説明

冷菓製造装置及び冷菓製造装置用添加装置

【課題】 流動性のソースに限定されることなく、容易に、かつ、衛生的に添加物を冷菓に添加することを可能とする冷菓製造装置及び冷菓製造装置用添加装置を提供する。
【解決手段】 発明の冷菓製造装置SMは、本体1内に設けられ、ミックスを撹拌しながら冷却して冷菓を製造する冷却シリンダ5と、この冷却シリンダ5から冷菓を抽出する取出通路9と、この取出通路9を開閉するプランジャ10とを備え、所定の回動操作により取出通路9の取出ノズル12に着脱自在に取り付けられ、冷菓に添加される添加物が収容された容器22と、容器22とは別体に構成され、本体1に設けられた押圧装置24とを備え、この押圧装置24は、容器22に当接して容器22内の添加物を押し出し、取出ノズル12から抽出される冷菓に添加すると共に、容器22には、ハンドル71、77を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトクリーム等の冷菓を抽出販売する冷菓製造装置に関し、特に冷菓にイチゴジャムやチョコレート等のソースや果物の果肉、又は、ナッツなどの添加物をトッピングするようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソフトクリーム等の冷菓を抽出販売する冷菓製造装置は、冷菓原料により冷菓を製造すると共に、前端部には冷菓が抽出される抽出路が形成されている冷却シリンダと、抽出路の出口が内壁面に形成されると共に、下端には抽出された冷菓を取り出すための冷菓取出口が形成されている冷菓通路と、この冷菓通路内に上下移動可能に設けられ、通常抽出路の出口を塞ぐプランジャとを備えている(特許文献1を参照。)。
【0003】
そして、冷菓抽出販売時にはプランジャを上方に移動させて抽出路の出口を開放するようにしている。このように抽出路の出口が開放されると、冷菓は冷却シリンダ内に設けられている撹拌装置の撹拌圧力により抽出路を通って抽出路の出口から冷菓通路に抽出された後、冷菓取出口部から取り出されるように構成されている。
【0004】
そして、当該抽出された冷菓にトッピングを所望する場合には、抽出された冷菓の上方から別個に粒状チョコレートやソースを降りかけることにより行っていた。
【0005】
また、特許文献2に示される如き冷菓製造装置は、上記構成に加えて、流動性のトッピング用ソースが充填されたソース容器と、このソース容器を取出通路に隣接して着脱自在に保持する保持手段と、当該ソース容器から取出通路にソースを圧送するソース圧送手段とを備えるものである。これにより、冷菓の抽出に応じてソース圧送手段によってソース容器内のソースを取出通路に押し出すことによって、冷菓にソースを添加するものである。
【特許文献1】特開平7−264991号公報
【特許文献2】特開2001−211832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の冷菓にソース等を降りかける手法によっては、トッピング時に粒状のチョコレートやソース等を冷菓に適切に降りかけるには、一定以上の熟練が必要となるとともに、すべての添加物を冷菓に添加することは困難であることから、周囲に粒状のチョコレートやソースが撒き散らされるという不都合があった。更には、提供者によっては、出来上がりが異なるため、均一な品質の冷菓を提供することができないという問題があった。
【0007】
他方、特許文献2に示される如き冷菓製造装置においては、予めトッピング用ソースが充填されたソース容器を用いなければならず、ソース容器に充填された以外の添加物を使用者の好みに応じて変更することは不可能であった。そのため、決められたソース以外の添加物を冷菓に添加することができず、提供する冷菓の種類の拡大を図ることが困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、流動性のソースに限定されることなく、容易に、かつ、衛生的に添加物を冷菓に添加することを可能とする冷菓製造装置及び冷菓製造装置用添加装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の冷菓製造装置は、本体内に設けられ、ミックスを撹拌しながら冷却して冷菓を製造する冷却シリンダと、該冷却シリンダから冷菓を抽出する取出通路と、該取出通路を開閉するプランジャとを備えたものであって、所定の回動操作により取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、冷菓に添加される添加物が収容された容器と、該容器とは別体に構成され、本体に設けられた押圧装置とを備え、該押圧装置は、容器に当接して当該容器内の添加物を押し出し、出口部から抽出される冷菓に添加すると共に、容器にはハンドルを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明の冷菓製造装置は、上記発明において、容器は、取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、当該開口から添加物が収納されると共に、一端が添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを備え、押圧装置は、ピストン部材に当接して該ピストン部材を添加室方向に押し込み、収納室内の添加物を添加室側に押し出すと共に、ハンドルは蓋部材に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3はの発明の冷菓製造装置用添加装置は、所定の回動操作により冷菓を取り出す取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、冷菓に添加される添加物が収容された容器と、該容器とは別体に構成された押圧装置とを備え、容器は、取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、開口から添加物が収納されると共に、一端が添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを有し、押圧装置は、ピストン部材に当接して該ピストン部材を添加室方向に押し込み、収納室内の添加物を添加室側に押し出すと共に、容器にはハンドルを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明の冷菓製造装置用添加装置は、上記発明において、ハンドルは、蓋部材に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置は、上記各請求項2乃至請求項4の発明において、押圧装置は前進してピストン部材に当接し、当該ピストン部材に係脱自在に係合した状態で添加室方向に移動させ、後退してピストン部材を添加室から離間する方向に移動させると共に、ピストン部材は収納室の他端にて蓋部材に係脱