説明

冷蔵庫

【課題】野菜室温度センサが野菜収納箱内の収納物の温度を応答性よく検出することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態の冷蔵庫1は、冷蔵室5と、野菜収納箱11が収容される野菜室6とが上下に隣り合う状態で配置され、前記冷蔵室側に冷気を供給することに基づき該冷蔵室及び野菜室を冷却する構成において、前記野菜室の上部に前記野菜収納箱を上方から覆うように設けられ、前記冷蔵室側から野菜室側に流入する冷気が前記野菜収納箱内に流入することを防ぐ防風板21と、前記野菜収納箱内の温度を検出する野菜室温度センサ22とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫においては、冷蔵温度帯の貯蔵室として冷蔵室の他に野菜収納箱が収容される野菜室が設けられ、その野菜収納箱内に収納された野菜などの収納物の温度を制御するために、該野菜室内の温度を検出する野菜室温度センサが設けられたものがある。この野菜室温度センサは、野菜室内の冷気の温度検出することになるので、野菜収納箱内に収納物を投入収納した場合には、投入された収納物の熱が冷気に伝わった後にその冷気の温度を検出することになって、収納物の投入から温度上昇を検出するまでの応答性が悪い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−214544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、野菜室温度センサが野菜収納箱内の収納物の温度を応答性よく検出することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室と、野菜収納箱が収容される野菜室とが上下に隣り合う状態で配置され、前記冷蔵室側に冷気を供給することに基づき該冷蔵室及び野菜室を冷却する構成において、前記野菜室の上部に前記野菜収納箱を上方から覆うように設けられ、前記冷蔵室側から野菜室側に流入する冷気が前記野菜収納箱内に流入することを防ぐ防風板と、前記野菜収納箱内の温度を検出する野菜室温度センサとを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態による冷蔵庫全体の概略構成を示す縦断側面図
【図2】野菜室温度センサ部分の拡大縦断側面図
【図3】電気的構成を示すブロック図
【図4】野菜室扉を単に開閉した場合の冷蔵室温度および野菜室温度の特性図
【図5】野菜室扉を開閉し野菜室収納箱内に収納物を投入した場合の冷蔵室温度および野菜室温度の特性図
【図6】第2の実施形態を示す図2相当図
【図7】第3の実施形態を示す図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、冷凍冷蔵庫に適用した複数の実施形態について図面を参照して説明するに、各実施形態において、同一部分には同一符号を付して示す。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。
【0008】
冷蔵庫本体1は、図1に示すように、前面が開口する縦長な長方形状をなすもので、外箱とその内部に収納された内箱と外箱および内箱相互間の隙間に充填された断熱材とから構成されたものであり、底壁と左側壁と右側壁と天壁と後壁とを有している。この冷蔵庫本体1の内部には、水平な上仕切板2と水平な中仕切壁3と水平な下仕切板4とが固定されている。中仕切板壁3は、ケース内に固形状の断熱材を収納することから構成されたものであり、上仕切板2および下仕切板4のそれぞれは、プラスチックたる合成樹脂製の板から構成されたものである。
【0009】
これにより、冷蔵庫本体1の内部には、上仕切板2の上方に位置して冷蔵温度帯の貯蔵室として冷蔵室5が形成され、上仕切板2および中仕切壁3相互間に位置して冷蔵温度帯の貯蔵室として野菜室6が形成されている。したがって、冷蔵室5と野菜室6とは、上仕切板2を介して上下に隣り合う状態で配置されている。上仕切板2は、冷蔵室5の底板を構成する。上仕切板2の後端部と後述する冷蔵室冷気ダクト14の前面との間には、冷蔵室5と野菜室6とを連通させる通気口2aが形成されている。通常、冷蔵室5の温度は1〜3℃に制御され、野菜室6の温度は、それよりやや高い約5℃に制御される。また、冷蔵庫本体1の内部には、中仕切壁3および下仕切板4相互間に位置して冷凍温度帯の貯蔵室として製氷室7が形成され、下仕切板4の下方に位置して冷凍温度帯の貯蔵室として冷凍室8が形成されている。製氷室7と冷凍室8とは連通されている。
