説明

処理済み発泡ポリスチレンフォーム

少なくとも1種の有機農薬で被覆された発泡ポリスチレン、少なくとも1種の有機農薬で被覆された発泡ポリスチレンの製造方法、及び少なくとも1種の有機農薬で被覆された発泡ポリスチレンから製造した成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の有機化合物で処理した発泡ポリスチレンフォーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレンは一般に、水相に懸濁され、圧力下に攪拌される際、小さな丸いビーズに合体する150,000AMU〜400,000AMU長さの鎖を形成するためのスチレンモノマーの重合によって形成される。攪拌の速度は、約1mmの一般的な標的サイズでビーズのサイズを制御するのに役立つ。重合及びビーズ形成中に、例えば、タルクの小さな種粒子が一連のポリスチレンの全体にわたって分配され、ビーズの中に捕捉された状態になり、ビーズ内に微小空隙を形成する。これらの微小空隙は一般に「発泡剤」と呼ばれる、ペンタン又は二酸化炭素などの、揮発性化合物を保持する部位になる。生じたポリスチレンビーズは、直径が平均して約0.85mm(1/32インチより少し上又はほぼ海浜砂のサイズ)であり、さらなる加工で「発泡性」である捕捉された発泡剤を含有する交錯ポリスチレン壁の何万もの微小気泡を含有する。従って、これらのポリスチレンビーズは一般に「発泡性ポリスチレン樹脂」と呼ばれる。
【0003】
発泡性ポリスチレン樹脂は、「発泡ポリスチレン」又は「EPS」を形成するために加熱によって加工できる。加工中に、発泡性ポリスチレン樹脂は、発泡性ポリスチレン樹脂中に封入された発泡剤の沸点を超える温度に曝され、その沸点で発泡性ポリスチレン樹脂は発泡する。EPSは次に、EPSを融解させて固体フォームを形成させる熱及び圧力での処理によって各種の形状に成形できる。
【0004】
ポリスチレンフォームは一般に強靱で、軽量で、かつ、耐分解性であり、例えば、冷蔵庫及びクーラーでの、絶縁材;フォーム「ピーナッツ」などのパッキング材料;及び、例えば、エレクトロニクスの包装に使用される成形フォーム詰め物;並びに最近になって、フォーム状板絶縁材及び構造断熱パネルなどの建材及び構造材料などの多くの一般的用途を有する。これらの用途では、ポリスチレンフォームが昆虫、シロアリ、カブトムシ、真菌類、カビ、うどん粉菌、細菌などのような、一般的な有害生物と接触する必要があるかもしれない。従って、本来ならばポリスチレンフォームそれ自体、木材、もしくはプラスチックなどの下層材料、又はフォームを取り囲む環境を損傷する可能性がある一般的な有害生物に耐えるポリスチレンフォームが必要とされてきた。
【0005】
最近になって、絶縁材などの構造木材、特にEPS板絶縁材と接触する発泡性ポリスチレンフォーム(EPS)建材を処理するため、農薬が使用されてきた。特開昭63−152648号公報、特開昭63−159451号公報、特開昭63−254143号公報、及び特開昭63−264670号公報には、有機リンベースのクロロピリホス、カーバメート剤、フェニトロチオン、ホキシム並びにホウ酸及びその塩などのホウ素含有化合物を含む種々の活性薬剤を使用することが記載されている。これらの各文献において、活性薬剤は接着剤及び発泡ポリスチレンビーズの混合物と混合され、加熱されて成形固体を形成する。
【0006】
米国特許第5,149,726号明細書には、ポリスチレンフォームの密度及び気泡寸法に基づいて穿孔性昆虫に耐える押出ポリスチレン板が記載されている。
【0007】
米国特許第5,194,323号明細書、同第5,270,108号明細書、同第5,373,674号明細書、及び同第5,598,677号明細書は、ホウ酸ナトリウムで処理した、真菌類及び昆虫耐性を有する構造羽目を開示している。しかしながら、ホウ酸ナトリウム塩は腐食性で、かつ、摩耗性であるためフォームの製造に用いられる機械に悪影響を及ぼす恐れがある。更に、有効な殺虫活性のために比較的大きい用量のホウ酸ナトリウムが必要とされるかもしれず、しかもホウ酸ナトリウムは水溶性である。それ故、ホウ酸ナトリウムは、水と接触する処理フォームから、土壌又は貯留水中に浸出するかもしれず、子供、小動物、ペット、及び魚に対して有毒になるかもしれない。更に、高いホウ酸塩濃度は、焼却すると腐食性及び毒性のガスを生成するかもしれない。
【0008】
米国特許第5,704,172号明細書は、殺虫剤の利用を容易にする溝付きEPS板のスコーリング(scoring)を教示している。
【0009】
米国特許第6,033,731号明細書及び同第6,080,796号明細書には、発泡性ポリスチレンビーズの殺虫剤による含浸法を記載されている。ビーズを発泡させる際、殺虫剤の大部分はビーズ内に残り、各発泡性ビーズの表面近くの殺虫剤物質が昆虫を忌避するのに最も有効であるように見える。従って、発泡性ビーズ内への殺虫剤の含浸は、有効量を達成するために別の方法で必要とされ得るより50〜100倍ほど多い殺虫剤を必要とするかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、比較的低い用量の農薬を使用して有害生物を効果的に忌避する発泡ポリスチレン及びそれから製造された成形品が必要とされている。更に、周囲環境への農薬の浸出に対する抵抗性、及び長い使用寿命を有するような発泡ポリスチレンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に提示した本発明の実施態様は、発泡ポリスチレンの外面と作用可能に(operably)結合し、かつ発泡ポリスチレンの外面を実質的に被覆する少なくとも1種の有機化合物を有する発泡ポリスチレンを含む被覆ポリスチレンを含んでよい。実施態様の有機化合物は、静電相互作用によって発泡ポリスチレンと作用可能に結合してもよいし、粉末、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物を含むが、それらに限定されない形態での農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤、及びそれらの組み合わせから選択してよい。特定の実施態様では、有機化合物は殺シロアリ剤であってよく、特に、有機化合物はイミダクロプリド又はイミダクロプリド含有混合物であってよい。実施態様では、有機化合物は、被覆発泡ポリスチレンと接触する有害生物を殺すのに十分な濃度で供給してよく、有機化合物の濃度は、発泡ポリスチレンの約0.01重量/容量%〜約1.0重量/容量%又は発泡ポリスチレンの約0.01重量/容量%〜約0.15重量/容量%であってよい。幾つかの実施態様では、発泡ポリスチレンは、発泡性ポリスチレン10ビーズから製造してよい。実施態様では、発泡ポリスチレンは有害生物に実質的に耐えるか、或いは発泡ポリスチレンはシロアリに実質的に耐えることができる。