自在に係合し、押圧装置とピストン部材との係合は解除されることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置は、上記発明において、蓋部材は、収納室の一端から他端に至る方向における一側を中心として回動可能で、且つ、一端から他端に至る方向に移動可能に容器本体に取り付けられると共に、収納室の上面開口を閉じた状態では回動を阻止され、その状態からピストン部材の寸法分、添加室から離間する方向に移動された状態で回動可能となることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置は、上記各発明において、収納室の他端が押圧装置に面しない第1の回動角度位置において容器は取出通路の出口部に着脱自在であり、収納室の他端が押圧装置に面した第2の回動角度位置にて容器は取出通路の出口部に取り付けられると共に、当該第2の回動角度位置にあることを検出する検出手段を備え、押圧装置は検出手段の出力に基づき、容器が第2の回動角度位置にある場合に動作することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置は、上記各請求項2乃至請求項7の発明において、添加物を収容して出口部から当該添加物を押し出し可能とされた投入具を備え、少なくとも該投入具の出口部は、収納室内に進入可能な寸法を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本体内に設けられ、ミックスを撹拌しながら冷却して冷菓を製造する冷却シリンダと、該冷却シリンダから冷菓を抽出する取出通路と、該取出通路を開閉するプランジャとを備えた冷菓製造装置において、所定の回動操作により取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、冷菓に添加される添加物が収容された容器と、該容器とは別体に構成され、本体に設けられた押圧装置とを備え、該押圧装置は、容器に当接して当該容器内の添加物を押し出し、出口部から抽出される冷菓に添加することにより、添加物が均等に添加された冷菓を提供することが可能となる。
【0018】
特に、本発明によれば、添加物が収容される容器を、当該容器に設けられたハンドルにより、所定の回動操作を行うことで、容易に冷菓を抽出する取出通路に適宜着脱することが可能となる。そのため、添加物の補充や交換作業を容易に行うことができ、任意に添加物を補充・交換等行うことができる。更に、当該容易を本体から取り外すことで、容易に容器の洗浄作業を行うことができ、衛生的に使用することができる。更にまた、この容器の着脱作業は、ハンドルの回動操作により行うことから、直接容器に触れることなく作業を行うことが可能となり、より一層、衛生的に冷菓の提供を行うことが可能となる。
【0019】
請求項2の発明によれば、上記発明において、容器は、取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、当該開口から添加物が収納されると共に、一端が添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを備え、押圧装置は、ピストン部材に当接して該ピストン部材を添加室方向に押し込み、収納室内の添加物を添加室側に押し出すことにより、容器内には、所望の添加物を収容して、添加室内を通過する冷菓に円滑に当該添加物を添加することができるようになる。
【0020】
また、ピストン部材が収納室の添加室と反対側の端部を閉塞しているので、当該端部から添加物が漏れることを防止することができる。更に、収納室と押圧装置の軸が多少ずれていてもピストン部材と押圧装置の当接関係で当該ずれを吸収することができる。そのため、円滑に収納室内の添加物を添加室に押し出すことが可能となる。
【0021】
また、添加物を添加室に押し出すピストン部材は、押圧装置とは、別体にて構成されていることから、添加物が直接押圧装置に触れてしまう不都合を回避することができる。そのため、本体から取り外し可能な部材のみを洗浄するのみで、添加物が接触する部材を洗浄することが可能となり、衛生維持を容易に実現することが可能となる。また、添加物を所望に応じて変更した場合であっても、前回の添加物が混入する不都合を回避することができ、適切に所望の添加物を添加した冷菓を提供することができるようになる。
【0022】
更にまた、容器に設けられるハンドルは、容器の蓋部材に設けられているため、蓋部材の開閉作業をも当該ハンドルを持って操作することが可能となり、より、衛生的に作業を行うことが可能となる。
【0023】
請求項3の発明の冷菓製造装置用添加装置によれば、所定の回動操作により冷菓を取り出す取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、冷菓に添加される添加物が収容された容器と、該容器とは別体に構成された押圧装置とを備え、容器は、取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、開口から添加物が収納されると共に、一端が添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを有し、押圧装置は、ピストン部材に当接して該ピストン部材を添加室方向に押し込み、収納室内の添加物を添加室側に押し出すことにより、容器内には、所望の添加物を収容して、添加室内を通過する冷菓に円滑に当該添加物を添加することができるようになる。
【0024】
また、ピストン部材が収納室の添加室と反対側の端部を閉塞しているので、当該端部から添加物が漏れることを防止することができる。更に、収納室と押圧装置の軸が多少ずれていてもピストン部材と押圧装置の当接関係で当該ずれを吸収することができる。そのため、円滑に収納室内の添加物を添加室に押し出すことが可能となる。
【0025】
また、添加物を添加室に押し出すピストン部材は、押圧装置とは、別体にて構成されていることから、添加物が直接押圧装置に触れてしまう不都合を回避することができる。そのため、本体から取り外し可能な部材のみを洗浄するのみで、添加物が接触する部材を洗浄することが可能となり、衛生維持を容易に実行することが可能となる。また、添加物を所望に応じて変更した場合であっても、前回の添加物が混入する不都合を回避することができ、適切に所望の添加物を添加した冷菓を提供することができるようになる。
【0026】
特に、容器にはハンドルが設けられていることから、当該冷菓製造装置用添加装置を容易に、冷菓製造装置に着脱することが可能となる。そのため、容器の着脱作業は、ハンドルの回動操作により行うことから、直接容器に触れることなく作業を行うことが可能となり、より一層、衛生的に行うことが可能となる。
【0027】
また、請求項4の発明の冷菓製造装置用添加装置によれば、上記発明において、ハンドルは、蓋部材に設けられているため、蓋部材の開閉作業をも当該ハンドルを持って操作することが可能となり、より衛生的に作業を行うことが可能となる。
