供給パイプ5内を流れて給気口34から冷気供給路36に供給され、吹出口35から吐出ノズル11に向けて吹き出すようになっている。
【0026】
また、上方断熱カバー31には、図2から図5に示すように、吹出口35よりも前面側に空気を吹き下ろすエアカーテン用スリット40が形成されている。このエアカーテン用スリット40は、断熱カバーフレーム3内に設けられたエアカーテン用給気路41を介して、断熱カバーフレーム3の背面に設けられた給気ファン42と連通されている。このため、給気ファン42によって断熱カバーフレーム3内に取り入れられた空気は、エアカーテン用給気路41内を流通した後、吐出ノズル11の前面に吹き下ろされてエアカーテンを形成し、開放された正面からの温かい外気を遮断するようになっている。
【0027】
なお、エアカーテン用スリット40の内側には、エアカーテンの風向きを規定する風向規定部材43が設けられている。この風向規定部材43は、図4および図5に示すように、エアカーテン用スリット40の端縁部から内方に立ち上げられ、後方に傾斜されている。このため、吐出ノズル11には直接的に空気を当てずにその前面に空気を送り出し、エアカーテンを形成するようになっている。
【0028】
右側断熱カバー32および左側断熱カバー33は、図1に示すように、吐出ノズル11の左右からの熱を遮断するように垂下されている。また、右側断熱カバー32および左側断熱カバー33は、冷気の流れを整えて吐出ノズル11への冷却作用を高めるために、吐出ノズル11の下端位置より下方まで延設されている。さらに、図2および図3に示すように、スリット状の吸込口37が各断熱カバー32,33の下方内面に設けられている。
【0029】
各吸込口37は、図1および図2に示すように、断熱カバーフレーム3内に設けられた冷気循環路39を介して、断熱カバーフレーム3の背面に設けられた循環口38と連通されている。このため、空冷機器2に設けられた循環ファン21が空気の流れを発生させると、吹出口35から吹き出された冷気は、あまり拡散することなく下方へ流れ、吸込口37から吸い込まれる。また、吸込口37で吸い込まれた冷気は、冷気循環路39内を上昇し循環口38から排気された後、循環パイプ6内を流れて空冷機器2へと戻されるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、吐出ノズル11の上方に温度センサ(図示せず)が設けられており、この温度センサの検出値に基づいて、サーモスタット等の温度調節器(図示せず)が空冷機器2をフィードバック制御している。この構成により、ノズル冷却手段4は、吐出ノズル11における雑菌の増殖を抑制しうる温度以下となるように吐出ノズル11を冷却する。なお、当該温度以下に保持するための構成は、上記に限定されるものではなく、空冷機器2を所定の温度以下の冷気を生成するように常時運転させる場合等には、上記構成は不要である。
【0031】
また、吹出口35から吹き出される冷気の拡散を防止するための手段として、図6に示すように、別途、冷気供給路36内に拡散防止ファン44を設けてもよい。この拡散防止ファン44は、吐出ノズル11へ向けて下向きに設置すると、冷気供給路36内に供給された冷気を下向きに加速して送り出し、吐出ノズル11を効率良く冷却するようになっている。
【0032】
さらに、上述したエアカーテンを形成する構成の代わりに、吐出ノズル11の前面からの熱を遮断するフロント断熱カバー45を設けてもよい。このフロント断熱カバー45は、右側断熱カバー32と左側断熱カバー33との間に架設され、開閉自在に構成されている。このため、冷菓を吐出するとき以外は、フロント断熱カバー45を閉じておくことで吐出ノズル11が簡単に保冷される。
【0033】
なお、フロント断熱カバー45は、図7に示すように、(a)観音開き、(b)左開きの片観音開き、(c)右開きの片観音開き、(d)引き違い戸、(e)片引戸、(f)引分け戸、(g)シャッター、(h)上げ下げ扉、(i)折れ戸等のように、様々なタイプを採用することができる。
【0034】
また、本実施形態では、断熱カバーフレーム3の外表面に、シート状の断熱材(図示せず)が被覆されており、結露を防止するようになっている。
【0035】
つぎに、以上の構成を備えた本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1の作用について説明する。なお、以下の説明では、図8に示すように、本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1を取り付けた冷菓製造機10のうち、吐出ノズル11の周辺のみを壁から露出させ、お客様によるセルフサービスを可能とする設置例について説明する。
【0036】
まず、本実施形態の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1を使用する場合、空冷機器2の運転を開始する。これにより、空冷機器2は冷気を生成するとともに、循環ファン21によって冷気を供給パイプ5へと送り出す。送り出された冷気は、給気口34から断熱カバーフレーム3内へと供給された後、冷気供給路36内を下降し吹出口35から吹き出される。これにより、吐出ノズル11が冷却され、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に維持される。
【0037】
