説明

冷蔵庫

【課題】温度帯が低い貯蔵室側の冷気の侵入経路を絶ち、断熱仕切壁の構成を簡素化して冷気と接触する面積を縮小して、消費電力を低減するようにしている冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】冷凍室27を断熱する発泡断熱材23を内部に設けた断熱仕切壁25と、この断熱仕切壁25の一部に設け、冷凍室27の入り口側に配置した断熱仕切壁前部43と、奥側に配置した断熱仕切壁後部44と、冷凍室27側の内壁を構成する断熱仕切壁25の断熱仕切壁前部43の下部に断熱仕切壁後部44より前記貯蔵室内に張り出して設けた張り出し部45を設け、冷凍室27側の冷気39の侵入経路を絶ち、断熱仕切壁25の構成を簡素化して冷気39と接触する面積を縮小するので、消費電力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の断熱仕切壁の省エネ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷蔵庫は、冷蔵庫本体を断熱仕切壁により複数個の貯蔵室に分割してあり、この断熱仕切壁の前側には、仕切り前板と仕切りカバーと充填された断熱材からなる前仕切体が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、前記広報に記載された従来の冷蔵庫の部分断面を示すものである。図5に示すように、貯蔵部1、2間を区画するとともに貯蔵室1の底板3と貯蔵室2の天井板4を形成した断熱仕切壁5と、この断熱仕切壁5の前部に配置され、裏面に防露加熱体6を添設した仕切前板7と、仕切前板7の背面に設けた断熱仕切壁5の前部分に連結する仕切カバー8と、仕切前板7と仕切カバー8間に充填した断熱材9とから形成された前仕切体10と、各貯蔵室1、2の前面開口11、12を閉塞する扉13、14および閉扉時に仕切前板7の面に吸着するガスケット15が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−220338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、成型断熱材9と前仕切体10の2部品の構成のため、つなぎの部分の隙間には、貯蔵部2(冷凍室)内の冷気が侵入し、また仕切カバー8の表面積が拡大し、防露加熱体6の熱が前仕切体10を介して貯蔵室9(冷凍室)に伝わり、冷気と熱交換し、冷蔵庫の消費電力を低減することができないという課題を有していた。
【0006】
また、貯蔵室(野菜室)1と貯蔵室(冷凍室)2の断熱仕切壁5の前部に前仕切体10を構成して、それぞれの貯蔵室扉13と貯蔵室扉14とガスケット15を介してシールをしているが、前仕切体10の組み立ての状態によりシールが不完全になるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷蔵庫の消費電力を低減することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、温度帯が異なる複数個の貯蔵室間を断熱する断熱材を内部に設けた断熱仕切壁と、この断熱仕切壁の一部に設け、前記貯蔵室の入り口側に配置した断熱仕切壁前部と、前記貯蔵室の奥側に配置した断熱仕切壁後部と、前記の複数個の貯蔵室の温度帯が低い貯蔵室側の内壁を構成する断熱仕切壁の断熱仕切壁前部の下部に断熱仕切壁後部より前記貯蔵室内に張り出して設けた張り出し部を設けたものである。
【0009】
これによって、温度帯が低い貯蔵室側の冷気の侵入経路を絶ち、断熱仕切壁の構成を簡素化して冷気と接触する面積を縮小して、消費電力を低減するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷蔵庫は、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態3における冷蔵庫の要部断面図
【図5】従来の冷蔵庫の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、温度帯が異なる複数個の貯蔵室間を断熱する断熱材を内部に設けた断熱仕切壁と、この断熱仕切壁の一部に設け、前記貯蔵室の入り口側に配置した断熱仕切壁前部と、前記貯蔵室の奥側に配置した断熱仕切壁後部と、前記の複数個の貯蔵室の温度帯が低い貯蔵室側の内壁を構成する断熱仕切壁の断熱仕切壁前部の下部に断熱仕切壁後部より前記貯蔵室内に張り出して設けた張り出し部を設けたことにより、温度帯が低い貯蔵室側の冷気の侵入経路を絶ち、断熱仕切壁の構成を簡素化して冷気と接触する面積を縮小しているので、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の張り出し部は、貯蔵