【0028】
請求項5の発明によれば、上記各請求項2乃至請求項4の発明において、押圧装置は前進してピストン部材に当接し、当該ピストン部材に係脱自在に係合した状態で添加室方向に移動させ、後退してピストン部材を添加室から離間する方向に移動させると共に、ピストン部材は収納室の他端にて蓋部材に係脱自在に係合し、押圧装置とピストン部材との係合は解除されることにより、ピストン部材と押圧装置の前進による添加物の押し出しと、後退時のピストン部材の残留動作が円滑に行うことが可能となる。
【0029】
また、ピストン部材は、収容室の他端にて蓋部材に係脱自在に係合することから、当該蓋部材を開放すると、これにより、当該蓋部材と共にピストン部材が収容室から撤去されることとなる。そのため、当該容器を取出通路の出口部に取り付けられた状態であっても、添加物を補充する際に、ピストン部材が邪魔となる不都合を回避することができる。また、この場合において、ピストン部材は蓋部材に係合されていることから、ピストン部材を衛生的に維持することが可能となる。
【0030】
また、請求項6の発明によれば、上記発明において、蓋部材は、収納室の一端から他端に至る方向における一側を中心として回動可能で、且つ、一端から他端に至る方向に移動可能に容器本体に取り付けられると共に、収納室の上面開口を閉じた状態では回動を阻止され、その状態からピストン部材の寸法分、添加室から離間する方向に移動された状態で回動可能となることから、ピストン部材が邪魔となることなく当該蓋部材を回動させて容易に蓋部材の開閉作業を行うことが可能となる。
【0031】
請求項7の発明によれば、上記各発明において、収納室の他端が押圧装置に面しない第1の回動角度位置において容器は取出通路の出口部に着脱自在であり、収納室の他端が押圧装置に面した第2の回動角度位置にて容器は取出通路の出口部に取り付けられると共に、当該第2の回動角度位置にあることを検出する検出手段を備え、押圧装置は検出手段の出力に基づき、容器が第2の回動角度位置にある場合に動作するため、検出手段による容器の取付状態に応じて、押圧装置を動作させることが可能となる。これにより、容器が確実に取り付けられた状態で、押圧装置を動作させることができるため、安全に、押圧装置を作動させることが可能となる。
【0032】
請求項8の発明によれば、上記各請求項2乃至請求項7の発明において、添加物を収容して出口部から当該添加物を押し出し可能とされた投入具を備え、少なくとも該投入具の出口部は、収納室内に進入可能な寸法を有しているため、当該投入具を収容室内に進入可能となり、添加物をこぼすことなく確実に収容室に収容させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の冷菓製造装置SMの斜視図、図2は冷菓製造装置SMの内部構成を示す斜視図である。本実施例の冷菓製造装置SMは、ソフトクリームを製造して例えばコーン製のカップに抽出し、螺旋状の冷菓の流れを盛り上げて生成し、販売するものである。また、本実施例における冷菓製造装置SMは、矩形状の本体1により構成され、例えばバニラソフトクリームかチョコレートソフトクリームのうちの一種類のソフトクリームを製造する卓上の装置である。
【0034】
冷菓製造装置SMは、液状のソフトクリームミックスが貯溜されるホッパー2と、この液状のソフトクリームミックスを撹拌しながら冷却して半硬化状態とするビータ4を備えた冷却シリンダ5とが設けられている。尚、図1において3はホッパー2の上面開口を開閉自在に閉塞し、ミックス補給時に取り外されるホッパーカバーであり(図2は取り外した状態であり、この図では省略している)、図2において6は、前記ビータ4を回転駆動するビータモータである。
【0035】
8は、上記冷却シリンダ5前方に位置して本体1の前面に取り付けられたフリーザードアであり、このフリーザードア8内には、上下に取出通路9が形成されている。そして、この取出通路9内には、プランジャ10が上下移動可能に挿入されており、このプランジャ10は前面の取出レバー11にて上下動される。一方、冷却シリンダ5の前端部下側には図示しない抽出路が形成されており、この抽出路の出口は前記取出通路9の内壁面に形成されている。また、フリーザードア8の取出通路9の下端部には出口部としての取出ノズル12が下側から取り付けられている。
【0036】
係る構成により、ホッパー2内にはソフトクリームミックスパウダー(しょ糖40%〜45%、乳固形分約50%)に約2倍量の水を添加した所定量のソフトクリームミックスを収容する。そして、この液状のソフトクリームミックスを冷却シリンダ5に導入し、ビータ4にて撹拌しつつ冷却することにより、半硬化状態のソフトクリームを生成する。
【0037】
この状態で、取出レバー11を引き下げて、プランジャ10を上方に移動させると、プランジャ10が離間すると共に、抽出路の出口も開放される。そして、プランジャ10の上昇によって、図示しない冷菓抽出スイッチがONとされ、ビータモータ6が駆動し、ビータ4が回転される。
【0038】
これにより、冷却シリンダ5内の半硬化状態のソフトクリームは前方に押し出され、抽出路から取出通路9内に入り、取出ノズル12に形成される星形の透孔を経て抽出される。
【0039】
一方、本実施例における冷菓製造装置SMは、前記取出ノズル12にロック部材21を介して冷菓製造装置用添加装置20の添加物収納容器(容器)22が着脱自在に取り付けられる。
【0040】
ここで、図3乃至図15を参照して、本発明の冷菓製造装置用添加装置20について説明する。図3には図1の冷菓製造装置用添加装置(以下、添加装置と称する)20部分の拡大斜視図が示されている。本実施例における添加装置20は、本体1の前面であって、フリーザードア8の側方に位置して設けられ、内部に押圧装置24を備える添加装置本体23と、添加物収納容器22とから構成される。
【0041】
まず、図4乃至図11を参照して添加物収納容器22及び当該添加物収納容器22周辺の部材について説明する。添加物収納容器22は、容器本体22Aと、蓋部材40と、ピストン部材41とから構成される。容器本体22Aは、図5に示されるように上面に開口すると共に左右に開口する収容室30と、当該収容室30の一端に一体に形成される添加室31とを備え、これら収容室30と添加室31は連通して形成される。添加室31は、上下に開口して形成されており、当該添加室31の上端は、Oリング65を介して冷菓製造装置SM本体1側の取出通路9の取出ノズル12内に進入し密着して取り付けられる。これにより、取出通路9の取出ノズル12から抽出される冷菓は、容器本体22Aの添加室31内を通過する構成とされる。
【0042】
