説明

凍結防止用粉粒体及び凍結防止施工方法

【課題】
中空粒子を含有した蓄熱効果及び遮熱効果のある塗料をコーティングした粉粒体で、道路や遊歩道及び公園や庭等のような広い場所に散布して使用することができ、しかも簡便な方法で凍結もしくは霜害を防止できる効果を長期間にわたって維持できる凍結防止用粉粒体及びこの粉粒体を用いた凍結防止施工方法を提供することを課題とする
【解決手段】
中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料により粉粒状の被着体表面をコーティングしてなることを特徴とする凍結防止用粉粒体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料を粉粒体にコーティングした路面の凍結防止や庭の芝生等の霜害防止に用いる凍結防止用粉粒体と該凍結防止用粉粒体を散布する施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や遊歩道等の表面は、雪が降ったり、凍結状態になると車両走行及び歩行に支障をきたすため、その防止策が講じられている。例えば、塩化カルシウムや塩化ナトリウム等の塩類を主成分とする凍結防止剤を散布することが行われている。
しかしながら、これらの塩類を主成分とする凍結防止剤は車両等の金属部品に付着し、それらを腐食させるという弊害があり、更に、水に溶けて流れ出した塩類が、道路近くに生息している植物に対して、塩害を引き起こし、枯死させるといった弊害もある。
【0003】
また、塩化カルシウムや塩化ナトリウム等の塩類を主成分とした凍結防止剤は、庭、公園、競技場、ゴルフ場、競馬場の芝生等の植物の霜害に対しては植物が枯死するため使用できない。しかし、霜害を防ぐための寒冷紗等では蓄熱できる熱量が少なく、完全に霜害を防ぐことはできない。
【0004】
一方、蓄熱効果や遮熱効果のある塗料は盛んに研究され多数提案されている。蓄熱効果とは吸収した熱を外部に伝えにくくする断熱性のことを言い、遮熱効果とは太陽光などの光エネルギーを反射することを言う。
この蓄熱と遮熱の2通りの効果を有する塗料の例として、中央に空洞を持ったビーズなどの中空粒子を含有する塗料が提案されている(例えば特許文献1)。中空粒子を含有した塗料は蓄熱性及び遮熱性があるため、構造物の屋根、内壁、外壁、天井などの限られた部分に使用すると、吸収した熱を徐々に外部に放出し、凍結防止効果を有する。しかしながら、道路や遊歩道のような広い場所には塗装する手間がかかり、また、十分な膜厚を得ようとすると何回も塗り重ねる必要があるため時間がかかる。まして、庭や公園などの芝生等の植物には使用することができない。また、外部にさらされているため、塗料が劣化すると、蓄熱効果や遮熱効果が弱まり、そのような場合には再度塗料を塗り直すという作業が必要である。
【0005】
このような現状に鑑み、道路や遊歩道などの広い場所であっても簡便に使用でき、また、庭や公園などの芝生等の植物に対しても植物を枯死させず使用可能で、しかも簡易な方法で凍結や霜害を防止する効果を長期間にわたって維持させることができる凍結防止用の素材の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−323197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、中空粒子を含有した蓄熱効果及び遮熱効果のある塗料(以下蓄熱遮熱塗料と称する)をコーティングした粉粒体で、道路や遊歩道及び公園や庭等のような広い場所に散布して使用することができ、しかも簡便な方法で凍結もしくは霜害を防止できる効果を長期間にわたって維持できる凍結防止用粉粒体及びこの粉粒体を用いた凍結防止施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料により粉粒状の被着体表面をコーティングしてなることを特徴とする凍結防止用粉粒体に関する。
請求項2に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含まれる中空粒子が塗料の0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項3に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項4に係る発明は、前記蓄熱遮熱塗料に含まれる顔料が赤外線反射顔料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項5に係る発明は、前記被着体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体に関する。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体を凍結防止対象物の表面に散布することを特徴とする凍結防止施工方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、表面を、中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料でコーティングした凍結防止用粉粒体であるから、塗料中の中空粒子が表面および空隙のある内面において赤外線の一部を反射するため、粉粒体の表面付近の温度上昇は抑制されるが、中空粒子を透過した赤外線は被着体を熱し、その熱は中空粒子の空気層による保温効果によって蓄熱することができる。また、該凍結防止用粉粒体を路面や庭や公園などの地面に散布することで、被着体に蓄熱された熱と中空粒子の空気層による保温効果によって地面に蓄熱された熱が徐々に放熱され、長時間にわたって路面や地面の凍結を防ぐことができる。
