説明

刃物組込型まな板

【課題】刃物を収容する収容部を簡単に清掃することができる新規な刃物組込型まな板の提供。
【解決手段】まな板本体10の周面部分に刃物20を収容する収容部40、40を備えた刃物組込型まな板100であって、前記まな板本体10を2枚の板状体30,30を分離吸着自在に重ね合わせて形成すると共に、前記各板状体30,30に、前記収容部40、40側に突出する突起44,44をそれぞれ形成し、前記刃物20の柄部分21に、当該刃物20を前記収容部40,40に収容したときに前記各突起44,44が嵌合する嵌合溝25を形成する。これによって、その収容部40,40を露出して簡単に清掃することができるため、その収容部40,40を常に清潔に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包丁や調理用のナイフなどの刃物を一体的に組み付けた刃物組込型まな板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包丁や調理用のナイフなどの刃物を一体的に組み付け可能なまな板としては、例えば以下の特許文献1〜3に示すようなものが提案されている。
すなわち、特許文献1に示すまな板は、まな板本体を平行四辺形となし、その長辺にあたる周面部分に、刃物の刃部分を没入状に挟み込ませることのできるスリット部と、刃物の柄部分を埋め込み状に受け入れる切り欠き部とを形成したものである。
【0003】
また、特許文献2や3に示すまな板は、まな板本体に、包丁やナイフを収容するための収容部や鞘を形成し、通常時はこの収容部や鞘を包丁やナイフを一体的に組み付けたものである。
そして、調理に際しては、このまな板本体に組み付けられた刃物(包丁、ナイフ)をまな板本体から分離して用いることで別に刃物を用意したり、刃物を収めてある場所から持ち出したり、その収容場所の確保などといった手間が省けるというものである。
【特許文献1】実開平5−56040号公報
【特許文献2】特開2008−113855号公報
【特許文献3】実開昭63−28458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したような従来のまな板では、その刃物を収容する収容部に汚れや水分などが溜まってしまうため、収容した刃物が不潔になったり、錆びたりするおそれがある。そのため、その収容部分を頻繁に清掃する必要があるが、その収容部は狭くて奥が深いため、その清掃作業は容易ではない。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、刃物を収容する収容部を簡単に清掃することができる新規な刃物組込型まな板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、第1の発明は、
まな板本体の周面部分に刃物を収容する収容部を備えた刃物組込型まな板であって、前記まな板本体を2枚の板状体を分離吸着自在に重ね合わせて形成すると共に、前記各板状体に、前記収容部側に突出する突起をそれぞれ形成し、前記刃物の柄部分に、当該刃物を前記収容部に収容したときに前記各突起が嵌合する嵌合溝を形成したことを特徴とする刃物組込型まな板である。
【0006】
また、第2の発明は、
発明1の刃物組込型まな板において、前記収容部を前記まな板本体の複数の周面部分にそれぞれ形成すると共に、前記板状体には、前記各収容部側に突出する複数の前記突起を形成し、当該各収容部にそれぞれ前記刃物を収容するようになっていることを特徴とする刃物組込型まな板である。
また、第3の発明は、
発明1または2の刃物組込型まな板において、前記各板状体の重ね合わせ面に、他方の板状体の凹部に嵌合する凸部を複数形成したことを特徴とする刃物組込型まな板である。
【0007】
また、第4の発明は、
発明1〜3のいずれかの刃物組込型まな板において、前記各板状体に、これを重ね合わせたときに他方の板状体と吸着すべく磁石を埋め込んだことを特徴とする刃物組込型まな板である。
また、第5の発明は、
発明1〜4のいずれかの刃物組込型まな板において、前記各板状体を互いに異なる色の樹脂で形成したことを特徴とする刃物組込型まな板である。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、まな板本体を2枚の板状体で形成したことから、これらの板状体を分離することによってその間に形成された刃物の収容部を露出することができる。これによって、その収容部を簡単に清掃することができる。
また、各板状体に突起を形成すると共に、刃物の柄部分にその突起と嵌合する嵌合溝を形成したことから、刃物を収容部に収容することによって各板状体が重なり合った状態で拘束される。これによって、まな板本体がばらけたりすることがない。
【0009】
さらに、まな板本体を互いに分離可能な2枚の板状体で形成することにより、2枚の板状体をまな板として同時に使用することが可能となる。
第2の発明によれば、まな板本体の対向する周面部分を、複数の刃物によって2枚の板状体が重なり合った状態で拘束することができる。これによって、まな板本体がばらけたりすることをより確実に防止することができる。
【0010】
第3の発明によれば、各板状体の重ね合わせ面に、他方の板状体の凹部に嵌合する凸部を複数形成したため、2枚の板状体が重なり合った状態でスライド方向にずれたりすることを確実に防止できる。
また、各板状体をそれぞれ分離して用いる場合、各板状体に形成された凸部が脚部の働きをなすため、各板状体を安定して保持することができる。
【0011】
