説明

処理システムおよび処理方法

【課題】搬送部における待機時間の発生を抑制することができる処理システムおよび処理方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る処理システムは、被処理物を収納する収納部と、前記被処理物に処理を施す処理部と、前記被処理物を載置する保持部を積層方向に第1の間隔をおいて複数有する載置部と、前記収納部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向における第1の位置において前記載置部に侵入する第1の搬送部と、前記処理部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向において前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記載置部に侵入する第2の搬送部と、を備えている。そして、前記第1の位置は、前記第2の位置を挟んで前記積層方向に2箇所設けられ、前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部に同時期に侵入することが可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、処理システムおよび処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造において、被処理物(例えば、ウェーハやガラス基板など)を1つずつ処理する枚葉式の処理部を複数備えた処理システムが知られている。そして、被処理物を収納する収納部と複数の処理部との間に設けられた載置部(バッファ部)と、収納部と載置部との間において被処理物の搬送を行う第1の搬送部と、複数の処理部と載置部との間において被処理物の搬送を行う第2の搬送部と、を備えた処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、第1の搬送部および第2の搬送部の待機時間を短くするために、載置部に対して、第1の搬送部と第2の搬送部とがそれぞれ独立して受け取り動作または受け渡し動作を行うことができる処理システムが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献2に記載された処理システムにおいては、予め決められた処理前の基板を収納する領域と、処理後の基板を収納する領域とが1つずつ設けられている。そして、それぞれの領域において、下方に位置する保持部から順に、被処理物の受け取りまたは受け渡しに用いるようになっている。
そのため、第1の搬送部および第2の搬送部のいずれかに待機時間が発生することになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−326666号公報
【特許文献2】特開平9−74126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、搬送部における待機時間の発生を抑制することができる処理システムおよび処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る処理システムは、被処理物を収納する収納部と、前記被処理物に処理を施す処理部と、前記被処理物を載置する保持部を積層方向に第1の間隔をおいて複数有する載置部と、前記収納部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向における第1の位置において前記載置部に侵入する第1の搬送部と、前記処理部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向において前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記載置部に侵入する第2の搬送部と、を備えている。そして、前記第1の位置は、前記第2の位置を挟んで前記積層方向に2箇所設けられ、前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部に同時期に侵入することが可能とされている。
【0006】
また、他の実施形態に係る処理方法は、第1の搬送部により、被処理物を収納する収納部と、前記被処理物を載置する保持部を積層方向に第1の間隔をおいて複数有する載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行う工程と、第2の搬送部により、前記被処理物に処理を施す処理部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行う工程と、前記処理部において、前記被処理物に処理を施す工程と、を備えている。そして、前記第1の搬送部は、前記積層方向における第1の位置において前記載置部に侵入し、前記第2の搬送部は、前記積層方向において前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記載置部に侵入し、前記第1の位置は、前記第2の位置を挟んで前記積層方向に2箇所設けられ、前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部に同時期に侵入することが可能とされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、搬送部における待機時間の発生を抑制することができる処理システムおよび処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る処理システム1を例示するための模式図である。
【図2】第1の搬送部3、載置部4、第2の搬送部5を例示するための模式斜視図である。
【図3】第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りおよび保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しを例示するための模式図である。
【図4】第1の搬送部3および第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りおよび保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しを例示するための模式図である。
【図5】第1の搬送部3が受け取り動作及び受け渡し動作を行う位置と、第2の搬送部5が受け取り動作及び受け渡し動作を行う位置とを例示するための模式図である。
【図6】第2の実施形態に係る処理システム11を例示するための模式斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る処理方法について例示するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。
なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。 また、以下においては、一例として、被処理物であるウェーハW(シリコン基板)を1枚ずつ処理する枚葉式の処理部を複数備えた処理システムについて例示をする。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る処理システム1を例示するための模式図である。
図2は、第1の搬送部3、載置部4、第2の搬送部5を例示するための模式斜視図である。
図1に示すように、処理システム1には、収納部2、第1の搬送部3、載置部4、第2の搬送部5、処理部6が設けられている。
【0011】
収納部2は、処理前のウェーハW1、処理済みのウェーハW2を収納する。なお、以下においては、処理前のウェーハW1、処理済みのウェーハW2を総称して単にウェーハWと称する場合もある。
収納部2としては、例えば、ウェーハWを積層状(多段状)に収納可能なウェーハキャリアなどを例示することができる。この場合、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われるウェーハWの搬送、保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP( Front-Opening Unified Pod )などとすることができる。また、収納部2の正面側(ウェーハWの出し入れ側)に扉が設けられている場合には、扉を開閉するための図示しない開閉装置を設けることができる。
なお、4つの収納部2が設けられる場合を例示したが、収納部2の数や配設位置などは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0012】
第1の搬送部3は、収納部2と、載置部4と、の間におけるウェーハWの搬送を行う。 図2に示すように、第1の搬送部3には、保持装置3a、水平多関節ロボット3b、移動部3cが設けられている。
保持装置3aには、把持部3a1が設けられている。
把持部3a1には、ウェーハWを把持するための把持板3a2、把持板3a3が設けられている。
【0013】
把持板3a2は、延出するようにして設けられ、先端部の2箇所にはウェーハWの周縁に接触させるための把持体3a21が設けられている。また、把持板3a2の上面にはウェーハWを載置することができるようになっている。
把持板3a3の先端部の2箇所にはウェーハWの周縁に接触させるための把持体3a31が設けられている。把持体3a21と把持体3a31とは、ウェーハWの中心に対して対称な位置に設けるようにすることができる。
【0014】
また、把持体3a21と把持体3a31とは円柱状を呈したものとすることができ、把持体3a21の形状寸法と把持体3a31の形状寸法とが同じとなるようにすることができる。
把持板3a2と把持板3a3とは図示しない駆動部により移動可能となっており、把持体3a21と把持体3a31とをウェーハWの周縁に接触させることで、ウェーハWを把持することができるようになっている。
【0015】
また、把持部3a1は積層するようにして5組設けられている。積層方向(例えば、図2におけるZ方向)における把持部3a1同士の間隔は、載置部4に設けられた保持部4aの間隔(第1の間隔の一例に相当する)と同じとなっている。載置部4に設けられた保持部4aの間隔は、収納部2に設けられた保持部の間隔と同じとなっている。そのため、積層方向において把持部3a1により把持された複数のウェーハW(例えば、5枚のウェーハW)を収納部2または載置部4に同時に受け渡したり、収納部2または載置部4から同時に受け取ったりすることができる。
【0016】
ここで、積層方向に設けられる把持部3a1の数は、処理部6の数よりも1つ多い数(図1に例示をしたものの場合には5組)とすることが好ましい。その様にすれば、処理前のウェーハWとして載置されていた載置部4の場所に、処理済みの同じウェーハWを戻すことができる。すなわち、載置部4の同じ場所に処理済みのウェーハWを戻すことができる。また、載置部4に対して、処理前のウェーハWの受け渡しと、処理済みのウェーハWの受け取りとを「処理部6の数+1」の枚数毎に行うことができる。
すなわち、第1の搬送部3は、処理部6の数よりも1つ多い数のウェーハWを搬送するようにすることができる。
【0017】
また、積層方向に設けられる把持部3a1の数(第1の搬送部3が一度に搬送できるウェーハWの数)は、収納部2における収納数の約数となる数となるようにすることが好ましい。その様にすれば、搬送時に端数が生じることがないので、搬送制御の単純化を図ることができる。
【0018】
例えば、収納部2としてFOUPを用いる場合、一般的にFOUPの収容数は25枚であるため、積層方向に設けられる把持部3a1の数を5組とすることができる。
またさらに、積層方向に設けられる把持部3a1の数を5組とすれば、処理部6の数が4であるため、処理前のウェーハWとして載置されていた載置部4の場所に、処理済みの同じウェーハWを戻すことができる。また、載置部4に対して、処理前のウェーハWの受け渡しと、処理済みのウェーハWの受け取りとを5枚毎に行うことができる。
すなわち、図1に例示をしたものの場合には、積層方向に設けられる把持部3a1の数を5組とすることが最も効率的となる。
【0019】
なお、図1に例示をしたものの場合には、アーム3b2、アーム3b3にそれぞれ5組の把持部3a1を設けるようにしたが、アーム3b2、アーム3b3のどちらか一方に1組の把持部3a1を設けるようにすることもできる。この場合、1組の把持部3a1は、例えば、品質管理などにおける検査や少ない処理枚数によるプロセス評価などに用いるようにすることができる。
【0020】
なお、4つの把持体(2つの把持体3a21と2つの把持体3a31)をウェーハWの周縁に接触させる場合を例示したが、把持体は2つ以上であればよい。ただし、3つ以上の把持体を用いるものとすれば、ウェーハWの把持を安定させることができる。
また、保持装置3aのその他の構成には既知の技術を適用させることができるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
水平多関節ロボット3bには、支持部3b1、アーム3b2、アーム3b3が設けられている。
アーム3b2、アーム3b3は、支持部3b1の上端に設けられた可動部3b11の上面に設けられている。
アーム3b2は、可動部3b11の上面に設けられたアーム3b2aと、アーム3b2a上に回転軸を介して設けられたアーム3b2bとを備えている。
アーム3b3は、可動部3b11の上面に設けられたアーム3b3aと、アーム3b3a上に回転軸を介して設けられたアーム3b3bとを備えている。
【0022】
支持部3b1には、可動部3b11を矢印Z方向に昇降させる図示しない昇降駆動部と、可動部3b11を矢印θ方向に旋回させる図示しない旋回駆動部とが設けられている。