室の左右幅方向に構成することにより、温度帯が低い貯蔵室側の断熱仕切壁に沿って冷気との接触を軽減するので、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の張り出し部は、断熱仕切壁前部の断熱材と一体に構成することにより、構成を簡素化して部品点数を減少し、組み立て性を向上することができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の断熱材は、断熱仕切壁内に充填発泡されたウレタン発泡断熱材で構成することにより、構成を簡素化して部品点数を減少し、組み立て性を向上することができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の断熱材は、一部がポリスチレン系樹脂で構成され、張り出し部は、前記ポリスチレン樹脂で構成したことにより、構成を簡素化して部品点数を減少し、組み立て性を向上することができる。
【0017】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の断熱仕切壁は、温度帯が異なる複数個の貯蔵室を上下に仕切るようにしたことにより、複数個の貯蔵室のそれぞれの用途に合わせた温度設定幅が拡大し、使い勝手を向上させながら、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0018】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の断熱仕切壁は、断熱仕切壁後部の下側から支える後部カバーを張り出し部に沿って延長し、その端部を貯蔵室の入り口側に屈曲し構成したことにより、張り出し部の延長に伴って断熱仕切壁後部の強度低下を防止し、断熱仕切壁の温度帯が低い貯蔵室側の寸法精度を維持し、組み立て性を向上することができる。
【0019】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明の張り出し部は、温度帯が低い貯蔵室のドアの内面から突出する突出部とで略水平に構成する空間を構成したことにより、
張り出し部と突出部で構成する空間の沿面距離を拡大して冷気の侵入を防止して、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0020】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の張り出し部は、温度帯が低い貯蔵室のドアの内面から突出する突出部の一部に接触するシール用突起を設けたことにより、シール用突起が突出部に接触することで、張り出し部と突出部で構成する空間を閉じて冷気の侵入を防止して、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における冷蔵庫の構成を示す断面図、図2は、同実施の形態の冷蔵庫の正面の要部断面図である。
【0023】
図1、図2において、20は、冷蔵庫本体で、樹脂製の内箱21と鋼板製の外箱22の間に発泡断熱材23を充填し、断熱箱体24を構成している。発泡断熱材23は、ウレタン発泡断熱材で構成されている。25は、断熱仕切壁で、断熱箱体24を上下に仕切っている。26は、冷蔵室、27は、冷凍室である。冷蔵室26前面開口部には、ヒンジ式の冷蔵室ドア28を構成し、冷凍室27の前面開口部には、ヒンジ式または引き出し式の冷凍室ドア29を構成している。
【0024】
また、30は、冷凍室27後方に構成された冷却器室で、冷凍室27と冷却器室30は、冷却器室カバー31で仕切られている。32は、冷却器で、その下方に除霜装置33を配置している。除霜装置33は、除霜用のヒータと除霜水の受け皿で構成している。34は、送風機で、直流式のボックス型の軸流ファンを用いている。送風機34は、断熱仕切壁25内の断熱部36に圧入支持される。このため、送風機34は、その主要部分を断熱仕切壁25の圧入部35内に収容した構成となる。断熱部36は、ポリスチレン系樹脂(発泡スチロール)で構成されている。
【0025】
37は、断熱仕切壁25の外部を構成する樹脂部で、37aは、下板、37bは、上板である。下板37aは、冷凍室27の天井を構成し、上板37bは、冷蔵室26の底部を構成するようにしている。
【0026】
38は、冷蔵室26の背面に構成された化粧カバーで、送風機34から吐出される冷気39を上方に導く冷蔵室吐出通路40を内箱21との間に構成している。化粧カバー38の上方と側部から冷蔵室26に向かって冷気39を吹き出すようにしている。
【0027】
41は、冷蔵庫本体20の下部後方に配置した機械室で、圧縮機42を設けている。
【0028】
