説明

処理方法、基地局および移動局

【課題】ハンドオーバーやページングの応答など基地局からの指示に応じて移動局装置がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止する。
【解決手段】移動局装置200がランダムアクセス時に予め定められたシグネチャ群のいずれかのシグネチャを基地局装置100との間で使用する移動通信システムであって、上記シグネチャ群は、基地局装置100により管理されるシグネチャ群と、移動局装置200により管理されるシグネチャ群とから構成される。基地局装置100により管理されるシグネチャ群は、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられ、基地局装置100により選択されるシグネチャを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラー無線方式を用いる処理方法、基地局および移動局に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)においては、W−CDMA方式が第三世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度を更に上げたHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)も標準化され、サービスが開始されようとしている。
【0003】
一方、3GPPでは、第三世代無線アクセスの進化(Evolved Universal Terrestrial Radio Access:以下、「EUTRA」と呼称する。)が検討されている。このEUTRAの下りリンクとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が提案されている。また、EUTRAの上りリンクとして、DFT(Discrete Fourier Transform)−spread OFDM方式のシングルキャリア通信方式が提案されている。
【0004】
EUTRAの上りリンクは、図14に示すように、上りリンクパイロットチャネルUPiCH(Uplink Pilot Channel)と、ランダムアクセスチャネルRACH(Random Access Channel)と、上りリンクスケジューリングチャネルUSCH(Uplink Scheduling Channel)とから構成されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
E−UTRAの上りリンクのランダムアクセスチャネルRACHには、非同期ランダムアクセスチャネルと同期ランダムアクセスチャネルとが含まれる。ここで、非同期ランダムアクセスチャネルの最小単位は、1.25MHz帯域を使用する。そして、例えば、図15に示すように、複数のアクセス用チャネルを用意して、多数のアクセスに対応できるように構成されている。
【0006】
非同期ランダムアクセスチャネルの使用目的は、移動局装置(以下、「移動局」という)と基地局装置(以下、「基地局」という)との間を同期させることが最大の目的である。また、無線リソースを割り当てるスケジューリングのリクエストなどの数ビットの情報を送信し、移動局と基地局との間の接続時間を短縮することも考慮されている。一方、同期ランダムアクセスチャネルの使用目的は、スケジューリングリクエストを行なうことである(非特許文献2)。
【0007】
非同期ランダムアクセスにおいては、同期をとるためにプリアンブルのみが送信される。このプリアンブルには、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャを用意することで数ビットの情報を指定することが可能となっている。現在では、4〜6ビットの情報の送信が想定されており、16〜64種類のシグネチャを用意することが想定されている。4〜6ビットの情報には、例えば、ランダムアクセスの理由、下りリンクのパスロス/CQI(Channel Quality Indicator)、並びに、ランダムIDなどが想定されている。特に、ランダムアクセスの理由においては、ハンドオーバー、初期アクセス、同期維持、並びに、スケジューリングリクエストなどを指定し、アクセス手順を効率化することが検討されている。
【0008】
ここで、プリアンブルに含まれるシグネチャの構成例について図16および図17を用いて説明する。図16は、各情報をフィールドに分割し、情報を指定する場合のシグネチャの構成例について示している。ここでは、ランダムアクセスの理由に2bit、ランダムIDに1bit、CQIに1bitを割り当てた場合について示している。ランダムアクセスの理由において、例えば、ハンドオーバーを指定する場合には「00」が選択され、同期維持を指定する場合には「11」が選択される。一方、図17は、ランダムアクセスの理由、CQIおよびランダムIDをフレキシブルに選択し、情報を指定する場合について示している。ランダムアクセスの理由と、CQIと、ランダムIDとの各組合せに、0〜15のコードが割り当てられた場合について示している。
【0009】
図18は、従来のランダムアクセスの手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。なお、図18においては、非同期ランダムアクセスチャネルを用いた場合におけるランダムアクセスの手順について示している。図18に示すように、従来のランダムアクセスの手順においては、まず、移動局が、ランダムアクセスの理由、下りリンクのパスロス/CQI情報およびランダムIDなどに基づいてシグネチャを選択する(ステップ(以下、「ST」と略す)1801)。そして、この選択したシグネチャを含むプリアンブル(ランダムアクセスプリアンブル)を、非同期ランダムアクセスチャネルで送信する(ST1802)。
【0010】
移動局からプリアンブルを受信すると、基地局は、プリアンブルから移動局と基地局との間の同期タイミングずれを算出し、L2/L3(Layer2/Layer3)メッセージを送信するためスケジューリングを行なう(ST1803)。そして、ランダムアクセス理由からC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identity)が必要な移動局にはC−RNTIを割り当て、同期タイミングずれ情報(同期情報)、スケジューリング情報、シグネチャID番号およびC−RNTIを送信する(ST1804)。
【0011】
基地局からこれらの情報を受信すると、移動局は、送信したシグネチャID番号が含まれる基地局からの応答を抽出する(ST1805)。そして、基地局よりスケジューリングされた無線リソースでL2/L3メッセージを送信する(ST1806)。移動局からL2/L3メッセージを受信すると、基地局は、これに応じて移動局に応答を返す(ST1807)。
【0012】
このようなランダムアクセスの問題点としては、異なる複数の移動局において、同一のシグネチャおよびランダムアクセスチャネルが選択された場合に衝突が発生することである。複数の移動局が、同一のシグネチャを選択すると共に、同一の時間・周波数を有する無線リソースブロック、すなわち同一のランダムアクセスチャネルで送信した場合には、図18に示すプリアンブル(ST1802)において衝突が発生する。
【0013】
このような衝突によって基地局がプリアンブル(ST1802)を検出できない場合、同期情報等を含む応答(ST1804)を返すことができない。この場合、移動局は、基地局からの応答(ST1804)を受信できないので、一定時間の経過後、再びシグネチャおよびランダムアクセスチャネルを選択し、ランダムアクセスを行なう必要がある。
【0014】
一方、基地局が、プリアンブル(ST1802)を検出できた場合、基地局は、L2/L3メッセージスケジューリングと同期タイミングずれを算出し、移動局に応答(ST1804)を返す。しかし、複数の移動局が基地局からの応答(ST1804)を受信することになる。このため、複数の移動局が、スケジューリングされた無線リソースでL2/L3メッセージ(ST1806)を送信する結果、L2/L3メッセージ(ST1806)において衝突が発生する。
【0015】
このような衝突によって基地局がL2/L3メッセージ(ST1806)を検出できない場合、応答(ST1807)を返すことができない。この場合、移動局は、基地局からの応答(ST1807)を受信できないので、一定時間の経過後、再びシグネチャおよびランダムアクセスチャネルを選択し、ランダムアクセスを行なう必要がある。このように、複数の移動局において、同一のシグネチャおよびランダムアクセスチャネルが選択された場合には、衝突が発生し得ると共に、衝突が発生した場合には、当該衝突を検出するまでに最大で図18に示すST1807までの時間を要することとなる。
【0016】
ところで、このようなランダムアクセスを実行可能な移動局が図19に示す位置に存在する場合においては、ハンドオーバーが実行されることとなる。ハンドオーバーが実行される場合においても、上述したようなランダムアクセスが行なわれる。
【0017】
ここで、ハンドオーバー実行時におけるランダムアクセスの手順の一例について説明する。図20は、ハンドオーバー実行時におけるランダムアクセスの手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。なお、図20においては、図18と同様に、非同期ランダムアクセスチャネルを用いた場合におけるランダムアクセスの手順について示している。
【0018】
図20に示すように、ハンドオーバー実行時におけるランダムアクセスの手順においては、まず、移動局が、ハンドオーバーの準備段階として、隣接基地局の電波状況を測定する(ST2001)。そして、測定結果(測定レポート)を、現在、移動局自身を収容する基地局(以下、適宜「自基地局」という)の基地局Aに送信する(ST2002)。移動局から測定結果を受信すると、基地局Aは、当該測定結果から、最適な基地局を選択する(ST2003)。なお、ここでは、最適な基地局として、基地局Bを選択したものとする。そして、基地局Aは、ハンドオーバー先の基地局Bに対してハンドオーバー要求コマンドを送信する(ST2004)。
【0019】
基地局Aからハンドオーバー要求コマンドを受信すると、基地局Bは、ハンドオーバーする移動局にC−RNTIを割り当てる(ST2005)。そして、ハンドオーバー要求の応答として、基地局Aに対して、C−RNTIを含むハンドオーバー要求承認コマンドを通知する(ST2006)。基地局Bからハンドオーバー要求承認コマンドを受信すると、基地局Aは、移動局に対して、C−RNTIを含むハンドオーバーコマンドを送信する(ST2007)。
