説明

分光分布調整装置および内視鏡装置

【課題】光源の分光分布を経時的に一定に維持する。
【解決手段】主光源21からライトガイド22に至る光路上にビームスプリッタ31を配置する。RGB成分の出力を制御可能な補正用光源30からの光束をビームスプリッタ31へ入射し、主光源21の光束に加算する。加算された光束をビームスプリッタ31により分岐し、一方をライトガイド22方向に、他方をそれと垂直な方向に分岐する。分岐された光束を、リフレクタ35を介して受光センサ32で受光する。受光センサ32において光束の3刺激値を検出し、補正回路33へ入力する。補正回路33において、メモリ34から読み出された目標3刺激値と受光センサ32で計測された3刺激値と比較し、補正用光源30のRGB成分の出力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の分光分布を補正するための分光分布調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に内視鏡では、光源の光をライトガイドを通して挿入部先端へと導き照明光として利用している。そのため光源の分光分布が変化すると、取得画像のカラーバランスが変化して診察等に悪影響を及ぼす。例えば、切替え可能な2つの光源を備えた電子内視鏡装置では、光源の切替えにより分光分布が変化する。このような電子内視鏡としては、光源毎に予めホワイトバランス調整時の補正データを用意し、切り替えられた光源に合わせてホワイトバランス処理を補正しカラーバランスを一定に維持する構成が知られている(特許文献1)。
【0003】
また内視鏡装置における照明光の分光分布の変化としては、光量調整用の絞りによる影響も知られている。すなわち内視鏡では、一般的光量調整用の絞りを通してライトガイドに光束が入射されるが、光束の分光分布は空間的に一様ではなく、光束の中心ほど色温度が高い。そのため絞りの大きさによりライトガイドへ入射する光の分光分布が変化し、取得画像のカラーバランスが一定しない。このような問題に対しては、絞りの大きさに応じて光路上に補正フィルタを挿脱し、ライトガイドに入射する光の分光分布の変動を抑える構成が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−121549号公報
【特許文献2】特開平7−299028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで光源の分光分布の変化には上述したものの他、経時的なものが存在する。例えば、光源は経時劣化によりその分光分布が変化する。また、照明用の光源には一般的にハロゲンランプやメタルハライドランプ、キセノンランプなどが用いられるが、これらのランプの分光分布は点灯直後から安定するわけではなく、安定するまでには一定の時間が掛かる。
【0006】
本発明は、光源の分光分布を経時的に一定に維持することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分光分布調整装置は、補正用光源と、主光源からの光束に補正用光源からの補正光を加算するための光加算用光学素子と、補正光加算後の光束の一部を受光し、光束の分光分布を表すパラメータを検出する測色手段と、パラメータの目標値を保持するメモリと、検出されたパラメータと目標値に基づいて補正光加算後の光束の分光分布が目標値に一致するように補正用光源の分光出力分布を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
パラメータは、例えば3刺激値XYZであり、補正用光源は、例えばRGB成分可変の光源であることが好ましい。制御手段は、例えば目標とされる3刺激値と検出された3刺激値のX/Y、Z/Yを比較し、この比較に基づき補正用光源のR成分またはB成分の出力調整を行う。また例えば制御手段は、目標とされる3刺激値と検出された3刺激値からそれぞれの色度値を算出し、色度値の比較に基づき補正用光源のRGB成分の出力調整を行う。
【0009】
光加算用光学素子は、ビームスプリッタであり、測色手段で受光される光束は、例えばビームスプリッタにより主光束から分岐された光束である。また補正光加算後の光束は、ライトガイドに入射され、補正光加算後の光束の一部はライトガイドの分岐ファイバ束を介して測色手段において受光される。
【0010】
