説明

処理指示装置、情報処理システム及びプログラム

【課題】ユーザにとって都合の良い処理を予測し、そのような処理を実現するための条件の設定をユーザに促す。
【解決手段】端末装置の制御部は、処理の対象となるデータを取得し、取得したデータの属性値のうち、ユーザが処理を評価する際の「時間」,「費用」,「画質」といった各評価項目に影響を及ぼす属性値が低評価範囲内であるか否かを判断し、低評価範囲内となる属性値の個数が多い評価項目をユーザによる評価が低くなる評価項目として特定する。制御部は、特定した評価項目における評価が高くなる作用の度合いが大きい処理条件を提示し、その処理条件の内容を変更するようユーザに案内するための設定画面を表示部に表示させて、その案内に応じてユーザにより変更された処理条件と取得したデータとに応じた処理の実行を指示する。画像形成装置は、端末装置の指示に従って、処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理指示装置、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が画像形成処理を実行するに際しては、用紙のサイズやカラー/白黒の別などの各種の処理条件を設定する必要があるが、その設定をできるだけ簡便に行うための技術が知られている。例えば、特許文献1には、プリンタの処理条件を、ユーザによって設定された回数が多い順に並べて設定画面に表示させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−271286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1では、例えばユーザが頻繁に両面プリントを行うための処理条件を設定していたとすると、1ページ分の画像を形成するときのように両面プリントを行う必要がない場合であっても、両面プリントを行うための処理条件が最初の設定画面に表示されてしまう。ユーザは、不要な処理条件の設定画面が最初に表示されると、所望の処理条件の設定画面が表示されるまでに何度も画面を切り替えなくてはならず、操作性が悪いという問題がある。この種の問題は、例えば設定画面の表示領域が小さい場合や、弱視者向けに大きな文字を設定画面に表示するような場合には、特に顕著である。画面の切り替え操作の負担がさらに増すからである。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、ユーザにとって都合の良い処理を予測し、そのような処理を実現するための条件の設定をユーザに促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記複数の評価項目のうち、低い評価となる評価項目を特定する評価項目特定手段と、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段とを備えることを特徴とする処理指示装置を提供する。
【0005】
本発明において、前記評価項目特定手段は、複数の評価項目毎に決められた評価の高低及び前記属性値の関係に対して、前記属性値特定手段によって特定された属性値を当て嵌めて、各々の前記評価項目毎に評価を低くする属性値の個数を算出し、その属性値の個数が多い評価項目を、評価が低い評価項目として特定してもよい。
【0006】
本発明において、前記案内手段は、複数の前記処理条件を、前記評価項目特定手段によって特定された前記評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい処理条件から、当該作用の度合いが小さい処理条件へと順番に表示手段に表示させて、前記ユーザに対して各々の処理条件の変更を案内してもよい。
【0007】
また、本発明は、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、予め決められた複数の評価項目のうちのいずれかをユーザが選択する操作を受け付ける受付手段と、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記操作によって選択された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件を特定する処理条件特定手段と、前記処理条件特定手段によって特定された処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行するよう、前記処理実行装置に指示する指示手段とを備えることを特徴とする処理指示装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、複数の前記属性値の組み合わせ毎に予め決められた各評価項目における評価の高低及び前記処理の条件の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、複数の前記評価項目のそれぞれにおける評価の高低のばらつきを求め、そのばらつきが大きい評価項目を特定する評価項目特定手段と、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段とを備えることを特徴とする処理指示装置を提供する。
【0009】
本発明において、複数の前記評価項目には、前記処理に要する時間若しくは資源の量乃至費用、又は、当該処理の結果のうち少なくとも2つが含まれていてもよい。
【0010】
本発明において、前記案内手段は、前記処理条件の内容を変更するよう促すメッセージを表示手段に表示させてもよい。
【0011】
また、本発明は、上記いずれかに記載の処理指示装置と、前記処理指示装置の指示に従って処理を実行する処理実行装置とを備えることを特徴とする情報処理システを提供する。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記複数の評価項目のうち、低い評価となる評価項目を特定する評価項目特定手段と、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、予め決められた複数の評価項目のうちのいずれかをユーザが選択する操作を受け付ける受付手段と、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記操作によって選択された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件を特定する処理条件特定手段と、前記処理条件特定手段によって特定された処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行するよう、前記処理実行装置に指示する指示手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを、処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、複数の前記属性値の組み合わせ毎に予め決められた各評価項目における評価の高低及び前記処理の条件の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、複数の前記評価項目のそれぞれにおける評価の高低のばらつきを求め、そのばらつきが大きい評価項目を特定する評価項目特定手段と、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