【0020】
基地局Aからハンドオーバーコマンドを受信すると、移動局は、基地局Bの下りリンクの同期を行ない、報知チャネルからランダムアクセスチャネルの位置を確認する(ST2008)。下りリンクの同期を行なったならば、移動局は、ランダムアクセスの理由がハンドオーバーとなるシグネチャの中から1つのシグネチャを選択する(ST2009)。そして、この選択したシグネチャを含むプリアンブル(ランダムアクセスプリアンブル)を、ランダムアクセスチャネルで基地局Bに対して送信する(ST2010)。
【0021】
移動局から受信したプリアンブルからシグネチャを検出すると、基地局Bは、同期タイミングずれを算出し、移動局からのハンドオーバー完了メッセージを送信するための上りリンクのスケジューリングを行なう(ST2011)。そして、同期タイミングずれ情報(同期情報)、スケジューリング情報およびシグネチャID番号を送信する(ST2012)。なお、ハンドオーバーがランダムアクセスの理由の場合、C−RNTIが事前に通知されているので、C−RNTIは送信しない。
【0022】
基地局Bから自局宛の情報を受信すると、移動局は、同期タイミングずれ情報(同期情報)に基づいて同期タイミングずれを補正する(ST2013)。そして、スケジューリングされた無線リソースでハンドオーバー完了メッセージを送信する(ST2014)。移動局からハンドオーバー完了メッセージを受信すると、基地局Bは、これに応じて移動局に応答を返す(ST2015)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】R1−050850 “Physical Channel and Multiplexing in Evolved UTRA Uplink”,3GPP TSG RAN WG1 Meeting#42 London,UK,August 29−September 2,2005
【非特許文献2】3GPP TR(Technical Report)25.814、V7.0.0(2006−06)、Physical layer aspects for evolved Universal Terrestrial Radio Access(UTRA)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
このようなハンドオーバーが理由のランダムアクセスにおいては、他の移動局と衝突が発生すると通信が途切れてしまうため、衝突が発生しないことが望ましい。しかしながら、移動局において、シグネチャやランダムアクセスチャネルをランダムに選択させるような移動通信システムにおいては、衝突確率を完全に無くすことができないのが実情である。なお、衝突が発生しないように、上りリンクスケジューリングチャネルを使用する場合には、移動局と基地局との間の上りリンク同期がとれていないため、移動局からのデータを基地局で受信することができない。
【0025】
また、移動局からのランダムアクセスに対して、ハンドオーバー先の基地局以外の基地局も、応答する場合(ここでは、例えば、図19に示す基地局−Aおよび基地局−Cが応答する場合)があり、下りリンクの余分な無線リソースが割り当てられるという問題もある。
【0026】
さらに、基地局が移動局を呼び出すために通知するページングメッセージを受信すると、移動局は、ページングの応答としてランダムアクセスを行なうことが予想されている。このようなページングの応答としてのランダムアクセスの実行時において、衝突が発生する場合には、接続時間が長くなるだけでなく、通信効率が悪化するという問題もある。
【0027】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ハンドオーバーやページングの応答など、基地局装置からの指示に応じて移動局装置がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止することができる処理方法、基地局および移動局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明に係る移動通信システムは、移動局装置がランダムアクセス時に予め定められたシグネチャ群のいずれかのシグネチャを基地局装置との間で使用する移動通信システムであって、前記シグネチャ群は、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群と、前記移動局装置により管理されるシグネチャ群とから構成されることを特徴としている。
【0029】
このように、移動局装置がランダムアクセス時に使用するシグネチャ群に、基地局装置により管理されるシグネチャ群を設けたことから、基地局装置の主導でランダムアクセスを行なうことが可能となるので、ハンドオーバーやページングの応答など基地局装置からの指示に応じて移動局装置がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止することが可能となる。
【0030】
(2)本発明に係る移動通信システムは、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群は、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられ、前記基地局装置により選択されるシグネチャを含むことを特徴としている。
【0031】
このように、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられたシグネチャが基地局装置により選択されることから、移動局装置毎に異なるシグネチャを割り当てることができ、移動局装置によるランダムアクセス時に同一のシグネチャが選択されることに起因して発生する衝突を防止することが可能となる。
【0032】
(3)本発明の移動通信システムは、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群は、隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャを含むことを特徴としている。
【0033】
このように、基地局装置により管理されるシグネチャ群に、隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャが含まれることから、隣接する基地局装置との間で選択するシグネチャを調整することが可能となるので、隣接する基地局装置との間で発生し得るランダムアクセス時の衝突を低減することが可能となる。
【0034】
(4)本発明の移動通信システムは、前記基地局装置は、隣接する基地局装置との間で互いに選択したシグネチャの情報を共有することを特徴としている。
【0035】
このように、隣接する基地局装置との間で互いに選択したシグネチャの情報が共有されることから、隣接する基地局装置との間で選択するシグネチャを調整することが可能となるので、隣接する基地局装置との間で発生し得るランダムアクセス時の衝突を低減することが可能となる。
【0036】
(5)例えば、本発明の移動通信システムは、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群は、前記特定のランダムアクセスの理由としてハンドオーバーが対応付けられるシグネチャを含むことを特徴としている。
【0037】
このように、基地局装置により管理されるシグネチャ群に、特定のランダムアクセスの理由としてハンドオーバーが対応付けられるシグネチャが含まれるので、ハンドオーバー時に行なうランダムアクセスにおいて、衝突に起因して通信が途絶える事態を防止することが可能となる。
【0038】
(6)特に、本発明の移動通信システムは、前記基地局装置により選択されたシグネチャを、ハンドオーバーの実行を開始させるハンドオーバーメッセージに含めて前記移動局装置に送信することを特徴としている。
【0039】
このように、基地局装置により選択されたシグネチャがハンドオーバーメッセージに含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用して基地局装置が選択したシグネチャを移動局装置に送信することが可能となる。
【0040】
(7)また、本発明の移動通信システムは、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群は、前記特定のランダムアクセスの理由としてページング受信時の応答が対応付けられるシグネチャを含むことを特徴としている。
【0041】
このように、基地局装置により管理されるシグネチャ群に、特定のランダムアクセスの理由としてページング受信時の応答が対応付けられるシグネチャが含まれるので、ページング応答時のランダムアクセスにおいて、衝突に起因して接続時間が長くなる事態を防止することが可能となる。
【0042】
(8)また、本発明の移動通信システムは、前記基地局により選択されたシグネチャを、前記移動局装置を呼び出すページングメッセージに含めて当該移動局装置に送信することを特徴としている。
【0043】
このように、基地局装置により選択されたシグネチャがページングメッセージに含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用して基地局装置が選択したシグネチャを移動局装置に送信することが可能となる。
【0044】
(9)本発明の移動通信システムは、前記基地局装置と当該基地局装置と通信している前記移動局装置の通信状況に応じて、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群と、前記移動局装置により管理されるシグネチャ群との割合を変更することを特徴としている。
【0045】
このように、基地局装置により管理されるシグネチャ群と、移動局装置により管理されるシグネチャ群との割合が現在の通信状況に応じて変更されるので、現在の通信状況に応じて最適な両者のシグネチャ群の割合を決定でき、効率的にランダムアクセス時の衝突を防止することが可能となる。
【0046】
(10)また、本発明の移動通信システムは、前記基地局装置により管理されるシグネチャ群と、前記移動局装置により管理されるシグネチャ群に関する内容を報知情報に含めて前記移動局装置に送信することを特徴としている。
【0047】
このように、基地局装置により管理されるシグネチャ群と、移動局装置により管理されるシグネチャ群に関する内容が報知情報に含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用して基地局装置および移動局装置の双方により管理されるシグネチャ群に関する内容を移動局装置に送信することが可能となる。