【0010】
冷蔵室5および野菜室6のそれぞれは、図1に示すように、使用者側である前面が開口するものであり、冷蔵庫本体1には、冷蔵室5の前方に位置して通常のヒンジ開閉式の冷蔵室扉9が設けられている。また、冷蔵庫本体1には、野菜室6の前方に位置して引出し式の野菜室扉10が設けられていて、この野菜室扉10の背面部には、野菜室6内に収容された野菜収納箱11が連結されている。野菜収納箱11は、下ケース11aと、当該下ケース11aよりも小型で下ケース11a上に配置された上ケース11bとの2段構成となっている。これらの下ケース11aおよび上ケース11bは、ともに上面が開口している。
【0011】
製氷室7および冷凍室8のそれぞれは、図1に示すように、前面が開口するものであり、冷蔵庫本体1には、製氷室7の前方に位置して製氷室扉12が前後方向へ直線的に移動可能に装着されている。この製氷室7内には、貯氷容器12aが収容されている。この貯氷容器12aは、製氷室扉12に連結されたものである。冷凍室8は、製氷室7に連通するものであり、図1に示すように、冷蔵庫本体1には、冷凍室8の前方に位置して冷凍室扉13が設けられている。
【0012】
冷蔵庫本体1には、図1に示すように、冷蔵室冷気ダクト14が固定されている。この冷蔵室冷気ダクト14は、1つの入口14aおよび複数の出口14bを有する通路状をなすものであり、冷蔵室冷気ダクト14の複数の出口14bのそれぞれは冷蔵室5に連通され、冷蔵室冷気ダクト14の入口14aは野菜室6に連通されている。この冷蔵室冷気ダクト14内には、送風機としての冷蔵室送風機15が固定されており、冷蔵室送風機15の前面側には通風口16aを有するカバー16が固定されている。
【0013】
冷蔵室冷気ダクト14内には、図1に示すように、冷凍サイクルの冷却器たる冷蔵室冷却器17が固定されている。この冷蔵室冷却器17は、冷蔵室送風機15の動作により冷蔵室冷気ダクト14内と冷蔵室5内と野菜室6内とで循環する空気を冷蔵室冷気ダクト14内で冷却するものであり、冷蔵室5内は、冷蔵室冷気ダクト14の複数の出口14bのそれぞれから冷気が放出されることで食品を冷蔵保存することが可能な冷蔵温度帯に制御され、野菜室6内は、冷蔵室5内に供給される冷気に基づいて野菜収納箱11内の野菜などの収納物を冷蔵保存することが可能な冷蔵温度帯に制御される。
【0014】
冷蔵庫本体1には、図1に示すように、冷凍室冷気ダクト18が固定されている。この冷凍室冷気ダクト18は、1つの入口18aおよび2つの出口18bを有する通路状をなすものである。そして、製氷室7には、冷凍室冷気ダクト18の一方の出口18bが連通されている。また、冷凍室8には、冷凍室冷気ダクト18の他方の出口18bおよび入口18aが連通されている。
【0015】
この冷凍室冷気ダクト18内には、冷凍室送風機19が固定されている。この冷凍室送風機19は、動作されると、冷凍室冷気ダクト18内の空気を冷凍室冷気ダクト18の一方の入口18bを通って製氷室7内に放出させるとともに、他方の出口18bを通って冷凍室8内に放出させ、冷凍室8内から冷凍室冷気ダクト18の入口18aを通って冷凍室冷気ダクト18内に戻るように循環させる。
【0016】
冷凍室冷気ダクト18内には、図1に示すように、冷凍サイクルの冷凍室冷却器20が固定されている。この冷凍室冷却器20は、製氷室7内および冷凍室8内と冷凍室冷気ダクト18内で循環する空気のそれぞれを冷凍室冷気ダクト18内で冷却するものであり、製氷室7内は、冷凍室冷気ダクト19の一方の出口18bから冷気が放出されることで製氷可能な冷凍温度帯に制御され、冷凍室8内は、冷凍室冷気ダクト18の他方の出口18bから冷気が放出されることで食品の冷凍が可能な冷凍温度帯に制御される。
【0017】
