説明

分割可能な浸透性剤形及びその使用方法

2個の使用可能な半分の強度の錠剤に分割可能であるように製造される、例えば浸透性送達系の、特殊な医薬剤形について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これまで2個の使用可能な半分の強度の錠剤に分割可能であることは開示されていない、例えば、錠剤で使用される浸透圧送達系等の特殊な医薬剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
半透性膜に設けられた出口ポートを具え、該膜が、活性薬物と、水性流体を吸収し、膨潤して、出口ポートを通じて該薬物を送達する浸透性組成物とを含む組成物を取り囲む、錠剤のような特定の層状剤形が開発されている。この浸透性薬物送達系の一実施例は、薬物組成物と、異なる、隣接する層として膨潤可能な浸透性組成物とを提供する。不活性な賦形剤で形成される浸透性層は膜内に保持され、浸透性層が膨潤し、膜内の空隙に一致するとき薬物層を押し出す。このような系は、例えば、米国特許第4,765,989号、同第4,783,337号、同第5,082,668号、同第5,200,194号及び同第5,795,591号に記載されており、これらはそれぞれAlza Corporationに発行され、その全文を参照することにより本明細書に組み込むものとする。これらの浸透性送達系は周知であり、業界では一般に商品名OROS(商標)と呼ばれている。OROS送達系の変形としては、1個を超える出口ポートを設ける、出口ポートに可溶性の栓を設ける、並びに、薬物の放出速度を制御するために活性及び不活性層の組成を変化させることが挙げられる。送達系は、特に溶解度の低い薬物の送達に適用することができる。
【0003】
これらのOROS系及びこのような系を使用する剤形は、単位用量に相当することに特に留意すべきである。これらの浸透性送達錠剤を破断すると、この技術の徐放性特性が損なわれるため、Procardia XL(商標)及びGIucotrol XL(商標)の添付文書に反映されているように、特に製造業者又は製品の販売業者は推奨していない。
【0004】
上記のような送達特性が組み込まれ、また分割可能な錠剤であって、分割された錠剤部分(本明細書では「タブレッテ(tablette)」と呼ぶ)が、錠剤内に収容された薬物の実質的に同じ放出動態を保持する錠剤を提供することは、層状又は浸透性錠剤技術における重要かつ予想外の改良を意味するであろう。このように有利な錠剤及び製造方法及びこれらの錠剤の使用が本明細書に示されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、3又はそれ以上の層と3又はそれ以上のセグメントを具える医薬錠剤に関する。「タブレッテ」、「層」及び「セグメント」という用語は、その全文を参照することにより本明細書に組み込むものとする、国際公開第05/112,870号、同第05/112,897号、同第05/112,898号、同第05/112,900号及び同第06/038,916号に提供されている定義及び説明に従って用いられる。層又はセグメントは、破断された剤形のそれぞれの部分が、破断前の完全な錠剤内の組成物の薬物放出特性と実質的に同じ薬物放出特性を保持する、分割可能な浸透性剤形を提供するように構成される。したがって、薬物放出特性は、完全な錠剤を、部分的な用量を含有する錠剤部分(タブレッテ)に破断することにより、実質的に変化しない。これらの実質的に同等である薬物放出特性は、無傷の剤形内の2個の活性セグメント間に位置する、剤形内の分割可能なセグメントを提供することにより、達成し得る。半透性膜は、完全な剤形の総て又は一部を取り囲むことができ、好ましくは少なくとも活性セグメントを取り囲む。
【0006】
別の実施例では、コーティング及び出口ポートを具える浸透性錠剤を製造することができ、その後1個の錠剤を(出口ポートの反対側の端部で)、活性薬物を含有してもしなくてもよく、また複数の層を含んでも含まなくてもよい、好ましくは刻み目の入ったリンカ片の一端に接着接合することができるだろう。別の錠剤を、反対の表面のような、(出口ポートの反対側の端部で)リンカに接着接合することができるだろう。
【0007】
典型的には、薬物の量及び薬物の具体的な種類は、錠剤の両端で同一であろうが、当業者は構造又は製造方法を変更し、それぞれの活性セグメントに異なる薬物又は薬物の組み合わせを提供することができる。
【0008】
