説明

刃物の替刃装脱着器

【課題】簡易かつ確実に替刃を装脱着できる刃物の替刃装脱着器の提供する。また利便性と使い勝手に優れた刃物の替刃装脱着器の提供とする。
【解決手段】
替刃リムーバ部1および/または替刃装着部2を備え、替刃25を取り外す替刃リムーバ部1は、替刃25を収納する替刃収納室3と、替刃収納室3に通ずる替刃挿入口5と、替刃収納室3に配置された替刃25を押圧する替刃押圧部材Aを含み、替刃25を装着する替刃装着部2は、替刃25を装填する替刃装填室99と、替刃装填室に通ずる替刃挿入口15と、替刃装填室9に配置された替刃25を保持する替刃保持部材Bを含み、替刃リムーバ部1と替刃装着部2を一体にまたは別体として設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能に替刃を装着する鋏などの刃物において、刃物の本体に対して替刃を装着しあるいは取り外すための刃物の替刃装脱着器に関する。
【背景技術】
【0002】
替刃を鋏などの刃物の本体に対して替刃を装着しあるいは取り外すための替刃装脱着器が開発されている。替刃装脱着器のもつ利便性にかんがみ、ユーザー間では替刃装脱着器における操作の容易性や確実性を増大することが強く要請されている。
【特許文献1】実公昭55−227公告公報
【特許文献2】実公昭61−43453公告公報
【特許文献3】特許第2912829号特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来の替刃脱着器を改良し、より簡易かつ確実に替刃を装脱着できる刃物の替刃装脱着器の提供を課題とする。また利便性と使い勝手に優れた刃物の替刃装脱着器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため本発明にかかる刃物の替刃装脱着器は、替刃リムーバ部および/または替刃装着部を備え、替刃を取り外す替刃リムーバ部は、替刃を収納する替刃収納室と、替刃収納室に通ずる替刃挿入口と、替刃収納室に配置された替刃を押圧する替刃押圧部材を含み、替刃を装着する替刃装着部は、替刃を装填する替刃装填室と、替刃装填室に通ずる替刃挿入口と、替刃装填室に配置された替刃を保持する替刃保持部材を含み、替刃リムーバ部と替刃装着部を一体にまたは別体として設けた。そして前記替刃リムーバ部において、替刃収納室に配置された刃物の替刃に対して、替刃押圧部材Aを介して替刃を押圧し、替刃の前後方向の移動を阻止した状態で刃物本体を替刃挿入口から引き抜き、替刃を刀身から取り外すように構成した。
また前記替刃装着部において、替刃装填室に配置された刃物の替刃に対して、替刃保持部材を介して替刃を保持するとともに、替刃の基端部における刀身挿入口から刃物の刀身を鞘部に挿入して替刃を装着し、替刃の装着された刃物を替刃保持部材による保持状態から離脱させ、替刃挿入口から取り出すように構成した。
【発明の効果】
【0005】
本発明にかかる刃物の替刃装脱着器によれば、刃物の本体に対して替刃を容易かつ確実に装脱着できる。また替刃に直接手を触れることなく替刃が装脱着でき、利便性と使い勝手に優れたものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。刃物の替刃装脱着器は、替刃リムーバ部および/または替刃装着部を備える。替刃リムーバ部と替刃装着部は一体に設けることができる。またそれぞれ分離された別体としてもよい。替刃リムーバ部では刃物に着脱可能に装着された替刃(通常は使用済みの替刃)を刃物本体から取り外す。替刃を取り外す替刃リムーバ部は、替刃を収納する替刃収納室と、替刃収納室に通ずる替刃挿入口と、替刃収納室に配置された替刃を押圧する替刃押圧部材を備える。そこで替刃挿入口から刃物の替刃を替刃収納室に挿入し、替刃収納室に配置された刃物の替刃を替刃押圧部材により押圧し、替刃の前後方向の移動を阻止した状態で刃物本体を替刃挿入口から引き抜いて替刃を刀身から取り外すように構成した(使用済み替刃の取り外し)。
【0007】
替刃装着部では替刃(通常は未使用の替刃)を刃物本体に装着する。替刃を装着する替刃装着部は、替刃を装填する替刃装填室と、替刃装填室に通ずる替刃挿入口と、替刃装填室の替刃を保持する替刃保持部材を備える。替刃装填室には替刃挿入口から挿入した刃物の替刃が装填される。替刃装填室に配置された刃物の替刃を替刃保持部材により保持し、替刃の後端部における刀身挿入口から刃物の刀身を鞘部に挿入するとともに替刃を装着し、替刃の装着された刀身を替刃挿入口から取り出すように構成した(未使用替刃の装着)。