第4の発明によれば、各板状体に、これを重ね合わせたときに他方の板状体と吸着すべく磁石を埋め込んだため、2枚の板状体を簡単かつ確実に重ね合わせることができる。
第5の発明によれば、各板状体を互いに異なる色の樹脂で形成したため、両者の判別が容易となり、例えば一方の板状体を魚用、他方の板状体を野菜用などというように各板状体の使い分けが簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の具体的実施形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1〜図7は、本発明に係る刃物組込型まな板100の実施の一形態を示したものである。
図において符号10は、矩形状をした樹脂製のまな板本体であり、その周面の対向する側面10a、10aには、それぞれ一対の刃物20、20を収容するための収容部40,40を備えた構成となっている。
【0013】
また、このまな板本体10は、同じ形状をした2枚の板状体30、30を互いに分離吸着自在に重ね合わせて形成したものであり、その重ね合わせ面に前記刃物20、20を収容するための収容部40,40が形成されている。
この刃物20は、図4に示すように人が把持するために柄部分21とナイフ状の刃部分22とから構成されており、さらにその柄部分21の端部には貫通孔24が形成された筒状の柄端部23が一体的に形成されている。そして、この柄部分21の柄端部23には、後述するまた板本体30側の突起44と嵌合するスリット状の嵌合溝25が形成されている。
【0014】
一方、収容部40,40は、図3〜図6に示すように幅広の柄収容部41と、この柄収容部41から連続して延びるスリット状の刃収容部42とから構成されており、この柄収容部41に前記刃物20の柄部分21が収容されると共に、刃収容部42に前記刃物20の刃部分22が収容されることで刃物20全体が、まな板本体10内に組込み・取り出し可能な構造となっている。
【0015】
なお、この刃収容部42には、その先端よりさらに奥まで延びる刃先収容部42aが形成されており、刃物20を収容したときに、その刃部分22の刃先がこの刃先収容部42aに収容されるようになっている。つまり、この収容部40に刃物20を収容するときには、刃物20の先端が先に入るように斜め方向から収容部40に差し込み、そして刃物20を収容したときに、その刃部分22のみが飛び出ないような構造となっている。
【0016】
また、この収容部40、40の各柄収容部41、41には、まな板本体10を貫通するような円形の切り欠き43、43が形成されている。そして、図1及び図2に示すように、この収容部40、40にそれぞれ刃物20、20を収容したときにその刃物20、20の柄端部23、23がそれぞれが嵌め込まれると共に、その貫通孔24がまな板本体10が露出するような状態で収容されるようになっている。
【0017】
また、さらに図5及び図6に示すように、この収容部40、40の各柄収容部41、41側であってその重ね合わせ面付近には、各板状体30,30から各柄収容部41、41側に突出する突起44,44が形成されている。そして、この収容部40、40に刃物20を収容したときに、その刃物20の柄部分21に形成されたスリット状の嵌合溝25に各板状体30,30の突起44,44が嵌め込まれるようになっている。
【0018】
また、この板状体30,30内には、図示しない永久磁石が埋め込まれており、これらを図1に示すように重ね合わせたときに互いに吸着するように作用するようになっている。
また、図6に示すように、各板状体30,30の重ね合わせ面の四隅には、凸部31,31,31,31が形成されており、各板状体30,30の重ね合わせたときに、この凸部31,31,31,31が他方の板状体30の凹部32、32,32,32に嵌合するようになっている。
【0019】
なお、この板状体30,30は、いずれも金型成型、射出成型可能な熱可塑性樹脂などによって形成されているが、例えば、一方の板状体30が白で、他方の板状体30が黒または赤などというように互いに異なる色に着色されている。
そして、このような構成をした本発明のまな板100にあっては、以下に示すような優れた作用・効果を発揮する。
【0020】
(1)まな板本体10を2枚の板状体30,30で形成したことから、図3に示すようにこれらの板状体30,30を分離することによってその間に形成された刃物20、20の収容部40,40を露出することができる。これによって、その収容部40,40を簡単に清掃することができるため、その収容部40,40を常に清潔に保つことができ、刃物20の汚れなどを未然に防止できる。
【0021】
(2)各板状体30,30の重ね合わせ面にそれぞれ突起44,44を形成すると共に、刃物20の柄部分21にその突起44と嵌合する嵌合溝25を形成したことから、刃物20を収容部40に収容することによって各板状体30,30が重なり合った状態で拘束される。これによって、まな板本体10や収容した刃物20がばらけたりすることがなくなり、安全かつ確実に保管することができる。
【0022】
(3)まな板本体10を互いに分離可能な2枚の板状体30,30で形成することにより、図7に示すように2枚の板状体30,30をそれぞれ調理用のまな板として同時に使用することが可能となる。
(4)まな板本体10の対向する周面部分10a、10aを、それぞれ刃物20、20によって2枚の板状体30,30が重なり合った状態で拘束することができる。これによって、まな板本体10がばらけたりすることをより確実に防止することができる。
【0023】