本発明は、多層でありコーティングされた錠剤用の、当該技術分野において既知である製造方法に関する。更に、該方法は、例えば破断セグメントのような、錠剤の一部からコーティングを除く;又は、1又はそれ以上のセグメント、好ましくは破断セグメント(上記層3)に刻み目をつけて、任意の錠剤の破断を補助すること等により、変更することができる。刻み目は、錠剤の圧縮中又は製錠後に形成することができる。
【0009】
本発明は更に、中間セグメント(必ずしもそうではないが、通常中間層でもある)を貫いて錠剤を破断する方法に関する。本発明は更に、本明細書に記載の構造を含む、投与量全体から得られる分割量で患者を治療する新規治療方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】図1Aは、本発明による、3層/3セグメントのコーティングされた圧縮錠剤の断面(長軸方向中心線を通る)を示す。
【図1B】図1Bは、刻み目を有する、図1Aの剤形の変形を示す。
【図1C】図1Cは、中間層/セグメントをコーティングするコーティングを示す、図1Aの錠剤の変形である。
【図1D】図1Dは、刻み目が膜コーティングに形成される、図1Cの剤形の実施例を示す。
【図1E】図1Eは、2個の別々のタブレッテを提供する、中間層/セグメントを貫いて破断された、図1Aの剤形を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による、5層/5セグメントのコーティングされた圧縮錠剤の断面(長軸方向中心線を通る)を示す。
【図2B】図2Bは、2個の別々のタブレッテを形成する、中間層/セグメントを貫いて破断された、図2Aの剤形を示す。
【図2C】図2Cは、水性流体(HO)の流入及び出口ポートからの薬物の流出を示す、図2A及び図2Bの剤形のタブレッテを示す。
【図3A】図3A−Dは、2個の浸透性錠剤部分を共に接着することにより製造される、本発明による剤形の実施例を示す。図3Aは第1及び第2層/セグメント並びに層/セグメントをコーティングしている半透性膜を具える第1錠剤部分を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aと実質的に同じ錠剤部分であるが、膜が第1及び第2層/セグメント全体を取り囲む錠剤部分を示す。
【図3C】図3Cは、剤形のタブレッテへの破断を促進するリンカセグメントを示す。
【図3D】図3Dは、図3A、3B及び3Cに示す錠剤部分とリンカとを共に接着することにより製造される完全な剤形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、分割された後でさえ、完全な錠剤のような薬物放出特性を保持する、容易に分割可能な浸透性錠剤を提供することにより、制御された薬物放出、多くの場合ゼロ次放出のための既知の「プッシュプル(push−pull)」及び関連する浸透性系の有用性を強化する。好ましい一実施例では、本発明は、典型的には不活性である分割可能なリンカにより共に接合された、2個の実質的に同じ2又はそれ以上の系に関する。これらの系は、多層錠剤成形機を用いて順次各層を形成することにより、又は、各2層又は3層部を別々に形成し、次いで各部分をリンカに接着又はそうでなければ隣接させることにより、調製することができる。
【0012】
したがって、本発明は、第1層(セグメント)が1又はそれ以上の活性薬物を含み、第2層(セグメント)が典型的に不活性組成物を含むが、組成物中に薬物を含んでもよい、2層系に関することができる。好ましい実施例では、2個の実質的に同じ層状薬物送達系が、不活性リンカの両端で隣接して、完全な剤形を形成する。したがって、2個の2層系は、好ましくは不活性で、かつ、刻み目の入った組成物を含むリンカにより接合される。リンカはまた、刻み目が入っていなくてもよいが、好ましくは手で、又は、ナイフ、カミソリ若しくは市販の錠剤分割装置のような刃のついた器具を用いることにより、容易に破断することができる組成物を含む。
【0013】
本発明による典型的な系は、剤形の1又はそれ以上のセグメント上に、コーティングとして半透性膜を具える。錠剤のセグメントは、圧縮後にコーティングすることができる。膜の目的は、流体を中に入れ、それにより典型的には不活性な層を膨潤させ、活性層に対する浸透勾配を生じさせることである。活性層の1又はそれ以上の傷、穴、出口ポート等が薬物を流出させる。活性層自体が即時放出組成物を含んでもよく、又は、例えばマトリクス若しくは微粒子錠剤製剤内で、制御された放出性を有してもよい。
【0014】
本発明の典型的な5層(及び5セグメント)錠剤は、以下のように調製することができる:
層1:薬物の少なくとも半分の治療量を含む(顆粒のような)活性組成物。顆粒は、即時放出型であってもよく、マトリクス製剤のように内因的に制御された放出型であってもよい。
層2:好ましくは実質的に薬物を含まない、膨潤可能な物質から形成される、膨張「プッシュ」層。
