説明

冷蔵庫

【課題】高電圧の絶縁構造が不要な簡単な構成で貯蔵室内の空気から有害物質を除去すること。
【解決手段】実施例の冷蔵庫はフィルタを備えている。このフィルタは冷気通路内に設けられたものであり、冷気通路内を流れる空気が通過可能な複数の孔を有している。これら複数の孔のそれぞれの内面には可視光応答性の光触媒が付着されており、扉の閉鎖状態では光源からフィルタに可視光が照射されることでフィルタの光触媒が励起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には脱臭装置を備えたものがある。この脱臭装置は貯蔵室内に冷気を供給する冷気通路内に配置されたものであり、紫外線応答性の光触媒を有している。この紫外線応答性の光触媒は冷気通路内を流れる空気が接触するものであり、紫外線が照射されることで酸化力を発生し、酸化力を発生した場合には冷気通路内の空気から有機化合物および細菌等の有害物質を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−277152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記冷蔵庫の場合には空間放電機構に高電圧を印加することで紫外線を発生させる必要があるので、複雑な絶縁構造が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例の冷蔵庫は、食品が収納されるものであって使用者側である前面が開口する貯蔵室と、前記貯蔵室の前面を閉鎖する閉鎖状態および前記貯蔵室の前面を開放する開放状態相互間で操作可能な扉と、入口および出口を有するものであって当該入口および当該出口のそれぞれが前記貯蔵室内に接続された冷気通路と、前記貯蔵室内の空気を前記冷気通路の入口から前記冷気通路内に吸引し前記冷気通路内に吸引した空気を前記冷気通路の出口から前記貯蔵室内に放出するファン装置と、前記冷気通路内を流れる空気を冷却する冷却器と、前記冷気通路内に設けられ前記冷気通路内を流れる空気が通過可能な複数の孔を有するものであって当該複数の孔のそれぞれの内面に可視光応答性の光触媒が付着されたフィルタと、前記扉の閉鎖状態で前記フィルタに前記フィルタの光触媒を励起するための可視光を照射する光源を備えたところに特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】実施例1を示す図(冷蔵庫の内部構成を示す断面図)
【図2】脱臭フィルタの外観を示す図
【図3】実施例2を示す図1相当図
【図4】実施例3を示す図1相当図
【図5】実施例4を示す図1相当図
【図6】実施例5を示す図1相当図
【図7】実施例6を示す図1相当図
【図8】実施例7を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0007】
【実施例1】
【0008】
キャビネット1は、図1に示すように、使用者側である前面が開口する縦長な長方形状をなすものであり、底壁2と左側壁3と右側壁と天壁4と後壁5を有している。このキャビネット1は外箱の内部に内箱を収納し、外箱および内箱相互間の隙間に断熱材を充填することから構成されたものであり、底壁2と左側壁3と右側壁と天壁4と後壁5のそれぞれは可視光が透過不能にされている。このキャビネット1の内部には水平な上仕切壁6と水平な中仕切壁7と水平な下仕切壁8が固定されている。中仕切壁7は合成樹脂製のケース内に固形状の断熱材を収納することから構成されたものであり、上仕切壁6および下仕切壁8のそれぞれは合成樹脂製の板から構成されたものであり、上仕切壁6と中仕切壁7と下仕切壁8のそれぞれは可視光が透過不能にされている。
【0009】
キャビネット1内には、図1に示すように、冷蔵室9と野菜室10と上段冷凍室11と下段冷凍室12が形成されている。これら冷蔵室9と野菜室10と上段冷凍室11と下段冷凍室12のそれぞれは使用者側である前面が開口するものであり、冷蔵室9は上仕切壁6の上方に形成され、野菜室10は上仕切壁6および中仕切壁7相互間に形成され、上段冷凍室11は中仕切壁7および下仕切壁8相互間に形成され、下段冷凍室12は下仕切壁8の下方に形成されている。この冷蔵室9は貯蔵室に相当する。
【0010】