尚、後述する添加物が所定の粘度を有する液体状のソースである場合には、当該添加室31内には、中間ノズル32を装填して使用する。当該中間ノズル32は、添加室31内壁に沿って収容可能とする円筒状のノズル部材であり、上下に貫通した星形の穴が形成されている。また、当該中間ノズル32の側壁には、収容室30側に開口した流入口が形成されていると共に、収容室30から流入したソース等の添加物を二方向に分岐して指向する指向壁32Aを備え、これにより、冷菓の両側方からソースを添着する構成とされている。また、当該中間ノズル32は、添加室31下端に取り付けられる下ゲート部材33により保持される。当該下ゲート部材33は、下面に冷菓取出口を形成されており、添加室31内にて添加物が添着された冷菓が排出される。
【0043】
また、本実施例において容器本体22Aの添加室31外面には、図5に示すようにハンドル取付部70が一体に形成されている。このハンドル取付部70は、添加物収納容器22を回動操作するために設けられる本体側ハンドル71を取り付けるための取付部である。当該本体側ハンドル71は、操作性を考慮して添加室31から収容室30方向であって、かつ、当該ハンドル71の端部が添加室31側よりも所定角度だけ手前側に傾斜して設けられる。尚、図5に示すように、添加装置20の取付位置が冷菓製造装置SM本体1側の取出ノズル12の左右いずれにも対応可能とするため、当該容器本体22Aに設けられるハンドル取付部70は、前面及び後面の両者に設けられていても良いものとする。
【0044】
一方、添加室31上部の側壁には、外方に向かって突出して形成される二カ所の係合部31A、31Aが相対向して形成されており、当該係合部31Aは、鋼板製の材料にて構成されるロック部材21に係合されることで、確実に取出ノズル12に固定される。
【0045】
即ち、ロック部材21は、添加室31の上端を挿入可能とする係合穴35Aを形成した係合部35と、当該係合部35の上方に位置して取出ノズル12の外形に沿って前方から取出ノズル12に係合可能とする取付部36とから構成されており、これら係合部35と取付部36は、連結部37によって連結されている。
【0046】
他方、取出ノズル12は、取出通路9の下端に取り付けられると共に、当該取出ノズル12を取り付けた状態で、当該取出通路9を形成するフリーザードア8の下面との間に少許隙間が形成される構成とされている。
【0047】
そのため、当該ロック部材21の取付部36を取出ノズル12とフリーザードア8の下面との間に形成された隙間に取り付けることにより、当該ロック部材21が取出ノズル12に固定される。
【0048】
この場合において、このロック部材21の係合部35に形成される係合穴35Aは、本実施例では図6に示されるように、相対向する2カ所に位置して前記添加室31の係合部31Aを挿入可能とする切欠38が形成されている。そのため、当該切欠38と添加室31の係合部31Aとを重合させた位置のみで添加室31のロック部材21への脱着が可能とされる。尚、図6は添加物収納容器22がロック部材21に係合させる前の状態を示す斜視図である。
【0049】
本実施例では、図7に示すように、容器本体22Aの他端、即ち、添加物の添加状態において押圧装置24に面する端部が、冷菓製造装置SMの例えば正面よりも更に所定量だけ添加室31側に回動させた際に、ロック部材21に形成される切欠38と、容器本体22Aの添加室31に形成される係合部31Aとが重合し、脱着が可能とされるように、当該切欠38及び係合部31Aが形成されているものとする。当該重合、脱着が可能な位置を容器本体22Aの第1の回動角度位置とする。尚、図7は添加物収納容器22の係合部31Aがロック部材21の切欠38に合致した状態を示す斜視図である。
【0050】
そのため、容器本体22Aをロック部材21、即ち、プランジャ10の中心軸、又は、それに平行な軸(即ち、垂直方向の軸)を中心として、冷菓製造装置SM側に回動させ、容器本体22Aの端部が、押圧装置24に面する角度位置を第2の回動角度位置とする(図8の状態)。この第2の回動角度位置では、ロック部材21に形成される切欠38と、容器本体22Aの添加室31に形成される係合部31Aとが完全に重ならないことから、容器本体22Aは、確実にロック部材21に保持されることとなる。尚、本実施例では、容器本体22Aの他端が冷菓製造装置SMの正面に位置している場合においても、当該容器本体22Aは、ロック部材21に保持された状態とされるものとする。
【0051】
また、この容器本体22Aを構成する収容室30の上面開口には、上述した如く該容器本体22Aと共に添加物収納容器22を構成する蓋部材40が開閉自在に取り付けられる。蓋部材40は、容器本体22Aのハンドル71の取付側とは反対側に位置する上端を中心として回動可能に取り付けられる。
【0052】
具体的には、図5に示すように容器本体22Aの収容室30の一端から他端に至る方向における一側には、本実施例では、外方に向けて3つのフランジ73が形成されている。各フランジ73には、蓋部材40を枢支するための軸75を挿入するための挿通穴が形成されている。尚、本実施例では、当該挿通穴の加工を容易とするため、当該フランジ73に対し上方に開口する切欠と、側方に開口する切欠とを形成し、これら切欠により共通する箇所により一連の挿通穴を形成している。
【0053】
他方、蓋部材40の枢支側端部には、下方に突出して、前記容器本体22Aに形成される各フランジ73を内部に収容可能とする本実施例では3つの係合部74が形成されている。この係合部74は、添加室31に面する側が開放されていると共に、当該面に対向する面は、係止面74Aにて閉塞されている。当該係止面74Aは、前記軸75を挿通するための挿通穴74Bが形成されている。
【0054】
これにより、図4及び図10に示されるように、蓋部材40を詳細は後述するピストン部材41の寸法分だけ容器本体22の他端側、即ち、押圧装置24側に移動させ、蓋部材40の各係合部74と、容器本体22Aの各フランジ73が互い違いに組み合わせる。そして、係合部74に形成される挿通穴74Bとフランジ73に形成される挿通穴とを合致させ、これらに軸75を挿通することで、蓋部材40が容器本体22Aに取り付けられる。
【0055】
尚、軸75が挿通された状態で、蓋部材40を容器本体22Aの添加室31方向に摺動させることにより、蓋部材40の係合部74内に、容器本体22Aに形成されるフランジ73が入り込む形となる。また、この場合には、フランジ73が係合部74に入り込んだ状態で、更に、フランジ73を係合部74内に押し込んだ場合であっても、係合部74に形成される係止面74Aにフランジ73が当接することで、反対側の端部からこれらフランジ73と係合部74の係合が解除される不都合が回避される。尚、これら係合部74及びフランジ73は、それぞれ対向する端面にも形成されており、蓋部材40により容器本体22Aの上面開口を閉塞した場合における脱着自在な係合部とされる。
【0056】