層3:容易に破断可能なセグメントを提供する、好ましくは実質的に薬物を含まない組成物。該組成物は、不浸透性マトリクスのように実質的に非活性であってもよく、膨潤可能であってもよい。
層4:層2と同一。
層5:層1と同一。
【0015】
半透性膜は、次いで、パンコーティング若しくはスプレーコーティングのような既知の技術のいずれかを用いて、又は、層3を把持し、錠剤をコーティング溶液に浸漬することを含むことができるような技術の変形により、錠剤又は錠剤の特定のセグメントに適用される。
【0016】
上記剤形の総ての組成物は、薬剤的に許容可能な成分を含む。このような薬剤的に許容可能な成分は、例えば、参照することにより組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences 20th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(2000)に記載されている。
【0017】
1又はそれ以上の出口ポート(穴、錠剤の外側の傷等)は、典型的には、層1及び層5上のコーティング層を貫いて剤形の両端に作製され、前記ポートを通して薬物が錠剤から出る。多くの場合、出口ポートはレーザで作製される。典型的には、半透性膜は、膜を通じて実質的にいかなる量の薬物も流出させないが、水は錠剤の中に入れる。系の外側から内側への、水のような流体の侵入を調節するのに用いられる高分子膜は、多孔質並びに半透性であってよい。
【0018】
層3の組成物は、所望により、薬物を含有することができる。最も好ましい実施例では、薬物を含有しない。層3は、所望により及び好ましくは、刻み目又は印刷された印のような分離マークを有してよい。これらは、上記国際公開第05/112,870号に開示されている。
【0019】
望ましくかつ技術的に実行可能であるとき、多層錠剤成形機を用いて他の層を錠剤に付加して使用可能な錠剤を製造してもよい。
【0020】
本発明に従って、破断可能なセグメントを提供するように他の種類の浸透性錠剤を作製することもできる。例えば、上記5層/セグメントと同様の構成の浸透性剤形であるが、活性層の薬物が、その水性環境から流体を浸透圧的に吸収し、半透性膜のポートを通して流出することにより分配される浸透性剤形である;しかしながら、これらの3層又は3セグメント剤形は、別々の層又はセグメントとして、別々の膨潤可能な「プッシュ」組成物を含まない。
【0021】
代表的な構成を添付図面に示す。図1Aは、好ましくは浸透性組成物を含む、第1活性層/セグメント10と;好ましくは不活性である、実質的に非活性な組成物を含む第2不活性層/セグメント11と;好ましくは第1層/セグメントと実質的に同一である第3層/セグメント12とを含む、3層/セグメントの、コーティングされた圧縮錠剤の断面(長軸方向中心線を通して)を示す。層状組成物は、第1及び第3層/セグメント上にコーティングされ、好ましくは第2層/セグメントに接触している半透性膜(又は接触していない場合、複数の膜)13a及び13bを含む。膜13a及び13bは、また、それぞれ、剤形の各端部に形成され、好適な環境下にあるとき、活性層から薬物を流出させる出口ポート14a及び14bも含む。
【0022】
図1Bは、中間の、第2層/セグメントに形成された刻み目15を含む、図1Aの剤形の変形を示す。
【0023】
図1Cは、中間の、第2層/セグメントを更にコーティングするコーティング16を示す、図1Aの剤形の変形を示す。
【0024】
図1Dは、刻み目17が膜コーティング16に形成された、図1Cの剤形の実施例を示す。
【0025】
図1Eは、中間の、第2層/セグメントを貫いて、2個の別々のタブレッテに破断された、図1Aの剤形を示す。好ましくは、半透性膜部分13a及び13bは、剤形が第2セグメントを貫いて破断されるときでさえ、水性流体の薬物組成物を含有する区画への流入に続いて、活性組成物の浸透性機能が、薬物の流出を提供するように、層組成物10、11及び12に関してその一体性を保持する。
【0026】
図2A−2Cでは、5層/セグメント剤形を示す。図2Aは、第1活性層/セグメント20と;好ましくは水性環境下で膨潤可能である又は膨張する浸透性組成物を含む、第2不活性層/セグメント21と;好ましくは不活性であり、実質的に非活性な組成物を含む、第3層/セグメント22と;好ましくは実質的に第2層/セグメントと同一である第4層/セグメント23と;好ましくは実質的に第1層/セグメントと同一である第5層/セグメント24とを具える、5層/5セグメントである、コーティングされた圧縮錠剤の断面(長軸方向中心線を通して)を示す。層状組成物は、第1、第2、第4及び第5層/セグメント上にコーティングされ、好ましくは第3層/セグメントに接触している半透性膜(又は接触していない場合複数の膜)25a及び25bを具える。膜25a及び25bはまた、それぞれ、剤形の各端部に形成されて、好適な環境下にあるとき活性層から薬物を流出させる、出口ポート26a及び26bも具える。5層/セグメント錠剤のこの実施例はまた、中間の第3層/セグメントに形成された刻み目27を具える。