【0048】
(11)また、本発明の移動通信システムは、前記基地局装置によりシグネチャが選択されると共に、ランダムアクセスの周波数帯域位置および/または時間位置が選択されることを特徴としている。
【0049】
このように、基地局装置によりシグネチャだけでなく、ランダムアクセスの周波数帯域位置および/または時間位置が選択されることから、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置および/または時間位置の選択によって、ランダムアクセス時における衝突の確率を低減させることが可能となる。
【0050】
(12)本発明の基地局装置は、ランダムアクセス時に予め定められたシグネチャ群のいずれかのシグネチャを使用する移動局装置と接続される基地局装置であって、前記シグネチャ群のうち、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャを選択するシグネチャ選択部と、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを管理するシグネチャ管理部と、を備えることを特徴としている。
【0051】
このように、シグネチャ選択部により、ランダムアクセス時に使用されるシグネチャ群のうち、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャが選択されることから、移動局装置毎に異なるシグネチャを割り当てることができ、移動局装置によるランダムアクセス時に同一のシグネチャが選択されることに起因して発生する衝突を防止することが可能となる。
【0052】
(13)本発明の基地局装置は、前記特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャは、隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャを含み、前記シグネチャ選択部は、前記隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャ以外のシグネチャを優先的に選択することを特徴としている。
【0053】
このように、シグネチャ選択部により、隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャ以外のシグネチャが優先的に選択されることから、隣接する基地局装置との間で選択するシグネチャを調整することが可能となるので、隣接する基地局装置との間で発生し得るランダムアクセス時の衝突を低減することが可能となる。
【0054】
(14)また、本発明の基地局装置は、前記特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャは、隣接する基地局装置により優先的に選択されるシグネチャを含み、前記シグネチャ管理部は、前記隣接する基地局装置との間で互いに選択されたシグネチャの情報を共有することを特徴としている。
【0055】
このように、シグネチャ管理部により、隣接する基地局装置との間で互いに選択したシグネチャの情報が共有されることから、隣接する基地局装置との間で選択するシグネチャを調整することが可能となるので、隣接する基地局装置との間で発生し得るランダムアクセス時の衝突を低減することが可能となる。
【0056】
(15)例えば、本発明の基地局装置は、前記シグネチャ選択部は、前記特定のランダムアクセスの理由としてハンドオーバーが対応付けられるシグネチャを選択することを特徴としている。
【0057】
このように、シグネチャ選択部により、ハンドオーバーが対応付けられるシグネチャが選択されるので、ハンドオーバー時に行なうランダムアクセスにおいて、衝突に起因して通信が途絶える事態を防止することが可能となる。
【0058】
(16)特に、本発明の基地局装置は、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを、ハンドオーバーの実行を開始させるハンドオーバーメッセージに含めて前記移動局装置に送信することを特徴としている。
【0059】
このように、選択されたシグネチャがハンドオーバーメッセージに含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用して基地局装置が選択したシグネチャを移動局装置に送信することが可能となる。
【0060】
(17)また、本発明の基地局装置は、前記シグネチャ選択部は、前記特定のランダムアクセスの理由としてページング受信時の応答が対応付けられるシグネチャを選択することを特徴としている。
【0061】
このように、シグネチャ選択部により、ページング受信時の応答が対応付けられるシグネチャが選択されるので、ページング応答時のランダムアクセスにおいて、衝突に起因して接続時間が長くなる事態を防止することが可能となる。
【0062】
(18)特に、本発明の基地局装置は、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを、前記移動局装置を呼び出すページングメッセージに含めて当該移動局装置に送信することを特徴としている。
【0063】
このように、選択されたシグネチャがページングメッセージに含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用して基地局装置が選択したシグネチャを移動局装置に送信することが可能となる。
【0064】
(19)本発明の基地局装置は、通信している前記移動局装置との間の通信状況に応じて、前記シグネチャ選択部が選択し得るシグネチャを増減することを特徴としている。
【0065】
このように、通信している移動局装置との間の通信状況に応じて、シグネチャ選択部が選択し得るシグネチャが増減されるので、現在の通信状況に応じて最適な数のシグネチャを選択でき、効率的にランダムアクセス時の衝突を防止することが可能となる。
【0066】
(20)また、本発明の基地局装置は、通信している前記移動局装置との間の通信状況に応じて、前記シグネチャ選択部が選択し得るシグネチャを増減した結果を報知情報に含めて移動局装置に送信することを特徴としている。
【0067】
このように、シグネチャ選択部が選択し得るシグネチャを増減した結果が報知情報に含めて移動局装置に送信されるので、既存の信号を活用してシグネチャ選択部が選択し得るシグネチャの増減結果を移動局装置に送信することが可能となる。
【0068】
(21)本発明の基地局装置は、前記シグネチャ選択部は、前記特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャ、並びに、ランダムアクセスの周波数帯域位置および/または時間位置を選択し、前記シグネチャ管理部は、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャ、並びに、ランダムアクセスの周波数帯域位置および/または時間位置を管理することを特徴としている。
【0069】
このように、シグネチャ選択部により、特定のランダムアクセスの理由に対応付けられるシグネチャだけでなく、ランダムアクセスの周波数帯域位置および/または時間位置が選択され、シグネチャ管理部により管理されることから、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置および/または時間位置の選択によって、ランダムアクセス時における衝突の確率を低減させることが可能となる。
【0070】
(22)本発明の移動局装置は、基地局装置と接続し、ランダムアクセス時に予め定められたシグネチャ群のいずれかのシグネチャを送信する移動局装置であって、前記基地局装置から送信された信号を受信する受信部と、前記信号からシグネチャを抽出する制御データ抽出部と、前記抽出したシグネチャに対応したプリアンブルを前記基地局装置または他の基地局装置に対して送信する送信部と、を備えることを特徴としている。
【0071】
このように、基地局装置から送信された信号を受信し、その信号からシグネチャを抽出し、その抽出したシグネチャに対応したプリアンブルを前記基地局装置または他の基地局装置に対して送信するので、基地局装置の主導でランダムアクセスを行なうことが可能となる。これにより、ハンドオーバーやページングの応答など基地局装置からの指示に応じて移動局装置がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止することが可能となる。また、基地局装置は、移動局装置から受信したプリアンブルを参照して、自身が割り当てたシグネチャでない場合には、下りリンクで移動局装置に対して応答をせずに、これを放置することによって、下りリンクの無線リソースを無駄に使用することがなくなる。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、移動局装置がランダムアクセス時に使用するシグネチャ群に、基地局装置により管理されるシグネチャ群を設けたことから、基地局装置の主導でランダムアクセスを行なうことが可能となるので、ハンドオーバーやページングの応答など基地局装置からの指示に応じて移動局装置がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。
【図2】第1の実施形態に係る通信システムが有する基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る通信システムが有する移動局の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。
【図6】発明の第3の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。
【図8】第4の実施形態に係る通信システムにおける、ページング受信時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定の概要について説明するための図である。
【図10】第5の実施形態に係る通信システムにおいて、基地局管理および移動局管理のシグネチャ数決定テーブルを示す図である。
【図11】第5の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。
