説明

処置デバイス

【課題】より安全に体腔内に挿入可能な処置デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の処置デバイス1は、先端に開口するルーメン5が形成されたカテーテル4と、ルーメン5に抜き差し可能に通されたワイヤ6と、ワイヤ6の先端に設けられ、カテーテル4の先端から突出させたときの最大幅がルーメン5の径より大きいチップ本体12を有する先端チップ10とを備え、チップ本体12は、組織に作用する圧力の集中を分散する広い曲面形状を有する変形可能な材料から製造され、ワイヤ6をカテーテル4に対して引いたときにルーメン5によって軸方向に引き伸ばされることで外径が減少してルーメン5内に引き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の自然開口から管腔に挿入される処置デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓や胆嚢、胆管の疾患を検査する手法として、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)が知られている。ERCPでは、カテーテルを十二指腸の乳頭に挿入し、造影剤を膵管や胆管に直接注入してX線画像を取得する。
【0003】
ここで、乳頭の入口が狭かったり、胆管の管路が屈曲したりしているとカテーテルを胆管に挿入し難い。無理にカテーテルで乳頭の入口を突くと、粘膜が浮腫を起こして入口が余計に狭くなる。さらに、カテーテルで入口をつついたときに粘膜下にカテーテルが進入すると、さらに挿入し難くなる。粘膜下にカテーテルが進入した状態で造影剤を注入すると、造影剤が粘膜下に注入されてしまって粘膜が膨んで乳頭の入口がさらに塞がってしまう。さらに、浮腫や粘膜下に造影剤が注入されて膵管口が塞がれると、膵液の排出が妨げられて膵炎になる可能性が増加する。別の方法としては、比較的に屈曲し易い柔軟な先端を持つガイドワイヤ(例えば、特許文献1参照。)をカテーテル先端から2〜3mm突出させて胆管を探るという方法も行われている。
【0004】
しかしながら、柔軟であってもガイドワイヤの先端は細いため、力が一点に集中し易く、無理につつくと浮腫を起こしたり、粘膜下にガイドワイヤが進入したりすることがあった。膵炎を防止する観点からも、少しでもこのような浮腫や粘膜下穿刺のリスクを減らすことが好ましい。
そこで、従来は、造影剤を通すルーメンの開口が形成されたカテーテルの先端部分をできるだけ丸くし、カテーテルの先端部が浮腫を作ったり、粘膜下に穿刺されたりしないようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,908,443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カテーテルの先端部分を丸めても、ガイドワイヤ挿入用のルーメンの先端開口のエッジが残るので、先端の形状は完全に滑らかな球面にすることはできなかった。さらに、先端の細いカテーテルを使用する場合、先端も細くなって鋭利になる。このことと前記したルーメンによるエッジの存在によって、慎重な操作と判断が必要だった。また、カテーテル先端から屈曲し易い柔軟な先端を持つガイドワイヤを2〜3mm突出させて胆管を探る方法も、屈曲し易いといっても従来のガイドワイヤの先端はカテーテルのルーメン径より細いので大きな力をかけると一点に圧力が集中してしまい、粘膜を傷めたり、粘膜下に進入してしまったりすることがあるので慎重な操作が必要であった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、より安全に体腔内に挿入可能な処置デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の処置デバイスは、先端に開口するルーメンが形成されたカテーテルと、前記ルーメンに抜き差し可能に通されたワイヤと、球状に形成されて前記ワイヤの先端に設けられ、前記カテーテルの先端から突出させたときの最大幅が前記ルーメンの径より大きいチップ本体を有する先端チップと、を備え、前記チップ本体にはスリットが形成され、前記チップ本体は、組織に作用する圧力の集中を分散する広い曲面形状を有する変形可能な材料から製造され、前記ワイヤを前記カテーテルに対して引いたときに前記ルーメンによって軸方向に引き伸ばされることで外径が減少して前記ルーメン内に引き込まれるように構成され、前記スリットは、前記ルーメンの開口に前記先端チップが当接したときに前記ルーメンと外部とにそれぞれ連通するように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の処置デバイスによれば、より安全に体腔内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1のB矢視図である。
【図4】図1のC−C線に沿った断面図である。
【図5】先端チップをルーメンに収容した図である。
【図6】図5のD矢視図である。
【図7】図5のE−E線に沿った断面図である。
【図8】先端チップを乳頭に挿入した図である。
