説明

分岐合流装置

【課題】搬送物の搬送方向を変更する際に、同一搬送レベルで搬送物を直交方向に分岐させることができ、クリーン条件下での使用に適する分岐合流装置を提供する。
【解決手段】スタンダードフレーム4上に、搬送物搬入方向に回転する多数のホイールを並設した外側コンベヤ11と、外側コンベヤ11のフレーム10内に内側コンベヤ12のフレーム20を遊合状態に配置して外側コンベヤのホイール16と干渉を起こすことなく外側コンベヤ11の搬送方向と直交する方向に回転する多数のホイール22を配置する。搬入方向と直交する方向にワークを分岐させるときに、内外のフレーム20、10を交互に搬送レベルに上昇させて静止させたのち、搬入方向と直交する側の搬送用ホイール22を駆動することにより搬送レベルを変更せずに分岐搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交する方向に搬送用ホイール群の高さレベルが変更可能で、搬送物の搬送レベルを変更せずに、搬入方向と直交する方向に分岐させるときに、搬送用ホイール群の上下動時の衝撃を避けるようにしたクロスコンベヤに関し、特に、クリーン条件下で發塵発生を抑制しながら搬送物を直交方向に分岐させることのできる分岐合流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物を直交方向に分岐させる分岐合流装置は、X方向(搬入方向)のローラコンベヤの各ローラ間に、Y方向(分岐方向)に搬送できるホイールコンベヤ又はベルトコンベヤを浮き出し可能に組み込んだものが使用されている(例えば特許文献1、特許文献2)。また、分岐合流点でコンベヤの高さを変化させているときに、貨物重量にクロスコンベヤの自重を加えたものをリフトアップ、ダウンさせねばならないので、直交して組み込んだローラコンベヤとホイールコンベヤを交互に搬送レベルと待機レベルとの間に昇降させてコンテナ等の貨物の分岐搬送において同一レベルで主搬送ラインから分岐ラインに搬送させるようにしたものも知られている(例えば特許文献3)。
一方、コンベヤのフレーム間に多数の搬送ローラを取付け、一方のフレーム側面に沿って駆動軸を配置し、駆動軸の長手方向に多条スパイラル状に着磁した多数の円筒を一定間隔に嵌装すると共に、各搬送ローラの軸端に多条スパイラル状に着磁され、且つ駆動軸側の着磁円筒に対し非接触状態の従動側円筒を設け、駆動軸の回動により着磁円筒間の磁性動力伝達により搬送ローラを回動させることにより、発塵を起こすことがない搬送装置も知られている(例えば特許文献4)。
【0003】
【特許文献1】特許第2825801号公報(第1頁右欄7行〜第2左欄12行、図4)。
【特許文献2】特開2004−26378号公報(第4頁23〜34行、図4、図5)。
【特許文献3】実用新案登録第2591674号公報(第4頁左欄33行〜第5頁右欄31行、図1、図4)。
【特許文献4】特許第2949493号公報(第2頁左欄44行〜右欄32行、図1、図4)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネル、プラズマデスプレイなどの大形の基板用硝子は成形から加工を通して慎重に取扱い、特に、搬送時に下から支持しながら駆動搬送するローラやホイールは搬送ワークに対しソフトタッチで衝撃を避ける必要がある。しかしワークの生産量増加のため可能な限りの高速搬送も求められる。このようなワークを、特許文献1、2のように、分岐点でワークを昇降させると、高速で搬送するほど上下動衝撃によって破損する。特許文献3では、同一レベルで主搬送ラインから分岐ラインに搬送させる構成となっているが、コンテナ貨物のごとき重量物の分岐搬送を対象としているため分岐点コンベヤの上下動に大きな駆動力を必要とするばかりか、コンベヤホイール等の駆動伝達部が露出していて伝達ギヤから発塵を抑制できないためクリーン条件下での基板硝子搬送ラインに適しない。このため、マグネットリング等によるギヤを用いてクリーン条件下での分岐搬送に適し、さらに高速搬送させても衝撃を与えない装置の出現が望まれている。