野菜室6内の上部には、図1に示すように、上仕切板2の下方に位置させて、当該上仕切板2と平行状態で防風板21が設けられている。この防風板21は、例えばプラスチック製で、矩形状をなしていて、野菜収納箱11(上ケース11bおよび下ケース11a)を上方から覆う状態で、冷蔵庫本体1側に固定状態で取り付けられている。この防風板21は、前端部が冷蔵室5と野菜室6との間の前部を仕切る前仕切部2bまで延びている。防風板21は、後端部が後方へ向けて延びており、当該後端部と前記冷蔵室冷気ダクト14の前面との間には、隙間21aが形成されている。また、防風板21の左右両側縁部には、図示はしないが、シール部材が取り付けられていて、このシール部材が冷蔵庫本体1の内面に当接するようになっている。そして、防風板21は、外周縁部のうち後端部に立下り板部21bを一体に有している。立下り板部21bは、内面が野菜収納箱11における上ケース11bおよび下ケース11aから後方へ離間した状態で斜め下方に延び、下端部が下ケース11aの上端部よりも下方に位置している。
【0018】
図1および図2に示すように、野菜室温度センサ22が防風手段としての防風ケース23を介して防風板21に設けられている。防風ケース23は、プラスチックたる合成樹脂により一体成形されたもので、基板24の上面部に防風部たる外周壁25と内周壁26とが設けられ、基板24の下面部に内周壁26内と連通する防風部たる取付筒部27が設けられている。そして、外周壁25に2個の取付突部28が外方に向けて突設されている。この防風ケース23は、内周壁26内に野菜室温度センサ22が配置固定された状態で、取付突部28が上仕切板2の下面部に突設された取付ボス29にねじ30により固定されることにより、上仕切板2に取り付けられ、取付筒部27が防風板21に上方に突出するように形成された凹部31の貫通孔31aにシール部材32を介して嵌合され、その取付筒部27に防風部たる係止部材33を嵌合して係止させることにより、防風板21に設けられる。すなわち、防風部たる外周壁25、取付筒部27および係止部材33は、冷風が野菜室温度センサ22に直接当らないようにする機能を有する。
【0019】
以上の構成により、野菜室温度センサ22は、防風ケース23内に、防風板21より上方に位置するように、具体的には、上仕切板2と防風板21との間に形成される冷気通路内に位置するように配置され、筒部たる取付筒部27は、野菜室温度センサ22の部分から下方に延びて防風板21を貫通し、その取付筒部27の下端の開口部が野菜収納箱11、特に上ケース11b内に向けて露出し臨んでいる。この結果、内周壁26内は、取付筒部27を介して野菜収納箱11、特に上ケース11b内に連通する。したがって、野菜室温度センサ22は、野菜収納箱11の上方に位置して、野菜収納箱11内の温度を検出するようになる。そして、係止部材33が取付筒部27に係止することにより、防風ケース23と防風板21とがシール部材32を介して密着するようになり、冷気漏れを防止する。なお、防風ケース23において、外周壁25内には、野菜室温度センサ22の横方向周囲部を覆うように断熱材25aが配置され、内周壁26内には、野菜室温度センサ22の上部を覆うように断熱材26aが配置されている。
【0020】
図1に示すように、冷蔵室冷気ダクト14の前面部には、冷蔵室5の後部に位置させて冷蔵室温度センサ34が設けられている。この冷蔵室温度センサ34は、冷蔵室5内の温度を検出する。冷凍室冷気ダクト18の前面部には、冷凍室8の後部に位置させて冷凍室温度センサ35が設けられている。冷凍室温度センサ35は、冷凍室8内の温度を検出する。
【0021】
図1に示すように、野菜室6内の後部には、静電霧化装置36が配設されている。この静電霧化装置36は、図示はしないが、水が供給された状態のミスト放出ピンに負の高電圧が印加されると動作し、ミスト放出ピンの先端部に電荷が集中して、当該先端部に含まれる水に表面張力を超えるエネルギーが与えられることにより、ミスト放出ピンの先端部の水が分裂(レイリー分裂)して、先端部から微細なミスト状に放出されるようになる(静電霧化現象)構成である。ここで、ミスト状に放出された水粒子は、負に帯電しており、そのエネルギーによって生成したヒドロキシラジカル(除菌成分、脱臭成分)を含んでいる。したがって、強い酸化作用を有するヒドロキシラジカルが各ミスト放出ピンからミストとともに野菜室6内に放出されるようになり、当該ヒドロキシラジカルの作用によって除菌や脱臭が可能となる。
【0022】