キャビネット1には、図1に示すように、Rドア13とVドア14と上Fドア15と下Fドア16が装着されている。これらRドア13とVドア14と上Fドア15と下Fドア16のそれぞれは使用者が閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能なものであり、可視光が透過不能にされている。Rドア13は冷蔵室9の前方に配置されたものであり、Vドア14は野菜室10の前方に配置されている。上Fドア15は上段冷凍室11の前方に配置されたものであり、下Fドア16は下段冷凍室12の前方に配置されている。このRドア13は扉に相当する。
【0011】
Vドア14は、図1に示すように、開放状態で野菜室10の前面を野菜室10内に対して食品を出し入れすることが可能に開放するものであり、Rドア13は開放状態で冷蔵室9の前面を冷蔵室9内に対して食品を出し入れすることが可能に開放する。このRドア13は閉鎖状態でRドア13の後面と上仕切壁6の前端面との間に隙間17を形成するものであり、冷蔵室9および野菜室10相互間はRドア13およびVドア14の双方の閉鎖状態で隙間17を介して空気が流通可能に接続され、冷蔵室9および野菜室10のそれぞれはRドア13およびVドア14の双方の閉鎖状態で気密状態に閉鎖される。
【0012】
下Fドア16は、図1に示すように、開放状態で下段冷凍室12の前面を下段冷凍室12内に対して食品を出し入れすることが可能に開放するものであり、上Fドア15は開放状態で上段冷凍室11の前面を上段冷凍室11内に対して食品を出し入れすることが可能に開放する。この上Fドア15は閉鎖状態で上Fドア15の後面と下仕切壁8の前端面との間に隙間18を形成するものであり、上段冷凍室11および下段冷凍室12相互間は上Fドア15および下Fドア16の双方の閉鎖状態で隙間18を介して空気が流通可能に接続され、上段冷凍室11および下段冷凍室12のそれぞれは上Fドア15および下Fドア16の双方の閉鎖状態で気密状態に閉鎖される。
【0013】
キャビネット1内には、図1に示すように、縦カバー19および横カバー20が固定されている。縦カバー19は光が透過不能な不透明なものであり、冷蔵室9内に配置されている。この縦カバー19はキャビネット1の後壁5に沿って上下方向へ指向するものであり、後面が開口する樋状をなしている。この縦カバー19の後面はキャビネット1の後壁5で閉鎖されており、縦カバー19および後壁5相互間には空気が通過可能なR縦冷気通路21が形成されている。横カバー20は光が透過可能な透明なものであり、冷蔵室9内に配置されている。この横カバー20はキャビネット1の天壁4に沿って前後方向へ指向するものであり、上面が開口する樋状をなしている。この横カバー20の上面はキャビネット1の天壁4で閉鎖されており、横カバー20および天壁4相互間には空気が通過可能なR横冷気通路22が形成され、R横冷気通路22の後端部はR縦冷気通路21の上端部に接続されている。
【0014】
R縦冷気通路21およびR横冷気通路22はR冷気通路23を構成するものであり、R冷気通路23には1つの入口24と1つの最終出口25と複数の中間出口26が形成されている。入口24はR縦冷気通路21の下端部に形成されたものであり、野菜室10内に配置されている。最終出口25はR横冷気通路22の前端部に形成されたものであり、冷蔵室9内に配置されている。複数の中間出口26のそれぞれはR縦冷気通路21の下端部および上端部相互間に形成されたものであり、冷蔵室9内に配置されている。このR冷気通路23は冷気通路に相当し、最終出口25は出口に相当する。
【0015】
R冷気通路23の入口24には、図1に示すように、Rファンモータ27が固定されている。このRファンモータ27の回転軸にはRファン28が固定されており、Rドア13およびVドア14のそれぞれの閉鎖状態でRファンモータ27が運転された場合にはRファン28が回転することで冷蔵室9内および野菜室10内のそれぞれの空気がR冷気通路23の入口24に進入し、R冷気通路23の入口24に進入した空気がR縦冷気通路21内を上昇する。この空気の一部は複数の中間出口26のそれぞれから冷蔵室9内に放出されることで冷蔵室9内を後から前へ流れ、複数の中間出口26の全てを通過した空気は最終出口25から冷蔵室9内に放出されることで冷蔵室9内を後から前へ流れる。即ち、Rファンモータ27およびRファン28は空気を冷蔵室9内と野菜室10内とR冷気通路23内で循環させるRファン装置を構成するものである。
【0016】