本発明は、直交する方向に搬送用ホイール群の高さレベルが変更可能で、搬送物の搬送レベルを変更せずに、搬入方向と直交する方向に分岐させるときに、搬送用ホイール群の上下動時の衝撃を避け、且つ發塵発生を抑制しながら分岐搬送できるようにした分岐合流装置またはクロスコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、スタンダードフレーム上に、搬送物搬入方向または分岐方向に回転する多数のホイールを並設した外側コンベヤと、外側コンベヤのフレーム領域内に遊合状態に配置されて、前記外側コンベヤのホイールと干渉を起こすことなく前記外側コンベヤの搬送方向と直交する方向に回転する多数のホイールを並設した内側コンベヤとを配置し、搬入方向と直交する方向にワークを分岐させるときに、前記内側又は外側コンベヤを外側又は内側コンベヤと同じ搬送レベルに上昇させたのち外側又は内側コンベヤを下降させて内側又は外側コンベヤのホイールを駆動することにより搬送レベルを変更せずに分岐搬送するようにした分岐合流装置において;前記外側及び内側コンベヤフレーム内には、多数のマグネットギヤを一定間隔に装着したホイール駆動軸と、各ホイールの軸に固着されて前記駆動側マグネットギヤと非接触状態で回動される従動マグネットリングとにより構成されるホイール駆動手段を設け、前記コンベヤフレームの上下切換え時に、一方のフレームがワーク搬送レベルに達して安定したのちに他方のフレームを下降させてホイール群の上下動時にワークへ衝撃を避けるようにしたフレーム昇降手段を備えた、ことを特徴とする分岐合流装置である。
【0006】
請求項2は、前記フレーム昇降手段が、外側コンベヤフレーム領域内下部の4隅近くのベースプレート(5)に設けた少なくとも4組の内側及び外側フレーム昇降用のカムであって、該カムは内側及び外側フレームに関し互いに180度位相ずれした板カム又は円弧カムと、前記内外コンベヤフレーム下部の各4隅近く設けられて前記カムに当接するフォロアローラと、カム駆動部とからなり;各カムの一斉回動により、搬送レベル以下に待機させておいた外側または内側のコンベヤフレームを昇降させて、前記両コンベヤを短時間搬送レベルに維持させたのち、先に搬送レベルにあった内側または外側コンベヤフレームを待機レベルに下降させるようにした請求項1に記載の分岐合流装置である。
【0007】
請求項3は、前記外側コンベヤのホイール駆動手段が下記の構成よりなっている。すなわち、外側コンベヤ駆動モータ(6)に連結され、かつ前記外側フレーム(10)の搬入方向に当たる一方の長手方向に沿って設けた駆動軸(13)と、前記駆動軸(13)と直交する方向のフレーム間に所定間隔をおいて並架され、かつそれぞれ複数の搬送用ホイール(16)を固着した支持軸(15)と、前記駆動軸(13)の長手方向に間隔をおいて固着され、かつ表面に数条のN、S極をスパイラル状に着磁させたマグネットギヤを構成する多数の第1のマグネットリング(13a)と、前記支持軸(15)の各軸端に固着されて前記第1のマグネットリング(13a)の回動により非接触状態で駆動されてX軸方向搬送用ホイール(16)を一斉に回動させる第2のマグネットリング(15a)とを有し;前記内側コンベヤのホイール駆動手段は、内側コンベヤの駆動モータ(9)に連結されて内側フレーム(20)の一方の長手方向内側又は外側に横架したホイール中間駆動軸(23)と、前記中間駆動軸(23)と直交する方向の内側フレーム内に並架した多数のホイール支持梁(21)と、各支持梁(21)の一方の側壁長手方向一定間隔毎に突出させた多数のホイール支持軸(26)と、各ホイール支持軸(26)に回動自在に支持されたY軸方向搬送用ホイール(22)と、前記中間駆動軸(23)に設けられて表面に数条のN、S極をスパイラル状に着磁させたマグネットギヤを構成する多数の第3のマグネットリング(23a)と、前記内側フレーム内に間隔をおいて並設されたY軸方向分岐搬送用のホイール駆動軸(25)であって、内側フレームの外部に突出させた軸端に前記第3