例えば、主光源の点灯から主光源が安定するまでの所定時間に亘ってのみ連続して制御手段による制御が実行される。また目標値は、前回使用終了時のパラメータの値であることが好ましい。
【0011】
本発明の内視鏡装置は、上記分光分布調整装置を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源の分光分布を経時的に一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の調光装置を搭載した電子内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の分光分布調整装置の構成を示すブロック図である。
【図3】分光分布調整処理全体のフローチャートである。
【図4】補正用光源調整処理のフローチャートである。
【図5】第1実施形態の変形例の補正用光源調整処理のフローチャートである。
【図6】第2実施形態の調光装置を搭載した電子内視鏡装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態の分光分布調整装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の分光分布調整装置を搭載した内視鏡装置の構成を示すブロック図である。なお、図1では、照明系と撮像系に関する一部の構成のみが示され、その他の多くの構成は省略されている。
【0015】
内視鏡装置10は、例えば電子内視鏡であり、可撓管状の挿入部を備えるスコープ11と、スコープ11が着脱自在に接続されるプロセッサ装置12と、プロセッサ装置12に着脱自在に接続されるモニタ13から主に構成される。
【0016】
スコープ11の挿入部先端には例えばCCDなどの撮像素子14が設けられる。撮像素子14の駆動は例えばスコープ11内に設けられた撮像素子駆動回路15からの駆動信号に基づき制御され、撮像素子駆動回路15は、プロセッサ装置12内に設けられたタイミングコントローラ16からのクロック信号に基づいて駆動信号を生成する。撮像素子14の撮像面には撮像レンズ14Aを介して被写体像が形成され、被写体像の画像信号が生成される。
【0017】
撮像素子14から出力される画像信号は、例えばスコープ11内のアナログフロントエンド(AFE)17を介してデジタル信号に変換され、プロセッサ装置12内の前段映像信号処理回路18に送られる。前段映像信号処理回路18では、ホワイトバランス処理を含む従来周知の所定の画像処理が映像信号に施され、画像メモリ19に一時的に保持される。
【0018】
画像メモリ19に保持された映像信号は、所定のタイミングで後段映像信号処理回路20へと出力される。後段映像信号処理回路20において映像信号は所定規格の映像信号へと変換され、例えばモニタ13へと出力される。なお、前段信号処理回路18、画像メモリ19、後段映像信号処理回路20における一連の処理は、タイミングコントローラ16からのクロック信号に基づいて行われる。
【0019】
一方、被写体像の撮影に必要な照明光は、例えばプロセッサ装置12内に設けられた主光源21から、スコープ11内に配設されたライトガイド(光ファイバ)22を通してスコープ11の挿入部先端まで伝送される。挿入部先端まで伝送された光は照明レンズ22Aを介して被写体に向けて照射される。また本実施形態では、主光源21とライトガイド22の入射端との間の光路上に、分光分布調整装置23、絞り24、集光レンズ25などの光学素子が配置され、主光源21から照射された光はライトガイド22の入射端に集光される。
【0020】
なお、主光源21には、例えばハロゲンランプやメタルハライドランプ、キセノンランプなどが用いられる。
【0021】
図2は、分光分布調整装置23の構成を示すブロック図である。分光分布調整装置23は、主に補正用光源30、ビームスプリッタ(光加算用光学素子)31、受光センサ(検出手段)32、補正回路(制御手段)33、メモリ34から構成される。なお、本実施形態の分光分布調整装置23には、更にリフレクタ35が設けられるが、リフレクタ35は省くことも可能である。
【0022】
主光源21のランプ21Aから照射された光は直接に、または反射鏡21Bで反射されてライトガイド22に向けて照射される。主光源21とライトガイド22の間の光路上には、光束を横切るようにビームスプリッタ31が配置される。ビームスプリッタ31は例えばハーフミラーであり、主光源21からの光束の一部はビームスプリッタ31を透過してライトガイド22の入射端に向けて導かれる。一方、残りの一部は所定方向、例えば主光源21からの光束に対し垂直方向に反射され、リフレクタ35を介して受光センサ32へと導かれる。