キャビネット1内には、図1に示すように、F冷気通路29が形成されている。このF冷気通路29は入口30と上出口31と中出口32と下出口33を有するものであり、入口30と中出口32と下出口33のそれぞれは下段冷凍室12内に配置され、上出口31は上段冷凍室11内に配置されている。このF冷気通路29内にはFファンモータ34が固定されている。このFファンモータ34の回転軸にはFファン35が固定されており、上Fドア15および下Fドア16のそれぞれの閉鎖状態でFファンモータ34が運転された場合にはFファン35が回転することで上段冷凍室11内および下段冷凍室12内のそれぞれの空気がF冷気通路29の入口30に進入する。この空気の一部は上出口31から上段冷凍室11内に放出されることで上段冷凍室11内を後から前へ流れ、空気の残りは中出口32および下出口33のそれぞれから下段冷凍室12内に放出されることで下段冷凍室12内を後から前へ流れる。即ち、Fファンモータ34およびFファン35は空気を上段冷凍室11内と下段冷凍室12内とF冷気通路29内で循環させるFファン装置を構成するものである。
【0017】
キャビネット1には、図1に示すように、機械室36が形成されている。この機械室36はキャビネット1の外部に通じるものであり、機械室36内には冷凍サイクルのコンプレッサ37が固定されている。このコンプレッサ37はコンプモータを駆動源とするものであり、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸込む吸込口を有している。このコンプレッサ37の吐出口には冷凍サイクルのコンデンサを介してRエバポレータ38およびFエバポレータ39が接続されている。これらRエバポレータ38およびFエバポレータ39のそれぞれはコンプモータが運転されている場合にコンプレッサの吐出口からコンデンサを通して冷媒が供給されるものであり、Rエバポレータ38を通過した冷媒およびFエバポレータ39を通過した冷媒のそれぞれはコンプレッサ37の吸込口に戻る。このRエバポレータ38は冷却器に相当する。
【0018】
Rエバポレータ38は、図1に示すように、R縦冷気通路21内に固定されたものであり、1つの最終出口25および複数の中間出口26の全てに比べて空気の流れの下流側に配置されている。このRエバポレータ38はRファンモータ27の運転状態で空気が供給されるものであり、Rファンモータ27の運転状態でコンプレッサ37からコンデンサを通して冷媒が供給されている場合には空気から熱を奪うことで1つの最終出口25および複数の中間出口26のそれぞれから放出される空気を冷風化する。Fエバポレータ39はF冷気通路29内に固定されたものであり、上出口31と中出口32と下出口33のそれぞれに比べて空気の流れの下流側に配置されている。このFエバポレータ39はFファンモータ34の運転状態で空気が供給されるものであり、Fファンモータ34の運転状態でコンプレッサ37からコンデンサを通して冷媒が供給されている場合には空気から熱を奪うことで上出口31〜下出口33のそれぞれから放出される空気を冷風化する。
【0019】
キャビネット1の天壁4には、図1に示すように、冷蔵室9内に位置して庫内LED40およびLEDカバー41が固定されている。庫内LED40は上から下に向けて可視光を投射するものであり、Rドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれで電源が供給されたオン状態となることで可視光を投射する。LEDカバー41は庫内LED40を下方から覆うものであり、庫内LED40から投射された可視光を冷蔵室9内の前後方向および左右方向のそれぞれの全域に拡散させる。これら庫内LED40およびLEDカバー41のそれぞれはR冷気通路23の最終出口25に面するように配置されたものであり、庫内LED40からLEDカバー41を通して投射された可視光の一部はRドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれでR冷気通路23の最終出口25内に直接的に進入する。これら庫内LED40およびLEDカバー41は庫内光源42を構成するものであり、冷蔵室9内はRドア13の開放状態で庫内LED40からLEDカバー41を通して投射された可視光で照明される。この庫内光源42は光源に相当する。
【0020】
冷蔵室9内には、図1に示すように、複数の透光板43および1枚の反射板44が固定されている。これら複数の透光板43および1枚の反射板44のそれぞれは食品が載せられる棚板に相当するものであり、上下方向に相互に間隔を置いて配列されている。1枚の反射板44は最上段の透光板43の上方に配置された水平なものであり、横カバー20に下方から対向している。この反射板44は光を反射可能な白色の色彩を有するものであり、庫内光源42から投射された可視光の一部は反射板44で反射されることで横カバー20を通してR冷気通路23の最終出口25内に進入する。複数の透光板43のそれぞれは光が透過可能な透明なものであり、庫内光源42から投射された可視光のうち反射板44で反射されなかった残りは複数の透光板43のそれぞれを透過して進行する。