のマグネットリング(23a)によって非接触状態で回動される第4のマグネットリング(24a)を備えた多数のY軸方向搬送用ホイール駆動軸(25)と、前記Y軸方向搬送用ホイール(22)の取付け位置のホイール駆動軸(25)に嵌装した多数の第5のマグネットリング(25a)と、前記ホイール支持軸(26)に挿合されるホイール(22)の筒軸部であって、前記第5のマグネットリング(25a)の回動により非接触状態で駆動されて各Y軸方向搬送用ホイール(22)を一斉に回動させる第6のマグネットリング(22a)とを有している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の分岐合流装置である。
さらに、請求項4は、前記内側及び外側フレームの搬送物搬入方向及び分岐方向の後端と、これに対向する前記ベースプレート(5)との間に、フレームの高さ移動を検出する昇降センサ(46、47)を設けた請求項1または2に記載の分岐合流装置である。
上記内側及び外側コンベヤは、ホイールコンベヤに限らず重厚なワークを搬送する場合には一方または双方をローラコンベヤに代えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
液晶パネル、プラズマデスプレイなどの基板用薄板硝子は、成形から加工に至る間の分岐搬送時の上下動に伴って起きる衝撃を避ける必要があるが、本発明は、直交する方向に搬送用ホイール群の高さを交互に変更可能とし、搬入方向と直交する方向に分岐または合流させるときに、搬送用ホイール群の上下動時のワークへの衝撃を避けると共に、発塵発生を抑制しながら搬送することができる。また、分岐部において搬送方向への搬送用ホイールの復帰も、分岐用ホイールと搬送用ホイールの高さの変更が迅速にできることから、ワークの進行方向変更に掛かる時間を短縮するので、搬送能力に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明分岐合流装置の正面図、図2は図1の側面図、図3は平面図である。
この分岐合流装置は、ベース枠の上部に複数のアジャスタ3、3を介して4角枠形のスタンダードフレーム4を水平に載置し、その内側4隅に設けたベースプレート5、5にそれぞれ2個1対のカムを備えた昇降手段30、30を設けて第1(外側)のホイールコンベヤ11内に第2(内側)のホイールコンベヤ12を上下遊合状態に配置する。図示例のコンベヤはフレームその他の主要な構成部材を軽金属製とし、4角枠形の外側コンベヤ11の内側に第2のコンベヤ12を上下交換可能に重ね合わせ、外側フレームとなる外側コンベヤのフレーム10には搬送物搬入方向(X軸方向)に回転する多数のホイール16を並設し、内側フレームとなる第2のコンベヤのフレーム20にはホイール16と干渉を起こすことなく分岐搬送方向(Y軸方向)に回転する多数のホイール22を並設してある。
第1、第2のコンベヤフレーム10、20にはホイール駆動用モータ6、9をそれぞれ設け、また、ワーク搬出方向のフレーム端にスタンドまたはポール40を立ててワーク通過検出用のオプトセンサ41を取付けてある。なお、図4について後述するように、1つのベースプレート5にカム駆動用モータ(ブレーキ付モータ)33を設けると共に、ベースプレート5、5間には、内外フレームの昇降時に各カムの同期回動を確保するため、駆動用モータのギヤヘッド33に連なる駆動軸34及びギヤボックス35を設け、さらにギヤボックス35から導出されて複数の軸受36に支持されたカム連動軸37,38を配置する。
【0010】
内外フレーム領域内の下部4隅近くのベースプレート5、5に設けた昇降手段30の各カムを同期回転させることにより前記内外フレーム20,10を平行状態に保持したまま互いに逆方向に昇降させて、両コンベヤを同一搬送レベルに交互に切り換えるようにしている。
