説明

凝集溶剤を含有する電極インク

a)固体であって、i)触媒材料、及びii)ポリマー電解質を含む固体、b)水性溶剤、並びにc)凝集溶剤、を含む触媒インクが提供される。幾つかの実施形態では、凝集溶剤はアルカン、アルケン、アミン、エーテル及び所望として置換される芳香族化合物からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、凝集溶剤は部分フッ素化アルカン、部分フッ素化第3級アミン、完全フッ素化アルカン、及び完全フッ素化第3級アミンからなる群から選択される。もう1つの態様では、本開示は凝集溶剤を含む触媒層を含む燃料電池膜電極組立体を提供する。もう1つの態様では、本開示は、本開示の触媒インクをa)ポリマー電解質膜、及びb)多孔質導電性ガス拡散層のうち1つ以上に適用する工程を含む燃料電池膜電極組立体を製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2007年12月27日出願の米国特許仮出願第61/017061号の利益を主張するものであり、その開示の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は凝集溶剤を含有する電極インクを使用して燃料電池膜電極組立体を製造する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡潔に、本開示はa)固体であって、i)触媒原料、及びii)ポリマー電解質含む固体、b)水性溶剤、並びに、c)凝集溶剤を含む触媒インクを提供する。幾つかの実施形態では、凝集溶剤はアルカン、アルケン、アミン、エーテル及び所望により置換され得る芳香族化合物からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、凝集溶剤は部分フッ素化アルカン、部分フッ素化第3級アミン、完全フッ素化アルカン、及び完全フッ素化第3級アミンからなる群から選択される。触媒インクは典型的に、5〜30重量%の固体、更に典型的には10〜20重量%の固体を含む。水性溶剤は典型的には0〜50%のアルコール、0〜20%の多価アルコール、及び30〜100%の水を含む。触媒インクは典型的には5〜25重量%の凝集溶媒、より典型的には10〜20重量%の凝集溶媒、及び幾つかの実施形態では約15重量%の凝集溶剤を含む。
【0004】
もう1つの態様では、本開示は凝集溶剤を含む触媒層を含む燃料電池膜電極組立体を提供する。幾つかの実施形態では、凝集溶剤はアルカン、アルケン、アミン、エーテル及び所望により置換され得る芳香族化合物からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、凝集溶剤は部分フッ素化アルカン、部分フッ素化第3級アミン、完全フッ素化アルカン、及び完全フッ素化第3級アミンからなる群から選択される。
【0005】
もう1つの態様では、本開示は、本開示の触媒インクをa)ポリマー電解質膜、及びb)多孔質導電性ガス拡散層のうちの1つ以上に適用するステップを含む燃料電池膜電極組立体を製造する方法を提供する。
【0006】
本出願では:
ポリマー膜の中の添加物の「均一」分布は、添加物の存在量が、+/−90%を超えてばらつかないこと、より典型的には+/−50%を超えて、より典型的には+/−20%を超えてばらつかないことを意味し、
ポリマーの「当量」(EW)は、塩基の1当量を中和するポリマーの重量を意味し、
「多価カチオン」は、2+以上の電荷を有するカチオンを意味し、
「高フッ素化」は、40重量%以上、典型的には50重量%以上、より典型的には60重量%以上の量でフッ素を含有することを意味し、並びに
アニオン性官能基に関して「酸形態」は、プロトンにより中和されていることを意味する。
【0007】
「置換」は、化学種においては、所望の製品又はプロセスを干渉しない、従来の置換基によって置換されることを意味し、例えば、これらの置換基はアルキル、アルコキシ、アリール、フェニール、ハロ(F、Cl、Br、I)、シアノ、ニトロ等であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例で説明されるように、本開示の7つの膜電極組立体(MEA)及び1つの比較MEAのGDS性能を示すグラフ。
【図2】例で説明されるように、本開示の7つの膜電極組立体(MEA)及び1つの比較MEAの空気利用率性能を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、燃料電池電極、及びそれらの電極を含む膜電極組立体(MEA)を製造する方法を提供するもので、前記方法は改善されたコーティングの均一性と改善された燃料電池性能を示す。
【0010】