【0021】
R冷気通路23の最終出口25内には、図1に示すように、脱臭フィルタ45が固定されている。この脱臭フィルタ45は、図2に示すように、前面および後面のそれぞれが開口するフィルタフレーム46およびフィルタフレーム46内に固定されたフィルタ本体47を有するものであり、フィルタフレーム46をキャビネット1の天壁4および横カバー20相互間で挟むことで固定されている。この脱臭フィルタ45のフィルタ本体47は複数のガラス繊維を網状に組合せることから構成されたものであり、複数の孔を有している。これら複数のガラス繊維のそれぞれの表面には可視光応答性を有する光触媒(酸化タングステン)が塗布されており、複数の孔のそれぞれの内面は光触媒で覆われている。これら複数の孔のそれぞれはRファンモータ27の運転状態でR横冷気通路22内を後から前へ流れる空気が通過可能なものであり、空気は孔を通過するときに光触媒に接触する。この光触媒はRドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれで庫内光源42から可視光が直接的に照射されると共に反射板44から横カバー20を通して可視光が間接的に照射されるものであり、可視光が直接的および間接的に照射されることで酸化力を発生する。即ち、光触媒はRドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれで酸化力を発生するものであり、R冷気通路23内の空気が最終出口25から冷蔵室9内に放出される前にR冷気通路23内の空気から有機化合物および細菌等の有害物質を除去する。
【0022】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
R冷気通路23内に脱臭フィルタ45を配置し、Rドア13の閉鎖状態で庫内光源42から脱臭フィルタ45に可視光を照射することで脱臭フィルタ45の可視光応答性の光触媒を励起させたので、高電圧の絶縁構造が不要で庫内光源42を利用した簡単な構成でR冷気通路23内の空気から有害物質を除去することができる。しかも、可視光応答性の光触媒を脱臭フィルタ45の複数の孔のそれぞれの内面に付着させた。このため、R冷気通路23内の空気が脱臭フィルタ45の複数の孔のそれぞれを通過するときの光触媒に対する接触量が増えるので、R冷気通路23内の空気から有害物質を効率的に除去することができる。
【実施例2】
【0023】
キャビネット1の後壁5には、図3に示すように、専用光源51が固定されている。この専用光源51は後から前に向けて可視光を投射するLEDからなるものであり、専用光源51から投射された可視光は脱臭フィルタ45に照射される。この専用光源51はRドア13の開放状態で電源が遮断されたオフ状態となり、Rドア13の閉鎖状態で電源が供給されたオン状態となるものであり、Rドア13の閉鎖状態では脱臭フィルタ45の光触媒に庫内光源42からの直接的な経路および庫内光源42からの間接的な経路に加えて専用光源51からの直接的な経路で可視光が照射され、脱臭フィルタ45の光触媒が酸化力を発生する。この専用光源51は光源に相当する。
【0024】
上記実施例2においては、Rドア13の閉鎖状態で庫内LED40がオフ状態にされる構成としても良い。即ち、脱臭フィルタ45の光触媒にRドア13の閉鎖状態で専用光源51のみから可視光を照射しても良い。
【実施例3】
【0025】
横カバー20には、図4に示すように、光が透過不能な不透明な脱臭層61が形成されている。この脱臭層61は横カバー20のうちR横冷気通路22側の内面の全域に可視光応答性を有する光触媒(酸化タングステン)を塗布してなるものであり、Rファンモータ27の運転状態でR横冷気通路22内を後から前へ流れる空気が接触する。この脱臭層61はRドア13の閉鎖状態および開放状態のいずれであっても庫内光源42からの直接的な経路と庫内光源42からの間接的な経路と専用光源51からの直接的な経路で可視光が照射されることで酸化力を発生するものであり、R冷気通路23内の空気が最終出口25から冷蔵室9内に放出される前にR冷気通路23内の空気から有機化合物および細菌等の有害物質を除去する。この脱臭層61は光触媒層に相当する。
【0026】
