説明

処方薬剤びん

【課題】患者が処方薬剤情報を読んで理解することが用意である薬剤びんを提供する。
【解決手段】容器を備えた処方薬剤びんであって、容器のラベルは、容器の正面部分上に固着された正面部分と、容器の背面部分上に固着された背面部分と、を有するものであり、容器の背面部分とラベルの背面部分との間に規定されたスロットを具備し、このスロットは、少なくとも情報カードと拡大ツールのいずれか一つをスロット内部に着脱自在に収納するようにサイズ決め及び形成されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
時に処方調合薬を使用することはほとんど誰にでもあることである。それぞれのケースにおいて、薬剤使用者は一連の手続きや情報と向き合うことになる。手続きには、処方箋を提出し、処方薬の調合を待ち、処方薬を受け取り、関連する注意書きに署名することが含まれる。時には、患者の加入する保険会社からの要請を満たすように処方箋が修正されることもある。患者、薬局、医師及び薬剤に関する膨大な量の情報が、ボトル上にやみくもに貼られた数多くの使用上の注意又は警告ラベルと並んで、ボトル上の処方ステッカーに記載される。さらに追加情報が1又はそれ以上の印刷されて折り畳まれたシート上に記載されて、処方びんに同封される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
わかりにくい事実や指示をこのように比較的混然とした仕方で提示された薬剤使用者は、処方に関連する多くの態様について容易に誤解してしまうことがある。薬剤使用者が複数の処方を受けていたり、あるいは世帯内の家族構成員がめいめいに1又はそれ以上の処方を受けていたりして、指示書と使用上の注意が膨大な量となったときは、事態はさらに複雑となる。
【0003】
加えて、従来の薬剤びんは、特に関節炎を患うなどして関節の動きや強度に制約のある患者にとっては、開栓時に薬剤びんを握ることが困難であることもある。視認性の減少も問題であり、それは、複数の類似した薬剤びんの中から見分けるためには、既に紛らわしい組み合わせとなっている使用上の注意や処方ラベルをさらに細かく精査する必要があるからである。
【0004】
処方薬の正確な使用の重要性を考慮すると、患者が処方薬剤情報を読んで理解する際に直面する今日の紛らわしさと困難は、許容できるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、薬剤びんシステムを対象とする。一実施形態では、処方薬剤びんは容器とラベルから成る。容器は、概して長方形状を有する概して平面形状の正面部分と、正面部分から離間された概して平面形状の背面部分とを具備する。背面部分は、概して長方形状を有しており、正面部分とは概して対向している。ラベルは、薬剤に関する印刷物の付いた容器に固着されて、また、容器の正面部分上に固着された正面部分と、容器の背面部分上に固着された背面部分とを具備する。
本発明の実施形態は、図との関連で示され、該図では同一の参照番号は同一の構成要素を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る薬剤びんシステムの複数のびんを含む等角図を含む概略図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る薬剤びんの等角図である。
【図2B】図2Aを線2B−2Bで切った断面図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る薬剤びんの正面部分の平面図である。
【図3B】本発明の実施形態に係る薬剤びんの側面部分の平面図である。
【図3C】本発明の実施形態に係る薬剤びんの背面部分の平面図である。
【図3D】本発明の実施形態に係る薬剤びんの等角図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、部分的に貼付されるラベルを図式的に示す薬剤びんの平面図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る薬剤びんラベルの平面図である。
【図5B】本発明の実施形態に係る薬剤びんラベルの平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る薬剤ラベルシステムの平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る薬剤ラベルシステムの部分平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る処方ラベルシステムの制御モニターのブロック図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る薬剤びんの正面部分の平面図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る薬剤びんの側面部分の平面図である。
【図9C】本発明の実施形態に係る薬剤びんの背面部分の平面図である。
【図10】本発明の別の実施形態に係る複数の薬剤びんの等角図である。
【図11A】本発明の実施形態に係る薬剤びんの背面部分の平面図である。
【図11B】本発明の実施形態に係る薬剤びんの側面部分の平面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に係る薬剤びんの正面部分の平面図である。
【図13A】本発明の実施形態に係る薬剤びんの正面部分の平面図である。
【図13B】本発明の実施形態に係る薬剤びんの側面部分の平面図である。
【図13C】本発明の実施形態に係る薬剤びんの背面部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
下記の本発明の詳細な説明では添付図面が参照されており、該図面は本明細書の一部を構成して、本発明を実践可能とする詳細な実施形態を図によって示す。この関連において、方向を示す用語、例えば「頂部」「底部」「正面」「背面」「前縁」「後縁」などの用語は、説明をなしている図の向きを基準として用いられる。本発明の実施形態の構成要素は多くの異なる方向に位置決めされ得ることから、方向用語は図示説明を目的として用いられるのであって、本発明をいかなる方法でも限定するものではない。別の実施形態の利用、また構造上又は論理上の変更も、本発明の範囲を逸脱せずになし得ることを理解すべきである。したがって、下記の詳細な説明は、本発明を限定する意味合いで理解するべきではなく、本発明の範囲は添付の請求項によって規定される。
【0008】
本発明の実施形態は、薬剤びんシステム及びラベルシステムを対象とするものであり、該ラベルシステムは薬剤使用者が調剤薬局で処方薬の調剤を受ける経験を大いに向上させる。一実施形態では、薬剤びんシステムは容器、ラベル、カラーリング及びキャップで構成される。びん容器は、処方された錠剤、シロップ又は他の形状の薬剤を収納するようにサイズ決め及び形成される。びん容器は、容器の対面上にあってラベルを受けるための概して平坦で相対的に大きい一対の表面を備えており、これによりラベルの可読性が大幅に向上する。ラベルは、びん容器の型式又はサイズに応じて単一又は個別複数の紙片として載置されるように設計され、びん容器の両対面を覆う。各ラベルは、異なる種類の情報を、容器上の異なる部分及び/又はラベル上の異なる部分に分けて配置することにより、様々な情報が区別される。一実施形態では、びん容器の背面部分に貼付されるラベルの第2部分には使用上の注意情報が位置され、びん容器の正面部分に貼付されるラベルの第1部分には患者名、薬剤名、医師名といった通常の処方箋情報が位置される。一態様において、異なる種類の情報のこうした配置の仕方は、処方箋ごとに設定され、そのため、薬剤使用者が処方薬を毎回受け取るごとに、ある特定の種類の処方箋関連情報(例えば薬剤名、使用上の注意、患者名)がラベル上及び/又はびん容器の部分上の専用の所定位置に表示される。
【0009】
別の実施形態では、ラベル上のある部分(例えば正面部分又は背面部分)に記される情報はさらに細分化され、患者名、薬剤名及び投与量、使用上の注意などの一次情報、並びに医師の名前/住所、薬局の名称/住所などの二次情報というように示される。一次情報は、大きめで太めのフォントで記され、かつ二次情報から離間されるため、一次情報は薬剤使用者の目に止まるように目立って表示される。別の実施形態では、一次情報はラベル及びびん容器の上部に位置されるが、それは該情報が、最も頻繁に必要とされかつ利用される情報であるからであり、そして二次情報は、それほど頻繁に利用されないことを踏まえて、ラベル及びびん容器の下部に位置される。
【0010】
一実施形態では、びん容器は上下逆さまとなるように設計されており、そのため、処方ラベルを容器に貼付するときには、キャップが支持表面(例えばカウンター又はテーブル)と接触して、また容器がキャップを始点として垂直上方に延出している状態で容器が上下正しく見えるようにするため、容器は初期状態において上下逆さまに見えるように設計される。びんに貼付されるラベルは、びんがこのように上下逆さま(例えばキャップが下、容器が上)の状態にあるときにラベル上の本文が読めるような向きとなるように設計される。一態様において、びん容器の少なくとも1面(ラベルを掲示する面)は(垂直面に対して)わずかに斜めに傾いており、そのため、びんが上下逆さま(例えばキャップが下、容器が上)の状態でキャップで支持され又は患者によって把持されているときのラベルの可読性がさらに向上する。
