説明

凹凸部を有する板材並びにこれを用いた車両パネル及び積層構造体

【課題】従来よりも剛性向上効果の高い凹凸部のパターンを有する板材、およびこれを用いた積層構造体並びに車両パネルを提供すること。
【解決手段】第2領域A2は第1領域A1と直交する方向に向けて配置されている。各第1領域A1の長手方向両端部は隣り合う第2領域A2の長手方向の中央部に対向し、各第2領域A2の長手方向両端部は隣り合う第1領域A1の長手方向の中央部に対向し、第1領域A1と第2領域A2とに囲まれる領域に中間領域A3が配置されている。第1領域A1の長辺部211と、これに隣り合う第2領域A2及び中間領域A3とは第1スカート部31により連結され、第2領域A2の外形輪郭部の長辺部221と、これに隣り合う第1領域A1及び中間領域A3とは、第2スカート部32により連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸部を形成することによって剛性を高めた板材、並びにこれを用いて構成した車両パネル及び積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車においては、軽量化を目的として、鋼板等によって構成されている部品の材料を、アルミニウム合金板等の軽い材料に置き換えることが検討、実施されている。この場合、軽量化の前提として、要求される剛性を確保することが必要である。
これまで、板材の剛性を板厚を厚くすることなく向上させるために、板材に凹凸模様を設けて形状的に剛性を向上させることが検討されてきた。
例えば、自動車の部品の1つに、ヒートインシュレータという板材よりなる部品がある。特許文献1には、その材料として、板厚を厚くすることなく十分な剛性を確保するために、エンボス成形による多数の凸部を形成したものが提案されている。また、ヒートインシュレータに限らず、様々な用途においてエンボス成形等によって凹凸部を形成することによって剛性を向上させた板材が提案されている(特許文献2〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−136720号公報
【特許文献2】特開2000−257441号公報
【特許文献3】特開平9−254955号公報
【特許文献4】特開2000−288643号公報
【特許文献5】特開2002−307117号公報
【特許文献6】特開2002−321018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように、多数の凹凸部を形成した板材は、凹凸部のないものよりも剛性が高くなることは事実である。しかしながら、板厚を厚くすることなく剛性を向上するのに最適な凹凸形状がいかなるものであるかについては、未だ解明できているとは言えない。そして、剛性向上割合をこれまで以上に高くすることは、常に要求されている。
また、自動車に限らず、様々な機械装置等において、板材からなる部品を少しでも軽量化する要求が存在する。軽量化の必要性以外にも、材料費削減の効果も期待されている。また、板材(板状形状を有する材料)であれば、材質を問わず剛性向上要求は存在する。
【0005】
また、剛性向上効果の高い凹凸を有する板材を用いて、これを含む積層構造体とすることや、剛性向上効果の高い凹凸を有する板材をインナーパネルとして用いてアウターパネルと組み合わせて車両パネルとし、これらを従来以上の高剛性なものとすることも求められている。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、凹凸部を設けることによって剛性を向上させた板材であって、従来よりも剛性向上効果の高い凹凸部のパターンを有する板材、およびこれを用いた積層構造体並びに車両パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、凹凸部を形成することによって剛性を高めた板材であって、
上記凹凸部は、間隔を空けて順次平行に配された仮想の3つの平面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、上記中間基準面から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面から上記第2基準面に向かって突出する第2領域と、上記中間基準面上に配された中間領域とによって構成されており、
上記中間基準面は、一対の第1短辺部及び一対の第1長辺部よりなる長方形状の第1輪郭部と、上記第1短辺部及び上記第1長辺部とそれぞれ直交する方向に配された一対の第2短辺部及び一対の第2長辺部よりなる長方形状の第2輪郭部とによって区画され、
上記各第1輪郭部における上記第1短辺部は隣接する上記第2輪郭部における上記第2長辺部の中央部分に接していると共に、上記各第2輪郭部における上記第2短辺部は隣接する上記第1輪郭部における上記第1長辺部の中央部分に接しており、上記第1輪郭部と上記第2輪郭部とが、いずれの長手方向においても交互に存在するよう配列されており、
上記基準面の鉛直方向から見て上記第1輪郭部内には上記第1基準面上に配された長方形状の第1頂面輪郭部に囲まれた第1頂面部が存在し、
上記第1領域は、上記第1頂面部と、上記第1頂面輪郭部と上記第1輪郭部との間を繋ぐ上記基準面の鉛直方向に向いた又は上記基準面に対して傾斜した第1スカート部とにより構成されており、
上記基準面の鉛直方向から見て上記第2輪郭部内には上記第2基準面上に配された長方形状の第2頂面輪郭部に囲まれた第2頂面部が存在し、