【0012】
本発明の他の実施態様は、発泡性ポリスチレンを、発泡時、発泡性ポリスチレンの外面を被覆するのに十分な濃度の少なくとも1種の有機化合物と接触させる工程と、少なくとも1種の有機化合物を発泡性ポリスチレンと混合して混合物を形成する工程と、発泡性ポリスチレンが発泡して被覆発泡ポリスチレンを形成するような条件に混合物を曝す工程とを含む方法を含む。幾つかの実施態様では、発泡性ポリスチレンが発泡するような条件に発泡性ポリスチレンを曝す工程は、混合物に熱及び、場合により、圧力を加えることを含む。他の実施態様では、有機化合物は発泡中に発泡性ポリスチレンと作用可能に結合してもよいし、特定の実施態様では、有機化合物は、発泡性ポリスチレンの発泡が誘発される際、静電相互作用によって発泡性ポリスチレンと作用可能に結合してもよい。実施態様の有機化合物は、農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤、及びそれらの組み合わせを含んでもよく、限定されるものではないが、粉末、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物などの任意の形態であってよい。特定の実施態様では、実施態様の方法は、被覆発泡ポリスチレンから成形品を製造する工程を更に含んでもよい。
【0013】
他の実施態様は、発泡性ポリスチレンを、発泡時、発泡性ポリスチレンの外面を被覆するのに十分な濃度の少なくとも1種の有機化合物と接触させる工程と、少なくとも1種の有機化合物を発泡性ポリスチレンと混合して混合物を形成する工程と、発泡性ポリスチレンが発泡して被覆発泡ポリスチレンを形成するような条件に混合物を曝す工程と、被覆発泡ポリスチレンから成形品を製造する工程とを含む方法によって製造された発泡ポリスチレン成形品に関する。実施態様の有機化合物は、静電相互作用によって発泡ポリスチレンと作用可能に結合してもよく、粉末、液体、エマルジョン、又は非混和性濃縮物を含むが、それらに限定されない任意の形態の農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤、及びそれらの組み合わせから選択してよい。特定の実施態様では、有機化合物は殺シロアリ剤であってよく、特に、有機化合物は、イミダクロプリド又はイミダクロプリド含有混合物であってよい。幾つかの実施態様では、製造された成形品は有害生物に実質的に耐えるかもしれず、特に、成形品はシロアリに実質的に耐えるかもしれない。更に他の実施態様では、成形品は、ポリスチレン絶縁材、ポリスチレンフォーム板、ポリスチレンフォーム・パッケージング、及びポリスチレンフォーム・コーティングから選択してよい。
【0014】
本発明の本質及び利点を更に完全に理解するため、添付の図面と関連した以下の詳細な説明を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】処理済み発泡ポリスチレンの製造可能な方法の実施態様のフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の組成物及び方法を説明する前に、説明する特定の方法、組成物、又は方法論は種々あり得るので、本発明がこれらに限定されないことを理解すべきである。本説明に用いる専門用語は、特定のバージョン又は実施態様を説明するという目的のためにすぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0017】
本明細書で用いるところでは、及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が複数ではないことを明示しない限り複数への言及を含むことにも留意されたい。従って、例えば、「ビード」への言及は、1つ以上のビーズ及び当業者に公知のその等価物への言及である等である。特に定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、当業者が共通に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に説明するものと類似の又は等価の任意の方法及び材料を本発明の実施態様の実施又は試験に用いることができるが、ここでは好ましい方法、デバイス、及び材料を説明する。本明細書のいかなる説明も、本発明が先行発明によってこのような開示に先行する権利を与えられないことを認めるものと解釈すべきではない。
【0018】
使用のための本明細書で説明する方法は、既存疾患の治療での治癒的使用だけでなく予防的使用も考慮する。本明細書で用いるところでは、用語「約」は、この用語を使用している数の数値の±10%を意味する。それ故、約50%は45%〜55%の範囲にあることを意味する。
【0019】
組成物の「有効量」は、所望の効果を達成するために、即ち、製造材料における1つ以上の有害生物の侵入を効果的に阻止するために計算される所定量である。本発明の化合物の有効量は、有害生物の侵入、移動、及び製造材料又は下層材料の破壊を阻止する化合物の能力によって測定することができる。
【0020】
次の説明及び特許請求の範囲において、用語「農薬」は「殺虫剤」、「殺シロアリ剤」、「殺真菌剤」、「殺カビ剤」、「殺うどん粉菌剤」、「殺菌剤」などと同義であり、それらを包含し、そして化合物がそれぞれ、昆虫、シロアリ、真菌類、かび、うどん粉菌、及び細菌を忌避する、殺す、又はそれらの増殖を阻止するのにより有効であるという証拠によってのみ区別できることが更に理解されるであろう。
【0021】
本明細書で説明する本発明の実施態様は一般に、少なくとも1種の有機農薬で被覆された発泡ポリスチレン(本明細書では以下「EPS」)、このような発泡ポリスチレンから製造された工業製品、及び発泡ポリスチレンフォームの製造方法を含むかもしれない。「発泡ポリスチレン」とは、発泡スチーム処理及び押出を含むが、それらに限定されない当該技術分野で公知の任意の方法によって製造されるEPSを意味する。被覆EPSと実施態様の被覆EPSを使用して製造された成形品とは、例えば、昆虫、シロアリ、カブトムシ、真菌類、カビ、うどん粉菌、細菌などのような一般的な有害生物の侵入に耐え、木材、プラスチック、又は複合材料などの下層材料のこのような有害生物の侵入に対する障壁を提供する。
【0022】
実施態様の「処理した又は処理済み」或いは「被覆EPS」は一般に、有機農薬によって実質的に被覆されている外面を含む。幾つかの実施態様では、有機農薬は、発泡性ポリスチレン樹脂に熱を加えて、被覆EPSを作るための発泡を開始する発泡処理の前に、発泡性ポリスチレン樹脂と接触させてよい。他の実施態様では、有機農薬は、EPSがその最終形態を達成する成形前に、個々のEPSビーズが有機農薬で被覆できる発泡の後、EPSと接触させてよい。更に他の実施態様では、成形EPSは有機農薬と接触させてよく、ここで、成形EPSの外面を有機農薬で被覆してよい。
