説明

冷蔵輸送手段に搭載された液化ガスのためのタンク内に正圧を生じさせるための方法および装置、冷蔵輸送手段のための冷却システム、および、冷蔵輸送手段

【課題】
【解決手段】本発明は、液化ガスのための気化器(1)を備えた冷蔵輸送手段(2)に搭載された液化ガスのためのタンク(5)内に正圧を発生させるための装置および方法に関する。上述した気化器(1)は、液化ガスのための流路(42)を介してタンク(5)に流体を流すように接続されている。バルブ(49)は、流路(42)に配置されている。本発明の方法は、バルブ(49)を開けて液化ガスをタンク(5)から流路(42)へ出す工程、液化ガス成分を流路(42)内に残してタンク(5)へ逆流可能なようにバルブ(49)を閉じる工程、および流路(42)内の液化ガス成分を加熱する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスのための気化器を装備した冷蔵輸送手段に搭載された液化ガスのためのタンク内に正圧を生じさせるための装置および方法に関する。気化器は、液化ガスのための流路を介して流体を流すようにタンクに接続されている。バルブは、流路に配置されている。冷蔵輸送手段のための冷却システム、および冷蔵輸送手段は、少なくとも1つの冷却チャンバー、液化ガスのためのタンク、および液化ガスの気化、および冷却チャンバーへの冷気の放出のための気化器を有する。気化器は、液化ガスのための流路を介して流体を流すようにタンクに接続されている。バルブは、流路に配置されている。
【背景技術】
【0002】
約30年間、輸送手段の冷却には、窒素を用いたマルチチャンバーが利用されてきた。このタイプの方式は、低温転送(CT)の名称ですでに知られている。低温転送方式は窒素を真空断熱容器に入れて低温に保ち、液体の状態で輸送手段に積んで運ぶ必要がある。冷やしたい時は、この窒素をそれ自体の圧力によってパイプを経由して抜き取り、冷却チャンバー内に直接吹き付ける。この方式は、非常に単純で安定しているのみならず、冷却能力が周囲の温度に影響されず常に一定に保たれ、原理的にスプレーノズルの吹き付け能力にのみ制限される。この結果、食材配送交通に使用され、冷却稼動中に頻繁にドアを開閉される低温転送冷却貨物車両は、冷却品質においてかなり有利である。特に、気温が高い夏は、機械的冷却設備が性能の衰えた凝縮機と気化器の着氷を伴って奮闘しなければならない時に、低温転送方式は、効率、信頼性、および性能の点で優位性を実証している。ドアを開けた後、参照温度にわずか数秒で元に戻る。
【0003】
しかしながら、この方式にも不利な点はある。冷却チャンバー内に吹き付けたガスのいくらかは室外に排気ガスとしてもれ出るため、窒素の消費量が比較的多いことである。例えば、冷凍食品チャンバーを冷凍するなら、排気ガスの温度は−30℃から−40℃のオーダになる。また安全のため、積荷空間に入る前に完全な換気が必要な事も不利な点である。この場合、不必要な多量の暖気が積荷空間に入る。温度は明らかに急速に低下し始めるが、より多くのエネルギーを消費するため、必要以上のコスト高になる。カーテン等の保冷システムに慣例的に取り付けられている設備は、換気を損なう危険な方法であるため、低温転送冷却車両の場合、むしろ不適当である。
【0004】
欧州出願0826937は、チャンバーを冷却するための冷却ユニットについて述べている。
【0005】
欧州出願1593918は、冷却チャンバー内に低温液化ガス気化器を配置した熱交換器を有する冷蔵輸送手段のための間接的冷却手段に関する。
【0006】
液化低温窒素は、常圧において77Kの温度を有する。この場合蓄えられている冷気は、2つの成分として存在している。即ち、77Kで液体から気体へ相の過渡変化する成分と、77Kから排気ガス温度へのガス相温度の上昇と同時発生する吸収熱の成分である。気化のエンタルピーと特殊な潜熱という2つの成分は、通例として近似的にほぼ同じ大きさである。
【0007】
冷蔵輸送手段の冷却チャンバーへ蓄えられた冷気を送るために、タンクに貯蔵され、輸送手段上でタンクから熱交換器の気化器へ運ばれる液化ガスを、モーター駆動式ポンプの働きによって供給する方法は公知である。
【0008】
タンク上部に配置された気化器に液化ガスを供給する際に、タンク内の液相上に発生する蒸気圧を利用する技術も公知である。
【0009】
冷却システムの安心な運転を確実にするためには、タンク内の圧力が大きく正圧になっていなければならない。そのためにはタンク内温度が、タンク内圧力における液化ガスの沸点温度より顕著に高くなっていなければならない。温度が上昇し続けることは、液化ガスに蓄えられた冷気の成分が利用できないことを意味する。そのうえ通例として、新たな液化ガスをタンクに入れ替えてすぐには、冷却に使用できない。なぜならその時点では、タンク内で既定の圧力が発生していることを保証するには、温度が低すぎるためである。熱力学的観念とは一致しないが、タンク内部に電熱部品を使用することは明らかに可能である。比較的障害にさらされ集中保守点検が必要になるが、モーター駆動式ポンプの使用は明らかに熱力学的観念に沿っている。
【発明の開示】
【0010】
この発明の目的は、冷蔵輸送手段に搭載された液化ガスのためのタンク内に正圧を発生させるための方法および装置、冷蔵輸送手段のための冷却システム、および冷蔵輸送手段を提案することにあり、これにより、冷蔵輸送手段の安心、安全、効率的な運転を可能にすることである。
【0011】
独立請求項に示しているように、この目的は達成され、適切な方式の要求に応じて個々に利用するか複合的に合わせて利用できる、更なる効果的な実施例、更なる発達、および優れた形態は、以下の記述と従属請求項に示されている。
【0012】
液化ガスのための気化器を備えた冷蔵輸送手段に搭載された液化ガスのためのタンク内に正圧を発生させるための本発明の方法によると、上記気化器が液化ガスのための流路を介して流体を流すように上記タンクに接続され、上記流路の途中にバルブが配置され、液化ガスが上記タンクから出て上記流路内へ送り込まれるように上記バルブを開く工程と、液化ガスの成分が上記流路内に残り且つ上記タンク内へ逆流可能にするよう上記バルブを閉じる工程と、上記流路内の上記液化ガス成分を加熱する工程と、を有する。
【0013】
冷蔵輸送手段は、冷蔵製品を受け入れる少なくとも1つの冷却チャンバーを有する。特に、この輸送手段は、例えば−25℃から−18℃の温度で特に固く凍った製品のための第一の冷却チャンバーと、特に4℃から8℃で冷やす生鮮品のための少なくとも1つの冷却チャンバーを有する。冷却チャンバーは、徒歩で容易に接近でき、および、あるいは、小さくても2000リットルの内容量を有する。例えば液体窒素や液体二酸化炭素が液化ガスとして使用し得る。特にタンクは断熱構造となっており、例えば真空断熱(超断熱)か発泡ジャケットが使われている。
【0014】
バルブの上流に位置する、タンクと気化器の間の流路部分は、液化ガス成分の加熱および気化に利用される。この方法によると追加的なエネルギー消費となるタンクの内部加熱はもはや必要とされない。このような流路は、局所的な電熱部材として利用される。流路内の液化ガスの加熱を可能にするには、流路のバルブは、直にタンクに据え付けてはならず、さらに下流に配置しなければならない。この流路は、特にタンクの排出口、およびこの排出口の下流に配置されたバルブを有する。排出口とバルブ間の流路の区域において、タンク内のガスの高い正圧によって、タンク内ガスの蒸気圧によってタンクから液化ガスを流出させることができる。このため、タンク内における高い正圧が不要となる。バルブを閉じることによって、この区間に存在する液化ガス成分は、流路内に封じ込められる。この流路に存在する液化ガス成分は、タンクへもどすことができ、また、この流路の気化による圧力上昇はタンクにまで及ぶ。液化ガスの加熱およびそれに伴う気化は、液体からガス相への推移による液化ガスの膨張を引き起こし、タンク内は正圧になる。そして、タンク内で発生する正圧は、液化ガスをタンクから気化器へ押し出す力になる。