上記第2領域は、上記第2頂面部と、上記第2頂面輪郭部と上記第2輪郭部との間を繋ぐ上記基準面の鉛直方向に向いた又は上記基準面に対して傾斜した第2スカート部とにより構成されており、
上記中間領域は、上記中間基準面上における上記第1輪郭部と上記第2輪郭部との間の四角形状領域に設けられており、
上記第1頂面部と上記第2頂面部との間、上記第1頂面部と上記中間領域との間、及び上記第2頂面部と上記中間領域との間には、上記第1スカート部と上記第2スカート部の少なくとも一方が必ず介在していることを特徴とする凹凸部を有する板材にある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、複数の板材を積層してなる積層構造体であって、上記板材の少なくとも一枚は上記第1の発明の凹凸部を有する板材であることを特徴とする積層構造体にある(請求項4)。
【0009】
第3の発明は、アウターパネルと、該アウターパネルの裏面に接合されたインナーパネルとを有する車両パネルであって、上記インナーパネルが上記第1の発明の凹凸部を有する板材よりなることを特徴とする車両パネルにある(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
本発明における上記凹凸部を有する板材は、上記特殊な形状の凹凸部を有している。上記凹凸部は、上記のごとく、上記第1領域、第2領域、及び中間領域を有している。また、上記第1領域における上記第1頂面部と、上記第2領域における上記第2頂面部とは、上記中間基準面上の中間領域から離隔した第1及び第2基準面上の平面によって構成するか、あるいは単なる平面ではなく第1及び第2基準面からそれぞれ中間基準面から離れる方向に突出した部位(たとえばドーム形状)によって構成することができる。そして、上記第1領域の第1頂面部、第2領域の第2頂面部及び中間領域のそれぞれの間は、上記基準面に直交するあるいは基準面から傾斜した上記第1スカート部又は第2スカート部によって連結される。
【0011】
このような構造を有しているので、本発明の上記板材は曲げ剛性に優れた高剛性の材料となる。
剛性が向上する理由は、次のように考えられる。即ち、1つの領域に伝わった応力は、面方向に伝わる場合に、必ずその外周部分において他の異なる領域との境界部である第1スカート部と第2スカート部の少なくとも1つを通らざるを得ない。ここで、異なる領域同士の境界部分に存在する第1スカート部及び第2スカート部は、形状的に板材の厚み方向に向いて配置されているため、剛性向上効果を高める要因となっている。そのため、全体としての剛性向上効果を高めることができると考えられる。
【0012】
さらに、各領域の外形輪郭形状を上記のごとく長方形と四角形の組み合わせとすることによって、規則正しい分散配列を容易に実現することができ、かつ、表裏いずれから見ても実質的に同等の配置となり裏表による特性の差異の少ない板材を得ることができる。
【0013】
このように、本発明によれば、従来よりも剛性向上効果の高い凹凸部のパターンを有し、かつ、その剛性向上効果に表裏での差異が少ない板材を得ることができる。
【0014】
第2の発明においては、このような優れた剛性を有する凹凸部を有する板材を積層構造の一部に有するので、非常に剛性が高い積層構造体を得ることができる。
【0015】
第3の発明においては、上記のごとく剛性の高い凹凸部を有する板材をインナーパネルとして用いることによって、従来よりも剛性が高い車両パネルを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、凹凸部の部分平面図。
【図2】実施例1における、凹凸部の部分斜視図。
【図3】実施例1における、図1のA視側面図。
【図4】実施例1における、図1のB−B線矢視断面図。
【図5】実施例2における、凹凸部の部分平面図。
【図6】実施例2における、凹凸部の部分斜視図。
【図7】実施例2における、図5のA視側面図。
【図8】実施例2における、図5のB−B線矢視断面図。
【図9】実施例3における、凹凸部の部分平面図。
【図10】実施例3における、凹凸部の部分斜視図。
【図11】実施例3における、図9のA視側面図。
【図12】実施例3における、図9のB−B線矢視断面図。
【図13】実施例4における、凹凸部の部分平面図。
【図14】実施例4における、凹凸部の部分斜視図。
【図15】実施例4における、図13のA視側面図。
【図16】実施例4における、図13のB−B線矢視断面図。
【図17】実施例5における、凹凸部の部分平面図。
【図18】実施例5における、凹凸部の部分斜視図。
【図19】実施例5における、図17のA視側面図。
【図20】実施例5における、図17のB−B線矢視断面図。
【図21】実施例6における、凹凸部の部分平面図。
【図22】実施例6における、凹凸部の部分斜視図。
【図23】実施例6における、図21のA視側面図。
【図24】実施例6における、図21のB−B線矢視断面図。
【図25】実施例7における、積層構造体の展開説明図。
【図26】実施例8における、車両パネルの展開説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、長方形、正方形、四角形等の表現は、いずれも幾何学上の狭義の概念に止まらず、一般的に上記の形状と認識できる形状を含むものであり、各辺が若干曲線になったり、角部や面に成形上必要な丸み等が生じること、いわゆるフィレットRといわれる曲面を設けることも当然に許容される。