ユーザにとって都合の良い処理を予測し、そのような処理を実現するための条件の設定をユーザに促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
(1)構成
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の全体構成を示す図である。この画像形成システム1は、画像形成装置10と端末装置20とがネットワークを介して接続されている。端末装置20は、画像形成装置10に対して画像形成処理を指示する処理指示装置として機能する。画像形成装置10は、この指示に従って画像形成処理を行う処理実行装置として機能する。
【0017】
図2は、画像形成装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像形成装置10は、制御部11と、通信部12と、表示操作部13と、画像形成部14とを備えている。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えており、画像形成装置10の各部を制御する。ROMには、CPUが実行する基本的な制御プログラム記憶されており、RAMは、CPUのワークエリアである。通信部12は、ネットワークを介して接続された端末装置20とデータの送受信を行う。表示操作部13は、例えばタッチパネル式のディスプレイと各種の操作ボタン等を備えており、制御部11から供給される画像データに基づいて各種画像を表示すると共に、ユーザによる操作を受け付ける。画像形成部14は、通信部12から供給された画像データに基づいて、用紙に画像を形成する。
【0018】
図3は、端末装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、端末装置20は、制御部21と、通信部22と、表示部23と、操作部24と、記憶部25とを備えている。制御部21は、例えばCPU、ROM及びRAMを備えており、端末装置20の各部を制御する。ROMには、CPUが実行する基本的な制御プログラム記憶されており、RAMは、CPUのワークエリアである。通信部22は、ネットワークを介して接続された画像形成装置10とデータの送受信を行う。表示部23は、例えば液晶ディスプレイであり、制御部21から供給される画像データに基づいて各種画像を表示する。操作部24は、例えばキーボードとマウスであり、ユーザによる操作に応じた信号を制御部21に供給する。
【0019】
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体である。この記憶部25には、変換プログラムCPと、設定画面データSDと、評価項目特定テーブルETのほか、文書作成プログラムや画像編集プログラムなどの各種アプリケーションプログラムが記憶されている。変換プログラムCPは、制御部21がアプリケーションプログラムを実行することによって取得したアプリケーションデータを、画像形成処理を行うためのPDL(Page Description Language)データに変換するためのプログラムである。このアプリケーションデータには、文書作成プログラムによって作成された文書データや、画像編集プログラムによって生成された画像データなどが含まれている。設定画面データSDは、画像形成装置10が画像形成処理を行う際に従う処理条件を設定するための設定画面を表示部23に表示させるためのデータである。この設定画面データSDは、ユーザが画像形成処理を評価する際の評価項目、例えば「時間がかかる」,「費用がかかる」,「画質不良」毎に設けられている。この記憶部25には、「時間がかかる」という評価項目に対応する設定画面データSDと、「費用がかかる」という評価項目に対応する設定画面データSDと、「画質不良」という評価項目に対応する設定画面データSDとが記憶されている。
【0020】
図4は、評価項目特定テーブルETの一例を示す図である。同図に示すように、評価項目特定テーブルETには、PDLデータにおける複数の属性と、ユーザが画像形成処理を評価する際の評価項目毎に予め定められた評価の高低を決定する各属性の閾値とが各々対応付けられている。この図では、「時間がかかる」,「費用がかかる」,「画質不良」という3つの評価項目が設けられている。また、PDLデータの属性として、「総ページ数」,「カラーページ数」というページ数に関する属性、「最小文字サイズ」というテキストデータに関する属性、及び、「イメージ数」,「論理演算描画数」,「最小線幅」というイメージデータに関する属性が例示されている。この評価項目特定テーブルETは、PDLデータの属性値が評価項目毎に予め定められた閾値の示す低評価範囲内であれば、その評価項目がユーザによる評価が低くなる評価項目であることを表している。例えば、図に示す「総ページ数」という属性の属性値が低評価範囲である「20ページ以上」であれば、画像形成処理の費用がかかるので、「費用がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が低くなることを表す。さらに、この「総ページ数」という属性の属性値が低評価範囲である「50ページ以上」であれば、画像形成処理に時間がかかるので、「時間がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が低くなることを表す。なお、「総ページ数」という属性は、「画質」という評価項目における評価の高低については影響を及ぼさないため、この評価項目については空欄を意味する「−」が対応付けられている。
【0021】
(2)動作