上記実施例3においては、Rドア13の閉鎖状態で庫内LED40がオフ状態にされる構成としても良い。即ち、脱臭フィルタ45の光触媒および横カバー20の脱臭層61のそれぞれにRドア13の閉鎖状態で専用光源51のみから可視光を照射しても良い。
【0027】
上記実施例1〜3のそれぞれにおいては、脱臭フィルタ45のフィルタ本体47として複数の板材が相互に接合されたものを用いても良い。このフィルタ本体は前面および後面のそれぞれが開口する複数の多角形状の孔を有するものである。これら複数の孔のそれぞれはRファンモータ27の運転状態で空気が通過可能なものであり、複数の孔のそれぞれの内面には光触媒が塗布されている。
【実施例4】
【0028】
キャビネット1内には、図5に示すように、冷蔵室9内に位置して縦カバー71が固定されている。この縦カバー71はキャビネット1の後壁5に沿って上下方向へ指向するものであり、後面が開口する樋状をなしている。この縦カバー71の後面はキャビネット1の後壁5で閉鎖されており、縦カバー71および後壁5相互間には空気が通過可能なR冷気通路72が形成されている。この縦カバー71は光が透過可能な透明なものであり、R冷気通路72内にはRドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれで庫内光源42から縦カバー71を通して可視光が照射される。
【0029】
R冷気通路72には、図5に示すように、1つの入口73と1つの最終出口74と複数の中間出口75が形成されている。入口73はR冷気通路72の下端部に配置されたものである。この入口73にはRファンモータ27が固定されており、Rファンモータ27の運転状態では冷蔵室9内および野菜室10内のそれぞれから入口73を通してR冷気通路72内に空気が進入する。複数の中間出口75のそれぞれはR冷気通路72の下端部および上端部相互間に配置されたものであり、Rファンモータ27の運転状態ではR冷気通路72内に進入した空気の一部が複数の中間出口75のそれぞれから冷蔵室9内に放出される。最終出口74はR冷気通路72の上端部に配置されたものであり、Rファンモータ27の運転状態では複数の中間出口75の全てを通過した空気が最終出口74から冷蔵室9内に放出される。このR冷気通路72内にはRエバポレータ38が固定されている。このRエバポレータ38は複数の中間出口75のそれぞれに比べて空気の流れの下流側に配置されたものであり、最終出口74および複数の中間出口75のそれぞれから放出される空気を冷風化する。この最終出口74は出口に相当する。
【0030】
キャビネット1の後壁5には、図5に示すように、R冷気通路72内に位置して脱臭層76が形成されている。この脱臭層76はRエバポレータ38に比べて空気の流れの下流側に配置されたものであり、脱臭層76には庫内光源42から縦カバー71を通して可視光が照射される。この脱臭層76は後壁5の前面に可視光応答性を有する光触媒(酸化タングステン)を塗布してなるものであり、Rファンモータ27の運転状態ではRエバポレータ38を通過した空気がR冷気通路72内を上昇するときに脱臭層76に接触する。この脱臭層76はRドア13の閉鎖状態および開放状態のそれぞれで庫内光源42から縦カバー71を通して可視光が照射されることで酸化力を発生するものであり、空気がR冷気通路72内を上昇するときにR冷気通路72内の空気から有害物質を除去する。この脱臭層76は光触媒層に相当する。
【0031】
上記実施例4によれば次の効果を奏する。
R冷気通路72の内面に脱臭層76を形成し、庫内光源42から投射された光を透明な縦カバー71を通して脱臭層76に照射することで脱臭層76を励起させたので、高電圧の絶縁構造が不要で庫内光源42を利用した簡単な構成でR冷気通路23内の空気から有害物質を除去することができる。
【実施例5】
【0032】
縦カバー71の前面には、図6に示すように、複数の専用光源81が固定されている。これら複数の専用光源81のそれぞれは前から後に向けて可視光を投射するLEDからなるものであり、R冷気通路72の外部に配置されている。これら複数の専用光源81のそれぞれはRドア13の開放状態で電源が遮断されたオフ状態になり、Rドア13の閉鎖状態で電源が供給されたオン状態になるものであり、Rドア13の閉鎖状態では庫内光源42および複数の専用光源81のそれぞれから縦カバー71を通してR冷気通路72内の脱臭層76に可視光が照射される。この専用光源81は光源に相当する。
【0033】