【0018】
また、本発明において、上記第1スカート部が上記基準面の鉛直方向に向いている場合には、基準面の鉛直方向から見て上記第1輪郭部と上記第1頂面輪郭部とが一致することとなる。また、基準面の鉛直方向から見て上記第1スカート部が上記基準面に対して傾斜している場合には、上記第1輪郭部の内側に上記第1頂面輪郭部が位置することとなる。
同様に、上記第2スカート部が上記基準面の鉛直方向に向いている場合には、基準面の鉛直方向から見て上記第2輪郭部と上記第2頂面輪郭部とが一致することとなる。また、基準面の鉛直方向から見て上記第2スカート部が上記基準面に対して傾斜している場合には、上記第2輪郭部の内側に上記第2頂面輪郭部が位置することとなる。
【0019】
また、材質はアルミニウム合金であることが好ましい(請求項2)。アルミニウム合金(本発明においては、アルミニウム合金は純アルミニウムを含むものとする。)は、鉄鋼材料等の金属材料と比べて軽量であり、かつ、加工性にも優れるため、好適である。具体的な材質としては、たとえば、JISやAAの1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系、8000系のアルミニウム又はアルミニウム合金があり、用途に合わせて様々なものを適用できる。
【0020】
なお、上記板材は、上記凹凸部を有する限り、アルミニウム合金以外の材料においても有効であり、たとえば、樹脂板などとすることもできる。樹脂材料等であれば射出成形あるいはホットプレス等によって凹凸部を形成することができる。樹脂材料等においては、アルミニウム合金等の金属材料の場合よりも成形上の寸法制約を受けにくく、設計の自由度もより広くなる。
【0021】
また、上記第1輪郭部及び上記第2輪郭部の外形輪郭形状および大きさは各部の厚み方向中心において同じであり、上記第1長辺部及び第2長辺部の長さL1(mm)と、上記第1短辺部及び上記第2短辺部の長さL2(mm)と、上記第1基準面と上記中間基準面の間隔S1(mm)と、上記中間基準面と上記第2基準面の間隔S2(mm)と、凹凸部形成前の板厚t(mm)とは、
0.05mm≦t≦3mm、
5mm≦L1≦250mm、
2.5mm≦L2≦200mm、
1.25≦L1/L2≦4、
(L1−L2)/2≧3t、
1≦S1/t≦28、
1≦S2/t≦28、
0.1mm≦S1≦25mm、
0.1mm≦S2≦25mm、
0.02≦S1/L1≦0.1、
0.02≦S2/L1≦0.1、
の関係を有し、
上記第1スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあり、上記第2スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあることが好ましい(請求項3)。
【0022】
以下、各寸法関係についてさらに説明する。
[0.05mm≦t≦3mm]
アルミニウム合金を適用した場合には、上記のごとく、凹凸部形成前の板厚tが0.05mm〜3mmであることが好ましい。上記板厚tを上記範囲内とすることによって、加工性を確保した上で優れた剛性を得ることができる。凹凸部形成前の板厚tによって規定する理由は、上記凹凸部をプレス加工やロール成形等の塑性加工によって加工することによって各部の板厚が変化する場合があるためである。
【0023】
[5mm≦L1≦250mm]
上記L1が5mm未満の場合には、上記凹凸部を成形することが困難となるおそれがあり、一方、250mmを超える場合には、凹凸形状のピッチが大きくなりすぎ、用途があまりないという問題がある。
【0024】
[2.5mm≦L2≦200mm]
上記L2が2.5mm未満の場合には、上記凹凸部を成形することが困難となるおそれがあり、一方、200mmを超える場合には、凹凸形状のピッチが大きくなりすぎ、用途があまりないという問題がある。
【0025】
[1.25≦L1/L2≦4]
上記L1/L2が1.25未満の場合には、凹凸部の成形が難しくなるおそれがあり、一方、4を超える場合には剛性向上効果が小さくなるおそれがある。
【0026】
[(L1−L2)/2≧3t]
上記(L1−L2)/2が3t未満の場合には、凹凸部の成形が難しくなるおそれがある。
【0027】
[1≦S1/t≦28]
上記S1/tが1未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、28を超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
[1≦S2/t≦28]
上記S2/tが1未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、28を超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
【0028】
[0.1mm≦S1≦25mm]
上記S1が0.1mm未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、25mmを超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
[0.1mm≦S2≦25mm]
上記S2が0.1mm未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、25mmを超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