【0008】
替刃リムーバ部と替刃装着部を一体に設けた刃物の替刃装脱着器において、替刃リムーバ部の替刃挿入口と刃装着部の替刃挿入口は、一方の細長の替刃挿入口を水平方向、他方の細長の替刃挿入口を垂直方向とした交差状など異なる方向に配置した。替刃挿入口を異なる方向に配置したから、替刃の取り外と替刃の装着という異なる性質の操作を確実におこなうことができる。替刃挿入口の開口の方向、配置などに制限はない。
【0009】
替刃挿入口から外側に露出する刃体を含む替刃の後端部に対して、少なくとも一側方からの接触を遮蔽する保護部材を折り曲げ可能あるいは折り取り可能に設けた。替刃リムーバ部に装着された替刃、刃装着部に装填された替刃については、後端部(刃体や鞘部の刀身挿入口などを含む)が露出している。このような後端部に対しては少なくとも一側方からの接触を遮断する保護部材が設けてある。保護部材は後端部の全体を覆うもの(但し着脱可能とする)あるいは側方のみを遮断するものなどその構造は任意である。これにより替刃の後端部への接近を阻止あるいは遮断し、替刃の後端部を保護する。
【0010】
このように刃物の替刃装脱着器は、替刃の取り外しの機能および/または替刃の装着の機能を備え、替刃リムーバ部による替刃の取り外しと替刃装着部による替刃の装着をおこなうことができる。いずれも替刃に直接手を触れることなく替刃の取り外しおよび/または替刃の装着をおこなうことができる。替刃リムーバ部と替刃装着部は一体として設けてあるが、別体としもよい。替刃リムーバ部と替刃装着部を組み合わせて用いるが、単独で用いてもよい。
【実施例】
【0011】
以下本発明の実施例について添付の図面を参照して説明するが、まず鋏とその替刃の構造について説明する。なお刃物は鋏30に限定されない。鋏は一対の鋏構成部材31が交差状に開閉されるよう枢着されている。軸部32の前方側が一対の刀身33となり、刀身33には替刃が着脱可能に装着される。すなわち切れの低下した使用済みの替刃を刀身33から取り外し、未使用の替刃を刀身33に装着する。替刃25は後端部35あるいはその近傍において幅(高さ)と厚みが最大であり、後端部35から先端部36に向け幅狭となっている。替刃25は刃先14を有する刃体37と、刃体37と一体に設けられた鞘部39を備える。未装着の替刃に対しては、刀身挿入口27から鋏の刀身33を替刃の鞘部39に強制的に挿入すると、刀身に替刃が装着される(替刃の装着)。また既装着の替刃に対しては、替刃の鞘部39から刀身33を強制的に引き抜くと替刃が鋏本体(刀身33)から取り外される(替刃の取り外し)。以上の鋏およびその替刃の基本構造は公知である(例えば前記特許文献1など)。なお替刃の幅、厚みが最大となる替刃の後端部35あるいはその近傍、具体的には刃体37に設けられた鞘部39の表面に凹凸部26が形成されている。
【実施例1】
【0012】
実施例1にかかる刃物の替刃装脱着器50は替刃リムーバ部1と替刃装着部2が一体に設けてある。鋏(本体)には替刃が着脱可能に装着されており、替刃リムーバ部1において装着されている替刃25を鋏本体から取り外す。なお鋏本体とは鋏のうち替刃を除く部分をいう。替刃リムーバ部1は上壁51と底部52、前後壁53、23、左右側壁59からなる箱状であり、内部に替刃収納室3が形成されている。替刃収納室3には取り外された替刃が収納されるが、替刃収納室3は替刃の取り外しの際に替刃25が配置される空間でもある。
【0013】
替刃リムーバ部1の上部には前壁よりやや後退して替刃挿入口5形成されている。細長の替刃挿入口5が水平方向に配置されている。替刃挿入口5は替刃収納室3に通じ、鋏本体に装着された替刃が替刃挿入口5から替刃収納室3に挿入される。替刃は替刃リムーバ部1の長さ方向、つまり前後方向に移動し、替刃収納室3に挿入される。替刃収納室3の上壁内面には直線状の第1規制レール11が替刃挿入口5から後壁まで延びている。替刃の鞘部39と第1規制レール11が当接し、替刃収納部3に配置される替刃の位置ズレが阻止される。
【0014】