【0027】
図2Bは、中間の第3層/セグメントを貫いて破断され、2個の別々のタブレッテ28a及び28bを形成する、図2Aの剤形を示す。好ましくは、半透性膜部分25a及び25bは、剤形が第2セグメントを貫いて破断されるときでさえ、水性流体の剤形への流入に続いて、浸透性組成物の浸透性機能が、活性層からの薬物の流出を提供するように、層組成物20〜24に関してその一体性を保持する。浸透性組成物は、環境から水性流体を吸収し、それによって膨張し、剤形の出口ポートを通して活性薬物を押し出すための「プッシュ」層を形成する。水性流体(HO)の流入及び出口ポートからの薬物の流出を図2Cに示す。
【0028】
本発明の別の実施例、つまり2個の浸透性錠剤部分を共に接着することにより製造される剤形を図3A〜3Dに示す。図3Aでは、好ましくは浸透性「プッシュ」組成物を含む第1層/セグメント31と、好ましくは活性薬物組成物を含む第2層/セグメント32とを含む第1錠剤部30が提供され、これは層/セグメントをコーティングする半透性膜を有する。膜コーティングは、その中に形成された出口ポート34を具える。図示するこの実施例では、膜は第1層/セグメント31を完全には取り囲まない。錠剤部30又は図3Bに示すような錠剤部35と同一である第2錠剤部を提供することができる。錠剤部35は、膜コーティング36が錠剤部35全体を取り囲むことを除いて、錠剤部30と実質的に同一である。更に、錠剤部(例えば、30及び35)を隣接させ、セグメント37を貫いて容易に分割することができる単一の剤形38(図3D)を形成するために、好ましくは容易に破断することができる実質的に非活性な組成物を含む、又は、図3Cに示すようなセグメントを貫く破断を促進する刻み目を具えるリンカセグメント37を提供することができる。
【0029】
本発明による剤形の製造では、破断可能な錠剤は、Korsch TRP900多層錠剤成形機のような、好適な錠剤成形機により形成することができる。製造プロセスは、3個のセグメントが生じる3層で、又は、少なくとも3個、典型的には5個のセグメントが生じる5層で完了することができる。第1(最下)活性セグメントは、1又はそれ以上の層から形成することができる。第2不浸透性マトリクス/場合により膨潤可能なセグメントは、1又はそれ以上の層から形成することができる(これは、1個又は2個以上のセグメントを形成することができる)。第3(最上)活性浸透性セグメントは、1又はそれ以上の層から形成することができる。次いで、錠剤を、好適な半透性膜で、コーティングされた錠剤分野の当業者に周知である方法により、好適なコーティングパン内でコーティングする。次いで、上述のようなレーザ又は幾つかの適切な機械的手段を用いて、錠剤の活性端部に、適切な大きさの穴を作製する。続いて、「プッシュ/プル」型「OROS」錠剤について上述したように、錠剤に所望により印刷する及び/又は刻み目をつける。
【0030】
本発明の別の実施例では、上述のような2層系を、異なる薬物層若しくはセグメントに、異なる1又はそれ以上の薬物若しくは異なる放出パターンの同じ1又はそれ以上の薬物を含むもののような異なるプッシュプル系に、又は即時放出組成物に、連結させることができる。
【0031】
ニフェジピン、アムロジピン、他のジヒドロピリジン、グリピジド及び他のスルホニル尿素、メチルフェニデート及び他のビグアニドのような多くの薬物が、本発明の2層又は3層系に好適である。本明細書のいかなる記述も、剤形のいずれかの部分に存在する1又はそれ以上の薬物の種類を制限することを意味するものではない。
【0032】
本発明では、幾つかの製造方法を使用することができる。これらとしては、以下のものが挙げられる。
【0033】
1.2層(2個のセグメント)又は3層(2個又は3個のセグメント)構造を錠剤成形機内で作製し、成形機から取り出し、半透性膜又は他の好適なコーティングで系をコーティングして、徐放機能を実現する。レーザ、機械的器具又は他の好適な方法で、膨潤可能でありかつ通常不活性である層又はセグメントに対立する、第1層又はセグメントに穴を作製する。
【0034】