【図12】第5の実施形態に係る通信システムが有する基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】第5の実施形態に係る通信システムが有する移動局の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】EUTRAの上りリンクの構成について説明するための図である。
【図15】E−UTRAの上りリンクのランダムアクセスチャネルを説明するための図である。
【図16】従来のシグネチャの構成例について説明するための図である。
【図17】従来のシグネチャの構成例について説明するための図である。
【図18】従来のランダムアクセスの手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【図19】ハンドオーバーが発生する基地局の配置について説明するための図である。
【図20】従来のハンドオーバー実行時におけるランダムアクセスの手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る移動通信システム(以下、適宜「通信システム」という)は、従来、ランダムアクセスの使用目的に関わらず、移動局装置(以下、「移動局」という)で行なわれていたシグネチャの管理(選択)を、ランダムアクセスの理由に応じて一部、基地局装置(以下、「基地局」という)で行なうことができるようにしたものである。
【0075】
すなわち、本実施形態に係る通信システムにおいては、ランダムアクセスの使用目的に応じて、基地局により管理されるシグネチャ(以下、適宜「基地局管理のシグネチャ」という)と、移動局により管理されるシグネチャ(以下、適宜「移動局管理のシグネチャ」という)とを使い分ける。基地局管理のシグネチャとは、言い換えると、基地局において選択可能なシグネチャであり、移動局管理のシグネチャとは、言い換えると、移動局において選択可能なシグネチャである。
【0076】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。第1の実施形態に係る通信システムにおいては、図1に示すように、基地局管理のシグネチャとしてシグネチャID番号(以下、「シグネチャ番号」という)1〜24が割り当てられ、移動局管理のシグネチャとしてシグネチャ番号25〜64が割り当てられている。特に、第1の実施形態に係る通信システムにおいては、シグネチャ番号1〜24には、その使用目的としてハンドオーバーが設定されており、シグネチャ番号25〜64には、その使用目的としてスケジューリングリクエスト、初期アクセス、同期維持(同期)が設定されている。
【0077】
ここで、このようにシグネチャが設定される第1の実施形態に係る通信システムが有する基地局および移動局の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る通信システムが有する基地局の構成の一例を示すブロック図である。図3は、第1の実施形態に係る通信システムが有する移動局の構成の一例を示すブロック図である。
【0078】
図2に示すように、基地局100は、データ制御部101、OFDM変調部102、スケジューリング部103、無線部104、チャネル推定部105、DFT−Spread−OFDM復調部(DFT−S−OFDM復調部)106、制御データ抽出部107、プリアンブル検出部108、シグネチャ選択部109、並びに、シグネチャ管理部110から構成される。
【0079】
データ制御部101は、制御データおよびユーザデータの入力を受け、スケジューリング部103からの指示に応じて制御データを下りリンク共通制御チャネル、下りリンク同期チャネル、下りリンクパイロットチャネルおよび下りリンク共用制御シグナリングチャネルにマッピングする一方、各移動局に対する送信データ(ユーザデータ)を共用データチャネルにマッピングする。OFDM変調部102は、データ変調、入力信号の直列/並列変換、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)変換、CP(Cyclic Prefix)挿入、並びに、フィルタリングなどOFDM信号処理を行ない、OFDM信号を生成する。
【0080】
スケジューリング部103は、下りリンクのスケジューリングを行なうDLスケジューリング部103aと、上りリンクのスケジューリングを行なうULスケジューリング部103bとから構成される。DLスケジューリング部103aは、移動局から通知されるCQI情報や上位層からの通知される各ユーザーのデータ情報から下りリンクの各チャネルにユーザデータをマッピングするためのスケジューリングを行なう。ULスケジューリング部103bは、チャネル推定部105からの上りリンクの無線伝搬路推定結果および移動局からのリソース割り当て要求から、上りリンクの各チャネルにユーザデータをマッピングするためのスケジューリングを行なう。
【0081】
無線部104は、OFDM変調されたデータを無線周波数にアップコンバートして、移動局に送信する。また、無線部104は、移動局からの上りリンクのデータを受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データをチャネル推定部105、DFT−S−OFDM復調部106およびプリアンブル検出部108に渡す。
【0082】
チャネル推定部105は、上りリンクパイロットチャネルUPiCHから無線伝搬路特性を推定し、DFT−S−OFDM復調部106に推定結果を渡す。また、上りリンクのスケジューリングを行なうために無線伝搬路推定結果をスケジューリング部103に渡す。なお、上りリンクの通信方式は、DFT−S−OFDM等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、OFDM方式のようなマルチキャリア方式でもかまわない。
【0083】
DFT−S−OFDM復調部106は、チャネル推定部105からの無線伝搬路推定結果に応じて、無線部104から渡された受信データを復調する。制御データ抽出部107は、受信データをユーザデータ(上りリンク共用データチャネルUSDCH)と、制御データ(上りリンク共用制御シグナリングチャネルUSCSCH)とに分離する。分離された制御データの中で下りリンクのCQI情報はスケジューリング部103に渡され、その他の制御データおよびユーザデータは上位層に渡される。
【0084】
プリアンブル検出部108は、プリアンブルを検出し、同期タイミングずれ量を算出し、シグネチャ番号と同期タイミングずれ量を報告する。シグネチャ番号が、後述する基地局管理のシグネチャ番号の場合は、シグネチャ管理部110に基地局100が使用しているシグネチャであるか否かを確認する。確認の結果、基地局100が使用しているシグネチャである場合、シグネチャ番号と同期タイミングずれ量を上位層に報告する。一方、基地局100が使用していないシグネチャである場合、シグネチャ番号と同期タイミングずれ量は、上位層に報告しない。
【0085】
シグネチャ選択部109は、上位層からの指示に応じてシグネチャを選択し、上位層とシグネチャ管理部110に通知する。シグネチャを選択する際は、シグネチャ管理部110に対して使用されているシグネチャ番号を確認し、使用されているシグネチャを除いた中から選択する。
【0086】
シグネチャ管理部110は、シグネチャ選択部109で選択されたシグネチャID番号を保存し、プリアンブル検出部108で検出された基地局管理のシグネチャを保存内容から削除する。
【0087】
一方、移動局200は、図3に示すように、データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202、スケジューリング部203、シグネチャ選択部204、プリアンブル生成部205、同期補正部206、無線部207、チャネル推定部208、OFDM復調部209、並びに、制御データ抽出部210から構成される。
【0088】
データ制御部201は、ユーザデータと制御データの入力を受け、スケジューリング部203からの指示に応じて、これらのデータを上りリンクスケジューリングチャネルにマッピングする。DFT−S−OFDM変調部202は、データ変調を行ない、DFT変換、サブキャリアマッピング、IFFT変換、CP(Cyclic Prefix)挿入、フィルタリングなどDFT−S−OFDM信号処理を行ない、DFT−Spread−OFDM信号を生成する。なお、上りリンクの通信方式は、DFT−Spread OFDM等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、OFDM方式のようなマルチキャリア方式でもかまわない。
【0089】
スケジューリング部203は、後述するチャネル推定部208から通知されるCQI情報や、上位層からの通知されるスケジューリング情報から上りリンクの各チャネルにユーザデータをマッピングするためのスケジューリングを行なう。
【0090】
シグネチャ選択部204は、上位層からの指示に応じて、ランダムアクセスで使用するシグネチャ番号を選択する。上位層からの指示として、ランダムアクセスの目的が通知される。通知される目的がハンドオーバーやページングのような基地局管理の目的である場合には、上位層から指示されたシグネチャ番号を選択する。一方、移動局管理の目的である場合には、移動局管理のシグネチャの中から当該目的に応じて、目的別に分けられたシグネチャの中からランダムに選択し、選択したシグネチャ番号をプリアンブル生成部205に渡す。
【0091】
プリアンブル生成部205は、シグネチャ選択部204が選択したシグネチャ番号でプリアンブルを生成し、DFT−S−OFDM変調部202に渡す。同期補正部206は、後述する制御データ抽出部210から渡された同期情報から送信タイミングを決定し、送信タイミングに合うように変調されたデータを無線部207に渡す。無線部207は、無線周波数に設定し、変調されたデータを無線周波数にアップコンバートして、基地局100に送信する。また、無線部207は、基地局100からの下りリンクのデータを受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データをOFDM復調部209に渡す。
【0092】
チャネル推定部208は、下りリンクパイロットチャネルから無線伝搬路特性を推定し、その推定結果をOFDM復調部209に渡す。また、基地局100に無線伝搬路推定結果を通知するためにCQI情報に変換し、スケジューリング部203にCQI情報を渡す。
【0093】
OFDM復調部209は、チャネル推定部208の無線伝搬路推定結果に応じて、無線部207から渡された受信データを復調する。
【0094】
