説明

処理装置

【課題】さらに浄化性能のよい汚水処理装置を提供する。
【解決手段】土壌272に埋設され、前処理された汚水を土壌272に分散させる埋設路220を有する処理装置200において、埋設路220を、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより形成された複数の三角形の開口15であって、開口面積が5〜100cmの開口を含む樹脂製の上下左右の壁11〜13を含むボックス10により構成する。開口15を介して内部の散水部材5と、外側を透水シート31および32とを効率よく接触させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前処理された汚水を土壌に分散(浸潤浸透)させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置において、該翼片が該管状体から突出形成される位置に、長さ0.5〜6cmの吸水性シートからなる突片を上方へ立設せしめたことを特徴とする汚水浸潤処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−305534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸水性シートからなる管状体内に剛毛状繊維を充填し、その中央部に透水性パイプを配設すると共に、該管状体の側面に、吸水性シートからなる複数個の翼片を突出形成せしめた汚水浸潤処理装置においては、剛毛状繊維から通気性土壌内にサイホン現象および/または毛管現象により汚水を浸潤させ、土壌微生物により効率よく生物酸化(好気性分解)させる。それとともに、土壌面蒸発と植物の根による水の吸い上げにより処理された汚水を蒸散させる。
【0005】
剛毛状繊維から通気性土壌内に毛管現象などにより水を浸潤させるためには、剛毛状繊維、吸水性シートおよび土壌(土)が適度に接触(密接)している必要がある。合成繊維不織布が好ましく、特に、厚さ1〜10mm程度のポリエステル不織布が好適に用いられる。剛毛状繊維としては、合成繊維からなる剛毛状繊維が好ましく用いられ、特に、500〜3000デニールのポリエステル剛毛繊維が好適に用いられる。したがって、吸水性シートからなる管状体の強度は比較的小さく、土盛りが厚すぎたり、土壌との接触効率を上げようとして土壌を加圧したりすると管状体に過剰の土圧が作用し、管状体が潰れたり変形したりする可能性がある。
【0006】
管状体が潰れたり変形したりすると、内部の剛毛状繊維の隙間が小さくなり、目詰まりを起こして汚水の流通が阻害される。剛性の高い透水性パイプを用いることにより管状体の長手方向の流れは確保できるかもしれないが、内部の剛毛状繊維は圧迫され、管状体の断面方向、すなわち、汚水を土壌に浸潤させる方向の流れが阻害され、土壌に汚水を分散させる役割を果たさなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、土壌に埋設され、前処理された汚水を土壌に分散させる埋設路を有する処理装置である。この処理装置の埋設路は、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより形成された複数の三角形の開口であって、開口面積が5〜100cmの開口を含む樹脂製の上下左右の壁と、上下左右の壁により形成された空間に充填された繊維状の散水部材と、上下左右の壁を覆う透水シートであって、透水シートの一部が土壌の中に当該埋設路から延びている透水シートと、上下左右の壁を覆う透水シートの外側で埋設路の下側を覆う遮水シートとを有する。
【0008】
この埋設路は、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより様々な方向からの圧力に比較的強い樹脂製の上下左右の壁を備えている。このため、土圧が多少大きくなるような状況が発生しても、上下左右の壁により埋設路が潰れたり大きく変形したりすることを抑制できる。このため、埋設路内部の散水部材が潰れることを抑制でき、繊維状の散水部材に適度な隙間がある状態を保持でき、汚水が流通する空間を確保できる。
【0009】