【0023】
発泡性ポリスチレン樹脂及び/又はEPS及び/又は成形EPSの接触は、当該技術分野で公知の任意の方法によって起こってよい。例えば、幾つかの実施態様では、有機農薬の粉末又は非混和性濃縮物を発泡性ポリスチレン樹脂又はEPSと混合してよく、特に、有機農薬の液体又はエマルジョンを発泡性ポリスチレン樹脂、EPS、又は成形EPS上へスプレーしてよい。
【0024】
有機農薬は、当該技術分野で公知の任意の有機農薬であってよく、各種の実施態様において粉体、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物を含むが、これらに限定されない任意の形態であってよい。特定の実施態様では、2つ以上の有機農薬を組み合わせて、被覆EPSビーズを製造するために使用してよい。最終成形EPSでの有機農薬対EPSの重量対容量比は、実施態様間で変化してよい。好ましくは、有機農薬は、成形品中のEPSビーズのそれぞれの外面を有機農薬で被覆するのに十分な濃度で使用してよい。それ故、有機農薬の濃度は、成形品中のEPSのサイズ及び濃度に依存して変化してよい。幾つかの実施態様では、有機農薬の濃度は、最終成形品で約0.01重量/容量%〜約1.0重量/容量%であってよく、特に、この濃度は、最終成形品で約0.01重量/容量%〜約0.15重量/容量%又は約0.08重量/容量%であってよい。理論に制約されたくないが、EPSビーズに充填するよりもこれらビーズを被覆するのに必要な農薬の方が少なくてよいので、被覆EPSから製造した成形品での有機農薬の濃度は、先行技術で使用される他の無機農薬よりもはるかに低くて済む。
【0025】
有機農薬は、ホウ酸ナトリウムなどの無機塩より容易にEPSビーズと作用可能に結合する可能性がある。理論に制約されたくないが、EPSへの有機農薬の結合は、発泡性ポリスチレン樹脂が加熱中に軟化する発泡プロセス中に達成される可能性がある。例えば、水素結合などの静電相互作用は、ポリスチレンモノマーと有機農薬の分子との間で起こるかもしれず、又は発泡性ポリスチレン樹脂の加熱に使用するスチームからの水は、有機農薬の分子をポリスチレンモノマーと近接させ、これらの部分間で静電相互作用を起こすキャリアとして働くかもしれない。無機農薬が発泡中のEPSビーズと接触した時、このような相互作用は全く起こらないかもしれず、無機農薬は、コーティングを処理中に失わせ、かつ、成形プロセス中に融解を妨げ得る、はるかに弱い相互作用によってビーズに結合し得る。更に、有機農薬と1つ以上のEPSビーズとの間の静電相互作用は、成形中にEPSビーズの融解を起こりやすくさせるかもしれないし、また最終成形品の物理的特性を実際に高めるかもしれない。
【0026】
有機農薬で被覆したEPSを使用して製造した成形品の実用寿命は、無機農薬を使用して製造した類似の成形品より著しく改善される可能性がある。理論に制約されたくないが、無機塩とは異なり、有機農薬は水に可溶ではないかもしれないし、また被覆EPSから製造される成形品に使用した有機農薬は、無機農薬で観察される浸出が起こりやすくないかもしれない。それ故、水に曝された、有機農薬被覆EPSで製造された成形品は、無機物品で製造された類似の物品より一層容易にそれらの農薬活性を保持するかもしれない。
【0027】
被覆EPSから製造される成形品は、例えば、図1に例示するように得られる。発泡性ポリスチレン樹脂10は貯蔵ホッパー12に入れられ、ここで使用に供するまで保持してよく、使用時に適切な量の樹脂10が、例えば、計量ホッパー14を用いて計量して取り出され、供給ホッパー20又は他の貯蔵装置に搬送してよい。同様に、有機農薬16は、適切な量の農薬16がホッパー18から取り出された時点を検出するセンサーを有するスクリューホッパー18などの、具体的な所定量の農薬16を計量して取り出すために好適な装置に入れてもよく、この量の農薬16が供給ホッパー20に搬送され、ここで発泡性ポリスチレン樹脂10と混合してよい。樹脂10及び有機農薬の適切な量は、所望の密度を有する成形品中で有機農薬16の所望の重量対容量比を与えるのに必要な任意の量であってよい。当業者は、提供される樹脂10の量(重量)を基準として最終成形品の密度(通常1立方フィート当たりのポンド単位の)を決定してもよく、これを用いて最終成形品での有機農薬16対EPS(重量対容量)の予測可能な濃度を決定してもよい。例えば、約0.80ポンドの、例えば、イミダクロプリドなどの有機農薬を、約1000立方フィートのEPS上に一様に分配させることができる。
【0028】
発泡性ポリスチレン樹脂10と有機農薬16とが好適に混合されるまで発泡性ポリスチレン樹脂10と有機農薬16とを混合するために、櫂などの、混合装置が使用できる発泡容器22に、供給ホッパー20で組み合わせた発泡性ポリスチレン10と有機農薬16とを移動させた時、発泡性ポリスチレン樹脂10の発泡が始まってよい。いったん混合されると、発泡性ポリスチレン樹脂の発泡を誘発するために発泡性樹脂10と有機農薬16との攪拌を維持しながら、スチーム24を発泡容器22中に定量供給してよい。発泡容器22内の温度が発泡剤の沸点より高く上昇した時、発泡性ポリスチレン樹脂10は発泡し始めるかもしれず、同時に、有機農薬16は発泡中のポリスチレン樹脂10に密に結合し始めるか又は付着し始めるかもしれない。樹脂が、例えば、約3.0mm以下の平均直径などの所定サイズに発泡するか、又はEPSの好適な密度、例えば、元の密度の約44倍に達するまで、スチーム24を発泡容器中に計量供給し続けてもよいし、発泡性樹脂の発泡を推進し続けてもよい。幾つかの実施態様では、樹脂直径又はEPS密度は、発泡容器22内のポリマー容量に基づいて決定してよく、いったん所定の容量に達したら、スチーム圧力は下げてよい。この方法によって形成された被覆EPSは、次に発泡容器22から流動床乾燥機26などの被覆EPSを冷却し、乾燥させるのに好適な装置に移動してよい。
【0029】