【図9】先端チップ及びシースの先端部を乳頭から胆管に挿入した図である。
【図10】カテーテルを挿入した胆管が湾曲している場合を示す図である。
【図11】カテーテル及び先端チップを胆管の形状に沿って一緒に湾曲させながら前進させる例を示す図である。
【図12】先端チップをカテーテルから突出させて胆管の形状に沿って湾曲させながら前進させる例を示す図である。
【図13】図12のようにして先端チップをカテーテルに対して前進させた図である。
【図14】本発明の第2実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図15】図14のF矢視図である。
【図16】図14のG矢視図である。
【図17】図15のH−H矢視図である。
【図18】先端チップをルーメン内に収容した図である。
【図19】図18のJ矢視図である。
【図20】図18のI−I線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第3実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図22】図21のK−K線に沿った断面図である。
【図23】図21のL矢視図である。
【図24】図22のM−M線に沿った断面図である。
【図25】先端チップをルーメン内に収容した図である。
【図26】図25のN矢視図である。
【図27】図25の〇−O線に沿った断面図である。
【図28】本発明の第4実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図29】図28のP−P線に沿った断面図である。
【図30】図28のQ矢視図である。
【図31】図28のR−R線に沿った断面図である。
【図32】先端チップをルーメン内に収容した図である。
【図33】図32のS矢視図である。
【図34】図32のT−T線に沿った断面図である。
【図35】本発明の第5実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図36】本発明の第6実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【図37】図36のU−U線に沿った断面図である。
【図38】パピロトームの先端を乳頭に挿入した図である。
【図39】乳頭を切開したときの内視鏡画像である。
【図40】本発明の第7実施形態の処置デバイスの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施態様について説明する。なお、各実施態様において同じ構成要素には、同一の符号を付してある。また、各実施態様で重複する説明は省略する。
【0012】
〔第1の実施態様〕
図1に示すように、処置デバイス1は、術者が操作する操作部2から長尺で可撓性を有する挿入部3が延びている。
挿入部3は、カテーテル4を有する。カテーテル4には1つのルーメン5が形成されており、ここにワイヤ6が進退自在に通されている。ルーメン5は、ワイヤ6の他に造影剤の注入や、他のガイドワイヤの挿通にも用いることができるガイドワイヤルーメンである。ルーメン5は、送液の用途のみに用いるのであれば小さい径、例えば0.3mmくらいでも良い。ガイドワイヤやそれ以外の処置具を通すときはもっと大きくなる。
【0013】
ガイドワイヤにはいろいろな径があり、例えば最も一般的なガイドワイヤの外径は0.035inch(0.89mm)であり、そのときのルーメン5の内径は0.9mm〜1.2mm程度が適当である。より細いガイドワイヤとして0.025inch(0.64mm)や0.018inch(0.46mm)があり、それらに最適なルーメン径としてはそれぞれ0.7〜0.8mm、0.5〜0.6mm程度である。
【0014】
カテーテル4の先端面4Aには、ルーメン5の先端開口が設けられている。カテーテル4の先端面4Aの外周部分は、先端が縮径するテーパ状にカットされてあって管腔への挿入性が高められている。カテーテル4は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やポリエチレン樹脂からなるチューブである。
【0015】
ワイヤ6は、先端側が縮径され、最も細径となる端部6Aに先端チップ10が接着等によって取り付けられている。
ワイヤ6は、金属線(ステンレス、NiTi)、プラスチックの中実棒、もしくは金属線の外側にプラスチックのカバーを被せたものからなる。プラスチックの中実棒、又は金属線の外側にプラスチックのカバーを被せた場合は、パピロトームのような高周波電流を使用するカテーテルと組み合わせて使用することが可能である。ワイヤ6のカテーテル4に通される部分の径は、ルーメン径より細く、例えば0.035inch用でルーメン径が1mmの場合には0.8mm程度かそれ以下である。
【0016】