さらに、上下左右の壁は、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより、比較的大きな複数の三角形の開口が形成され、それらの開口面積は5〜100cmになるようにしている。開口面積が小さすぎると、上下左右の壁が散水部材と透水シートとが接触するのを阻害してしまう。しかしながら、この範囲の面積の開口であれば、開口から散水部材がはみ出したり、開口に透水シートが入り込むことが比較的容易に起こる。このため、散水部材と透水シートとが接触しやすく、散水部材および透水シートを介して汚水を土壌に効率よく分散させることができる。
【0010】
上下左右の壁の開口面積は、10〜50cmであることがさらに好ましい。リブの数を増やすことにより壁の強度をさらに向上できる。また、開口面積を大きくすることによりさらに効率よく散水部材と透水シートとを接触させることができる。
【0011】
埋設路は、さらに、散水部材を埋設路の延びる方向に貫通するように配置された透水性パイプを有していてもよい。この埋設路は、強度が高い上下左右の壁を有する。したがって、土圧により変形することが少なく、透水性のパイプがなくても、上下左右の壁の内部に収納された散水部材だけで埋設路の延びる方向(長手方向)の流通を確保できる。また、透水性のパイプを省くことにより、汚水が散水部材に接触あるいは衝突しながら流れ、散水部材に付着したバクテリアあるいは微小生物により生物浄化されやすくなる。
【0012】
本発明の他の態様の1つは、上記の処理装置と、処理装置に供給する汚水を嫌気性処理する前処理装置とを有する汚水処理装置である。前処理で嫌気性処理を行い、後処理の処理装置で好気性処理を行うことができる。このため、汚水をさらに効率よく分解し、土壌に分散させることができる。
【0013】
本発明のさらに異なる他の態様の1つは、前処理された汚水を土壌に分散させる埋設路の上下左右の壁を形成する樹脂製のパネルである。これらのパネルは、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより形成された複数の三角形の開口を有し、開口の開口面積が5〜100cmである。開口の開口面積は10〜50cmであることが望ましく、開口面積は10〜30cmがさらに望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】汚水処理装置の概要を示す断面図である。
【図2】後処理装置の構成を示す断面図である。
【図3】埋設路(流路)の構成を示す断面図である。
【図4】埋設路の異なる例を示す断面図である。
【図5】埋設路のボックスを構成するパネルを示す図であり、図5(a)は平面パネル、図5(b)は側面パネル、図5(c)はパーティション、図5(d)はハーフサイズの平面パネルの構成を示す。
【図6】ボックスを示す図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は側面図、図6(c)は正面図を示す。
【図7】埋設路を組み立てる様子を展開して示す図である。
【図8】埋設路の構成を示す長手方向(流路の方向)に沿った断面図。
【図9】開口の状態を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の一実施形態の汚水処理装置(汚水浄化装置)の概略構成を示す断面図である。汚水処理装置1は汚水を1次的に処理する前処理装置100と、前処理装置100で処理された汚水が流入し、それらを2次的に処理する後処理装置(土壌処理装置、汚水土壌装置、処理装置)200と、前処理装置100と後処理装置200の間の連絡部300と、後処理装置200を通して処理された汚水の状態を点検する検出部400とを含む。連絡部300および検出部400は処理する汚水の量、条件、設置場所によっては省かれることがある。
【0016】
前処理装置100は3つの区域110、120および130を含む。第1の区域110〜第3の区域130は、内部にメタン菌などの嫌気性菌が生殖するように設けられており、嫌気性菌により汚水が一次的に浄化される。汚水は、まず、汚水流入管140を通して第1の区域110に流入し、浮遊物(スカム、scum)と、床に沈殿する沈殿汚泥とが分離される。第2の区域120において、さらに、スカムと沈殿汚泥とが分離され、嫌気性菌により浄化された汚水(浄化進行水)が第3の区域130に流入する。
【0017】