請求項2に係る発明によれば、塗料に含まれる中空粒子が0.1〜50重量%であることによって、赤外線を反射して中空粒子の表面の温度を下げることができ且つ、コーティング層を透過した赤外線は、被着体内で熱エネルギーに変換され中空粒子の断熱効果により蓄熱されるため、蓄熱性の良い凍結防止用粉粒体となる。
請求項3に係る発明によれば、蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とするものであるから、強度が強く、塗料と混練しても破壊されずに塗料の中で中空粒子を維持することができる。
請求項4に係る発明によれば、蓄熱遮熱塗料中に赤外線を反射する顔料を含有するために、より一層赤外線を反射するので、凍結防止用粉粒体の表面の温度を下げることにより、粉粒体を散布した路面等の温度上昇を緩やかなものにできる。
請求項5に係る発明によれば、前記粉粒体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とするものであるから、廃材を利用して、凍結防止用粉粒体を作製することができる。
請求項6に係る発明によれば、凍結防止用粉粒体を、適宜散布することを特徴とする凍結防止施工方法であるから、非常に簡便に凍結や霜害を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る凍結防止用粉粒体の概略断面図である。
【図2】本発明に係る凍結防止用粉粒体を路面に散布した時の概念図である。
【図3】本発明に係る凍結防止用粉粒体の蓄熱性の測定結果を示すグラフである。
【図4】塗料に含有される中空粒子の添加量を変化させた際の表面温度を測定した結果を示すグラフである。
【図5】屋外、屋内での本発明の凍結防止用粉粒体の温度変化を測定した際に使用した実験道具の概略図であってAは実施例1及び2、Bは比較例1及び2を測定したものである。
【図6】本発明に係る凍結防止用粉粒体とスラッグの温度上昇及び温度低下を比較した結果を表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に係る凍結防止用粉粒体について図1及び図2を用いて説明する。
本発明に係る凍結防止用粉粒体(4)は、被着体(3)の表面に中空粒子(2)を含有する塗料(1)をコーティングしてなる。塗料(1)には中空粒子(2)が含有されているため、赤外線の一部を中空粒子(2)が反射して凍結防止用粉粒体の表面温度は低くなる。しかしながら中空粒子(2)によって反射されなかった赤外線は被着体(3)に達し、被着体(3)内で熱エネルギーに変換され被着体(3)の温度を上昇させる。また、反射されなかった赤外線は路面(5)に達し、路面(5)の温度を上昇させる。被着体(3)及び路面(5)の熱エネルギーは中空粒子(2)によって蓄熱される。中空粒子(2)によって蓄熱された熱エネルギーは徐々に放出されるので、路面(5)を凍結させることがない。
尚、本発明の凍結防止用粉粒体(4)は、凍結防止用のみならず、本発明の凍結防止用粉粒体を散布した路面の表面温度上昇を抑える作用も併せ持つ。塗料中に含まれる中空粒子(2)が赤外線の一部を反射するからである。従って冬に散布した凍結防止用粉粒体(4)を夏においても取り除く必要がない。
【0012】
塗料に含まれる中空粒子(2)の割合は0.1〜50重量%であることが好ましい。さらに好ましくは1〜10重量%である。0.1重量%より少なければ蓄熱できる熱エネルギーが少ないため、長時間凍結防止効果を有さず、また50重量%より多ければ蓄熱遮熱塗料の被着体(3)への密着性が低くなって剥がれやすくなるためである。
【0013】
塗料に含まれる中空粒子(2)は内部に空隙を有するものであれば特に限定されないが、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。中でも樹脂ビーズが好適に用いられる。塗料(1)と混練した時に壊れにくく、均一に分散しやすいからである。尚、空隙が真空状態である中空粒子(2)はさらに蓄熱できる割合が高いため好ましく用いられる。
【0014】
また、中空粒子(2)の直径は1μm〜100μmが好ましい。1μmより小さければ凝集してしまい塗料(1)中に均一に分散されず、また、100μmより大きければ蓄熱遮熱塗料の被着体(3)への密着性が低くなって剥がれやすくなってしまうため、いずれの場合も好ましくないからである。
【0015】
塗料(1)に含まれる顔料は特に限定されないが、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、酸化亜鉛等の無機及び有機顔料を用いることができるが、分光反射率の高い赤外線反射顔料が好ましく用いられる。赤外線を反射して凍結防止用粉粒体(4)の表面温度を下げて、凍結防止用粉粒体を散布した路面の温度上昇を緩やかにすることができるからである。
【0016】
被着体(3)は蓄熱遮熱塗料と密着するものであれば限定されないが、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス粉砕品、貝殻粉砕品、ゴムチップ、セラミック等が好適に用いられる。また、上記の物は廃材として処理されるものでよいので、廃材を有効に利用することができ、コストがかからない。