【0011】
一実施形態では、弾力性と柔軟性とを備えたカラーリングがびん容器の口部の周りに着脱自在に取り付けられ、薬局は様々な色のリングを用いることで、薬剤使用者が他の家族構成員に交付された処方薬を識別し、又は一人の患者に交付された複数の種類の処方薬を識別するのを支援する。各家族構成員又は各種類の薬剤には、それぞれ異なった色が割り当てられる。
【0012】
一実施形態では、びん容器及びラベルは、薬剤びんの背面部分(又は正面部分)にスロットを形成して、該スロットの内部に患者情報カードを着脱自在に収納するように設計される。別の実施形態では、拡大ツールが情報カードの代わりに用いられている。一態様において、スロットは、患者情報カードの摺動可能な挿入及び着脱が可能な向きとなるように設計され、またカードの小さい部分がスロットから突出し(スロット内部に完全に収納されたとき)、それにより、患者情報カードの存在にさりげなく注意を向けることができるようにサイズ決め及び形成される。
【0013】
びん容器に貼付されるラベルと患者カードに加え、調合薬の交付と関連する他のラベルや印刷情報も、ラベルシステムによって提供される。ラベルシステムは、ラベル、シート及びカードの完全一体セットから成り、薬剤師が処方薬の調合を迅速に行えるようにために各処方箋ごとに作成される。一実施形態では、ラベルシステムは、ユーザーインタフェースを通じて薬剤師又は調剤薬局が操作できる制御モニターによって作成され、またその仕様をカスタマイズすることもできる。ラベルシステムはまた、処方薬を調剤する際に他のラベル、シート及びカードとともに作成される患者情報モノグラフ又は他の項目などの情報を備え、これによりラベルシステムは、処方薬調合に用いられるすべての印刷情報を出力する単一ツールを提供する。
【0014】
別の実施形態では、様々な型式のびんによって、印刷情報の可読性を向上させ患者によるびんの取扱いを容易にする様々な方法が可能となる。本発明の実施形態に示すこうした様々な型式のびんはそれぞれ同一のラベルシステムとともに用いられ、該ラベルシステムは、既に様々な型式のびんに貼付できるように構成されているため、異なる型式のびんを用いるごとにラベルに特段のカスタマイズを施す必要はない。
【0015】
本発明に係るこれらの実施形態及び他の実施形態は、図1乃至13Cとの関連でより詳細に説明及び図示される。
【0016】
図1に示すように、一実施形態では、薬剤びんシステム10は、複数のびん12から成り、キャップ14及びリング50が各びん12に載置される。各びん12は容器20とラベル60とから成る。容器20は正面部分22、側面部分24、尾根部分26、背面部分28及び口部40から成る。口部40は、開口部43とネジ山付きネック部42とから成り、キャップ14と螺合して開口部43をふさぐ。
【0017】
図1に示すように、ラベル60は容器20に接着固定される。ラベル60は、患者情報、薬剤情報、医師情報、薬局情報などを含むすべての調剤関連情報をびん12の表面で表示するメカニズムを備えており、該情報はラベル60の正面部分64、尾根部分65及び背面部分66の全体にわたって戦略的に分配配置される。
【0018】
さらに、ラベル60の背面部分66と容器20の背面部分28は患者情報カードなどの情報カード68を着脱自在に収納するように構成されるスロット69を形成し、該患者情報カードは副作用、詳細な使用方法、禁忌、錠剤の種類などのより広範にわたる情報を提供する。情報カード68は、単一シート又は折り畳まれたシートのいずれかとして、スロット69に着脱自在に通挿可能にサイズ決め及び形成される。一実施形態では、スロット69は側面方向を向くように配置されており、そのため情報カード68は容器20の背面部分66に対して側面方向に、容器20の長手方向軸(図3Aに線Aとして示される)に対しては概して斜め方向に、摺動可能である。この配置により、情報カード68は、図1及び2Aに示すようにスロット69からわずかに外側に突出し、これにより薬剤使用者は情報カード68を容易に認識でき、該カード68がラベル60の表面を遮蔽したり、びん12の全体機能を損ねたり(例えばキャップ14の操作を妨げたり)、びん12の外観を損ねたりすることはない。
【0019】
容器20は、1本のびん12における様々な形状、表面及び構造の一意的な組合せを示す。第1に、キャップ14を支持表面11に接するように下向けに置くことで、びん12はテーブルやカウンターなどの支持表面11上に垂直に立ち、容器20は支持表面11から上方に延出する。このように配置するとき、尾根部分26はびん12の頂部と見なされ、キャップ14(びん12の口部をふさぐ)はびん12の底部と見なされる。従来の薬剤びんの観点からすると、こうした構造のため、薬剤びん12は上下逆さまの向きであるように見える。しかし、びん12のこうした一見上下逆さまの配置は、実際には上下正しい配置であって、容器20上のラベル60の可読性を最大限に引上げ、そして下記でさらに説明するように、薬剤びん12の固有の取扱い方を示すものである。その上、この上下正しい配置は、びん12の尾根部分26を、キャップ14よりも高い位置にして手で把持することによっても実現され、こうしてびん12上のラベル60は、尾根部分26からキャップ14の方向に読み取ることができる。
【0020】
第2に、一実施形態では、容器20の正面部分22及び背面部分28は、長方形状を有する概して平面形状の表面を規定し、これにより、特にラベル60上の情報を読み取るのに適した概して平坦で広い表面を規定する。例えば、この表面は、びん12の向きを変えたり回転させたりすることなしに該表面上に印刷されたすべての情報を読み取ることができるように情報を表示することを可能とする。一実施形態では、容器20の正面部分22及び背面部分28がそれぞれ垂直平面(図2Bの垂直平面Vとして示される)に対してわずかに斜めに延在し、これにより、キャップびんが(キャップ14を介して)支持表面11に置かれるとき、正面部分22及び背面部分28は上方にわずかに上方に傾斜し、ラベル60の可読性が向上する。この読み取りやすい傾斜構造は、側面部分24のサイズ及び形状並びに容器20の正面部分22及び背面部分24に対する側面部分24の位置によって可能となる。
【0021】
第3に、図1(及び2A乃至2B)に示すように、容器20の側面部分24は概して台形状であり、正面部分22と背面部分28との間に間置される。各側面部分24は、容器20の尾根部分26と隣接及び接続し、容器20の正面部分22の頂部と隣接及び接続し、及び容器20の背面部分28の頂部と隣接及び接続するように位置された頂部25Aを有する。各側面部分24はまた、基底部分25Bも有しており、該基底部分25Bは、容器20の正面部分22の底部及び容器20の背面部分28の底部において、容器の口部40と隣接して配置されかつ接続されている。一実施形態では、各側面部分24の基底部分25Bは各側面部分24の頂部25Aよりも相対的に長く、これによりびん12の読みやすい傾斜構造が実現する。一実施形態では、頂部25Aと基底部分25Bとの相対的長さは、所望の傾斜度合いをなすように選択され、図2Bに示すように傾斜角度(α1、α2及びα3)を部分的に決定する。したがって、側面部分24の概して台形の形状は、容器20の正面部分22及び背面部分28の読みやすい傾斜構造に寄与する。
【0022】
第4に、図1に示すように、容器20の正面部分22及び背面部分28が相対的に広く、ほぼ平面形状であることから、びん12を支持表面11上に載置しても支持表面11上で転がらないようにすることが可能となる。とりわけ、正面部分22又は背面部分28のこうした広さ及び相対的な平坦さのため、正面部分22と背面部分28のいずれか一方が支持表面11上に直接に接して置かれた場合でも、びんの回転は防止される。
【0023】
容器20の尾根部分26は、わずかに湾曲した表面を備えており、正面部分22、背面部分28及び各側面部分24を結ぶ接合部を提供する。各側面部分24、正面部分22及び背面部分28はまた、口部40と隣接して互いに接続する。
【0024】
びん12は、見方によって変わってくる多数の特徴的な態様から成り、各態様はびん12を扱う患者の経験をそれぞれ固有の仕方で向上させる。第1の見方は、薬剤使用者が容器20の正面部分22又は背面部分28と直接向き合ったときの見方であり、このときびん12は広い態様及び概して平坦な長方形状の外観を有している。第2の見方は、薬剤使用者が容器20の側面部分24のいずれか一方と直接向き合ったときの見方であり、このときびん12は狭い態様及び概して平坦な台形状(又は概して円錐形状)の外観を有している。またびん12は、少なくともさらにもう1つの特徴的な態様を備えており、この態様は尾根部分26に直接向き合ったときに見られ、これにより相対的に狭い態様が露呈する。