【0015】
バルブの上流路に液化ガス成分が残っている時間、すなわち液化ガスが加熱されている時間は、特に短くても10秒とか、特に短くても30秒とか、例えば短くても100秒とかいう時間である。バルブを開けている時間は、1秒から100秒にできるが、たとえば2秒から20秒である。バルブの断続的な動作および、バルブの閉状態とタンクからの液化ガスの移動による温度変動のため、タンクの排出口とバルブの間の流路内で静止状態になる事はない。バルブ開閉の工程でタンク内部に圧力が発生する。これに連携して、バルブ開で液化ガスが流路を流れ出し、バルブ閉と流路の加熱で液化ガスは気化する。このようにして流路内に圧力が発生され、そしてタンク内にもまた圧力が発生する。
【0016】
気化器は、熱交換器として構成され、それにより液化ガスの冷気は直接ではなく間接的に冷蔵輸送手段の冷却チャンバーを冷やす。
【0017】
バルブを閉じた時、タンクの容積に対して少なくとも1/1500とか、特に少なくとも1/700とか、例えば少なくとも1/300の容積の液化ガスがバルブの上流路内に効果的に封じ込められる。この程度の容積の液化ガスが流路にあると、気化させた時にタンク内にもたらすのに十分な圧力が発生する。
【0018】
タンク内部を望む圧力のレベルにするため、バルブの開閉を数回繰り返すことができる。
【0019】
1回のバルブの開閉で得られる圧力より、数回の工程段階の繰り返しでタンク内に発生する圧力の方を高くできる。
【0020】
流路に留まっている液化ガス成分のうち少なくとも10%とか、特に少なくとも20%とか、例えば少なくとも50%または80%が、加熱工程で気化する。効果的に流路に残っている液化ガスは、完全に気化する。
【0021】
上述した加熱は、大気の熱を上述した流路に作用させることによって実施できる。この大気の熱は、流路と共に液体ガスを熱する。この目的のため、上述した流路の断熱は、十分な熱入力が常に保証されるような方法で選択可能である。例えば、上述したタンクと気化器との間の流路は、例えば真空断熱や発泡ジャケットによって断熱され、液化ガスの流路の外側で熱架橋が設けられる。この熱架橋は、流路の特定の領域か区間に据え付けられる。熱入力、特に熱伝達係数が、流路上で、例えば熱架橋において、調整および/或いは変化可能であることが有効である。熱入力の調整可能性は、正圧を発生させる際の特に正確な制御の可能性を提供する。
【0022】
熱を生出させる必要がなく、むしろ大気から熱が与えられるので、上述した方法は、上述した従来の方法より少ないエネルギーで済む。また、この方法は、電動ポンプのような複雑な機器を必要とせずに、特に信頼性の高い動作が可能となる。
【0023】
タンクから重力方向に沿ってより高い位置にある冷蔵輸送手段の気化器へ液化ガスを供給する本発明の方法によると、上記気化器が、流れを許容する方法で、液化ガスのための流路を介して、上記タンクに接続されており、バルブが、上記流路の途中に配置されており、この発明の方法によって上記タンク内に正圧を発生させる工程と、上記バルブ開いて、上記正圧によって、上記液化ガスが上記気化器内へ押し込まれることを許容する工程と、を有する。
【0024】
液化ガスのための気化器を備えた冷蔵輸送手段に搭載された液化ガスのためのタンク内に正圧を発生させるためのこの発明の装置によると、上記気化器が液化ガスのための流路を介して流体を流すように上記タンクに接続され、上記流路の途中にバルブが配置され、液化ガスのためのタンク内に正圧を発生させるための本発明の方法を実行するための制御手段を有する。
【0025】
圧力を発生させる構造のため、装置は、信頼性の高い動作を保証するように、頑丈な設計が可能である。この装置は、タンク内に正圧を発生させる特に経済的な手段とすることができる。
【0026】
バルブの上流の流路における容積は、タンクの容積に対して、特に少なくとも1/1500、特に少なくとも1/700、または、例えば少なくとも1/300である。
【0027】
ここで言う上流とは、バルブからタンクに向かう方向を意味する。液化ガスの流れの方向は、冷却中の液化ガスの流れの方向によって決まる。すなわち、この方向は、タンクから気化器および熱交換器に向かう方向である。
【0028】
上述した流路は、特に、断熱性を持っている。また、この流路は、バルブの上流に熱架橋を持つことができる。この熱架橋は、熱伝達係数および/或いは冷伝達係数が規定および調整可能なように、効果的には、種々の構造にできる。
【0029】
少なくとも1つの冷却チャンバー、液化ガスのためのタンク、および液化ガスの気化と上記冷却チャンバーへの冷気の放出のための気化器を有する冷蔵輸送手段のためのこの発明の冷却システムは、上記気化器が液化ガスのための流路を介して流体を流すように上記タンクに接続され、上記流路の途中にバルブが配置され、正圧を発生するためのこの発明の装置を有する。この冷却システムは、その高い効率および高い動作信頼性によって特徴付けられている。
【0030】
この発明の冷蔵輸送手段は、この発明の上述した冷却システムを有する。
【0031】
さらに効果的な実施例およびさらなる開発が、個別に利用でき、または必要に応じて適切な方法で互いに組み合わせることができ、それらは、以下に示す図面に基づいて説明される。これらの図面は、発明を限定するものではなく、実施例として示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、冷却モジュール10を備えたこの発明の冷蔵輸送手段2の側面図であり、冷却モジュール10は、冷蔵輸送手段2の前面50上部に取り付けられている。冷却モジュール10は、断熱タンク5から液化ガスが供給される気化器1と熱交換器30(図2参照)を有する。タンク5は、断熱ジャケット、好ましくは真空ジャケット或いは発泡ジャケットを装着しており、冷却モジュール10に液体を通すように接続されている。タンクは、冷蔵輸送手段2の下部12に取り付けられている。
【0033】
図2は、冷却チャンバー4、9の外側に配置された気化器1を示し、この気化器1は、液化ガスの気化によって発生される冷気を冷却チャンバー4、9から取り込んだ空気に作用させるための熱交換器30の一部を構成している。冷却チャンバー4、9内に収容された物品(ここでは図示せず)は、冷却された空気27によって冷やされる。気化器1は、液化ガス流路42によって、タンク5に対し、液体を通すように接続されている。気化器1によって気化されて熱せられた排出ガスは、排出パイプ6を介して、大気中に放出される。タンク5は、気化器1の下に配置されている。タンク5には、僅かに正圧状態で、80K程度の温度の液体窒素が貯蔵されている。タンク5内部の正圧は、液化ガスをタンク5から気化器1へ送り出すことに利用される。多量のガスをタンク5から流出させる場合、または液化ガスをタンク5内に充填した後、タンク5内に圧力を生じさせるため、圧力増強手段13として、好ましくはタンク加熱装置がタンク内に配置されている。この圧力増強手段13によって、液化ガスを局所的に加熱して気化させることができる。圧力増強手段13の制御バルブは、冷却モジュール10内の圧力制御装置38に配線43を介して電気的に接続されている。タンク5内部の圧力は、圧力制御装置38によって調整される。冷却チャンバー4は、冷凍製品用に設けられ、−25℃から−18℃に設定される。例えば、著しく低い温度(−60℃)に設定することもできる。冷却チャンバー9は、生鮮品用に設けられ、+4℃から+12℃に設定される。冷気は、冷却チャンバー4、9とその外側に配置された熱交換器30との間にある通風機8によって送風される。この目的のため、冷却チャンバー4、9は、複数の流通路7を介して、熱交換器30と流体を通すように接続されている。冷却チャンバー4、9は、冷却チャンバーハウジング3によって取り囲まれている。冷却チャンバーハウジング3は、断熱構造である。冷却モジュール10は、冷却チャンバーハウジング3の外側に配置され、ここでは、矩形に形成されている。冷却モジュール10も、また、断熱構造を有する。