先端チップ10は、ワイヤ6の先端側の端部6Aの外周を覆う基部11から、球状で中実のチップ本体12が一体に設けられている。図2に示すように、基部11及びそれより手元側のワイヤ6の外径は、ルーメン5の径より小さい。図1に示すように、カテーテル4の先端から突出させた状態で、チップ本体12の最大外径は、ルーメン5の径より大きくカテーテル4の外径より小さい。チップ本体12の最大外径は、例えばルーメン径が1mmであれば1.2mm程度である。略球形をなすチップ本体12の軸方向の長さL1は、ルーメン径の2倍以下である。このような先端チップ10は、組織に作用する圧力の集中を分散する曲面形状を有するので、挿入部3の先端部分が丸くなる。
なお、組織に作用する圧力の集中を分散する曲面形状とは、従来のガイドワイヤの先端もしくは従来のカテーテルの先端より広く、かつ曲率の大きい曲面形状を言い、このような形状を以下において、広く、かつ曲率の大きい曲面形状と称する。ここで、長さL1をルーメン径の2倍以下から同じくらいにすると、挿入部3の先端を鋭利にし過ぎることなく丸めるのに適当である。
【0017】
図3に示すように、チップ本体12を軸方向の前側から見たときの投影面積Sc1は、ルーメン5の軸線に直交する断面積Sl1よりも大きくなっている。図4に示すように、チップ本体12で、軸線に直交する方向で幅が最大となる部分(以下、最大幅部という)の断面積Dc1は、ルーメン5の断面積Sl1より大きくなっている。なお、チップ本体12の形状は、砲弾形状でも良い。
【0018】
先端チップ10は、変形可能な材料、例えば弾性材料から製造されている。弾性材料としては、チップ本体12をルーメン径に対して、より大きく作るときには比較的に弾性の大きいゴム(例えば、ラテックスゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム)、エラストマー系のプラスチック(例えば、ポリアミドエラストマー、ウレタンエラストマー等)が適している。また、弾性材料に酸化ビスマスや、硫酸バリウム、タングステンといった造影材料を混ぜておくと、X線に写すことが可能になる。さらに、先端チップ10の外表面は、潤滑処理(親水潤滑コート、撥水潤滑コート、テフロン(登録商標)コート、シリコンオイル塗布等)がなされている。
【0019】
このように、先端チップ10は弾性材料から製造されているので、変形させればカテーテル4内に収容することができる。ワイヤ6をカテーテル4に対して引き込めば、先端チップ10はカテーテル4の先端面4Aに突き当たり、軸方向に伸びるように変形させられる。これによって、チップ本体12の外径がルーメン径以下に縮められてルーメン5内に引き込まれる。その結果、図5に示すように、チップ本体12が潰れるようにして最大外径が縮小させられる。軸方向の長さL2がL1より長くなる。ルーメン5に引き込まれると、図5のD矢視図である図6に示すように軸方向の投影面積も小さくなる。ルーメン5内に引き込まれたときの投影面積Sc2は、ルーメン5の断面積Sl1以下となる。図7に示すように、ルーメン5に引き込まれると、最大径部の断面積が小さくなり、ルーメン5内に引き込まれたときの断面積Dc2はルーメン5の断面積Sl1以下となる。ここで、先端チップ10は、弾性材料から製造されているのでカテーテル4内に一度引き込んだ後に再びカテーテル4の先端から突出させても、ほぼ同じ形状に復元する。
【0020】
図1に示すように、操作部2は、カテーテル4の基端が固定される操作本体21を備える。操作本体21は、内部に孔22が貫通している。孔22は、ルーメン5と同じ径又はそれ以上の径を有する。孔22には、送液ポート23が連結されている。送液ポート23は、操作本体21の側方に突設されており、その端部には口金23Aが形成されている。口金23Aには、造影剤を貯留させたシリンジ(不図示)を接続できる。
【0021】
操作本体21の孔22には、ワイヤ6が通されている。送液ポート23よりも基端側の孔22の端部22Aは、拡径されている。ここには、シール部材25を挿入してからツマミ26が螺入されている。シール部材25には、Oリングなどのリング状の弾性部材が使用される。シール部材25は、ツマミ26の回転によって圧縮変形されて内径が0からルーメン径以上の間で変形させることができる。ツマミ26は、術者が掴み易いようにフランジ状に拡径すると共に、貫通孔27が操作本体21の孔22と同軸上に配されている。
この孔27にもワイヤ6が通される。ワイヤ6がシール部材25に通された状態でツマミ26を回すと、シール部材25が潰れてワイヤ6の位置が固定される。このとき、シール部材25はワイヤ6との間に液密のシールを形成し、送液ポート23から供給された液体が手元側に漏れなくなる。なお、ワイヤ6には、マーキング28が施されている。マーキング28をツマミ26の基端面26Aに合わせると、先端側でチップ本体12の最大径部のすぐ手元側の斜面12Aがカテーテル4の先端面4Aでルーメン5の先端開口5Aにほぼつきあたった位置にくる。
【0022】
次に、処置デバイス1を用いたERCPについて説明する。
最初に内視鏡を患者の自然開口である口から挿入し、十二指腸に導入する。内視鏡は側方に観察視野を有する側視タイプを用いると良い。
【0023】
内視鏡に取り付けた観察デバイスで体内の画像を取得し、処置のターゲットになる乳頭の付近に内視鏡先端部を導入する。内視鏡の手元側の鉗子栓から作業用チャンネルに処置デバイス1のカテーテル4を挿入する。このとき、先端チップ10は、図1の状態、つまりカテーテル4の先端面4Aにほぼ突き当たるように突出させておく。さらに、ツマミ26を回してシール部材25の内径を縮めてワイヤ6の位置を固定しておく。