例えば、雑菌の増殖を抑制しうる温度が約8℃の場合、空冷機器2から約4℃の冷気を供給することで、吐出ノズル11の温度を8℃以下に保持することが可能となる。このため、セルフサービス型の店舗においても、食品衛生法に基づく保健所の許可が得られやすくなる。また、上述した温度センサや温度調節器を用いて空冷機器2をフィードバック制御した場合、過度な冷却が防止されるため、冷却のランニングコストが抑制される。
【0038】
また、本実施形態では、断熱カバーフレーム3が、上方断熱カバー31、右側断熱カバー32および左側断熱カバー33によって、吐出ノズル11の周囲からの熱を遮断する。このため、吹出口35から吹き出された冷気が、外気によって温められるのを抑制し、吐出ノズル11を効率的に冷却する。
【0039】
さらに、本実施形態では、給気ファン42が、エアカーテン用給気路41内に空気を送り込み、当該空気をエアカーテン用スリット40から吹き下ろす。このとき、風向規定部材43が、吹き下ろされる空気の向きを断熱カバーフレーム3の前方へ案内するため、吐出ノズル11の前面側にエアカーテンが形成される。これにより、吐出ノズル11は、前面側からの外気も遮断されるため、より一層冷却効率が向上する。
【0040】
また、本実施形態では、右側断熱カバー32および左側断熱カバー33に設けられた各吸込口37が、吐出ノズル11の下方で冷気を吸い込む。このため、吹出口35から各吸込口37にかけて冷気の流れを形成し、冷気の無駄な拡散を防ぐ。これにより、吐出ノズル11に対する冷却作用が安定化し、冷却効率が向上する。
【0041】
各吸込口37で吸い込まれた冷気は、循環ファン21による気流によって、冷気循環路39内を上昇し循環口38から排気された後、循環パイプ6内を流れて空冷機器2へと戻される。ここで、空冷機器2へ戻される冷気は、吐出ノズル11を冷却する際の熱交換によって温度が上昇しているものの、外気に比べれば充分に低温である。このため、空冷機器2において冷却の負担を軽減し、コスト的にも抑制される。
【0042】
特に、図9に示すように、実際の店舗においては複数台の冷菓製造機10を並べて設置する場合が多くなると考えられるが、かかる場合には上述した循環方式が好適である。具体的には、各冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1の給気口34を一本の供給パイプ5に連結するとともに、各冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1の循環口38を一本の循環パイプ6に連結する。これにより、一台の空冷機器2で複数台の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1を作動させられるため、効率的な冷却システムを構築することができて配置スペースを節約することができ、初期投資のイニシャルコストおよびランニングコストが低減に繋がる。
【0043】
なお、上述した拡散防止ファン44を設置した場合、当該拡散防止ファン44が、冷気供給路36内に供給された冷気を下向きに加速し、吐出ノズル11へ向けて送り出す。これにより、冷気が吹出口35から強く吹き出し、吐出ノズル11に直接的に当たるため、より効率良く冷却される。
【0044】
また、上述したフロント断熱カバー45を設置した場合、当該フロント断熱カバー45が、右側断熱カバー32と左側断熱カバー33との間により効果的に冷気を閉じ込める。これにより、冷菓を吐出するとき以外は、フロント断熱カバー45を閉じておくことで簡単かつ確実に保冷できる。
【0045】
さらに、本実施形態では、断熱カバーフレーム3の外表面に被覆された断熱材が、結露を防止する。このため、お客様に不衛生な印象を与えることがなく、セルフサービス式の営業態様にも好適である。
【0046】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
1.吐出ノズル11内における雑菌の増殖を抑制するとともに、冷菓の融解を防止し、消費者に安全安心を提供することができる。
2.既存の冷菓製造機10に後付けすることもできるため初期の設置負担が少ない。
3.吐出ノズル11を効率的に冷却でき、確実に雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に温度管理することができる。
4.吐出ノズル11の周囲からの熱を遮断し、高い冷却効率を実現できる。
5.冷気を循環させて冷却するため空冷機器2への負担も小さく、冷却に要するランニングコストも低減することができる。
【0047】
なお、本発明に係る冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置1およびこれを備えた冷菓製造機10は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0048】
例えば、上述した本実施形態では、空冷機器2と断熱カバーフレーム3とからなるノズル冷却手段4について説明したが、吐出ノズル11における雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズル11を冷却しうるものであれば、上記構成に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、吐出ノズル11の表面に巻き付けられる冷却コイル7と、この冷却コイル7に冷媒を供給する冷媒供給機(図示せず)とからなるノズル冷却手段4を採用してもよい。
【0049】