また、この蓋部材40の他端、即ち、容器本体22Aに取り付けられた状態で添加室31と反対側に位置する端部の下面には、下方に突出した係合部76が形成されている。この係合部76は、容器本体22Aの収容室30の添加室31とは反対側の端部開口(収容室30の他端)に収容可能とされるピストン部材41と係脱自在とされる。即ち、ピストン部材41の上面には、図11の一部切欠断面図に示されるように、係合部76に係脱自在に合致するための切欠41Aが形成されている。この切欠41Aは、押圧装置24側に開口されていると共に、添加室31側が閉塞されて形成されているため、当該ピストン部材41が添加室31側から押圧装置24側に移動されることで、蓋部材40に形成された係合部76と係合され、押圧装置24側から添加室31側に移動されることで、解除されることとなる。尚、これら係合部76及び切欠41Aは、図11に示されるように、ピストン部材41の内方に向けて拡開して形成されており、接触面積が拡大されている。これにより、容易に脱落する不都合を抑制している。
【0057】
更にまた、この蓋部材40の枢支側とは反対側の端面には、蓋部材側ハンドル77が蓋部材40に一体に形成されている。本実施例において、この蓋部材側ハンドル77及び前記本体側ハンドル71は、共に半楕円形に形成されており、蓋部材側ハンドル77の下面及び本体側ハンドル71の上面は、互いに当接、合致することで、一つのハンドルとして容易に把持しやすい形状とされているものとする。
【0058】
一方、前記ピストン部材41は、収容室30の内壁に沿って摺動自在に当接した状態で内部を移動自在に取り付けられる。ピストン部材41の添加室31とは反対側に位置する端部には、柔軟性を有し、前後から後述する押圧装置24の押出部25を挟持する係合部42を備える。これにより、係脱自在に押出部25と係合可能とされる。
【0059】
更にまた、この収容室30の底面には、下方に突出した係合爪43、43が形成されており、後述する押圧装置24の押出ラック26に係合可能とされている。
【0060】
次に、前記添加装置本体23について図12乃至図15を参照して説明する。添加装置本体23は、冷菓製造装置SMの本体1前面に固定部材27により固定される箱体にて構成される装置であり、前面には、液晶画面にて構成されるコントロールパネル45が設けられる。
【0061】
添加装置本体23内には、前記押圧装置24と、制御装置が内装される図示しない電装箱などが収容される。押圧装置24は、先端に前記押出部25を備えたラックアンドピニオン式の押出ラック26と、当該押出ラック26を作動させるDCモータ28と、パルスを検出することでDCモータ28を制御するエンコーダ29と、DCモータ28の減速機46とを備える。押出部25は、鏃状を呈した柔軟性を有する部材であり、前記ピストン部材41の係合部42に容易に係脱自在とされている。添加装置本体23内において、押出ラック26は、左右に延在するラックレール47内に位置する。そして、冷菓製造装置SMの本体1の前面において、DCモータ28の正回転及び逆回転を制御することにより、左右に移動自在とされ、添加装置本体23の側面に形成された開口23Aから出入りする構成とされている。
【0062】
そして、添加装置本体23の下壁上面には、前記ラックレール47に沿って、押出ラック26の位置を検出するための光センサ50、51が、設けられている。光センサ50は、押出部25側に位置して設けられると共に、光センサ51は、他側の端部に設けられる。光センサ50は押出ラック26の待機状態を検出するセンサ(待機センサ)であり、押出ラック26の後端に設けられた遮蔽板26Aにて遮られた場合でLOWを出力し、遮られていない状態でHIGHを出力するセンサである。光センサ51は、押出ラック26の終点を検出するセンサ(終点センサ)であり、押出ラック26の遮蔽板26Aにて遮られた状態でHIGHを出力し、遮られていない状態でLOWを出力するセンサである。
【0063】
また、添加装置本体23の押出部25側の端部には、固定板52が取出通路9の出口に取り付けられる取出ノズル12側に延出して設けられる。この固定板52は、取出ノズル12に着脱自在に取り付けられる前記添加物収納容器22の収容室30を添加装置本体23と連結して固定するものである。固定板52は、この固定板52の上面に位置する保持板53と、固定板52の下面側に位置する操作レバー54から構成される固定部材55を備えており、当該固定部材55は、容器本体22A下面に形成された係合爪43、43を挟持して固定する。即ち、操作レバー54を締め付けることにより、保持板53と固定板52との間に位置する係合爪43、43を固定し、ゆるめることで、係合爪43、43を解除するものである。
【0064】
更にまた、この固定板52の取出ノズル12側の端部には、添加物収納容器検出センサ80が設けられている。この添加物収納容器検出センサ80は、当該添加物収納容器22に設けられるハンドル71、77による回動操作によって、添加物収納容器22の収納室30が、固定板52の位置まで回動されていることを検出するセンサである。
【0065】
次に、図15の電気ブロック図を参照して添加装置20の制御装置Cについて説明する。この制御装置C、汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、入力側には、前記コントロールパネル45の液晶に表示される添加物抽出スイッチ58と、前進スイッチ59と、後退スイッチ60と、非常停止スイッチ61が接続されると共に、前記光センサ50、51と、DCモータ28のエンコーダ29及び添加物収納容器検出センサ80が接続されている。添加物抽出スイッチ58は、当該スイッチの入力によって、押圧装置24を作動させ、添加物を抽出指示するものであり、前進スイッチ59及び後退スイッチ60は、任意に押出ラック26を前進、後退操作するものである。また、非常停止スイッチ61は、押出ラック26の作動中に、任意に押出ラック26の動作を停止させるものである。他方、制御装置Cの出力側には、DCモータ28と、抽出動作の指示を行うためのブザー62等の報知装置が接続されている。
【0066】
以上の構成により、本実施例における添加装置20の動作を説明する。まずはじめに、冷菓に添加する添加物を決定し、当該添加物を添加物収納容器22の収容室30内に収容する。添加物としては、例えば果物などを所定の大きさに切り刻んだ果肉や、粒状のチョコレート、所定寸法以下に砕かれたナッツなどの固形物、又は、ジャムソースやチョコレートソースなどのように所定の粘度を有する液体状の添加物などが挙げられる。また、当該添加物は、一種類に限らず、複数種類を混合することにより、構成したものであってもよい。本実施例において、添加物は切り刻んだ果物の果肉であるものとする。
【0067】
そして、収容室30にピストン部材41を装填し、上面開口を蓋部材40にて閉塞する。尚、ピストン部材41の装填は、添加物の収容前であっても、後であってもよい。この状態に準備された添加物収納容器22を、添加室31の上端を冷菓製造装置SMの取出ノズル12に取り付ける。