それぞれが剤形であってよい、上記構造のうち2個を取り、シェラック若しくはEudragitのような好適な生物学的に安全な接着物質又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いて、2個の構造を、穴の反対端で2個の錠剤の間に位置する第3構造に接合させる。この第3連結構造は、大きさ、形状、色、薬物の存在又は非存在、胃液又は腸液への溶解度のような事項に関して制限されない。多くの好ましい実施例では、選択的分割を補助することが意図又は特徴とされるであろう。
【0035】
典型的には、共に連結して最終的な剤形を形成する2個の錠剤は、この実施例では、薬物及び前記薬物の用量のような、総ての物質の観点で同一である。
【0036】
2.異なる好ましい実施例では、上記構造の1個を、従来の単層圧縮錠剤、異なるプッシュプル型系又は薬物を含有する他の構造であってよい、異なる構造に接着接合する。
【0037】
3.成形機内で、本発明の剤形を、ドイツのKorsch AGにより製造された TRP900のような5層成形機を用いて作製することができる。7層成形機も技術的に実現可能であり、作製されたときには同様に使用することができる。
【0038】
好ましい5層、5セグメントの実施例では、剤形の最下層を形成する組成物がダイに入る。それは1又はそれ以上の薬物を含有し、膨潤可能な層ではない。この層は、標準的な技術によって突き固めてもよく、又は、軽く圧縮してもよい。膨潤可能な組成物を含む第2層が、前記第1層の上のダイに入る。再度突き固めてもよい。種々の組成物の第3層がダイに入る。最も好ましい実施例では、第3層は薬物を含まない。第3層は、不浸透性物質であってよい。第3層は、膨潤可能な特性を有してよい。次いで、第4層が前記第3層の上のダイに入る。第4層は、第2層と同一であってよい。これらの層のいずれかを突き固めてもよい。前記第1、最下端層と同一であってよい第5、最上端層が、次いでダイに入り、最終的な圧縮を行う。
【0039】
錠剤形成に続いて、錠剤のコーティング、又は少なくとも第1及び第2並びに第4及び第5層(ここでは第2及び第4セグメントと呼ぶ)のコーティング、好ましくは、所望により第4層を除く総ての層(セグメント)のコーティングを行う。コーティングプロセス中、錠剤を無傷な状態に保つよう注意する。錠剤をコーティングする1の方法は、用具で第3層(セグメント)を把持し、錠剤を、溶液であってよいコーティング溶媒に錠剤を浸漬し、適切な時間、前記溶媒中に錠剤を保持することである。
【0040】
本発明の5層剤形の連結中間(第3)層の特徴は、限定されない。重要な検討事項は、膨潤可能な第2及び第4層である。浸透力は、より膨潤が第1(又は第5)隣接層(セグメント)から離れる方向に移動するにつれて、プッシュ特性を弱める可能性がある。この現象について適切に考慮することが必要であり、中間セグメントが、中間層と錠剤をコーティングしている半透性膜との間をしっかりと接触させ、薬物の放出に顕著な影響を及ぼすことなく中間層の移動を防ぐのに丁度十分な膨潤能を有することを必要とする可能性がある。
【0041】
所望により及び好ましくは、剤形作製後に、連結セグメント(層又は場合により複数の層)に刻み目を入れる。これは、ナイフ又は手持ち式用具で達成することができる。例えば横断する様式で、錠剤又は圧縮後の他の剤形に刻み目を入れ、所望により印刷するための、KaplanとSolomonにより開示されている装置は、刻み目を入れるのに適切な方式で用いることができる。堅い又は弾力性のある半透性膜で剤形全体を取り囲む場合、刻み目領域内の膜を研磨することが必要になる可能性がある。
【0042】
最上及び最下層(例えば、上記例の第1及び第5層)への穴又は出口ポートの作製は、典型的には、レーザで行われる。他の機械的、化学的又は他の技術も利用できる。セグメントあたりの穴の数を制限することは意図していない。
【0043】
本発明の剤形を使用する好ましい方法は、対象とするユーザが、その全体を摂取することである。別の好ましい使用法は、リンカセグメントを破断し、次いで、必要に応じて、形成されたタブレッテ(破断された錠剤部分)のいずれかを摂取することである。
【0044】
本発明の剤形又は層では、任意の好適な1又はそれ以上の薬物を用いることができる。好適な薬物の一覧は、多くの場所で入手可能である。SolomonとKaplanのPCT出願に幾つか列挙されている。Physicians’ Desk Reference(2006年)には、多くの好適な薬物又は複合薬が列挙されている。
【0045】
本発明の剤形又は錠剤のサブユニット若しくは層は、それ自体、薬物又は薬物を含有する組成物と外面的に層状であってよい。
【0046】