【0023】
また、補正用光源30からの光は、ビームスプリッタ31に向けて、例えば主光源21の光束の一部が反射された所定方向に一致する方向に照射される。すなわち、補正用光源30からの光束は、ビームスプリッタ31のハーフミラーに対し、主光源21からの光束が入射する面とは反対側の面から入射する。補正用光源30からの光は、その一部は反射されてビームスプリッタ31を透過した主光源21からの光束に加算され、図1に示した絞り24、集光レンズ25を介してライトガイド22に入射される。一方、補正用光源30からの光束の残りの一部は、ビームスプリッタ31を透過してビームスプリッタ31で反射された主光源21の光束に加算され、リフレクタ35を介して受光センサ32へと導かれる。
【0024】
なお、本実施形態では、ハーフミラーは主光源21からの光束の主軸および補正用光源30からの光束の主軸に対し45°の傾きを有するが、図2のハーフミラーはその配置を示すもので、反射面の角度は模式的なものである。
【0025】
受光センサ32は、分光分布に対応するパラメータ出力を行うセンサであり、本実施形態では例えばパラメータとして3刺激値XYZを出力する色彩センサが用いられる。受光センサ32から出力された3刺激値XYZは、補正回路33に入力される。また、メモリ34には上記パラメータの目標値(目標3刺激値)が保存されており、補正回路33において受光センサ32から出力されたパラメータ(3刺激値)の値と比較され、これに基づいて補正用光源30の分光出力が調整される。
【0026】
なお、目標値としては、例えば前回使用終了時のパラメータの値(実測された3刺激値)が用いられる。また、補正用光源30としては、相対分光分布が制御可能な光源であればよいが、本実施形態では例えばRGBチップ搭載のLED光源が用いられる。
【0027】
次に図3、図4のフローチャート(および図2)を参照して、分光分布調整装置23を用いた本実施形態の分光分布調整処理について説明する。
【0028】
図3のフローチャートは、本実施形態の分光分布調整処理全体を示すもので、主光源21が点灯されると所定の時間間隔で繰り返し実行される。ステップS100では、メモリ34から目標光源色(目標分光分布)に対応する目標パラメータ値、すなわち本実施形態では目標3刺激値(X0,Y0,Z0)が補正回路33によって読み出される。ステップS102では、色彩センサである受光センサ32で検出された3刺激値(X1,Y1,Z1)が補正回路33に入力される。
【0029】
ステップS102では、主光源21から出射された光の測色が受光センサ32において行われ、実際の3刺激値が計測される。なお、補正用光源30が点灯されているときには、主光源21の光に補正用光源30の光を加算したものの3刺激値が計測される。
【0030】
ステップS104では、補正回路33に入力された目標3刺激値(X0,Y0,Z0)と実測された3刺激値(X1,Y1,Z1)とに基づき補正用光源30の調整処理が実行され、その後処理はステップS102に戻り、同様の処理が繰り返される。
【0031】
図4は、補正用光源調整処理(ステップS104)における処理内容を示すフローチャートである。
【0032】
補正用光源調整処理では、まずステップS200において目標3刺激値のX0、Y0の比X0/Y0の値が、実測された3刺激値のX1、Y1の比X1/Y1と異なるか否かが判定される。X0/Y0=X1/Y1のときにはステップS202において目標3刺激値のZ0、Y0の比Z0/Y0の値が、実測された3刺激値Z1、Y1の比Z1/Y1と異なるか否かが判定される。Z0/Y0=Z1/Y1のときには、目標3刺激値(X0,Y0,Z0)の比と実測された3刺激値(X1,Y1,Z1)の比が等しく、実測された分光分布が略目標値に等しいと考えられるので、本処理は補正用光源30の調整を行うことなく終了し、図3のステップS102において測色が行われた後、本処理が繰り返される。なお、ステップS200、S202の判定は、例えば|X0/Y0−X1/Y1|、|Z0/Y0−Z1/Y1|が所定値以内であるか否かで判定される。
【0033】