【0029】
[0.02≦S1/L1≦0.1]
上記S1/L1が0.02未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、0.1を超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
[0.02≦S2/L1≦0.1]
上記S2/L1が0.02未満の場合には、剛性向上効果が小さくなるおそれがあり、一方、0.1を超える場合には凹凸部の成形が困難となるおそれがある。
【0030】
また、上記第1スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあり、上記第2スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあることが好ましい。
【0031】
まず、上記第1スカート部の傾斜角度は15°〜90°の範囲にあることが好ましい。上記第1スカート部の傾斜角度が15°未満の場合には第1領域及び第2領域の面積が小さくなるので剛性が低下するおそれがあり、一方、90°を超えることは凹凸部形成上困難であり、必要のない領域である。同様に、上記第2スカート部の傾斜角度は15°〜90°の範囲にあることが好ましい。上記第2スカート部の傾斜角度が15°未満の場合には第1領域及び第2領域の面積が小さくなるので剛性が低下するおそれがあり、一方、90°を超えることは凹凸部形成上困難であり、必要のない領域である。
また、上記板材の材質がアルミニウム合金の場合には、上述した第1スカート部及び第2スカート部の傾斜角度の上限値は、成形性の問題から、いずれも70°以下がより好ましく、したがって、より好ましい範囲としては15°〜70°である。
なお、上記第1スカート部及び第2スカート部は、複数の面により構成されるが、これらの面がすべて同じ傾斜角度である必要はなく、部位によって傾斜角度を変えてもよい。但し、いずれの部位によっても、上記好ましい傾斜角度の範囲内とすることが好ましい。
【0032】
また、第2の発明の積層構造体においては、上記凹凸部を有する板材を1枚のコア材としてその片面に配設された1枚の平坦な面板よりなる二層構造の積層体、または凹凸部を有する板材を1枚のコア材としてその両面に配設された1枚ずつの平坦な面板よりなる三層構造の積層体とすることができる。また、このような基本構造を繰り返した構造、つまり、複数枚の上記凹凸部を有する板材を1枚ごとに平坦な面板を介して積層してなる多層構造を有することもできる。
また、複数枚の凹凸部を有する板材を直接積層してコア材とし、その片側又は両側の表面に平坦な面板を接合してなる構造をとることもできる。
また、複数枚の凹凸部を有する板材を直接積層しただけの状態の積層構造体とすることもできる。
上記板材の積層枚数としては、用途及び要求特性に応じて変更することができる。
【0033】
また、第3の発明の車両パネルは、自動車のフードに限らず、ドアー、ルーフ、フロアー、トランクリッドなどのパネルとして使用可能である。
上記アウターパネルを構成するアルミニウム合金板としては、たとえば、比較的安価であるという理由により6000系合金板が好適である。また、上記インナーパネルを構成するアルミニウム合金板としては、たとえば、比較的成形性がよいという理由により5000系合金板が好適である。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる凹凸部を有する板材につき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の凹凸部を有する板材1は、同図に示すごとく、凹凸部20を形成することによって剛性を高めた板材である。
【0035】
図3、図4に示すごとく、凹凸部20は、間隔を空けて順次平行に配された仮想の3つの平面である第1基準面K1、中間基準面K3及び第2基準面K2という3つの基準面を基準とし、中間基準面K3から第1基準面K1に向かって突出する第1領域A1と、中間基準面K3から第2基準面K2に向かって突出する第2領域A2と、中間基準面K3上に配された中間領域A3とによって構成されている。
【0036】
図1、図2に示すごとく、中間基準面K3は、一対の第1短辺部211及び一対の第1長辺部212よりなる長方形状の第1輪郭部21と、第1短辺部211及び第1長辺部212とそれぞれ直交する方向に配された一対の第2短辺部221及び一対の第2長辺部222よりなる長方形状の第2輪郭部22とによって区画されている。
【0037】
各第1輪郭部21における第1短辺部211は隣接する第2輪郭部22における第2長辺部222の中央部分に接していると共に、各第2輪郭部22における第2短辺部221は隣接する第1輪郭部21における第1長辺部212の中央部分に接しており、第1輪郭部21と第2輪郭部22とが、いずれの長手方向においても交互に存在するよう配列されている。
【0038】
そして、基準面K1〜K3の鉛直方向から見て、第1輪郭部21内には第1基準面K1上に配された長方形状の第1頂面輪郭部213に囲まれた平面状の第1頂面部215が存在する。
第1領域A1は、第1頂面部215と、第1頂面輪郭部213と第1輪郭部21との間を繋ぐ第1スカート部31とにより構成されている。本例の第1スカート部31は、第1基準面K1に対する角度α1(図3)が80°であり若干傾斜している。
【0039】