流動床乾燥機26内で、暖かい空気28を被覆EPSに通して該空気を樹脂10の軟化点未満に冷却してよい。同時に、残存発泡剤は、樹脂10の発泡を停止させる可能性がある沸点未満に冷却されるかもしれないし、また被覆EPS上に凝縮した可能性がある発泡容器22でのスチーム24からの水が乾燥されるかもしれない。有機農薬16はEPSに十分に結合し、冷却/乾燥プロセス中に有機農薬16の損失を防ぐかもしれない。更に、残存農薬16の量は制限され、残存農薬が流動床乾燥機26の換気口を閉塞するのを防ぐかもしれない。流動床乾燥機26の終点に達すると、被覆EPSは硬化していてもよいし、貯蔵器に搬送してもよい。幾つかの実施態様では、被覆EPSは流動床乾燥機26から貯蔵器30に導管中空気流れによって搬送してよい。再び、EPSへの有機農薬16の結合は、被覆EPSが有機農薬コーティング16の損傷又は実質的な損失なしに当該技術分野で公知の任意の手段によって搬送可能な程度である。実施態様の貯蔵器30は網状で、貯蔵器30の外側の環境との交換を可能にする布で構成してよく、典型的には1000〜5000立方フィートの被覆EPSを保持するのに十分に大きくてよい。農薬16は発泡ビーズに実質的に結合している可能性があるので、布細孔の閉塞は起こらないかもしれない。
【0030】
被覆EPSは貯蔵器30内で熟成させてよい。熟成プロセス中に、被覆EPSは更に冷却されてもよく、残存発泡剤は元の液体に凝縮し、部分的な負圧を形成してもよい。気泡中への新鮮空気の拡散によって、圧力は等しくなり、過剰の発泡剤はEPSビーズからゆっくり拡散するかもしれない。この熟成プロセスは、発泡性ポリスチレン樹脂10に使用された発泡剤、被覆EPSの密度、及び各種の他の因子に依存して完了のために3時間〜4日を要するかもしれない。被覆EPSが十分に熟成した時、貯蔵器30から混合ステーション32に移してよく、ここで被覆EPSは場合により、再循環したポリスチレン材料、他の発泡ビーズ、又は他の材料と組み合わせてもよい。次いで被覆EPSは混合ステーション32から充填器34に移し、ここで金型36を満たすために使用に供するまで貯蔵してよい。
【0031】
充填中に、被覆EPSは、充填器から金型36に直接移してもよく、真空40は、金型36の内部を形成するプレート中の小さなスリット又は穴を通して適用してよい。真空40の適用により、金型36を被覆EPSで完全かつ確実に詰めることができる。真空40は、充填後に金型36の片側から適用し続けてもよく、またスチーム38は、金型36の別の側からゆっくり導入して、一般に「クロスリンス」と呼ばれるプロセスを作ることができる。クロスリンス中に、スチーム38が金型36中に導入される速度を制御してもよく、スチーム38が金型36に入る方向を切り替えてもよく、スチームが金型空洞全体に浸透し、外側材料を「ベーキング」することなくその空洞を加熱することを可能にするかもしれない。クロスリンスが続くにつれて、被覆EPSビーズ間の空間からの空気は除去されるかもしれないし、またスチーム38からの熱は、残存発泡剤を沸騰除去しながらポリスチレンビーズを軟化させるかもしれない。被覆EPSは、隣接ビーズに向かって及び金型36のプレートに向かって発泡し始め、金型空洞内の圧力を高めるかもしれない。圧力が好適なレベルに達した時、真空40は止めてよい。EPSの軟化した個々の被覆ビーズは、発泡が続くにつれて押し付けられ続けるかもしれず、組み合わせた塊を金型空洞の形状へと成形し始めるかもしれない。
【0032】
実施態様の金型36は、任意のサイズ又は形状であってよく、被覆EPSが任意のあらゆる形状を取ることを可能にするかもしれない。例えば、金型36は、例えば、33インチ×48インチ×288インチといったブロックを形成し得る大きな空洞であってよく、或いは金型は、明確な剛性製品が得られるように成形してよく、この剛性製品は、運送中のエレクトロニクスに詰め物をするために、又はビニル羽目板を支持するための扇形の(scalloped)フィラーなど、特定の空洞を満たすために、又は空間を特定的に満たすと共に、クーラー又は冷蔵庫での絶縁材を提供するために使用してよい。
【0033】
理論に制約されたくないが、無機塩はEPSビーズの融解を妨げる可能性がある「粉末被覆」として働くかもしれないのに対して、有機農薬は、被覆EPSビーズが融解するのを実際に助け、又は本方法を用いて製造された剛性製品の物理的強度及び完全性を保持するか又は高めるかもしれない。
【0034】
被覆EPSが発泡し、融解し続けるにつれて、金型36内の圧力は増加し続けるかもしれず、製品形成は、金型の内圧を用いて測定することができる。いったん所望の製品圧力に達したら、スチーム38の導入は止めてもよく、真空40を再び金型36空洞に適用してもよい。圧力は次に、融解した被覆EPSを冷却しながら約ゼロに降下できる。いったん圧力が等しくなり、融解した被覆EPSが十分に冷却されたら、金型36を開け、成形品を金型から取出し、硬化させるために貯蔵42してよい。
【0035】
硬化は、残存発泡剤及び/又は水分が成形品から離れて拡散しながら成形品が寸法安定性を達成するまで、任意の時間、例えば、約1〜約5日間続いてもよい。硬化後に、成形品は直接使用してもよいし、又は更に加工してよい。例えば、成形された被覆EPSのブロックは、熱線切断機44を用いてシートもしくは他の形状に切断してもよいし、或いは成形品の表面は平滑にしてもよい。
【0036】
上記の例は、開示される本発明の単一実施態様を表し、本発明の実施態様は上記実施態様に限定すべきではない。実施態様では、EPSの製造への乾燥化学品の計量供給を制御する任意の方法を用いてよい。例えば、連続発泡システムを、本明細書で説明する回分式方法の代わりに用いてよい。
【0037】
有利なことに、有機農薬の使用は、無機農薬よりも上記の方法に用いられる装置の実用寿命及び性能を向上させるかもしれない。なぜなら、農薬として使用される無機塩は、金属製装置に有害な影響を及ぼす可能性があるからである。従って、熱線切断機44、金型36などは、有機農薬を用いる方法に使用する際、更に長い実用寿命を有し、更に良好な最終製品を製造するかもしれない。更に、有機農薬とEPSとの間の相互作用は、無機農薬とEPSとの間の相互作用より著しく良好であり、有機農薬コーティングは、加工中、EPSに付着したままかもしれない。それ故、流動床乾燥機26、貯蔵器30、金型36などのような装置の細孔の長時間にわたる閉塞は、これらの装置の幾らかの保守の必要性をなくすことで回避されるかもしれない。
【0038】
実施態様の有機農薬は、この有機化合物で処理された物品に農薬活性、又は有害生物忌避性を与えることが当該技術分野で知られている任意の有機化合物であってよい。例えば、有機農薬は、昆虫、シロアリ、カブトムシ、真菌類、カビ、及び/又はうどん粉菌を殺す、忌避する又はそれらの増殖を阻止するかもしれず、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺うどん粉菌剤、又はそれらの同等物と呼んでもよい。幾つかの実施態様では、1つ以上の有機化合物が、被覆EPSを有する成形品の製造に用いられてもよい。それ故、幾つかの実施態様では、2つ以上の有機殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤もしくは殺カビ剤の混合物、1つ以上の殺虫剤と1つ以上の殺真菌剤もしくは殺カビ剤との混合物、又は1つ以上の殺真菌剤と1つ以上の殺カビ剤との混合物がEPS成形品へ組み込まれてもよい。