替刃挿入口5には替刃を載置する平面状の支持台6が設けてある。支持台6は替刃リムーバ部1の前端部から替刃挿入口5に続き、さらに替刃挿入口5を越えて後方へ延びている。その端部は替刃収納室3内にあり、後述の替刃押圧部材Aに対応する位置まで延びている。なお取り外された替刃が自重などで替刃収納室3内に落下しやすいように、支持台57の端部は替刃収納室3のほぼ中間部までとするのが好ましい。支持台6のうち替刃挿入口5より後方に延びる部分は、底部52の前端部が垂直方向に立ち上がる一方、その上部前端部から後方に屈曲して延びる水平板により形成されている。替刃は後端部35あるいはその近傍が支持台6に支持されるとともに、替刃収納室3に配置される。なお支持台6は替刃挿入口5から挿入される替刃を案内する機能も有する。
【0015】
上壁には替刃挿入口5からやや後退して替刃押圧部材Aが設けてある。替刃押圧部材Aは替刃収納室3に配置される替刃を押圧し、少なくとも替刃の前後方向の移動を阻止する機能を持つ。替刃押圧部材Aが他の機能を併有することを妨げない。替刃押圧部材Aは上壁51との接続部を基端部7とし、先端を自由端とする爪片の形態をとる。替刃押圧部材Aは付加される外力により基端部7を基点とする撓みと変位を生ずる一方、外力の解除により撓みによる弾性復元力が働き元の位置に復帰する。
【0016】
図示の場合、替刃収納室3の表面から突出する替刃押圧部材Aを押し下げると、基端部7を基点として替刃押圧部材Aが撓むとともに替刃収納室3内側へ変位する。この変位により替刃収納室3の替刃25が押圧され(通常は替刃押圧部材Aの裏面が替刃に当接する)、替刃の前後方向の移動が阻止される。あるいは替刃押圧部材Aの裏面29に形成された凹凸部55と替刃の表面に形成された凹凸部26が対向する位置にあり、両凹凸部55、26の係合により替刃の前後方向の移動が阻止される。この状態で鋏本体を替刃挿入口5から引き抜くと替刃が刀身53から取り外される。一方、押圧を中止すると、替刃押圧部材Aは弾性復元力により元の位置に復帰し、替刃押圧部材Aによる押圧あるいは替刃との当接が解除される。取り外された替刃はバランスを失するなどして支持台6から自重で落下し、使用済みの替刃が替刃収納室3に収納される。
【0017】
替刃装着部2においては替刃25が鋏本体に装着される。替刃装着部2は替刃リムーバ部1を本体としその左右側壁59に配設されている。替刃装着部2は上側壁60と下側壁61、内側壁65と外側壁63、前側壁66を備え、内部に替刃装填室9が形成されている。替刃装填室9に未使用の替刃が装填される。後端側に細長の替刃挿入口15が垂直方向に形成され、替刃挿入口15は替刃装填室9に通じている。替刃挿入口15はいずれも後方側へ開口し、替刃(未使用の替刃)は後方の替刃挿入口15から替刃装填室9へと挿入される(替刃リムーバ部の場合とは逆の方向)。替刃挿入口15は前後のいずれの方向に開口してもよく、またそれぞれ異なる方向に開口してもよい。挿入された替刃は先端部36が前側壁66(の内面)と当接しその進入が阻止される。すなわち前側壁66がストッパとなって替刃の前後方向の位置を規制し、挿入された替刃が替刃装填室9の所定位置に配置される。
【0018】
替刃装填室9ではさらに替刃の位置規制をおこなう。まず外側壁63の内面において第1規制レール20が替刃挿入口15から前側壁66まで連続して延び、装填された替刃25を刃先14側から規制する。すなわち替刃は鞘部39の刃先14側(比較的に刃先14に近接する部分)が直線状の第1レール20と当接し、替刃装填室9に配置された替刃の位置ズレを阻止する。替刃の表面(鞘部39の表面)は刃先14側が刃先14方向へ傾斜しているため、当接する第1規制レール20の上面もこれに対応して傾斜している(図24参照)。
【0019】
次に第2規制レール21は替刃を背部29側から規制する。替刃では刃体37の刃先14が直線状に延びているが、背部29は後端部35から先端部36へ傾斜状となっている(図4参照)。替刃25の中間部から先端部36にかけて幅狭となり、配置上の安定性が問題となる。外側壁63の内面に形成された第2規制レール21は上壁を起点とし直線状の第1規制に向けて傾斜状に延び、先端は第1規制レール20と若干の間隔をおく(図8参照)。第2規制レール21は替刃装填室9に配置された替刃の背部29、特に前方部における背部29と当接し、替刃装填室9内における替刃(先端部36など)の位置ズレを防止する。