【0025】
したがって、これら3つの特徴的な態様の組合せ方は互いに根本的に異なる薬剤びんを示し、これらの特徴的な態様は、調剤関連情報の患者への提示の仕方をより改善するのみならず、本出願全体を通じてさらに説明されるように、びんの取扱い、貯蔵及び検索にも寄与する。
【0026】
一実施形態では、正面部分22及び背面部分28は、サイズ及び全体形状(例えば概して長方形)の点で互いに概して左右対称であり、また各側面部分24は、サイズ及び全体形状(例えば概して台形)の点で互いに概して左右対称を成している。別の実施形態では、正面部分22及び背面部分28は、サイズ及び全体形状の点で互いに概して左右非対称であり、また各側面部分24は、サイズ及び全体形状の点で互いに概して左右非対称である。
【0027】
一実施形態では、びん12はリング50を備える。リング50は、ネジ山付きネック部42を取り巻き、相異なるびん12を一意的に区別する色成分を備える。一実施形態では、1つのカラーリング50は第1型式の薬剤を示し、第2のカラーリングは第2型式の薬剤を示す。別の実施形態では、1つのカラーリング50は患者の家族の第1の構成員を示し、第2の別のカラーリング50は同じ患者の家族の第2の構成員を示す。一意的なカラーリングを追加することで、薬剤の種類の追加分又は家族構成員の追加分をそれぞれ示すことができる。別の実施形態では、相異なるカラーリングは、複数のびん12の中から単一のびんをそれぞれ一意的に識別する上で有用な別の指標を示す。別の実施形態では、リング50を介した色識別を行うためにリング50を取り付けることはしない。別の実施形態では、リング50はびん12に着脱自在に取り付けられるが、相異なるびんを区別しない、例えば容器20の色のような中立色から成る。したがってリング50は、患者及びその他の人への情報のわかりやすい提示にさらに寄与する。
【0028】
容器20の様々な表面にラベル60を載置して方向付けすることの利点に加えて、ラベル60は追加構造も有している。一実施形態では、ラベル60は正面部分64、尾根部分65及び背面部分66を備える。ラベル60の正面部分64は、とりわけ患者識別欄及び薬剤識別欄で構成され、背面部分66は使用上の注意で構成される。尾根部分65は、図4に示すように、患者識別欄又は薬剤識別欄で構成される。
【0029】
ラベル60上の異なる部分に、したがってびん12の異なる部分に、相異なる種類の情報を分けて配置することは、患者による薬剤びん12の可読性の向上に寄与する。一実施形態では、ラベル60の正面部分64、尾根部分65及び背面部分66はそれぞれ容器20の正面部分22、尾根部分26及び背面部分28に直接に対応し、びん12上の各種情報がそれぞれ該びん12の個々の対応する表面上に表示される。さらに、ラベル60の正面部分64、尾根部分65及び背面部分66は、びん12の3つの相異なる可読表面を示し、これら可読表面は互いに概して垂直をなす。そのうち、ラベル60の正面部分64と背面部分66の2つの表面は、容器20に貼付されるとき、びん12をはさんで互いに逆向きとなり、そのため、互いに概して180度の関係となる。したがって、一実施形態では、容器20は三面構成の容器20を示し、このとき各面は互いに概して垂直をなし、そのため、ラベル60の3つの特徴的な部分(例えば正面部分64、尾根部分65及び背面部分66)と協働することにより、びん12は、高度に分離された3つの特徴的な可読表面を患者に提供する。この構造により、調剤関連の情報がびん12の相異なる部分に分離配置されることがさらに容易となる。そのうえ、薬剤師又は調剤薬局が容器20の一面(例えば背面)を特定種類の情報(例えば使用上の注意)用として一回指定すれば、患者は、該薬剤師又は調剤薬局で薬を調剤されるときにはいつでも、びん12のまさにその同じ場所に提示されている同種の情報を信頼することができる。この構造は患者の混乱を減少させ、なぜなら、患者はもはや、薬剤びん上の情報を一貫した仕方で読み取ることができるように配置された各情報がどこに位置するのか判断しようとして、従来型の薬剤びんの面の上を探し回る必要はないからである。
【0030】
さらに、別の実施形態では、ラベル60は、情報を分離配置して患者によるびん12の読み取りを容易にする追加構造を備えている。例えば、図1に示すように、ラベル60の正面部分64は薬剤識別欄(例えば図1では薬剤名、図2Aではアモキシシリン)を備え、該識別欄は大きめのフォントで、正面部分64上の他のフォントよりも相当大きく記載されるため、薬剤びん12を他の薬剤びん12から速やかに見分けることが容易となる。一実施形態では、図1及び2Aに示すように、薬剤識別欄はまた、ラベル60の正面部分64上の他の情報を示す通常のフォントに対比して太めのフォントに設定される。別の実施形態では、薬剤識別欄はさらに色付きの文又は背景からも成り、この文又は背景の持つ色又はグレーレベルの濃淡度(例えばグレーシェーディング)は、ラベル60の正面部分64上の薬剤名をさらに目立たせるためのラベル60の正面部分64上の他の情報の背景の色(例えば白)のシェーディングとは異なる。
【0031】
一実施形態では、ラベル60の尾根部分65は図1及び2Aに示すように空欄とされ、過多の情報を見るという患者の負担を軽減する。別の実施形態では、ラベル60の尾根部分65は、図4との関連でさらに例示するように、薬剤識別欄及び/又は患者識別欄から成り、目に付きやすいように大きめのフォントで記載される。この構造では、びん12を尾根部分26上の視認角度から見たときに処方箋情報又は患者情報の種類が認識できるため、特に患者がラベル60の正面部分64又は背面部分66を見ることができない又は見ることが不便な場合でも、薬剤びん12の中から必要な1本を他の薬剤びんから容易に見分けることが可能である。
【0032】
ラベル60の背面部分66は、背面部分66の全域にわたって、数行積み重ねられた概して平行に配置されて水平方向に延在している使用上の注意を備える。図1に示すように、一実施形態では、一又はそれ以上の使用上の注意には、特定の注意事項や使用条件に特有の絵文字、アイコン又は他の記号(例えば正方形、三角形、丸など)が記され、該記号は使用上の注意の本文のすぐ左に位置しており、これによって簡易な視覚メッセージを読者に提供する。こうした記号は、言語障壁による困難や視力上の問題を抱えていて読み取り能力に制約のある薬剤使用者にとっては特に有用である。
【0033】
ラベル60の追加態様は、具体的には図4乃至7との関連で、より一般的には図2乃至13Cで詳細に説明する。
【0034】
したがって、容器、リング、ラベル及びキャップの全組合せ及び相互間の動作は、本発明の実施形態に係る薬剤びんの使用に際して従来とは全く異なる経験を患者に提供する。図3A乃至13Cは、これらの実施形態の追加態様を提示する。
【0035】
図2A及び2Bはさらに、びん12の正面部分22及び背面部分28の読み取りやすい傾斜構造をそれぞれ示す。図2Aはラベル60を貼付したびん12の等角図であり、図2Bは図2Aを線2B−2Bで切った断面図である。
【0036】
一実施形態では、図2Bに示すように、正面部分22と概して垂直の平面(図2Bで線Vとして示される)とで作る第1の角度(α1)、そして容器20の背面部分28と概して垂直の平面(V)とで作る第2の角度(α2)はそれぞれ約5度であり、第3の角度(α3)は約10度である。正面部分22と概して垂直の平面(V)とで作る第1の角度(α1)、そして背面部分28と概して垂直の平面(V)とで作る第2の角度(α2)は、概ね同じである。別の実施形態では、正面部分22と背面部分28とで作る垂直傾斜角を所望の角度として、ラベル60の可読性を調整するため、第1の角度(α1)と第2の角度(α2)は5度を上下してもよい。一実施形態では、角度(α1)と角度(α2)は約2度乃至20度、角度(α3)は約4度乃至40度である。
【0037】
別の実施形態では、正面部分22と概して垂直平面(V)とで作る第1の角度(α1)、そして背面部分28と概して垂直平面(V)とで作る第2の角度(α2)は、互いに異なっており、それにより、背面部分28又は正面部分22のいずれか一方は、概して垂直の平面(V)との角度がより小さい状態で延在し、正面部分22又は背面部分28のいずれか一方は、概して垂直の平面(V)との角度がより大きい状態で延在することが可能となる。この構造により、正面部分22又は背面部分28のいずれか(傾斜角のより大きい側)において、正面部分又は背面部分(傾斜角のより小さい側)よりも好ましい可読性を実現できる。
【0038】
したがって、図2Bに示すように、概して台形状である側面部分24は、容器20の正面部分22及び容器20の背面部分28を、容器20の尾根部分26と隣接して互いに合流するように配向し、また容器20の口部40と隣接して互いに分岐するように配向する。
【0039】