一方、ステップS200において、X0/Y0がX1/Y1に等しくないと判定されたときには、ステップS204において、X1/Y1の値がX0/Y0よりも小さいか否かが判定される。X1/Y1の値がX0/Y0よりも大きいときには、実測されたX成分、すなわち赤色(R)成分の比率が目標値よりも高いので、ステップS206において、補正用光源30の赤色(R)成分の光源の明るさが所定の値低減され、この処理は終了する。なお本実施形態では、RGBチップ搭載のLED光源が用いられるため、R成分のLED電流の値が所定量低減される。
【0034】
また、ステップS204において、X1/Y1の値がX0/Y0よりも小さいときには、実測されたX成分、すなわち赤色(R)成分の比率が目標値よりも低いので、ステップS208において、補正用光源30の赤色(R)成分の光源の明るさが所定の値増大され、この処理は終了する。すなわち本実施形態では、R成分のLED電流の値が所定量増大される。
【0035】
一方、ステップS200においてX0/Y0がX1/Y1に等しいと判断されるとともにステップS202において、Z0/Y0がZ1/Y1に等しくないと判定されたときには、ステップS210において、Z1/Y1の値がZ0/Y0よりも小さいか否かが判定される。Z1/Y1の値がZ0/Y0よりも大きいときには、実測されたZ成分、すなわち青色(B)成分の比率が目標値よりも高いので、ステップS212において、補正用光源30の青色(B)成分の光源の明るさ(B成分のLED電流値)が所定の値低減され、この処理は終了する。
【0036】
また逆にZ1/Y1の値がZ0/Y0よりも小さいときには、実測されたZ成分、すなわち青色(B)成分の比率が目標値よりも低いので、ステップS214において、補正用光源30の赤色(R)成分の光源の明るさ(B成分のLED電流値)が所定の値増大され、この処理は終了する。
【0037】
以上のように、第1実施形態によれば、主光源の経時的な分光分布の変化に合わせて補正光源の分光分布を制御することで、光源の分光分布を経時的に一定に維持することができる。特に本実施形態では受光センサに3刺激値を出力する色彩計を用いることで、より低価格で本発明を構成することができる。
【0038】
なお本実施形態では、明るさに最も影響する緑色(G)に対応するY値を基準として分光分布の調整を行い、G成分の明るさを一定に維持している。
【0039】
図5に、第1実施形態の変形例である補正用光源調整処理のフローチャートを示す。第1実施形態では、3刺激値におけるYを基準としたX、Zの比に基づいて補正用光源の調整を行い分光分布の調整を行ったが、変形例では色度値(x,y)を用いて調整を行う。なお変形例では図3のステップS104の内容が、図4から図5に置き換わるが、その他の構成は第1実施形態と同様でありその説明を省略する。
【0040】
ステップS300では、3刺激値の値からそれぞれ目標色度値(x0,y0)および実測色度値(x1,y1)が算出される。すなわち、x=X/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z)の式に、目標3刺激値(X0,Y0,Z0)、実測3刺激値(X1,Y1,Z1)をそれぞれ代入することで目標色度値(x0,y0)および実測色度値(x1,y1)が求められる。
【0041】
ステップS302、S304では、x1がx0と異なるか、y1がy0と異なるか否かがそれぞれ判定される。x1=x0、y1=y0のとき(例えば|x1−x0|、|y1−y0|<所定値)には、実測された色度が目標色度に等しいので、補正用光源30の調整を行うことなく本処理は終了する。一方、ステップS302において、x1がx0に等しくないと判定されるときには、ステップS306において、x1がx0よりも大きいか否かが判定される。
【0042】
x1がx0よりも大きいときには、目標値に比べ実測値のR成分が相対的に大きいと考えられるため、ステップS308において、R(赤)成分の光量(電流値)を所定量低減する、あるいはB(青)成分の光量(電流値)を所定量増大してこの処理は終了する。また、ステップS306においてx1の値がx0よりも小さいと判定された場合には、目標値に比べ実測値のR成分が相対的に小さいと考えられるため、ステップS310において、R(赤)成分の光量(電流値)を所定量増大する、あるいはB(青)成分の光量(電流値)を所定量低減してこの処理は終了する。
【0043】