冷蔵庫本体1には、図1に示すように、機械室37が形成されている。この機械室37は、冷蔵庫本体1の外部に通じるものであり、機械室37内には、冷凍サイクルの圧縮機38が固定されている。冷凍サイクルは、圧縮機38から吐出される冷媒を凝縮器を介して三方弁39(図3参照)に供給し、三方弁39の切り換え動作により冷媒を冷蔵用キャピラリチューブを介して冷蔵室冷却器17に供給する場合と冷凍用キャピラリチューブを介して冷凍室冷却器20に供給する場合とを交互に行ない、そして、冷蔵室冷却器17或いは冷凍室冷却器20からの冷媒を圧縮機38に戻すように動作する。
【0023】
上記構成の電気的構成について、図3を参照して説明する。
制御手段たる制御装置40は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置40は、ROM40aおよびRAM40bを備えている。ROM40aには、各種制御プログラムおよび各種のデータが格納されている。RAM40bには、冷却運転に必要な制御プログラムおよびデータが書き込まれるものである。
【0024】
制御装置40には、操作パネル41、野菜室温度センサ22、冷蔵室温度センサ34および冷凍室温度センサ35からの信号が入力されるようになっている。操作パネル41は、冷蔵室扉9の前面に設けられており、各種の設定、選択を行なう操作部および必要な表示を行なう表示部を有する。
【0025】
制御装置40は、上記各種の入力信号に基づき、ROM40aに格納されている制御プログラムを実行するために、例えば、圧縮機38の駆動・停止・回転数の制御、冷媒の供給先を冷蔵室冷却器17および冷凍室冷却器20の少なくとも一方へ切換える三方弁39の状態の切り換え、冷蔵室送風機15の駆動・停止、冷凍室送風機19の駆動・停止、静電霧化装置36の動作・停止などを、図示しない駆動回路を介して制御するようになっている。
【0026】
次に、上記第1の実施形態の作用につき、図4および図5をも参照して説明する。
制御装置40は、基本的には、冷凍温度帯の貯蔵室と、冷蔵温度帯の貯蔵室とを交互に冷却するように、冷凍サイクルの三方弁39、圧縮機38、冷凍室送風機19、冷蔵室送風機15を制御し、また、冷凍温度帯の貯蔵室の冷却を冷蔵温度帯の貯蔵室の冷却よりも優先する。
【0027】
冷凍温度帯の貯蔵室を冷却する場合(以下、F冷却という)には、圧縮機38を駆動させるとともに、三方弁39を、冷凍サイクルの冷媒が冷凍室冷却器20のみに流れる状態に切り換えた状態で、冷凍室送風機19を駆動させる。この状態では、冷凍室冷却器20により冷却された冷気が、冷凍室送風機19の送風作用により図1に矢印Aで示すように、各出口18bから製氷室7および冷凍室8内に供給された後、入口18aから冷凍室冷気ダクト18内に戻されるといった循環を行なうようになっている。これにより、それら製氷室7および冷凍室8が冷却される。このF冷却時には、冷蔵室冷却器17には冷媒は流れず、当該冷蔵室冷却器17の除霜運転が行なわれるが、この除霜運転については後述する。
【0028】
F冷却が終了すると、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却するモードに切り換わる。冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却する場合(以下、R冷却という)には、圧縮機38を駆動させるとともに、三方弁39を、冷凍サイクルの冷媒が冷蔵室冷却器17のみに流れる状態に切り換えた状態で、冷蔵室送風機15を正回転方向へ駆動させる。この状態では、冷蔵室冷却器17により冷却された冷気が、冷蔵室送風機15の送風作用により図1に矢印Bで示すように、冷気供給ダクト14を通り、各出口14bから冷蔵室5内へ吹き出され、冷蔵室5内を冷却する。冷蔵室5内を冷却した冷気は、主に上仕切板2の後部の通気口2aから防風板21の後部の隙間21aを通して野菜室6内へ供給される。このとき、上仕切板2の外周縁部と冷蔵庫本体1の内面との間には、構成上、隙間が形成されることが避けられないため、上仕切板2の左右両側の隙間からも冷蔵室5の冷気が野菜室6内へ漏出して供給されるようになる。野菜室6内へ供給された冷気は、野菜室6内を冷却した後、後部通風口16a、入口14aから冷蔵室冷気ダクト14内へ戻される。冷蔵室冷却器17により冷却された冷気がこのように循環することによって、冷蔵室5および野菜室6が冷却される。
【0029】