同様に、基準面K1〜K3の鉛直方向から見て第2輪郭部22内には第2基準面K2上に配された長方形状の第2頂面輪郭部223に囲まれた平面状の第2頂面部225が存在する。
第2領域A2は、第2頂面部225と、第2頂面輪郭部223と第2輪郭部22との間を繋ぐ第2スカート部32とにより構成されている。本例の第2スカート部32は、第2基準面K2に対する角度β1(図示略)が80°であり若干傾斜している。
【0040】
上記第1スカート部31及び第2スカート部32の傾斜によって、図1においては、本来は第1輪郭部21の内側にずらして第1頂面輪郭部213を描き、第2輪郭部22の内側にずらして第2頂面輪郭部223を描くべきであるが、いずれも若干のずれであるので、見やすさを考慮して第1輪郭部21と第1頂面輪郭部213及び第2輪郭部21と第2頂面輪郭部223を敢えて重ねて記載してある。この点は、後述する図5及び図9においても同様である。また、図2においては、第1輪郭部21及び第2輪郭部22の位置を実線および破線により示した。破線部分は、実際の外観上稜線として表れない部分である。この点は、後述する図6、図10、図13、図14、図17、図18、図21、及び図22においても同様である。
【0041】
また、中間領域A3は、中間基準面K3上における第1輪郭部21と第2輪郭部22との間の四角形状領域に設けられている。
そして、第1頂面部215と第2頂面部225との間、第1頂面部215と中間領域A3との間、及び第2頂面部225と中間領域A3との間には、いずれも第1スカート部31と第2スカート部32の少なくとも一方が必ず介在している。
【0042】
見方を変えて、図1、図2に示すごとく、上記基準面K1〜K3の鉛直方向から見た仮想の四角形格子を想定すると、各領域の配置は次のように表現することができる。上記四角形格子としては、等間隔を空けて整列された平行な縦の線cと、等間隔を空けて整列された平行な横の線dとを有し、これらが交差する位置に格子点bが規則正しく配列されたものとする。
この場合に、上記各格子点bに対応して1つの第1領域A1又は第2領域A2が配置され、かつ、両者は格子線c及び格子線dに沿って交互に存在している。また、全ての第1領域A1はその長手方向を同じ方向に向けていると共に、全ての第2領域A2はその長手方向を第1領域A1と90°異なる方向に向けて配置されている。中間領域A3は、上記四角形格子における4つの格子点bにより囲まれた基準の四角形の重心位置aに対応して配置されている。
【0043】
また、本例の凹凸部20を有する板材1は、凹凸部形成前板厚tが0.4mmの1000系アルミニウム板よりなる。なお、図中における厚み等の寸法は、説明の都合上強調して表しており、正確なものではない。
凹凸部20は、一対の金型を用いたプレス成形により成形する。なお、この成形方法としては、表面に所望の凹凸形状をつけた一対の成形ロールによって成形するロール成形等の他の塑性加工方法を採用することも可能である。
【0044】
また、図1に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は、各部の厚み方向中心で見て実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は4mmとした。したがって、その比(L1/L2)は2.5である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は上記のごとく四角形(正方形)であり、その一辺部の長さは上記第1領域A1及び第2領域A2の大きさによって自ずと決定される。
【0045】
なお、図1は、第1領域A1が突出した方向から見た図であるが、その寸法表示は正確ではない。各領域の外形輪郭位置は、上記のごとく厚み方向中心で見るので、たとえば第1領域A1は、その突出方向から見れば大きく、その裏側から見ると小さく見える。したがって、図1上に示したL1およびL2は、同図上の第1領域A1の突出方向から見た外形線とは正確には一致しないが、対応を分かりやすくするために、敢えて一致させて示した。また、同図においては、中間領域A3が長方形に見えるが、中間領域A3の板厚中心で見れば正方形である。これらの図面の表示状態等については、後述する図面においても同様である。
【0046】
また、図3、図4に示すごとく、第1基準面K1と中間基準面K3の間隔S1は0.6mmであり、したがって、と板厚t(mm)との比(S1/t)は1.5である。また、中間基準面K3と第2基準面K2の間隔S2は0.6mmであり、したがって、板厚t(mm)との比(S2/t)は1.5である。
【0047】
本例の凹凸部20を有する板材1は、上記のような特殊な形状の凹凸部を有している。即ち、凹凸部20は、第1領域A1の第1頂面部215、第2領域A2の第2頂面部225が、所定間隔を空けて配された2つの第1、第2基準面K1、K2上の平面として設けられ、さらに、これらとは別に第1、第2基準面K1、K2の間にある中間基準面K3上に中間領域A3を有する構造となっている。さらに、第1領域A1の第1頂面部215、第2領域A2の第2頂面部225及び中間領域A3のそれぞれの間は、第1スカート部31又は第2スカート部32によって連結されている。
【0048】
このような構造を有しているので、1つの領域に伝わった応力は、面方向に伝わる場合に、必ずその外周部分において他の異なる領域との境界部である第1スカート部31又は第2スカート部32を通らざるを得ない。ここで、異なる領域同士の境界部分の第1、第2スカート部31、32が、板材の厚み方向に向いて配置されているため、剛性向上効果を高める要因となっている。そのため、全体としての剛性向上効果を高めることができる。