【0034】
冷却モジュール10は、相分離器24を有しており、この相分離器24を介して、気化器1で気化されなかった液化ガスの成分が、気化されたガスの成分から分離可能となる。そして、分離され気化されなかった液化ガス成分が気化器1に戻される。熱交換器30、或いは気化器1は、電熱器28を有しており、気化器1に付着し、或いは熱交換器30内にあるいかなる氷でも取り除くことができる。このような凍結の解除は、電熱器28を動作させる代わりに、或いは電熱器28の動作に加えて、冷却チャンバー4からの空気を再循環させることでも効果的に実施できる。この場合、空気は、上述した氷、熱交換器30、および溶解のエンタルピーからの特別な熱により冷やされる。このため、再循環が、冷却チャンバー4、9内への熱入力をもたらすことはない。冷却チャンバーからの空気が水の氷結点より高い温度で運用されて戻される場合、冷却チャンバーが、摂氏0℃より低い温度で運用されるのも事実である。これは、凍結解除の間中、複数の流通路7を閉じる事が可能なため出来ることで、冷却チャンバー4、9と熱交換器30とが熱的に遮断されるからである。特に、この方法により、気化器1または熱交換器30に対するエネルギー効率の高い凍結解除が可能となる。冷却モジュール10、正確には気化器1または熱交換器30は、冷却システム、特に熱交換器30および気化器1の気密試験のための手段20を付加的に装備している。この目的のため、気化器内部または熱交換器30内部の種々の箇所に、圧力センサ35と温度センサ37が設けられており、熱交換器30と気化器1内部の圧力変化と温度変化が経時的に測定される。この方法によって、特に、気化器1または熱交換器30の流路の閉じられた区間で正圧が安定して残っているかどうか、または漏洩のため圧力が下がっているのかどうかを判定できる。温度センサの働きによって、熱交換器30或いは気化器1内のいずれに液相が存在するかを知ることができる。例えば、気密試験は、冷蔵輸送手段2を停止している夜間に実施できる。これによって、この高精度な測定は、都合の良い方法として受け入れられる。
【0035】
図3は、パイプ14が斜めから見える、気化器1の斜視図である。このパイプ14の内部で液化ガスが気化し、その外側表面上を冷却のための空気39が流れる。パイプ14は、少なくても幾つかの部分で長手軸19を有する。気化器1には、相分離器24が装備されており、パイプ14を通過した気化していない液化ガス成分が、相分離器24を介して、気化ガスと分離されてパイプ14へ戻される。パイプ14の入口側26は、パイプ14の出口側25より重力方向に沿って低い位置にある。相分離器24の戻り流路40は、相分離器24の供給流路36の下に配置されている。凍結解除によって溶融した水を受ける捕集タンク31(図10参照)は、気化器1の下に配置されている。熱交換器30または気化器1を特に小型な設計にするため、複数のパイプ14は、折り曲げられ、湾曲してコイルされ、またはメアンダ状に巻かれた形状とすることができる。
【0036】
図4は、図3の熱交換器30の側面図である。図5は、この熱交換器30の平面図である。
【0037】
図6は、パイプ14の詳細を示す平面図である。パイプ14は、長手軸19に沿って延びている。パイプ14は、外周に複数のフィン17を有する。これら複数のフィン17は、特殊な工程でパイプ本体から直にプレス成型されている。言い換えると、これら複数のフィン17は、実質的にパイプ14の製造工程における部品である。これら複数のフィン17は、パイプ14のパイプ壁23に溶着可能である。パイプ14および複数のフィン17は、特に、銅によって形成されている。液化ガスの気化および加熱によって生じる冷気から冷却対象の空気39への特に効果的な熱の伝達は、上述した複数のフィン17の働きによって実現する。これら複数のフィン17は、単位体積あたりの表面積を増大するため、および冷却対象となる空気39に乱気流を発生させるため、波状に起伏を持たされている。この結果、冷気の解放と転移が増大される。
【0038】
図7は、図6のパイプ14の断面を示す立体的な斜視図である。パイプ14は、パイプ壁23を有し、その周囲に起伏のある複数のフィン17が配置されて取り付けられている。これら複数のフィン17は、パイプ壁23に半田付けが可能である。フィン17による凍結解除を容易にするため、複数のフィン17の間には、それぞれ電熱手段28が設けられている。電熱手段28は、電流を流すことで加熱される複数本の電気的絶縁ワイヤーによって構成されている。乱流の発生のため、或いは液化ガスと気化されたガスの放射分離のための複数の構成部品18が、パイプ14の内部に導入されている。これら複数の構成部品18は、複数の整流部材21として考えられており、星状の断面を持つ棒状部品22としてパイプ14の内部に挿入することができる。複数の整流部材は、特に、パイプ壁23に半田付け或いは溶着できる。パイプ14内の上述した複数本の棒状部品22は、長手軸19に沿って位置を変えられる。この方法によって、パイプ壁23と液化ガスの液滴の間に形成される気化層の厚さが減少される。液化ガスがパイプ14を流れるとき、棒状部品22のねじれ構造によって、液化ガスが、パイプの壁23の内側に向かって押し付けられる。また、構成部品18は、渦を巻く構造41を有し、パイプ14内部で液化ガスに渦を巻く運動を与える働きをする。パイプ14内部で渦を巻く現象は、液化ガスとパイプの壁23の間の気化層の厚さを減らし、その結果、液化ガスと暖められたガスから冷却対象となる空気39への冷気の転移効率が高くなる。複数の整流部材は、パイプの壁23とは異なる材料で形成でき、例えば、プラスチックによって形成できる。複数の整流部材21を熱伝導率の高い材料で製造し、高い熱伝導率を確実にするような方法でパイプの壁23に接続すると、効果的である。複数の整流部材21とパイプの壁23との間の熱伝達抵抗は、例えば半田付けや溶接によって減少可能である。熱伝達抵抗を可能な限り低くするには、液化ガスに含まれる冷気のフィン17への可能な限り直接的な伝達を確実にする事が効果的である。
【0039】
図8は、図6および図7のパイプ14をその長手軸19に垂直な面で切断した断面図である。複数の構成部品18は、ねじられて星形にされた複数の整流部材21が棒状部品22としてパイプ14の内部に挿入されている。棒状部品22の断面は、パイプの壁23に半田付けされた5本の放射状の腕を持つ星形に示されている。放射状の腕は、それぞれ、棒状部品上に起伏や表面のデコボコを形成した渦を巻く構造41を持っている。パイプ14内の乱流は、整流部材によって、および整流部材上の渦を巻く構造41によって、増大され、その結果、液化ガスからフィン17へ、さらに冷却対象となる空気39への冷気の改良された伝達が達せられる。
【0040】
図9は、フィン17を持たないパイプ14の実施例を示している。この実施例は、ねじられた平たいパイプに関し、パイプ14は、その長手方向に沿って変化するパイプの内側断面を有する。パイプ14の内側断面は、好ましくは円形、楕円形、或いは顕著な楕円形であり、パイプ14の長手方向に沿ってねじられている。特に、第1のパイプ位置15におけるパイプの第1の内側断面を、第2のパイプ位置16におけるパイプの第2の内側断面の上に投影した面は、パイプの内側断面の30%に満たない。2つのパイプ位置15、16は、この場合、長手軸19に沿って100mmずれている。液体(外側)と気体(内側)の遠心分離が、ねじれたパイプ14を通る流れによって生出され、液化ガスとパイプの壁23の熱的接触が強まる。