図示しない昇降駆動部により可動部3b11の上方に設けられた保持装置3aの位置を移動させることで、収納部2および載置部4における任意の位置にウェーハWを受け渡したり、収納部2および載置部4における任意の位置からウェーハWを受け取ったりすることができるようになっている。
この場合、図示しない制御部により昇降駆動部を制御することで第1の搬送部3における昇降動作が行われる。
なお、以下においては、昇降駆動部により保持装置3aの積層方向における位置を移動させる場合には、図示しない制御部により昇降駆動部を制御することで第1の搬送部3における昇降動作(保持装置3aの積層方向における位置の移動)が行われるようになっている。
【0023】
また、支持部3b1には、アーム3b2a、アーム3b2bを伸縮動作させる図示しない伸縮駆動部と、アーム3b3a、アーム3b3bを伸縮動作させる図示しない伸縮駆動部とが設けられている。
そして、アーム3b2bの先端部と、アーム3b3bの先端部と、には保持装置3aがそれぞれ設けられている。
【0024】
また、アーム3b2bと保持装置3aとは、“⊃”状の断面形状を有する部材8で接続されている。そのため、アーム3b2bと保持装置3aとの間には空間が形成されることになる。この空間は、アーム3b3が伸縮した際にアーム3b3bに設けられた5組の保持装置3aが通過可能となるような縦横寸法となっている。
【0025】
なお、水平多関節ロボット3bのその他の構成には既知の技術を適用させることができるので、詳細な説明は省略する。
また、一例として、水平多関節ロボット3bを例示したがこれに限定されるわけではない。収納部2または載置部4に対して保持装置3aを接近および離隔させることができるものを適宜選択することができる。例えば、収納部2または載置部4に対して保持装置3aを直線的に接近および離隔させるものとすることもできる。
【0026】
移動部3cは、複数の収納部2に対して保持装置3aおよび水平多関節ロボット3bによるウェーハWの受け渡しまたは受け取りができるようにするために設けられている。すなわち、所定の収納部2の前方に水平多関節ロボット3bを移動、位置決めさせるために設けられている。移動部3cは、例えば、いわゆる単軸ロボットなどとすることができる。
なお、移動部3cは必ずしも必要ではなく、収納部2の数やレイアウトなどに応じて適宜設けるようにすることができる。
【0027】
ここで、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置(第1の位置の一例に相当する)と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置(第2の位置の一例に相当する)と、が異なるものとされている。
また、後述する図5に示すように、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置は、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置を挟んで、積層方向に2箇所設けられている。
また、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとされたことで、第1の搬送部3と、第2の搬送部5と、が載置部4に同時期に侵入することが可能とされている。
この場合、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置とは、載置部4の中のウェーハWの保持位置を基準とした場合ではなく、載置部4の外部の位置を基準とした場合である。例えば、筐体7における載置部4の取り付け面などを基準とした場合である。
そのため、第1の搬送部3と第2の搬送部5との積層方向における位置が所定の位置のままであったとしても、載置部4が昇降してウェーハWの保持位置が変わった場合は、載置部4の中の所定の保持位置に対して、第1の搬送部3と第2の搬送部5が侵入する位置は異なるものとなる。
なお、これらに関する詳細は後述する。
【0028】
載置部4は、収納部2と処理部6との間に設けられている。
なお、図2においては、煩雑となることを避けるために載置部4の部分断面を表している。
載置部4には、所定の間隔をおいてウェーハWを積層状(多段状)に載置するための保持部4aが設けられている。なお、前述したように載置部4に設けられた保持部4aの間隔は、収納部2に設けられた保持部の間隔と同じとなっている。載置部4を設けるようにすれば一時的にウェーハWを載置することができるので、収納部2側における作業時間と処理部6側における作業時間との差を吸収することができる。そのため、処理システム1における処理の時間効率を向上させることができる。
また、保持部4aの積層方向において、保持部4aの位置を変化させる移動部4bが設けられている。また、移動部4bの制御を行う図示しない制御部を設け、図示しない制御部により移動部4bを制御することで載置部4における昇降動作(保持部4aの積層方向における位置の変化)が行われるようになっている。
すなわち、載置部4は、保持部4aに載置されたウェーハWを積層方向に移動させる移動部4bを有し、移動部4bは、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置に応じて処理前のウェーハW2を移動させることができるようになっている。この場合、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置は、予め定められた位置とされている。なお、これらに関する詳細は後述する。
【0029】
第2の搬送部5は、処理部6と、載置部4と、の間におけるウェーハWの搬送を行う。 第2の搬送部5には、保持装置5a、水平多関節ロボット5bが設けられている。
保持装置5aの構成は、前述した保持装置3aの構成と同様とすることができる。例えば、把持部5a1に設けられた把持板5a2、把持板5a3、把持体5a21、把持体5a31などは、前述した把持板3a2、把持板3a3、把持体3a21、把持体3a31などとそれぞれ同じものとすることができる。
ただし、把持部3a1の場合は積層方向に積層するようにして把持部3a1が5組設けられているが、把持部5a1の場合はアーム5b2b、アーム5b3bに把持部3a1がそれぞれ1組ずつ設けられている。
【0030】
水平多関節ロボット5bの構成は、前述した水平多関節ロボット3bの構成と同様とすることができる。例えば、水平多関節ロボット5bに設けられた支持部5b1、アーム5b2(第1のアームの一例に相当する)、アーム5b3(第2のアームの一例に相当する)、可動部5b11、アーム5b2a、アーム5b2b、アーム5b3a、アーム5b3b、部材8aなどは、前述した支持部3b1、アーム3b2、アーム3b3、可動部3b11、アーム3b2a、アーム3b2b、アーム3b3a、アーム3b3b、部材8などとそれぞれ同じものとすることができる。
すなわち、第2の搬送部5は、アーム5b2と、アーム5b2に対して積層方向に所定の間隔(第2の間隔の一例に相当する)をおいて設けられたアーム5b3と、を有している。
また、第2の搬送部5における昇降動作を行うための構成も、前述した第1の搬送部3における構成と同様とすることができる。