制御データ抽出部210は、受信データを、ユーザデータと制御データとに分離する。分離された制御データにおけるスケジューリング情報はスケジューリング部203に渡され、上りリンクの同期情報は同期補正部206に渡され、これ以外の制御データおよびユーザデータは上位層に渡される。
【0095】
次に、上記構成を有する通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明する。図4は、第1の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。なお、ここで、移動局200は、現在、基地局100A(以下、適宜「基地局A」という)に収容されているものとする。
【0096】
図4に示すように、第1の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順においては、まず、移動局200が、ハンドオーバーの準備段階として、隣接基地局の電波状況を測定する(ST401)。そして、測定結果(測定レポート)を、自基地局である基地局Aに送信する(ST402)。移動局から測定結果を受信すると、基地局Aは、当該測定結果から、最適な基地局を選択する(ST403)。なお、ここでは、最適な基地局として、基地局100B(以下、適宜「基地局B」という)を選択したものとする。そして、基地局Aは、ハンドオーバー先の基地局Bに対してハンドオーバー要求コマンドを送信する(ST404)。
【0097】
基地局Aからハンドオーバー要求コマンドを受信すると、基地局Bは、基地局管理のシグネチャから1つのシグネチャを選択する(ST405)。ここでは、シグネチャ番号1番のシグネチャを選択したものとする。この場合において、基地局Bは、ランダムアクセスの衝突を避けるため、基地局B内で使用しているシグネチャを除いた基地局管理のシグネチャの中からシグネチャを選択する。そして、ハンドオーバーする移動局200にC−RNTIを割り当てた後、ハンドオーバー要求コマンドの応答として基地局Aにシグネチャ番号およびC−RNTIを含むハンドオーバー要求承認コマンドを通知する(ST406)。
【0098】
基地局Bからハンドオーバー要求承認コマンドを受信すると、基地局Aは、移動局200に対して、シグネチャ番号およびC−RNTIを含むハンドオーバーコマンド(ハンドオーバーメッセージ)を送信する(ST407)。基地局Aからハンドオーバーコマンドを受信すると、移動局200は、基地局Bの下りリンクの同期を行ない、報知チャネルからランダムアクセスチャネルの位置を確認する(ST408)。下りリンクの同期を行なったならば、移動局200は、ハンドオーバーコマンドに付加されていたシグネチャ番号のシグネチャ、すなわち、シグネチャ番号1番のシグネチャを含むプリアンブル(ランダムアクセスプリアンブル)を、ランダムアクセスチャネルで基地局Bに送信する(ST409)。
【0099】
移動局200から受信したプリアンブルからシグネチャを検出すると、基地局Bは、自身が割り当てたシグネチャであるか判定する(ST410)。ここでは、シグネチャ番号1番のシグネチャを受信し、このシグネチャ番号1番のシグネチャは、自身が割り当てたシグネチャであるので、基地局Bは、同期タイミングずれ量を算出し、ハンドオーバー完了メッセージを送信するためのスケジューリングを行なう(ST411)。そして、同期タイミングずれ情報(同期情報)、スケジューリング情報およびC−RNTIを送信する(ST412)。この場合においては、C−RNTIが事前に通知されているので、移動局200が自局宛のデータと確認する識別情報としてシグネチャ番号は必要なく、C−RNTIで良い。
【0100】
なお、ST410の判定において、移動局200から受信したシグネチャが、自身が割り当てたシグネチャでないと判定した場合には、移動局200への応答はせず、これを放置する(ST413)。
【0101】
基地局Bから自局宛の情報を受信すると、移動局200は、同期タイミングずれ情報(同期情報)に基づいて同期タイミングずれを補正する(ST414)。そして、スケジューリングされた無線リソースでハンドオーバー完了メッセージを送信する(ST415)。移動局200からハンドオーバー完了メッセージを受信すると、基地局Bは、これに応じて移動局200に応答を返す(ST416)。
【0102】
このように、第1の実施形態に係る通信システムにおいては、移動局200がランダムアクセス時に使用するシグネチャ群に、基地局100により管理されるシグネチャ群(基地局管理のシグネチャ)を設けたことから、基地局100の主導でランダムアクセスを行なうことが可能となるので、基地局100からの指示に応じて移動局200がランダムアクセスを行なう場合において、ランダムアクセス時に発生する衝突を防止することが可能となる。
【0103】
また、第1の実施形態に係る通信システムにおいて、基地局管理のシグネチャは、ハンドオーバーなどの特定のランダムアクセスの理由に対応付けられ、基地局100により選択されるシグネチャを含んでいる。このように特定のランダムアクセスの理由に対応付けられたシグネチャが基地局100により選択されることから、移動局200毎に異なるシグネチャを割り当てることが可能となり、移動局200によるランダムアクセス時に同一のシグネチャが選択されることに起因して発生する衝突を防止することが可能となる。
【0104】
特に、第1の実施形態に係る通信システムにおいて、基地局管理のシグネチャには、ランダムアクセスの理由としてハンドオーバーが対応付けられるシグネチャが含まれていることから、ハンドオーバー時に行なうランダムアクセスにおいて衝突が発生する事態を防止することができる。この結果、衝突に起因して通信が途絶える事態を防止することが可能となる。また、自基地局である基地局Aおよび隣接する基地局(不図示)は、ハンドオーバー用のシグネチャを移動局200から受信した場合においても、自局が割り当てたシグネチャでない場合には、下りリンクで移動局200に対して応答を返すことがないので、下りリンクの無線リソースを無駄に使用することがない。
【0105】
なお、第1の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局100により選択されたシグネチャがハンドオーバーメッセージに含めて移動局200に送信されるので、既存の信号を活用して基地局100が選択したシグネチャを移動局200に送信することが可能となる。
【0106】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局100でシグネチャを選択すると共に、基地局100内で使用しているシグネチャの情報を管理することで、ハンドオーバー時のランダムアクセスにおける基地局100内の衝突を防止する。しかしながら、隣接する基地局の収容される移動局200において、ほぼ同時にハンドオーバーが発生し、同一のシグネチャが選択された場合には衝突が発生し得る。第2の実施形態に係る通信システムにおいては、このような隣接する基地局との間で選択するシグネチャ番号の調整を行なうことで、隣接する基地局との間で発生し得るハンドオーバー時のランダムアクセスにおける衝突を低減するものである。
【0107】
なお、第2の実施形態に係る通信システムを構成する基地局100および移動局200の構成については、第1の実施形態と同一の構成を有するため、その説明を省略する。また、第2の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャは、基地局管理のシグネチャにおいて、各基地局が優先的に使用するシグネチャの範囲を設ける点で第1の実施形態に係る通信システムと相違する。
【0108】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。第2の実施形態に係る通信システムにおいては、図5に示すように、基地局管理のシグネチャとして割り当てられたシグネチャ番号1〜24に、各基地局(ここでは、基地局A〜基地局C)が優先的に使用する範囲を設けている。具体的には、基地局Aが優先的に使用する範囲(以下、適宜「基地局A優先使用範囲」という)をシグネチャ番号1〜8とし、基地局Bが優先的に使用する範囲(以下、適宜「基地局B優先使用範囲」という)をシグネチャ番号9〜16とし、基地局Cが優先的に使用する範囲(以下、適宜「基地局C優先使用範囲」という)をシグネチャ番号17〜24としている。
【0109】
この場合において、基地局Aは、シグネチャ番号1番から順にハンドオーバーする移動局にシグネチャを割り当てる。同様に、基地局Bは、シグネチャ番号9番から、基地局Cは、シグネチャ番号17番から順にハンドオーバーする移動局にシグネチャを割り当てる。そして、各基地局において、優先的に使用する範囲の全てのシグネチャを移動局に割り当てた場合には、他の基地局が優先的に使用する範囲の下位番号からシグネチャを選択する。例えば、基地局Aがシグネチャ番号1番から8番までの全てのシグネチャを移動局に割り当てた場合、基地局B優先使用範囲の最下位のシグネチャ番号16番、或いは、基地局C優先使用範囲の最下位のシグネチャ番号24番から順にシグネチャを選択する。
【0110】
このように、第2の実施形態に係る通信システムにおいては、隣接する基地局との間で優先的に使用するシグネチャ番号の範囲を予め定めておき、シグネチャの選択の調整を行なうようにしたので、隣接する基地局との間で発生し得るハンドオーバー時のランダムアクセスにおける衝突を低減することが可能となる。
【0111】
(第3の実施形態)
第2の実施形態に係る通信システムにおいては、隣接する基地局との間で発生し得るハンドオーバー時のランダムアクセスにおける衝突を低減すべく、隣接する基地局との間で優先的に使用するシグネチャ番号の範囲を予め定めておき、シグネチャの選択の調整を行なう。これに対し、第3の実施形態に係る通信システムにおいては、隣接する基地局との間で使用するシグネチャ情報を共有することで、隣接する基地局との間で発生し得るハンドオーバー時のランダムアクセスにおける衝突を低減するものである。
【0112】
なお、第3の実施形態に係る通信システムを構成する基地局100および移動局200の構成については、第1の実施形態と同一の構成を有するため、その説明を省略する。また、第3の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャは、第1の実施形態に係る通信システムと同様に、基地局管理のシグネチャとしてシグネチャ番号1〜24が割り当てられ、移動局管理のシグネチャとしてシグネチャ番号25〜64が割り当てられているものとする。
【0113】