【0041】
図7の実施例においてパイプ14内で複数の乱流を発生するためパイプ14内部に複数の整流部材21が設けられているのに対し、図9の実施例において描かれているようなパイプは、流れによって1つの乱流を生じせしめるため、特に、ねじられたり起伏が付けられたりしている。
【0042】
図10は、熱交換器30のための熱交換器用ハウジング29を示す。このハウジング29は、凍結解除によってしたたる水を受けて排出路(図示せず)を介して排出するため、熱交換器30の内部に組み込む捕集タンク31と考えられている。捕集タンク31は、氷を溶融できる付加的な加熱部材32を有する。熱交換器用ハウジング29は、冷却対象となる空気39や冷却された冷気27のための複数の流通路7を有する。熱交換器用ハウジング29は、この場合、凍結解除によって生じる水の侵入を阻止できる縁34のある排出口33を有し、その結果ファンによって冷却チャンバー4、9内に水が吹き込まない。この手段によって、溶融した水による複数の流通路7に対する氷着を特に効果的に防止できる。水の浸入を防ぐ縁は、例えば、スカート、迷路構造、または水の進入をそらす板の形状とすることができる。
【0043】
図11は、内側が見える形の立体斜視図として、例えば、図1のように冷蔵輸送手段に使用可能な種類の冷却モジュール10を示す。通風機8、相分離器24、およびパイプ14を集合して配置することで、特にコンパクトな外形を達成できる。
【0044】
図12は、圧力制御手段38を有する本発明の冷却システムの概略図を示している。この圧力制御手段38は、電動ポンプの使用に頼ることなくタンク5から気化器1へ液化ガスを送り込む目的で設けられている。この冷却システムは、冷却システム45、熱交換器30、または気化器1の気密試験のための手段20を有する。気化器1は、液化ガスの流路42を介した流れを許容するような方法でタンク5と接続されている。液化ガスは、タンク5内部で生じる圧力によって、流れ54の方向に、流路42内に送り込まれる。タンク5内部の圧力を上昇させるため、バルブ49によって流路42が閉じられる。これにより、流路42内の液化ガス成分が、バルブ49の上流側、すなわちバルブ49とタンク5の間で、流路42の温度上昇によって、気化される。バルブ49は、また、入口バルブとして設計されている。流路42は、2重壁真空断熱(超断熱)または発泡ジャケットのような断熱手段を有することができる。一般法則として、このような断熱にもかかわらず、熱入力は、バルブ49上流の流路42内にある十分な液化ガス成分を気化して、タンク5内部の圧力を上昇させるのに充分である。特別な場合において、バルブ49の上流に位置する流路42に、必要な熱入力を架橋して処理する熱架橋51を設けることが適当である。この熱架橋51は、流路42の断熱性を減少させることによって形成でき、これにより、熱架橋が、流路42の特定の区域に設けられるとともに、熱伝達係数に関係する種々の方法で効果的に配置される。バルブ49が間歇的に開かれて、液化ガスが流路42内で流れ54の方向に力を受け、熱交換器30の内部へ送り込まれる。バルブ49の間歇的な動作のため流路42内で安定した状態が生じることはなく、バルブ49の閉塞状態およびタンク5からのガスの除去により、バルブ49上流の流路42内温度が上下に変動する。
【0045】
タンク5内に十分な圧力を形成するため、バルブ49の上流でタンク5の開口までの流路42の容積は、少なくともタンク5の容積の1/1000程度である。熱交換器は、冷却チャンバー容器3の内部に配置され、冷却された空気27を冷却チャンバー4へ放出する。この目的のため、冷却チャンバー4内の空気は、モーター52によって駆動される通風機8の働きで再循環される。冷却チャンバー4内において、温度変動を測定するため、温度センサ37が第1の位置46に設けられている。冷却チャンバー4内部の温度が1分間に5℃を超える割合で不意に低下した場合、第1の警告信号が発せられる。この第1の警告信号は、冷蔵輸送手段2のオペレータに対し、冷却システム45が漏洩している可能性があることについて注意を喚起する。同じ目的で設けられた追加の温度センサ53は、冷却チャンバー4内部の追加の第1の位置46に設置可能である。
【0046】
モーター52は、電気モーターとして動作可能であり、或いは気化ガスを用いて動作可能である。液化ガスは、バルブ49の下流側において、気化器1と熱交換器30を通って追加バルブ55まで運ばれる。そして、気化されたガスは、排出パイプ6を介して排出ガス56として大気中に放出される。バルブ49と追加バルブ55の間の流路42の流路区間57は、2つのバルブ55、49の働きによって閉じることができる。この場合、特に、流路区間57が気密状態であれば、正圧を封じ込める事ができる。流路区間57の第2の位置47には圧力センサ35が設けられ、この圧力センサ35は、流路区間57内の経時的な圧力変化を記録する。もし、バルブ55、49の間に封じ込められている正圧が設定値より下がったり、この正圧が設定した参照値、例えば1分間に0.2バールを超える割合で急速に変化したりする場合、第2の警告信号が発せられる。上述した第1の警告信号とこの第2の警告信号は、インジケーター装置44(図2参照)を介して、冷蔵輸送手段2のドライバーに表示される。上述したバルブ49、追加バルブ55、圧力センサ35、および温度センサ37、53は、上述した熱交換器30、気化器1、および冷却システム45の気密試験のための手段20を構成する。また、追加バルブ55は、排出ガスバルブとして設計されている。
【0047】
少なくても2つの熱交換器30と少なくても2つの気化器1が効果的に使用されて、凍結解除と冷却をかわるがわる実施する。この方法によって、大きな動作信頼性が達せられる。また、この手段によって、熱交換器30および気化器1への氷着に対する能動的な凍結解除の結果として生じるエネルギーコストが削減される。
【0048】
熱交換器の材料の選択のため、同質材料の組み合わせが使用されるべきである。アルミニウム製か銅製の熱交換器は、低温技術分野における運用が証明されている。他の適した材料の適用が可能であっても、製造技術の問題で、銅製パイプおよび銅製フィンからなる同質材料の選択を実施することが好ましい。本実施例において、複数本の熱交換器用のパイプは、好ましくはフィン付きパイプとして使用され、このフィン付きパイプは、同質の銅により構成され、その外側表面に複数の銅製フィンを有する。これら複数のフィンは、他の方法によって、上述した外側表面に対し、半田付け、溶接、かしめ、接着、或いは取り付けが可能である。これら複数のフィン17は、圧延工程によってパイプ素材から好ましくはプレス加工され、そして、上述した外側表面に起伏を付ける。このフィンの起伏は、最後の圧延工程で製作される。パイプを通る横方向の層状の流れが生じた場合、上述した起伏形状は、フィン17の間に乱気流を生じ、この乱気流は、積極的に、空気側により高い熱伝達率を与える。圧延されたフィン17は、好ましくは、上述した外側表面に沿ってらせん状に巻かれる。この場合、フィンとフィンの間隔は2mmから10mmあり、好ましくは3mmである。しかしながら、これらフィン同士の距離は、他の距離にすることもできる。複数のフィン17を備えた複数のパイプ14は、好ましくは、両端のフィンで保持される。端部のフィンは、複数の孔が開いた板として理解され、これら複数の孔にパイプとパイプの継手がそれぞれ通される。これら複数の孔の周りには、複数のスロットが、両端のフィンを貫通して形成されている。これら複数のスロットは、端部のフィンの取り付け点に関し、それぞれの場合において、複数本のパイプが個々に移動可能となるように設けられている。上述したパイプの両端は、好ましくは、上述した端部のフィンを超えて突き出ている。好ましくは銅で形成された両端のフィン、および複数本のフィン付きパイプの複数のパイプ継手は、好ましくは半田付けによって、上述した両端のフィンに固着される。上述した両端のフィンから突出した、複数のフィンを備えた複数本のパイプ14の両端は、複数の銅製の複数の管或いは複数の架橋部材を介して互いに接続されている。