上記実施例4〜5のそれぞれにおいては、庫内光源42から投射された可視光を脱臭層76に照射するための透光性の部分を縦カバー71の一部に設けても良い。
【実施例6】
【0034】
キャビネット1は、図7に示すように、天壁4に換えて天壁91を有している。この天壁91は前板92と後板93と左側板と右側板と天板94と底板95を相互に接合してなるものであり、気密状態に密閉された中空状をなしている。この天壁91は内部空間が大気圧に比べて低圧に真空化されたものであり、天板94および底板95は天壁91の真空の断熱空間を介して相互に対向している。これら天板94および底板95のそれぞれは光が透過可能な透明なものであり、室内の照明器具から投射された可視光は天板94と断熱空間と底板95を順に通って冷蔵室9内に進入する。この天壁91は窓に相当し、天板94は第1の透明板に相当し、底板95は第2の透明板に相当する。
【0035】
縦カバー71の前面には、図7に示すように、脱臭層96が形成されており、脱臭層96には室内の照明器具からキャビネット1の天壁91を通して可視光が照射される。この脱臭層96は縦カバー71の前面に可視光応答性を有する光触媒(酸化タングステン)を塗布してなるものであり、脱臭層96には冷蔵室9内の空気が接触する。この脱臭層96は室内の照明器具からキャビネット1の天壁91を通して可視光が照射されることで酸化力を発生するものであり、酸化力を発生した場合には冷蔵室9内の空気から有害物質を除去する。この脱臭層96は光触媒層に相当する。
【0036】
冷蔵室9内には、図7に示すように、複数の棚板97が固定されている。これら複数の棚板97のそれぞれは水平なものであり、R冷気通路72の中間出口75に対して上下方向にずらして配置されている。これら複数の棚板97のそれぞれの上面には脱臭層98が形成されており、複数の脱臭層98のそれぞれには室内の照明器具からキャビネット1の天壁91を通して可視光が照射される。これら複数の脱臭層98のそれぞれは棚板97の上面に可視光応答性を有する光触媒(酸化タングステン)を塗布してなるものであり、複数の脱臭層98のそれぞれには冷蔵室9内の空気が接触する。これら複数の脱臭層98のそれぞれは室内の照明器具からキャビネット1の天壁91を通して可視光が照射されることで酸化力を発生するものであり、酸化力を発生した場合には冷蔵室9内の空気から有害物質を除去する。
【0037】
上記実施例6によれば次の効果を奏する。
冷蔵室9内に脱臭層96および脱臭層98を設け、室内の照明器からキャビネット1の透明な天壁91を通して脱臭層96および脱臭層98のそれぞれに可視光を照射することで脱臭層96および脱臭層98のそれぞれを励起させたので、高電圧の絶縁構造が不要な簡単な構成で冷蔵室9内の空気から有害物質を除去することができる。しかも、キャビネット1の天壁91に断熱空間を形成したので、冷蔵室9の断熱性能の低下が抑えられる。
【0038】
上記実施例6においては、縦カバー71に複数のLEDを固定しても良い。これら複数のLEDのそれぞれは後から前に向けて可視光を投射するものであり、複数の棚板97のそれぞれの脱臭層98はLEDから可視光が投射されることで酸化力を発生する。この構成の場合にはRドア13の閉鎖状態で複数のLEDのそれぞれをオン状態とし、Rドア13の開放状態で複数のLEDのそれぞれをオフ状態とすることが好ましい。
【実施例7】
【0039】
キャビネット1の左側壁3と右側壁と天壁4と後壁5のそれぞれには、図8に示すように、室内側である外表面に位置して脱臭層101が形成されている。これら複数の脱臭層101のそれぞれは可視光応答性の光触媒(酸化タングステン)からなるものであり、Rドア13とVドア14と上Fドア15と下Fドア16のそれぞれにも室内側である外表面に位置して脱臭層101が形成されている。これら全ての脱臭層101のそれぞれは室内の空気が接触するものであり、室内の照明器具から可視光が照射されることで酸化力を発生し、酸化力を発生した場合には室内の空気から有害物質を除去する。
【0040】
上記実施例1〜7のそれぞれにおいては、光触媒として酸化チタンを用いても良い。
本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は発明の範囲や要旨に含まれると共に特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