また、冷凍室27後方には、冷却器32、除霜装置33を配置し、軸流ファン34の中心軸は、断熱仕切壁25内に配置されている。冷凍室27に対して、送風機34から吐出される冷気39の一部が冷却器室カバー31の開口(図示せず)を介して吹き出すようにしている。
【0029】
43は、断熱仕切壁25の冷蔵室26と冷凍室27の前面開口部側に設けた断熱仕切壁前部で、この断熱仕切壁前部43は、断熱仕切壁25の冷蔵室26と冷凍室27の奥側に配置した断熱仕切部後部44の冷蔵室26と冷凍室27の前面開口部側を延長し構成した張り出し部45の上に配置するようにしている。断熱仕切壁前部43は、断熱仕切壁25の上板37bの前側を屈曲させて構成している。
【0030】
張り出し部45は、冷凍室27の上部の前面開口の左右幅方向に均一に構成するようにして、冷凍室27の内面の断熱壁の一部を構成するようにしている。張り出し部45は、断熱仕切壁25の下板37aを屈曲させて構成するようにしている。断熱仕切壁25は、この断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44の2部品で構成している。断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44の内部は、断熱部36で構成している。
【0031】
断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44の周囲は、樹脂部37で覆われ、それぞれ前部カバー46(断熱仕切壁25の上板37bと兼ねる)と後部カバー47(断熱仕切壁25の下板37aと兼ねる)として、強度と密閉構成を維持するようにしている。断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44との結合は、ビスまたは接着剤、テープ等で行うようにしている。
【0032】
断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44の冷蔵室26と冷凍室27の前面開口側の壁面は、略同一面に構成され、冷蔵室ドア28と冷凍室ドア29の内面の外周部に装着したガスケット48を押し付けて、シールを行うようにしている。
【0033】
49は、温度帯が低い冷凍室27の冷凍室ドア29の内面から突出する突出部で、冷凍室ドア29の内面の周壁の全体にわたって設けられている。この突出部49と張り出し部45とで、略水平の空間50を構成し、この空間50の沿面距離を拡大することで冷気39の空間50への侵入量を減少するようにしている。51は、外界からの侵入熱を表している。
【0034】
以上のように構成された冷蔵庫において、その動作、作用を説明する。
【0035】
内箱21を上下に仕切る断熱仕切壁25は、後方に設けた挿入部分に送風機34を圧入し、支持する。この送風機34は、軸流ファンであり、その外周部には、緩衝材を巻いて挿入部分との隙間を詰めている。圧入支持された送風機34は、断熱仕切壁25から独立して送風機34を上方に取り除くことで、送風機34の故障等のサービスを可能としている。
【0036】
また、断熱箱体24の組み立て工程では、送風機34を取り付けた状態で断熱仕切壁25を内箱21の所定位置に仮固定し、外箱22と内箱21間に発泡断熱材23(発泡ウレタン)を充填し、断熱仕切壁25の側部にあたる内箱21の部分から発泡断熱材23を漏らすことで、断熱仕切壁25は、所定の位置に固定される。このようにして各組み立て工程を経て、図1、図2に示す冷蔵庫本体20が完成する。
【0037】
冷却器32で冷却されて生じる冷気39は、送風機34により冷蔵室26と冷凍室27に分配され供給するようにしている。また、吐出された冷気39は、冷蔵室26と冷凍室27を冷却した後に、下部後方に設けられた冷気吸入口(図示なし)から冷却器32に戻るようにしている。送風機34は、断熱仕切壁25の樹脂部37を構成する下板37aよりも下方、上板37bよりも上方に張り出して配置し、外周が矩形状をした送風機34の上部と両側部は、断熱部36で支持するようにしている。
【0038】
冷蔵室26と冷凍室27を循環する冷気39は、断熱仕切壁25に沿って移動するときに、冷凍室27側では、冷凍室27の前面開口部まで断熱仕切壁後部44を延長して設けた張り出し部45の後部カバー47に沿って移動し、冷気39の侵入経路を無くし、構成を簡素化され接触面積を縮小して、熱交換量を最低限に抑制するようにしている。
【0039】
