説明

凹版印刷機

【課題】一度の送給でシート状物の両面に凹版印刷を施すことができると共に、片面に複数の凹版印刷を施すことができる凹版印刷機を提供する。
【解決手段】枚葉紙1の一方の面にグラビア印刷を施すグラビア印刷装置30と、グラビア印刷装置30でグラビア印刷を施された枚葉紙1の一方の面を乾燥する乾燥装置71A〜71Cと、乾燥装置71A〜71Cで乾燥された枚葉紙1に凹版印刷を施す凹版印刷装置50と、乾燥装置71A〜71Cと凹版印刷装置50との間に配設されてグラビア印刷装置30で一方の面にグラビア印刷された枚葉紙1の一方の面と他方の面との向きを反転させて枚葉紙1の他方の面に対して凹版印刷装置50で凹版印刷を施される両面印刷にすることが可能な印刷面切換装置40とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一度の送給でシート状物の両面に凹版印刷を施すことができると共に、片面に複数の凹版印刷を施すことができる凹版印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の凹版印刷機としては、例えば、下記特許文献1等に記載されているものが知られている。この凹版印刷機において、紙の両面に凹版印刷を行う場合には、先ず、紙の裏面に凹版印刷を行った後、当該紙を数日間放置してインキを乾燥させた後、当該紙を反転させた状態で上記凹版印刷機に送給して表面に再度凹版印刷を行って、さらに数日間放置してインキを乾燥させるようにしていた。
【0003】
また、一度の送給で凹版印刷とオフセット印刷とを施す印刷機が、例えば、下記特許文献2等に記載されている。この印刷機は、前段で紙の両面にオフセット印刷を行った後、必要に応じて紙を反転させて、後段で紙の片面に凹版印刷を行うことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−096713号公報
【特許文献2】特公平4−000025号公報
【特許文献3】特公平1−037272号公報
【特許文献4】特公平6−041202号公報
【特許文献5】特開2004−034641号公報
【特許文献6】特開平11−028800号公報
【特許文献7】特開平11−300924号公報
【特許文献8】特開2001−058388号公報
【特許文献9】特開平2−072952号公報
【特許文献10】特開昭61−032755号公報
【特許文献11】特開昭61−137768号公報
【特許文献12】特開平4−200766号公報
【特許文献13】特開2001−322243号公報
【特許文献14】特開平6−155711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような特許文献1等に記載された凹版印刷機においては、一度の送給で紙の両面に凹版印刷を行うことができないので、紙の両面に凹版印刷を施し終えるのに時間がかかってしまうと共に、オペレータの負荷も大きいという問題点があった。
【0006】
他方、特許文献2等に記載された印刷機においては、一度の送給で凹版印刷とオフセット印刷とを行うことができるものの、一度の送給で紙の両面に凹版印刷を行うことや片面に複数の凹版印刷を行うことに対応できないという問題点があった。
【0007】
このようなことから、本発明は、一度の送給でシート状物の両面に凹版印刷を施すことができると共に、片面に複数の凹版印刷を施すことができる凹版印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための、本発明に係る凹版印刷機は、シート状物の一方の面に凹版印刷を施す第一の凹版印刷部と、前記第一の凹版印刷部で凹版印刷を施された前記シート状物の一方の面を乾燥する第一の乾燥手段と、前記第一の乾燥手段で乾燥された前記シート状物に凹版印刷を施す第二の凹版印刷部と、前記第一の乾燥手段と前記第二の凹版印刷部との間に配設されて、前記第一の凹版印刷部で一方の面に凹版印刷された前記シート状物の一方の面と他方の面との向きを反転させて当該シート状物の他方の面に対して前記第二の凹版印刷部で凹版印刷を施される両面印刷にすることが可能な印刷面切換手段とを備え、前記第一の凹版印刷部が、圧胴と、この圧胴に対接して当該圧胴よりも下方に位置する凹版胴とを有し、前記第二の凹版印刷部が、圧胴と、この圧胴に対接して当該圧胴よりも下方に位置する凹版胴とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る凹版印刷機は、上述した凹版印刷機において、前記第二の凹版印刷部で前記シート状物に印刷されたインキを乾燥させる乾燥装置が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る凹版印刷機によれば、第二の凹版印刷部で凹版印刷するシート状物の印刷面を印刷面切換手段で切り換えることにより、一度の送給でシート状物の両面に凹版印刷を施すことや、一度の送給でシート状物の一方の面に複数の凹版印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る凹版印刷機の第一番目の実施形態の概略構成図である。