【0049】
液体窒素から複数本のパイプへの熱の伝達の初期の段階において、熱交換器の複数のパイプ内で、液体から気体への物理的状態の相変化が起こる。この物理的状態変化の間中、液体−気体混合物の反応が薄い層で起り核沸騰が起こる。複数のパイプ内における核沸騰の結果として、液体の加速が生じることが経験上わかっている。この液体の加速は、流れの方向に沿って液体より前に形成された気泡によって起きる。
【0050】
上述した気化器1において、結果として生出した小さな複数の気泡がたちまち大きな複数の気泡に結合され、これら大きな気泡の前にある液体の柱を、体積変化の結果による爆発的な割合で、熱交換器のパイプを通して進ませる。この工程を通して、上述した複数の熱交換器において、液化ガスから上述したパイプの壁23への熱の不十分な伝導しか起きない。
【0051】
上述した熱交換器30において、複数の熱交換器パイプの内部における最も均一な気化の可能性、およびこの方法における熱伝達係数の増大を許容する複数の構成部品がパイプ14内に組み込まれている。この最適化を達成するため、複数の流れ成形部品または複数の整流部材21が、複数のパイプ14内部に挿入されており、常に液体がパイプ壁23の内側表面に沿って流れる事を確実にしている。棒状部品22は、例えば、パイプの横断面をn個の部分に長手方向に分割するために利用される。これらの部分は、丸を分割した形状を成し、これら分割された部分の角度は、パイプの中心から始まってパイプの内側表面まで延びている。これら分割された部分は、パイプの内側に可能な限り大きな空間的容積を持ち得る形状にすべきであり、他の幾何的形状も採用できる。好ましくは、パイプの内側に置かれた星形によって5つの放射状の形状が採用される。この星形部材は、パイプの長手軸に対してねじられている。すでに述べたように、熱交換器のパイプに入った時、液体窒素は、気泡が形成されて自身の体積が変化することによって加速される。n本の放射状の腕を持った棒状部品22の長手軸19に対するねじれまたは位置の変化は、パイプ14内に複数の流通路を生じさせ、これら複数の流通路は、パイプの壁23の内面に沿ったコイルの形状を呈する。n本の放射状の腕を持った棒状部品22の位置の変化は、パイプ14の全長にわたって長手軸19に対して請け負わせることができる。しかしながら、複数の流通路は、ねじれた後でも、パイプ内に存在しなければならない。上述した内部部品は、長手軸19に沿って1メーターあたり2回から10回、好ましくは3回ねじられている。n本の放射状の腕がある棒状部品22のねじれは、遠心力によって加速された流体をパイプ内面に押し付け、パイプに沿って送る。液体とパイプ内面との間の温度差に起因して、液体窒素の物理状態は、核沸騰によって変化される。この方法によって、熱伝達係数は、顕著に増大される。液化ガスは、比較的短い距離送られた後、ほとんどすっかり気化される。
【0052】
熱交換器内にある全てのパイプ14は、液体窒素で充填され得る。好ましくは、2つのパイプ14に液体窒素が充填される。液体窒素が充填された熱交換器内にある複数本のフィン付きパイプは、好ましくは、重力方向に沿って最上部にある複数のパイプである。排気口側の重力方向に沿って最も高い位置にある2つのパイプは、液体を充填する目的で使われる。この方法によって、冷却対象の空気の流れと窒素の流れとの間の逆方向の流れが、交わる流れに重ねられる。
【0053】
好ましくは、流体が充填されてねじられた星形部品が内部に配置されたフィン付きパイプ14の下流側に、相分離器24が接続される。相分離器24は、パイプ内面と接触せずに、或いは不十分な接触しかせずに、気化しなかった、いかなる液体をも集める。複数の相分離器は、好ましくは、水平圧力容器として構成されている。入り口側パイプは、好ましくは、鉛直上方に面した容器表面から短い距離だけ下がった位置で、端面を通って配管される。複数の出口側パイプは、入口側パイプの反対側にあり、出口側パイプは、好ましくは、むしろ下にある容器表面より短い距離だけ重力方向上方の位置で、端面を通って配管される。
【0054】
相分離器24の働きは、同伴された液体成分を集めて、この集めた液体成分を、フィンを有する後続のパイプ(フィン付きパイプ)の上述した下方の出口側パイプを通して熱交換器へ戻すことである。気化されずに集められたいかなる窒素も、好ましくは、排気側の重力方向に沿って最も低い位置にある2本のフィン付きパイプへ戻される。
【0055】
ねじられて内部に置かれた棒状部品22を備えた下流のフィン付きパイプ14は、窒素ガスのための予備加熱器として働く。窒素ガスを規定されている排出ガス温度まで加熱するため、n本のパイプを下流側に接続可能である。好ましくは、6本のパイプが予備加熱器として使われ、この場合、相分離器からの2本の戻りパイプも、その数に含まれる。
【0056】
好ましくは、熱交換器も、また、予備加熱器としてのみ使用可能である。この目的のため、入り口におけるガス温度は、冷却予定のチャンバー内の空気の温度よりかなり低くすべきである。
【0057】
パイプ14の内部から凍結解除のための熱入力をすることが、工程技術の理由から、不可能であるため、電熱手段が設けられている。この凍結解除のための加熱は、いかなる氷着をも消散し得る。特に、この場合生じる−196℃から+100℃への温度変動は、特別な特性を有する加熱法とパイプを必要とする。凍結解除のための電気的加熱手段には、好ましくは、少なくても2本から40本、例えば9本の銀メッキ銅縒り線が必要とされ、それぞれの場合に於いて銅縒り線の直径を0.1mmから0.5mm、例えば0.25mmにすることができる。これら銅縒り線は、電気的絶縁性を与えるため、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)のようなポリマーで出来た被覆に入っている。PTFE被覆を備えた銀メッキ銅縒り線が、フィン付きパイプのベースまで、複数のフィン17の間でらせん状に巻き付けられており、それにより、各フィン17とフィンのベースの間で、フィン付きパイプの銅と加熱ケーブルとの間に接触が達成される。この方法によって、熱交換器全体の凍結解除のための均一な熱分布が可能である。
【0058】
熱交換器全体にわたる空気の流れを規定するため、熱交換器用ハウジング29がカバーフードとして設計されており、このカバーフードは、一方で、結露水の捕集タンク31として機能し、他方で、熱交換器30内における空気の流路を確保する。加えて、熱交換器用ハウジング29は、目的とする様式に従って空気の抜き取り方向を決める。空気の抜き取り方向は、熱交換器のフードに複数の破壊部位を設ける処置により、前方に、又は任意に左に右に、又は左と右同時に、必要に応じて設定できる。つまり、フードの複数の破壊部位のうち所望する空気の抜き取り方向を指し示す破壊部位が、求めに応じて即座に破壊されて開かれる。例えばポリスチレンとポリエチレンを組み合わせたプラスチックなどで出来た熱交換器ハウジングが、大きな温度差のため、好ましくは選択される。このような素材の組み合わせは、その小さな熱変形によって特徴付けられている。さらに、このような材料は、即座に成形でき、外面への結露を避けるための内側の断熱の可能性を備えている。
【0059】