フレーム昇降用のカム31は互いに180度位相ずれした板カム又は円弧カムで、両カムの一斉回動により内外いずれか一方の待機レベルにあるフレームを上昇させて両フレームを一定高さレベルに維持させたのち、他方のフレームを待機レベルに下降させる。上下フレームの搬送物搬入方向及び分岐方向後端と、これに対向するベースとの間に、フレームの高さ移動を検出する昇降センサを設けるほか、フレームの下部に昇降センサ44、46(図6、7参照)を取付けてある。
【0011】
図4は図3から第1、第2のコンベヤのフレーム、ホイール群並びにフレーム昇降手段等を省略して示したスタンダードフレーム4の平面図である。
スタンダードフレーム4の一隅にあるベースプレート5にカム駆動用のブレーキ付き軸方向変換装置付モータ33を固着し、このベースプレートと対向する位置のベースプレート間にX軸方向の1本の横軸34をモータの軸方向変換装置を貫挿して駆動可能に渡し、その両端をギヤボックス35、35に挿入する。各ギヤボックス35、35の前後面からY軸方向に延びて、それぞれ軸受36、36に支持された2本のカム駆動軸37、38を導出する。各カム駆動軸37,38には間隔をあけて少なくとも4個、計8個のカム作動式のフレーム昇降手段30、30(図6、7参照)を固着する。フレーム周辺の4個の昇降手段30は外側フレーム10を、又はフレーム内側の4個の昇降手段30は内側フレーム20の昇降動を案内するもので、それぞれカムの近くにガイドポスト28、28を設けてある。
前述のように、内側フレーム20のカム31と外フレームのカム31は互いに180度位相をずらしてあり、図10(b)について後述するように、位相ずれした各カムの一斉回動により内外のフレーム10、20のうち、搬送レベル以下にあった外側又は内側フレームを搬送レベルに上昇させて内外フレームを短時間搬送レベルに維持させたのち、先に搬送レベルにあった内側又は外側フレームを下降させる。なお、カム駆動軸41にはエンコーダ又は光透過式のカム回動角センサ(図示省略)を取付け、Xドッグ44、Yドッグ46とストライカ45によって構成される昇降センサの代わりに昇降を検知するセンサとしても良い。
【0012】
本発明の用途、特徴を要約すると下記のとおりである。
分野:クリーンルーム内の硝子基板(LCD/PDP)搬送に適している。
用途:薄板硝子(例えば、W=1500〜1550mm、L=1800〜1850mm、t=0.5〜3.0mm程度)の平面搬送での分岐合流をはかる。
特徴:(a)搬送面の高さを変えず分岐または合流させる、すなわち、ワークを分岐させる場合には、搬入コンベヤで分岐点まで運ばれて停止すると、分岐コンベヤを上昇させてワークを支持し、搬送側ホイールが下降するのと同時に分岐コンベヤを駆動して分岐させる。(b)搬送ワークに対するコンベヤ昇降時の衝撃を減少させ、(c)ワークの進行方向変更に掛かる時間を短縮して搬送能力を向上させる、(d)搬送ローラをマグネットギヤ方式の非接触駆動として発塵発生を抑制する、(e) 装置昇降は1台の駆動装置と連結軸及びカム板で構成されている。
【0013】
図5は本発明分岐合流装置の概略を示す部分的拡大斜視図である。
分岐合流装置1は、ベース枠2上にアジャスタ3を用いて取付けたスタンダードフレーム4の上に、外側コンベヤのフレーム10内に内側コンベヤのフレーム20を配置し、かつ両コンベヤフレームを遊合状態、すなわち交互に昇降可能に重ね合わせ状態に載置する。
〔外側フレームと外側ホイールの構成〕 外側コンベヤフレーム10は、ワーク搬入方向(X軸方向)の縦枠10a、10aと分岐方向(Y軸方向)の横枠10b、10bとで内側フレーム(内フレーム)20の外周を包囲する大きさの4角枠状に形成されている。横枠10b、10b間に数本の補強用ビーム17(図5は縦枠10a寄りのビームのみを示している)を固着し、その長手方向一定間隔ごとに支持板18、18(図3,4では17個×3列)を立設し、内側フレーム20を挟んで立てた支持板18、18に、それぞれ支持軸15を支持させる。この支持軸15はワーク搬入方向(X軸方向)に回転する複数の搬送用ホイール16、16(図2では13個)を取付けている。支持軸15と直交する縦枠10aの外壁には、数個の軸受14によって支持され、かつ一定間隔に駆動側の第1のマグネットリング13a、13aを備えた正逆駆動可能な駆動軸13を横架する。さらに、支持軸15における一方の各軸端側は縦枠10aを貫通して突出させ、その端部には、直交する前記駆動軸13側の第1のマグネットリング13aにより非接触で駆動され回動させられる第2のマグネットリング15aを設ける。