図2A及び2Bはまた、患者情報カード68の取出し可能な挿入に関する、そして完全に挿入した状態におけるスロット69からの該カードの突出部分に関する構造をさらに示す。図2Bに示すように、容器20の背面部分28はさらに凹部分90を備え、該凹部分は凹表面99、縁端部92及び96を備えている。凹表面99はくぼみであって、容器20の背面部分28の表面に形成される。ラベル60の背面部分66は、容器20の背面部分28上に固着され、そこでは背面部分66の大部分が凹表面99を覆うように延在し、これによりスロット69を形成する。凹表面99は、容器20の背面部分28の残りの部分との関係で及び情報カード68の厚さとの関係で、相対的な深さを有しており、これによって情報カード68の摺動可能な収納が(凹部分90がラベル60の背面部分66に覆われているときに)可能となるようにサイズ決め及び形成される。凹部分90はさらに図3Cとの関連で説明及び図示される。
【0040】
図2B(及び図3B)に示すように、第3の角度(α3)が容器20の正面部分22と背面部分28との間に形成され、尾根部分26は概して該角度の頂角を規定する。この第3の角度は、尾根部分26と隣接する正面部分22と背面部分28との全般的な合流を示す。さらに、容器20の正面部分22及び背面部分28(幅W2により表示される)は、相対的に広い表面であって、キャップ14や口部40の開口部43に比べると相当に広い。容器20の正面部分22と背面部分28とが尾根部分26と隣接して全面的に合流する(側面部分24が概して台形状であることによる)のに加えて、この広いびん配置によって、片方の手の親指と他の指とで容器20を握ることが可能となり、このとき親指は正面部分22又は背面部分28のいずれかに接し、他の指は親指側とは対面をなす正面部分22又は背面部分28のいずれかに接する。こうした親指と人差し指とで挟む把持方法は、手や指の動きや柔軟性に制約のある人にとっては、従来の手全体で握り込むタイプの概して円筒状の薬剤びんによる把持と比べて、より握りやすい。さらに、薬剤使用者が、もう一方の手でキャップ14をつかんでキャップ14を取りはずそうとするとき、正面部分22及び背面部分28の表面が比較的広いことから、各指の全幅がこれらの表面全体に広がることが可能であり、これにより、容器20に対してキャップ14を回転させる(逆も同様)てこ力を増幅することができる。特に、容器20とキャップ14との回転軸(A)からさらに遠い箇所で力を及ぼすことができることから、キャップを容器20の口部40のネジ山付きネック部に対して回転させるのに必要な回転運動を発生させるときに要求される手の力の量が減少する。
【0041】
図2Bにも示すように、容器20の口部40はさらに環部70、頚部72及び肩部74も備える。環部70は、ネジ山付きネック部42の一部として形成され、肩部74は、容器20の口部40とその他の部分(例えばびん体)との頚部72を介した接合部を規定する。リング50は、ネジ山付きネック部42(環部70を含む)を覆うようにして頚部72に摺動可能に嵌合し、環部70、肩部74、及び頚部72に加わるリング50の圧縮力によって、この定位置に保持される。一実施形態では、リング50は、弾力性のあるエラストマー素材又は伸縮性のあるポリマー素材で構成される。キャップ14の内側は、口部40のネジ山付きネック部42と螺合して、キャップ14を定位置に固定し、開口部43を覆い、またキャップ14の外側は、支持表面11(図1及び2Aに示す)と接触する基部として機能し、概して垂直立位(例えば従来の薬剤びんであれば上下逆となる向き)で容器20を支持する。
【0042】
図3A乃至3Dは、本発明の実施形態に係るびん12の追加構造を示す。
【0043】
図3A乃至3Cに示すように、容器20の正面部分22及び容器20の背面部分28は、相対向し互いに離間されており、一方で、各側面部分24は、相対向し互いに離間されている。また、尾根部分26及び口部40は、相対向し互いに離間されている。
【0044】
図3A乃至3Cに示すように、一実施形態では、びん12はさらに、各側面部分24上の突起部分82のアレイ80を備え、該アレイは各側面部分24の基底部分25Bと隣接して位置される。各突起部分82及び突起アレイ80全体は、図3Bに示す幾何的構造や形状(例えば垂直方向に積み重なった線形リッジ群)には限定されるわけではなく、他の形状(例えば円形、三角形、四角形などの突起)や他のグループ化された図形(例えばクロスパターン、同心円、不規則パターンなど)であってもよい。別の実施形態では、薬剤びん12などの図1及び2Aに示す他の実施形態は、突起アレイ80を備え、該アレイは図3A乃至3Cに占める突起アレイとほぼ同様の方法で配置される。
【0045】
図3Cは、容器20の背面部分28の平面図であり、凹部分90及び背面部分28の追加態様を示す。図3Dは、図3A乃至3Cとの関連において説明される構造及び属性をさらに例示する等角図である。
【0046】
図3Cに示すように、凹部分90は、上端部92、内端部94、下端部96、外端部98及び凹表面99から成る。端部92及び94は凹部分90の上下境界を規定し、内端部94は凹部分90の側面境界を規定する。したがって、凹部分90は、容器20の背面部分28の幅全体の一部のみにわたって側面方向に延在し、内端部94で終端となる。外端部98は、側面部分24の外側と接続して、スロット69の開口部を部分的に形成する(ラベル60が貼付されているとき)。図3Cにさらに示すように、背面部分28は、上方接触部分100、側方接触部分102及び下方接触部分104を備え、これらは合わせて凹部分90を取り囲む。部分100乃至102は、ラベル60の背面部分66を容器20の背面部分28に接着固定するための1又は個別複数の接触面を規定し、それによって、ラベル60の背面部分66の一部が凹部分90を覆うように延在し、びん12のスロット69を形成することが可能となる。
【0047】
一実施形態では、容器20の背面部分28はまたリップ部85も備えており、該リップ部は背面部分28の底部104上の突起部分を形成する。リップ部85は、ラベル60の正確な配置を可能としており、そのためラベル60は背面部分28上で正しく位置決めされ、とりわけ、ラベル60の非接着部分が凹部分90を覆うように配置されることを可能としており、これは図6及び7との関連でさらに説明するとおりである。
【0048】
凹部分90の内端部94は、情報カード68がスロット69を通って側面方向内側へとさらに摺動移動することを防止し、それによって情報カード68がスロット69の内部で着脱自在に固定されることを支援する。またこの配置によって、カード68の外側がスロット69から外向きにわずかに突出する(カード68が適正なサイズである場合)。
【0049】
図3Cに示すように、凹部分90の上端部92及び下端部96は、誘導部分を規定し、それによって情報カード68のスロット69への出入り時における側方移動が維持されやすくなり、また情報カード68がスロット69内部に保持される。一実施形態では、ラベル60の背面部分66の裏側(例えば図7における非接着部分296)と凹部分99との間の距離は、情報カード68のスロット69内部での摺動可能な移動が可能となるのに十分な程度の距離であって、しかし、摩擦接触及び/又は単純な表面接触を介して情報カード68を保持できる程度に好適な距離として設定される。
【0050】
図4は、本発明の実施形態に係るびん12の平面図であり、ラベル60が容器20に部分的に貼付されている。図4は、1枚型のラベル60が容器20上に配置された様子を図式的に示す。この実施例においては、ラベル60の背面部分66は容器20の背面部分28に接着固定され、その後、ラベル60は容器20を包み込むように案内されて、ラベル60の尾根部分65は容器20の尾根部分26上へと案内され(図3B)、またラベル60の正面部分64は容器20の正面部分22上へと案内されて、容器20に接着固定される。1枚型の包込みラベル60の一つの構造は、ラベル60の背面部分66上のすべての文章が、ラベル60の正面部分64上の文章又は画像に対して180度逆向きとなっていることである。このように正面部分64の文章を背面部分66に対して逆向き、すなわち上下逆さまとなるように配置することによって、それぞれ互いに180度の関係にある2つの相対向する表面上にラベル60を包込み貼付することが可能となる。
【0051】
また図4はさらに、ラベル60上での様々な種類の情報の区分を示し、ラベル60の患者による可読性を向上させている。図4に示すように、ラベル60の正面部分64は、患者識別欄132、薬剤識別欄140、投与量識別欄142、使用法識別欄144、調剤データ146及び薬剤交付者データ148から成る。一実施形態では、患者識別欄132及び薬剤識別欄140は太字で大きめのフォントで印字され、ラベル60の正面部分64の頂部近くに配置されるため、これらの識別欄は、容器20の正面部分28の頂部に隣接して現れることになり、これはほぼ図1及び2Aに示すとおりである。一実施形態では、投与量識別欄142及び使用法識別欄144は患者識別欄132及び薬剤識別欄140の下に配置され、また普通の(すなわち太字でない)フォントであって、患者識別欄132及び薬剤識別欄140のフォントよりも小さいフォントで印字される。患者にとって直ちに必要となるわけではない他の情報は、ラベル60の正面部分64の底部に隣接して配置され、例えば調剤データ146(例えば医師名、有効期限、再調合の時期など)及び/又は薬剤交付者データ148(例えば調剤薬局の名称/住所)などであり、これらもまた小さめの普通フォントで印字される(図2Aで追加的に示される)。一実施形態では、ラベル60の正面部分64は、頂部領域に印字される一次情報(例えば薬剤識別欄140及び患者識別欄132)と底部領域に印字される二次情報(例えば薬剤交付者データ)で構成される。