【0024】
図8に示すように、カテーテル4は、内視鏡31の先端に設けられた起上台32によって乳頭DNに向けて突出させられる。内視鏡31のアングル操作及び起上台32の操作、カテーテル4の進退操作により、カテーテル4の先端を乳頭DNに挿入する。このとき、先端チップ10は、広く、かつ曲率の大きい曲面形状を有するため、挿入に伴って加わった力が分散する。さらに、処置デバイス1の先端が全体として滑らかに丸められているため、粘膜を傷めたり、粘膜に刺さったりしない。図9に示すように、スムースに乳頭DNから胆管BDの奥にカテーテル4の先端部分及び先端チップ10が挿入される。ここで、図10に示すように、胆管BDが大きく湾曲しているときは、先端チップ10のチップ本体12の広く、かつ曲率の大きい曲面形状からなる球面で組織に当接するので、処置デバイス1から胆管BDの壁面に加えられる力は集中せずに広い領域に分散する。このため、胆管BDの壁面に与える負荷が小さい。カテーテル4をさらに押し込むと、図11に示すようにカテーテル4及びワイヤ6が変形し、胆管BDの形状に倣って湾曲しながら挿入される。
【0025】
また、図12に示すように、カテーテル4は殆ど挿入せずに、ワイヤ6だけを押し込んでも良い。この場合、ツマミ26を緩めてワイヤ6だけを押し込む。ワイヤ6の先端には、十分に大きい球状の先端チップ10を備えるため、粘膜を傷めることも、粘膜に刺さることもなくスムースに乳頭DNの奥に挿入される。また、チップ本体12のすぐ後方に位置する基部11には、細径部11a(図1参照)が設けられているので、より胆管BDの形状に倣って湾曲し易くなっている。図13に示すように、ワイヤ6が乳頭DNの奥まで挿入されたらカテーテル4をワイヤ6に沿わせて奥まで挿入する。
【0026】
カテーテル4を所望する位置まで挿入したら、送液ポート23に装着したシリンジから造影剤を注入する。造影剤は、ルーメン5とワイヤ6の間を通って先端に導かれ、先端チップ10とカテーテル4の隙間から胆管BD内に注入される。X線装置を使えば、胆管BDの鮮明なX線像が得られる。
【0027】
次に、ワイヤ6をカテーテル4のルーメン5に引き込む。なお、カテーテル4とワイヤ6を一緒に挿入したときは、ツマミ26を緩めてからワイヤ6のみを引っ張る。先端チップ10が変形して径がルーメン径以下になってルーメン5内に引き込まれる。さらにワイヤ6を引くと、先端チップ10が引き伸ばされて径、投影面積、断面積が小さくなった状態のままカテーテル4を通って操作部2の手元開口から引き抜かれる。ワイヤ6を引き抜けば、目的に応じて別のガイドワイヤを挿入できる。または、ワイヤ6を胆管BDに残したまま、カテーテル4だけ引き抜いて、別の処置具をワイヤ6に沿って挿入する。別の処置具などを用いて必要な処置が終了したら、ワイヤ6を胆管BDから引き抜く。
【0028】
この実施態様では、先端チップ10で挿入部3の先端部分を滑らかに丸めたので、粘膜を傷めることも、粘膜に刺さることもなくスムースに乳頭DNの奥に挿入することができる。
なお、従来では、カテーテルの先端部分を丸めても、ガイドワイヤ挿入用のルーメンの先端開口のエッジが残るので、先端の形状は完全に滑らかな球面にすることはできなかった。さらに、従来は、先端の細いカテーテルを使用する場合、先端も細くなって鋭利になる。このことと前記したルーメンによるエッジの存在によって、慎重な操作と判断が必要だった。また、カテーテル先端から屈曲し易い柔軟な先端を持つガイドワイヤを2〜3mm突出させて胆管を探る方法も、屈曲し易いといっても従来のガイドワイヤの先端はカテーテルのルーメン径より細いので大きな力をかけると一点に圧力が集中してしまい、粘膜を傷めたり、粘膜下に進入してしまったりすることがあるので慎重な操作が必要であった。
この実施態様では、先端チップ10によってルーメン5のエッジが直接に組織に押し付けられなくなると共に、挿入部3の先端部分が全体として広い面積を持って丸みを帯びることで、これらの課題が解決される。
【0029】
先端チップ10を弾性変形可能に構成したので、手元側でワイヤ6を引っ張れば、先端チップ10が変形してルーメン5内に引き込まれる。これによって、カテーテル4を留置したままでワイヤ6及び先端チップ10を手元まで引き抜くことが可能になり、必要に応じて別のガイドワイヤを挿入できるようになる。
【0030】
先端チップ10に潤滑処理を施したので、より粘膜に刺さり難い。さらに、曲がった管腔でも管腔のある方向へ滑り易くなる。先端チップ10とルーメン5の内壁との摩擦が減って、変形し易くなり、変形に必要な力を小さくできる。
先端チップ10に造影材料を混入すれば、X線で先端チップ10の挙動を観察しながら挿入することもできる。
なお、先端チップ10とワイヤ6は、一体で製造しても良い。
【0031】
〔第2の実施態様〕
図14に示すように、処置デバイス41は、ワイヤ6の先端に取り付けられた先端チップの形態が異なる。
【0032】