熱交換器および正確には気化器は、効果的には、液化ガスの気化のための熱の伝達を最適化するための装置、特に、低温液体窒素のための装置を備えており、この装置は、空気冷却器として機能する。このため、熱交換器および特に気化器は、らせん状に巻かれた起伏のあるフィンを外側に有する複数本のフィン付きパイプを備えている。この場合、熱交換器のパイプとフィンの素材の組み合わせは、特に、同質の金属により形成されている。これら同質の材料は銅にできる。特に、フィン付きパイプの内側では、パイプの横断面をn個に分割する整流部材が用いられる。これら複数の分割された部分は、丸の分割された部分の形状を成し得、および/或いは、1つの丸の分割された部分は、角度を持ってパイプの中心からパイプの内面まで延びることができる。パイプの内側に最も大きい空間的容積を効果的に形成する他の幾何形状も適用可能である。多方に放射状に延びる断面形状を内側の断面形状に採用するのが効果的であり、特に、内部に配置された星形断面の形状をした5本の放射状の断面形状を採用するのが効果的である。フィン付きパイプの内部に配置された構造物の断面形状を長手軸に対して変形させる特別な選択があり、その結果として、パイプの中心に向かってだんだん細くなるらせん状の流通路がパイプの内部に形成される。フィン付きパイプの内部にあるこのような整流部材は、パイプの横断面を少なくとも1度分割できる。効果的には、少なくとも1度パイプの横断面を分割するフィン付きパイプの内部にある整流部材は、少なくとも2つのらせん状の流通路がパイプの内部に形成されるようにらせん状にねじられている。液体窒素が充填される上述した複数のパイプは、効果的には、排気側の重力方向に沿った最上部の複数のパイプである。上述した複数のフィン付きパイプは、効果的には、それぞれの場合において、その両端で、銅製の端部のフィンに半田付けされる。水平相分離器24は、圧力容器として、上述した端部のフィンに形成および/或いは溶着可能である。上述した相分離器24へ挿入される入口側パイプは、圧力容器の表面から下に短い距離だけ離れた上述した端面の上部領域で、相分離器内へ導入可能である。出口側パイプは、圧力容器の表面より上方に僅かに離れた位置で、相分離器の端面の低い領域から配管可能である。熱交換器のプラスチック部品は、圧縮成形または引抜き成形により、熱可塑性プラスチック(好ましくはポリエチレン、PE)から形成可能である。ポリスチレン/ポリエチレンの材料の組み合わせは、高い温度差の見地から、そして断熱の必要性から、効果的である。
【0060】
本発明に密接に関わる多種多様な追加の実施例が以下に述べられる。個々の実施例は、それぞれの場合において個々に適用可能であり、言い換えると、互いに独立しており、或いは必要に応じて互いに組み合わせることができる。また、これらの実施例は、既に説明した実施例と組み合わせることもできる。
【0061】
動作の信頼性、エネルギー効率の信頼性の観点から、特に効果的な可動冷蔵輸送手段2は、少なくとも1つの冷却チャンバー4を収容した冷却チャンバーハウジング3、液化ガスのためのタンク5、冷却チャンバー4へ冷気を解放する際に液化ガスを気化するための気化器1、および、気化されたガスのための排出パイプ6を有する。上述した気化器1は、冷却チャンバー4の外側に配置されている。上述した気化器1からの冷気は、効果的には、複数の流通路7を介して、冷却チャンバー4から気化器1へ運ばれ、または気化器1から冷却チャンバー4へ運ばれた冷却された空気へ解放される。特に、この目的のため、冷却チャンバー4の外側に通風機8が設けられ、それに関連して、通風機8と気化器1が冷却モジュール10として冷蔵輸送手段2に取り付け可能である。冷蔵輸送手段2は、特に、少なくても0℃より低く、特に−10℃より低い温度にするための少なくとも1つの第1の冷却チャンバー4、および、0℃より高く、特に+4℃から+10℃の間の温度にするための少なくとも1つの第2の冷却チャンバー9を1つ有する。気化器1は、冷蔵輸送手段2の上方領域11、特に屋根或いは正面に配置可能である。タンク5は、冷蔵輸送手段2の下方領域12、特に冷蔵輸送手段2の下側に配置可能である。タンク5には、特に、圧力増強手段13を伴う圧力制御装置38が設けられている。圧力増強手段13は、例えば、液化ガスを気化器1へ送り出す電熱手段である。効果的には、冷却システム、特に、気化器1の気密試験手段20が設けられている。必要とする加熱エネルギーは、大気温熱から取り込み可能である。
【0062】
可動冷蔵輸送手段2の冷却チャンバー4を冷却するための効果的な方法は、以下の工程を有する。即ち、液化ガスをタンク5から移動させて冷却チャンバー4の外側に配置された気化器1へ供給する工程、冷却のための冷気の流れを冷却チャンバー4から除去する工程、気化器1内で液化ガスを気化させて、冷気の流れを冷却するための冷却成分の少なくとも一部を利用する工程、および、冷却された冷気の流れを冷却チャンバー4内へ導入する工程を有する。
【0063】
冷気の高い利用率を達成する目的で、液化ガスのためのタンク5を有する冷蔵輸送手段2のための特に効果的な熱交換器30は、液化ガスの流れの受け入れ、および液化ガスの少なくとも一定量の気化のための少なくとも1つのパイプ14を有し、パイプ14は、少なくともいくつかの区間で、長手軸19を有する。また、熱交換器30は、液化ガスのための入口26、および少なくとも部分的に気化されたガスのための出口25を有する。そして、出口25には、排出パイプ6が、流れを許容するような方法で接続されている。また、パイプ14内部には、乱流の発生を目的とし、或いは液相と気相の放射状の分離を目的とした複数の構成部品18が配置されている。パイプ壁23上のガスインターフェース層の厚さは、乱流によって減少され、この結果として、液化ガスとパイプ壁との熱接触が改良される。特に、複数の構成部品18は、この場合、パイプ14内の複数の整流部材21によって構成されており、特に、長手軸19に沿って延びた複数本の棒状部品22又は複数の細長い板片によって構成されている。これら複数の棒状部品22や細長い板片は、効果的には、星形断面を有し、特に少なくても2つ、好ましくは少なくとも3つ、例えば少なくとも5つの放射状の断面形状を有する腕を有する。上述した複数の整流部材21は、長手軸19に沿ってねじられた状態で延設可能である。また、これら複数の整流部材21は、起伏を付けられた状態で、長手軸19に沿って延設可能である。パイプ14は効果的にはパイプ壁23を有し、このパイプ壁23は、特徴付けられ、特に長手軸19に沿って起伏或いは変位されている。このパイプ14は、その横断面がパイプ14に沿って変化可能である。特に、第2のパイプ位置16におけるパイプの第2の横断面上に、第1のパイプ位置15におけるパイプの第1の横断面を投影した場合の突出面は、パイプの内部横断面の90%より少なく、特に70%より少なく、好ましくは50%より少ない。この場合、上述した第1および第2の位置は、パイプの長手方向に沿って100mmずれている。
【0064】