【0052】
ラベル60上での異なる種類の情報並びに異なる種類の文章及びフォントの配置の仕方は、制御モニター400を介して変更及び/又は選択することができ、これは図8との関連でさらに説明されているとおりである。
【0053】
図4に示すように、ラベル60の背面部分66は、警告ヘッダー118、使用上の注意1・120、使用上の注意2・122及び使用上の注意3・124で構成される。これらの使用上の注意は通常、めまい、意識障害、眠気などの副作用に伴う危険に関連し、また服用中における特定の食品又はアルコールの摂取に伴う懸念にも関連する。一実施形態では、1又はそれ以上の使用上の注意は、記号125(例えば符合、絵文字、文字など)を含み、該記号125に隣接する使用上の注意の性質を示す、文章によらない指示を提供する。これとほぼ同様の使用上の注意及び記号が図1でも例示される。
【0054】
ラベル60の尾根部分65は、薬剤識別欄130及び/又は患者識別欄から構成される。一実施形態では、識別欄130は太字で大きめのフォントの文字で印字され、1本のびん12と他のびん12との迅速な識別がさらに容易となる。
【0055】
一実施形態では、正面部分64は、高さ(H6)と概して等しい高さ(H4)を有する。尾根部分65は高さ(H5)を有する。一実施形態では、高さH4及び高さH6は互いにほぼ同一であり、高さH5は高さH4又はH6には幾分満たない。ラベル60は幅W3を有しており、これは容器20の正面部分22及び/又は背面部分28の幅と概して等しい。
【0056】
図5A及び5Bは、本発明の実施形態に係る平面図であって、ラベル60及びラベル170(例えばラベル60の縮小版)の追加態様を示す。図5Aに示すように、ラベル60は印字された表面から成り、非接着部分180(点線で示される)を除く接着裏地を有している。非接着部分180は、外端部182、内端部184、下端部186及び上端部188を備える。ラベル60の背面部分66の縁端部190は、非接着部分180の外端部182とは反対側の縁端部を規定する。一実施形態では、非接着部分180は幅(W4)を有し、該幅はラベル60の背面部分66の幅(W3)の大部分にわたって側面方向に延在して、情報カード68を収納するスロット69(図1)を形成するのに十分な側面方向の深さを作り出す。同時に、非接着部分180のこの幅(W4)があることによって、ラベル60の背面部分66の側部接着部分194が、ラベル60の背面部分66を容器20の背面部分28の側部接触部分102(図3C)へと接着固定することが可能となる。ラベル60の背面部分66の底部接着部分192はまた、容器20の背面部分28の底部104(図3C)に接着固定されるように、(高さH8を有して)サイズ決め及び形成される。
【0057】
非接着部分180は、背面部分66の高さの大部分(高さH7を有する)にわたって垂直方向に延在して、情報カード68を収納するスロット69(図1)のための十分な垂直空間を作り出す。
【0058】
一実施形態では、ラベル60は、30ドラム及び60ドラムびんなどの大型薬剤びん用にサイズ決め及び形成される一方、ラベル170は、15ドラムびんなどの小型薬剤びん用にサイズ決め及び形成される。したがって、ラベル170は、ラベル60とほぼ同様の属性及び構造を備えているが、ただし小さめのびんサイズに対応するため比例的に縮小されている点では異なる。
【0059】
一実施形態では、ラベル60は切離し線198(後述の図6では線285として示される)を備えており、ラベル60の正面部分64をラベル60の背面部分66及び尾根部分65から切り離すことが可能となり、またラベル60を60ドラムの薬剤びん上に切離し配置によって貼付することが可能となる。この実施形態では、ラベル60の正面部分64は、背面部分66及び尾根部分65から切り離された後、大型の薬剤びんの正面部分上に貼付され、また背面部分66及び尾根部分65は大型の薬剤びんの背面部分に貼付され、これは図9A乃至9Cとの関連でさらに説明されるとおりである。
【0060】
図6は、本発明の実施形態に係るラベルシステム200の平面図である。図6に示すように、ラベルシステム200は、接着ラベルシート202とペーパーシート204を備えており、両者はアンカー機構206を介して接続されている。ラベルシステム200は、無地のシートとしてストックされ、挿入端部208を経由してプリンターに挿入可能であり、これにより、処方薬剤情報をラベルシート202及びペーパーシート204上に印字することが可能となる。ラベルシート202は、その表面上に印字を受けるのに適していて、また非接着シートに剥離可能に固着された接着裏地を有している接着ラベルであり、一方でペーパーシート204はその表面上に情報を印字するのに適している従来型のペーパーシートである。
【0061】
ペーパーシート204は、レシート246、患者情報カード250及び薬剤モノグラフ260(又は他の詳細な摘要)から成り、これらは切離し可能なシーム262によって分割されており、これによりレシート246、患者情報カード250及び薬剤モノグラフ260の切離しが可能である。一実施形態では、患者情報カード250は(例えば図1及び2Aの)患者情報カード68に相当する。
【0062】
ラベルシート202は、第1びんラベル220、第2びんラベル222、薬袋タグ224、再調合ラベル226、服用量ラベル228、確認ラベル240、HIPAAラベル242及び処方箋タグ244で構成される。
【0063】
一実施形態では、第1びんラベル220と第2びんラベル222は、図1乃至5Bとの関連で説明されるラベル60及びラベル170とほぼ同一の構造及び属性を有する。別の実施形態では、ラベル220及び222は、図8との関連で説明される制御モニター400によって決定される構造と属性を有する。
【0064】
図6に示すように、第1びんラベル220は、60ドラム及び30ドラムびんのような大型及び中型びんに適合するようにサイズ決め及び形成される。第1びんラベル220は、正面部分280、尾根部分282及び背面部分284から成り、該背面部分284は非接着部分286を備える。これらの構成要素は、図7との関連でより詳細に説明される。一実施形態では、切離し線285によって正面部分280を背面部分284及び尾根部分282に対して切離すことが可能となり、このため正面部分280のびん正面部分への貼付を、背面部分284のびん背面部分への貼付と別途に行うことができる。一実施形態では、ラベル220の正面部分280、尾根部分282及び背面部分284は、ラベル60の正面部分64、尾根部分65及び背面部分66に直接対応しており、これは前述したように図1乃至5Bとの関連で説明及び図示したとおりである。
【0065】
第2びんラベル222は、例えば15ドラムびんのような小型びんに適合するようにサイズ決め及び形成される。第2びんラベル222は、正面部分290、尾根部分292及び背面部分294から成り、該背面部分294は非接着部分296を備える。これらの構成要素は、図7との関連でより詳細に説明される。一実施形態では、切離し線295によって正面部分290を背面部分294及び尾根部分292に対して切離すことが可能となり、このため正面部分290のびん正面部分への貼付を、背面部分294(及び尾根部分292)のびん背面部分への貼付と別途に行うことができる。一実施形態では、ラベル222の正面部分290、尾根部分292及び背面部分294は、ラベル60及びラベル170の正面部分64、尾根部分65及び背面部分66に直接対応しており、これは前述したように図1乃至5Bとの関連で説明及び図示したとおりである。
【0066】
薬袋タグラベル224は、調剤薬局分類情報を含み、また、該薬袋タグラベル224を取り外して薬袋上に接着配置することで、該薬袋を特定の患者及び特定の処方の袋として識別可能とすることもできる。再調合ラベル226は、処方再調剤に関する調合薬局情報を含む。服用量ラベル228は、液体バイアルや眼薬容器など小型の1回量包装に貼付されるようにサイズ決め及び形成され、また、処方薬剤基本情報(例えば患者名、薬剤名及び投与量)及び/又は使用上の注意を含むが、これらの種類の情報に限られない。
【0067】
確認ラベル240は、薬剤を受領したこと及び/又は服用方法に関する指示の確認を受けたことを患者が認めたことを示す構造から成る。HIPAAラベル242は、患者情報の機密性および共有利用に関する患者への通知から成り、患者はこれに連署する。処方箋タグ244は、薬剤師又は技術者が処方箋を処理する目的で用いる薬局内の専用ラベルである。
【0068】
使用時において、薬剤師又は技術者は、患者情報及び処方薬剤情報を(画像ユーザーインタフェースを介して)制御モジュールに入力し又は該モジュールから呼び出し、その後、該情報をラベルシステム200上に印字するよう該モジュールに命令する。様々なラベル及び情報シート/カードが互いに分割されており、及び/又はびん、薬袋などへの貼付のためにラベルシステム200から切り離され、あるいは薬局内での販売管理用に使用される。したがって、ラベルシステム200は、処方薬を調合して薬剤使用者に交付する際に記入するべき包括的な情報を効率的で非常に可読性が高く組織化された方法で発行することが可能となり、これによって薬剤使用者による処方箋及び薬剤店頭交付の利用が向上する。