処置デバイス41は、組織に作用する圧力の集中を分散する広く、かつ曲率の大きい曲面形状を有し、挿入部3の先端部分を全体として丸める先端チップ42が設けられている。先端チップ42でカテーテル4の先端面4Aから突出させて使用されるチップ本体43は、平坦な一対の側面44を有する。側面44は、中実の球体の両側部に、平行に形成されている。図15に示すように、平坦な一対の側面44の間の幅d1は、ルーメン5の径より短い。一対の側面44を結ぶ横方向(第二の方向)と、軸方向との両方の直交する縦方向(第一の方向)のチップ本体の長さd2は、ルーメン5の径より大きく、カテーテル4の外径より小さい。図16に示すように、チップ本体43の軸方向の投影面積Sc3は、ルーメンの断面積Sl1より大きい。図17に示すように、チップ本体43において縦方向の幅が最大になる最大幅部の断面積Dc3もルーメン5の断面積Sl1より大きい。
【0033】
先端チップ42は、第1の実施態様と同様に変形可能な材料、例えば弾性材料から製造されており、外表面にコーティングがなされている。このため、図18に示すように、変形させてルーメン5内に収容できる。図19に示すように、軸方向の投影面積Sc4は、ルーメン5の断面積Sl1に略等しくなる。図20に示す最大幅部の断面積Dc4もルーメン5の断面積Sl1に略等しくなる。
【0034】
この処置デバイス41を用いてERCPを行うときの手順は、第1の実施態様と同じである。先端チップ42で先端部分が全体として丸められた挿入部3が粘膜を傷めることも、粘膜に刺さることもなくスムースに乳頭DNに挿入される。ワイヤ6を引き抜くときは、ワイヤ6を引いてチップ本体43を弾性変形させてルーメン5内に引き込み、ルーメン5を通って手元側に引き出す。
【0035】
この実施態様では、先端チップ42を組織に作用する圧力の集中を分散する広く、かつ曲率の大きい曲面形状とし、チップ本体43の縦方向の幅d2をルーメン径より大きくすることで粘膜へのダメージや刺さり易さを低減させた。これによって、第1の実施態様と同様の効果が得られる。さらに、チップ本体43の横方向の幅d1をルーメン径より小さくしてチップ本体43をルーメン5内に引き込むときの変形量を少なくした。引き込みに要する力量を低減でき、使い勝手が向上する。さらに、チップ本体43の変形に伴う弾性材料への負担を減らすことで耐久性が向上する。
【0036】
〔第3の実施態様〕
図21に示すように、処置デバイス51は、ワイヤ6の先端に取り付けられた先端チップの形態が異なる。
先端チップ52は、カテーテル4の先端面4Aから突出させて使用されるチップ本体53を備える。チップ本体53は、挿入部3の先端部分を全体として丸め、組織に作用する圧力の集中を分散する広く、かつ曲率の大きい曲面形状を有する変形可能な部材、例えば弾性部材からなり、平坦な一対の側面54を有する。側面54は、球体の両側部に、平行に形成されており、これら側面54を通ってチップ本体53を貫通するスリット55が設けられている。
【0037】
図21及び図22に示すように、スリット55は、その一部が基部11まで延びており、基端部11bを形成する。図23に示すようにスリット55に平行な横方向のチップ本体53の幅d3は、ルーメン5の径より小さい。横方向と軸方向のそれぞれに直交する縦方向のチップ本体53の幅d4は、ルーメン5の径より大きく、カテーテル4の外径より小さい。ルーメン5の外に配したときの先端チップ52の軸方向の投影面積Sc5は、ルーメン5の断面積SlIより大きい。図24に示すように、縦の幅d4が最大となる部分の断面積Dc51、Dc52の合計面積は、ルーメン5の断面積Sl1より小さい。また、チップ本体53の先端の曲面形状をより広くするために、断面積Dc51,Dc52のそれぞれの形状は横方向の幅d3が縦方向のそれぞれの幅d41、d42より大きく、かつ略半円形状になっている。
【0038】
図25及び図26に示すように、ルーメン5内に引き込んだ状態で、先端チップ52の投影面積Sc6はルーメン5の断面積Sl1以下である。図27は、図24に相当する位置の断面図、つまり最大幅部に相当する位置を示している。スリット55の幅が狭くなって中実部分が互いに近接する。その断面積Dc61、Dc62の合計は、ルーメン5の断面積Sl1以下になる。
また、基部11において、チップ本体53のすぐ後方に位置する基端部11bの断面積が基部11の中では最も小さくなっている。
【0039】
なお、先端チップ52を構成する変形可能な材料、例えば弾性材料は、スリット55によってチップ本体53が変形し易いため、ゴムに比べて弾性の低いポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)等の材料でも良い。第1の実施態様と同じ材料でも良い。また、スリットは、スリット55に加えて縦方向にも形成して十字にクロスする2方向に設けたり、それ以上の多数の方向に設けたりしても良い。
【0040】
この処置デバイス51を用いてERCPを行うときの手順は、第1の実施態様と同じである。ワイヤ6を引き抜くときは、チップ本体53を弾性変形させる。最初にカテーテル4の先端面4Aに突き当たる部分が、スリット55の幅を減少させるように変形して外形を小さくさせ、これをきっかけにしてチップ本体53がルーメン5内に引き込まれる。
【0041】