すなわち、第1の搬送部3の場合と同様に、図示しない制御部により昇降駆動部を制御することで第2の搬送部5における昇降動作が行われる。
なお、以下においては、昇降駆動部により保持装置5aの積層方向における位置を移動させる場合には、図示しない制御部により昇降駆動部を制御することで第2の搬送部5における昇降動作(保持装置5aの積層方向における位置の移動)が行われるようになっている。
【0031】
ただし、“⊃”状の断面形状を有する部材8aを設けることでアーム5b2bと保持装置5aとの間に形成される空間は、アーム5b3が伸縮した際にアーム5b3bに設けられた1組の保持装置5aが通過可能となるような縦横寸法となっている。
また、支持部5b1に設けられた図示しない昇降駆動部は、可動部5b11の上方に設けられた保持装置5aの位置を矢印Z方向に所定の寸法だけ昇降させるようになっている。この場合、図示しない昇降駆動部による昇降は、後述する載置部4におけるウェーハWの受け渡しや受け取り、および、各処理部6a〜6dにおけるウェーハWの受け渡しや受け取りに必要な寸法だけ行われるようにすることができる。
【0032】
また、アーム5b2a、アーム5b2bに設けられた2つの保持装置5aの積層方向の間隔(上側の把持板5a2と下側の把持板5a2との間隔)は、載置部4に設けられた保持部4aのピッチ間隔の整数倍となっている。2つの保持装置5aの積層方向の間隔をこの様にすることで、一方の保持装置5aにより把持された処理済みのウェーハWを載置部4に設けられた保持部4aに載置して後退する際に、他方の保持装置5aの積層方向における位置を処理前のウェーハWを受け取るために前進する際の位置に合わせることができる。そのため、アーム5b2、アーム5b3、の伸縮動作を同時に行うことができるので、ウェーハWの受け渡しと受け取りに要する動作時間を短縮することができる。 また、一例として、水平多関節ロボット5bを例示したがこれに限定されるわけではない。載置部4または処理部6に対して保持装置5aを接近および離隔させることができるものを適宜選択することができる。例えば、載置部4または処理部6に対して保持装置5aを直線的に接近および離隔させるものとすることもできる。
なお、載置部4における第1の搬送部3および第2の搬送部5によるウェーハWの受け渡し手順、ウェーハWの受け取り手順に関しては後述する。
【0033】
処理部6は、処理前のウェーハW1に各種処理を施す。
処理部6は複数設けられるようにすることができる。
この場合、処理部6a〜6dは、ウェーハWに各種処理を施すものを適宜選択することができる。例えば、処理部6a〜6dとしては、スパッタリング装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置などの各種の成膜装置、酸化装置、熱拡散装置やイオン注入装置などの各種のドーピング装置、アニール装置、レジスト塗布装置やレジスト剥離装置などの各種のレジスト処理装置、露光装置、ウェットエッチング装置やドライエッチング装置などの各種のエッチング処理装置、ウェットアッシング装置やドライアッシング装置などの各種のアッシング処理装置、ウェット洗浄装置やドライ洗浄装置などの各種の洗浄装置、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなくウェーハWの処理に応じて適宜変更することができる。
また、処理部6a〜6dは、同じ処理を行う処理装置であってもよいし、異なる処理を行う処理装置であってもよい。例えば、処理部6a〜6dがすべてエッチング処理装置であってもよいし、成膜、レジスト処理、エッチング処理、アッシング処理などのような一連の処理に関する処理装置であってもよい。なお、これらの各種処理装置については既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0034】
また、第1の搬送部3、載置部4、第2の搬送部5、処理部6を内部に格納する筐体7を設けることもできる。筐体7は、箱状を呈し、収納部2の正面と筐体7の内部とが連通可能となるように、図示しない開孔が設けられている。筐体7の天井部分に図示しないフィルタと送風ファンとを設け、送風ファンによりフィルタを介して外気を筐体7の内部に導入するようにすることができる。外気を筐体7の内部に導入することで筐体7の内部の圧力を高めるようにすれば、筐体7内へパーティクルなどが侵入することを抑制することができる。なお、筐体7は必ずしも必要ではなく必要に応じて適宜設けるようにすればよい。
【0035】
次に、処理システム1の作用について例示をする。
なお、収納部2におけるウェーハWの受け渡しおよびウェーハWの受け取り、処理部6a〜6dにおけるウェーハWの受け渡しおよびウェーハWの受け取り、処理部6a〜6dにおけるウェーハWの処理などに関しては既知の技術を適用することができるので、これらに関する説明は省略する。
そのため、ここでは、載置部4におけるウェーハWの受け渡しおよびウェーハWの受け取りに関する例示をする。
図3は、第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りおよび保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しを例示するための模式図である。
なお、後述するように、第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りおよび保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しが行われている間は、移動部4bによる保持部4aの昇降動作は行われないようになっている。
また、載置部4、第2の搬送部5に関する構成は図1、図2において例示をしたものと同様である。
【0036】
図3(a)に示すように、支持部5b1に設けられた図示しない昇降駆動部により、処理済のウェーハW2を把持した上側の把持板5a2の積層方向の位置を位置決めする。この際、処理済のウェーハW2の下面位置が、載置部4の当該ウェーハWを保持させる保持部4aの上面位置よりもわずかに高い位置に位置決めされる。
この様に、保持部4aの上方の所定の位置に上側の把持板5a2を位置決めするようにすれば、ウェーハW2を保持部4aへ載置する際にウェーハW2と保持部4aとが接触することで発生する衝撃を少なくすることができる。そのため、ウェーハW2を保持部4aに載置する際に、ウェーハW2が跳ねたり、位置がずれたりすることを抑制することができる。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、上側の把持板5a2を載置部4の方向に移動させる。載置部4の内部に挿入されたウェーハW2の下面位置は、保持部4aの上面位置よりもわずかに高い位置に位置決めされる。そして、ウェーハW2の把持を開放し、支持部5b1に設けられた図示しない昇降駆動部により上側の把持板5a2を下降させて、処理済のウェーハW2を保持部4aに載置する。この際、上側の把持板5a2は、そのまま下降して、処理済みのウェーハW2を載置した保持部4aと、これの下方に隣接する保持部4aとの間の位置に位置決めされる。