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、本実施形態の動作を示すフロー図である。この動作は、端末装置20を使用するユーザによって、画像形成装置10による画像形成処理の実行対象となるアプリケーションデータが指定されたことを契機として開始される。端末装置20の制御部21は、画像形成処理の実行対象となるアプリケーションデータの指定を受け付けると(ステップS100)、指定されたアプリケーションデータを取得する。そして、制御部21は、変換プログラムCPを実行して、取得したアプリケーションデータをPDLデータに変換する(ステップS110)。これは、アプリケーションデータよりもPDLデータの方が、特定し得る属性値が多いからである。
【0022】
続いて、制御部21は、変換したPDLデータの属性値を特定する(ステップS120)。特定される属性値としては、例えば、ページ数に関する属性値である「総ページ数」,「カラーページ数」、テキストに関する属性値である「使用色数」,「文字数」,「最小文字サイズ」、イメージに関する属性である「イメージ数」,「イメージサイズ」,「論理演算描画数」,「最小線幅」などがある。続いて、制御部21は、特定した属性値を評価項目特定テーブルETに当て嵌めて、ユーザが画像形成処理を評価する際の複数の評価項目のうち、ユーザの評価が低くなる評価項目を特定する(ステップS130)。
【0023】
ここで、ユーザの評価が低くなる評価項目を特定する方法について、図4に示した評価項目特定テーブルETを参照して具体的に説明する。例えば、ステップS120にて特定されたPDLデータの属性値が、「総ページ数:50ページ」,「カラーページ数:50ページ」,「最初文字サイズ:12p」,「イメージ数:10個」,「論理演算描画数:10個」,「最小線幅:3ピクセル」であった場合を想定する。制御部21は、まず、特定した属性値を評価項目特定テーブルETに当て嵌めて、その属性値が、「時間がかかる」,「費用がかかる」,「画質不良」という評価項目毎に予め定められた低評価範囲内であるか否かを判定する。この例では、「時間がかかる」という評価項目における評価の高低に影響を及ぼす属性のうち、「総ページ数」,「カラーページ数」,「イメージ数」,「論理演算画数」という4個の属性の属性値が低評価範囲内となる。同様にして、「費用がかかる」という評価項目については、「総ページ数」,「カラーページ数」という2個の属性の属性値が低評価範囲内となる。なお、「画質不良」という評価項目については、低評価範囲内となる属性がない。続いて、制御部21は、低評価範囲内となる属性値の個数を評価項目毎に求め、その個数が最も多い評価項目を、ユーザの評価が低くなる評価項目として特定する。この例では、低評価範囲内となる属性値の個数が最も多い「時間がかかる」という評価項目が特定される。
【0024】
続いて、制御部21は、特定した評価項目に対応する設定画面データSDを記憶部25から読み出し、読み出した設定画面データSDに応じた設定画面を表示部23に表示させる(ステップS140)。この設定画面は、特定した評価項目における評価が高くなるように作用する処理条件をユーザに提示し、その処理条件の内容を変更するようユーザに案内するためのものである。例えば、特定された評価項目が「時間がかかる」である場合には、「時間がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が高くなるように作用する処理条件を提示し、その処理条件の内容を変更するように案内するための設定画面を表示させる。同様にして、特定された評価項目が「費用がかかる」である場合には「費用がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が、特定された評価項目が「画質不良」である場合には「画質不良」という評価項目におけるユーザの評価がそれぞれ高くなるように作用する処理条件を提示し、提示した処理条件の内容を変更するように案内するための設定画面を表示させる。
【0025】
図6は、ステップS130において、「時間がかかる」という評価項目が特定されたときに表示される設定画面P1である。同図に示すように、この設定画面P1の上端部には、「高速印刷モード」という処理条件の内容を設定するためのボタンB11と、「印刷後にE−mail通知」という処理条件の内容を設定するためのボタンB12とが配置されている。この「高速印刷モード」という処理条件の内容が「ON」になると、通常の画像形成処理よりも高速に処理が行われ、「時間がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる。また、「印刷後にE−mail通知」という処理条件の内容が「ON」になると、ユーザが使用する端末装置20宛てに画像形成処理の完了を通知する電子メールが送信される。これにより、ユーザは、画像形成処理の完了が通知されるまでの間、他の作業を行うことができ、画像形成処理中に画像形成装置10の前で待機している必要がなくなる。そのため、「時間がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる。
【0026】
図7は、ステップS130において、「費用がかかる」という評価項目が特定されたときに表示される設定画面P2を示す図である。同図に示すように、この設定画面P2の上端部には、「カラーモード」という処理条件の内容を設定するためのボタンB21と、「まとめて1枚」という処理条件の内容を設定するためのボタンB22とが配置されている。「カラーモード」という処理条件の内容が、標準の設定である「フルカラー」から「バイナリカラー」又は「白黒」に変更されると、「フルカラー」という処理条件に従って実行される画像形成処理よりも使用されるカラートナーの量が少なくなる。そのため、「費用がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる。また、「まとめて1枚」という処理条件の内容が、標準の設定である「Nアップしない」から「2アップ」又は「4アップ」に変更されると、「Nアップしない」という処理条件に従って実行される画像形成処理よりも消費される用紙の枚数が少なくなる。そのため、「費用がかかる」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる。
【0027】