(5)図6に示すように、各板状体30,30の重ね合わせ面に、他方の板状体30の凹部32に嵌合する凸部31を複数形成したため、2枚の板状体30,30が重なり合った状態でスライド方向にずれたりすることを確実に防止できる。
(6)図7に示すように、各板状体30,30をそれぞれ分離して用いる場合、各板状体30,30に形成された凸部31,31,31,31が脚部の働きをなすため、各板状体30,30を安定して保持することができる。
【0024】
(7)各板状体30,30に、これを重ね合わせたときに他方の板状体30と吸着すべく磁石を埋め込んだため、2枚の板状体30,30を簡単かつ確実に重ね合わせることができる。
(8)各板状体30,30を互いに異なる色の樹脂で形成したため、両者の判別が容易となる。これによって、例えば一方の板状体30を魚用、他方の板状体30を野菜用などというように各板状体30,30の使い分けが簡単にできる。
(9)不使用時は、刃物20、20の各貫通孔24、24を利用してハンガーなどをに引っかければコンパクトに収容することができる。
【0025】
(10)また、まな板本体10はポリエチレンなどの可撓性の樹脂で形成されていると共に、そのまな板本体10を貫通するように形成される円形の切り欠き43,43の先端は、刃物20,20の柄端部23,23の幅よりもやや狭くなっている。このため、刃物20,20を収容部40に収容する際には、この先端部が撓むように広がってその柄端部23,23を収容することになるが、収容した後は、その先端が元の状態に戻ってその柄端部23,23を保持するように機能する。従って、刃物20,20を収容部40に収容した後は、まな板本体10を傾けたり、軽く揺らした程度では、収容した刃物20、20が簡単に脱落したり、ずれたりすることがなくなり、安全かつ確実に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る刃物組込型まな板100の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る刃物組込型まな板100の実施の一形態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る刃物組込型まな板100の実施の一形態を示す分解斜視図である。
【図4】本発明に係る刃物組込型まな板100を構成する刃物20を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る刃物組込型まな板100を構成する板状体30(外側)を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る刃物組込型まな板100を構成する板状体30(内側)を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る刃物組込型まな板100の使用状態の一例を示す参考斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
100…刃物組込型まな板
10…まな板本体
10a…側面(周面)
20…刃物
21…柄部分
22…刃部分
23…柄端部
24…貫通孔
25…嵌合溝
30…板状体
31…凸部
32…凹部
40…収容部
41…柄収容部
42…刃収容部
42a…刃先収容部
43…切り欠き
44…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まな板本体の周面部分に刃物を収容する収容部を備えた刃物組込型まな板であって、
前記まな板本体を2枚の板状体を分離自在に重ね合わせて形成すると共に、前記各板状体に、前記収容部側に突出する突起をそれぞれ形成し、
前記刃物の柄部分に、当該刃物を前記収容部に収容したときに前記各突起が嵌合する嵌合溝を形成したことを特徴とする刃物組込型まな板。
【請求項2】
請求項1に記載の刃物組込型まな板において、
前記収容部を前記まな板本体の複数の周面部分にそれぞれ形成すると共に、前記板状体には、前記各収容部側に突出する複数の前記突起を形成し、当該各収容部にそれぞれ前記刃物を収容するようになっていることを特徴とする刃物組込型まな板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の刃物組込型まな板において、
前記各板状体の重ね合わせ面に、他方の板状体の凹部に嵌合する凸部を複数形成したことを特徴とする刃物組込型まな板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の刃物組込型まな板において、
前記各板状体に、これを重ね合わせたときに他方の板状体と吸着すべく磁石を埋め込んだことを特徴とする刃物組込型まな板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の刃物組込型まな板において、
前記各板状体を互いに異なる色の樹脂で形成したことを特徴とする刃物組込型まな板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−119780(P2010−119780A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298397(P2008−298397)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(399017005)アイピーストラテジ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】