【0069】
図7は、図6の部分図であり、ラベル222の背面部分294を図式的に示しており、背面部分294と尾根部分295がラベル222の下層をなす非接着シートから剥離可能に取り外されるとき、該ラベル222の背面部分294は、ラベル222の正面部分290の頂部と重なるように切離し線295で折られる。図7に示すように、こうした操作は、非接着裏地部分298及び開口部299を露呈し、該開口部299のサイズ、形状、向き及び配置はラベル222の非接着部分296のサイズ、形状、向き及び配置(図6の透視図に示す)と直接対応する。図7でさらに示すように、ラベル222の裏側は非接着部分296及び接着部分297から成る。接着部分297のサイズ、形状、向き及び配置は、裏地シートの非接着部分298のサイズ、形状、向き及び配置と直接対応する。ラベル222の非接着部分296は、ラベル(例えばラベル60)のうち、薬びんの背面部分上の凹部分を覆うように延在する部分と対応して、患者情報カードを着脱自在に収納するためのスロットを形成しており、これは前記で図5A及び5Bとの関連で説明及び図示したとおりである。一実施形態では、ラベル22の非接着部分296は、ラベル22の背面部分294の幅全体の一部のみにわたって延在する。別の実施形態では、ラベル22の非接着部分296は、ラベル222の背面部分294の幅全体にわたって延在する。
【0070】
図8は本発明の一実施形態に係る制御モニター400のブロック図であり、ラベルシステム200(図6に示す)への印字を制御するコンピュータシステム(図示せず)のユーザーインタフェースを介して視認及び操作が可能であり、印字する情報の種類やその情報の処理方法といった制御モニター400上での選択可能なパラメータを通じて明示される項目を含めて制御できる。したがって、制御モニター400によって、薬剤師又は他の薬剤取扱者が、ラベルシステム200(図6及び7に示す)をカスタマイズして、規則、販売慣行及び薬剤使用者の嗜好の変化に応えることができるようになる。一実施形態では、制御モニター400の複数のパラメータを適用して該制御モニター400上の他の1又はそれ以上のパラメータに反映させることができ、このとき制御モニター400の取扱者は、適用又は制御するパラメータの種類に基づき自らの裁量によって1パラメータごと又は一群のパラメータごとのいずれを基礎として反映させるかを選択することができる。別の実施形態では、制御モニター400のパラメータを適用して、1又はそれ以上のラベル、シート、又はラベル若しくはシートの1又はそれ以上の部分に反映させることができ、このとき制御モニター400の取扱者は、自らの裁量によって1ラベルごと、1シートごと、又は一群のラベル及び/又はシートごとのいずれを基礎として影響を及ぼすかを選択することができる。
【0071】
図8に示すように、制御モニター400は、総合モジュール402、プレーンペーパーモジュール404、ラベルモジュール406及びデータモジュール408から成る。制御モニター400はメモリの内容を表示し、メモリ内部には該制御モニター400の全情報がコンピュータシステムとの連携使用のために保存されており、また制御モニター400はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア及び他の周知の形態の電子メモリを備えるがそれに限られない。
【0072】
総合モジュール402は、サイズパラメータ410、形状パラメータ412、位置パラメータ414、向きパラメータ416、非接着パラメータ418、プレーンパラメータ420、切離しパラメータ422、境界パラメータ424、アンカーパラメータ426及び側部パラメータ428から成る。総合モジュール402はまたフォントモジュール440も備え、これは色パラメータ442、サイズパラメータ444、種類パラメータ446、記号パラメータ448、向きパラメータ450及びスペース/境界パラメータ452を含む。
【0073】
総合モジュール402は、ラベルシステム200の全体又はラベルシステム200の個々の部分の総合的態様を制御する。一実施形態では、サイズ、形状、向き及び他のパラメータのうち1又はそれ以上のものを、特定の州若しくは地域仕様に予めプログラム化し又は選んでおくことも可能であり、これにより薬剤師又は技術者は、毎回処方箋を発行するたびに処方箋に記載するパラメータを選ぶ必要がなくなる。
【0074】
サイズパラメータ410及び形状パラメータ412は、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)のラベル又は他の部分(例えばシート、カード、アンカー、非接着部分など)のサイズ及び形状をそれぞれ個別に制御する。位置パラメータ414及び向きパラメータ416は、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)のラベル又は他の部分(例えばシート、カード、アンカー、非接着部分など)の位置及び向きをそれぞれ個別に制御する。
【0075】
非接着部分418及びプレーンパラメータ420は、ラベルシステム200のどの部分を、接着裏地付ラベル又は領域(例えば図7のラベル222の接着部分297)の非接着部分(例えば図7の非接着部分296)とするのか、また、ラベルシステム200のどの部分を、ラベルシステム200の接着ラベル部分に対するプレーンペーパー部分(例えば図6のモノグラフ260)とするのかを、それぞれ個別に制御する。
【0076】
切離しパラメータ422及び境界パラメータ424は、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)上の隣接し合うラベル又は他の隣接し合う部分(例えばシート、カード、アンカー、非接着部分など)の間の切離し線及び境界線の作成を、それぞれ個別に制御する。アンカーパラメータ426は、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)上の隣接し合う部分(例えばラベルシート202及びペーパーシート204)の間のアンカー点又はシーム(例えば図6のアンカー機構206)の作成、位置及び性質を制御する。側部パラメータ416は、ラベルシステム200のラベル又はペーパーシートの片面若しくは両面に情報を印字するのか否かを制御する。
【0077】
図8に示すように、総合モジュール402はフォントモジュール440も備え、該フォントモジュール440は色パラメータ442、サイズパラメータ444、種類パラメータ446、記号パラメータ448、向きパラメータ450及びスペース/境界パラメータ452を含む。フォントモジュール440は、以下に挙げるパラメータを介して(ただしそれには限られない)、ラベルシステム上への印字の様々な態様を制御する。色パラメータ442、サイズパラメータ444、種類パラメータ446及び記号パラメータ448は別々に、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)上の印刷物の色、サイズ、フォントの種類及び記号を制御する。向きパラメータ450は、ラベルシステム(例えばラベルシステム200)上の印刷物の向き(例えば垂直方向、水平方向、傾斜方向、上下逆向き、上下正しい向きなど)を制御する。スペース/境界パラメータ452は、印刷物上の隣接し合う部分の間のスペース及び/又は境界を制御することにより、患者はラベルシステム(例えばラベルシステム200)上の様々な種類の情報をさらに容易に区別できるようになる。
【0078】
図8に示すように、ペーパーモジュール404は、レシートパラメータ454、情報カードパラメータ456及びモノグラフパラメータ458から成る。ペーパーモジュール404は、プレーンペーパーシート上の印字を制御し、該プレーンペーパーシートは、ラベルシステムの各部分(例えば図6のラベルシステム200のペーパー部分204)を形成する。ペーパーモジュール404は、プレーンペーパーシートの、ラベルシステム200の一部としての統合を開始又は停止することができる。プレーンモジュール404のレシートパラメータ454は、レシートの、ラベルシステム200の一部としての選択的統合を制御する。情報カードパラメータ456は、例えば患者情報カード(図1)のような情報カードの、制御モニター400を介して作成されるラベルシステム200の一部としての選択的統合を制御する。モノグラフパラメータ458は、モノグラフ又はシート260(図4)のような他の患者情報シートの、制御モニター400を介して作成されるラベルシステムの一部としての選択的統合を制御する。
【0079】
ペーパーモジュール404の1又はそれ以上のパラメータが作動すると直ちに、該モジュールの内容及び外観を含む印刷物の様々な態様は、データモジュール408及び/又は総合モジュール402を介して、さらにカスタマイズ又は制御を行うことができる。