この実施態様では、第1の実施態様と同様の効果が得られる。さらに、スリット55によってチップ本体53の先端側がヒンジで動く構造と同様の効果が得られるので、径方向の大きさを変化させ易い。チップ本体53を引き込むときの力量を低減でき、使い勝手が良くなる。また、チップ本体53の変形に伴う弾性材料への負担を減らすことで耐久性が向上する。
【0042】
また、基部11において、チップ本体53のすぐ後方に位置する基端部11bの断面積が基部11の中で最も小さいので、チップ本体53は基端部11bを支点にして屈曲し易い。このため、より胆管BDの形状に倣って屈曲し易い。
なお、第1の実施態様のチップ本体12にスリットを設けても良い。この場合のスリットの位置や大きさは、チップ本体53におけるスリット55と同じとする。
【0043】
〔第4の実施態様〕
図28に示すように、処置デバイス61は、ワイヤ6の先端に取り付けられた先端チップの形態が異なる。
【0044】
図28及び図29に示すように、先端チップ62は、先端チップ62を組織に作用する圧力の集中を分散する広く、かつ曲率の大きい曲面形状を有するチップ本体64が弾性部材から製造されている。チップ本体64は、ワイヤ6に取り付けられる基端部63に至るまで空隙65が形成された中空形になっている。このため、図30に示すように軸方向の投影面積Sc7はルーメン5の断面積Sl1より大きいが、図31に示すようにチップ本体64の最大径部の断面積Dc7はルーメン5の断面積Sl1より小さい。その他の形状や材質は第1の実施態様又は第3の実施態様と同様である。
【0045】
図32に示すように、ルーメン5内に引き込むときは、先端チップ62内の空隙65を細長に変形させるようにチップ本体64が潰れる。図33及び図34に示すように、軸方向の投影面積Sc8及び最大径部の断面積Dc8は、ルーメン5の断面積Sl1以下になる。
【0046】
この実施態様では、先端チップ62内に空隙65を形成することで容易に変形させられるようになったので、少ない力でルーメン5内に引き込める。先端チップ62への負荷が減って、耐久性を向上できる。その他の効果は第1の実施態様と同様である。
なお、第2の実施態様の先端チップ42を中空形にしても良い。
【0047】
〔第5の実施態様〕
図35に示すように、処置デバイス71は、挿入部3にマルチルーメンタイプのカテーテル72を備える。
【0048】
カテーテル72は、ワイヤ6を通す第1のルーメンであるガイドワイヤルーメン5と、第2のルーメンである送液ルーメン73が平行に設けられている。送液ルーメン73の先端開口は、カテーテル72の先端面72Aに近く、テーパ状に傾斜した部分に形成されている。送液ルーメン73の基端は、操作本体21内に形成された連通孔75を通じて送液ポート23に連通されている。なお、送液ポート23とガイドワイヤルーメン5は連通していない。
【0049】
この処置デバイス71を乳頭DNから胆管BDに挿入する手順は、前記と同様である。造影するときは、シリンジから送液ポート23、連通孔75を通して送液ルーメン73に造影剤を送り、送液ルーメン73の先端開口から胆管BD内に供給する。
【0050】
この実施態様では、カテーテル72をマルチルーメンとしたので先端チップ10がガイドワイヤルーメン5の先端開口を塞いでいても造影剤をカテーテル72の先端から噴出させることができる。先端チップ10を備えることによる効果は、第1の実施態様と同じである。なお、先端チップは、第2から第4の実施態様のいずれかに記載したものを用いても良い。
【0051】
〔第6の実施態様〕
図36に示すように、処置デバイスは、乳頭DNの切開が可能なパピロトーム81である。
【0052】
パピロトーム81は、術者が操作する操作部2から可撓性を有する長尺の挿入部3が延びている。挿入部3は、マルチルーメンタイプのカテーテル84を有し、カテーテル84の先端側の側部に切開に使用する導電ワイヤ86が引き出されている。
【0053】
図37に示すように、このカテーテル84には、3つのルーメン91、92、93が長手方向に略平行に形成されている。
第1ルーメンであるガイドワイヤルーメン91は、最も大径でカテーテル84の先端面84Bに開口している。このルーメン91は、ワイヤ6が進退自在に通されている。ワイヤ6には先端チップ52が取り付けられている。先端チップ52の材質及び形状、寸法と、ガイドワイヤルーメン91の寸法は、それぞれ第3の実施態様における先端チップ52及びルーメン5と同じである。なお、ガイドワイヤルーメン91には、ワイヤ6の代わりに他のガイドワイヤを通すこともできる。
【0054】
第2ルーメンであるナイフルーメン92は、最も細径で先端が封止されている。ナイフルーメン92の先端側には、カテーテル84の側部に開口する2つの孔94、95が長手方向に前後して形成されている。ナイフルーメン92には、導電ワイヤ86が通される。導電ワイヤ86は、カテーテル84の先端面84Aの側部に形成された孔94からカテーテル84の外側に引き出され、先端側に設けられた孔95から再びナイフルーメン92内に引き戻されている。カテーテル84の外周に引き出されて露出した部分が処置に使用されるナイフ部分(以下、切開ナイフ部86Aという)になる。導電ワイヤ86の先端は、ナイフルーメン92に埋め込まれたチップ96を介してカテーテル84に固定されている。なお、カテーテル84の先端部84Aにプリカーブを付けるときは、2つの孔94,95の直線距離が短くなる方向に先端部84Aに曲がり癖を付ける。