パイプ14は、特に、その外側に巻かれた複数のフィン17を有することができ、これら複数のフィン17は、らせん形状および/或いは起伏の形で巻装されている。このパイプ14および複数の構成部品18は、特に、同質の材料、特に銅により形成され、流体伝達パイプの外側から、1つの部品から、特に、プレス成形され、溶接され、或いは半田付けされる。熱的に引き起こされるひずみは、この方法によって減少される。上述した複数の構成部品18は、パイプ14の内部横断面を、少なくとも2つ、特に少なくても3つ、好ましくは少なくても5つの断面部分に分割可能である。この方法によって、パイプの容積に対する壁の総表面積の割合は改良される。特に、パイプ内側の上述した上述した各横断面は、放射状に外側に向かって延びている。液化ガスを気化ガスより分離するための相分離器24が備えられており、この相分離器24が、流れを許容するような方法で、出口25に接続されている。この相分離器24は、圧力容器として形成可能である。液化ガスの入口26は、少なくとも部分的に気化されたガスのための出口25の重力方向上方に配置可能である。熱交換器30は、効果的には、パイプ14の周囲にらせん状に巻かれた電熱手段28を有する。この方法によって、熱交換器上に形成されたどんな氷でも除去することができる。集まった水を収集する捕集タンク31は、パイプ14の下方に配置可能であり、この捕集タンク31は、特に、加熱部材32を有する。熱交換器30は、特に、熱可塑性プラスティックで形成された熱交換器用ハウジング29を有する。この熱交換器用ハウジング29は、熱交換器30内の気流の流れ位置を保証する。熱交換器30には、特に、降滴の侵入を防ぐのが目的である防止縁34を有する排出口33が設けられている。この防止縁34の働きにより、解凍された水が複数の流通路7内へ吹き込むこと、およびそこで氷結することを防止できる。効果的には、少なくとも1つの圧力センサ35が熱交換器30に設けられ、冷却システム、特に熱交換器30の気密試験のための手段20が設けられ、特に、温度センサ37が熱交換器30に設けられて気密試験のための手段20に電気的に接続されている。この目的のため、液化ガスのための配管システム内に正圧が形成され、この正圧が安定して残るかどうかの観測がなされる。圧力の降下は漏洩を示す。上述した複数の温度センサは、圧力測定に影響を及ぼす液化ガスがパイプ内に存在するかどうかを立証するために使用される。欠陥のある供給バルブに帰することができる一定圧力の可能性を排除するため、各バルブの機能試験もまた気密試験において実施される。このことは、試験対象となる空間からの圧力逃げの初期の救済となり、この試験空間にある大気圧の保護になる。これは、他の方法で保証されなければならない供給側の漏洩として、増大してはならない。
【0065】
安全に係わる性質の問題に関し、および技術的効率の理由のため、冷蔵輸送手段2の冷却システム45の気密性を監視するのに都合の良い第1の方法が、以下に示す工程を含んでいる。即ち、冷却システム45内部の少なくても第1の位置46における経時的な温度変化を記録し、第1の時間間隔内における第1の位置46のどんな温度変化をも決定する工程、および、この変化を第1の参照値と比較して、この変化が第1の参照値を超える場合、第1の警告信号を発する工程を含む。安全に係わる性質の問題に関し、および技術的効率の理由のため、冷蔵輸送手段2の冷却システム45の気密性を監視するのに都合の良い第2の方法が、以下に示す工程を含んでいる。即ち、冷却システム45の流路区間57を正圧に晒す工程、この流路区間57を閉塞する工程、この流路区間57における少なくとも第2の位置47において経時的な圧力変化を記録し、第2の時間間隔内における第2の位置47のどんな圧力変化をも決定する工程、および、この変化を第2の参照値と比較して、この変化が第2の参照値を超える場合、第2の警告信号を発する工程を含む。特に、圧力が増大したとき、この時間遅延に基づく第2の方法が繰り返される。もし圧力が設定最低圧力を下回ると、効果的には、追加の警告信号が与えられる。この場合、上述した第1の方法と更なる方法を合わせることが有利であり、更なる方法は、特に、第1の警告信号が発せられたとき、履行される。述した第1の参照値は、効果的には、1分間に20℃を超えない温度低下、特に1分間に10℃を超えない温度低下、例えば1分間に5℃を超えない温度低下に相当する。上述した第2の参照値は、特に、1分間に1バールを超えない圧力低下、特に1分間に0.5バールを超えない圧力低下、例えば1分間に0.2バールを超えない圧力低下に相当する。ラフな試験のため、上述した第1および第2の時間間隔は、例えば、1秒から300秒の間の時間間隔、特に50秒から180秒の間の時間間隔、例えば10秒から60秒の間の時間間隔を有する。正確な試験のため、上述した第2の時間間隔は、例えば、5分から24時間の間の時間間隔、特に30分から12時間の間の時間間隔、例えば1時間から4時間の間の時間間隔を有する。上述した気密の監視は、冷蔵輸送手段2の停止によって開始可能となる。第1および/或いは第2の警告信号は、インジケーター装置44によって、視覚的および/或いは音響的に示すことができる。上述した監視は、特に、上述した冷却システム45の凍結解除の間中に始められおよび/或いは実行される。
【0066】
代わりに或いは追加で、以下の連続的な工程を含む方法によって、冷却システム45の気密監視が可能である。
【0067】
a)タンクと以下の構成部品の内の少なくとも1つとの間のバルブ49を閉める工程:上記構成部品は、追加バルブ55の少なくとも同時に動作する開口を備えた熱交換器30および気化器1であり、上記追加バルブ55を介して、排出パイプ6への流れが関係した接続が可能であり、そして、上記バルブ49と追加バルブ55との間の圧力を計測する工程;
b)上記追加バルブ55を閉めて、上記バルブ49と追加バルブ55との間の圧力を計測する工程;
c)上記バルブ49を開けて、上記バルブ49と追加バルブ55との間の圧力を計測する工程。
【0068】
壊れていない完全なバルブ49および壊れていない完全な追加バルブ55である場合、上述した工程a)において、実質的に一定温度であると仮定すると、測定された圧力は、冷却システムの外側を取巻く圧力、通常は大気圧と一致すべきである。上述した工程b)において、測定された圧力は、経時的に一定であるべきだが、工程c)においては、圧力は平衡のとれた圧力まで上昇し、そして実質的に一定圧力が側定されるべきである。これらの圧力は、バルブ49、55の誤作動が検出できるように、特に、設定可能な参照値と比較可能である。
【0069】
少なくとも1つの冷却チャンバー4、9を有する冷蔵輸送手段2の冷却システム45を動作するための特に効果的な方法は、冷却システム45の気密試験のための2つの方法のうち少なくとも一方を有する。特に、冷却システム45は、通風機8を有し、通風機8は、冷却チャンバー4、9のドア48が開いた時、スイッチがオンにされる。
【0070】
冷蔵輸送手段2のための特に効果的な冷却システム45は、液化ガスのための少なくとも1つのタンク、少なくとも1つの気化器1、および冷却システム45の気密試験のための1つの手段20を有する。この手段20は、冷却システム45の気密試験のための2つの方法のうちの少なくとも一方を実施するための少なくとも1つの温度センサ37および/或いは少なくとも1つの圧力センサ35を備えている。特に、冷却チャンバー4、9には、ドア48と通風機8が備えられており、通風機8は、ドア48が開かれるやいなや機能し始める。特に、通風機8は、ガス漏洩が検出された時、および冷却チャンバー4、9のドア48が開かれた時に、機能し始める。
【0071】
特に効果的な冷蔵輸送手段2は、上述した冷却システム45を有する。
【0072】
本発明は、液化ガスのための気化器1を備えた冷蔵輸送手段2上の液化ガスのためのタンク5内に正圧を発生させるための装置および方法に関する。上述した気化器1は、液化ガスのための流路42を介してタンク5に流体を流すように接続されている。バルブ49は、上記流路42に配置されている。本発明の方法は、以下に示す工程を有する。即ち、バルブ49を開けて液化ガスをタンク5から流路42へ出す工程、液化ガス成分を流路42内に残してタンク5へ逆流可能なようにバルブ49を閉じる工程、および流路42内の液化ガス成分を加熱する工程を有する。本発明は、液化ガスの供給方法、および冷却システム内における液化ガスのためのタンク内に正圧を発生させるための装置に関する。この装置には、圧力を発生させるためのこの発明の方法が利用される。また、本発明によると、冷蔵輸送手段に積んだ製品の特に効率的な、そして確実な冷却が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、この発明による冷蔵輸送手段の側面図である。