図8は、ステップS130において、「画質不良」という評価項目が特定されたときに表示される設定画面P3を示す図である。同図に示すように、この設定画面P3の上端部には、「解像度設定」という処理条件の内容を設定するためのボタンB31が配置されている。「解像度設定」という処理条件の内容が、標準の設定である「600dpi」から「1200dpi」に変更されると、「600dpi」という処理条件に従って実行される画像形成処理よりも高精細な画像が形成される。そのため、小さい文字や細い線についても良好に形成され、「画質不良」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる。
【0028】
この例では、ステップS130において「時間がかかる」という評価項目が特定されるため、図6に示す設定画面P1が表示部23に表示されることになる。この設定画面P1において、ユーザにより操作部24が操作されて、例えば「高速印刷モード」という処理条件の内容を設定するためのボタンB11が押されて、「高速印刷モード」が「ON」に変更され、さらに画像形成処理の実行を設定するための「実行」ボタンSBが押されたとする。すると、制御部21は、変更された処理条件を含む処理条件をPDLデータに付加してから、そのPDLデータを通信部22から画像形成装置10に送信する(ステップS150)。この例では、「高速印刷モード:ON」を含む処理条件が付加されたPDLデータが送信される。
【0029】
画像形成装置10の通信部12は、端末装置20から送信されてきたPDLデータを受信し、受信したPDLデータを制御部11に供給する。制御部11は、通信部12から供給されたPDLデータを解釈して画像データを生成し、PDLデータに付加された処理条件に従って、生成した画像データを用いた画像形成処理を実行する(ステップS160)。この画像形成処理は、「高速印刷モード:ON」という処理条件に従って実行されるため、通常よりも高速で完了する。
【0030】
以上説明した第1実施形態によれば、ユーザの評価が低くなる評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、その処理条件の内容を変更するようユーザに案内することができる。これにより、たとえユーザによる評価が低くなる低評価範囲の属性値を含むデータを用いた処理を実行する場合でも、その処理に対するユーザの評価が低くなる事態を防ぐことができる。
【0031】
[第2実施形態]
(1)構成
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る画像形成装置10の構成は、図2に示した第1実施形態の構成と同様であるため、その説明を省略する。図9は、第2実施形態に係る端末装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この端末装置20の構成は、記憶部25の記憶内容を除いて図3に示した第1実施形態の構成と同様である。この記憶部25には、上述した変換プログラムCPの他に、評価値テーブルVTが記憶されている。
【0032】
図10は、この評価値テーブルVTの一例を示す図である。評価値テーブルVTは、PDLデータの属性値の組み合わせによって決定される特徴毎に設けられている。例えば、図10(a)に示す評価値テーブルVT1は、「総ページ数:5ページ以上」,「カラーページ数:0ページ」,「最小文字サイズ:6p以下」,「イメージ数:0個」,「論理演算描画数:0個」という属性値を有するPDLデータに適用される評価値テーブルである。また、図10(b)に示す評価値テーブルVT2は、「総ページ数:2ページ以上」,「カラーページ数:2ページ以上」,「イメージ数:2個以上」,「論理演算描画数:1個以上」という属性値を有するPDLデータに適用される評価値テーブルである。なお、図では、説明の便宜上、2種類の評価値テーブルVTのみが示されているが、実際には、予め想定され得るPDLデータの特徴の数だけ異なる評価値テーブルVTが設けられている。
【0033】
この評価値テーブルVTには、画像形成装置10が画像形成処理を行う際に従う各々の処理条件について、「時間」,「費用」,「画質」という各評価項目におけるユーザの評価を高くする作用の度合いを表す評価値が対応付けられている。例えば、図10(a)に示した評価値テーブルVT1の「時間」という評価項目において、「白黒」という処理条件には「8」という評価値が対応付けられ、「フルカラー」という処理条件には「1」という評価値が対応付けられている。これは、「出力形式」という処理条件の内容を「フルカラー」から「白黒」に変更することによって、処理にかかる「時間」が約8倍速くなるということを表している。
【0034】
また、この評価値テーブルVT1の「画質」という評価項目において、「白黒」,「バイナリカラー」,「フルカラー」という処理条件には、それぞれ「1」という評価値が対応付けられている。これは、この評価値テーブルVT1が適用されるPDLデータは、上述したように「カラーページ数:0ページ」という属性値を有するデータ、つまり白黒のデータであるため、「出力形式」という処理条件の内容を「白黒」にしても、「バイナリカラー」又は「フルカラー」にしても、「画質」という評価項目における評価の高低に対して影響を及ぼさないからである。一方、図10(b)に示した評価値テーブルVT2の「画質」という評価項目において、「白黒」という処理条件には「1」という評価値が対応付けられ、「バイナリカラー」という処理条件には「5」という評価値、「フルカラー」という処理条件には「10」という評価値が対応付けられている。これは、評価値テーブルVT2が適用されるPDLデータは、上述したように「カラーページ数:2ページ以上」,「イメージ数:2個以上」という属性値を有するデータ、すなわちカラーのイメージデータであるため、「出力形式」という処理条件の内容を「白黒」よりも「バイナリカラー」、「バイナリカラー」よりも「フルカラー」にした方が、「画質」という評価項目におけるユーザの評価が高くなる作用の度合いが大きくなるからである。
【0035】
(2)動作
次に、第2実施形態の動作について説明する。
図11は、第2実施形態の動作を示すフロー図である。この動作は、上述した第1実施形態と同様に、端末装置20を使用するユーザによって、画像形成装置10による画像形成処理の実行対象となるアプリケーションデータが指定されたことを契機として開始される。端末装置20の制御部21は、画像形成処理の実行対象となるアプリケーションデータの指定を受け付けると(ステップS200)、指定されたアプリケーションデータを取得する。そして、制御部21は、変換プログラムCPを実行して、取得したアプリケーションデータをPDLデータに変換する(ステップS210)。
【0036】