このR冷却時において、野菜室6内の上部には、野菜収納箱11(上ケース11bおよび下ケース11a)を上方から覆うように防風板21が設けられており、その後端部の立下り板部21bは、内面が野菜収納箱11における上ケース11bおよび下ケース11aから後方へ離間した状態で、斜め下方に延び、下端部が下ケース11aの上端部よりも下方に位置しているため、冷蔵室5側から野菜室6内へ流入する乾燥した冷気は、野菜収納箱11内には入り難くなっている。これにより、野菜収納箱11内に収納された野菜などの収納物からの蒸散が抑えられ、貯蔵物が乾燥し過ぎることを極力防止することができる。このR冷却時には、冷凍室冷却器20には冷媒は流れない。
【0030】
制御装置40は、冷凍室温度センサ35の検出温度が予め設定された設定温度以上になったと判断した場合には、R冷却を終了し、上述したF冷却に切り換える。このF冷却時には、同時に冷蔵室冷却器17の除霜運転(モード)が行なわれる。冷蔵室冷却器17の除霜運転は次のように行なわれる。冷蔵室冷却器17には冷媒は流さず、冷蔵室送風機15をまず正回転駆動する。すると、冷蔵室送風機15の送風作用により、図1の矢印Bで示すように、プラス温度の野菜室6内の空気が、入口14aから冷蔵室冷機ダクト14内に吸入されるとともに、冷蔵室冷気ダクト14の各出口14bから冷蔵室5内に供給され、冷蔵室5内の空気は、主に上仕切板2後部の通気口2aを通して野菜室6内へ流入するというように、空気が循環する。これにより、冷蔵室冷却器17の温度がプラスになり、当該冷蔵室冷却器17の除霜が行なわれる。
【0031】
この冷蔵室冷却器17の除霜時には、湿気を多く含んだ高湿度の空気が冷蔵室5側へ供給されるようになる。制御装置40は、この冷蔵室冷却器17の除霜時において、一定時間、冷蔵室送風機15を逆回転させるように切り換える。すると、冷蔵室冷却器17の除霜に伴って発生した高湿度の空気が通風口16aから野菜室6内へ吹き出される。その高湿度の空気は、防風板21と上ケース11bとの間の隙間を通り、上ケース11b内および下ケース11a内へも流入するようになる。これにより、上ケース11bおよび下ケース11a内に収納された収納物にも高湿度の空気が供給されるようになる。その後、冷蔵室送風機15が正回転に切り換わり、そして、冷蔵室冷却器17の除霜が終了すると、冷蔵室送風機15の運転が停止される。
【0032】
図4および図5は、前述したようにF冷却とR冷却とが交互に行なわれた場場合における冷蔵室温度TRおよび野菜室温度TVの変化を示す温度特性図である。冷蔵室温度TRは、冷蔵室温度センサ34が検出する冷蔵室5内の温度であり、野菜室温度TVは、野菜室温度センサ22が検出する野菜収納箱11内の温度である。
【0033】
野菜室扉10が開閉されたときには、図4および図5に示すように、野菜室温度TVは、設定時間内に所定温度(野菜室扉10を開閉せず、しかも、野菜室6を冷却しないときの自然上昇温度)以上となる立上り特性TVaを示すようになる。制御装置40は、この立上り特性TVaを検出する野菜室温度センサ22の検出信号から野菜室扉10が開閉されたと判断する。
【0034】
野菜収納箱11内の収納物を確認するために野菜室扉10が開閉され、或いは、野菜収納箱11内から収納物を取り出すために野菜室扉10が開閉された場合には、野菜室温度TVは、図4に示すように、立上り特性TVaを示した後(野菜室扉10の開閉後)、所定時間内に設定温度以上低下する立下り特性TVbを示すようになる。制御装置40は、この立下り特性TVbを検出する野菜室温度センサ22の検出信号から野菜室扉10が単に開閉されたと判断する。
【0035】
しかして、野菜室扉10を開閉して野菜収納箱11内に野菜などの収納物を投入収納した場合には、野菜室温度TVは、図5に示すように、投入収納された収納物の温度の影響により、立上り特性TVaを示した後(野菜室扉10の開閉後)、所定時間内に設定温度以上は低下しない、換言すれば、設定温度未満の低下しかない立下り特性TVcを示すようになる。制御装置40は、この立下り特性TVcを検出する野菜室温度センサ22の検出信号から野菜室扉10が収納物の投入のために開閉された(収納物投入ありの開閉)と判断する。
【0036】
そして、制御装置40は、上述したように、野菜室扉10が収納物の投入のために開閉された(収納物投入ありの開閉)と判断した場合には、例えば、一定時間だけ静電霧化装置36を動作させる。これにより、静電霧化装置36は、強い酸化作用を有するヒドロキシラジカルが各ミスト放出ピンからミストとともに野菜室6内に放出されるようになり、当該ヒドロキシラジカルの作用によって収納物、特に、新たに投入された収納物からの除菌や脱臭が可能となる。