【0020】
替刃装填室9の内側壁65(本体である替刃リムーバ部1の左右側壁59でもある)には膨出部10が形成されている。膨出部10は替刃装填室9の替刃を刃体37側から規制する。膨出部10は内側壁からわずかに突出する面状部である。膨出部10は配置される替刃の刃体37とほぼ対応した位置に形成される。また大きさ、形状についても替刃の刃体37と対応したものとするのが好ましい。替刃装填室9に装填された替刃は刃体37が膨出部10と面接触しその摩擦力により安定して保持される。
【0021】
替刃装填室9は替刃保持部材Bを備える。替刃保持部材Bは替刃装填室9内の替刃を保持するものであり、少なくとも装填された替刃が脱落しないようにする。替刃保持部材Bは替刃装填室9の外側壁63に替刃挿入口15からやや後退して設けてある。替刃保持部材Bは外側壁63との接続部を基端部17とし、先端を自由端とする爪片の形態をとる。替刃保持部材Bは付加される外力により基端部17を基点とする撓みと変位を生ずる一方、外力の解除により撓みによる弾性復元力が働き元の位置に復帰する。
【0022】
図示の場合、替刃装填室内に替刃保持部材Bの裏面24が突出している。そこで替刃装填室9に挿入された替刃に当接すると、基端部17を基点として撓む替刃保持部材Bが替刃装填室9の外側へ変位し、変位した替刃保持部材Bにより弾接状態などで保持される。あるいは替刃保持部材Bの裏面の凹凸部56が替刃の表面の凹凸部26と対向し、両凹凸部56、26の係合により替刃の保持がされる。これにより少なくとも替刃装填室9からの替刃の脱落が阻止される。
【0023】
替刃装填室9に装填された替刃25は後端部35(刃体37や鞘部の刀身挿入口27を含む)が替刃挿入口15から露出している。このような後端部35に対しては少なくとも一側方からの接触を遮断する保護部材13が設けてある。保護部材13は、替刃装着部2(替刃装填室9)の外側壁63から連続して後方に延びる板状の外側保護片11と、上下側壁60、61から溝部4を介在して後方に延びる上下保護片12とを含む。外側保護片11と上下保護片12はいずれも板状である。外側保護片11は側方からの替刃の後端部35への接近を遮断し、また上下保護片12は上下方向からの替刃の後端部35への接近を遮断する。なお保護部材の形状、構造は任意である。
【0024】
保護部材13は折曲が可能であるかあるいは折り取り可能となっている。折曲あるいは折り取り方向は替刃の後端部35とは反対の外側であり、図示の場合、保護部材13の先端部22を指先で挟むようにして溝部4から側方に折り取ることができる(図11、12 参照)。また同様に折り曲げることもできる(図示せず)。替刃の後端部35を遮蔽するものがなく、後端部の刀身挿入口27が露出した状態で、替刃装填室9に保持されている替刃を鋏本体に装着する。すなわち替刃装填室9の替刃に対して、替刃の後端部に開口する刀身挿入口27から鋏の刀身33を鞘部39内に強制的に挿入すると、刀身33に替刃25が装着される(替刃の装着)。替刃の装着された鋏本体は替刃保持部材Bによる保持状態を離脱して替刃装着部2における替刃挿入口15から取り出される。
【実施例2】
【0025】
実施例2の刃物の替刃装脱着器は、替刃リムーバ部1と替刃装着部2が別体として設けてある。替刃装脱着器Aの替刃リムーバ部1と替刃装着部2は分離独立した形態をとり、替刃リムーバ部1と替刃装着部2を組み合わせて使用する。替刃リムーバ部1では鋏に装着されている替刃を鋏本体から取り外し、替刃装着部2では新たに替刃を鋏本体に装着する。
【0026】
替刃リムーバ部についてみると、図17において替刃リムーバ部1は、上面を平面状とする基台70と、基台70の後端に枢着された蓋部71を備える。蓋部71は軸部72を中心として開閉し、最大で約30度開くようになっている。蓋部71を閉じたとき蓋部71は基台70の後部に突設された弾性支持体73にほぼ水平方向に支持され、基台70と蓋部71からなる内部空間としての替刃収納室3が形成される。蓋部71の上部前端の替刃挿入口5は替刃収納室3に通じている。鋏50に装着された替刃を替刃挿入口5から替刃収納室3に挿入すると、替刃の先端部36が弾性支持体73(側面)と当接しその進入が阻止される。ストッパ(弾性支持体73)による前後方向の位置規制により替刃25は替刃収納室3の所定位置に配置される。なお替刃の基端部35は替刃挿入口5から外側に突出している。