【0038】
ここで、支持部5b1に設けられた図示しない昇降駆動部により上側の把持板5a2と下側の把持板5a2とが一緒に昇降する。この場合の昇降動作においては、上側の把持板5a2と下側の把持板5a2とは逆方向に動作する。例えば、上側の把持板5a2が上昇すると、下側の把持板5a2は下降するように動作する。
また、上側の把持板5a2と下側の把持板5a2との間隔Aは、載置部4に設けられた保持部4aのピッチ間隔Sの整数倍(図3に例示をしたものの場合は2倍)となっている。上側の把持板5a2と下側の把持板5a2との間隔Aをこの様にすることで、一方の保持装置5aにより把持された処理済みのウェーハW2を載置部4に設けられた保持部4aに載置して後退する際に、他方の保持装置5aの積層方向における位置を処理前のウェーハW1を受け取るために前進する際の位置に合わせることができる。
【0039】
この場合、例えば、処理済のウェーハW2を保持部4aに載置した上側の把持板5a2の下降が終了した際に、載置部4に載置されている処理前のウェーハW1の下面と、下側の把持板5a2との間にわずかに隙間ができる様な位置となるようにすることができる。 この様な位置に、下側の把持板5a2を位置決めすることができれば、ウェーハW1を保持部4aから受け取る際にウェーハW1と下側の把持板5a2とが接触することで発生する衝撃を少なくすることができる。そのため、ウェーハW1を受け取る際に、ウェーハW1が跳ねたり、位置がずれたりすることを抑制することができる。
【0040】
また、積層方向における位置決め動作を一度行えば、アーム5b2、アーム5b3、の伸縮動作をその位置で行うことができるので、ウェーハW1、W2の受け渡しと受け取りに要する動作時間を短縮することができる。例えば、アーム5b2、アーム5b3が別々に積層方向における位置決め動作を行う場合に比べて、動作時間を25%程度短縮することができる。
なお、上側の把持板5a2と下側の把持板5a2との間隔Aは、保持部4aのピッチ間隔Sの2倍に限定されるわけではなく、保持部4aのピッチ間隔Sの整数倍とすればよい。
【0041】
次に、図3(c)に示すように、上側の把持板5a2を載置部4から離れる方向に移動させる。
また、処理前のウェーハW1を載置部4から受け取るために、下側の把持板5a2を載置部4の方向に移動させる。
載置部4の内部に挿入された下側の把持板5a2は、処理前のウェーハW1の下方に位置決めされる。その後、支持部5b1に設けられた図示しない昇降駆動部により下側の把持板5a2を上昇させて、処理前のウェーハW1を下側の把持板5a2上に載置する。この際、下側の把持板5a2は、そのまま上昇して、受け取った処理前のウェーハW1が載置されていた保持部4aと、これの上方に隣接する保持部4aとの間の位置に位置決めされる。下側の把持板5a2上に載置された処理前のウェーハW1は図示しない把持体5a21、把持体5a31を介して把持される。
【0042】
次に、図3(d)に示すように、下側の把持板5a2を載置部4から離れる方向に移動させる。この様にして、処理済のウェーハW2、処理前のウェーハW1の受け渡し、受け取りが行われる。なお、各処理部6a〜6dにおける処理済のウェーハW2、処理前のウェーハW1の受け渡し、受け取りも同様の動作で行うようにすることができる。
【0043】
図4は、第1の搬送部3および第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りおよび保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しを例示するための模式図である。
図4に示すように、第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りは、位置P1において行われる。また、第2の搬送部5による保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しは、位置P2において行われる。この場合、位置P1と位置P2との間隔はA、すなわち、2Sである。処理済みのウェーハW2の受け渡し及び処理前のウェーハW1の受け取りが終了した後に、移動部4bにより保持部4aの位置を保持部4aのピッチ間隔S分だけ上昇させる。この場合、図示しない制御部により移動部4bを制御することで載置部4における上昇動作が行われる。
なお、保持部4aの位置の上昇は、第2の搬送部5の受け取り動作及び受け渡し動作が終了するたび毎に行うこともできるし、受け取り動作及び受け渡し動作を何回か繰り返した後にピッチ間隔Sの整数倍だけ行うようにすることもできる。
この場合、保持部4aが上昇または下降するのは、受け取り動作及び受け渡し動作が終わり、第1の搬送部3および第2の搬送装置5が載置部4より退避しているときである。
なお、以下においては、移動部4bにより保持部4aの位置を変化させる場合には、図示しない制御部により移動部4bを制御することで載置部4における昇降動作が行われるようになっている。
これにより、第2の搬送部5は、次の受け取り動作及び受け渡し動作を位置P1及び位置P2において行うことができる。すなわち、第2の搬送部5は、受け取り動作及び受け渡し動作をいつも同じ位置(位置P1、位置P2)において行うことができる。つまり、載置部4に対する第2の搬送部5の積層方向における動作範囲を所定の範囲に制限することができる。
【0044】
次に、第1の搬送部3の動作について例示する。保持部4aは、例えば、第2の搬送部5の受け取り動作及び受け渡し動作が終了するたびに保持部4aのピッチ間隔S分だけ上昇するため、位置P2より上の保持部4aには処理済みのウェーハW2が載置されていることになる。位置P2より上の保持部4aに載置された処理済みのウェーハW2の数が、積層されるようにして設けられた把持部3a1の数以上になった場合(図4に例示をしたものでは5枚以上になった場合)には、第1の搬送部3により載置部4から処理済みのウェーハW2を受け取る。すなわち、位置P2より上の範囲Bにおいて第1の搬送部3による処理済みのウェーハW2の受け取り動作が行われる。
なお、第1の搬送部3におけるウェーハWの受け取り動作および受け渡し動作は、図3において例示をした第2の搬送部5におけるウェーハWの受け取り動作および受け渡し動作と同様とすることができる。
【0045】
また、最下段の保持部4aに載置されていた処理前のウェーハW1が第2の搬送部5により受け取られた後には、載置部4は、最上段の保持部4aの位置が位置P2の位置となるように下降する。この場合には、位置P1より下の範囲Cにおいて第1の搬送部3による処理済みのウェーハW2の受け取り動作が行われる。
なお、範囲B、範囲Cは、第2の搬送部5が載置部4に侵入している場合であっても第1の搬送部3が第2の搬送部5と干渉することなく載置部4に侵入することができる範囲である。