続いて、制御部21は、「時間」,「費用」,「画質」という評価項目のうちのいずれかをユーザが選択するための評価項目選択画面を表示部23に表示させる(ステップS220)。図12は、この評価項目選択画面P4を示す図である。同図に示すように、この評価項目選択画面P4には、予め決められた「時間」,「費用」,「画質」という各評価項目を選択するためのボタンB41,B42,B43が配置されている。この評価項目選択画面P4において、ユーザによって操作部24が操作されて、例えば「時間」という評価項目を選択するためのボタンB41が押されたとすると、制御部21は、まず、その操作に従って「時間」という評価項目を選択する。続いて、制御部21は、ステップS210にて変換されたPDLデータの属性値に基づいて、参照する評価値テーブルVTを選択する。例えば、このPDLデータが、「総ページ数:5ページ」,「カラーページ数:0ページ」,「最小文字サイズ:6p」,「イメージ数:0個」,「論理演算描画数:0個」という属性値を有する場合には、図10(a)に示す評価値テーブルVT1が選択される。そして、制御部21は、画像形成装置10が画像形成処理を実行する際に従う複数の処理条件について、ユーザの操作に従って選択した「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番を算出する(ステップS230)。
【0037】
ここで、「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい処理条件の順番を算出する方法について、図10に示した評価値テーブルVTを参照して具体的に説明する。まず、制御部21は、PDLデータの属性値に基づいて選択した評価値テーブルVT1を参照して、「時間」という評価項目における各設定情報の評価値の標準偏差を求める。例えば、「出力形式」という処理条件については、その処理条件の内容を設定するための「白黒」,「バイナリカラー」,「フルカラー」という処理条件にそれぞれ対応付けられた評価値の標準偏差を求める。この例では、「8」,「3」,「1」という評価値の標準偏差である「2.94」が算出される。同様にして、「解像度」という処理条件については、「600dpi」,「1200dpi」という処理条件にそれぞれ対応付けられた「3」,「1」という評価値の標準偏差である「1.00」が算出され、「まとめて1枚」という処理条件については、「Nアップしない」,「2アップ」,「4アップ」という処理条件にそれぞれ対応付けられた「2」,「3」,「4」という評価値の標準偏差である「0.82」が算出される。
続いて、制御部21は、算出した標準偏差が大きい順番を求め、その順番を「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番とする。この例では、算出した標準偏差が最も大きい「出力形式」という処理条件が1番目、標準偏差が次に大きい「解像度」という処理条件が2番目、「まとめて1枚」という処理条件が3番目という順番が算出される。
【0038】
続いて、制御部21は、算出した順番が大きい順に処理条件を並べた設定画面を表示部23に表示させる(ステップ240)。この設定画面は、ユーザにより選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい処理条件から、その作用の度合いが小さい処理条件へと順番に表示部23に表示させて、ユーザに対して各々の処理条件の変更を案内するためのものである。図13は、算出した順番が上述した「出力形式」,「解像度」,「まとめて1枚」という順番であったときに表示される設定画面P5を示す図である。同図に示すように、この設定画面P5の上端部には、「出力形式」という処理条件の内容を設定するためのボタンB51が配置されており、続いて、「解像度」という処理条件の内容を設定するためのボタンB52,「まとめて1枚」という処理条件の内容を設定するためのボタンB53が配置されている。
【0039】
この設定画面P5において、ユーザにより操作部24が操作されて、例えば「出力形式」という処理条件の内容を設定するためのボタンB51が押されて、「出力形式」が「白黒」に変更されて、さらに画像形成処理の実行を設定するための「実行」ボタンSBが押されたとする。すると、制御部21は、変更された処理条件を含む処理条件をPDLデータに付加してから、そのPDLデータを通信部22から画像形成装置10に送信する(ステップS250)。この例では、「出力形式:白黒」を含む処理条件が付加されたPDLデータが送信される。
【0040】
画像形成装置10の通信部12は、端末装置20から送信されてきたPDLデータを受信し、受信したPDLデータを制御部11に供給する。制御部11は、通信部12から供給されたPDLデータを解釈して画像データを生成し、PDLデータに付加された処理条件に従って、生成した画像データを用いた画像形成処理を実行する(ステップS260)。この画像形成処理は、「出力形式:白黒」という処理条件に従って実行されるため、「出力形式」が「カラー」に設定されたときよりも約8倍高速に処理が完了する。
【0041】
また、図13に示した設定画面P5には、「費用」,「画質」という評価項目を選択するためのタブTB1,TB2が設けられている。この設定画面P5において、ユーザにより操作部24が操作されて、「費用」というタブTB1又は「画質」というタブTB2が押されると、制御部21は、この操作を、複数の評価項目のうちのいずれかをユーザが選択する操作として検出する。評価項目を選択する操作を検出すると、制御部21は、上述したステップS230〜S240の処理と同様にして、複数の処理条件について、ユーザの操作に従って選択した評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番を算出し、算出した順番が大きい順に処理条件を並べた設定画面を表示部23に表示させる。これにより、ユーザは、タブ操作を行うだけで、各々の評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい処理条件を確認することができる。
【0042】
以上説明した第2実施形態によれば、ユーザによって選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番に処理条件を並べて表示し、ユーザに対して処理条件の変更を案内することができる。これにより、ユーザが重視する評価項目について、ユーザのニーズにあった処理を提案することができる。