【図2】図1の凹版印刷機の凹版印刷装置の要部の抽出拡大図である。
【図3】図1の凹版印刷機の凹版印刷装置の他の要部の抽出拡大図である。
【図4】図3を枚葉紙搬送方向からみたときの断面図である。
【図5】本発明に係る凹版印刷機の第二番目の実施形態の概略構成図である。
【図6】本発明に係る凹版印刷機の第三番目の実施形態の概略構成図である。
【図7】本発明に係る凹版印刷機の第四番目の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る凹版印刷機の実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る凹版印刷機の第一番目の実施形態を図1〜4に基づいて以下に説明する。
【0014】
図1に示すように、紙積台11上に積み重ねられたシート状物である枚葉紙1を一枚ずつ送給する給紙装置10には、給紙テーブル21の基端側が連絡している。給紙テーブル21の先端側には、第一の凹版印刷部であるグラビア印刷装置30の渡胴31に枚葉紙1を受け渡すスイング装置22が設けられている。
【0015】
前記渡胴31の前記スイング装置22との枚葉紙受渡位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、第一の圧胴32が対接している。第一の圧胴32の前記渡胴31との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、第一の凹版胴33が対接している。第一の凹版胴33には、当該第一の凹版胴33へインキを供給する第一のインキ装置34及び当該第一の凹版胴33の表面に付着した余剰のインキを掻き取る第一のドクタ34aが設けられている。
【0016】
前記第一の圧胴32の前記第一の凹版胴33との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、渡胴35が対接している。この渡胴35の前記第一の圧胴32との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、第二の圧胴36が対接している。第二の圧胴36の前記渡胴35との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、第二の凹版胴37が対接している。第二の凹版胴37には、当該第二の凹版胴37へインキを供給する第二のインキ装置38当該第二の凹版胴37の表面に付着した余剰のインキを掻き取る第二のドクタ38aが設けられている。
【0017】
前記第二の圧胴36の前記第二の凹版胴37との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、吸着胴43及び反転胴44を備えた印刷面切換手段である印刷面切換装置40が渡胴41,42を介して対接しており、当該印刷面切換装置40は、例えば、前記特許文献4等に記載されている公知の構造となっている。
【0018】
前記印刷面切換装置40の前記反転胴44には、第二の凹版印刷部である凹版印刷装置50の渡胴51が対接している。この渡胴51の前記反転胴44との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、圧胴52が対接している。圧胴52の前記渡胴51との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、凹版胴53が対接している。
【0019】
前記凹版胴53の前記圧胴52との対接位置よりも回転方向下流側には、インキ集合胴54が対接している。インキ集合胴54には、複数(本実施形態では3つ)のパターンローラ55a〜55cがそれぞれ対接している。前記凹版胴53の前記インキ集合胴54との対接位置よりも回転方向下流側には、パターンローラ55dが対接している。パターンローラ55a〜55cには、インキ装置56a〜56cが着けローラ57a〜57cを介してそれぞれ設けられている。パターンローラ55dには、インキ装置56dが設けられている。
【0020】