【0046】
一方、第1の搬送部3により処理前のウェーハW1を保持部4aに受け渡す場合にも、範囲Bまたは範囲Cにおいて第1の搬送部3による処理前のウェーハW1の受け渡し動作が行われる。
この様に、載置部4に対して第1の搬送部3が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置と、第2の搬送部5が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置とが異なるので、第1の搬送部3と第2の搬送部5とが載置部4に同時期(例えば、同時)に侵入することができる。そのため、第1の搬送部3と第2の搬送部5とにおける待機時間の発生を抑制することができる。また、第1の搬送部3と第2の搬送部5とを相互に関係なく別々に制御することができる。
【0047】
図5は、第1の搬送部3が受け取り動作及び受け渡し動作を行う位置(載置部4に侵入する位置)と、第2の搬送部5が受け取り動作及び受け渡し動作を行う位置(載置部4に侵入する位置)とを例示するための模式図である。
図5中の長方形は保持部4aを表し、W0はウェーハが載置されていない場合、W1は処理前のウェーハW1が載置されている場合、W2は処理済みのウェーハW2が載置されている場合である。縦1列の長方形の一組が保持部4aを表しており、高さを変えて描かれている50a〜50fは、搬送部5によって昇降した状態を表している。例えば、50eは保持部4aが最も下がった状態、50fは再び上昇した状態を表している。
【0048】
また、第2の搬送部5による保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りは、位置P1において行われる。第2の搬送部5による保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しは、位置P2において行われる。
また、一例として、第1の搬送部3による保持部4aからの処理済みのウェーハW2の受け取りは、位置B1、位置C1において行われるとしている。また、一例として、第1の搬送部3による保持部4aへの処理前のウェーハW1の受け渡しは、位置B2、位置C2において行われるとしている。
すなわち、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置(例えば、位置B1、位置C1、位置B2、位置C2)は、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置(例えば、位置P1、位置P2)を挟んで、積層方向に2箇所設けられている。
そのため、後述するように、第1の搬送部3および第2の搬送部5の待機時間の発生を大幅に抑制することが可能となる。
【0049】
図5に示すように、初期状態50aの場合には、位置P1より下の範囲Cにある位置C2において第1の搬送部3による処理前のウェーハW1の受け渡しを行うようにすることができる。
また、範囲Cに処理前のウェーハW1を載置可能な保持部4aがまだある場合には、状態50bに示すように保持部4aの位置を上昇させる。そして、位置C2において第1の搬送部3による処理前のウェーハW1の受け渡しをさらに行うようにすることができる。
【0050】
前述したように(図4参照)、第2の搬送部5による処理済みのウェーハW2の受け渡し及び処理前のウェーハW1の受け取りが終了する毎に、移動部4bにより保持部4aの位置を保持部4aのピッチ間隔S分だけ上昇させて行く。
そのため、状態50cに示すように、位置P2より上の範囲Bに処理前のウェーハW1を載置可能な保持部4aがある場合には、位置B2において第1の搬送部3による処理前のウェーハW1の受け渡しを行うようにすることができる。
この場合、第1の搬送部3は、第2の搬送部5のアームの間隔内にある保持部4aには処理前のウェーハW1を受け渡さないようにすることができる。
例えば、範囲Bにおいて第1の搬送部3による処理前のウェーハW1の受け渡しを行う場合には、P1とP2との間隔が2S(2段)なので、最上段にある保持部4aとその下の保持部4aとには処理前のウェーハW1を受け渡さないようにすることができる。その様にすれば、状態50eに示すように最上段の保持部4aの位置が位置P2の位置となるようにされた直後であっても、第2の搬送部5により最上段にある保持部4aに処理済みのウェーハW2を受け渡すことができる。すなわち、第2の搬送部5が待機状態となることを抑制することができる。
【0051】
また、状態50dに示すように、最下段の保持部4aに載置されていた処理前のウェーハW1が第2の搬送部5により受け取られた後には、状態50eに示すように、最上段の保持部4aの位置が位置P2の位置となるように下降する。その際、範囲Cに第1の搬送部3による受け取りが可能な処理済みのウェーハW2がある場合には、位置C1において第1の搬送部3による処理済みのウェーハW2の受け取りを行うようにすることができる。
【0052】
また、状態50fに示すように、範囲Bに第1の搬送部3による受け取りが可能な処理済みのウェーハW2がある場合には、範囲Bにおいて第1の搬送部3による処理済みのウェーハW2の受け取りを行うようにすることができる。
【0053】
この場合、状態50a〜50fのいずれの場合にも、第2の搬送部5の一方の保持装置5aによる保持部4aからの処理前のウェーハW1の受け取りの位置P1、第2の搬送部5の他方の保持装置5aによる保持部4aへの処理済みのウェーハW2の受け渡しの位置P2は一定である。
なお、一例として、位置B1、位置C1、位置B2、位置C2において第1の搬送部3による処理済みのウェーハW2の受け取りまたは処理前のウェーハW1の受け渡しが行われる場合を例示したが、受け取りまたは受け渡しの位置はこれに限定されるわけではない。受け取りまたは受け渡しの位置は範囲B、範囲Cにある位置を適宜選択することができる。例えば、保持部4aの数、第1の搬送部3により一度に受け取りまたは受け渡しが行われるウェーハの数、各処理部6a〜6dにおける処理時間、第1の搬送部3による搬送時間、第2の搬送部5による搬送時間などに応じて、範囲B、範囲Cにある位置を適宜選択することができる。
【0054】
本実施の形態によれば、載置部4に対して第1の搬送部3が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置と、第2の搬送部5が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置とが異なるので、第1の搬送部3と第2の搬送部5とが載置部4に同時期に侵入することができる。また、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置は、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置を挟んで、積層方向に2箇所設けられている。そのため、第1の搬送部3と第2の搬送部5とにおける待機時間の発生を抑制することができるので、生産性を向上させることができる。