以上のように、本実施の形態においては、冷蔵室26と冷凍室27を断熱する断熱部36を内部に設けた断熱仕切壁25に設け、冷蔵室26と冷凍室27の入り口側に配置した断熱仕切壁前部43と、奥側に配置した断熱仕切壁後部44と、冷凍室27の内壁を構成する断熱仕切壁25の断熱仕切壁前部43の下部に断熱仕切壁後部44より冷凍室27内に張り出して設けた張り出し部45を設けたので、冷凍室27側の冷気39の侵入経路を絶ち、断熱仕切壁25の構成を簡素化して冷気39と接触する面積を縮小しているので、冷蔵庫本体20の消費電力を低減することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、張り出し部45は、冷凍室27の上部に左右幅方向に構成するので、冷凍室27側の断熱仕切壁25に沿って冷気39との接触を軽減し、冷蔵庫本体20の消費電力を低減することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、断熱部36は、一部がポリスチレン系樹脂で構成され、張り出し部45は、ポリスチレン樹脂で構成したので、構成を簡素化して部品点数を減少し、組み立て性、メンテ性を向上することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、断熱仕切壁25は、冷蔵室26と冷凍室27を上下に仕切るようにしたことにより、冷蔵室26と冷凍室27のそれぞれの用途に合わせた温度設定幅が拡大し、使い勝手を向上させながら、冷蔵庫本体20の消費電力を低減することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、断熱仕切壁25は、断熱仕切壁後部44の下側から支える後部カバー47を張り出し部45に沿って延長し、その端部を冷凍室27の入り口側に屈曲し構成したので、張り出し部45の延長に伴って断熱仕切壁後部44の強度低下を防止し、断熱仕切壁25の冷凍室27側の寸法精度を維持し、組み立て性を向上することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、張り出し部45は、冷凍室27のドアの内面から突出する突出部49とで略水平に構成する空間50を構成したことにより、張り出し部45と突出部49で構成する空間50の沿面距離を拡大して冷気39の侵入を防止して、外界からの侵入熱51との熱交換を減少し、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、特に冷凍室27側の張り出し部45と突出部49とで略水平に構成する空間50を構成したことにより、冷気39の侵入を防止して、断熱仕切壁前部43の裏面に防露加熱体等を設けなくても冷蔵庫本体20の表面の結露を防止することができ、コストダウンを図ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、特に冷凍室27側の張り出し部45と突出部49とで略水平に構成する空間50を構成したことにより、この空間50の沿面距離を調整することで防露できる構成を把握することができ、設計管理の精度を向上することができる。
【0047】
なお、冷凍室27側の張り出し部45と突出部49とで略水平に構成する空間50を構成することは、冷蔵室26にも同様の構成を行うことが可能であり、冷蔵室26の消費電力を低減することができる。
【0048】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における冷蔵庫の構成を示す要部断面図である。
【0049】
図3において、断熱仕切壁25は、断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44および張り出し部45を一体化させ、前部カバー46と後部カバー47で収納容器52を設けて、構成している。断熱仕切壁25内の断熱部36は、断熱仕切壁25内に充填発泡されたウレタン発泡断熱材で構成している。収納容器52を構成するときに、折り曲げ部53を構成して、断熱仕切壁25の強度を向上するようにしている。
【0050】
以上のように構成された冷蔵庫において、その動作、作用を説明する。
【0051】
断熱仕切壁前部43と断熱仕切壁後部44の断熱部36を一体に構成することにより、構成を簡素化して部品点数を減少し、組み立て性を向上するようにしている。また、断熱部36は、発泡されたウレタン発泡断熱材で充填するので、収納容器52内全体に断熱部36を構成するようにしている。
【0052】
以上のように、本実施の形態においては、断熱仕切壁25を単体の部品で構成するので、部品点数を減少することで、コストダウンを図ることができる。また、組み立て時の精度を向上させるので、ばらつきの少ない安定した冷凍性能を実現することができる。
【0053】
また、断熱仕切壁25内に発泡ウレタンを充填するので、収納容器52内にスキマ無く、
断熱部36の断熱材密度を上げられるので、断熱性能を向上することができる。
【0054】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態における冷蔵庫の構成を示す要部断面図である。
【0055】
