説明

冷蔵庫

【課題】貯水タンク内の水を吸水部より効率的に放出部へ搬送できる静電霧化装置を庫内に容積効率よく配設した冷蔵庫を提供する。
【解決手段】ミストを放出する放出部72と、放出部72に供給する水を貯蔵する貯水タンク74と、貯水タンク74の水を放出部72に搬送する吸水部76と、放出部72に電源を供給して貯水タンク74から放出部72に搬送された水を静電霧化させる電源装置78と、電源装置78と放出部72とを電気接続する接続部80とを備えた静電霧化装置70を庫内に配設した冷蔵庫において、貯水タンク74は、底面から下方に突出し、吸水部76の少なくとも下端部が配置される突部75を備え、接続部80が突部75と水平方向に対向して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置により庫内にミストを発生させる冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫において、水に高電圧電源を印加して帯電した微粒子のミストを噴霧することで、庫内の食品の鮮度保持能力の向上や脱臭・抗菌効果を促す静電霧化装置を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の静電霧化装置は、ミストを放出する放出部と、放出部に供給する水を貯蔵する貯水タンクと、多孔質体からなる吸水部とを備え、吸水部の下端部を貯水タンク内の水に浸し、吸水部が毛細管現象により貯水タンクの水を放出部に搬送し、放出部に高電圧電源を印加することで放出部に搬送された水を静電霧化させる。
【0004】
しかしながら、貯水タンクの底面が水平面をなしているため、貯水タンク内の水を吸水部より効率的に放出部へ搬送できないおそれがあり問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−2590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を考慮してなされたものであり、貯水タンク内の水を吸水部より効率的に放出部へ搬送できる静電霧化装置を庫内に容積効率よく配設した冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷蔵庫は、ミストを放出する放出部と、前記放出部に供給する水を貯蔵する貯水タンクと、前記貯水タンクの水を前記放出部に搬送する吸水部と、前記放出部に電源を供給して前記貯水タンクから前記放出部に搬送された水を静電霧化させる電源装置と、前記電源装置と前記放出部とを電気接続する接続部とを備えた静電霧化装置を庫内に配設した冷蔵庫において、前記貯水タンクは、底面から下方に突出し、前記吸水部の少なくとも下端部が配置される突部を備え、前記接続部が前記突部と水平方向に対向して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冷蔵庫では、上記構成により、貯水タンク内の水を吸水部より効率的に放出部へ搬送できる静電霧化装置を容積効率よく庫内の配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の変更例に係る冷蔵庫の要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の変更例に係る冷蔵庫の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫10は、図1及び図2に示すように、外郭を形成する外箱と貯蔵空間を形成する内箱との間に発泡断熱材を充填した断熱箱体からなる冷蔵庫本体11を備え、貯蔵空間を断熱仕切壁12によって上方の冷蔵空間と下方の冷凍空間とに区画している。
【0012】
冷蔵空間は、図2に示すように、さらに仕切壁20によって上下に区画され、上部空間に複数段の載置棚21を設けた冷蔵室22が設けられ、下部空間に引き出し式の収納容器25aを配置する野菜室24が設けられている。
【0013】
また、野菜室24の下方に配置した冷凍空間には、比較的小容積の自動製氷機を備えた製氷室26と小型冷凍室28を左右に併設しており、その下方には冷凍室30が設けられている。
【0014】
冷蔵室22の開口部は、冷蔵庫本体11の一側部の上下に設けられたヒンジにより回動自在に枢支された冷蔵室扉23により閉塞されており、野菜室24、製氷室26、小型冷凍室28、及び冷凍室30の開口部は、引き出し式扉25,27,29,31により閉塞されている。各引き出し式扉25,27,29,31の裏面側に固着した左右一対の支持枠に収納容器25a,29a,31aが保持されており、開扉動作とともに庫外に引き出されるように構成されている。
【0015】
冷蔵空間および冷凍空間のそれぞれの背面には、冷蔵冷却器50及び冷凍冷却器52と送風ファン54、56がそれぞれ配設されている。
【0016】
各冷却器50、52は、冷蔵庫10の背面下部の断熱壁外に凹陥された機械室58に配設した圧縮機60の吐出側からの冷媒を冷凍サイクル(不図示)を介して導入されることで冷却される。
【0017】
そして、送風ファン54によって送風された空気は、冷蔵冷却器50との熱交換により低温化された後、ダクトを介して冷蔵室22に導入される。冷蔵室22内に導入された空気は、冷蔵室22を循環し、冷蔵室22の底面を構成する仕切壁20に設けられた冷蔵リターンダクト18を介して送風ファン54の吸込口に戻る。野菜室24は天井面と背面に冷気が流れることで、野菜室24内部に収納された収納容器25aが間接的に冷却され、高湿度の雰囲気に保持されている。なお、ペットボトルなどが載置される収納容器25aの前部には、ペットボトルなども十分冷却できるように、図示しない冷蔵室22からの冷気吹出口を仕切壁20に設けている。