【0068】
ここで、添加物収納容器22の取付手順を説明する。まずはじめに、ロック部材21を取出ノズル12に装着する。その後、添加室31の上部側面に形成された係合部31A、31Aをロック部材21の係合部35の係合穴35Aに挿入し、嵌合させる(図7)。尚、当該脱着可能な位置は、前記第1の回動角度位置である。当該作業は、衛生面から添加物収納容器22のハンドル71、77を把持して行う。
【0069】
嵌合させた状態を維持して、添加物収納容器22を手前側から押圧装置24側にプランジャ10の中心軸、又は、それに平行な軸を回動中心として後方に回動させ、収容室30をフリーザードア8と略平行とし、容器本体22Aの収容室30他側が押圧装置24に面した状態とする。即ち、上述した如き第2の回動角度位置とする。係る回動動作によって、係合部31A、31Aが、確実にロック部材21の係合部36に保持される。そのため、添加物収納容器22の取出通路9の取出ノズル12への取り付け、取り外し作業を容易に行うことができるようになる。尚、容器本体22Aが第2の回動角度に位置することで、制御装置Cは添加物収納容器検出センサ80により容器本体22Aの検出が行われる。
【0070】
この状態で、収容室30の下面に形成された係合爪43、43は、添加装置本体23に固定された固定板52と保持板53との間に挿入係合される。これにより、操作レバー54を操作することで、係合爪43、43が確実に固定板52に固定される。また、添加物収納容器22の添加室31上端も確実にロック部材21にて取出ノズル12に密接した状態で固定される。そのため、上方から冷菓が抽出された場合であっても、当該抽出圧力によって添加物収納容器22が脱落する不都合を回避することができる。尚、次回、提供する冷菓に添加する添加物が変更されるなど、当該添加物収納容器22の交換作業を行う場合には、上述した如き動作と逆の動作をすることで、容易に取り外すことができる。
【0071】
他方、冷菓に同様の添加物を添加する場合等、当該添加物収納容器22を取り外すことなく、現在用いられた添加物収納容器22を継続して使用する場合には、現在取り付けられている添加物収納容器22の収容室30内に添加物を補充する作業を行う。
【0072】
具体的には、先ず、操作レバー54を操作することで、係合爪43、43を固定板52と保持板53との固定から解除する。その後、添加物収納容器22の各ハンドル71、77を共に把持して、添加物収納容器22を押圧装置24側から手前側にプランジャ10の中心軸、又は、それに平行な軸を回動中心として回動させ、収容室30をフリーザードア8と略垂直とし、容器本体22Aの収容室30他側が手前側に面した状態となる。
【0073】
この状態で蓋部材40に形成されるハンドル77のみを把持し、蓋部材40をピストン部材41の寸法分だけ手前側、即ち、添加室31から離間する方向に移動させる。これにより、蓋部材40に形成された係合部74と容器本体22Aに形成されたフランジ73との係合が解除され、蓋部材40は、軸75を中心として回動可能な状態となり、蓋部材40を容器本体22Aから開放することができるようになる。
【0074】
尚、後述する如くピストン部材41は、押出部25により、ピストン部材41の切欠41Aが蓋部材40に形成された係合部76に係止されるまで後退されている。そのため、当該蓋部材40を開放した状態では、蓋部材40の裏面にピストン部材41が係合されて、蓋部材40の開放動作により、収容室30内から撤去されることとなる。
【0075】
そのため、当該ピストン部材41が蓋部材40の開放時に、収容室30内に残留することで、蓋部材40の開放動作の邪魔とならず、更には、当該ピストン部材41を衛生的に維持することが可能となる。これにより、収納容器22Aの収容室30の端部は、開放されることとなるため、当該端部より容易に添加物を補充することが可能となる。
【0076】
この添加物の補充作業を更に容易とするため、図16に示すような投入具81、82を用いてもよい。当該投入具81、82は、上面に開口する断面略コ字状の保持側投入具81と、当該保持側投入具81の内部に充填された添加物を収容室30内に押し込む押出側投入具82とから構成される。保持側投入具81は、一端が開放されている出口部が形成されており、当該出口部は、少なくとも収容室30の端部から進入可能な寸法とされているものとする。
【0077】
そのため、保持側投入具81内に添加物を充填した後、当該保持具81の出口部を収容室30の端部に宛い、内方に進入させた状態で、押出側投入具82により、保持具81内の添加物を収容室30内に押し出す。これにより、周辺に添加物をこぼすことなく、確実に、かつ、衛生的に、添加物の補充作業を行うことができるようになる。
【0078】
尚、収容室30内に補充される添加物は、少なくとも端部からピストン部材41の寸法分だけ内方までに収容されていることが好ましい。
【0079】
添加物の補充作業後、再び蓋部材40のハンドル77を把持して蓋部材40を閉める。そして、当該ハンドル77を更に、添加室31側にピストン部材41の寸法分だけ移動させる。これにより、収容室30の端部は、ピストン部材41により閉塞される。その後、蓋部材側ハンドル77と本体側ハンドル71を重合させた状態で把持し、これらを手前側から押圧装置24側にプランジャ10の中心軸、又は、それに平行な軸を回動中心として後方に回動させ、収容室30をフリーザードア8と略平行とし、容器本体22Aの収容室30他側が押圧装置24に面した状態とする。即ち、上述した如き第2の回動角度位置とする。尚、この場合においても、容器本体22Aが第2の回動角度に位置することで、制御装置Cは添加物収納容器検出センサ80により容器本体22Aの検出が行われる。
【0080】
このように、本実施例では、容器本体22Aに設けられたハンドル71及び蓋部材40に設けられたハンドル77を把持して、容器22の回動操作や蓋部材40の開閉動作、更には、脱着動作を行うことから、直接容器22に触れることなく作業を行うことが可能となる。これにより、衛生的に冷菓の提供を行うことが可能となる。
【0081】
尚、本実施例では、容器22に設けられるハンドルは、容器本体22A側と蓋部材40側の両者に設けられているが、これに限られるものではなく、例えば、蓋部材40の強度を高める構造とすることで、蓋部材40側のみにハンドルを設けても、同様の効果が得られる。
【0082】
次に、添加物の抽出動作について説明する。制御装置Cは、コントロールパネル45の抽出スイッチ58の出力に基づき、エンコーダ29によって、モータ28を所定の予圧時間だけ、正回転させ、予圧運転を行う。
【0083】
このとき、制御装置Cは、添加物収納容器検出センサ80により、当該容器22が上記第2の回動角度位置であることが検出されている場合にのみ、押圧装置24の動作を許容するものとする。これにより、容器22が確実に取り付けられた状態で、押圧装置24を動作させることができるため、安全に、押圧装置24を作動させることが可能となる。