前記インキ装置56a〜56dは、図2に示すように、インキを入れられるインキ壷56aa〜56daと、当該インキ壷56aa〜56da内のインキを引き出して送出する壷ローラ56ab〜56dbと、当該インキ壷56aa〜56da内から引き出されたインキを壷ローラ56ab〜56dbに軸方向へわたってならす振りローラ56ac〜56dcとを備えてなり、上記振りローラ56ac〜56dcが、前記インキ壷56aa〜56daの底板の先端と前記壷ローラ56ab〜56dbとの間の隙間の位置、すなわち、インキ壷56aa〜56daのインキ送出口の位置の鉛直方向下方に外周面を位置させるように配設されている。
【0021】
図1に示すように、前記凹版胴53の前記パターンローラ55dとの対接位置よりも回転方向下流側で前記圧胴52との対接位置よりも回転方向上流側には、ワイピング装置58が設けられている。前記圧胴52の前記凹版胴53との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側には、排紙装置60の図示しない紙取胴が対接している。
【0022】
前記紙取胴には、対をなすスプロケット61が同軸をなして設けられている。これらスプロケット61には、対をなす無端型のチェーン63がそれぞれ巻き掛けられている。これらチェーン63は、紙置台64の上方に配設された対をなすスプロケット62にそれぞれ巻き掛けられている。対をなす上記チェーン63間には、枚葉紙1をくわえる図示しない爪竿が当該チェーン63の長手方向に沿って所定の間隔で複数取り付けられている。
【0023】
前記グラビア印刷装置30の前記第一の圧胴32の前記第一の凹版胴33との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側で前記渡胴35との対接位置よりも枚葉紙搬送方向上流側には、前記第一のインキ装置34及び前記第一の凹版胴33から枚葉紙1の一方の面に印刷されたインキを乾燥させる乾燥装置71Aが上記第一の圧胴32と対向して配設されている。
【0024】
前記第二の圧胴36の前記第二の凹版胴37との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側で前記切換装置40の前記渡胴41との対接位置よりも枚葉紙搬送方向上流側には、前記第二のインキ装置38及び前記第二の凹版胴37から枚葉紙1の一方の面に印刷されたインキを乾燥させる乾燥装置71Bが上記第二の圧胴36と対向して配設されている。
【0025】
前記切換装置40の前記渡胴42の前記渡胴41との対接位置よりも枚葉紙搬送方向下流側で前記吸着胴43との対接位置よりも枚葉紙搬送方向上流側には、前記インキ装置34,38及び前記凹版胴33,37から枚葉紙1の一方の面に印刷されたインキを仕上げ乾燥する乾燥装置71Cが上記渡胴42と対向して配設されている。
【0026】
前記排紙装置60の前記スプロケット61,62間には、前記凹版印刷装置50の前記インキ装置56a〜56d、前記パターンローラ55a〜55d、前記インキ集合胴54、前記凹版胴53から枚葉紙1の一方の面又は他方の面に印刷されたインキを乾燥させる乾燥装置72がそれぞれ配設されている。
【0027】
なお、本実施形態では、前記乾燥装置71A〜71C等により、第一の乾燥手段が構成され、前記乾燥装置72等により、第二の乾燥手段が構成されている。
【0028】
また、図1,3,4に示すように、凹版印刷機の本体フレーム101の、前記凹版印刷装置50の前記パターンローラ55d及び前記インキ装置56d近傍部分には、当該パターンローラ55d及び当該インキ装置56dを支承するインカフレーム151が、当該本体フレーム101に対して前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向に移動できるように、当該本体フレーム101に嵌め込まれている。
【0029】
前記インカフレーム151の、前記枚葉紙1の搬送方向に沿う水平方向の一方側及び他方側(図3中、左右側)には、断面略H型をなすガイドレール154が、前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向に沿って長手方向を向けるようにしてそれぞれ取り付けられており、当該ガイドレール154は、当該インカフレーム151の、前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向の他方側(図4中、右側)の外側へ、当該インカフレーム151の当該水平方向の長さと同じ長さ以上に突出させるように延設されると共に、上下方向に所定の割合で撓むことができるようになっている。
【0030】