【0043】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(1)上記第2実施形態において、制御部21は、画像形成装置10が画像形成処理を行う際に従う複数の処理条件について、PDLデータの複数の属性値の組み合わせ毎に予め決められた複数の評価項目のそれぞれにおける評価を高くする作用の度合いのばらつきを算出し、そのばらつきが大きい評価項目を、評価を高くする対象の評価項目としてもよい。
例えば、PDLデータの属性値が、「総ページ数:2ページ」,「カラーページ数:2ページ」,「イメージ数:5個」,「論理演算描画数:3個」である場合を想定すると、制御部21は、まず、このPDLデータの属性値に基づいて、図10(b)に示した評価値テーブルVT2を選択する。
続いて、制御部21は、画像形成装置10が画像形成処理を行う際に従う複数の処理条件の各々について、上述した第2実施形態と同様にして標準偏差を算出する。この例では、「時間」という評価項目に対しては、「出力形式」の標準偏差として「2.94」、「解像度」の標準偏差として「1.00」、「まとめて1枚」の標準偏差として「0.82」が算出される。また、「費用」という評価項目に対しては、「出力形式」の標準偏差として「3.68」、「解像度」の標準偏差として「0.00」、「まとめて1枚」の標準偏差として「0.47」が算出される。さらに、「画質」という評価項目に対しては、「出力形式」の標準偏差として「3.68」、「解像度」の標準偏差として「0.00」、「まとめて1枚」の標準偏差として「1.25」が算出される。
続いて、制御部21は、算出した標準偏差の和を評価項目毎に求め、その標準偏差の和が大きい評価項目、すなわち度合いのばらつきが大きい評価項目を、評価を高くする対象の評価項目として特定する。この例では、「時間」という評価項目の標準偏差の和が「4.76」,「費用」という評価項目の標準偏差の和が「4.15」,「画質」という評価項目の標準偏差の和が「4.93」であるため、「画質」という評価項目が、評価を高くする対象の評価項目として特定される。
そして、制御部21は、特定した評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、その処理条件の内容を変更するようユーザに案内するための設定画面を表示部23に表示させる。この方法であっても、上述した第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0044】
(2)上記第2実施形態において、制御部21は、より詳細な処理条件を順番に並べた設定画面を表示部23に表示させてもよい。例えば、図14に示す設定画面P6は、図13に示した設定画面P5に配置された各処理条件を、より詳細な形式で表示させたものである。同図に示すように、この設定画面P6には、「出力形式」,「解像度」,「まとめて1枚」という各々の処理条件の内容を設定するためのラジオボタンが配置されている。例えば、「出力形式」という処理条件については、「白黒」,「バイナリカラー」又は「フルカラー」を設定するためのラジオボタンR61,R62,R63が配置されている。同様にして、「解像度」という処理条件については、「600dpi」又は「1200dpi」を設定するためのラジオボタンR64,R65、「まとめて1枚」という処理条件については「2アップ」,「4アップ」又は「Nアップしない」を設定するためのR66,R67,R68が配置されている。さらに、この設定画面P6には、「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合い大きい処理条件には、その処理条件の内容を変更するよう促す「時間短縮効果大」というメッセージMが付加されている。また、この設定画面P6において、「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合い大きい処理条件が予め設定されていてもよい。これにより、処理条件を設定するための操作性をさらに向上させることができる。
【0045】
(3)上記第1実施形態において、制御部21は、評価項目特定テーブルETを用いて、ユーザの評価が低くなる評価項目を特定していたが、所定の数式を用いてこの評価項目を特定してもよい。要するに、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び属性値の関係と、PDLデータの属性値とに基づいて、複数の評価項目のうち、低い評価となる評価項目が特定される構成であればよい。また、上記第2実施形態において、制御部21は、評価値テーブルVTを用いて、ユーザによって選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番を算出したが、所定の数式を用いてこの順番を算出してもよい。要するに、複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、PDLデータの属性値とに基づいて、画像形成装置10が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、ユーザの操作によって選択された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件が特定される構成であればよい。
【0046】
(4)上記第1実施形態において、制御部21は、低評価範囲内となる属性値の個数が最も多い評価項目を、ユーザの評価が低くなる評価項目として特定していた。これに対し、評価値テーブルVTにおいて、各処理条件に対して重み付けを行い、制御部21は、低評価範囲内となる属性値の重みが大きい評価項目を、ユーザによる評価が低くなる評価項目として特定してもよい。例えば、画像形成装置10が会社などに設置されている場合には、費用削減が重視されるため、「費用」という評価項目の重みを他の評価項目の2倍にすると、「費用」という評価項目における評価を高くするように作用する処理条件の内容を変更するようユーザに案内するための設定画面が優先的に表示される。また、この重み付けを変えることによって、ユーザの使用環境に合わせた設定画面を優先的に表示させることができる。
【0047】
(5)上記第1実施形態において、ユーザの評価が低くなる評価項目が複数あった場合、制御部21は、これらの評価項目のうちのいずれかを選択する操作を受け付ける画面を表示部23に表示させて、ユーザが重視する評価項目の選択を受け付けてもよい。また、制御部21は、予めユーザが重視する評価項目の設定を受け付け、ユーザによる評価が低くなる評価項目が複数あった場合は、設定された評価項目をユーザによる評価が低くなる評価項目として特定してもよい。これにより、ユーザによる評価が低くなる評価項目が複数あった場合にも、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