第3の区域130には、表面にメタン菌などの嫌気性菌が付着しやすい礫132が充填されている。このため、汚水の浄化がより効果的に行われる。複数の礫132を充填することにより、第3の区域130には大きな複数の隙間が形成され、菌が繁殖しやすくなり、さらに、礫132の表面にメタン菌などによる生物膜が形成されるので、浄化中の汚水に含まれる浮遊物が吸着され、除去されやすくなる。礫132の大きさは、典型的には20〜30cm程度が望ましい。また、礫132の形は丸くてつるつるしているものよりは、表面に凸凹を有し、接触面積が大きくなる形状であることが好ましい。
【0018】
第3の区域130の礫132の上方には、断面がジグザグになった板(ジグザグ板)134を挟んで通気性土壌172が被せられている。ジグザグ板134は、板本体を貫通する複数の孔を含み、それらの孔は垂直に本体を貫通するのではなく前後左右に曲がりながら貫通しており、小動物がこれらの孔を通って移動可能である。たとえば、ミミズなどの小動物がこのジグザグ板134を通して礫132の間に浸透する。したがって、第3の区域130においては浄化進行水の中にまだ残っている汚泥を食べるミミズなどの小動物が繁殖できる。一方、ジグザグ板134の形状により、上からこの通気性土壌が下に落ちることはなく、空気や水分、そして小動物などはジグザグの孔を屈折して移動できる。
【0019】
第1の区域110と第2の区域120の上には孔開きのスラブ板および透水マットを挟んで通気性土壌172が被せられている。スラブ板がポーラスコンクリート製の場合は、透水マットの設置は不要である。通気性土壌172は空隙率が高く、菌の繁殖が容易で、水分が蒸発され易い特徴を有する。通気性土壌172の材料としては石炭を燃やした後に出てくる灰であるクリンカ(Clinker)が使用できる。貝殻や墨などを細かく砕いたものであってもよい。クリンカは、経済的であり、さらに、空隙率が高いだけではなく、雨が降ると表面が硬くなるので雨水の流入を防ぐ長所がある。このような性質をもつクリンカは後処理装置200で使われる通気性土壌の材料としても利用される。
【0020】
前処理装置100では第1の区域110〜第3の区域130のすべてが、上部は通気が可能な構造になっており、さらに、その上に通気性土壌172が配置される。したがって、前処理装置100の内部汚水から発生されたガスは、スラブ板およびジグザグ板134を通して排出され、広い範囲の通気性土壌172を経由して地上に排出される。このため、メタンガスなどの悪臭は通気性土壌172に吸収されやすくなり悪臭がほとんど発生しない。
【0021】
また、前処理装置100の第1の区域110と第2の区域120には1つ以上の蓋180が設置されている。このため、ビニルまたはゴムなどの腐敗されないゴミが第1の区域110と第2の区域120に蓄積された場合、上記の蓋180を通してそれらのゴミを除去できる。普段は密閉されている上記の蓋180は、第1の区域110と第2の区域120に設置されるが、第3の区域130には設置されない。
【0022】
前処理装置100で嫌気性菌と小動物などにより汚水浄化が相当出来た汚水は連通管146を通して連絡部300に流入される。連絡部300は、上方に開閉可能な蓋310と、内部に設けられた網模様の多孔のフィルター320とを含む。フィルター320は、典型的には、多孔のステンレス板または樹脂板で作られたフィルターである。蓋310は取り外し可能であり、連絡部300に流入される汚水の中にまだ残っている大きな粒状のゴミなどを除去する際に使用される。網模様のフィルター320は連絡部300に流入される汚水の中の大きな粒状のゴミなどを取るために設置される。すなわち、連絡部300は大きな粒状のゴミなどが後処理装置200に流入する前に取り除く機能を含む。これにより、大きな粒状のゴミが後処理装置200に流入すると、その除去が難しくなるという問題の発生を抑制できる。連絡部300で排出された汚水は、連通管148を通して後処理装置200に流入する。
【0023】
典型的な後処理装置200は、地面を掘削して一定の面積の濠を形成した後、汚水が地下に浸透しないよう遮水シート210を、濠の床面および側面に設置することを含む方法により形成できる。遮水シート210で形成された空間に通気性土壌272が全体的に一定の高さまで敷かれ、上記の連通管148と連結される流路(埋設路)220を設置した後に再び全体的に通気性土壌272が敷かれる。通気性土壌272の上部には木240が植えられる。1個以上設置される上記の埋設路220は、汚水が通気性土壌272を通して後処理装置200の全体に広がり易くし、汚水が迅速に浄化されるようにする役割をする。