前記本体フレーム101の前記ガイドレール154近傍部分には、当該ガイドレール154を長手方向に沿って摺動移動可能に保持する断面略C字型をなすガイド部材155が取り付けられている。前記インカフレーム151の、前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向の一方側(図4中、左側)には、取手156が取り付けられている。
【0031】
前記インカフレーム151の、前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向の一方側(図4中、左側)には、当該水平方向に沿って転動可能な一対の車輪152が、凹版印刷機を設置する床面100に対して所定の間隔をあけるようにしてブラケット153を介して取り付けられている。
【0032】
つまり、インカフレーム151は、本体フレーム101の内側へ格納されているとき、前記車輪152を床面100から離反させた状態で、前記ガイドレール154及び前記ガイド部材155を介して当該本体フレーム101に支承され、前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向の一方側へ取手156が引っ張られると、ガイドレール154がガイド部材155で案内されながら前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向の一方側へ引き出されて当該インカフレーム151の重さで撓むことにより、前記車輪152が床面100に接地して、当該車輪152及び前記ブラケット153を介して床面100に支承されるようになっているのである。これにより、床面100に対して前記車輪152を転動させながらインカフレーム151を前記枚葉紙1の搬送方向と直交する水平方向へ引き出すことができ、前記パターンローラ55d及び前記インキ装置56dを本体フレーム101の外側へ取り出すことができるのである。
【0033】
前記本体フレーム101の前記インカフレーム151近傍には、当該インカフレーム151と着脱可能に係合するアクチュエータ等からなるストッパ157が設けられている。つまり、インカフレーム151は、本体フレーム101に嵌め込まれているときに、ストッパ157が係合することにより移動を防止され、ストッパ157との係合から解放されることにより、移動することができるようになっているのである。
【0034】
このような本実施形態に係る凹版印刷機の作用を次に説明する。
【0035】
給紙装置10の紙積台11上から給紙テーブル21上に一枚ずつ送給した枚葉紙1をグラビア印刷装置30の渡胴31にスイング装置22で受け渡すと、当該枚葉紙1は、当該渡胴31から第一の圧胴32に受け渡され、第一のインキ装置34から第一の凹版胴33に供給されたインキにより、一方の面にグラビア印刷され、前記乾燥装置71Aにより、一方の面にグラビア印刷された上記インキが乾燥された後、渡胴35を介して第二の凹版胴36に受け渡され、第二のインキ装置38から第二の凹版胴37に供給されたインキにより、一方の面にさらにグラビア印刷され、前記乾燥装置71Bにより、一方の面にさらにグラビア印刷された上記インキが乾燥されながら、印刷面切換装置40の渡胴41,42に受け渡されて搬送される。
【0036】
そして、枚葉紙1に両面印刷を行う場合には、印刷面切換装置40の前記吸着胴43及び前記反転胴44が、当該枚葉紙1の一方の面と他方の面との向きを反転させるように前記渡胴41,42からの当該枚葉紙1をくわえ替えして凹版印刷装置50の渡胴51に受け渡す(詳細な反転動作は前記特許文献4等参照)。
【0037】
このようにして印刷面を切り換えられた枚葉紙1は、上記渡胴51から圧胴52に受け渡され、インキ装置56a〜56cからパターンローラ55a〜55c及びインキ集合胴54を介して凹版胴53に供給されたインキ及びインキ装置56dからパターンローラ55dを介して凹版胴53に供給されたインキにより、他方の面に凹版印刷された後、排紙装置60の前記紙取胴に受け渡されて、前記爪竿にくわえ替えされ、スプロケット61,62の回転に伴うチェーン63の走行によって搬送されながら、前記乾燥装置72により、他方の面に凹版印刷された上記インキが乾燥され、紙積台64上に排紙される。
【0038】
他方、枚葉紙1に片面印刷を行う場合には、印刷面切換装置40の前記吸着胴43及び前記反転胴44が、当該枚葉紙1の一方の面と他方の面との向きを反転させることなく前記渡胴41,42からの当該枚葉紙1をくわえ替えして凹版印刷装置50の渡胴51に受け渡す。
【0039】