【0014】
各支持軸15に取付けられたホイール16、16群は、その頂部分で形成される面が同一高さの搬送面または待機面を維持するように正確に組み付けられており、駆動モータ6(図1,6)によって正逆駆動される駆動軸13の回転により、非接触で回転力を伝達する第1と第2マグネットリング13a、15aを介して支持軸15を回動することにより、各搬送用ホイール16群を同方向、同速で回転させることができる。
【0015】
〔内側フレームと内側ホイールの構成〕 内側のコンベヤフレーム20は、ワーク搬入方向(X軸方向)の縦枠20a、20aと分岐方向(Y軸方向)の複数のホイール支持梁21とでいかだ状に枠形成されており、各々が平行する複数のホイール支持梁21、21(図3では8本)を各々所定の間隔で締結パイプ27にクランプを介して固着し、各支持梁21の長手方向に沿ってそれぞれY軸方向に正逆回転可能な複数のY軸方向搬送用ホイール22(図3では13個)を取付ける。各支持梁21の下辺近くの数箇所(図3では2ヶ所)に締結パイプ27を貫装しクランプ27aで固定する。
支持梁21の一方の側面長手方向に、間隔をあけて芯軸26、26を固着してY軸方向搬送用ホイール22を片持ち状に保持する。すなわち、Y軸方向搬送用ホイール22の中心に、永久磁石の帯状N,S極を交互にスパイラル状に着磁させた第6のマグネットリング22aを固着し、これをホイール支持軸26に挿合して各Y軸方向搬送用ホイール22、22を取付ける。Y軸方向搬送用ホイール22、22の外延を、支持梁21の上辺より僅かに突出させ、突出した各Y軸方向搬送用ホイール群の頂部分で形成される面が同一高さの搬送面または待機面を維持するように、また、フレームの昇降によって内外のホイール及びホイール駆動軸は互いに干渉しないように正確に組み付けられている。
なお、図5に示すように、縦枠20aの上辺部には、内側コンベヤフレーム20の上昇時に、外側フレームに支持された支持軸15との干渉を避けるための切欠(逃げ)29、29を設けている。
【0016】
また、ホイール支持軸26、26の下部に当たる支持梁21の側面ほぼ全長に渡ってY軸方向搬送用ホイール駆動軸25を設け、この駆動軸25にはY軸方向搬送用ホイール22側の各第6のマグネットリング22aと対応する位置で、これと直交する方向にN,S極をスパイラル状に着磁させた第5のマグネットリング25aを設けて第6のマグネットリング22aに対し非接触態に配置する。さらに、各Y軸方向搬送用ホイール駆動軸25の一端をX軸方向の縦枠20aから突出させて、それぞれ前と同じ構成の従動側の第4のマグネットリング24aを固着する一方、Y軸方向搬送用ホイール駆動軸25を突出させた側の縦枠20aの長手方向に沿って配置され、かつ駆動モータ9(図1,6)によって正逆駆動される中間駆動軸23に前記各第4のマグネットリング24aと直交して非接触で回転力を伝達する第3のマグネットリング23a、23aを固着する。駆動軸25の他端はホイール支持梁21からブラケットで支持された軸受で支持される。したがって、中間駆動軸23を回動させると第3と第4のマグネットリング23a、24bを介して各Y軸方向搬送用ホイール駆動軸25を回動し、マグネットリング25a、22aを介して各Y軸方向搬送用ホイール22、22を同方向、同速で回転させることができる。なお、上記コンベヤは、ホイールに限らず重厚なワークを搬送する場合にはローラに代えてもよい。
【0017】