【0024】
検出部400は、後処理装置200の末端に設けられており、連通管149が設けられている。検出部400には後処理装置200で処理された浄化された水の中で蒸発されなかった水が集められる。したがって、検出部400に集まった水で水質検査ができる。また、水質検査を通過した水は再利用することが可能である。後処理装置200の通気性土壌272に水分が不足したときには、必要に応じて検出部400に溜まった水を後処理装置200の通気性土壌272に逆に染み込ませ、乾燥現象を防止することができる。後処理装置200の全体の長さは流路(埋設路)220が終わる地点から大体1m程度ほど延長することが望ましい。
【0025】
後処理装置200は、地面を掘削して一定の面積の土を掘り、掘った床面および側面に遮水シート210を設置する工程を含む方法で施工される。遮水シート210で形成された空間に通気性土壌272が敷かれ、流路220が形成される。通気性土壌272の上部には水分の蒸発を促進するために木240または葉の多い植物が植えられる。遮水シート210の外側にはジグザグ板が一部重なるように接しながら上方向に設置される。
【0026】
図2に、後処理装置(土壌処理装置)200の概略構成を断面図により示している。遮水シート210が後処理装置200の周りの、通気性土壌272と外部土壌620とが接する境界面に設けられる。遮水シート210の外側にはジグザグ板252が、遮水シート210と一部重なるように接しながら、遮水シート210の上方に設けられる。雨水が溜まらないようにするため、後処理装置200においては、外部土壌620より高さ20〜30cm程度高くなるように通気性土壌272が積み上げられる。通気性土壌272が外部土壌620の方に移動しないように、ジグザグ板252は後処理装置200と外部土壌620が接する境界面にそって上方に、後処理装置200の高さより高くなるように設けられる。
【0027】
遮水シート210とジグザグ板252とを連絡して設けることが望ましい。ジグザグ板252により、遮水シート210だけでは支持することが難しい、外部土壌620より高い位置にある後処理装置200の通気性土壌272を支持できる。さらに、外部土壌620にいる小動物などがジグザグ板252を通して後処理装置200の通気性土壌272に移動することが可能となる。
【0028】
後処理装置200の通気性土壌272をクリンカで形成することは有効である。雨が降る時はクリンカで作られた通気性土壌272の表面が硬くなり、雨水が後処理装置200の内部に侵入しないでジグザグ板252を通して外部土壌620に排出される。したがって、雨が後処理装置200の内部に染み込み、後処理装置200の内部の水分量が増加して蒸発の時間が長くなることを防止できる。
【0029】
図3に、図2に示した埋設路220の周辺を拡大して示している。埋設路220は1本であってもよく、3本以上であってもよい。埋設路220は、中空のボックス10を含む。ボックス10は、複数のリブにより多数の開口15が形成された樹脂製のパネル11〜13、すなわち、上側の壁(上壁)11と、下側の壁(底壁)12と、左右の側壁13とを含む。埋設路220は、さらに、上下左右の壁11〜13により形成された空間、すなわち、ボックス10の中に充填された繊維状の散水部材5と、上下左右の壁11〜13、すなわち、ボックス10の外側を覆う透水シート31および32と、下側の透水シート32の外側で埋設路220の下側、すなわち、ボックス10の下側を覆う遮水シート39とを有する。下側の透水シート32の一部33は、両側が土壌272の中に埋設路220から羽のように延びている。
【0030】
図1に示したように、連通管148を介して、前処理装置100により嫌気性処理された汚水が埋設路220に供給される。汚水は埋設路220の内部において繊維状の散水部材5の隙間を通って埋設路220の全体に広がり、埋設路220に沿って後処理装置200の後方まで供給される。繊維状の散水部材5の一例は、500〜3000デニールのポリエステル剛毛繊維、テトロンフィラメントなどであり、ろ過材および/または微生物の繁殖基材として適したものであればよい。前処理装置100から流入した一次処理水(汚水)は、散水部材(散水資材)5から土壌272の中へサイホン現象と毛細管現象とにより流動する。このとき、土壌272の土粒子間および散水部材5の繊維間にメニスカスが形成され、処理水(汚水)は負圧を保てる限りの空気を取り込みながら流動する。したがって、土壌272においては土壌間隙水と土壌微生物とにより効率よく生物酸化が行われる。