本開示に係わる膜電極組立体(MEA)又はポリマー電解質膜(PEM)は、燃料電池のような電気化学電池に有用である場合がある。MEAは、水素燃料電池のようなプロトン交換膜燃料電池の中心要素である。燃料電池は、水素などの燃料と酸素などの酸化剤との触媒された混合物によって使用可能な電気を生み出す電気化学電池である。典型的なMEAは、固体電解質として機能するポリマー電解質膜(PEM)(イオン導電膜(ICM)としても既知である)を含む。PEMの一方の面はアノード電極層と接触し、反対側の面はカソード電極層と接触する。典型的な使用では、プロトンが、水素酸化を介してアノードにおいて形成され、PEMをわたってカソードに輸送されて酸素と反応し、電極を接続する外部回路内に電流を流す。各電極層は、典型的には白金金属を含む電気化学触媒を含む。PEMは、反応ガス間に、耐久性のある無孔の非導電性機械的障壁を形成するが、それでもやはりHイオンを容易に通過させる。ガス拡散層(GDL)が、アノード及びカソード電極材料との間を行き来するガス輸送を促進して、電流を伝導する。GDLは、多孔質及び導電性の両方であり、典型的には炭素繊維から構成される。またGDLは、流体輸送層(FTL)又はディフューザ/集電体(DCC)と呼ばれる場合もある。幾つかの実施形態では、アノードとカソード電極層がGDLに適用され、触媒コーティングされた支持層(CCB)を形成し、結果として生じるCCBがPEMと挟まれ5層のMEAを形成する。5層MEAの5層は、アノードGDL、アノード電極層、PEM、カソード電極層、及びカソードGDLの順である。他の実施形態では、アノード及びカソード電極層をPEMの両側に適用し、結果として生じる触媒コーティングされた膜(CCM)を2つのGDL間に挟んで、5層MEAを形成する。
【0011】
本開示に係るPEMは、任意の好適なポリマー電解質を含んでいてもよい。典型的に、本開示において有用なポリマー電解質は、一般の骨格鎖に結合するアニオン性官能基を持ち、これは、典型的にスルホン酸基であるが、カルボン酸基、イミド基、アミド基、又は他の酸性官能基も含んでもよい。本開示に有用なポリマー電解質は高フッ素化されており、最も典型的にはパーフルオロ化されている。本開示において有用なポリマー電解質は、典型的にはテトラフルオロエチレン及び1種若しくはそれ以上のフッ素化、酸官能性コモノマーとの共重合体である。典型的なポリマー電解質としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標)(デュポンケミカルズ(DuPont Chemicals(商標))デラウエア州ウィルミントン)及びフレミオン(Flemion)(商標)(旭硝子社(Asahi Glass Co. Ltd.)、日本、東京)が挙げられる。ポリマー電解質は、本明細書に参考として組み込まれる米国特許出願第10/322,254号、同第10/322,226号、及び同第10/325,278号に記載されるテトラフルオロエチレン(TFE)並びにFSO−CFCFCFCF−O−CF=CFのコポリマーであってよい。ポリマーは、典型的には1200以下、より典型的には1100以下の当量(EW)を有する。幾つかの実施形態では、典型的には1000以下、より典型的には900以下、及びより典型的には800以下の非常に低いEWのポリマーを使用することができ、多くの場合、より高いEWポリマーを使用した場合と比較して性能が改善される。
【0012】
ポリマーは、任意の好適な方法により膜に形成することができる。ポリマーは、典型的には懸濁液からキャストされる。任意の好適なキャスティング法を使用してもよく、バーコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、ブラシコーティングなどが挙げられる。形成後、膜は典型的には120℃以上、より典型的には130℃以上、最も典型的には150℃以上の温度でアニールされてもよい。PEMの厚さは、典型的には50マイクロメートル未満、より典型的には40マイクロメートル未満、より典型的には30マイクロメートル未満、及び最も典型的には約25マイクロメートル未満である。
【0013】
本開示の幾つかの実施形態では、溶剤中又は懸濁液内の1つ以上のセリウム又はマンガン化合物を膜形成前、形成中、又は形成後にポリマー電解質又は膜に加えることができ、これは米国特許出願第2006/0063054 A1号、及び同第2006/0063055 A1号、及び米国特許出願第11/261053、同第11/262268号、及び(代理人整理番号61757US005)で開示されており、本明細書に援用されている。
【0014】
本開示に係わるPEMは、更に多孔質支持体、例えば膨張したPTFEの層又は同様なものを含んでもよく、ここで多孔質支持体の孔はポリマー電解質を含有する。本開示に係わるPEMは、多孔質支持体を含まなくてもよい。本開示に係るPEMは、架橋ポリマーを含んでもよい。
【0015】