【0027】
蓋部71は同時に押圧部材となっており、替刃25を押圧して替刃の前後方向の移動を阻止する。すなわち蓋部71を押し下げると蓋部71内面に当接した弾性支持体73がやや扁平状あるいは下降状となって変形する。同時に蓋部71内面が替刃(の鞘部39)に当接して替刃を押圧する。この場合、替刃押圧部材Aである蓋部71(上壁)の裏面に形成されている凹凸部が替刃(鞘部39)の凹凸部26と対向し、これにより両凹凸部が係合する。なお本実施例における蓋部71の裏面の凹凸部は、図15に示される替刃押圧部材Aの凹凸部(該当部分)と同じである。これにより替刃の前後方向の移動が阻止される。この状態において鋏本体を替刃挿入口5から引き抜くと鋏30に装着されていた替刃25が刀身33から取り外される。取り外された替刃はそのまま替刃収納室3に配置される。
【0028】
そしてリムーバ部1を適宜に傾けるなどし、替刃の先端部36が弾性支持体73の上面にくるまで替刃収納室3の替刃25を後方に移動させた後、蓋部71を開けてリムーバ部1から使用済みの替刃を取り出す。
【0029】
図22、23において替刃装着部2についてみると、替刃装着部2はケース状であり、前端部の替刃挿入口15は替刃装着部2の替刃装填室9に通じている。後壁67がストッパとなり替刃挿入口15から挿入される替刃25の前後方向の位置を規制する。替刃装填室9の上壁内面には替刃挿入口15から後壁まで延びる第1規制レール20が形成され、替刃の鞘部39の刃先14側が第1規制レール20と当接し、替刃の位置ズレを阻止する。
【0030】
替刃保持部材Bは替刃装填室9に装填された替刃を保持する。この保持機能は実施例1と同じである。替刃保持部材Bは上壁69との接続部を基端部17とする爪片の形態をとる。替刃保持部材Bの裏面27が替刃装填室9内に突出しており(図24参照)、替刃装填室9に配置された替刃25と当接すると、基端部17を基点として撓む替刃保持部材Bが替刃装填室9の外側へ変位する。替刃は変位した替刃保持部材Bにより弾接状態で保持される。あるいは替刃保持部材Bの裏面の凹凸部が替刃の表面の凹凸部26が対向し、替刃保持部材Bの弾性力により対向する両係合凹凸部が係合する。これにより少なくとも替刃装填室に配置された替刃が脱落しないように阻止する機能をもつ。なお本実施例の替刃保持部材Bにおける裏面の凹凸部は、図16に示される替刃保持部材Bの凹凸部(該当部分)と同じである。
【0031】
替刃装填室9に装填されている替刃に対しては、替刃の後端部において開口する刀身挿入口27から鋏の刀身33を鞘部39内に強制的に挿入すると、刀身33に替刃25が装着される(替刃の装着)。替刃の装着された鋏本体は替刃保持部材Bによる保持状態を離脱して替刃挿入口5から取り出される。
【0032】
なお替刃装填室9に装填された替刃は後端部35が替刃挿入口15の外側に露出している。替刃挿入口15にはキャップ16が着脱可能に装着される。キャップ16は後端部35に突出する刃体37など替刃の後端部35を保護する。ケース状の替刃装着部2を透明素材で形成するとし、替刃の装填状態が直ちに確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
このように構成された刃物の替刃装脱着器は、医療用鋏や事務用鋏の替刃装脱着器としてのみでなく、その他の刃物類を含む広い産業分野における利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 本発明の実施の際に用いられる替刃式の鋏の斜視図である。
【図2】 同鋏の一方の替刃を取り外した状態を示す鋏の斜視図である。
【図3】 同鋏の替刃を取り外した一方の刀身(全体)を示す拡大平面図である。
【図4】 同鋏用の替刃の拡大平面図である。
【図5】 同鋏用の替刃の背部側を示す正面図である。
【図6】 同鋏用の替刃の右側面図である
【図7】 本発明(実施例1)の刃物の替刃装脱着器の斜視図である。
【図8】 同替刃装脱着器の分解斜視図である。
【図9】 同替刃装脱着器を構成する替刃リムーバ部の断面図(但し替刃が装着されたもの)である。
【図10】 同替刃装脱着器の平面図(但し替刃装着部に替刃が装填されているもの)である。