【0084】
これにより、押圧装置24の押出ラック26は、添加物収納容器22側に移動し、当該押出ラック26の先端に設けられた押出部25は、モータ28の駆動力によってピストン部材41の係合部42に押し込まれる。ここで、ピストン部材41の係合部42は、柔軟性を有する材料にて構成されていることから、容易に押し広げられ、内部に押出部25が進入・当接し、係合される。更に、モータ28の駆動力により、押出ラック26が容器22側に前進することで、押出部25に係合されるピストン部材41が収容室22内方に所定量だけ押し込まれ、モータ28が停止する。これにより、収容室22内に収容された果肉等の添加物は、添加室31の方向に押し集められる。尚、当該予圧運転によりモータ28を駆動させる際には、制御装置Cは、報知手段としての前記ブザー62を作動させ、使用者に、予圧運転を実行しており、次いで添加物の抽出運転が開始されることを報知する。以上で、予圧運転を終了する。当該予圧運転により、蓋部材40の係合部76とピストン部材41の切欠41Aとの係合は、解除される。
【0085】
次に、制御装置Cは、予圧運転終了と共に、抽出運転を実行する。本実施例において、当該抽出運転では、まず、ブザー62を3回、鳴動させる。当該3回目のブザー鳴動と共に、再びエンコーダ29によってモータ28を所定の抽出時間だけ正回転させる。使用者は、この3回目のブザー鳴動にあわせて、冷菓の取出レバー11を押し下げ、冷菓の抽出を実行する。尚、当該抽出時間は、冷菓1個分を抽出するのに要する時間であるものとする。
【0086】
これにより、添加物収納容器22の添加室31内には上方から冷菓が抽出されると共に、側方の収容室30からは、添加物としての果肉が抽出される。添加室31内において、冷菓に果肉が添着され、下ゲート部材33からは、果肉が均一に添着された冷菓が抽出される。そのため、使用者は、コーン製のカップなどに当該添加物が添着された冷菓を螺旋状に受けることで、見た目にも食欲を促進させる冷菓を提供することができる。
【0087】
また、制御装置Cは、抽出運転が進行し、押出ラック26の遮蔽板26Aが光センサ50を遮ることにより、光センサ50の出力がHIGHとなる。当該光センサ50の出力に基づいて、制御装置Cは、再度ブザー62を3回、鳴動させる。当該3回目のブザー鳴動と共に、エンコーダ29によってモータ28を停止し、添加物の抽出を終了する。使用者は、この3回目のブザー鳴動にあわせて、冷菓の取出レバー11を押し上げ、冷菓の抽出を終了する。尚、本実施例において、収容室31内には、冷菓1個分に相当する添加物が収容されており、所定時間抽出運転が実行されることで、収容室31内の添加物がすべて排出されることとなる。
【0088】
これにより、押圧装置24による添加物の押出開始と押出終了は、ブザー62によって使用者に報知されることから、冷菓製造装置SM側の制御系と添加装置20の制御系とを連携しなくてもブザー62の報知に従って、冷菓抽出を行うことで、冷菓への添加物の確実な添加を実現することができるようになる。そのため、電気回路の簡素化を図ることができるとともに、既存の冷菓製造装置SMにも容易に適用することができるようになる。
【0089】
尚、本実施例では、報知手段をブザー62としているが、例えば「1、2、3」などの音声や1つ又は複数のランプの点灯により、抽出動作のタイミング指示を行ってもよいものとする。
【0090】
そして、上述した如き抽出動作を終了した後、制御装置Cは、所定時間、例えば、3回目のブザー鳴動開始から2秒後に、再度、ブザー62を鳴動させた後、エンコーダ29によってモータ28を逆回転させる。これにより、押出ラック26は、添加装置本体23側に後退する。このとき、押出ラック26の先端に取り付けられた押出部25も同様に後退し、当該押出部25に係合されるピストン部材41も同様に後退する。
【0091】
ここで、添加物収納容器22の蓋部材40の添加装置本体23側の端部には、下方に延出して構成される係合部76が位置することから、係るピストン部材の後退動作により、ピストン部材41に形成される切欠41Aと当該係合部76とが係合され、これよりピストン部材41が外側に後退することが禁止される。そのため、柔軟性を有して押出部25に係合されるピストン部材41の係合部42は、当該柔軟性により係合が解除され、係合部42は、収容室30側に残留し、押出部25のみが添加装置本体23側に後退する。
【0092】
これにより、ピストン部材41と押圧装置24の前進による添加物の押し出しと、後退時のピストン部材41の残留動作が円滑に行うことが可能となる。また、このとき、ピストン部材41の後退により、当該ピストン部材41の切欠41A内に蓋部材40の係合部76が進入し、これにより係合される。そのため、前述したように、蓋部材40の開放動作の際に、ピストン部材41が収納室30内から撤去されることとなる。
【0093】
制御装置Cは、押出ラック26が後退することにより、当該押出ラック26の遮蔽板26Aが光センサ51を遮ることにより、エンコーダ29は、モータ28の駆動を停止すると共に、ブザー62を鳴動させ、押出ラック26が待機位置まで後退したことを使用者に報知し、次回の添加物抽出に備える。
【0094】
このように本発明の添加装置20によって、抽出される冷菓に添加物を抽出する構成とされているため、添加物収納容器22に所望の添加物を収容することで、添加室31内を通過する冷菓に円滑に添加物を添加することができるようになる。そのため、トッピングソース等のように予め添加物用に作成されたソース以外にも、新鮮な果物等の食材を冷菓を提供するその場において、切り刻み、添加物収納容器22の収容室30に収容することで、新鮮な食材をも冷菓の添加物として用いることが可能となる。これにより、他種類の冷菓を提供することができ、販売のバリエーションの拡大が図られる。
【0095】
また、ピストン部材41が収納室30の添加室31と反対側の端部を封止しているので、当該端部から添加物が漏れることを防止することができる。更に、収納室30と押圧装置24の軸が多少ずれていてもピストン部材41と押圧装置24の当接関係で当該ずれを吸収することができる。そのため、円滑に収納室30内の添加物を添加室31に押し出すことが可能となる。
【0096】
更に、添加物を添加室31に押し出すピストン部材41は、押圧装置24とは、別体にて構成されていることから、添加物が直接押圧装置24に触れてしまう不都合を回避することができる。そのため、添加装置本体23から取り外し可能な部材のみ、即ち、添加物収納容器22及びピストン部材41を洗浄するのみで、添加物が接触する部材を洗浄することが可能となる。これにより、衛生維持を容易に実行することが可能となる。また、添加物を所望に応じて変更した場合であっても、前回の添加物が混入する不都合を回避することができ、適切に所望の添加物を添加した冷菓を提供することができるようになる。更には、当該添加物収納容器22を複数使用し、これらを交換することによっても、容易に、他の種類の添加物を冷菓に添加して冷菓の提供を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の冷菓製造装置の斜視図である。
