説明

分散供給装置

【課題】第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に過不足が生じるのを防止することができる分散供給装置の提供を目的とする。
【解決手段】多数の農産物A…を第1搬送装置1の分散コンベヤ1Aにより分散して第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…に供給する。振分けコンベヤ3A…の揺動によって農産物A…を第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に振分ける。検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量を搬送量検出装置2B…で個別に検出し、その検出信号を制御装置14へ出力する。制御装置14は、搬送量検出装置2B…から出力される検出信号に基づいて、検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量に応じて振分けコンベヤ3A…の搬送速度を個別に制御し、振分けコンベヤ3A…全体の揺動速度を制御する。これにより、多数の農産物A…を検査コンベヤ2A…に対して略均等に分散して供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば柑橘類、落葉果樹類、根菜類等の被搬送物を分散して供給する際に用いられる分散供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷受けされた農産物は個別に外観検査や内部品質検査などされた後、等階級別に仕分けされて箱詰めされる。荷受け工程では幅広のコンベヤ上に、運搬箱に収容された多数の農産物を排出するようにして供給するため、コンベヤ上の幅方向中央部を搬送される農産物の密集度が高く、側部を搬送される農産物の密集度が低くなっている。検査工程では農産物の処理効率をよくするため、コンベヤ1条に対して複数条に検査装置が設けられている。さらに処理効率を考慮すると複数の検査装置に均等に農産物を供給する必要があるので、特許文献1の振り分け装置、特許文献2の果実・そ菜類の拡散供給装置等の農産物を分散するための装置が設けられている。
【0003】
【特許文献1】実開昭62−197617号公報
【特許文献2】実公昭61−32904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1,2の装置は、いずれも確実に分散させるには不十分なものであった。
【0005】
この発明は前記問題に鑑み、第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に過不足が生じるのを防止することができる分散供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、多数の被搬送物を搬送する第1搬送手段と、該第1搬送手段より下流側に設けられた複数条からなる第2搬送手段との間に介在され、第1搬送手段で搬送される被搬送物を幅方向に分散して第2搬送手段に供給する分散供給装置において、前記第2搬送手段より少ない条数からなり、上流側を支点にして下流側を第2搬送手段の搬送幅内で揺動可能に設けられる第3搬送手段と、前記第3搬送手段の下流側を揺動させる揺動手段と、前記第3搬送手段の各条の搬送速度を個別に制御する制御手段と、前記第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量を個別に検出する搬送量検出手段とを備え、前記制御手段は搬送量検出手段により検出された第2搬送手段での被搬送物の搬送量に応じて第3搬送手段の搬送速度を個別に制御するようにした分散供給装置であることを特徴とする。
【0007】
この発明の態様として、前記制御手段は、前記搬送量検出手段により検出された第2搬送手段での被搬送物の搬送量の過不足に応じて揺動手段による第3搬送手段の揺動運動を制御するものとする。
【0008】
前記被搬送物は、例えば柑橘類、落葉果樹類、根菜類等の農産物で構成することができる。また、第1搬送手段、第2搬送手段、第3搬送手段は、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、スラットコンベヤ、パイプコンベヤ等で構成することができる。また、揺動手段は、例えばリンク機構、カム機構等で構成することができる。また、制御手段は、例えばパーソナルコンピューター等のCPU、ROM、RAMを備えた装置で構成することができる。また、搬送量検出手段は、例えば光電センサ、超音波センサ、撮像カメラ等で構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に応じて、第1搬送手段と第2搬送手段との間に介在された第3搬送手段の各条の搬送速度を制御するので、多数の被搬送物を第2搬送手段の各条に対して略均等に分散して供給することができ、第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に過不足が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明は、第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に過不足が生じるのを防止するという目的を、第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量に応じて、第1搬送手段と第2搬送手段との間に介在された第3搬送手段の搬送速度を制御することで達成した。