図4において、断熱仕切壁25は、冷凍室27側の張り出し部45の樹脂部37を構成する下板37aから冷凍室27に向かって、シール用突起で構成するシール部54を突出するように設けている。シール部54は、柔軟性のある樹脂材料で構成している。冷凍室27の冷凍室ドア29を閉止すると、冷凍室ドア29の突出部49の先端がシール部54に接触して、空間50を塞ぐようにしている。
【0056】
以上のように構成された冷蔵庫において、その動作、作用を説明する。
【0057】
冷凍室27の冷凍室ドア29を閉止した状態で、突出部49とシール部54が接触し、空間50を閉じることで、冷凍室27内を循環する冷気39が、空間50内に侵入しないようにしている。
【0058】
以上のように、本実施の形態においては、張り出し部45は、温度帯が低い冷凍室27の冷凍室ドア29の内面から突出する突出部49の一部に接触するシール部54を設けたので、シール部54が突出部49に接触することで、空間50を閉じて冷気39の侵入を防止して、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
【0059】
また、シール部54を柔軟性のある樹脂で構成して、突出部49と接触するときに突出部49の一部に確実に接触する部分を構成し密閉性を向上することができる。
【0060】
なお、冷凍室27側の下板37aからシール部54を突出するように構成することは、冷蔵室26にも同様の構成を行うことが可能であり、冷蔵室26の消費電力を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、断熱仕切壁の構成を簡素化して冷気と接触する面積を縮小して、消費電力を低減するので、家庭用の冷蔵庫だけでなく、業務用の冷蔵庫等にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
20 冷蔵庫本体
21 内箱
22 外箱
23 発泡断熱材
25 断熱仕切壁
26 冷蔵室
27 冷凍室
28 冷蔵室ドア
29 冷凍室ドア
32 冷却器
34 送風機
36 断熱部
43 断熱仕切壁前部
44 断熱仕切壁後部
45 張り出し部
48 ガスケット
49 突出部
50 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度帯が異なる複数個の貯蔵室間を断熱する断熱材を内部に設けた断熱仕切壁と、この断熱仕切壁の一部に設け、前記貯蔵室の入り口側に配置した断熱仕切壁前部と、前記貯蔵室の奥側に配置した断熱仕切壁後部と、前記の複数個の貯蔵室の温度帯が低い貯蔵室側の内壁を構成する断熱仕切壁の断熱仕切壁前部の下部に断熱仕切壁後部より前記貯蔵室内に張り出して設けた張り出し部とを備えた冷蔵庫。
【請求項2】
張り出し部は、貯蔵室の左右幅方向に構成する請求項1項に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
張り出し部は、断熱仕切壁前部の断熱材と一体に構成する請求項1または2項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
断熱材は、断熱仕切壁内に充填発泡されたウレタン発泡断熱材で構成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
断熱材は、一部がポリスチレン系樹脂で構成され、張り出し部は、前記ポリスチレン樹脂で構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
断熱仕切壁は、温度帯が異なる複数個の貯蔵室を上下に仕切るようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
断熱仕切壁は、断熱仕切壁後部の下側から支える断熱仕切下部カバーを張り出し部に沿って延長し、その端部を貯蔵室の入り口側に屈曲し構成した請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
張り出し部は、温度帯が低い貯蔵室のドアの内面から突出する突出部とで略水平に構成する空間を構成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
張り出し部は、温度帯が低い貯蔵室のドアの内面から突出する突出部の一部に接触するシール用突起を設けた請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−191026(P2011−191026A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59073(P2010−59073)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】