(6)上記実施形態において、制御部21は、アプリケーションデータからPDLデータに変換した後、PDLデータの属性値を特定していたが、PDLデータに変換する前に、アプリケーションデータの属性値を特定してもよい。この場合、制御部21は、設定画面において処理条件が設定された後、アプリケーションデータをPDLデータに変換し、設定された処理条件を変換したPDLデータに付加して、画像形成装置10に送信することになる。この方法によっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
(7)上記実施形態において、制御部21は、ユーザに提示すべき処理条件を上から順番に並べて、処理条件の内容を変更するようユーザに案内していたが、ユーザに提示すべき処理条件の表示方法はこれに限らない。例えば、ユーザに提示すべき処理条件を表す文字サイズの大きさを拡大させたり、文字の色を赤や青などの目立つ色に変えたりしてもよい。この方法によっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
(8)上記第1実施形態においては、端末装置20が属性値特定手段,評価項目特定手段、案内手段及び指示手段を備え、画像形成装置10が端末装置20の指示に従って画像形成処理を実行していたが、画像形成装置10が単体で属性値特定手段,評価項目特定手段、案内手段及び指示手段を備えていてもよい。また、上記第2実施形態においては、端末装置20が属性値特定手段,受付手段,処理条件特定手段,案内手段及び指示手段を備え、画像形成装置10が端末装置20の指示に従って画像形成処理を実行していたが、画像形成装置10が単体で属性値特定手段,受付手段,処理条件特定手段,案内手段及び指示手段を備えていてもよい。この構成であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
(9)上記実施形態においては、文章データや画像データなどのアプリケーションデータを用いて画像形成処理を実行する例を挙げて説明したが、処理に用いられるデータ及び処理の内容はこれに限らない。例えば、処理に用いられるデータは、ブラウザを用いて表示されるHTML(HyperText Markup Language)形式のデータであっても構わない。また、処理の内容は、例えば、写真やイラストなどの画像を編集する画像編集処理や、音楽を再生する音楽再生処理など、設定された処理条件に従って実行される処理であれば、どのような処理でも構わない。また、アプリケーションデータの生成主体は端末装置20である必要はなく、画像形成装置10であってもよい。この場合、端末装置20は、画像形成装置10からアプリケーションデータを取得してから上記の動作を行えばよい。また、端末装置20がフレキシブルディスクなどの記憶媒体からアプリケーションデータを読み出して(取得して)利用するような場合も同様である。
【0052】
(10)上記第2実施形態において、制御部21は、選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番を、各々の処理条件について算出した標準偏差に基づいて求めていた。これに対し、制御部21は、各々の処理条件について、選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いを表す評価値の最大値と最小値との差に基づいて、その評価項目における作用の度合いが大きい順番を求めてもよい。例えば、「出力形式」の「白黒」,「バイナリカラー」,「フルカラー」という処理条件にそれぞれ対応付けられた評価値である「8」,「3」,「1」の最大値「8」から最小値「1」を引いた値「7」を、「出力形式」の差分値とする。同様にして、「解像度」,「まとめて1枚」についても差分値を算出し、算出した差分値が大きい順番を、選択された評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番とする。この方法であっても、上述した第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
(11)上記第2実施形態において、評価値テーブルVTには、画像形成装置10が画像形成処理を行う際に従う各々の処理条件について、「時間」,「費用」,「画質」という各評価項目におけるユーザの評価を高くする作用の度合いを表す評価値が対応付けられていた。これに対し、評価値テーブルVTには、各々の処理条件について、「時間」,「費用」,「画質」という各評価項目におけるユーザの評価の高低を高くする作用の度合いの高低のばらつきを表す値が対応付けられていてもよい。例えば、図10(a)に示した評価値テーブルVT1の「時間」という評価項目には、「出力形式」という処理条件と、「白黒」,「バイナリカラー」,「カラー」の評価度の標準偏差である「2.94」とが対応付けられる。同様にして、「解像度」という処理条件と、「600dpi」,「1200dpi」の評価度の標準偏差である「1.00」、「まとめて1枚」という処理条件と、「Nアップしない」,「2アップ」,「4アップ」の評価度の標準偏差である「0.82」とが対応付けられる。この場合、制御部21は、評価値テーブルVTにおける標準偏差が大きい順番を求め、その順番を「時間」という評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい順番とする。この方法であっても、上述した第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
(12)上記実施形態において、評価項目は処理に要する時間に関する「時間」,処理に要する資源の量乃至費用に関する「費用」,処理の結果に関する「画質」であったが、これに限らない。この評価項目は、画像形成装置10において実行される画像形成処理についてユーザが評価する項目であれば、どのような評価項目であってもよい。
【0055】
(13)上記実施形態において、端末装置20の制御部21が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】画像形成システム1の全体構成を示す図である。
【図2】画像形成装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の端末装置20の構成を示すブロック図である。
【図4】評価項目特定テーブルETの一例を示す図である。
【図5】第1実施形態の動作を示すフロー図である。