また、第1の搬送部3と第2の搬送部5との干渉防止のための複雑な制御を不要とすることができ、第1の第1の搬送部3と第2の搬送部5とを相互に関係なく別々に制御することができる。
【0055】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る処理システム11を例示するための模式斜視図である。 図6に示すように、処理システム11には、前述した処理システム1と同様に図示しない収納部、第1の搬送部3、載置部4、第2の搬送部5、処理部6が設けられている。そして、載置部4、第2の搬送部5、処理部6の上方には、載置部14、第4の搬送部15、処理部16が設けられるとともに、第3の搬送部20と載置部21が設けられている。すなわち、処理システム11は、処理システム1に設けられた載置部4、第2の搬送部5、処理部6を2つの階層にそれぞれ備えている。
この場合、載置部14、第4の搬送部15、処理部16は、前述した載置部4、第2の搬送部5、処理部6と同様とすることができる。
【0056】
載置部21は、載置部4と同様にウェーハWを載置する保持部21aを有したものとすることができる。載置部21は、処理前のウェーハW1、処理済みのウェーハW2を一時的に載置するものとすることができる。
第3の搬送部20は、載置部21に載置された処理前のウェーハW1、処理済みのウェーハW2を載置部14に向けて搬送したり、載置部14に載置された処理済みのウェーハW2を載置部21に向けて搬送したりするものとすることができる。
【0057】
なお、第3の搬送部20には、第1の搬送部3に設けられた把持部3a1と同様の把持部20a1が積層方向に積層するようにして5組設けられている。また、第1の搬送部3に設けられた水平多関節ロボット3bの代わりに単軸ロボット20b1、20b2が設けられている。
なお、第3の搬送部20、載置部21は必ずしも必要ではなく、第1の搬送部3により処理前のウェーハW1、処理済みのウェーハW2を載置部14に向けて搬送するようにしてもよい。
また、処理部などを2つの階層に設ける場合を例示したが、階層の数は2つに限定されるわけではない。この場合、3つ以上の階層を備えた処理システムとすることができる。なお、3つ以上の階層を備えた処理システムとする場合には、第3の搬送部20における搬送距離を長くすればよい。
【0058】
また、下方の階層における処理と、上方の階層における処理とを同一のものとすることもできるし、下方の階層において処理が済んだウェーハW2を上方の階層においてさらに処理をするようにすることもできる。
【0059】
本実施の形態においても、載置部4に対して第1の搬送部3が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置と、第2の搬送部5が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置とが異なるものとされている。また、載置部14に対して第3の搬送部20が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置と、第4の搬送部15が受け取り動作または受け渡し動作を行う位置とが異なるものとされている。
そのため、第1の搬送部3と第2の搬送部5とが干渉すること、第3の搬送部20と第4の搬送部15とが干渉することをそれぞれ防止することができる。その結果、第1の搬送部3と第2の搬送部5と第3の搬送部20と第4の搬送部15とを相互に関係なく別々に制御することができるので、処理部を2つの階層に設けた複雑な処理システム11であっても制御が複雑となることを抑制することができる。この場合、例えば、各搬送部に対する制御を個別的に行うことができるため、階層の数が増えたり、各階層における処理部の数が増えたりした場合であっても制御系の負荷が増大することを抑制することができる。そのため、プロセスタイミングの遅れなどの問題が発生することを抑制することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る処理方法について例示をする。
図7は、第3の実施形態に係る処理方法について例示するためのフローチャートである。
図7に示すように、第3の実施形態に係る処理方法は、例えば、前述した処理システム1、11を用いて実行することができる。
【0061】
第3の実施形態に係る処理方法は、例えば、以下の手順により実行することができる。 まず、第1の搬送部3により、収納部2から処理前のウェーハW1を受け取る。
次に、第1の搬送部3により、収納部2から載置部4に処理前のウェーハW1を搬送する。
次に、第1の搬送部3により、載置部4に処理前のウェーハW1を受け渡す。この際、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置(第1の位置の一例に相当する)と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置(第2の位置の一例に相当する)と、が異なるものとされている。
【0062】
次に、第2の搬送部5により、載置部4から処理前のウェーハW1を受け取る。この際、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとされている。
次に、第2の搬送部5により、載置部4から処理部6に処理前のウェーハW1を搬送する。
次に、第2の搬送部5により、処理部6に処理前のウェーハW1を受け渡し、処理部6から処理済みのウェーハW2を受け取る。また、処理部6において、受け渡された処理前のウェーハW1に処理が施される。
【0063】
次に、第2の搬送部5により、処理部6から載置部4に処理済みのウェーハW2を搬送する。
次に、第2の搬送部5により、載置部4に処理済みのウェーハW2を受け渡す。この際、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとされている。
次に、第1の搬送部3により、載置部4から処理済みのウェーハW2を受け取る。この際、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとされている。
【0064】
次に、第1の搬送部3により、載置部4から収納部2に処理済みのウェーハW2を搬送する。
次に、第1の搬送部3により、収納部2に処理済みのウェーハW2を受け渡す。
以後、前述した手順を繰り返すことで処理前のウェーハW1の処理を行うようにすることができる。
【0065】
すなわち、第3の実施形態に係る処理方法は、例えば、第1の搬送部3により、被処理物であるウェーハWを収納する収納部2と、所定の間隔をおいてウェーハWを積層状に載置する載置部4と、の間におけるウェーハWの搬送を行う工程と、第2の搬送部により、ウェーハWに処理を施す処理部6と、載置部4と、の間におけるウェーハWの搬送を行う工程と、処理部6において、処理前のウェーハW1に処理を施す工程と、を備えたものとすることができる。そして、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとすることができる。