【図2】冷菓製造装置の内部構成を示す斜視図である。
【図3】図1の部分拡大斜視図である。
【図4】添加物収納容器の分解斜視図である。
【図5】容器本体の斜視図である。
【図6】添加物収納容器及びロック部材の斜視図である。
【図7】添加物収納容器及びロック部材の斜視図である。
【図8】添加物収納容器及びロック部材の斜視図である。
【図9】蓋部材を下方から見た斜視図である。
【図10】添加物収納容器の分解斜視図である。
【図11】ピストン部材と蓋部材の係合状態を示す部分切欠拡大図である。
【図12】添加装置の斜視図である。
【図13】添加装置の斜視図である。
【図14】添加装置の斜視図である。
【図15】電気ブロック図である。
【図16】投入具を使用している状態を示す添加装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0098】
SM ソフトクリーム製造装置
C 制御装置
1 本体
8 フリーザードア
9 取出通路
10 プランジャ
11 取出レバー
12 取出ノズル(取出通路の出口部)
20 冷菓製造装置用添加装置(添加装置)
21 ロック部材
22 添加物収納容器(容器)
22A 容器本体
23 添加装置本体
24 押圧装置
25 押出部
26 押出ラック
27 固定部材
30 収容室
31 添加室
31A 係合部
40 蓋部材
41 ピストン部材
41A 切欠
42 係合部
70 ハンドル取付部
71 本体側ハンドル
73 フランジ
74 係合部
74A 係止面
74B 挿通穴
75 軸
76 係合部
77 蓋部材側ハンドル
80 添加物収納容器検出センサ
81 投入具(保持側)
82 投入具(押出側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けられ、ミックスを撹拌しながら冷却して冷菓を製造する冷却シリンダと、該冷却シリンダから冷菓を抽出する取出通路と、該取出通路を開閉するプランジャとを備えた冷菓製造装置において、
所定の回動操作により前記取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、前記冷菓に添加される添加物が収容された容器と、
該容器とは別体に構成され、前記本体に設けられた押圧装置とを備え、
該押圧装置は、前記容器に当接して当該容器内の添加物を押し出し、前記出口部から抽出される冷菓に添加すると共に、
前記容器にはハンドルを設けたことを特徴とする冷菓製造装置。
【請求項2】
前記容器は、
前記取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を前記冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、当該開口から前記添加物が収納されると共に、一端が前記添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、
該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを備え、
前記押圧装置は、前記ピストン部材に当接して該ピストン部材を前記添加室方向に押し込み、前記収納室内の添加物を前記添加室側に押し出すと共に、前記ハンドルは前記蓋部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷菓製造装置。
【請求項3】
所定の回動操作により冷菓を取り出す取出通路の出口部に着脱自在に取り付けられ、前記冷菓に添加される添加物が収容された容器と、該容器とは別体に構成された押圧装置とを備え、
前記容器は、
前記取出通路の出口部に密着して設けられ、内部を前記冷菓が通過する添加室と、上面の開口が蓋部材にて開閉自在とされており、前記開口から前記添加物が収納されると共に、一端が前記添加室に連通した収納室とから成る容器本体と、
該収納室の他端を閉塞すると共に、当該収納室の内壁に摺動自在に当接した状態で内部を移動自在とされたピストン部材とを有し、
前記押圧装置は、前記ピストン部材に当接して該ピストン部材を前記添加室方向に押し込み、前記収納室内の添加物を前記添加室側に押し出すと共に、
前記容器にはハンドルを設けたことを特徴とする冷菓製造装置用添加装置。
【請求項4】
前記ハンドルは、前記蓋部材に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の冷菓製造装置用添加装置。
【請求項5】
前記押圧装置は前進して前記ピストン部材に当接し、当該ピストン部材に係脱自在に係合した状態で前記添加室方向に移動させ、後退して前記ピストン部材を前記添加室から離間する方向に移動させると共に、前記ピストン部材は前記収納室の他端にて前記蓋部材に係脱自在に係合し、前記押圧装置と前記ピストン部材との係合は解除されることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記収納室の一端から他端に至る方向における一側を中心として回動可能で、且つ、前記一端から他端に至る方向に移動可能に前記容器本体に取り付けられると共に、
前記収納室の上面開口を閉じた状態では回動を阻止され、その状態から前記ピストン部材の寸法分、前記添加室から離間する方向に移動された状態で回動可能となることを特徴とする請求項5に記載の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置。
【請求項7】
前記収納室の他端が前記押圧装置に面しない第1の回動角度位置において前記容器は前記取出通路の出口部に着脱自在であり、前記収納室の他端が前記押圧装置に面した第2の回動角度位置にて前記容器は前記取出通路の出口部に取り付けられると共に、当該第2の回動角度位置にあることを検出する検出手段を備え、
前記押圧装置は前記検出手段の出力に基づき、前記容器が前記第2の回動角度位置にある場合に動作することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置。
【請求項8】
前記添加物を収容して出口部から当該添加物を押し出し可能とされた投入具を備え、
少なくとも該投入具の出口部は、前記収納室内に進入可能な寸法を有することを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れかに記載の冷菓製造装置又は冷菓製造装置用添加装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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