任意の適切なGDLを本開示の実施に使用してもよい。典型的には、GDLは、炭素繊維を含むシート材料から構成される。典型的には、GDLは、織布及び不織布炭素繊維構造から選択される炭素繊維構造である。本開示の実施に有用であり得る炭素繊維構造としては、以下のもの、東レ(Toray)(商標)カーボン紙(Carbon Paper)、スペクトラカーボ(SpectraCarb)(商標)カーボン紙(Carbon Paper)、AFN(商標)不織カーボン布、ゾルテック(Zoltek)(商標)カーボン布(Carbon Cloth)などを挙げることができる。GDLには、様々な材料をコーティング又は含浸させてもよく、炭素粒子コーティング、親水性化処理、及び疎水化処理、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によるコーティングが挙げられる。
【0016】
CCMを製造するために、触媒インクはPEMにいずれかの好適な手段によって適用されてもよく、それには、ハンドブラッシング、ノッチバーコーティング、流体ベアリングダイコーティング、巻線ロッドコーティング、流体ベアリングコーティング、スロット供給ナイフコーティング、3ロールコーティング、又はデカール転写を含む手法及び機械による両方法が挙げられる。コーティングは、1回の付着作業又は複数回の付着作業で行うことができる。
【0017】
CCBを製造するために、触媒インクはGDLにいずれかの好適な手段によって適用されてもよく、それには、ハンドブラッシング、ノッチバーコーティング、流体ベアリングダイコーティング、巻線ロッドコーティング、流体ベアリングコーティング、スロット供給ナイフコーティング、3ロールコーティング、又はデカール転写を含む手法及び機械による両方法が挙げられる。コーティングは、1回の付着作業又は複数回の付着作業で行うことができる。
【0018】
任意の好適な触媒を本開示の実施に使用してもよい。典型的には、炭素担持触媒粒子が使用される。典型的な炭素担持触媒粒子は、50〜90重量%の炭素及び10〜50重量%の触媒金属であり、触媒金属は、典型的には、カソード用にPt、並びにアノード用にPt及びRuを2:1の重量比で含む。
【0019】
典型的には、触媒は、触媒インクの形態でPEM又はFTLに適用される。あるいは、触媒インクを転写基材に適用し、乾燥させ、その後にPEMに又はFTLに、デカールとして適用してもよい。幾つかの実施形態では、インクは複数の層として適用することができ、各層は同じ組成物を有するか、一部の層は異なる組成物を有する。触媒インクは、典型的には、PEMを含むポリマー電解質材料と同じであっても同じでなくてもよいポリマー電解質材料を含む。触媒インクは、典型的には、ポリマー電解質の分散液中に触媒粒子の分散液を含む。このインクは、典型的には5〜30%の固体(すなわちポリマー及び触媒)、より典型的には10〜20%の固体を含有する。電解質分散液は、典型的には水性分散液であり、これは、アルコール、並びにグリセリン及びエチレングリコールのような多価アルコールを更に含有してもよい。水、アルコール、及び多価アルコールの含有量は、インクのレオロジー特性を変えるように調整してもよい。インクは、典型的には、0〜50%のアルコール及び0〜20%の多価アルコールを含有する。加えて、インクは0〜2%の好適な分散剤を含有してもよい。インクは、典型的には、熱と共に撹拌し、その後、コーティング可能な稠度に希釈して製造される。
【0020】
本開示の触媒インクは更に凝集溶剤を含む。有用な凝集溶剤は典型的にインクに含まれるポリマー電解質に対し良好な親和性を有し、これは、溶剤がポリマーを膨潤する能力によって示すことができる。有用な凝集溶剤は、典型的にポリマー電解質を軟化したり、可塑化するよう作用する。有用な凝集溶剤は典型的にポリマー電解質のTgを低下させるよう作用する。有用な凝集溶剤は、典型的にポリマー電解質がより低温で膜を形成することを可能にする。インクに含まれるポリマー電解質が高フッ素化、又は全フッ素化されている場合は、有用な凝集溶剤もフッ素化され得る。インクに含まれるポリマー電解質が高フッ素化、又は全フッ素化されている場合は、有用な凝集溶剤も高フッ素化、又は全フッ素化され得る。有用な凝集溶剤は典型的により高い沸点を持つ化合物で、典型的には90℃を超える沸点を有し、より典型的には95℃を超える沸点を有し、より典型的には100℃を超える沸点を有し、より典型的には110℃を超える沸点を有し、より典型的には120℃を超える沸点を有する。有用な凝集溶剤は典型的には水に対する可溶性は低い。有用な凝集溶剤は、アルカン、アルケン、アミン、エーテル、又は所望として置換される芳香族化合物を含んでもよい。有用な凝集溶剤は部分、高、又は完全フッ素化アルカン、アルケン、アミン、エーテル、又は所望として置換される芳香族化合物を含んでもよい。有用な凝集溶剤は、ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能な3M(商標)ノベック(Novec)(商標)、又はフロリナート(商標)液などの、部分、又は完全フッ素化アルカン又は第3級アミンを含んでもよい。