一方ステップS302においてx1がx0に等しいと判断されるとともにステップS304においてy1がy0に等しくないと判断されたときには、ステップS312においてy1がy0よりも大きいか否かが判定される。y1がy0よりも大きいときには、目標値に比べ実測値のG成分が相対的に大きいと考えられるため、ステップS314において、G(緑)成分の光量(電流値)を所定量低減してこの処理は終了する。また、ステップS312においてy1の値がy0よりも小さいと判定された場合には、目標値に比べ実測値のG成分が相対的に小さいと考えられるため、ステップS316において、G(緑)成分の光量(電流値)を所定量増大してこの処理は終了する。
【0044】
以上のように、本変形例においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本変形例において、R成分を増加(低減)するか、B成分を低減(増加)するかは任意であるが、例えば目標色度(x0,y0)と一致させるのに、定格電流からの可変値が小さい方が選択される構成とすることもできる。
【0045】
次に図6、図7を参照して本発明の第2実施形態の分光分布調整装置を搭載した電子内視鏡装置について説明する。なお、図6は第2実施形態の電子内視鏡装置の構成を示すブロック図であり、図6では、照明系と撮像系に関する一部の構成のみが示され、その他の多くの構成は省略されている。
【0046】
第1実施形態では、ビームスプリッタ31(図2参照)で主光束から分岐された主光源21または主光源21および補正用光源30からの光が受光センサ32で検知されたが、第2実施形態では、ライトガイド42を介した照明光を受光センサ32で検知して補正用光源の調整が行われる。なお、その他の構成に関しては第1実施形態または第1実施形態の変形例と同様であり、同一の構成については同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0047】
図6に示されるように、第2実施形態において、ライトガイド42は、その一部のファイバ束42Aが例えばスコープ40のプロセッサ装置41との接続に用いられるコネクタ40A内で分岐され、コネクタ40A内に設けられた受光センサ32に入射された光の一部が照射される。なお受光センサ32は、コネクタ40Aを介して電気的にプロセッサ装置41内の分光分布調整装置43に接続され、スコープ装着時に第2実施形態の分光分布調整装置43の一部を構成する。
【0048】
図7は、第2実施形態の分光分布調整装置43の構成を示すブロック図である。なお、本図において絞り24や集光レンズ25は省略されている。主光源21、補正用光源30、光加算用光学素子としてのビームスプリッタ31の配置は第1実施形態と略同様であり、ビームスプリッタ31を介した主光源21からの光および補正用光源30からの光は、集光レンズ25(図6)を通してライトガイド42の入射端に集光される。
【0049】
前述したように、ライトガイド42を構成する光ファイバ束の一部は、スコープ40のコネクタ40A(図6)内において分岐ファイバ束42Aとして分岐され、その出射端からは、受光センサ32に入射された光の一部が照射される。一方、分岐ファイバ束42A以外のライトガイド本体は、スコープ40の挿入部先端にまで配設され、その先端からは被写体Sに向け照明光が照射される。
【0050】
受光センサ32で実測された3刺激値(X1、Y1、Z1)は、補正回路33へ入力され、メモリ34の目標3刺激値(X0、Y0、Z0)との比較により、第1実施形態または変形例と同様の方法で、補正用光源30のRGB光の各出力が調整される。
【0051】
以上のように、第2実施形態においても第1実施形態およびその変形例と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態では、ライトガイドを通した光を受光センサで測色しているので、ライトガイドの劣化による分光分布の変化も補正することができる。
【0052】
なお、第2実施形態ではライトガイドを通した光を測色するので、目標パラメータ値(3刺激値)として、前回使用終了時のパラメータ値(実測3刺激値)を用いる変わりに、スコープのシリアル番号を取得し、シリアル番号に対応した目標値をメモリから読み出す構成とすることもできる。
【0053】
なお、本実施形態では、分光分布を表すパラメータとして3刺激値XYZを用いたが、分光分布を表すパラメータであれば3刺激値以外のものも利用可能である。また受光センサには、色彩計の他、例えば分光測色計も利用できる。また補正用光源も計測されたパラメータに合わせて分光分布を制御できるものであれば、RGB成分を可変とする光源に以外のものであってもよい。