【0037】
上記した第1の実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
冷蔵室5と野菜室6とが上下に隣り合う状態で配置され、冷蔵室5に供給された冷気が野菜室6側に流れる構成の冷蔵庫において、野菜室6の上部に防風板21を設けたことにより、冷蔵室5から野菜室6側へ流入する乾燥冷気が野菜収納箱11内へ直接流入することを極力防止でき、野菜収納箱11内に収納された野菜などの収納物からの蒸散が抑えられ、収納物が乾燥し過ぎることを極力防止することができる。この場合、防風板21には、防風ケース23を介して野菜収納箱11内の温度を検出する野菜室温度センサ22を設けるようにしたので、野菜室温度センサ22により野菜室6内の野菜収納箱11内の収納物の温度を冷気に影響されることなく応答性よく検出することができる。
【0038】
したがって、野菜室温度センサ22の野菜室温度TVの検出により、図4および図5に示すような立上り特性TVaを検出し得て、制御装置40は、扉スイッチを設けなくても、野菜室扉10の開閉を判断することができ、特に、立下り特性TVb、TVcを検出し得て、野菜室扉10の単なる開閉と収納物投入ありの開閉とを判断することができる。
【0039】
そして、制御装置40は、野菜室扉10の収納物投入ありの開閉と判断したときには、静電霧化装置36を操作させて、強い酸化作用を有するヒドロキシラジカルがミストとともに野菜室6内に放出させるようになるので、当該ヒドロキシラジカルの作用によって収納物、特に、新たに投入された収納物からの除菌や脱臭が可能となる。
【0040】
また、冷蔵室冷却器17の除霜中に、冷蔵室送風機15を、野菜室6側へ送風する逆回転モードで運転することにより、冷蔵室冷却器17の除霜時の湿気を含んだ高湿度の空気を野菜室6へ積極的に供給することができ、野菜などの収納物の蒸散を極力防止できる。
【0041】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態を示す。
この第2の実施形態においては、防風板21に、上方に突出する防風部、防風手段としての凹部42が設けられ、この凹部42内に断熱材43を介して野菜室温度センサ22が配置されている。したがって、凹部42の下面開口部は、野菜収納箱11の上ケース11b(いずれも図1参照)内に臨み、野菜室温度センサ22は、野菜収納箱11内の温度を検出する。そして、断熱材43は、野菜収納箱11側とは反対側に位置し、野菜室温度センサ22が防風板21の温度の影響を受けないように構成されている。
この第2の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態を示す。
【0043】
この第3の実施形態においては、防風板21の下面部に、野菜室温度センサ22が配置されているとともに、防風板21の下面部に、野菜室温度センサ22を包囲する防風部、防風手段としての矩形枠状のリブ44が下方に突出して形成されている。したがって、リブ44の下面開口部は、野菜収納箱11の上ケース11b(いずれも図1参照)内に臨み、野菜室温度センサ22は、野菜収納箱11内の温度を検出する。そして、リブ44は、野菜室扉10とともに引き出し収容される野菜収納箱11が野菜室温度センサ22と衝突することを防止する。
この第3の実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
(その他の実施形態)
上記実施形態は、冷蔵室冷却器17および冷凍室冷却器20を有する冷凍冷蔵庫に適用した場合であるが、冷却器および送風機がそれぞれ1つで、冷却器からの冷気をダンパの開閉により冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とに交互に供給する冷凍冷蔵庫に適用してもよい。
【0045】
冷凍温度帯の製氷室7および冷凍室8を有さない冷蔵庫に適用してもよい。