第3ルーメンである送液ルーメン93は、先端が開口し、2番目の太い径を有する。送液ルーメン93は、造影剤などの送液に使用される。
【0055】
図36に示す操作部2は、カテーテル84内のガイドワイヤルーメン91にチューブ102を連通させる第1分岐部100を備える。チューブ102は、可撓性を有し、その端部に挿入部103が設けられている。挿入部103は、ワイヤ6を挿入することができる開口を有する。その側部には、リング104が形成されている。リング104は、先端側が開放された略C字形を有する。このリング104を内視鏡に嵌めると、操作部2を内視鏡に対して固定することができる。また、挿入部103の側部で、リング104の延設方向の略反対側には、接続部105が一体に延設されている。接続部105の先端には、凹部105Aが形成されている。
【0056】
また、操作部2は、カテーテル84の基端部であって、第1分岐部100を越えて延びる端部84Cに固定される操作部本体106を有する。操作部本体106は、先端に係止部107が設けられている。係止部107は、前記した接続部105の凹部105Aに着脱自在になっている。操作部本体106は、係止部107から第2分岐部108を経て第1操作ユニット109と第2操作ユニット110とに分岐している。第1操作ユニット109は、カテーテル84と略同軸に配置されている。送液ルーメン93に連通させられており、端部にシリンジが着脱自在に取り付けられる。第2操作ユニット110は、第1操作ユニット109に対して傾斜して配置され、スライダ112が進退操作自在に取り付けられている。スライダ112には、外部の高周波電源に接続可能な端子113が取り付けられており、スライダ112に固定される導電ワイヤ86と電気的に接続されている。
【0057】
次に、このパピロトーム81を使用した手技について説明する。
内視続に取り付けた観察デバイスで体内の画像を取得し、処置のターゲットになる乳頭の付近に内視鏡先端部を導入する。内視鏡の鉗子栓から作業用チャンネルにパピロトーム81を挿入し、カテーテル84の先端部84Aを内視鏡から突出させる。
【0058】
図38に示すように、パピロトーム81は、内視鏡131の先端に設けられた起上台132によって側方向に突出させられ、カテーテル84の先端部84Aのプリカーブによって先端が乳頭DN及び胆管BD内に挿入される。先端チップ52によって粘膜に刺入したりすることなくスムースに挿入される。第1操作ユニット109に装着したシリンジから送液ルーメン93に造影剤を注入する。造影剤は、送液ルーメン93内を通り、胆管BD内に注入される。
【0059】
第2操作ユニット110の基端のリング110Aとスライダ112に指をかけてスライダ112を後退させて導電ワイヤ86を引っ張る。導電ワイヤ86の先端がカテーテル84の先端部84Aに固定されているので、カテーテル84の先端部84Aが湾曲させられる。必要に応じて、ワイヤ6だけをさらに胆管BDの奥に押し込んでカテーテル84を安定させてから先端部84Aを湾曲させる。導電ワイヤ86でカテーテル84外に露出している切開ナイフ部86Aが弓状に張られるので、高周波電源から第2操作ユニット110のスライダ112の端子113を通して導電ワイヤ86に高周波電流を流しながら、起上台132を操作してカテーテル84を首振り動作させる。切開ナイフ部86Aが接触する乳頭DNの組織に高周波電流と、切開ナイフ部86Aの張力による圧力が加わって、図39に示すように乳頭DNが切開される。必要な切開量に達したら、高周波電流の通電を停止させる。なお、図39は、内視鏡131の先端に設けられた観察デバイスで取得した内視鏡画像を示している。
【0060】
乳頭DNの切開が完了したら、第2操作ユニット110のスライダ112を戻す。切開した乳頭DNからカテーテルを胆管BD内に進入させる。
ここで処置を終了するときは、パピロトーム81を胆管BDから引き抜き、内視鏡131を体外に技去する。別の処置具を使って処置を継続して行うときは、カテーテル84を胆管BDの奥に進入させてからワイヤ6を引っ張って、ガイドワイヤルーメン91から引き抜く。先端チップ52は、弾性変形しながらガイドワイヤルーメン91内に引き込まれ、挿入部103から引き出される。挿入部103から代わりのガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤを胆管BD内に導入する。ガイドワイヤを残してパピロトーム81を体外に引き抜く。代わりに別の処置具をガイドワイヤを伝って胆管に導き、必要な処置を行う。もしくは、ワイヤ6を残してパピロトーム81を引き抜き、ワイヤ6を伝って別の処置具を挿入して処置を行う。処置が終了したら、その処置具、ガイドワイヤ、内視鏡を抜去する。
【0061】