【0049】
また、平面的に見て第1、第2領域A1、A2を形成する長方形2種類と、中間領域A3を形成する四角形(正方形)を上記のように規則正しく組み合わせた凹凸部20を有することにより、いずれの方向の曲げ応力に対しても強い剛性を発揮し、また、長方形の長辺と短辺との寸法比を変更することによって、曲げ剛性の異方性を制御できる。
【0050】
(FEM解析)
本例の板材の剛性向上効果を定量的に判断するためのFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図2に示す大きさの凹凸部20のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは42mm×42mmであり、凹凸部20の板厚tは0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部20形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部20は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が3.8倍に向上することが分かった。
【0051】
(実施例2)
本例は、図5〜図8に示すごとく、実施例1の凹凸部の形状を変更した例である。本例の凹凸部202と実施例1の凹凸部20との相違点は、第1領域A1及び第2領域A2の幅寸法(短辺部の長さ)L2を大きくし、中間領域A3の面積を小さくした点である。
即ち、図5に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は6mmである。したがって、その比(L1/L2)は1.67である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は正方形である。
第1、第2スカート部31、32の傾斜角度α1、β1及びその他は、実施例1と同様とした。
【0052】
(FEM解析)
本例においても、実施例1と同様のFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図6に示す大きさの凹凸部202のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは48mm×48mmであり、凹凸部202の板厚tは0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部202形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部202は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が3.7倍に向上することが分かった。
【0053】
(実施例3)
本例も、図9〜図12に示すごとく、実施例1の凹凸部の形状を変更した例である。本例の凹凸部203と実施例1の凹凸部20との相違点は、実施例2の場合よりも、さらに、第1領域A1及び第2領域A2の幅寸法(短辺部の長さ)L2を大きくし、中間領域A3の面積を小さくした点である。
即ち、図9に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は8mmである。したがって、その比(L1/L2)は1.25である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は正方形である。
第1、第2スカート部31、32の傾斜角度α1、β1及びその他は、実施例1と同様とした。
【0054】
(FEM解析)
本例においても、実施例1と同様のFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図10に示す大きさの凹凸部203のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは54mm×54mmであり、凹凸部203の板厚tは0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部203形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部203は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が3.3倍に向上することが分かった。
【0055】
(実施例4)
本例は、図13〜図16に示すごとく、実施例1の凹凸部の形状を変更した例である。本例の凹凸部204と実施例1の凹凸部20とは、第1領域A1及び第2領域A2の長さ寸法(長辺部の長さ)L1及び幅寸法(短辺部の長さ)L2を実施例1と同一とし、相違点は第1スカート部31及び第2スカート部32の傾斜角度を緩くした点である。
【0056】
即ち、図13に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は4mmである。したがって、その比(L1/L2)は2.5である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は正方形である。
【0057】