【0021】
幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜50重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜40重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜35重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜30重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜25重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、1〜20重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、5〜25重量%の凝集溶剤を含有する。幾つかの実施形態では、本開示のインクは、10〜20重量%の凝集溶剤を含有する。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、出願者らは本開示の方法で凝集溶剤又は凝集添加剤を加えることは、泥土亀裂、乾燥、及び空隙などの欠陥を減らすことによりコーティングの均一性を向上させると考えている。こうした欠陥は主にインク内のアイオノマーが乾燥中に膜を形成することができないためであると考えられている。本開示の凝集添加剤を加えることは、アイオノマーの膜形成特性を改善し、その結果、コーティング欠陥を減らし、歩留まりを改善すると考えられている。
【0023】
本開示の幾つかの実施形態では、溶剤又は懸濁液内のセリウム又はマンガン化合物の1つ以上をMEAの製造前、途中、又は後に触媒に加えてもよい。
【0024】
本開示の幾つかの実施形態では、PEMは本開示の凝集溶剤又は凝集添加剤をを含む懸濁液又は溶液から形成、キャスティング、又は押出成形してもよい。
【0025】
MEAを製造するために、GDLを任意の好適な手段により、CCMのいずれの側に適用してもよい。別の方法として、CCBは任意の好適な手段によってPEMのいずれの側に適用してもよい。
【0026】
使用する際、本発明に係るMEAは典型的には、分配プレートとして既知の、またバイポーラプレート(BPP)又はモノポーラプレートとしても既知の2枚の剛性プレートの間に挟む。GDLのように、分配プレートは導電性でなければならない。分配プレートは典型的には、炭素複合材料、金属材料、又はめっき金属材料から製造される。分配プレートは、反応物質又は生成物質の流体を、MEA電極表面との間で、典型的には、MEAに面する表面内に刻印された、フライス削りされた、成形された、又は打ち抜かれた1以上の流体伝導チャネルを通って分配する。これらのチャネルは、流動フィールド(flow field)と呼ばれることもある。分配プレートは、スタック中の2つの連続的MEAに、並びにそれから流体を分配してもよく、一方の面は燃料を第1のMEAのアノードに導き、他方の面は酸化剤を次のMEAのカソードに導き(及び生成水を取り除き)、そのため「バイポーラプレート」と称される。あるいは、分配プレートは1つの側面上にのみチャネルを有して、その側面上においてのみ流体をMEAに又はそれから分配してもよく、これは「モノポーラプレート」と称されることがある。当該技術分野において使用されるとき、用語バイポーラプレートは、典型的にはモノポーラプレートもまた包含する。典型的な燃料電池スタックは、バイポーラプレートと交互にスタックされた複数のMEAを含む。
【0027】
本開示は、燃料電池の製造及び操作に有用である。
【0028】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
【実施例】
【0029】
他に言及のない限り、全ての試薬はウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co)から得られ、若しくは入手可能であり、又は既知の方法によって合成してもよい。
【0030】
以下の実験は、凝集添加剤を伴わない電極インクから製造された比較MEAの性能を凝集添加剤を伴う電極インクで製造されたMEAと比較したものである。
【0031】
比較例1−ベースライン触媒インク(凝集添加剤無し)
60.0gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。214.5gのナフィオン(登録商標)(3M ID11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。267.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶液と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。インクの分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにCIF07の識別番号が付与された。