そして、上記枚葉紙1は、上記渡胴51から圧胴52に受け渡され、インキ装置56a〜56cからパターンローラ55a〜55c及びインキ集合胴54を介して凹版胴53に供給されたインキ及びインキ装置56dからパターンローラ55dを介して凹版胴53に供給されたインキにより、一方の面に凹版印刷された後、排紙装置60の前記紙取胴に受け渡されて、前記爪竿にくわえ替えされ、スプロケット61,62の回転に伴うチェーン63の走行によって搬送されながら、前記乾燥装置72により、一方の面に凹版印刷された上記インキが乾燥され、紙積台64上に排紙される。
【0040】
したがって、本実施形態に係る凹版印刷機によれば、一度の送給で枚葉紙1の一方の面にグラビア印刷を施すと同時に他方の面に凹版印刷を施す、すなわち、両面に凹版印刷を施すことができると共に、一度の送給で枚葉紙1の一方の面にグラビア印刷及び凹版印刷を施す、すなわち、片面に複数の凹版印刷を施すことができる。
【0041】
また、凹版印刷装置50のインキ装置56a〜56dの振りローラ56ac〜56dcが、インキ壷56aa〜56dcの底板の先端と壷ローラ56ab〜56daとの間の隙間の位置、すなわち、インキ壷56aa〜56daのインキ送出口の位置の鉛直方向下方に外周面を位置させるように配設されていることから、上記隙間から落下してしまったインキを振りローラ56ac〜56dcの外周面で受け取って壷ローラ56ab〜56daの外周面に付着させることができるので、インキ装置56a〜56dの下方側の汚れを抑えることができ、メンテナンス等にかかる手間を大幅に削減することができる。
【0042】
また、ガイドレール154及びガイド部材155でインカフレーム151の移動を案内しつつ車輪152及びブラケット153を介してインカフレーム151を床面100に支承させるようにしてインカフレーム151の移動を可能としたので、インカフレーム151を本体フレーム101から引き出すことにより、重量物であるパターンローラ55d及びインキ装置56dを本体フレーム101の外側に取り出すことが容易にでき、パターンローラ55d及びインキ装置56dのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0043】
また、ガイドレール154及びガイド部材155を介してインカフレーム151を床面100に接地させることなく本体フレーム101に支承するようにしたので、床面100に段差がある場合や、車輪152が摩耗している場合や、床面100と車輪152との間に異物が存在している場合等であっても、パターンローラ55dを凹版胴53に対して規定の位置で常に精度よく対接させることが確実にでき、印刷不良の発生を確実に防止することができる。
【0044】
[第二番目の実施形態]
また、前述した第一番目の実施形態では、凹版胴53に直接対接するパターンローラ55d及びそのインキ装置56dを備えて渡胴51を介して印刷面切換装置40の反転胴44に連絡させた凹版印刷装置50を第二の凹版印刷部に適用すると共に、印刷面切換装置40の渡胴41と吸着胴43との間に、乾燥装置71Cを近傍に配設した渡胴42を介在させるようにした凹版印刷機の場合について説明したが、例えば、第二番目の実施形態として、図5に示すように、凹版胴53に直接対接するパターンローラ55d及びそのインキ装置56dを省略した凹版印刷装置50を第二の凹版印刷部に適用すると共に、前記渡胴42及び前記乾燥装置71Cを省略して印刷面切換装置40の渡胴41と吸着胴43とを直接的に対接させると共に凹版印刷装置50の渡胴51を省略して圧胴52と印刷面切換装置40の反転胴44とを直接的に対接させるようにした凹版印刷機とすることも可能である。
【0045】
[第三番目の実施形態]
また、前述した第二番目の実施形態では、複数の前記圧胴32,36、前記凹版胴33,37、前記インキ装置34,38、前記ドクタ34a,38a等を備えたグラビア印刷装置30を第一の凹版印刷部に適用すると共に、パターンローラ55a〜55cからインキ集合胴54を介して凹版胴53にインキを供給するようにした凹版印刷装置50を第二の凹版印刷部に適用し、グラビア印刷装置30の第二の圧胴36と印刷面切換装置40の吸着胴43との間を渡胴41,42で連絡するようにした凹版印刷機の場合について説明したが、例えば、第三番目の実施形態として、図6に示すように、インキ集合胴54及び着けローラ57a〜57cを省略してパターンローラ55a〜55cから凹版胴53にインキを直接供給するようにした凹版印刷装置50を第一の凹版印刷部に適用すると共に、第二の前記部材36,37,38,38a及び渡胴31,35を省略して第一の前記部材32,33,34,34aだけとしたグラビア印刷装置30を第二の凹版印刷部に適用し、凹版印刷装置50の圧胴52と印刷面切換装置40の吸着胴43との間を、前記渡胴41に代えて、排紙装置60の前記紙取胴、スプロケット61,62、チェーン63、前記爪竿等と同様な構成の紙取胴(図示省略)、スプロケット45,46、チェーン47、前記爪竿(図示省略)等で連絡するようにした凹版印刷機とすることも可能である。