図6は図4のA―A線より矢印方向に見た拡大正面図で、Y軸方向搬送用ホイール22及びその駆動軸25を省略して示してある。X軸方向搬送用コンベヤホイール16の駆動軸13は、図8に示すように、駆動用モータ6の出力軸、歯車列7および駆動軸13に固着した歯車(スクリューギヤ)7aを介して回動される。そして外側コンベヤの各ホイール16、16は、非接触で回転力を伝達する駆動軸13に固着したマグネットリング13a、15cを介して支持軸15を回動する。そして外側フレーム10が上昇位置にあるときに各ホイール16,16の上縁で形成されるラインによってワークを例えば搬送方向Xに搬送する。昇降手段30におけるガイドポスト28とカムフォロア32はブロック28aに保持され、カム31の回転時には、ガイドポスト28に沿って外側フレーム10を正確に上昇、下降させる。Xドッグ44、Yドッグ46とストライカ45によって構成された昇降センサはフレームの対角ポストに各フレームに2点2位置に配置されているが、2点以上配置してもよく、また、光透過孔形に限らず、光電スイッチ等のタイプのものでもよい。なお、カム駆動軸41にはエンコーダ又は光透過式のカム回動角センサ(図示省略)を取付け、Xドッグ44、Yドッグ46とストライカ45によって構成される昇降センサの代わりに昇降を検知するセンサとしても良い。
なお、フレームの外面に組み込まれた駆動用モータ6の出力軸、歯車列7を含む部分は、図8に示すようにカバー8で囲んで駆動歯車により発塵した場合に装置内に飛散したり付着したりすることを防止している。
【0018】
図7は図4のB―B線より矢印方向に見た拡大正面図、図9はY軸方向搬送用ホイール22の駆動部とフレ−ム昇降機構の拡大正面図である。内側コンベヤのホイール駆動軸25を駆動する中間駆動軸23は、図9に示す駆動用モータ9の出力軸と噛み合う歯車の回転によって駆動されるもので、図5について説明したように、中間駆動軸23に設けた各第3、第4のマグネットリング23a、24aを介してホイール駆動軸25に取付けた第5のマグネットリング25aを回転させ、各ホイール22の軸に固着した第6のマグネットリング22aを非接触で回転させる。内側フレーム20が上昇位置にあるときに各ホイール22、22の上縁で形成されるラインによってワークを例えば搬送方向Yに搬送する。
図示例では、搬送物搬入方向に回転する多数のホイール16を並設した外側コンベヤ11と、外側コンベヤ11のフレーム領域内に、内側コンベヤ12を遊合状態に配置して分岐方向に回転する多数のホイール22を並設した場合を示したが、内側コンベヤを搬送物搬入方向とし外側コンベヤを分岐方向に搬送するように変更しても差し支えない。
【0019】
図10はリフト用カム機構を示すもので、(a)は拡大正面図、(b)はカム線図である。
フレーム昇降手段30は、前述したように、カム31と、フォロアローラ32とで構成されており、内外コンベヤを同一搬送レベルに交互に切り換えるようしている。そのためカム31,31は互いに180度位相ずれした板カム又は円弧カムで、両カムの一斉回動により内外いずれか一方の待機レベルにあるフレームを上昇させて両フレーム10、20を一定高さレベルに維持させたのち、他方のフレームを待機レベルに下降させる。すなわち、図10(b)は、外フレーム10のX軸用カムの変位を上段横軸に、内フレーム20のY軸用カムの変位を下段横軸にし、縦軸に回転角(0〜2π)をとって示したカム線図であり、カムの1回転によって180度ズレた位置で両カムの変位がピークになって現れている。
このため、上流から搬送されたワークWを分岐合流装置上で搬入方向に直進させるときには、搬送レベルに維持された外側のコンベヤ11によって下流に送出され、直交する方向に分岐させるときには、内側のコンベヤ12を上昇させワーク搬送レベルに達して安定したのちに外側のコンベヤ11を下降させ、上下動時に生じるワークへの衝撃を避けるようにしたのち搬送レベルに上昇し静止した側の搬送用ホイール群を駆動することにより搬送レベルを変更せずに分岐搬送することより、分岐合流装置のワークへの衝撃解消と駆動部の発塵を防止して高品質・薄物ワークの分岐搬送の信頼性を高く保持させることが可能である。
【0020】