【図6】設定画面P1を示す図である。
【図7】設定画面P2を示す図である。
【図8】設定画面P3を示す図である。
【図9】第2実施形態の端末装置20の構成を示すブロック図である。
【図10】評価値テーブルVTの一例を示す図である。
【図11】第2実施形態の動作を示すフロー図である。
【図12】評価項目選択画面P4を示す図である。
【図13】設定画面P5を示す図である。
【図14】設定画面P6を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成システム、10…画像形成装置、20…端末装置、11,21…制御部、12,22…通信部、13…表示操作部、14…画像形成部、23…表示部、24…操作部、25…記憶部、CP…変換プログラム、SD…設定画面データ、ET…評価項目特定テーブル、VT…評価値テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記複数の評価項目のうち、低い評価となる評価項目を特定する評価項目特定手段と、
前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段と
を備えることを特徴とする処理指示装置。
【請求項2】
前記評価項目特定手段は、
複数の評価項目毎に決められた評価の高低及び前記属性値の関係に対して、前記属性値特定手段によって特定された属性値を当て嵌めて、各々の前記評価項目毎に評価を低くする属性値の個数を算出し、その属性値の個数が多い評価項目を、評価が低い評価項目として特定する
ことを特徴とする請求項1記載の処理指示装置。
【請求項3】
前記案内手段は、複数の前記処理条件を、前記評価項目特定手段によって特定された前記評価項目における評価を高くする作用の度合いが大きい処理条件から、当該作用の度合いが小さい処理条件へと順番に表示手段に表示させて、前記ユーザに対して各々の処理条件の変更を案内する
ことを特徴とする請求項1記載の処理指示装置。
【請求項4】
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
予め決められた複数の評価項目のうちのいずれかをユーザが選択する操作を受け付ける受付手段と、
複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記操作によって選択された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件を特定する処理条件特定手段と、
前記処理条件特定手段によって特定された処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行するよう、前記処理実行装置に指示する指示手段と
を備えることを特徴とする処理指示装置。
【請求項5】
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
複数の前記属性値の組み合わせ毎に予め決められた各評価項目における評価の高低及び前記処理の条件の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、複数の前記評価項目のそれぞれにおける評価の高低のばらつきを求め、そのばらつきが大きい評価項目を特定する評価項目特定手段と、
前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段と
を備えることを特徴とする処理指示装置。
【請求項6】
複数の前記評価項目には、前記処理に要する時間若しくは資源の量乃至費用、又は、当該処理の結果のうち少なくとも2つが含まれる
ことを特徴とする請求項1,4,5のいずれか1項に記載の処理指示装置。
【請求項7】
前記案内手段は、前記処理条件の内容を変更するよう促すメッセージを表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1,4,5のいずれか1項に記載の処理指示装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の処理指示装置と、
前記処理指示装置の指示に従って処理を実行する処理実行装置と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記複数の評価項目のうち、低い評価となる評価項目を特定する評価項目特定手段と、
前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
予め決められた複数の評価項目のうちのいずれかをユーザが選択する操作を受け付ける受付手段と、
複数の評価項目毎に予め決められた評価の高低及び前記属性値の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記操作によって選択された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件を特定する処理条件特定手段と、
前記処理条件特定手段によって特定された処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行するよう、前記処理実行装置に指示する指示手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
処理実行装置による処理の実行対象となるデータから、当該データの属性値を特定する属性値特定手段と、
複数の前記属性値の組み合わせ毎に予め決められた各評価項目における評価の高低及び前記処理の条件の関係と、前記属性値特定手段によって特定された属性値とに基づいて、複数の前記評価項目のそれぞれにおける評価の高低のばらつきを求め、そのばらつきが大きい評価項目を特定する評価項目特定手段と、
前記処理実行装置が処理を行う際に従う複数の処理条件のうち、前記評価項目特定手段によって特定された評価項目における評価を高くするように作用する処理条件をユーザに提示し、当該処理条件の内容を変更するようユーザに案内する案内手段と、
前記データを用いた処理をユーザにより変更された処理条件に従って実行することを、前記処理実行装置に指示する指示手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−217569(P2008−217569A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55826(P2007−55826)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】