【図2】図2は、この発明による冷蔵輸送手段の気化器を示す概略断面図である。
【図3】図3は、図1の冷蔵輸送手段の気化器を示す立体斜視図である。
【図4】図4は、図3の気化器の側面図である。
【図5】図5は、図3および図4の気化器の平面図である。
【図6】図6は、図3の気化器のパイプを示す平面図である。
【図7】図7は、図6のパイプの断面斜視図である。
【図8】図8は、図6および図7のパイプの断面図である。
【図9】図9は、この発明の冷蔵輸送手段の気化器のための更なるパイプを示す側面図である。
【図10】図10は、熱交換器のハウジングを示す概略斜視図である。
【図11】図11は、例えば図1の冷蔵輸送手段に使える種類の冷却モジュールを開いた状で示す立体斜視図である。
【図12】図12は、この発明の圧力発生システム、またはこの発明の漏れ試験システムを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…気化器
2…冷蔵輸送手段
3…冷却チャンバーハウジング
4…冷却チャンバー
5…タンク
6…排出パイプ
7…流通路
8…通風機
9…冷却チャンバー
10…冷却モジュール
11…上方領域
12…下方領域
13…圧力増強手段
14…パイプ
15…第1のパイプ位置
16…第2のパイプ位置
17…フィン
18…構成部品
19…長手軸
20…熱交換器30および気化器1の気密試験手段
21…整流部材
22…棒状部品
23…パイプ壁
24…相分離器
25…出口側
26…入口側
27…冷却された空気
28…電熱器
29…熱交換器用ハウジング
30…熱交換器
31…捕集タンク
32…加熱部材
33…排出口
34…防止縁
35…圧力センサ
36…相分離器24の供給流路
37…温度センサ
38…圧力制御装置
39…冷却のための冷気
40…相分離器24のための戻り流路
41…渦を巻く構造
42…液化ガスのための流路
43…電気配線
44…インジケーター装置
45…冷却システム
46…第1の位置
47…第2の位置
48…ドア
49…バルブ
50…前面
51…熱架橋
52…通風機のためのモーター
53…温度センサ
54…液化ガスの流れ方向
55…追加バルブ
56…排出ガス
57…流路区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスのための気化器(1)を備えた冷蔵輸送手段(2)に搭載された液化ガスのためのタンク(5)内に正圧を発生させるための方法であって、
上記気化器(1)が液化ガスのための流路(42)を介して流体を流すように上記タンク(5)に接続され、上記流路(42)の途中にバルブ(49)が配置され、
液化ガスが上記タンク(5)から出て上記流路(42)内へ送り込まれるように上記バルブ(49)を開く工程と、
液化ガスの成分が上記流路(42)内に残り且つ上記タンク(5)内へ逆流可能にするよう上記バルブ(49)を閉じる工程と、
上記流路(42)内の上記液化ガス成分を加熱する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
上記流路(42)内の液化ガス成分は、少なくとも一部が気化される方法で加熱されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記バルブ(49)を閉じたとき、当該バルブ(49)の上流の上記流路(42)において、上記タンク(5)の容積の少なくとも1/1500、特に、少なくとも1/700、例えば少なくとも1/300の容積の液化ガスが封入されることを特徴とする請求項1または請求項2のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
上記加熱工程によって、少なくとも10%、特に、少なくとも20%、例えば少なくとも50%、或いは少なくとも80%の上記流路(5)内に残った液化ガス成分が気化することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記加熱は、上記流路(42)上への大気からの熱によって起こることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
タンク(5)から重力方向に沿ってより高い位置にある冷蔵輸送手段(2)の気化器(1)へ液化ガスを供給する方法であって、
上記気化器(1)が、流れを許容する方法で、液化ガスのための流路(42)を介して、上記タンク(5)に接続されており、バルブ(49)が、上記流路(42)の途中に配置されており、
請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の方法に従って上記タンク内に正圧を発生させる工程と、
上記バルブ(49)開いて、上記正圧によって、上記液化ガスが上記気化器(1)内へ押し込まれることを許容する工程と、
を有する方法。
【請求項7】
上記バルブ(49)は、断続的な方法で開かれることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
液化ガスのための気化器(1)を備えた冷蔵輸送手段(2)に搭載された液化ガスのためのタンク(5)内に正圧を発生させるための装置であって、
上記気化器(1)が液化ガスのための流路(42)を介して流体を流すように上記タンク(5)に接続され、上記流路(42)の途中にバルブ(49)が配置され、
請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の方法を実行するための制御手段を有する装置。
【請求項9】
上記バルブ(49)上流の上記流路(42)内の容積は、上記タンク(5)内の容積の少なくとも1/1500、特に、少なくとも1/700、例えば少なくとも1/300であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
上記流路(42)は、断熱構造を有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
上記流路は、上記バルブ(49)上流に熱架橋(51)を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの冷却チャンバー(4、9)、液化ガスのためのタンク(5)、および液化ガスの気化と上記冷却チャンバー(4、9)への冷気の放出のための気化器(1)を有する冷蔵輸送手段(2)のための冷却システム(45)であって、
上記気化器(1)が液化ガスのための流路(42)を介して流体を流すように上記タンク(5)に接続され、上記流路(42)の途中にバルブ(49)が配置され、
圧力を発生するための請求項8乃至請求項11のうちいずれか1項に記載の装置が設けられていることを特徴とする冷却システム。
【請求項13】
請求項12に記載の冷却システム(45)を有する冷蔵輸送手段(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−533608(P2009−533608A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503727(P2009−503727)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051443
【国際公開番号】WO2007/116381
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】