【0039】
有機殺虫剤の例には、イミダクロプリド(1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン)、チアクロプリド((Z)−3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド)、フィプロニル(5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−(1RS)−(トリフルオロメチル)スルフィニル)−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル)、クロチアニジン((E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン)、チアメトキサム((EZ)−3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデン(ニトロ)アミン)、アセタミプリド((E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−シアノ−N−メチルアセトアミジン)、アレスリン((RS)−3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペンテ−2−ニル(1RS、3RS;1RS、3SR)−2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロペ−1−ニル)シクロプロパンカルボキシレート)、ビフェントリン(2−メチルビフェニル−3−イルメチル(1RS、3RS)−3−[(Z)−2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−ニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、クロルフェナピル(4−ブルモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル−5−トリフルオロメチル−1H−ピロール−3−カルボニトリル)、シハロトリン((S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R,3R)−3−[(Z)−2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペニル]−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、ホキシム(O−(α−シアノベンジリデンアミノ)O,O−ジエチルホスホロチオエート)、クロロピリホス(O,O−ジエチル−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート)、並びにペルメトリン(5−ベンジル−3−フリルメチル−3−(2−メトキシ−カルボニル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、デカメトリン(α−シアノ−3−フェノキシベンジルd,l−シス−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、シペルメトリン(α−シアノ−3−フェノキシベンジル(±)シス,トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、デルタメトリン((S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R,3R)−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、トラロメトリン((S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(1R,3R)−2,2−ジメチル−3−[(RS)−1,2,2,2−テトラブロモエチル]シクロプロパンカルボキシレート)、エトフェンプロックス(2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル 3−フェノキシベンジルエーテル)、フェンバレレート((RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート)、シフルトリン(シアノ−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)メチル−3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)などのようなピレスロイドシリーズ殺虫剤、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されなくてもよい。他の実施態様では、殺虫剤は殺シロアリ剤であってよく、特定の実施態様では、有機農薬は、その全体を参照により本明細書によって援用される、2001年6月21日出願の、「Agents for Preserving Technical Materials Against Insects」という表題の、米国特許第6,936,624号明細書に記載されるようにイミダクロプリド又は関連化合物であってよい。
【0040】
殺虫剤は、コロニーを形成し、人造又は天然工業材料を摂取するか又は別の方法でそれらの崩壊もしくは破壊を引き起こすことが知られる各種の昆虫であって、カロテルメス(Kalotermes)種、クリプトテルメス(Cryptotermes)種などのシロアリ(Isoptera)目、ムカシシロアリ科(Mastotermitidae)、レイビシロアリ科(Kalotermitidae)など;ズーテルモプシス(Zootermopsis)種などのオオシロアリ科(Termopsidae);ヤマトシロアリ(Reticulitermes)種、ヘテロテルメス(Heterotermes)種、及びコプトテルメス(Coptotermes)種などの、ミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae);アミテルメス(Amitermes)種、ナスチテルメス(Nasutitermes)種、アカントテルメス(Acanthotermes)種、ミクロテルメス(Mikrotermes)種などの、シロアリ科(Termitidae);甲虫目(Coleoptera);ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)などの、ヒラタキクイムシ科(Lyctidae);ボストリチュス・カプシヌス(Bostrychus capucinus)及びチビタケナガシンクイ(Dinoderus