上記のように、本発明は、ベース上に、方形枠をなす内側フレーム間に搬送物搬入方向に回転する多数のホイールを並設した内側ホイールコンベヤと、内側フレームの外周に配置された方形枠をなす外側フレームであって搬入方向Xと直交する方向Yに回転する多数のホイールを装着した外側コンベヤとを上下転換可能に配置する。外側コンベヤの各フレームの下部4隅近くにカム機構を備えたフレーム昇降手段を配置し、それぞれブラケットを介して複数のフォロアローラを取付けると共に、前記ベースに前記ローラコンベヤのフレームに沿って対向配置される。内外フレームのカムは、互いに180度位相ズレしており、カム軸を同期回転することにより内外コンベヤを同一搬送レベルに交互に切り換える。内外フレームの搬送物搬入とこれと直交する方向にはマグネットリングを一定間隔に嵌着した駆動軸を縦横に並設すると共に、内第1の軸端に駆動軸側のマグネットリングと非接触状態で駆動される従動マグネットリングを解して内外いずれかのホイールを駆動して起こすことなくワークを直進又は分岐方向に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明分岐合流装置の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のホイール群並びにフレーム昇降手段等を省略して示したスタンダードフレームの平面図である。
【図4】図3の搬送ローラ群を省略して示した平面図である。
【図5】本発明分岐合流装置の概略を示す部分的斜視図である。
【図6】図4のA―A線より矢印方向に見た拡大正面図である。
【図7】図4のB―B線より矢印方向に見た拡大正面図である。
【図8】X軸方向搬送用ホイール駆動部の拡大正面図である。
【図9】Y軸方向搬送用ホイール駆動部とフレ−ム昇降機構の拡大正面図である。
【図10】リフト用カム機構を示すもので、(a)は拡大正面図、(b)X軸、Y軸用カムを総合して示したカム線図である。
【符号の説明】
【0022】
1 分岐合流装置 2 ベース枠
3 アジャスタ 4 スタンダードフレーム
5 ベースプレート 6 外側コンベヤ駆動用モータ
7 歯車列 8 カバー
9 内側コンベヤ駆動用モータ 10 外側フレーム
10a、20a X軸方向縦枠 10b、20b Y軸方向横枠
11 外側コンベヤ 12 内側コンベヤ
13 駆動軸 14、23b 軸受
13a、14a、14b、15a マグネットリング
15 ホイール軸 16、22 コンベヤホイール
17 ビーム 18 支持板
20 内側フレーム 21 支持梁
22a、23a、24b,25a マグネットリング
23 ホイール中間駆動軸 25 ホイール駆動軸
26 ホイール支持軸(芯軸) 27 連結パイプ
27a クランプ 28 ガイドポスト
28a ブロック 29 切欠
30 昇降手段 31 カム
32 フォロアローラ 32a 保持部材
33 ブレーキ付モータ 34 駆動軸
35 ギヤボックス 36 軸受
37、38 連動軸 39 連結パイプ
40 スタンド(ポール) 41 ワーク通過検出用オプトセンサ
42 シャフト 43 カム回動角センサ
44、46 昇降センサ(Xドッグ、Yドッグ)
45、47 ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンダードフレーム上に、搬送物搬入方向又は分岐方向に回転する多数のホイールを並設した外側コンベヤと、外側コンベヤのフレーム領域内に遊合状態に配置されて、前記外側コンベヤのホイールと干渉を起こすことなく前記外側コンベヤの搬送方向と直交する方向に回転する多数のホイールを並設した内側コンベヤとを配置し、搬入方向と直交する方向にワークを分岐させるときに、前記内側又は外側コンベヤを外側又は内側コンベヤと同じ搬送レベルに上昇させたのち外側又は内側コンベヤを下降させて内側又は外側コンベヤのホイールを駆動することにより搬送レベルを変更せずに分岐搬送するようにした分岐合流装置において、