この場合、第1の搬送部3が載置部4に侵入する積層方向における位置と、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置と、が異なるものとされたことで、第1の搬送部3と、第2の搬送部5と、が載置部4に同時期に侵入することが可能とされている。
【0066】
また、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置は、予め定められた位置とされ、第2の搬送部5が載置部4に侵入する積層方向における位置に応じて載置部4に載置された処理前のウェーハW1を移動させる工程を備えるようにすることもできる。
また、処理部6は複数設けられ、第1の搬送部3によりウェーハWの搬送を行う工程において、第1の搬送部3は、処理部6の数よりも1つ多い数のウェーハWを搬送するようにすることもできる。
また、第1の搬送部3によりウェーハWの搬送を行う工程において、第1の搬送部3は、収納部2の収納数の約数となる数のウェーハWを搬送するようにすることもできる。
なお、各工程における各要素は、前述した処理システム1、11の作用などにおいて例示をしたものと同様のため詳細な説明は省略する。
【0067】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、処理システム1、11が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、処理システム1、11において処理される被処理物としてウェーハを例示したがこれに限定されるわけではない。被処理物としては、例えば、ガラス基板、プリント基板、セラミック基板、光記憶媒体などの板状体、電子部品、電気部品などのように積層状に収納可能なものとすることができる。処理部6において行われる処理も前述したものに限定されるわけではなく、被処理物に応じて適宜変更することができる。
また、保持装置3a、5aとして被処理物を把持するものを例示したがこれに限定されるわけではない。保持装置としては、例えば、静電チャックやバキュームチャックなどのように被処理物の保持と開放を行うことができるものを適宜選択することができる。
また、載置部4における積層方向を上下方向として例示したがこれに限定されるわけではない。載置部4における積層方向は、例えば、水平方向であってもよいし、水平方向に対して傾斜する方向であってもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0068】
1 処理システム、2 収納部、3 第1の搬送部、3a 保持装置、3a1 把持部、3a2 把持板、3a3 把持板、3b 水平多関節ロボット、4 載置部、4a 保持部、4b 移動部、5 第2の搬送部、5a 保持装置、5a1 把持部、5a2 把持板、5a3 把持板、5b 水平多関節ロボット、6 処理部、6a〜6d 処理部、11 処理システム、W ウェーハ、W1 処理前のウェーハ、W2 処理済みのウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収納する収納部と、
前記被処理物に処理を施す処理部と、
前記被処理物を載置する保持部を積層方向に第1の間隔をおいて複数有する載置部と、
前記収納部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向における第1の位置において前記載置部に侵入する第1の搬送部と、
前記処理部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行い、前記積層方向において前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記載置部に侵入する第2の搬送部と、
を備え、
前記第1の位置は、前記第2の位置を挟んで前記積層方向に2箇所設けられ、
前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部に同時期に侵入することが可能とされたことを特徴とする処理システム。
【請求項2】
前記載置部は、載置された前記被処理物を前記積層方向に移動させる移動部を有し、
前記移動部は、前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部より退避しているときに、載置された前記被処理物を前記積層方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の処理システム。
【請求項3】
前記第2の位置は、予め定められた位置とされ、
前記移動部は、前記第2の位置に応じて、載置された前記被処理物を移動させることを特徴とする請求項2記載の処理システム。
【請求項4】
前記処理部は複数設けられ、
前記第1の搬送部は、前記処理部の数よりも1つ多い数の前記被処理物を搬送することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の処理システム。
【請求項5】
前記第1の搬送部は、前記収納部における収納数の約数となる数の前記被処理物を搬送することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の処理システム。
【請求項6】
前記第2の搬送部は、第1のアームと、前記第1のアームに対して積層方向に第2の間隔をおいて設けられた第2のアームと、を有し、
前記第1の搬送部は、前記第2の間隔内にある前記保持部には、前記被処理物を受け渡さないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の処理システム。
【請求項7】
第1の搬送部により、被処理物を収納する収納部と、前記被処理物を載置する保持部を積層方向に第1の間隔をおいて複数有する載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行う工程と、
第2の搬送部により、前記被処理物に処理を施す処理部と、前記載置部と、の間における前記被処理物の搬送を行う工程と、
前記処理部において、前記被処理物に処理を施す工程と、
を備え、
前記第1の搬送部は、前記積層方向における第1の位置において前記載置部に侵入し、
前記第2の搬送部は、前記積層方向において前記第1の位置とは異なる第2の位置において前記載置部に侵入し、
前記第1の位置は、前記第2の位置を挟んで前記積層方向に2箇所設けられ、
前記第1の搬送部と、前記第2の搬送部と、が前記載置部に同時期に侵入することが可能とされたことを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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