【0018】
また、冷凍冷却器52との熱交換により低温化された空気は、送風ファン56により上方に吸い上げられ前方に送風されることで、製氷室26及び温度切替室28に導入される。製氷室26及び温度切替室28に導入された空気は、冷凍空間内を循環した後、冷凍室30の下方背面から吸い込まれ冷凍冷却器52に戻る。
【0019】
上記構成の冷蔵庫10において、冷蔵室22及び野菜室24を上下に区画する仕切壁20内には、帯電した微粒子のミストを発生する静電霧化装置70が配設されている。
【0020】
この静電霧化装置70は、図3に示すように、ミストを放出する放出部72と、放出部72に供給する水を貯蔵する貯水タンク74と、貯水タンク74の水を放出部72に搬送する吸水部76と、放出部72に高電圧電源を供給する電源装置78と、電源装置78と放出部72とを接続する接続部80とを備える。
【0021】
放出部72は、セラミックスなどの多孔質体とカーボンとを含む導電性の集合体からなり、吸水部76によって搬送された水を静電霧化させて野菜室24内にミストを放出する。
【0022】
吸水部76は吸水ピン76aと吸水フェルト76bとを備える。吸水ピン76aは、セラミックスなどの絶縁性の多孔質体からなる柱状の部材であり、その下端部が貯水タンク74内に配置され、上端部が吸水フェルト76b内に配置されている。吸水ピン76aは、下端部が貯水タンク74内の水に浸され、毛細管現象により貯水タンク74内の水を上方に吸い上げ、吸水フェルト76bに貯水タンク74から吸い上げた水を含浸させる。
【0023】
吸水フェルト76bはカーボンフェルトなどの導電性を有するフェルト材からなり、放出部72の上端部及び接続部80に電気接続される接続ピン81の上端部が吸水フェルト76b内に配置されている。これにより、吸水ピン76aによって貯水タンク74から吸い上げた水が吸水フェルト76bを介して放出部72に供給されるとともに、吸水フェルト76bを介して接続ピン81と放出部72とが電気的に接続される。
【0024】
貯水タンク74は、カップ状をなしており、その上面開口部を吸水ピン76aの上端部及び吸水フェルト76bを収納する蓋体82によって閉塞されている。貯水タンク74の底面74aには下方に突出する突部75が形成されており、突部75内部に吸水ピン76aの下端部が配置されている。
【0025】
電源装置78は、機械室58に配設された制御基板(不図示)から供給される電源電圧を所定電圧に昇圧して接続部80より接続ピン81及び吸水フェルト76bを介して放出部72に供給する。
【0026】
接続部80は、基部80aと、基部80aから上方に延設され接続ピン81に接触する端子80bとを備え、基部80aが貯水タンク74に形成された突部75と水平方向に対向して配置されている。
【0027】
このような静電霧化装置70は、仕切壁20の内底面20aに載置されている。仕切壁20の内底面20aには、貯水タンク74の突部75が入り込む凹部20bが形成されており、静電霧化装置70が所定位置に位置決めされて仕切壁20の内底面20aに載置される。
【0028】
凹部20bの周囲には、加熱ヒータ82が埋設されており、上記のように静電霧化装置70が仕切壁20の内底面20aの所定位置に載置されると、貯水タンク74の底面74aが加熱ヒータ82の埋設位置において当接し、貯水タンク74内の水を加熱ヒータ82によって加熱することで、貯水タンク74内の水の凍結を防止したり、残水した水を蒸発させて雑菌などが繁殖させないようにしている。
【0029】
また、凹部20bの周囲の一部には他の部分より低く形成された段部20cが設けられ、段部20cにタンク検出スイッチ84が配置されている。このタンク検出スイッチ84は、静電霧化装置70が所定位置に載置された状態で貯水タンク74の底面74aの下側に当接して作動するリミットスイッチからなり、貯水タンク74が所定位置に配設されたことを検出する。
【0030】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫10では、貯水タンク74内の水が少なくなっても吸水ピン76aの下端部が突部75に溜まった水に浸されるため、貯水タンク74内の水を効率的に放出部へ搬送することができる。
【0031】
また、接続ピン81が挿入され電源装置78と放出部72とを接続する接続部80が突部75と水平方向に対向して配置されている。そのため、突部75を設けたことにより貯水タンク74の底面74aと仕切壁20の内底面20aとの間に形成させる空間を有効に活用することができ、静電霧化装置70を冷蔵庫10の庫内に容積効率よく配設することができる。
【0032】
また、貯水タンク74内の水を加熱する加熱ヒータ82が仕切壁20の内底面20aに設けられた凹部20bの周りに埋設され、貯水タンク74が所定位置に配設されたことを検出するタンク検出スイッチ84が仕切壁20の内底面20aに設けられた段部20cに配設されている。そのため、突部75を設けたことにより貯水タンク74の底面74aと仕切壁20の内底面20aとの間に形成させる空間を有効に活用することができ、加熱ヒータ82やタンク検出スイッチ84を冷蔵庫10の庫内に容積効率よく配設することができる。
【0033】
なお、上記の本実施形態では、仕切壁20の内底面20aに設けた段部20cにタンク検出スイッチ84を配設したが、このタンク検出スイッチ84に変えてあるいはタンク検出スイッチ84と併せて水位検出装置90や紫外線発光体86を段部20cに配設してもよい。
【0034】
詳細には、図4及び図5に示すように、リング状の磁石付きフロート92が吸水ピン76aに挿通されており貯水タンク74の水位に合わせて浮き沈みする。仕切壁20の内底面20aに設けた段部20cには、リードスイッチを備える水位検出装置90が配設されており、図5に示すように磁石付きフロート92が貯水タンク74の底面に到達すると、磁石付きフロート92から発生する磁界に水位検出装置90が反応し、貯水タンク74の水位が所定水位を下回ったことを検出する。