このように、本実施形態の冷蔵庫によれば、冷蔵室と、野菜収納箱が収容される野菜室とが上下に隣り合う状態で配置され、前記冷蔵室側に冷気を供給することに基づき該冷蔵室及び野菜室を冷却する構成において、前記野菜室の上部に前記野菜収納箱を上方から覆うように設けられ、前記冷蔵室側から野菜室側に流入する冷気が前記野菜収納箱内に流入することを防ぐ防風板と、前記野菜収納箱内の温度を検出する野菜室温度センサとを具備することを特徴とする。そして、このような構成によれば、野菜室温度センサが野菜収納箱内の収納物の温度を応答性よく検出することができる。
【0046】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
図面中、1は冷蔵庫本体、5は冷蔵室、6は野菜室、15は冷蔵室送風機(送風機)、17は冷蔵室冷却器(冷却器)、22は野菜室温度センサ、23は防風ケース(防風手段)、25は外周壁(防風部)、26は内周壁、26aは断熱材、27は取付筒部(防風部、筒部)、33は係止部材(防風部)、36は静電霧化装置、38は圧縮機、40は制御装置(制御手段)、42は凹部(防風部、防風手段)、43は断熱材、44はリブ(防風部、防風手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、野菜収納箱が収容される野菜室とが上下に隣り合う状態で配置され、前記冷蔵室側に冷気を供給することに基づき該冷蔵室及び野菜室を冷却する構成の冷蔵庫において、
前記野菜室の上部に前記野菜収納箱を上方から覆うように設けられ、前記冷蔵室側から野菜室側に流入する冷気が前記野菜収納箱内に流入することを防ぐ防風板と、
前記野菜収納箱内の温度を検出する野菜室温度センサとを具備することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
野菜室温度センサは、野菜収納箱の上方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
野菜室温度センサは防風板に野菜収納箱内と連通するように設けられた防風手段内に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
野菜室温度センサは、防風板手段内に防風板より上方に位置するように配置され、
前記防風手段は、前記野菜室温度センサの部分から下方に延びて野菜収納箱内に臨む筒部を有することを特徴とする請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
防風手段の野菜収納箱側とは反対側に断熱材が設けられていることを特徴とする請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
野菜室温度センサは、防風部によって包囲されていることを特徴とする請求項1ないし5のずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
冷蔵室側に冷気を供給するための冷却器および送風機を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、野菜室温度センサの検出温度が設定時間内に所定温度以上上昇したときには、野菜室扉が開閉されたと判断することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項8】
制御手段は、野菜室扉の開閉後、野菜室温度センサの検出温度が所定時間内に設定温度以上低下したときには野菜収納箱内への収納物の投入なしと判断し、設定温度未満の低下のときには野菜収納箱内への収納物の投入ありと判断することを特徴とする請求項7記載の冷蔵庫。
【請求項9】
野菜室内に除菌または脱臭成分を供給するための装置を備え、
制御手段は、野菜収納箱内への収納物の投入ありと判断したときには、前記装置を動作させるようにしたことを特徴とする請求項8記載の冷蔵庫。
【請求項10】
制御手段は、冷却器への冷媒供給を停止してその冷却器に送風機から送風することにより除霜を行なう除霜モードのときに、前記送風機を前記野菜室側への送風に切り換えるようにしたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29276(P2013−29276A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166885(P2011−166885)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】