minutus)などの、ナガシンクイ科(Bostrychidae);シバンムシ(Anobium punctatum)、キシレチヌス・ペルタツス(Xyletinus peltatus)、ヒラタキクイムシ(Xestobium rufovillosum)、及びプチリヌス・ペクチニコミス(Ptilinus pectinicomis)などの、シバンムシ科(Anobiidae);ヒロトルプス・バジュラス(Hylotrupes bajulus)、ヘスペロファヌス・シネリュース(Hesperophanus cinereus)、ストロマチウム・フルブム(Stromatium fulvum)、及びクロロホラス・ピロスス(Chlorophorus pilosus)などの、カミキリムシ科(Cerambycidae);カミキリモドキ科(Oedemeridae);セロプルピダエ(Serropulpidae);ゾウムシ科(Curculionidae);セオリチダ(Seolytida);ナガキクイムシ科(Platypodidae);膜翅目(Hymenoptera);シレックス(Sirex)種及びウロセラス(Urocerus)種などの、キバチ科(Siricidae);オオアリ(Camponotus)種などの、アリ類(Formicidae)などのものを含むが、それらに限定されない昆虫に対して有効であるかもしれない。
【0041】
本発明の実施態様に用いられてもよい、有機殺真菌剤、殺カビ剤、及び殺うどん粉菌剤の例には一般に、塩素化殺生物剤、例えば、クロロイソシアヌレート、クロロタロニル(テトラクロロイソフタロニトリル)、及び次亜塩素酸リチウム;臭素化殺生物剤、例えば、臭化アンモニウム、BNPD(2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール)、ハロゲン化ヒダントイン、DBDCB(1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン)、DBNPA(2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド)、及び臭化ナトリウム(NaBr);ヨウ素ベースの殺生物剤、例えば、IPBC(3−ヨード−2−プロピニルブチル)カルバメート、ヨードフォア、及びDIMTS(ジヨードメチル−p−トリルスルホン);第四級アンモニウム化合物(クアット)、WSCP(ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレンジクロリド);オキサゾリジン;THPS(テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート);トリアジン;イルガロール(IRGAROL)1051(N−シクロプロピル−n’−(1,1−ジメチルエチル−6−メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン);ダウイシル(DOWICIL)75(シス−1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド);トリスニトロ(トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン);バイオバン(BIOBAN)P1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリン及び4,4’−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン;ジチオカルバメート、例えば、エチレンビス(ジチオカルバメート)ジナトリウム、ジメチルジチオカルバメートカリウム、及びジメチルジチオカルバメートナトリウム;フォルペット(N−(トリクロロメチルチオ)フタルイミド);イソチアゾリノン、例えば、BIT(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン)、CIT/MIT(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、MIT(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、DCOIT(4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、OIT(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン)、及びBBIT(N−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン);ピリジンチオール、例えば、ZPT(亜鉛−2−ピリジンチオール−2−オキシド)、及びNPT(ナトリウム−2−ピリジンチオール−2−オキシド);チアベンダゾール(2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール);チオシアネート、例えば、MBT(メチレンビス(チオシアネート))及びTCMTB(2−(チオシアンキャノメチルチオ)(thiocyacanomethylthio)ベンゾチアゾール);チオン(テトラヒドロ−3,5−ジメチル−2H−1,3,5−チアジアジン−2−チオン);PCP(ペンタクロロフェノール);OPP(o−フェニルフェノール);OBCP(o−ベンゾ−p−クロロフェノール)、トリスクロサン(trisclosan)((5−クロロ−2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール);PCMC(p−クロロ−m−クレゾール)など、及びそれらの組み合わせなどの任意の殺生物剤が挙げられるが、それらに限定されない。実施態様の殺真菌剤には、テブコナゾール((RS)−1−p−クロロフェニル−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール)、プロピコナゾール((2RS,4RS;2RS,4SR)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、シプロコナゾール((2RS,3RS;2RS,3SR)−2−(4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、トリアジメフォン((RS)−1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オン)、トリアジメノール((1RS、2RS;1RS,2SR)−1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)、トリルフルアニド(N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−p−トリルスルファミド)、ジクロフルアニド(N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド)など、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0042】