また、図15に示すごとく、第1スカート部31の基準面K1〜K3に対する角度α1は25°とした。また、図示は省略するが、第2スカート部32の基準面K1〜K3に対する角度β1は25°とした。その他は、実施例1と同様とした。
【0058】
(FEM解析)
本例においても、実施例1と同様のFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図14に示す大きさの凹凸部204のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは42mm×42mmであり、凹凸部204の板厚tは0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部204形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部204は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が2.8倍に向上することが分かった。
【0059】
(実施例5)
本例は、図17〜図20に示すごとく、実施例4の凹凸部の形状を変更した例である。本例の凹凸部205と実施例4の凹凸部204との相違点は、第1領域A1及び第2領域A2の長さ寸法(長辺部の長さ)L1は同じで、幅寸法(短辺部の長さ)L2を若干大きくした点である。また、本例は、実施例2の第1及び第2スカート部の傾斜角を緩くした例でもある。
【0060】
即ち、図17に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は6mmである。したがって、その比(L1/L2)は1.67である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は正方形である。第1、第2スカート部31、32の傾斜角度α1、β1及びその他は、実施例4と同様とした。
【0061】
(FEM解析)
本例においても、実施例1と同様のFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図18に示す大きさの凹凸部205のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは48mm×48mmであり、凹凸部205の板厚tは0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部205形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部205は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が2.6倍に向上することが分かった。
【0062】
(実施例6)
本例は、図21〜図24に示すごとく、実施例4の凹凸部の形状を変更した例である。本例の凹凸部206と実施例4の凹凸部204との相違点は、第1領域A1及び第2領域A2の幅寸法(短辺部の長さ)L2を大きくした点である。また、本例は、実施例3の第1及び第2スカート部の傾斜角を緩くした例でもある。
【0063】
即ち、図21に示すごとく、第1領域A1と第2領域A2の外形輪郭形状は実質的に同じであり、その長辺部の長さL1は10mm、短辺部の長さL2は8mmである。したがって、その比(L1/L2)は1.25である。また、中間領域A3の外形輪郭形状は正方形である。第1、第2スカート部31、32の傾斜角度α1、β1及びその他は、実施例4と同様とした。
【0064】
(FEM解析)
本例においても、実施例1と同様のFEM解析を行った。
FEM解析方法は、図22に示す大きさの凹凸部206のみよりなる長方形状の試験片の一端Z1を固定して、他端Z2を自由端とする片持ち梁を想定し、自由端に10Nの荷重をかけた場合の撓み量から剛性を求める解析である。試験片のサイズは54mm×54mmであり、凹凸部206をプレス成形する前の板厚tが0.4mmである。
剛性の評価は、凹凸部206形成前の平板状の元板について同様のFEM解析を行った結果得られた撓み量との比で行い、剛性が何倍に向上したかにより行った。その結果、本例の凹凸部206は、平板状の元板の場合と比べて、剛性が2.4倍に向上することが分かった。
【0065】
(実施例7)
本例は、図25に示すごとく、実施例1の凹凸部20を有する板材1をコア材として用いて積層構造体5を構成した例である。
即ち、積層構造体5は、凹凸部20を有する1枚の板材1よりなるコア材の両側の表面に面板42、43を接合してなる。
面板42、43は、材質3000系、板厚1.0mmのアルミニウム合金板よりなる。
【0066】
本例の積層構造体5は、上述したような優れた剛性を有する凹凸部20を有する板材1をコア材として用い、その第1領域A1の第1頂面部215と第2領域A2第2頂面部225に対して面板42、43を接着、ろう付け等により接合することによって、凹凸部20を有する板材単体の場合よりも格段に剛性が高い積層構造体5が得られる。
しかも、板材1も面板42、43もアルミニウム合金板よりなるため、軽量化することができる。
なお、上記面板としては、アルミニウム合金以外の金属の板、たとえば、鋼板やチタン板等や、樹脂板等を適用することも可能である。
【0067】
(実施例8)
本例は、図26に示すごとく、実施例1〜6に記載の板材1をインナーパネルとして用い、上記第1領域A1の面をアウターパネル61の裏面側に向けて配置して構成する車両パネル6の例である。なお、インナーパネルは、その外周部においてアウターパネル61とヘム加工等により接合されている。