【0080】
制御モニター400のラベルモジュール406は、大型用パラメータ460、小型用パラメータ462、正面パラメータ464、背面パラメータ466、尾根パラメータ468及びびん型式パラメータ470から成る。ラベルモジュール406はまた、確認パラメータ472、服用量パラメータ474、警告パラメータ476、処方箋情報パラメータ478、再調合パラメータ480、薬袋タグパラメータ482及びその他のパラメータ484も備える。
【0081】
大型用パラメータ460及び小型用パラメータ462は、大型ラベルセット用及び小型ラベルセット用に予めプログラムされたパラメータ、例えばラベルシステム200の大型びん用ラベル220及び小型びん用ラベル222(図6)をそれぞれ別々に制御する。正面パラメータ464、背面パラメータ466及び尾根パラメータ468は、ラベル(例えば図6のラベルシステムのラベル220又はラベル222)の正面部分、背面部分及び尾根部分の様々な態様(例えば統合、相対的サイズ、形状など)を制御する。びん型式パラメータ470は、薬剤取扱者がびん型式を選定する際、ある特定型式のびんに適合するラベルの作成を、ラベルモジュール406における他のパラメータ及び総合モジュール402と連携しつつ制御する。一実施形態では、びん型式パラメータ470によって、制御モニター400のラベルモジュール406及び総合モジュール402におけるパラメータファミリー全体を事前に選択した上でラベルシステムを作成することが可能となり、このラベルシステムは例えばラベルシステム200のように、びんの各型式に適合しており、その型式には、第1型式のびん(例えば図1乃至3Dのびん12)、第2型式のびん(図9A乃至9Cのびん500)及び第3型式のびん(図10乃至13Cのびん600、700)が含まれるが、それに限られない。
【0082】
制御モニター400のデータモジュール408は、びんのラベルシステム上の印刷物として、どのデータを表示させるか、また該データをどこにどのように表示させるかを制御する。データモジュール408は、このデータの入力、保存、検索及び表示を制御することを可能とし、該データは、データモジュール408を含む制御モニター400の各種モジュールのパラメータを操作する際に利用される。図8に示すように、データモジュール408は、患者パラメータ490、薬剤パラメータ491、使用法パラメータ492、投与量パラメータ493、使用上の注意パラメータ494、追加パラメータ495、医師パラメータ496、薬剤交付者パラメータ497及び規則パラメータ498から成る。
【0083】
データモジュール408の患者パラメータ490は、患者名、住所、電話番号、身分証明書番号などを管理し、薬剤パラメータ491は、薬剤名、薬剤供給者などの薬剤データを管理する。使用法パラメータ492は、薬剤の適正な使用法に関するデータを管理し、投与量パラメータ492は、薬剤の処方量に関するデータを管理する。使用上の注意パラメータ494は、薬剤又は他の相互作用物質/液体と関連する警告や注意についてのデータを管理する。追加パラメータ495によって、制御モニター400の取扱者は、関連追加データを、その都度個別にラベル又はラベルシステムに追加することが可能となる。
【0084】
図8に示すように、データモジュール408の医師パラメータ496は、医師名、医師の住所などに関するデータを管理し、薬剤交付者パラメータ497は、薬剤を傘下小売店の1店舗(例えばTarget(登録商標)店舗内の薬局)で交付する薬剤交付者の名称、所在地、電話番号及びロゴ(又は他の宣伝イメージ)に関するデータを管理する。規則パラメータ498は、薬局びん、ラベル、包装などに関するデータの使用又は表示方法につき地区、郡、州及び/又は連邦規則を指定、取入れ及び/又は適用することによって、制御モニター400によって作成されたラベル上で使用すべきデータ、また該データを該ラベル上で使用する方法を決定する。
【0085】
したがって、制御モニター400は、ラベルシステムの作成を可能とし、該ラベルシステムは薬剤びんに貼付しかつ薬剤びんと併用するためのラベル、シート及び他の種類の印刷物の全ファミリーを備え、これは本出願全体を通じて説明及び図示されるとおりである。
【0086】
図9A乃至9Cは、本発明の一実施形態に係る薬剤びん500の平面図から成る。図9Aに示すように、薬剤びん500は、正面部分502、側面部分504、背面部分506、底部508及び、肩部512を伴った頂部510から成る。正面部分502、側面部分504及び背面部分506は、概して長方形状の表面及び概して平面形状の表面をそれぞれ規定する。薬剤びん500はまた、開口部43及びネジ山付きネック部42を伴った口部40、並びに環部70及び頚スペース部72も備える。一実施形態では、薬剤びん500は、側面部分504の片方又は両方において突起アレイ80を備える。別の実施形態では、薬剤びん500は突起アレイ80のない側面部分504から成る。
【0087】
図9A乃至9Cに示すように、びん500は、カード530を着脱自在に収納するスロット532を具備し、該スロットは前記で説明した本発明の各実施形態に示すスロット69の患者情報カード68との相互動作とほぼ同じ方法でカードを収納する。スロット532は、凹部分540及び、ラベル515の背面部分522によって規定される。
【0088】
正面部分502は、ラベル515の正面部分520を受けて、びん500の背面部分506は、ラベル515の背面部分522及び尾根部分524を受ける。ラベル515の正面部分520、尾根部分524及び背面部分522は、ラベル60、170と概して同じ構造及び属性を備えており、これは既に図1乃至5Bとの関連で説明及び図示したとおりである。しかし図9A乃至9Cはさらに、ラベル515の正面部分520をラベル515の尾根部分524及び背面部分522から切離したときの状態を図示しており、これにより、大型のびん(60ドラム)へのラベル515の貼付が可能となり、該大型のびん12は、その底部508が支持表面11上に置かれるとき、異なる形状及び上下正しい配置を有する。
【0089】
図10は、本発明の実施形態に係る薬剤びん600の等角図であり、左側のびん600は主にびん600の正面部分602及び側面部分606を示しており、右側のびん600は主にびん600の背面部分604及び側面部分608を示している。正面部分602、背面部分604及び側面部分606、608はそれぞれ概して長方形状の表面を規定し、正面部分602及び背面部分604はまた概して平面形状の表面を形成する。図10に示すように、薬剤びん600は、底部610も具備した容器に加え、キャップ14及び/又はリング50を備えており、これは図1乃至4及び9A乃至9Cとの関連で既に説明したとおりである。
【0090】
びん600のラベル640は、患者情報カード652を着脱自在に収納するスロット650を形成し、この収納は、図1乃至3及び9A乃至9Cの実施形態に示すのとほぼ同様の方法でなされる。一実施形態では、患者情報カード640は、ラベルシステム200の患者情報カード250(図6に示す)に相当する。スロット650の構成は、図11Aとの関連でより詳細に説明される。
【0091】
図10に示すように、薬剤びん600は突起部分620を備える。一実施形態では、突起部分620はリング621を備え、該リング621は細長い環状型に形成され、側面部分606、608の表面624から突起している。リング621は凹表面622を規定する。一実施形態では、凹表面622は、ラベルシステム400からラベル630を受けて、突起部分620のリングの内部に配置される。薬剤交付者識別欄、患者識別欄、薬剤識別欄及び/又は医師識別欄などを有するラベルを突起部分620の内部に位置させることで、ラベル630の表示はいっそう目につきやすくなり、該突起部分の内部に嵌め込まれた情報に対して注意を引き付けることができる。一実施形態では、突起部分620は、びんを握るのを補助する目的で用いることもできる。
【0092】
別の実施形態では、突起部分620は、長環状のリング620に厳密に限定されるわけではなく、例えば長方形状の突起、円形状の突起、楕円形状の突起、三角形状の突起など他の形状及び構成を備えることもできる。最後に、別の実施形態では、びん12は側面部分606及び608上の突起部分620を具備しない。
【0093】
図10に示すように、ラベル640は、びん600の正面部分602に接着固定された正面部分642、及びびん600の背面部分604に接着固定された背面部分644とから成る。ラベル640は、図6のラベルシステム200の各種ラベルとほぼ同じ構造及び属性を有する。一実施形態では、ラベル640は、ラベルシステム200からラベル222として選択されたものであり、その中では、ラベル222の正面部分290がラベル640の正面部分642に、またラベル222の背面部分294及び尾根部分295がラベル640の背面部分644に、対応している。一実施形態では、ラベル222は尾根部分295を削除したかたちで制御モニター400によって作成されて、これにより、ラベル640の背面部分644はラベル222の背面部分294とのみ対応し、尾根部分295はラベル222の背面部分294と正面部分290との間に間置された領域を規定しない。さらに、ラベル640がラベルシステム200からラベル222(図6)の類型として選択されたとき、正面部分642はラベル222の切離し線(図6)に対応する切離し線を介して背面部分644から切離された後、びん600に貼付される。したがって、この実施形態は、印刷された単一構成を有するラベル222(又はラベル220)が、図10に示すびん600のような第1型式のびん上に切り離された状態で配置されて使用することもでき、また図4のびん12のような第2型式のびん上に1枚のラベルとして使用することもできることをさらに示しており、後者の場合、ラベル60(図6のラベル220、222に対応する)がびん12の表面の周りを覆う一方で、ラベル222は全体として1枚の状態を維持している。