【0035】
このように、水位検出装置90が仕切壁20の内底面20aに設けられた段部20cに配設されているため、突部75を設けたことにより貯水タンク74の底面74aと仕切壁20の内底面20aとの間に形成させる空間を有効に活用することができ、水位検出装置90を冷蔵庫10の庫内に容積効率よく配設することができる。
【0036】
しかも、水位検出装置90は、磁石付きフロート92が貯水タンク74の底面に当接すると貯水タンク74内の水位が所定水位を下回ったことを検出するため、磁石付きフロート92の位置が安定する状態において所定水位を下回ったことを検出することができ、誤検知を抑えることができる。
【0037】
また、紫外線発光体86は、貯水タンク74内の水に紫外線を照射するLED(Light Emitting Diode)などの可視光発光体であって、貯水タンク74内の水を除菌する。このような紫外線発光体86を段部20cに配設することで貯水タンク74の底面74aと仕切壁20の内底面20aとの間に形成させる空間を有効に活用することができ、紫外線発光体86を冷蔵庫10の庫内に容積効率よく配設することができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお上記した第1の実施形態と同一又は対応する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
本実施形態では、冷蔵室22内部に配設された載置棚21上に静電霧化装置70が後方に寄せて配置されている。この静電霧化装置70は、貯水タンク74の底面74aに設けられた突部75が貯水タンク74の一側壁74bに沿って設けられている。貯水タンク74が載置される載置棚21と貯水タンク74の底面74aとの間には、可視光を発光するLEDなどの発光体88が配設され貯水タンク74を照明する。これにより、冷蔵室22内照明の演色性を向上させたり、冷蔵室22内を装飾することができる。
【0040】
なお、上記の本実施形態では、仕切壁20の内底面20aに設けた段部20cに可視光を発光する可視光発光体88を配設したが、この可視光発光体88に変えてあるいは可視光発光体88と併せて紫外線発光体86を段部20cに配設してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…冷蔵庫 11…冷蔵庫本体 12…断熱仕切壁
20…仕切壁 21…載置棚 22…冷蔵室
24…野菜室 70…静電霧化装置 72…放出部
74…貯水タンク 74a…底面 75…突部
76…吸水部 76a…吸水ピン 76b…吸水フェルト
78…電源装置 80…接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミストを放出する放出部と、前記放出部に供給する水を貯蔵する貯水タンクと、前記貯水タンクの水を前記放出部に搬送する吸水部と、前記放出部に電源を供給して前記貯水タンクから前記放出部に搬送された水を静電霧化させる電源装置と、前記電源装置と前記放出部とを接続する接続部とを備えた静電霧化装置を庫内に配設した冷蔵庫において、
前記貯水タンクは、底面から下方に突出し、前記吸水部の少なくとも下端部が配置される突部を備え、前記接続部が前記突部と水平方向に対向して配置されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯水タンクの底面に当接して作動するリミットスイッチが前記貯水タンクの底面の下方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯水タンク内の水位を検出する水位検出装置が前記貯水タンクの底面の下方に配設されていることを請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯水タンク内の水に紫外線を照射する発光体が前記貯水タンクの底面の下方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯水タンク内の水に可視光を照射する発光体が前記貯水タンクの底面の下方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯水タンク内の水を加熱するヒータが前記貯水タンクの底面の下方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記水位検出装置は、前記貯水タンクの水位に合わせて浮き沈みする磁石付きフロートが前記貯水タンクの底面に到達すると、前記磁石付きフロートから発生する磁界を検出し、前記貯水タンクの水位が所定水位を下回ったことを検出することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記突部が前記貯水タンクの側壁に沿って設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記突部が入り込む凹部が、前記貯水タンクを載置する載置面に形成されていることを特徴する請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−223548(P2010−223548A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74104(P2009−74104)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】