更に形態は蓄熱遮熱塗料と密着する形態であれば特に限定されず、球状、棒状、板状等適宜の形状を選択できる。
形態が球状である場合には、平均粒径は1mm〜10mmであることが好ましく、1mm〜2mmであることがさらに好ましい。1mmより小さければ、風等によって散布された凍結防止用粉粒体(4)が散ってしまう虞があり、10mmより大きければ被着体(3)にコーティングされる蓄熱遮熱塗料の量が、粒径が小さい場合に比べて相対的に少なくなるので、蓄熱できる熱エネルギーが少なくなり長時間に渡って凍結防止効果を維持できないからである。
【0017】
塗料(1)に含まれる樹脂は中空粒子(2)と混練し均一に分散できるものであれば特に限定されない。例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、フッソ樹脂、シリコン変性樹脂の少なくとも1種以上が好ましく用いられる。中でもアクリル樹脂が扱いやすいためにより好ましく用いられる。
また、必要に応じて硬化剤を使用しても良い。硬化剤としては酸、イソシアネート、メラミン樹脂の1種以上を含有する物から適宜選択することができる。
【0018】
被着体(3)を蓄熱遮熱塗料でコーティングする厚さは1μm〜1mmで、より好ましくは20μm〜100μmである。1μmより薄ければ蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子(2)が少なく蓄熱できる熱エネルギーが小さいため、長時間凍結防止効果を有さず、1mmよりも厚ければ被着体(3)と蓄熱遮熱塗料とが剥がれやすくなっていずれの場合も好ましくないからである。
【0019】
その他に防腐剤、防黴剤、防錆剤などを混合することもできる。
【0020】
本発明の凍結防止用粉粒体(4)を用いた凍結防止施工方法は、凍結防止用粉粒体(4)を道路、遊歩道、庭等の凍結防止対象物の表面に適量散布することで行えるため非常に簡便である。自然環境によって該凍結防止用粉粒体(4)の量が少なくなることにより、凍結防止効果が減少した場合においても、再度散布することによって凍結防止効果を維持することができる。
以下に本発明を、実施例を用いて説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
(蓄熱試験)
被着体として蘭用培養土を用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。樹脂ビーズは塗料中8重量%となるように含有させた。顔料は二酸化チタンを8重量%混合した。
この蓄熱遮熱塗料を被着体である蘭用培養土に平均40μmの厚みとなるようにコーティングした。
試験方法はポリカップに上記蓄熱遮熱塗料でコーティングした本発明に係る凍結防止用粉粒体と、蓄熱遮熱塗料でコーティングしていない蘭用培養土を入れて、表面から3.5cm、5.0cm、6.5cm、8.0cmの位置に温度計を設置した。室温を23℃に保った部屋で、125Wの家畜用赤外線ランプを各試験体との距離が30cmで、均等に赤外線が照射されるように設置し、赤外線ランプで350分照射し、照射時350分及び消灯後400分間の温度の変化を測定した(図3)。表面の温度は照射350分後に赤外線カメラで測定した。その結果凍結防止用粉粒体の表面温度は45.4℃であるのに対して、蘭用培養土の表面温度は48.1℃であり、凍結防止用粉粒体の表面温度の方が低かった。
尚、図3中A〜Dが本発明に係る凍結防止用粉粒体の測定値を表わしており、E〜Hが蓄熱遮熱塗料でコーティングしていない蘭用培養土の測定値を表わしている。
この結果より、本発明の凍結防止用粉粒体は赤外線照射時においてコントロールである蘭用培養土に対して表面及び浅い個所の温度上昇は低いが、深い個所の温度上昇は高くなることが分かった。従って、長時間に渡って凍結防止効果を維持できることが示された。
【0022】
(凍結防止用粉粒体の表面温度変化について)
被着体としてエチレンプロピレンゴムシート(EPDM)を用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。顔料は二酸化チタン、フタロシアニングリーン、酸化鉄をそれぞれ4重量%、2重量%、0.5重量%混合した。
含有させる中空粒子の量は塗料に対して0重量%、2重量%、4重量%、6重量%、8重量%含有させた。
上記の割合で中空粒子を含有させた蓄熱遮熱塗料を夫々ゴムシートに刷毛で125g/mになるように塗装を行った。
試験方法は、未塗装のゴムシートをコントロールとして、各試験体を並べて、室温を23℃に保った部屋で、125Wの家畜用赤外線ランプを各試験体との距離が30cmで、均等に赤外線が照射されるように設置した。該赤外線ランプを30分間照射した後、表面温度を赤外線カメラで測定した。結果を図4及び表1に示す。これにより樹脂ビーズの含有率が上がれば、凍結防止用粉粒体で塗装したゴムシートの表面の温度が上昇しないことが示された。従って、凍結防止用に散布した本発明の凍結防止用粉粒体は、夏の日差しが強い場合においては、粉粒体の表面の温度を下げるという役割も併せ持つため、路面等の温度上昇を抑える効果があり、夏の路面等の温度が上昇する時期においても取り除く必要がない。
【0023】
【表1】

【0024】
(屋外における凍結防止用粉粒体の温度変化試験)