【0094】
図11Aは、本発明の実施形態に係るびん600の背面部分の平面図である。図11Aに示すように、びん600の背面部分604は、凹部分660、上方接触部分670及び下方接触部分672から成る。上方接触部分670及び下方接触部分672は、凹部分660の上下両端に沿って配置され、凹部分660を取り囲む。背面部分604は、例えばラベルシステム200の背面部分284(図4)のようなラベルが上方接触部分670及び下方接触部分672上で接着固定されるようにサイズ決めおよび形成され、該ラベルの背面部分の残りの部分は凹部分660を覆うように延在し、これは以下でさらに説明するとおりである。凹部分660は、背面部分604の表面におけるくぼみとして形成されて、スロット650の形成(図10に示す)を可能としており、その方法は図1乃至3及び9A乃至9Cの実施形態におけるスロットの形成とほぼ同じ方法であって、患者情報カード640の収納を可能としている。一実施形態では、図11Aに示すように、びん600の背面部分604上の凹部分660は、背面部分604の面の幅全体にわたって側面方向に延在する。この構造は、患者情報カード(例えば図6に示す患者情報カード250又は図1に示す患者情報カード68)が、凹部分の側面方向のいずれか一方の側(びんの左又は右側)に突出し、それによって、スロット(例えばスロット650)への患者情報カードの挿入及び/又は取出し時における可撓性の向上を可能とする。さらにこの構造は、比較的大きめの患者情報カードを側面方向の十分な幅の凹みを備えたスロットに挿入することを可能としており、なぜなら該患者情報カードは、スロットの両側から突出することができるため、必要に応じてさらに大型の患者情報カードを収納しやすい仕様となっているからである。
【0095】
さらに、別の実施形態では、びんの背面部分(例えばびん600の背面部分604)の幅全体にわたって側面方向に延在する凹部分は、図1乃至3D、図9A乃至9C及び/又は図13A乃至13Cの実施形態に示される凹部分で代替されることも可能であり、後者の凹部分は、これら各実施形態に示す背面部分の幅全体の一部のみにわたって側面方向に延在している。
【0096】
別の実施形態では、びん600の背面部分604の幅全体にわたって側面方向に延在する凹部分は、凹部分、例えば図1乃至3D、図9A乃至9C及び/又は図13A乃至13Cの実施形態に示される凹部分90(図3C)、凹部分760(図13C)及び他の凹部分で代替されることも可能であり、後者の凹部分は、これら各実施形態に示す背面部分の幅全体の一部のみにわたって側面方向に延在している。したがって、びん600のこの実施形態において、凹部分660は背面部分604の面全体の一部のみにわたって延在することになる。
【0097】
図11Bは、びん600の片側面の平面図であって、びん600の側面部分606又は側面部分608(図10)を示し、さらに突起部分620及び表面624も示している。一実施形態では、側面部分606及び608はサイズ、形状、向き及び全体構成が互いにほぼ同じである。
【0098】
別の実施形態では、側面部分606及び608は互いに異なる仕様となっている。図12に示すように、この実施形態の一態様は、図11Bに示されるものとほぼ同じ突出部分620を備えた側面部分606、並びに、湾曲端部、例えば上方湾曲端部654、下方湾曲端部656及び側方湾曲端部658を伴う概して平坦な表面を有している側面部分652を備えた側面部分608を具備する。
【0099】
図13A乃至13Cは、本発明の実施形態に係る薬剤びん700の平面図である。図13A乃至13Cに示すように、びん700は正面部分702、背面部分704、側面部分706及び708並びに頂部712から成る。びん700は、前記で図10乃至12との関連で説明したびん600とほぼ同じ構造及び属性を有しており、相違点は、びん700のより大きい高さ、並びに正面部分702、背面部分704及び側面部分706、708上の構造の相対比率に関する点である。一態様において、凹部分760は、図10のラベル640のようなラベルと連携して形成されるスロット(例えば図10のスロット650)について、図1乃至3D及び9A乃至12との関連で前記で説明した凹部分とほぼ同じ構造及び属性を有しており、患者情報カード、例えば図10の患者情報カード652のスロットへの摺動可能な挿入及び取出しを可能にしている。
【0100】
一実施形態では、各側面部分706、708は、リング721及び表面722を備える突起部分720、並びに、図10の実施形態のびん600の側面部分620とほぼ同じ構造及び属性を有する表面718から成っており、相違点は、びん700の表面718の総表面積が拡大した関連で側面部分706、708の表面718の表面積が増えたのに応じてリング720が相対的に縮小された点である。別の実施形態では、2つの側面部分706、708のうち片方のみが突起部分720を備える。別の実施形態では、びん700は側面部分706、708のいずれにおいても突起部分720を備えていない。
【0101】
本発明の各実施形態は、患者が処方びんから直接に処方箋についての情報を得るという経験を大いに向上させ、また調剤薬局が薬局での薬剤購入についての患者の満足な経験を維持するような方法で一貫して処方薬を調合し交付する能力を大いに向上させる。
【0102】
詳細な実施形態が本明細書で図示及び説明されるが、当該技術分野において通常の知識を有する者は、本明細書において図示及び説明された詳細な実施形態が、本発明の範囲を逸脱することなく、他の及び/又は均等の実施によって代替され得ることを認識するであろう。本出願は、本明細書で議論する詳細な実施形態のいかなる改変及び変更をも対象とすることが意図される。したがって、本発明の範囲は、請求の範囲及びその均等物のみに限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方薬剤びんであって、
容器を有し、この容器は、
概して長方形状を有する概して平面形状の正面部分と、
正面部分から離間された概して平面形状の背面部分であって概して長方形状を有し正面部分とは概して対向している背面部分と、を有するものであり、
容器に固着されて薬剤に関する印刷物を付けているラベルを有し、このラベルは、
容器の正面部分上に固着された正面部分と、
容器の背面部分上に固着された背面部分と、を有するものであり、
容器の背面部分とラベルの背面部分との間に規定されたスロットを具備し、このスロットは、少なくとも情報カードと拡大ツールのいずれか一つをスロット内部に着脱自在に収納するようにサイズ決め及び形成されている、処方薬剤びん。
【請求項2】
容器が相対向して互いに離間された一対の側面部分を備え、各側面部分が容器の正面部分と容器の背面部分との間に延在しており、また、スロットが容器の背面部分の凹部分と、該凹部分を覆うように延在するラベルの背面部分の非接着部分との間のスペースによって規定され、該凹部分は概して長方形状であって容器の背面部分の幅全体の少なくとも一部にわたって側面方向に延在し、該凹部分は容器のいずれか一方の側面部分と隣接する少なくとも一つの外端部を有していてスロットの第1開口部を形成する、請求項1に記載の薬剤びん。
【請求項3】
情報カード又は拡大ツールがスロット内部に完全に挿入されたときに該情報カード又は該拡大ツールの少なくとも一部分がスロット内部から容器の長手方向軸に対して側面方向に突出可能となるように、スロットがサイズ決め、形成及び配向されていることを特徴とする、請求項2に記載の薬剤びん。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【公開番号】特開2011−31083(P2011−31083A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257202(P2010−257202)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2007−552108(P2007−552108)の分割
【原出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(507105150)ターゲット ブランズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】