以下、第3の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。なお、ここで、移動局200は、現在、基地局Aに収容されているものとする。基地局Aには、基地局Bおよび基地局100C(以下、適宜「基地局C」という)が隣接するものとする(例えば、図19参照)。
【0114】
図6に示すように、第3の実施形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバー実行時のランダムアクセス手順においては、まず、移動局200が、ハンドオーバーの準備段階として、隣接基地局の電波状況を測定する(ST601)。そして、測定結果(測定レポート)を、自基地局である基地局Aに送信する(ST602)。移動局から測定結果を受信すると、基地局Aは、当該測定結果から、最適な基地局を選択する(ST603)。なお、ここでは、最適な基地局として、基地局Bを選択したものとする。そして、基地局Aは、ハンドオーバー先の基地局Bに対してハンドオーバー要求コマンドを送信する(ST604)。
【0115】
基地局Aからハンドオーバー要求コマンドを受信すると、基地局Bは、基地局管理のシグネチャから1つのシグネチャを選択する(ST605)。ここでは、シグネチャ番号1番を選択したものとする。この場合において、基地局Bは、ランダムアクセスの衝突を避けるため、基地局B内で使用しているシグネチャと、他の基地局で使用しているシグネチャとを除いた基地局管理のシグネチャの中からシグネチャを選択する。そして、ハンドオーバーする移動局200にC−RNTIを割り当てた後、ハンドオーバー要求コマンドの応答として基地局Aにシグネチャ番号およびC−RNTIを含むハンドオーバー要求承認コマンドを通知する(ST606)。
【0116】
基地局Bからハンドオーバー要求承認コマンドを受信すると、基地局Aは、移動局200に対して、シグネチャ番号およびC−RNTIを含むハンドオーバーコマンドを送信する(ST607)。また、基地局Aは、基地局Cに対して、基地局Aと基地局Bとの間でシグネチャ番号1番のシグネチャを使用する旨を通知するハンドオーバー通知コマンドを送信する(ST608)。基地局Aからハンドオーバー通知コマンドが到来すると、基地局Cは、これを受信する(ST609)。基地局Aと基地局Bとの間でシグネチャ番号1番のシグネチャが使用されていることを登録する。
【0117】
基地局Aからハンドオーバーコマンドを受信すると、移動局200は、基地局Bの下りリンクの同期を行ない、報知チャネルからランダムアクセスチャネルの位置を確認する(ST610)。下りリンクの同期を行なったならば、移動局200は、ハンドオーバーコマンドに付加されていたシグネチャ番号のシグネチャ、すなわち、シグネチャ番号1番のシグネチャを含むプリアンブル(ランダムアクセスプリアンブル)を、ランダムアクセスチャネルで基地局Bにアクセスする(ST611)。
【0118】
移動局200から受信したプリアンブルからシグネチャを検出すると、基地局Bは、自身が割り当てたシグネチャであるか判定する(ST612)。ここでは、シグネチャ番号1番のシグネチャを受信し、このシグネチャ番号1番のシグネチャは、自身が割り当てたシグネチャであるので、基地局Bは、同期タイミングずれ量を算出し、ハンドオーバー完了メッセージを送信するためのスケジューリングを行なう(ST613)。そして、同期タイミングずれ情報(同期情報)、スケジューリング情報およびC−RNTIを送信する(ST614)。この場合においては、C−RNTIが事前に通知されているので、移動局200が自局宛のデータと確認する識別情報としてシグネチャ番号は必要なく、C−RNTIで良い。
【0119】
なお、ST612の判定において、移動局200から受信したシグネチャが、自身が割り当てたシグネチャでないと判定した場合には、移動局200への応答はせず、これを放置する(ST615)。
【0120】
基地局Bから自局宛の情報を受信すると、移動局200は、同期タイミングずれ情報(同期情報)に基づいて同期タイミングずれを補正する(ST616)。そして、スケジューリングされた無線リソースでハンドオーバー完了メッセージを送信する(ST617)。移動局200からハンドオーバー完了メッセージを受信すると、基地局Bは、これに応じて移動局200に応答を返す(ST618)。
【0121】
このように、第3の実施形態に係る通信システムにおいては、隣接する基地局との間で使用するシグネチャ情報を共有し、シグネチャの選択の調整を行なうようにしたので、隣接する基地局との間で発生し得るハンドオーバー時のランダムアクセスにおける衝突を低減することが可能となる。
【0122】
なお、第3の実施形態に係る通信システムにおいては、図6に示すST608のように、ハンドオーバー要求コマンドを送信した基地局Aがハンドオーバー通知コマンドを隣接する基地局Cに送信する場合について示している。しかし、ハンドオーバー通知コマンドを送信する基地局については、ハンドオーバー要求コマンドを送信した基地局Aに限らず、ハンドオーバー要求コマンドを受信した基地局Bであっても良い。このように変更した場合においても、上述した場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0123】
また、第1の実施形態〜第3の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局100においてシグネチャを選択し、これをハンドオーバーコマンド(ハンドオーバーメッセージ)で移動局200に通知する場合について示しているが、ハンドオーバーコマンドで通知可能な情報としては、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、シグネチャのみならず、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置についても選択し、ハンドオーバーメッセージで移動局に通知するようにしても良い。この場合には、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置の選択によって、ランダムアクセス時における衝突の確率を低減させることが可能となるので、より多くの移動局200において同時に発生したハンドオーバーに対応することが可能となる。
【0124】
さらに、上記ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置に加えて、時間位置についても選択し、ハンドオーバーメッセージで移動局200に通知するようにしても良い。この場合には、ランダムアクセス時における衝突の確率を更に低減させることが可能となるので、更に多くの移動局200において同時に発生したハンドオーバーに対応することが可能となる。ただし、基地局100毎に異なる範囲のシグネチャセットが割り当てられる場合、言い換えると、基地局100毎に使用することができるシグネチャが異なる場合には、基地局100間においてシグネチャの通知・調整を行なう必要はなく、基地局100内での管理を行なうだけで良い。
【0125】
(第4の実施形態)
第1の実施形態〜第3の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャに対して、その使用目的としてハンドオーバーを設定した場合について示している。しかしながら、基地局管理のシグネチャに設定する使用目的については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。第4の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャに対して、その使用目的として、ハンドオーバーのみならず、ページング応答を設定するものである。
【0126】
なお、第4の実施形態に係る通信システムを構成する基地局100および移動局200の構成については、第1の実施形態と同一の構成を有するため、その説明を省略する。また、第4の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャは、基地局管理のシグネチャにおいて、その使用目的にハンドオーバーおよびページング応答が設定されている点で第1の実施形態に係る通信システムと相違する。
【0127】
図7は、本発明の第4の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。第4の実施形態に係る通信システムにおいては、図7に示すように、基地局管理のシグネチャとしてシグネチャ番号1番〜32番が割り当てられ、移動局管理のシグネチャとしてシグネチャ番号33番〜64番が割り当てられている。基地局管理のシグネチャのうち、シグネチャ番号1番〜16番には、その使用目的としてハンドオーバーが設定されており、シグネチャ番号17番〜32番には、その使用目的としてページング応答が設定されている。
【0128】
以下、第4の実施形態に係る通信システムにおける、ページング受信時のランダムアクセス手順の一例について説明する。図8は、第4の実施形態に係る通信システムにおける、ページング受信時のランダムアクセス手順の一例について説明するためのシーケンスチャートである。
【0129】
図8に示すように、第4の実施形態に係る通信システムにおける、ページング受信時のランダムアクセス手順においては、まず、アクセスゲートウェイAGW(Access Gateway)から基地局100に対してページング情報が送信される(ST801)。
【0130】
アクセスゲートウェイAGWからページング情報を受信すると、基地局100は、基地局管理のシグネチャのうち、ページング応答用のシグネチャから1つのシグネチャを選択する(ST802)。ここでは、シグネチャ番号17番のシグネチャを選択したものとする。この場合において、基地局100は、ランダムアクセスの衝突を避けるため、基地局100内で使用しているページング応答用のシグネチャを除いた基地局管理のシグネチャの中からシグネチャを選択する。そして、この選択したシグネチャ番号をページングメッセージに付加し、移動局200に送信する(ST803)。
【0131】
基地局100からページングメッセージを受信すると、移動局200は、ページングメッセージに付加されていたシグネチャ番号のシグネチャ、すなわち、シグネチャ番号17番のシグネチャを含むプリアンブル(ランダムアクセスプリアンブル)を、ランダムアクセスチャネルで基地局100に送信する(ST804)。移動局200から受信したプリアンブルからシグネチャを検出すると、基地局100は、自身が割り当てたシグネチャであるか判定する(ST805)。ここでは、シグネチャ番号17番のシグネチャを受信し、このシグネチャ番号17番のシグネチャは、自身が割り当てたシグネチャであるので、基地局100は、同期タイミングずれ量を算出し、L2/L3メッセージを送信するためのスケジューリングを行なう(ST806)。そして、更にC−RNTIを選択し、同期タイミングずれ情報(同期情報)、スケジューリング情報、C−RNTIおよびシグネチャ番号を移動局200に送信する(ST807)。