【0068】
本例の車両パネル6は、これを構成するインナーパネルの板材1の凹凸部20、202〜206が、上記のごとく剛性向上効果に優れているので、歩行者が衝突した際の一次衝突の衝撃及び二次衝突の衝撃を吸収する特性に優れたものとなる。
【符号の説明】
【0069】
1 凹凸部を有する板材
20、202〜206 凹凸部
21 第1輪郭部
211 第1短辺部
212 第1長辺部
213 第1頂面輪郭部
215 第1頂面部
22 第2輪郭部
221 第2短辺部
222 第2長辺部
223 第2頂面輪郭部
225 第2頂面部
31 第1スカート部
32 第2スカート部
5 積層構造体
6 車両パネル
A1 第1領域
A2 第2領域
A3 中間領域
K1 第1基準面
K2 第2基準面
K3 中間基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸部を形成することによって剛性を高めた板材であって、
上記凹凸部は、間隔を空けて順次平行に配された仮想の3つの平面である第1基準面、中間基準面及び第2基準面という3つの基準面を基準とし、上記中間基準面から上記第1基準面に向かって突出する第1領域と、上記中間基準面から上記第2基準面に向かって突出する第2領域と、上記中間基準面上に配された中間領域とによって構成されており、
上記中間基準面は、一対の第1短辺部及び一対の第1長辺部よりなる長方形状の第1輪郭部と、上記第1短辺部及び上記第1長辺部とそれぞれ直交する方向に配された一対の第2短辺部及び一対の第2長辺部よりなる長方形状の第2輪郭部とによって区画され、
上記各第1輪郭部における上記第1短辺部は隣接する上記第2輪郭部における上記第2長辺部の中央部分に接していると共に、上記各第2輪郭部における上記第2短辺部は隣接する上記第1輪郭部における上記第1長辺部の中央部分に接しており、上記第1輪郭部と上記第2輪郭部とが、いずれの長手方向においても交互に存在するよう配列されており、
上記基準面の鉛直方向から見て上記第1輪郭部内には上記第1基準面上に配された長方形状の第1頂面輪郭部に囲まれた第1頂面部が存在し、
上記第1領域は、上記第1頂面部と、上記第1頂面輪郭部と上記第1輪郭部との間を繋ぐ上記基準面の鉛直方向に向いた又は上記基準面に対して傾斜した第1スカート部とにより構成されており、
上記基準面の鉛直方向から見て上記第2輪郭部内には上記第2基準面上に配された長方形状の第2頂面輪郭部に囲まれた第2頂面部が存在し、
上記第2領域は、上記第2頂面部と、上記第2頂面輪郭部と上記第2輪郭部との間を繋ぐ上記基準面の鉛直方向に向いた又は上記基準面に対して傾斜した第2スカート部とにより構成されており、
上記中間領域は、上記中間基準面上における上記第1輪郭部と上記第2輪郭部との間の四角形状領域に設けられており、
上記第1頂面部と上記第2頂面部との間、上記第1頂面部と上記中間領域との間、及び上記第2頂面部と上記中間領域との間には、上記第1スカート部と上記第2スカート部の少なくとも一方が必ず介在していることを特徴とする凹凸部を有する板材。
【請求項2】
請求項1に記載の凹凸部を有する板材において、材質はアルミニウム合金であることを特徴とする凹凸部を有する板材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の凹凸部を有する板材において、上記第1輪郭部及び上記第2輪郭部の外形輪郭形状および大きさは各部の厚み方向中心において同じであり、上記第1長辺部及び第2長辺部の長さL1(mm)と、上記第1短辺部及び上記第2短辺部の長さL2(mm)と、上記第1基準面と上記中間基準面の間隔S1(mm)と、上記中間基準面と上記第2基準面の間隔S2(mm)と、凹凸部形成前の板厚t(mm)とは、
0.05mm≦t≦3mm、
5mm≦L1≦250mm、
2.5mm≦L2≦200mm、
1.25≦L1/L2≦4、
(L1−L2)/2≧3t、
1≦S1/t≦28、
1≦S2/t≦28、
0.1mm≦S1≦25mm、
0.1mm≦S2≦25mm、
0.02≦S1/L1≦0.1、
0.02≦S2/L1≦0.1、
の関係を有し、
上記第1スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあり、上記第2スカート部の上記基準面に対する傾斜角度は15°〜90°の範囲にあることを特徴とする凹凸部を有する板材。
【請求項4】
複数の板材を積層してなる積層構造体であって、上記板材の少なくとも一枚は請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材であることを特徴とする積層構造体。
【請求項5】
アウターパネルと、該アウターパネルの裏面に接合されたインナーパネルとを有する車両パネルであって、上記インナーパネルが請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸部を有する板材よりなることを特徴とする車両パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−147950(P2011−147950A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9831(P2010−9831)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】