幾つの実施態様の殺生物剤は一般に、例えば、以下の目、アカパンカビ属(Neurospora)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、アミガサタケ属(Morchella)、ケカビ属(Mucor)、クモノスカビ属(Rhizopus)、カワリミズカビ属(Allomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、クラドスポリウム属(Cladosposium)などのものなどの、コロニーを形成し、そして人造又は天然工業材料を食餌することが知られる真菌類、カビ、及びうどん粉菌に効果的に効く有機化合物であってよい。
【0043】
特定の実施態様では、有機農薬は場合により、例えば、難燃剤、着色剤、バインダー、帯電防止剤、シーラントなどのような、良質のEPSを提供することが知られる1つ以上の有機化合物と混合してよく、この混合物はEPSを被覆するために使用してよい。
【0044】
本発明と本方法及び使用される原材料を例示する実施態様とは、以下の非限定的な実施例を参照することによって更に理解できる。
【実施例】
【0045】
実施例1
以下の実施例では、イミダクロプリド処理EPS及びホウ酸塩処理EPSへのシロアリ攻撃を阻止する有効性を試験し、これらの結果を比較した。全ての試験は、米国木材安全管理者協会(American Wood−Preservers’ Association)(「AWPA」)によって作成されたような標準E1−97範囲1.1.2選択方法(Standard E1−97 Scope 1.1.2 Choice Method)(「2選択試験」)、1904年以来木材を保護するための機関の標準に従って実施した。要するに、陰性対照、南部松(Southern Yellow Pine)(SYP)、及び試験サンプル、イミダクロプリド処理EPS、ホウ酸塩処理EPS、又はヒ酸クロム酸化銅(CCA)処理SYPの較正基準を、シロアリを飼育する各ジャーに入れた。次に、シロアリに食餌する材料を選ばせた。
【0046】
特に明記しない限り、全ての殺虫剤濃度は重量/容量%として示し、重量/容量システムで用いられる単位は1立方フィート当たりのポンドである。
【0047】
各サンプルを評価するための試験環境は次の通り準備した:個々の80mmD×100mm高さのネジ蓋ジャー中に、篩にかけ洗浄し加熱滅菌した150グラムのシリカ砂を30mlの蒸留水と混ぜ入れた。試験期間中、蓋を緩く回して締め、含水率を元の状態の2%内に維持して、ジャーを78°F〜82°Fの温度に保った。
【0048】
試験サンプルを0.25インチ厚さ×1インチ平方に切断し、乾燥オーブン中で一定重量に順化させた。SYP辺材(典型的なシロアリ標的)の非処理対照を同様に順化させた。一試験サンプル及び一SYP対照を、反対側が湿った砂に触れて各ジャー中に端に入れた。試験材料は、そのままのEPS、イミダクロプリド(0.086%)で処理したEPS、ホウ酸ナトリウム(0.5%)で処理したEPS並びに3つの濃度(5%、10%、及び22%)のCCAで処理したSYP辺材の陽性対照であった。CCA処理木材サンプルは、試験が正しく設定されたことを検証するための陽性対照として、かつ、試験を行っている他の実験室と比較するための較正基準として役立つ。全部で、12のジャーを各試験材料のために、6つのジャーを各陽性対照のために設定した。
【0049】
約400匹のシロアリを、シロアリの5%以下が(食餌しない)兵隊アリである状態で、各ジャー中に試験サンプルと対照との間に入れたが、残りは(食餌する)働きアリであった。この試験手順のために選択されたシロアリは、東部北米で非常に幅広い地理的分布を有し、従って対象となる広領域を代表する、ヤマトシロアリ属フラビペス(Reticulitermes flavipes)であった。試験を28日間行い、試験サンプル及び対照を、損傷とシロアリ個体数を調べ、生存をチェックした。
試験材料の属性及び試験の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
CCA処理SYPは予期通りに機能し、試験手順を検証した。イミダクロプリド処理EPSは損傷を全く受けず、100%の死亡率となった。イミダクロプリドと一緒のジャー中の非処理SYPもまた評価可能の損傷を全く受けなかったことも留意すべきである。これとは対照的に、ホウ酸塩処理EPSは中程度の攻撃を示し、すぐ隣のSYP対照は著しく摂取され、多くのシロアリが暴露にも生き残っており、これはホウ酸塩処理の低い作用を示唆するかもしれない。更に、60%シロアリ生存率で、ホウ酸塩処理EPSは非処理EPSより少し向上したにすぎない。これらの結果は、一層少ない用量レベルのイミダクロプリドを使用して良好な性能を達成できたことを暗示するかもしれず、同等の結果を達成するために一層高いレベルのホウ酸塩が必要であることを明らかに示している。
【0052】
本発明は特定の好ましい実施態様に関してかなり詳細に説明したが、他の変形例も可能である。それ故、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本説明と本明細書内に含まれる好ましい変形例とに限定すべきではない。
【符号の説明】
【0053】
10 発泡性ポリスチレン
12 貯蔵ホッパー
14 計量ホッパー
16 イミダクロプリド
18 スクリューホッパー
20 供給ホッパー
22 発泡容器
24 スチーム
26 流動床乾燥機
28 空気
30 貯蔵器
32 混合ステーション
34 充填器
36 金型
38 スチーム
40 真空
42 貯蔵
44 熱線切断
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開昭63−152648号公報
【特許文献2】特開昭63−159451号公報
【特許文献3】特開昭63−254143号公報
【特許文献4】特開昭63−264670号公報
【特許文献5】米国特許第5,149,726号
【特許文献6】米国特許第5,194,323号
【特許文献7】米国特許第5,270,108号
【特許文献8】米国特許第5,373,674号
【特許文献9】米国特許第5,598,677号
【特許文献10】米国特許第5,704,172号
【特許文献11】米国特許第6,033,731号
【特許文献12】米国特許第6,080,796号