【0054】
本実施形態では電子内視鏡を例に説明を行ったが、イメージガイドを利用する内視鏡の光源装置に対しても本発明を適用することができ、光源装置がプロセッサ装置から独立した電子内視鏡システムに対しても適用できる。また、内視鏡以外の光源装置にも適用可能である。
【0055】
なお、図2、図7では、ビームスプリッタが主光源からの光束全体を横切るように描かれているが、光束の中心の一部分のみを横切る構成とすることも可能である。また、第2実施形態の分岐ファイバ束および受光センサをプロセッサ装置内に配置することも可能である。
【0056】
本実施形態の分光分布調整処理は、点灯開始から光源が安定するまでの所定時間に亘ってのみ実行する構成とすることもできる。また、所定時間内のみ連続的に実行され、その後は光源やライトガイドの経時劣化による変動を補正するために5分〜10分など、一定間隔をおいて調整される構成であってもよく、この場合、補正が行われる頻度(間隔)は調整可能とされてもよい。
【0057】
また、主光源の光量よりも補正用光源の光量の方が大きくなった場合に、主光源交換の警告(警告音や警告表示)を発する構成とすることもでき、これは例えば補正用光源の電流値等を監視することにより行われる。
【符号の説明】
【0058】
10 電子内視鏡装置
11 スコープ
12 プロセッサ装置
13 モニタ
14 撮像素子
21 主光源
22 ライトガイド
23 分光分布調整装置
30 補正用光源
31 ビームスプリッタ(光加算用光学素子)
32 受光センサ
33 補正回路
34 メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
補正用光源と、
主光源からの光束に前記補正用光源からの補正光を加算するための光加算用光学素子と、
前記補正光加算後の光束の一部を受光し、前記光束の分光分布を表すパラメータを検出する測色手段と、
前記パラメータの目標値を保持するメモリと、
検出された前記パラメータと前記目標値に基づいて前記補正光加算後の光束の分光分布が前記目標値に一致するように前記補正用光源の分光出力分布を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする分光分布調整装置。
【請求項2】
前記パラメータが3刺激値XYZであることを特徴とする請求項1に記載の分光分布調整装置。
【請求項3】
前記補正用光源がRGB成分可変の光源であることを特徴とする請求項2に記載の分光分布調整装置。
【請求項4】
前記制御手段が、目標とされる3刺激値と検出された3刺激値のX/Y、Z/Yを比較し、前記比較に基づき前記補正用光源のR成分またはB成分の出力調整を行うことを特徴とする請求項3に記載の分光分布調整装置。
【請求項5】
前記制御手段が、目標とされる3刺激値と検出された3刺激値からそれぞれの色度値を算出し、前記色度値の比較に基づき前記補正用光源のRGB成分の出力調整を行うことを特徴とする請求項3に記載の分光分布調整装置。
【請求項6】
前記光加算用光学素子がビームスプリッタであり、前記測色手段で受光される前記光束が、前記ビームスプリッタにより主光束から分岐された光束であることを特徴とする請求項3に記載の分光分布調整装置。
【請求項7】
前記補正光加算後の光束がライトガイドに入射され、前記補正光加算後の光束の一部が前記ライトガイドの分岐ファイバ束を介して前記測色手段において受光されることを特徴とする請求項3に記載の分光分布調整装置。
【請求項8】
前記主光源の点灯から前記主光源が安定するまでの所定時間に亘ってのみ連続して前記制御手段による制御が実行されることを特徴とする請求項3に記載の分光分布調整装置。
【請求項9】
前記目標値が、前回使用終了時のパラメータの値であることを特徴とする請求項1に記載の分光分布調整装置。
【請求項10】
請求項1に記載の分光分布調整装置を備えたことを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−90878(P2013−90878A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236214(P2011−236214)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】