9は冷蔵室(貯蔵室)、13はRドア(扉)、23はR冷気通路(冷気通路)、24は入口、25は最終出口(出口)、38はRエバポレータ(冷却器)、42は庫内光源(光源)、45は脱臭フィルタ(フィルタ)、51は専用光源(光源)、61は脱臭層(光触媒層)、72はR冷気通路(冷気通路)、73は入口、74は最終出口(出口)、76は脱臭層(光触媒層)、81は専用光源(光源)、91は天壁(窓)、94は天板(第1の透明板)、95は底板(第2の透明板)、96は脱臭層(光触媒層)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が収納されるものであって、使用者側である前面が開口する貯蔵室と、
前記貯蔵室の前面を閉鎖する閉鎖状態および前記貯蔵室の前面を開放する開放状態相互間で操作可能な扉と、
入口および出口を有するものであって、当該入口および当該出口のそれぞれが前記貯蔵室内に接続された冷気通路と、
前記貯蔵室内の空気を前記冷気通路の入口から前記冷気通路内に吸引し、前記冷気通路内に吸引した空気を前記冷気通路の出口から前記貯蔵室内に放出するファン装置と、
前記冷気通路内を流れる空気を冷却する冷却器と、
前記冷気通路内に設けられ、前記冷気通路内を流れる空気が通過可能な複数の孔を有するものであって当該複数の孔のそれぞれの内面に可視光応答性の光触媒が付着されたフィルタと、
前記扉の閉鎖状態で前記フィルタに前記フィルタの光触媒を励起するための可視光を照射する光源を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記光源として、
前記扉の閉鎖状態および前記扉の開放状態のそれぞれで前記貯蔵室内を照明するための可視光を投射する庫内光源と、
前記扉の閉鎖状態で前記フィルタに可視光を照射する専用光源を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
食品が収納されるものであって、使用者側である前面が開口する貯蔵室と、
前記貯蔵室の前面を閉鎖する閉鎖状態および前記貯蔵室の前面を開放する開放状態相互間で操作可能な扉と、
入口および出口を有するものであって、当該入口および当該出口のそれぞれが前記貯蔵室内に接続された冷気通路と、
前記貯蔵室内の空気を前記冷気通路の入口から前記冷気通路内に吸引し、前記冷気通路内に吸引した空気を前記冷気通路の出口から前記貯蔵室内に放出するファン装置と、
前記冷気通路内を流れる空気を冷却する冷却器と、
前記貯蔵室内に設けられ、前記冷気通路の出口から前記貯蔵室内に放出された空気が接触するものであって可視光応答性の光触媒からなる光触媒層と、
前記貯蔵室の壁面に設けられ、室内の照明器から投射された可視光を前記光触媒層に照射するための透光性の窓を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
前記窓は、
密閉された中空状をなすものであって、相互に対向する第1の透明板および第2の透明板を有すると共に当該第1の透明板および当該第2の透明板相互間に大気圧に比べて低圧の断熱空間が形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
食品が収納されるものであって、使用者側である前面が開口する貯蔵室と、
前記貯蔵室の前面を閉鎖する閉鎖状態および前記貯蔵室の前面を開放する開放状態相互間で操作可能な扉と、
入口および出口を有するものであって、当該入口および当該出口のそれぞれが前記貯蔵室内に接続された冷気通路と、
前記貯蔵室内の空気を前記冷気通路の入口から前記冷気通路内に吸引し、前記冷気通路内に吸引した空気を前記冷気通路の出口から前記貯蔵室内に放出するファン装置と、
前記冷気通路内を流れる空気を冷却する冷却器と、
前記冷気通路の内面に設けられ、前記冷気通路内を流れる空気が接触するものであって可視光応答性の光触媒からなる光触媒層と、
前記扉の閉鎖状態および前記扉の開放状態のそれぞれで可視光を投射するものであって、前記扉の開放状態で可視光を投射することで前記貯蔵室内を照明する庫内光源を備え、
前記冷気通路の壁面の一部または全部は、前記庫内光源から投射された可視光を前記光触媒層に照射することが可能な透光性を有していることを特徴とする冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−172935(P2012−172935A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36983(P2011−36983)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】