【0132】
なお、ST805の判定において、移動局200から受信したシグネチャが、自身が割り当てたシグネチャでないと判定した場合には、移動局200への応答はせず、これを放置する(ST808)。
【0133】
基地局100から自局宛の情報を受信すると、移動局200は、スケジューリングされた無線リソースでL2/L3メッセージを送信する(ST809)。移動局200からL2/L3メッセージを受信すると、基地局100は、これに応じて移動局200に応答を返す(ST810)。
【0134】
このように、第4の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャに、ランダムアクセスの理由としてページング受信時の応答が対応付けられるシグネチャが含まれるので、ページング応答時のランダムアクセスにおいて衝突が発生する事態を防止することができる。この結果、衝突に起因して接続時間が長くなる事態を防止することが可能となる。
【0135】
特に、第4の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局100により選択されたシグネチャがページングメッセージに含めて移動局200に送信されるので、既存の信号を活用して基地局100が選択したシグネチャを移動局200に送信することが可能となる。
【0136】
なお、第4の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局100においてシグネチャを選択し、これをページングメッセージで移動局200に通知する場合について示しているが、ページングメッセージで通知可能な情報としては、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、シグネチャのみならず、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置についても選択し、ページングメッセージで移動局200に通知するようにしても良い。この場合には、ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置の選択によって、ランダムアクセス時における衝突の確率を低減させることが可能となるので、より多くの移動局において同時に発生したページング応答に対応することが可能となる。
【0137】
また、上記ランダムアクセスチャネルの周波数帯域位置に加えて、時間位置についても選択し、ページングメッセージで移動局に通知するようにしても良い。この場合には、ランダムアクセス時における衝突の確率を更に低減させることが可能となるので、更に多くの移動局において同時に発生したページング応答に対応することが可能となる。
【0138】
さらに、第4の実施形態に係る通信システムにおいては、図7に示すように、基地局管理のシグネチャを、その使用目的でハンドオーバー用とページング応答用とに分けて説明している。しかし、基地局管理のシグネチャにおいては、基地局100が移動局200のランダムアクセスの目的を既に把握しているので、必ずしも目的別に区別する必要はない。特に、基地局管理のシグネチャの選択肢を拡大する意味においては、これらを目的別に区別しない方が好ましい。
【0139】
(第5の実施形態)
第1の実施形態〜第4の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャの範囲と、移動局管理のシグネチャの範囲とを固定した場合について示している。これに対し、第5の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャおよび移動局管理のシグネチャのそれぞれの範囲について、基地局100の状況に応じて選択可能とする点で、第1の実施形態〜第4の実施形態に係る通信システムと相違する。
【0140】
図9は、本発明の第5の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定の概要について説明するための図である。第5の実施形態に係る通信システムにおいては、図9に示すように、基地局100と通信している移動局200の数が多い場合、ハンドオーバー等によるランダムアクセスは増加すると考えられるため、基地局管理のシグネチャを増やす。一方、基地局100と通信している移動局200の数が少ない場合、ハンドオーバー等のよるランダムアクセスは少なくなると考えられるため、移動局からの衝突を少なくすべく、基地局管理シグネチャを減らし、移動局管理のシグネチャを増やす。
【0141】
以下、第5の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について具体的に説明する。図10は、第5の実施形態に係る通信システムにおいて、基地局管理および移動局管理のシグネチャの数を決定する際に参照されるテーブル(以下、「シグネチャ数決定テーブル」という)を示す図である。また、図11は、第5の実施形態に係る通信システムにおけるシグネチャの設定例について説明するための図である。
【0142】
図10に示すように、シグネチャ数決定テーブルにおいては、基地局100が通信している移動局200の数(以下、「接続移動局数」という)に、シグネチャ群管理番号と、基地局管理のシグネチャ数と、移動局管理のシグネチャ数とが対応付けられている。図10においては、接続移動局数の閾値を、A、B、C、D(A<B<C<Dとする)を4つとした場合について示している。基地局100においては、接続移動局数に応じて、シグネチャ群管理番号を決定することで、基地局管理のシグネチャの数と移動局管理のシグネチャの数とを変化させる。なお、基地局100と、移動局200との間では共通のシグネチャが使用される。
【0143】
図11(a)は、接続移動局数が最も小さい閾値A以下である場合のシグネチャの設定例を示している。図11(a)においては、シグネチャ群管理番号1番が選択され、基地局管理のシグネチャよりも移動局管理のシグネチャが多い場合について示している。図11(b)は、接続移動局数が閾値Bと閾値Cとの間である場合のシグネチャの設定例を示している。図11(b)においては、シグネチャ群管理番号3番が選択され、基地局管理のシグネチャと移動局管理のシグネチャとが同数である場合について示している。図11(c)は、接続移動局数が最も大きい閾値D以上である場合のシグネチャの設定例を示している。図11(c)においては、シグネチャ群管理番号5番が選択され、基地局管理のシグネチャよりも移動局管理のシグネチャが少ない場合について示している。
【0144】
基地局100においては、このように接続移動局数に応じて選択されたシグネチャ群管理番号の中からシグネチャを選択する。そして、基地局100は、報知情報を通じてシグネチャ群管理番号を移動局200に通知する。移動局200は、基地局100と同様にシグネチャ群管理番号に対応するシグネチャ群を選択し、選択されたシグネチャ群の中からシグネチャを選択する。このように、シグネチャ群管理番号を、報知情報を含めるようにしたので、既存の信号を活用してシグネチャ群管理番号を移動局200に通知することが可能となる。
【0145】
なお、ここでは、接続移動局数に応じて、基地局管理および移動局管理のシグネチャ数を変化させる場合について示している。しかし、基地局管理および移動局管理のシグネチャ数を変化させる際の指標としては、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、下りリンクや上りリンクのユーザーデータチャネルの使用率などを指標としても良い。また、隣接する基地局100の状況を考慮することは実施形態として好ましい。
【0146】
ここで、第5の実施形態に係る通信システムが有する基地局100および移動局200の構成の一例について説明する。図12は、第5の実施形態に係る通信システムが有する基地局の構成の一例を示すブロック図である。図13は、第5の実施形態に係る通信システムが有する移動局の構成の一例を示すブロック図である。なお、図12および図13において、それぞれ図2および図3と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
第5の実施形態に係る通信システムが有する基地局100は、シグネチャ群選択部1201を有する点、並びに、シグネチャ選択部1202およびシグネチャ管理部1203が異なる機能を有する点で第1の実施形態に係る基地局100と相違する。以下、これらのシグネチャ群選択部1201、シグネチャ選択部1202およびシグネチャ管理部1203について説明する。
【0148】
シグネチャ群選択部1201は、上位層からの移動局200との接続情報に基づいて、基地局管理のシグネチャ群と、移動局管理のシグネチャ群とを選択し、その選択結果をシグネチャ選択部1202およびシグネチャ管理部1203に通知する。また、選択したシグネチャ群の情報を移動局200に対して報知情報で通知するために、選択したシグネチャ群管理番号をデータ制御部101に送る。シグネチャ選択部は、シグネチャ群選択部から通知された基地局管理シグネチャ群の中からシグネチャを選択し、上位層に通知する。
【0149】
シグネチャ選択部1202は、上位層からの指示により、シグネチャ群選択部1201から通知された基地局管理のシグネチャ群の中からシグネチャを選択し、上位層およびシグネチャ管理部1203に通知する。シグネチャを選択する際は、シグネチャ管理部1203に対して使用されているシグネチャ番号を確認し、使用されているシグネチャを除いた中から選択する。
【0150】
シグネチャ管理部1203は、シグネチャ選択部1202で選択されたシグネチャ番号を保存し、プリアンブル検出部108で検出された基地局管理のシグネチャを保存内容から削除する。
【0151】
一方、第5の実施形態に係る通信システムが有する移動局200は、制御データ抽出部1301およびシグネチャ選択部1302が異なる機能を有する点、並びに、シグネチャ群管理部1303を有する点で第1の実施形態に係る移動局200と相違する。以下、これらの制御データ抽出部1301、シグネチャ選択部1302およびシグネチャ群管理部1303について説明する。
【0152】