【0032】
例2−FC−3283(パーフルオロエーテル添加剤)触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間冷却した。9.5gの3M(商標)フロリナート(商標)エレクトロニックリキッド(Electronic Liquid)FC−3283(米国、ミネソタ州セントポール、3M社)がインクに加えられた。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL002Sの識別番号が付与された。
【0033】
例3−FC−77(パーフルオロオクタン添加剤)触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。9.5gの3M(商標)フロリナート(商標)エレクトロニックリキッドFC−77(米国、ミネソタ州セントポールの3M社)がインクに加えられた。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL004Sの識別番号が付与された。
【0034】
例4−FC−40(パーフルオロトリブチルアミン添加剤)触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間冷却した。9.5gの3M(商標)フロリナート(Fluorinert)(商標)エレクトロニックリキッド(Electronic Liquid)FC−40(米国、ミネソタ州セントポールの3M社)がインクに加えられた。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL005Sの識別番号が付与された。
【0035】
例5−FC−70(パーフルオロトリアミルアミン添加剤)触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。9.5gの3M(商標)フロリナート(Fluorinert)(商標)エレクトロニックリキッド(Electronic Liquid)FC−70(米国、ミネソタ州セントポールの3M社)がインクに加えられた。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL006Sの識別番号が付与された。
【0036】
例6−ノベック7500触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。9.5gのノベック7500がインクに追加された。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL001Sの識別番号が付与された。
【0037】
例7−ノベック7300触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。9.5gのノベック7300がインクに追加された。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL003Sの識別番号が付与された。
【0038】
例8−プロピレングリコールブチルエーテル(PGBE、アルドリッチ)触媒インク
6gのNECC SA50BK担持触媒(50% Pt/C、ロットSOC00195)をビーカーに入れた。21.2gのナフィオン(登録商標)(3M ID 11−0021−3501−7、ロットSGW 06−07CS)の11%固体溶液がビーカーに加えられ、触媒粉末と混合された。26.5gの水がビーカーに加えられ、触媒粉末/アイオノマー溶剤と混合された。インク混合物はその後、加熱された攪拌プレート上に1時間置かれた。ホットプレートは100℃に設定され、電磁攪拌器の電源をオンにした。時計皿がビーカーの上に置かれた。触媒インクを加熱した後、10分間、冷却した。6.0gのPGBEがインクに追加された。インクと凝集添加剤の分散には、レベル3に設定されたVirTis Handishearが使用された。インクはコーティング前に室温になるまで冷却された。インクにEC07FXL007Sの識別番号が付与された。
【0039】
MEAは上記に記載のインクから、以下の手順を使って製造された。電極E452−6073LがすべてのMEAのアノードとして使用されたE452−6073Lは、2950のガス拡散層を使用した標準触媒コーティング支持体(CCB)である。カソードには、例1〜8のインクがPTFE処理されたカーボン紙ガス拡散層上にハンドブラッシングされた。0.4mg Pt/cmの目標荷重に達するまでに複数のコーティングが必要であった。目標荷重に達した後、電極は、溶剤の残留を完全になくすために、110℃の真空オーブン内で30分乾燥された。アノードとカソード電極がナフィオン膜(ロットTAM3M04092−1)に、カーバープレス(Carver Press)(フレッド・カーバー(Fred Carver)、インディアナ州ワバッシュ)を13.4kNの力で132℃で10分間にわたり、テフロン(登録商標)/ガラスガスケットで圧入することで、結合された。ガスケットの厚さはCCB電極の厚さの70%だった。