本明細書に記載した改良点及び実施例が総ての可能性を包含できないことは、薬学分野及び医学分野の当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.薬剤的に有効な量の1又はそれ以上の薬物を含み、前記1又はそれ以上の薬物を経由させて放出するための少なくとも1の出口ポートを有するコーティングを具える、最上及び最下層と;
b.膨潤可能な1又はそれ以上の物質を含む、前記最上及び最下層の間の1又はそれ以上の中間層と;
c.2又はそれ以上の膨潤可能な中間層がある場合に、中間層の組成物と異なる非活性又は不活性組成物を含み、前記2又はそれ以上の中間層の間に位置する任意の破断層と;
を具える医薬錠剤を含むことを特徴とする剤形。
【請求項2】
a.薬物を含み、前記薬物用の1又はそれ以上の出口ポートを選択的に具え、最下層を表す、コーティングされた第1層と;
b.当該第1層上に配置され、膨潤可能で薬剤的に許容可能な組成物を含む第2層と;
c.膨潤可能な層上に配置され、刻み目のような分離マークの非活性又は不活性で薬剤的に許容可能な組成物を含む第3層と;
d.当該第3層上に配置され、膨潤可能で薬剤的に許容可能な組成物を含む第4層と;
e.薬物を含み、前記薬物用の1又はそれ以上の出口ポートを選択的に具え、最上層を表す、コーティングされた第5層と;
を具える医薬錠剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
a.少なくとも約半分の治療量の薬物を含む1又はそれ以上の層を具える、コーティングされた最下部の第1セグメントと;
b.少なくとも1の膨潤可能な物質を含み、前記最下の第1セグメント上に配置され、かつ、隣接する第2セグメントと;
c.当該第2セグメント上に配置され、かつ、隣接する第3セグメントと;
d.当該第3セグメント上に配置され、かつ、隣接し、膨潤可能な物質を含む第4セグメントと;
e.当該第4セグメント上に配置され、かつ、隣接し、少なくとも半分の治療量の薬物を含み、前記薬物用の少なくとも1の出口ポートを具える、コーティングされた最上部の第5セグメントと;
を実質的に具えることを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項4】
前記コーティングが、剤形の総て又は一部の周囲に半透性膜を形成することを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
前記中間層の間に位置する層が実質的に薬物を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
前記中間層の間に位置する層が実質的に不浸透性組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の剤形。
【請求項7】
a.請求項1に記載の錠剤を提供するステップと;
b.前記錠剤の不活性層を貫いて破断し、前記無傷な活性層と、前記不活性層の破断又は分割された部分とを提供するステップと;
により、無傷の活性層内の、薬物の部分的な用量を得る方法であって、前記部分的な用量が、完全又は無傷の剤形内の層が示すのと実質的に同一の放出特性を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記部分的な用量が、半分の用量であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無傷の活性セグメントと、請求項1に記載の錠剤の不活性セグメントを貫いて破断することにより形成された、不活性セグメントの破断又は分割された部分とを含むことを特徴とするタブレッテ。
【請求項10】
前記活性セグメントが、完全な剤形から分離した後、破断又は分割されていない完全な又は無傷の錠剤内のセグメントが示すのと同一の薬物放出特性を実質的に提供することを特徴とする、請求項9に記載のタブレッテ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A−3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2010−511627(P2010−511627A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539492(P2009−539492)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/085967
【国際公開番号】WO2008/067485
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(508144875)エーシーシーユー−ブレイク テクノロジーズ,インク. (5)
【Fターム(参考)】