この構成によれば、冷媒供給機が低温の冷媒を冷却コイル7に供給すると、冷却コイル7が直接吐出ノズル11を冷却する。これにより、雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に吐出ノズル11を冷却することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置
2 空冷機器
3 断熱カバーフレーム
4 ノズル冷却手段
5 供給パイプ
6 循環パイプ
7 冷却コイル
10 冷菓製造機
11 吐出ノズル
21 循環ファン
31 上方断熱カバー
32 右側断熱カバー
33 左側断熱カバー
34 給気口
35 吹出口
36 冷気供給路
37 吸込口
38 循環口
39 冷気循環路
40 エアカーテン用スリット
41 エアカーテン用給気路
42 給気ファン
43 風向規定部材
44 拡散防止ファン
45 フロント断熱カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷菓を製造する冷菓製造機に設けられ、前記冷菓を吐出する吐出ノズル内の雑菌の増殖を抑制する雑菌増殖抑制装置であって、前記吐出ノズルにおける雑菌の増殖を抑制しうる温度以下に前記吐出ノズルを冷却するノズル冷却手段を有している、冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項2】
前記ノズル冷却手段は、前記吐出ノズルを空冷するための冷気を生成して前記吐出ノズルへと供給する空冷機器と、前記吐出ノズルの周りに設けられて周囲からの熱を遮断するための断熱カバーフレームとを有している、請求項1に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項3】
前記断熱カバーフレームは冷気を取り込み可能な中空状に形成されており、前記空冷機器と前記断熱カバーフレームとの間には、前記空冷機器で生成された冷気を前記断熱カバーフレーム内を経由して前記吐出ノズルへ供給するための供給パイプが連結されているとともに、供給した後の冷気を前記断熱カバーフレーム内に吸い込んで前記空冷機器へ戻すための循環パイプが連結されている、請求項2に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項4】
前記断熱カバーフレームは、前記吐出ノズルの上方に配置された上方断熱カバーと、前記吐出ノズルの左右に配置された右側断熱カバーおよび左側断熱カバーと、前記空冷機器で生成された冷気を前記断熱カバーフレーム内に取り入れる給気口と、前記上方断熱カバーに設けられ前記冷気を前記吐出ノズルに向けて吹き出す吹出口と、前記給気口と前記吹出口とを連通してなる冷気供給路とを有している、請求項2または請求項3に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項5】
前記断熱カバーフレームには、エアカーテン用の空気を前記断熱カバーフレーム内に取り入れる給気ファンが設けられているとともに、前記上方断熱カバーには、前記吹出口よりも前面側に空気を吹き下ろすエアカーテン用スリットが形成されており、前記給気ファンと前記エアカーテン用スリットとを連通してなるエアカーテン用給気路が設けられている、請求項4に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項6】
前記断熱カバーフレームは、前記右側断熱カバーおよび前記左側断熱カバーが前記吐出ノズルの下端位置より下方まで延設されているとともに、前記右側断熱カバーおよび前記左側断熱カバーの下方内面に設けられて前記吹出口から吹き出された冷気を吸い込む吸込口と、前記吸込口で吸い込まれた冷気を前記空冷機器へ戻す循環口と、前記吸込口と前記循環口とを連通する冷気循環路とを有しており、前記供給パイプが前記給気口に連結されているとともに、前記循環パイプが前記循環口に連結されている、請求項4または請求項5に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項7】
前記断熱カバーフレームは、前記右側断熱カバーと前記左側断熱カバーとの間に架設され、前記吐出ノズルの前面からの熱を遮断するフロント断熱カバーを有している、請求項4から請求項6のいずれかに記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項8】
前記ノズル冷却手段は、前記吐出ノズルの表面に巻き付けられる冷却コイルと、この冷却コイルに冷媒を供給する冷媒供給機とを有している、請求項1に記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の冷菓製造機用雑菌増殖抑制装置を備えた冷菓製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55914(P2013−55914A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196754(P2011−196754)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【特許番号】特許第4956685号(P4956685)
【特許公報発行日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(507130738)株式会社ネオコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】