【0040】
MEAは、ガス流量、圧力、相対湿度、及び電流又は電圧の独立制御を有する試験ステーション(フューエルセル・テクノロジーズ(Fuel Cell Technologies)、ニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque))において試験された。試験の備品は、クワッド−サーペンタイン(quad-serpentine)流動フィールドを有するグラファイトの電流コレクター・プレートを備えた。全てのサンプルが「NPレジデンシャル(Residential)Hのみ」スクリプトのもとで試験された。このスクリプトのもとに、最初にMEAが一定流量のH/エアのもとで均衡化され、その後、一連の一定化学量論条件のもとでMEAを試験した。図1(GDS性能)及び図2(空気使用性能)で示される試験の結果は、例1の比較MEAに比べた本開示のMEAのより優れた性能を立証している。
【0041】
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に不当に限定して理解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)固体であって、
i)触媒材料、及び
ii)ポリマー電解質を含む固体、
b)水性溶剤、並びに
c)凝集溶剤、
を含む触媒インク。
【請求項2】
前記凝集溶剤がアルカン、アルケン、アミン、エーテル、及び所望により置換され得る芳香族化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項3】
前記凝集溶剤が部分フッ素化アルカン、部分フッ素化第3級アミン、完全フッ素化アルカン、及び完全フッ素化第3級アミンからなる群から選択される、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項4】
5〜30重量%の固体を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項5】
10〜20重量%の固体を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項6】
前記水性溶剤が、0〜50%のアルコール、0〜20%の多価アルコール、及び30〜100%の水を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項7】
5〜25重量%の凝集溶剤を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項8】
10〜20重量%の凝集溶剤を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項9】
約15重量%の凝集溶剤を含む、請求項1に記載の触媒インク。
【請求項10】
5〜25重量%の凝集溶剤を含む、請求項4に記載の触媒インク。
【請求項11】
凝集溶剤を含む触媒層を含む燃料電池膜電極組立体。
【請求項12】
前記凝集溶剤がアルカン、アルケン、アミン、エーテル、及び所望により置換され得る芳香族化合物からなる群から選択される、請求項11に記載の燃料電池膜電極組立体。
【請求項13】
前記凝集溶剤が部分フッ素化アルカン、部分フッ素化第3級アミン、完全フッ素化アルカン、及び完全フッ素化第3級アミンからなる群から選択される、請求項11に記載の燃料電池膜電極組立体。
【請求項14】
請求項1に記載の触媒インクを、
a)ポリマー電解質幕、及び
b)多孔質の導電性ガス拡散層、
の一方又は両方に適用する工程を含む、燃料電池膜電極組立体の製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の触媒インクをポリマー電解質膜に適用する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の触媒インクを多孔質の導電性ガス拡散層に適用する工程を含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−507698(P2011−507698A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540861(P2010−540861)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088145
【国際公開番号】WO2009/086364
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】