この実施態様では、乳頭の切開と造影とを1つの処置デバイスで実施できるので、デバイス交換の手間を省略できる。パピロトーム81は手元のハンドル操作でカテーテル84の先端の向きを変えることができるので挿入性がさらに良くなる。先端チップ52による効果は、前記の実施態様と同じである。なお、先端チップは、第1、第2、又は第4の実施態様のいずれかに記載したものを用いても良い。
【0062】
〔第7の実施態様〕
図40に示すように、処置デバイス111は、挿入部3にマルチルーメンタイプのカテーテル72を備える。
カテーテル72は、ワイヤ6を通す第1のルーメンであるガイドワイヤルーメン5と、第2のルーメンである送液ルーメン73が平行に設けられている。ガイドワイヤルーメン5の先端は、カテーテル72の先端面72Aに開口している。送液ルーメン73の先端開口73Aは、カテーテル72の先端面72Aには開口せずに、ガイドワイヤルーメン5の先端開口より基端側で、先端面72Aの近傍に開口しており、ガイドワイヤルーメン5を介して外部と連通している。
【0063】
ワイヤ6の先端には、スリット55が形成された先端チップ52が設けられている。
この処置デバイス111を乳頭DNから胆管BDに挿入する手順は、前記の実施態様と同じである。胆管BDを造影するときは、送液ポート23に装着したシリンジから造影剤を注入する。造影剤は、連通孔75から送液ルーメン73に供給される。さらに、造影剤は、送液ルーメン73の先端開口73Aからガイドワイヤルーメン5に導かれる。先端開口73Aは、カテーテル72の先端面72Aの近傍に設けられているので、造影剤はガイドワイヤルーメン5とワイヤ6及び先端チップ52の隙間を通って胆管BDに注入される。先端チップ52がガイドワイヤルーメン5の先端開口に近接又は密着しているときでも、先端チップ52に基端部11bまで延びるように設けられたスリット55を通して造影剤が胆管BDに注入される。
【0064】
この実施態様では、送液ルーメン73の先端開口73Aがカテーテル72の先端面72Aにないので、マルチルーメンタイプのカテーテル72であってもカテーテル72の先端のテーパ部分をより滑らかにできる。先端チップ52のスリット55を利用すれば、造影剤を確実にカテーテル72の先端から噴出させることができる。
【0065】
なお、先端チップ52は、送液と弾性変形が可能な形状であれば良いので、スリットは外周に形成しても良い。また、前記したパピロトーム81において、送液ルーメン93の先端開口をガイドワイヤルーメン91の先端部に接続させても良い。
【0066】
以上、本発明の望ましい実施態様を説明したが、本発明は上記の実施態様に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の付加、省略、置換、及びその他の交換が可能である。本発明は、上記の説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0067】
1、41、51、61、71、81、111 処置デバイス
4、72、84 カテーテル
5 ルーメン(ガイドワイヤルーメン)
6 ワイヤ
10、42、52、62 先端チップ
12、43、53、64 チップ本体
55 スリット
73、93 送液ルーメン
91 ガイドワイヤルーメン
92 ナイフルーメン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に開口するルーメンが形成されたカテーテルと、
前記ルーメンに抜き差し可能に通されたワイヤと、
球状に形成されて前記ワイヤの先端に設けられ、前記カテーテルの先端から突出させたときの最大幅が前記ルーメンの径より大きいチップ本体を有する先端チップと、
を備え、
前記チップ本体にはスリットが形成され、
前記チップ本体は、組織に作用する圧力の集中を分散する広い曲面形状を有する変形可能な材料から製造され、
前記ワイヤを前記カテーテルに対して引いたときに前記ルーメンによって軸方向に引き伸ばされることで外径が減少して前記ルーメン内に引き込まれるように構成され、
前記スリットは、前記ルーメンの開口に前記先端チップが当接したときに前記ルーメンと外部とにそれぞれ連通するように形成されている処置デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の処置デバイスであって、
前記チップ本体を形成する変形可能な材料は、前記カテーテルの材質より変形し易い。
【請求項3】
請求項1に記載の処置デバイスであって、
前記チップ本体においてスリットが形成された部分の軸線に直交する断面積が前記ルーメンの断面積より小さい。
【請求項4】
請求項1に記載の処置デバイスであって、前記チップ本体は中空形状を有する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−10015(P2013−10015A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227817(P2012−227817)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−210902(P2008−210902)の分割
【原出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】