【特許文献13】米国特許第6,936,624号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ポリスチレンの外面と作用可能に結合し、かつ該発泡ポリスチレンの外面を実質的に被覆する少なくとも1種の有機化合物を有する発泡ポリスチレンを含む被覆発泡ポリスチレン。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機化合物が農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項3】
前記少なくとも1種の有機化合物が殺シロアリ剤である、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項4】
前記少なくとも1種の有機化合物がイミダクロプリド又はイミダクロプリド含有混合物である、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有機化合物が粉末、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物から選択される形態である、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項6】
前記少なくとも1種の有機化合物が静電相互作用によって前記発泡ポリスチレンの外面と結合している、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項7】
前記少なくとも1種の有機化合物が前記被覆発泡ポリスチレンと接触する有害生物を殺すのに十分な量で供給される、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項8】
前記少なくとも1種の有機化合物が前記発泡ポリスチレンの約0.01重量/容量%〜約1.0重量/容量%である、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項9】
前記少なくとも1種の有機化合物が前記発泡ポリスチレンの約0.01重量/容量%〜約0.15重量/容量%である、請求項1に記載の被覆発泡ポリスチレン。
【請求項10】
前記発泡ポリスチレンが発泡性ポリスチレン10ビーズである、請求項1に記載の発泡ポリスチレン。
【請求項11】
前記発泡ポリスチレンが有害生物に実質的に耐える、請求項1に記載の発泡ポリスチレン。
【請求項12】
前記発泡ポリスチレンがシロアリに実質的に耐える、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン。
【請求項13】
発泡性ポリスチレンを、発泡時、該発泡性ポリスチレンの外面を被覆するのに十分な濃度の少なくとも1種の有機化合物と接触させる工程と、
少なくとも1種の有機化合物を該発泡性ポリスチレンと混合して混合物を形成する工程と、
該発泡性ポリスチレンが発泡して被覆発泡ポリスチレンを形成するような条件に該混合物を曝す工程と
を含む発泡ポリスチレンフォームの製造方法。
【請求項14】
前記暴露工程が前記混合物にスチーム熱及び、場合により、圧力を与える工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記発泡性ポリスチレンが発泡を誘発する条件に曝された際、前記少なくとも1種の有機化合物が該発泡性ポリスチレンと作用可能に結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記発泡性ポリスチレンが発泡を誘発する条件に曝された際、前記有機化合物が静電相互作用ポリスチレンによって該発泡性ポリスチレンと結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記有機化合物が農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤及びそれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の有機化合物が粉末、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物から選択される形態で添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記被覆発泡ポリスチレンから成形品を製造する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
発泡性ポリスチレンを、発泡時に該発泡性ポリスチレンを被覆するのに十分な濃度の少なくとも1種の有機化合物と接触させる工程と、
該少なくとも1種の有機化合物を該発泡性ポリスチレンと混合して混合物を形成する工程と、
該発泡性ポリスチレンビーズが発泡して被覆発泡ポリスチレンを形成するような条件に該混合物を曝す工程と、
該被覆発泡ポリスチレンから成形品を製造する工程と
を含む方法から製造された発泡ポリスチレン成形品。
【請求項21】
前記有機化合物が農薬、殺虫剤、殺シロアリ剤、殺真菌剤、殺カビ剤、殺菌剤、殺うどん粉菌剤及びそれらの組み合わせから選択される、請求項20に記載の成形品。
【請求項22】
前記少なくとも1種の有機化合物が殺シロアリ剤である、請求項20に記載の成形品。
【請求項23】
前記少なくとも1種の有機化合物がイミダクロプリド又はイミダクロプリド含有混合物である、請求項20に記載の成形品。
【請求項24】
前記少なくとも1種の有機化合物が粉末、液体、エマルジョン、及び非混和性濃縮物から選択される形態である、請求項20に記載の成形品。
【請求項25】
前記成形品が有害生物に実質的に耐える、請求項20に記載の成形品。
【請求項26】
前記成形品がシロアリに実質的に耐える、請求項20に記載の成形品。
【請求項27】
前記成形品がポリスチレンフォーム絶縁材、ポリスチレンフォーム板、ポリスチレンフォーム・パッケージング、及びポリスチレンフォーム・コーティングから選択される、請求項20に記載の成形品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507002(P2010−507002A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533331(P2009−533331)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/021979
【国際公開番号】WO2008/051392
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(505006666)ランクセス・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】