前記外側及び内側コンベヤフレーム内には、多数のマグネットギヤを一定間隔に装着したホイール駆動軸と、各ホイールの軸に固着されて前記駆動側マグネットギヤと非接触状態で回動される従動マグネットリングとにより構成されるホイール駆動手段を設け、前記コンベヤフレームの上下切換え時に、一方のフレームがワーク搬送レベルに達して安定したのちに他方のフレームを下降させてホイール群の上下動時にワークへ衝撃を避けるようにしたフレーム昇降手段を備えた、ことを特徴とする分岐合流装置。
【請求項2】
前記フレーム昇降手段は、外側コンベヤフレーム領域内下部の4隅近くのベースプレート(5)に設けた少なくとも4組の内側及び外側フレーム昇降用のカムであって、該カムは内側及び外側フレームに関し互いに180度位相ずれした板カム又は円弧カムと、前記内外コンベヤフレーム下部の各4隅近く設けられて前記カムに当接するフォロアローラと、カム駆動部とからなり、
各カムの一斉回動により、搬送レベル以下に待機させておいた外側または内側のコンベヤフレームを昇降させて、前記両コンベヤを短時間搬送レベルに維持させたのち、先に搬送レベルにあった内側または外側コンベヤフレームを待機レベルに下降させるようにした請求項1に記載の分岐合流装置。
【請求項3】
前記外側コンベヤのホイール駆動手段は、
外側コンベヤ駆動モータ(6)に連結され、かつ前記外側フレーム(10)の搬入方向に当たる一方の長手方向に沿って設けた駆動軸(13)と、
前記駆動軸(13)と直交する方向のフレーム間に所定間隔をおいて並架され、かつそれぞれ複数の搬送用ホイール(16)を固着した支持軸(15)と、
前記駆動軸(13)の長手方向に間隔をおいて固着され、かつ表面に数条のN、S極をスパイラル状に着磁させたマグネットギヤを構成する多数の第1のマグネットリング(13a)と、
前記支持軸(15)の各軸端に固着されて前記第1のマグネットリング(13a)の回動により非接触状態で駆動されてX軸方向搬送用ホイール(16)を一斉に回動させる第2のマグネットリング(15a)とを有し;
前記内側コンベヤのホイール駆動手段は、
内側コンベヤの駆動モータ(9)に連結されて内側フレーム(20)の一方の長手方向内側又は外側に横架したホイール中間駆動軸(23)と、
前記中間駆動軸(23)と直交する方向の内側フレーム内に並架した多数のホイール支持梁(21)と、
各支持梁(21)の一方の側壁長手方向一定間隔毎に突出させた多数のホイール支持軸(26)と、
各ホイール支持軸(26)に回動自在に支持されたY軸方向搬送用ホイール(22)と、
前記中間駆動軸(23)に設けられて表面に数条のN、S極をスパイラル状に着磁させたマグネットギヤを構成する多数の第3のマグネットリング(23a)と、
前記内側フレーム内に間隔をおいて並設されたY軸方向分岐搬送用のホイール駆動軸(25)であって、内側フレームの外部に突出させた軸端に前記第3のマグネットリング(23a)によって非接触状態で回動される第4のマグネットリング(24a)を備えた多数のY軸方向搬送用ホイール駆動軸(25)と、
前記Y軸方向搬送用ホイール(22)の取付け位置のホイール駆動軸(25)に嵌装した多数の第5のマグネットリング(25a)と、
前記ホイール支持軸(26)に挿合されるホイール(22)の筒軸部であって、前記第5のマグネットリング(25a)の回動により非接触状態で駆動されて各Y軸方向搬送用ホイール(22)を一斉に回動させる第6のマグネットリング(22a)とを有している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の分岐合流装置。
【請求項4】
前記内側及び外側フレームの搬送物搬入方向及び分岐方向の後端と、これに対向する前記ベースプレート(5)との間に、フレームの高さ移動を検出する昇降センサ(46、47)を設けた請求項1または2に記載の分岐合流装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−312507(P2006−312507A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135154(P2005−135154)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】