制御データ抽出部1301は、受信データを、ユーザデータと制御データとに分離する。分離された制御データにおけるスケジューリング情報はスケジューリング部203に、上りリンクの同期情報は同期補正部206に渡され、シグネチャ群管理番号はシグネチャ群管理部1303に渡され、これ以外の制御データおよびユーザデータを上位層に渡す。シグネチャ群管理部1303は、制御データ抽出部1301から受け取ったシグネチャ群管理番号からシグネチャ群を構築し、シグネチャ選択部1302に渡す。
【0153】
シグネチャ選択部1302は、上位層からの指示により、ランダムアクセスで使用するシグネチャ番号を選択する。上位層からの指示として、ランダムアクセスの目的が通知される。通知される目的がハンドオーバーやページングのような基地局管理の目的である場合には、上位層から指示されたシグネチャ番号を選択し、移動局管理の目的である場合には、シグネチャ群管理部1303から渡されたシグネチャ群の移動局管理のシグネチャの中から目的に応じて、目的別に分けられたシグネチャの中からランダムに選択し、選択したシグネチャ番号をプリアンブル生成部205に渡す。
【0154】
このように、第5の実施形態に係る通信システムにおいては、基地局管理のシグネチャおよび移動局管理のシグネチャのそれぞれの範囲について、基地局100の状況に応じて選択可能としたので、基地局100の状況に応じて最適な基地局管理および移動局管理のシグネチャ数を選択して効率的にランダムアクセスにおける基地局100内の衝突を防止することが可能となる。
【0155】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で、適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
【0156】
例えば、上記実施形態においては、基地局管理のシグネチャに対応付けられるランダムアクセスの理由の一例として、ハンドオーバーとページング受信時の応答について示しているが、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、そのランダムアクセスの理由として同期維持などの理由を対応付けるようにしても良い。この場合には、基地局100による主導の下に同期維持を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0157】
100 基地局装置(基地局)
101 データ制御部
102 OFDM変調部
103 スケジューリング部
104 無線部
105 チャネル推定部
106 DFT−S−OFDM復調部
107 制御データ抽出部
108 プリアンブル検出部
109 シグネチャ選択部
110 シグネチャ管理部
200 移動局装置(移動局)
201 データ制御部
202 DFT−S−OFDM変調部
203 スケジューリング部
204 シグネチャ選択部
205 プリアンブル生成部
206 同期補正部
207 無線部
208 チャネル推定部
209 OFDM復調部
210 制御データ抽出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のシグネチャで構成されるシグネチャ群の中から一つのシグネチャを使用して移動局がランダムアクセスを行う際の基地局における処理方法において、
前記シグネチャ群は、
前記移動局が選択できないシグネチャから構成される第一のシグネチャ群および前記移動局が選択できるシグネチャから構成される第二のシグネチャ群で構成されるとともに、
前記基地局は前記第一のシグネチャ群及び第二のシグネチャ群の一方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を増やし、他方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を減らすことが可能であり、
前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号及び前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号は、所定の規則により配列されたものであり、
前記移動局が前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャを特定するために、前記基地局が、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャ数を識別可能な情報を前記移動局に通知することを特徴とする処理方法。
【請求項2】
前記請求項1において、前記所定の規則は前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続するとともに、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続していることを特徴とする処理方法。
【請求項3】
所定数のシグネチャで構成されるシグネチャ群の中から一つのシグネチャを使用してランダムアクセスを行う際の移動局における処理方法において、
前記シグネチャ群は、
前記移動局が選択できないシグネチャから構成される第一のシグネチャ群および前記移動局が選択できるシグネチャから構成される第二のシグネチャ群で構成されるとともに、
前記基地局は前記第一のシグネチャ群及び第二のシグネチャ群の一方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を増やし、他方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を減らすことが可能であり、
前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号及び前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号は、所定の規則により配列されたものであり、
前記移動局は、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャ数を識別可能な情報を前記基地局から取得し、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャを特定することを特徴とする処理方法。
【請求項4】
前記請求項3において、前記所定の規則は前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続するとともに、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続していることを特徴とする処理方法。
【請求項5】
所定数のシグネチャで構成されるシグネチャ群の中から一つのシグネチャを使用して移動局がランダムアクセスを行う際の処理を行う基地局において、
前記シグネチャ群は、
前記移動局が選択できないシグネチャから構成される第一のシグネチャ群および前記移動局が選択できるシグネチャから構成される第二のシグネチャ群で構成されるとともに、
前記基地局は前記第一のシグネチャ群及び第二のシグネチャ群の一方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を増やし、他方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を減らすことが可能であり、
前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号及び前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号は、所定の規則により配列されたものであり、
前記移動局が前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャを特定するために、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャ数を識別可能な情報を前記移動局に通知することを特徴とする基地局。
【請求項6】
前記請求項5において、前記所定の規則は前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続するとともに、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続していることを特徴とする基地局。
【請求項7】
所定数のシグネチャで構成されるシグネチャ群の中から一つのシグネチャを使用して基地局にランダムアクセスを行う移動局において、
前記シグネチャ群は、
前記移動局が選択できないシグネチャから構成される第一のシグネチャ群および前記移動局が選択できるシグネチャから構成される第二のシグネチャ群で構成されるとともに、
前記基地局は前記第一のシグネチャ群及び第二のシグネチャ群の一方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を増やし、他方のシグネチャ群に含まれるシグネチャの数を減らすことが可能であり、
前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号及び前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号は、所定の規則により配列されたものであり、
前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャ数を識別可能な情報を前記基地局から取得し、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャを特定することを特徴とする移動局。
【請求項8】
前記請求項7において、前記所定の規則は前記第一のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続するとともに、前記第二のシグネチャ群に含まれるシグネチャのそれぞれを特定するシグネチャ番号が連続していることを特徴とする移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−217211(P2012−217211A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168419(P2012−168419)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2008−542020(P2008−542020)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】