【0031】
さらに、散水部材5においても繊維間隙水と散水部材5の繊維に付着繁殖した微生物とにより効率よく生物酸化が行われる。このため、散水部材5と土壌272とは、透水シート31および32を介して空気および処理水が良好に流通するように接触していることが望ましい。そして、散水部材5において微生物の繁殖を促進することが望ましい。必要な場合には、散水部材5として貝殻を混ぜたり、貝殻を使用することも可能である。
【0032】
透水シート(透水性シート)31および32は、水分を吸収することが可能な材質を含む。透水シート31および32としては耐久性より合成繊維不織布が好ましく、特に、厚さ1〜10mm程度のポリエステル不織布が好適に用いられる。厚さ3〜10mm、目付200〜500g/cmのポリエステル不織布がさらに好ましい。下側の透水シート32は、埋設路220の長手方向に沿って埋設路220の外側方向に延びた羽部分33を含む。この透水シート32の羽部分33を介して、埋設路220に流入された汚水が毛細現象により、埋設路220の回りを囲んでいる通気性土壌272に供給される。
【0033】
図4に示すように、埋設路22は散水部材5を埋設路220の延びる方向に貫通するように配置された透水性のパイプ9を含んでいてもよい。前処理装置100により嫌気性処理された汚水が、連通管148からパイプ9を介して埋設路220の全体に分配される。
【0034】
図5にボックス10を構成する各種パネルの構成を示している。図5(a)は上壁11および下壁12を構成する平面パネル11pを示している。図5(b)は側壁13を構成する側面パネル13pを示している。図5(c)はボックス10の内部のパーティション16を構成するパネルを示している。なお、図5(d)は、ハーフサイズのボックス10を構成するための上壁11´および下壁12´のパネルを示している。これらのパネルは厚みが1〜5cm、たとえば3cmであり、表裏が同一の構成である。
【0035】
また、図6にこれらのパネル11pおよび13pにより組み立てられたボックス10を示している。図6(a)はボックス10の平面図であり、底面図は同一に現れる。図6(b)はボックス10の右側面図であり、左側面図は対称に現れる。図6(c)はボックス10の正面図であり、背面図は同一に現れる。
【0036】
図5(a)に示した平面パネル11pは、長さ1m、幅40cmの全体が長方形のプラスチック製、たとえばポリプロピレン製のパネルであり、周囲を構成するフレーム18と、フレーム18の内部に複数の三角形の開口15を構成するようにフレーム18に直交および斜めになるように配置された複数のリブ14とを含む。平面パネル11pは合計160個の三角形状の開口15を含み、平均開口率が80%とすると、個々の開口15の平均開口面積は約20cmとなる。
【0037】
図5(b)に示した側面パネル13pは、長さ1m、高さ160cmのプラスチック製のパネルであり、平面パネル11pと同様に、周囲を構成するフレーム18と、フレーム18の内部に複数の三角形およびひし形の開口15を構成するようにフレーム18に直交および斜めになるように配置された複数のリブ14とを含む。ひし形の開口を三角形の開口2つ分として置き換えると、側面パネル13pは実質的に合計80個の三角形状の開口15を含み、平均開口率が80%とすると、個々の開口15の平均開口面積は約16cmとなる。
【0038】
図5(c)に示したパーティション16は、幅360cm、高さ160cmのプラスチック製のパネルであり、平面パネル11pと同様に、周囲を構成するフレーム18と、フレーム18の内部に複数の三角形の開口15を構成するようにフレーム18に直交および斜めになるように配置された複数のリブ14とを含む。パーティション16の中央上側に、さらに、パイプを通すための円形のフレーム19が設けられている。円形のフレーム19を三角形の開口として置き換えると、パーティション16は実質的に合計24個の三角形状の開口15を含み、平均開口率が80%とすると、個々の開口15の平均開口面積は約19cmとなる。