【図11】 図10の同替刃装脱着器であって、一方の保護部材が折り取られて分離した状態を示す平面図である。
【図12】 図10の同替刃装脱着器であって、一方の保護部材が完全に折り取られた状態を示す平面図である。
【図13】 図10の同替刃装脱着器の後端側からみた拡大図(但し替刃装着部に替刃が装填されていないもの)である。
【図14】 図10の同替刃装脱着器の後端側からみた拡大図(但し替刃装着部に替刃が装填されているもの)である。
【図15】 図9の替刃リムーバ(断面図)における替刃押圧部材Aの詳細を示す部分拡大断面である。
【図16】 同替刃装脱着器を構成する替刃装着部に設けられる替刃保持部材の部分拡大断面図である。
【図17】 本発明(実施例2)の刃物の替刃装脱着器を構成する替刃リムーバ部の斜視図である。
【図18】 図17の替刃リムーバ部(但し蓋部を開けた状態のもの)の正面図である。
【図19】 同替刃リムーバ部(但し替刃を配置したもの)の一部破断正面図である。
【図20】 同替刃リムーバ部(但し取り外された替刃を配置したものであって蓋部を開けた状態のもの)の正面図である。
【図21】 同替刃リムーバ部(但し蓋部を閉じた状態のもの)の先端側から見た拡大図である。
【図22】 本発明(実施例2)の刃物の替刃装脱着器を構成する替刃装着部(但しキャップを外し替刃の一部が挿入されている状態)を示す斜視図である。
【図23】 図22の替刃装着部(但しキャップを外し替が刃挿入されていない状態)を示す斜視図である。
【図24】 替刃装着部(但しキャップを外し替刃が挿入されていない状態)の前端側からみた拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
A 替刃押圧部材
B 替刃保持部材
1 替刃リムーバ部
2 替刃装着部
3 替刃収納室
4 溝部
5、15 替刃挿入口
6 支持台
7 基端部
9 替刃装填室
10 膨出部
11 外側保護片
12 上下保護片
13 保護部材
14 刃先
16 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
替刃リムーバ部および/または替刃装着部を備え、替刃を取り外す替刃リムーバ部は、替刃を収納する替刃収納室と、替刃収納室に通ずる替刃挿入口と、替刃収納室に配置された替刃を押圧する替刃押圧部材を含み、替刃を装着する替刃装着部は、替刃を装填する替刃装填室と、替刃装填室に通ずる替刃挿入口と、替刃装填室に配置された替刃を保持する替刃保持部材を含み、替刃リムーバ部と替刃装着部を一体にまたは別体として設けた刃物の替刃装脱着器。
【請求項2】
替刃リムーバ部と替刃装着部を一体に設けた刃物の替刃装脱着器において、替刃リムーバ部の替刃挿入口と刃装着部の替刃挿入口は、一方の細長の替刃挿入口を水平方向、他方の細長の替刃挿入口を垂直方向とした交差状など異なる方向に配置した請求項1に記載の刃物の替刃装脱着器。
【請求項3】
替刃挿入口から外側に露出する刃体を含む替刃の後端部に対して、少なくとも一側方からの接触を遮蔽する保護部材を折り曲げ可能あるいは折り取り可能に設けた請求項1に記載の刃物の替刃装脱着器。
【請求項4】
前記替刃リムーバ部において、替刃収納室に配置された刃物の替刃に対して、替刃押圧部材を介して替刃を押圧し、替刃の前後方向の移動を阻止した状態で刃物本体を替刃挿入口から引き抜き、替刃を刀身から取り外すように構成した請求項1に記載の替刃装脱着器。
【請求項5】
前記曽刃装着部において、替刃装填室に配置された刃物の替刃に対して、替刃保持部材を介して替刃を保持するとともに、替刃の基端部における刀身挿入口から刃物の刀身を鞘部に挿入して替刃を装着し、替刃の装着された刃物を替刃保持部材による保持状態から離脱させ、替刃挿入口から取り出すように構成した請求項1に記載の替刃装脱着器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−29680(P2007−29680A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237996(P2005−237996)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000112473)フェザー安全剃刀株式会社 (17)
【Fターム(参考)】