被着体として廃タイヤを平均粒径1〜2mmに粉砕したゴムチップを用いた。蓄熱遮熱塗料の樹脂はアクリル樹脂を用い、含有させる中空粒子としては樹脂ビーズを用いた。樹脂ビーズは塗料中8重量%となるように含有させた。
顔料は二酸化チタン、フタロシアニングリーン、酸化鉄をそれぞれ4重量%、2重量%、0.5重量%混合した。
この蓄熱遮熱塗料を被着体であるゴムチップに平均40μmの厚みとなるようにコーティングした。
試験に用いた実験道具を図5に示す。図5に示すように20cm×20cmの木枠(34)の底部の中心に温度計(31)を設置した。その上に蓄熱遮熱塗料をコーティングしていないゴムチップ(33)を2.5cmの厚みになるまで敷き詰めた。その上に温度計(32)を設置し、本発明に係る凍結防止用粉粒体(4)を1.0cmの厚みになるように敷き詰めたものを実施例1とした(図5A)。また、蓄熱遮熱塗料でコーティングしていないゴムチップを3.5cmの厚みになるように敷き詰めたものを比較例1とした(図5B)。表面の温度は赤外線カメラで測定した。
屋外で36時間放置し温度変化を測定した。その結果を表2に示す。表の値は測定された値の最高値を表わしている。
表2によると、本発明に係る凍結防止用粉粒体を敷き詰めた実施例1は塗料中の中空粒子が赤外線を反射するため、表面の温度が比較例と比べて低く、比較例と実施例との温度差が−7.5℃であった。また、表面から1.0cmの場所の温度差は−3.8℃、表面から3.5cmの場所の温度差は−1.5℃、と深くなるほど温度差が縮まることから蓄熱性もあることが示された。よって、路面の凍結を防止するために散布した本発明に係る凍結防止用粉粒体は、路面温度が上昇する状況下であっても取り除くことなく散布したままにすることができる。
【0025】
【表2】

【0026】
(屋内における凍結防止用粉粒体の温度変化試験)
前記屋外における凍結防止用粉粒体の温度変化の測定実験を同じ装置を用いて光条件を変え屋内で行った。
室温を23℃に保った部屋に125Wの家畜用赤外線ランプを試験体との距離が30cmになるように設置して、赤外線ランプで約2時間照射し、その後3時間放置した。
ゴムチップの上に本発明に係る凍結防止用粉粒体を敷き詰めたものを実施例2(図5A)、ゴムチップのみを敷き詰めたものを比較例2(図5B)とした。測定された温度の最高値を表3に示す。
この結果も屋外で行った実験と同様に実施例2の表面の温度が比較例2と比べて低いものとなり、また、各深さの温度差から蓄熱性もあることが示された。よって、路面の凍結を防止するために散布した本発明に係る凍結防止用粉粒体は、路面温度が上昇する状況下であっても取り除くことなく散布したままにすることができる。
【0027】
【表3】

【0028】
また、赤外線ランプを2時間照射した後、3時間放置した時の温度変化を図6に示す。図6によると本発明に係る凍結防止用粉粒体を表面に敷き詰めた場合、赤外線を照射しても温度は上昇し難いが、熱エネルギーを蓄熱して、温度が下がりにくいことが分かる。従って、凍結防止の効果を長く維持できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の凍結防止用粉粒体は、中空粒子を含有した蓄熱遮熱塗料をコーティングした粉粒体で、道路や遊歩道のような広い場所に散布するという簡便な方法によって使用することができ、且つ公園や庭の芝生等の植物も枯死させることなく霜害を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 塗料
2 中空粒子
3 被着体
4 凍結防止用粉粒体
5 路面
31 温度計
32 温度計
33 ゴムチップ
34 木枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空粒子を含有する蓄熱遮熱塗料により粉粒状の被着体表面をコーティングしてなることを特徴とする凍結防止用粉粒体。
【請求項2】
前記蓄熱遮熱塗料に含まれる中空粒子が塗料の0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の凍結防止用粉粒体。
【請求項3】
前記蓄熱遮熱塗料に含有される中空粒子が樹脂ビーズ、ガラスビーズ、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結防止用粉粒体。
【請求項4】
前記蓄熱遮熱塗料に含まれる顔料が赤外線反射顔料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体。
【請求項5】
前記被着体が、スラッグ、プラスチックチップ、コルクチップ、培養土、珪砂、ガラス、貝殻、ゴムチップ、セラミックの少なくともいずれか一種からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の凍結防止用粉粒体を凍結防止対象物の表面に散布することを特徴とする凍結防止施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−74335(P2011−74335A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230240(P2009−230240)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000126528)株式会社アサヒペン (14)
【Fターム(参考)】