【0039】
図5(d)に示したハーフサイズの平面パネル11p´は、長さ50cm、幅40cmの全体が長方形のプラスチック製のパネルであり、周囲を構成するフレーム18と、フレーム18の内部に複数の三角形の開口15を構成するようにフレーム18に直交および斜めになるように配置された複数のリブ14とを含む。平面パネル11p´は合計80個の三角形状の開口15を含み、平均開口率が80%とすると、個々の開口15の平均開口面積は約20cmとなる。
【0040】
これらのパネル11p、13p、16および11p´は、突起17aと、突起17aを嵌めこめる凹み17bとを含み、埋設路220の施工現場において断面が長方形のボックス10を組み立てることができる。
【0041】
図7に、これらのパネル11p、13p、および16を用いてボックス10を組み立て、埋設路220を施工する様子を示している。まず、通気性土壌272の上に、ゴム製、ビニール製、ポリプロピレン製などの遮水シート39を設置し、その上に羽部分33を含む透水シート32を設置する。透水シート32の上に、平面パネル11pと側面パネル13pとを組み合わせることによりボックス10の下壁12および側面パネル13pを構成し、必要に応じてパーティション16を配置してボックス10の強度を高める。ボックス10の内部に繊維製の散水部材5を充填し、平面パネル11pによりボックス10の上部を覆う。これにより、上下および左右の壁11、12および13が開口15を有するボックス10が組み立てられ、内部に散水部材5が充填される。さらに、透水シート31によりボックス10の上方を覆う。これにより埋設路220が組み立てられ、通気性土壌272により埋設路220は埋め戻される。
【0042】
図8に、埋め戻された状態の埋設路220の長手方向の断面を、散水部材5を除いて示している。ボックス10の上下左右は透水シート31および32により覆われ、ボックス10のリブ14により構成される開口15を介して透水シート31および32と散水部材5とが接触する。
【0043】
図9に、開口15において透水シート31または32と、散水部材5とが接触する様子を模式的に示している。ボックス10においては、複数のリブ14が適当な隙間を開けて配置されており、上下左右の壁11〜13のそれぞれに、数cm〜数10cmの開口面積を持つ複数の開口15が構成される。これらの開口15は比較的開口面積が大きいので、比較的厚みのある、たとえば、数mm程度の厚みの透水シート31および32であっても開口15の内部で撓み、または歪む。したがって、たとえば、開口15a、15cおよび15dに模式的に示しているように、透水シート31または32がそれぞれの開口15a、15cおよび15dで適度に撓み、ボックス10の内部の散水部材5と効率よく接触する。また、ボックス10の内部の散水部材5も、たとえば、開口15bに示すように、開口15bから外側にはみ出し、外側の透水シート32と効率よく接触する。
【0044】
一方、このボックス10を構成するプレート11pおよび13pは、フレーム18に加え、フレーム18に直交するように、また斜めになるように複数のリブ14を備えており、リブ14により多数の三角形が形成される。したがって、プレート11pおよび13pにより組み立てられたボックス10は、様々な方向からの圧力および応力等に対して十分な強度を備えており、土圧に対して強い。このため、ボックス10を用いた埋設路220は多少の土壌の厚みの差や、不等沈下などの様々な要因で埋設路220に対して加わる圧力が増加しても埋設路220が大きく変形することは少ない。
【0045】
したがって、このボックス10を用いた埋設路220においては、ボックス10により土圧に対する強度を確保できる。このため、ボックス10の内部の散水部材5に圧力が加わって隙間が減ったり、散水部材5が潰されることにより目詰まりしたり、散水部材5に通水性がなくなったりする恐れは少ない。
【0046】
加えて、埋設路220においては、ボックス10の十分に開口面積が大きな開口15を介してボックス10の内部の散水部材5と、ボックス10の外の透水シート31および32とを効率よく、直に接触させることができる。このため、埋設路220に流入した汚水は散水部材5により透水シート31および32の方向に分散され、透水シート31および32を通して通気性土壌272に効率よく湿潤する。その際、透水シート31および32の外側にある通気性土壌272とボックス10の内部の散水部材5との間で透水シート31および32を挟んで汚水および空気を効率よく交換することができ、散水部材5に汚水処理に有用な微生物、たとえばバクテリアを増殖させることができる。このため、埋設路220における汚水の浄化性能を向上できる。