【0046】
[第四番目の実施形態]
また、前述した第一,二番目の実施形態では、異なる凹版印刷方式を組み合わせた場合について説明したが、例えば、第四番目の実施形態として、図7に示すように、グラビア印刷装置30を第一の凹版印刷部及び第二の凹版印刷部の両方に適用した凹版印刷機とすることも可能である。なお、図7中、65は渡胴である。
【0047】
[他の実施形態]
なお、前述した第一番目の実施形態では、前記凹版印刷装置50の前記インカフレーム151を取手156により手動で移動させるようにしたが、他の実施形態として、例えば、油圧シリンダやエアシリンダ等を使用することや、ラック&ピニオン及び電動モータ等を使用することにより、自動で移動させるようにすることも可能である。
【0048】
また、前述した各種胴の直径は、シート状物の一枚分の大きさに対応させた単胴から、シート状物の数枚分の大きさに対応させた数倍胴まで、必要に応じて適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る凹版印刷機は、一度の送給でシート状物の両面に凹版印刷を施すことや、一度の送給でシート状物の一方の面に複数の凹版印刷を施すことができるので、印刷産業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 枚葉紙
10 給紙装置
11 紙積台
21 給紙テーブル
22 スイング装置
30 グラビア印刷装置
31 渡胴
32 第一の圧胴
33 第一の凹版胴
34 第一のインキ装置
34a 第一のドクタ
35 渡胴
36 第二の圧胴
37 第二の凹版胴
38 第二のインキ装置
38a 第二のドクタ
40 印刷面切換装置
41,42 渡胴
43 吸着胴
44 反転胴
45,46 スプロケット
47 チェーン
50 凹版印刷装置
51 渡胴
52 圧胴
53 凹版胴
54 インキ集合胴
55a〜55d パターンローラ
56a〜56d インキ装置
56aa〜56da インキ壷
56ab〜56db 壷ローラ
56ac〜56dc 振りローラ
57a〜57c 着けローラ
58 ワイピング装置
60 排紙装置
61,62 スプロケット
63 チェーン
64 紙積台
65 渡胴
71A,71B,71C,72 乾燥装置
100 床面
101 本体フレーム
151 インカフレーム
152 車輪
153 ブラケット
154 ガイドレール
155 ガイド部材
156 取手
157 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物の一方の面に凹版印刷を施す第一の凹版印刷部と、
前記第一の凹版印刷部で凹版印刷を施された前記シート状物の一方の面を乾燥する第一の乾燥手段と、
前記第一の乾燥手段で乾燥された前記シート状物に凹版印刷を施す第二の凹版印刷部と、
前記第一の乾燥手段と前記第二の凹版印刷部との間に配設されて、前記第一の凹版印刷部で一方の面に凹版印刷された前記シート状物の一方の面と他方の面との向きを反転させて当該シート状物の他方の面に対して前記第二の凹版印刷部で凹版印刷を施される両面印刷にすることが可能な印刷面切換手段と
を備え、
前記第一の凹版印刷部が、
圧胴と、
この圧胴に対接して当該圧胴よりも下方に位置する凹版胴と
を有し、
前記第二の凹版印刷部が、
圧胴と、
この圧胴に対接して当該圧胴よりも下方に位置する凹版胴と
を有する
ことを特徴とする凹版印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載の凹版印刷機において、
前記第二の凹版印刷部で前記シート状物に印刷されたインキを乾燥させる乾燥装置が配設されている
ことを特徴とする凹版印刷機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−148573(P2012−148573A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110199(P2012−110199)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2006−216669(P2006−216669)の分割
【原出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000184735)株式会社小森コーポレーション (403)
【Fターム(参考)】