【0047】
また、ボックス10により埋設路220の強度を確保できるので、ボックス10に充填された散水部材5により埋設路220の全体に汚水を流通させることができる。このため、透水性のパイプを省くことが可能となり、低コストで短期間に埋設路220を施工できる。
【0048】
さらに、散水部材5は、開口面積が大きな開口15に沿って変形するので、ボックス10に対して散水部材5は移動しにくい。このため、埋設路220を長期間にわたり汚水が流れても散水部材5の配置が偏ったりすることが少ない。また、目詰まり防止のために散水部材5を逆洗する際も、逆洗により散水部材5が移動する可能性が小さく、安心して洗浄することができる。したがって、埋設路220の処理性能を長期間にわたり良好に維持できる。
【0049】
ボックス10の強度を確保し、さらに、散水部材5と透水シート31または32との接触を確保するためには、開口15の開口面積が5〜100cmであることが望ましい。さらに、開口15の開口面積は10〜50cmであることが望ましく、開口15の開口面積は10〜40cmであることがさらに望ましい。開口15の開口面積が15〜30cmであることがいっそう好ましい。
【0050】
上記のように、この汚水処理装置1は、前処理装置100と後処理装置200とを備え、汚水をいっそう綺麗に浄化し、浄化された汚水は蒸発させることができる。したがって、汚水の放流先を省くことが可能となる。そして、後処理装置200には通気性土壌を密閉していない状態で設置するため、その中にいる好気性菌が大気中の酸素を吸収しながら繁殖し、汚物を食べ分解を続ける効果がある。したがって、汚水処理装置1は、エアレーションシステムが不要で、塩素などを使用しなくてもよく、さらに、浄化槽内部で発生されるガスが直接地上に放出されにくく、放流設備を不要にすることが可能な汚水処理装置である。
【符号の説明】
【0051】
1 汚水処理装置
100 前処理装置、 200 後処理装置(土壌処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に埋設され、前処理された汚水を前記土壌に分散させる埋設路を有する処理装置であって、
前記埋設路は、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより形成された複数の三角形の開口であって、開口面積が5〜100cmの開口を含む樹脂製の上下左右の壁と、
前記上下左右の壁により形成された空間に充填された繊維状の散水部材と、
前記上下左右の壁を覆う透水シートであって、当該透水シートの一部が前記土壌の中に当該埋設路から延びている透水シートと、
前記上下左右の壁を覆う前記透水シートの外側で、当該埋設路の下側を覆う遮水シートとを有する、処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記上下左右の壁は、前記開口面積が10〜50cmの前記開口を含む、処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記埋設路は、さらに、前記散水部材を前記埋設路の延びる方向に貫通するように配置された透水性のパイプを有する、処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の処理装置と、
前記処理装置に供給する汚水を嫌気性処理する前処理装置とを有する、汚水処理装置。
【請求項5】
前処理された汚水を土壌に分散させる埋設路の上下左右の壁を形成する樹脂製のパネルであって、三角形をなすように組み合わされた複数のリブにより形成された複数の三角形の開口を有し、前記開口の開口面積が5〜100cmであるパネル。
【請求項6】
請求項5において、前記開口の開口面積が10〜50cmであるパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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