【実施例】
【0011】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0012】
図面は、被搬送物の一例である多数の農産物を複数条のコンベヤに対して分散して供給する際に用いられる分散供給装置を示している。
【0013】
図1及び図2に於いて、この分散供給装置Bは、多数の農産物A…を搬送する第1搬送装置1と、該第1搬送装置1より下流側に設けられた5条からなる第2搬送装置2との間に介在され、第1搬送装置1によって搬送される農産物A…を幅方向に分散して第2搬送装置2に供給するものである。
【0014】
また、第1搬送装置1より幅の狭い4条の振分けコンベヤ3A…からなり、振分けコンベヤ3A…の上流側を支点にして該振分けコンベヤ3A…の下流側を第2搬送装置2の搬送幅内で揺動可能に設けられる第3搬送装置3と、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の下流側を揺動させる揺動装置5と、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の搬送速度及び揺動速度を制御する制御装置14と、第2搬送装置2の各条での農産物A…の搬送量を個別に検出する搬送量検出装置2Bとを備え、前記制御装置14は、搬送量検出装置2Bにより検出された農産物A…の搬送量に応じて第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の搬送速度及び揺動速度を制御するものである。
【0015】
また、第2搬送装置2と第3搬送装置3との間には、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…によって振分けられる農産物A…を、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に搬送する第4搬送装置4を配置している。
【0016】
第1搬送装置1は、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…を並列に配置してなる搬送幅とほぼ等しい幅で、多数の農産物A…を搬送方向(図1、図2に示す矢印方向)へ搬送しながら幅方向に分散するローラ型の分散コンベヤ1Aで構成されている。
【0017】
分散コンベヤ1Aは、搬送路下部に配置した図示しないモータにより、搬送路両側部のチェーン1a,1a間に架設した支持ローラ1b…を搬送方向に向けて一定速度で周回移動させる(図3参照)。これにより、第1搬送装置1の分散コンベヤ1Aによって搬送される農産物A…を幅方向に分散して、後述する第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…に向けて搬送する。
【0018】
また、分散コンベヤ1Aの終端部には、該分散コンベヤ1Aによって分散された農産物A…を、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…に対して乗り移りガイドするための案内板1cを配置している。
【0019】
第2搬送装置2は、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…によって振分けられた農産物A…を1列に整列して搬送する5条の検査コンベヤ2A…で構成されている。
【0020】
検査コンベヤ2A…は、第4搬送装置4の下流側に配置され、第4搬送装置4の搬送路下部に配置した図示しないモータにより、バケット等の農産物Aが載置された図示しない載置部を搬送方向に向けて一定速度で周回移動する(図1、図2参照)。これにより、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…によって振り分けられた農産物A…を、検査コンベヤ2A…の搬送路に設定された搬送量検出区間2aから農産物検査区間2bに搬送する。
【0021】
検査コンベヤ2A…の始端側搬送路に設定した搬送量検出区間2aには、検査コンベヤ2A…に対して振分けられた農産物A…の搬送量を検出するための搬送量検出装置2Bを条ごとにそれぞれ配置している(図1参照)。
【0022】
搬送量検出区間2aの下流側搬送路に設定した農産物検査区間2bには、検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の所定項目(例えば大きさ、色、形状、キズの有無等の外部項目、或いは、糖度、酸度、熟度、蜜量、水分量、成熟度、腐り具合、空洞等の内部項目等)を検査するための農産物検査装置2Cを条ごとにそれぞれ配置している(図1参照)。なお、農産物検査区間2bを通過した農産物A…は、農産物検査装置2Cによる検査結果に基づいて所定の項目別に選別する選別区間及び包装区間へ搬送される。
【0023】
第3搬送装置3は、第2搬送装置2の条数より少ない条数からなり、それぞれは第1搬送装置1の分散コンベヤ1Aの搬送幅より幅が狭く形成され、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量に応じて搬送速度が変更される速度可変機能を備えた振分けコンベヤ3A…で構成されている。なお、実施例では、振分けコンベヤ3A…を異なる長さに設けるとともに、図1に示す上から順に長くなるように配列している。
【0024】
振分けコンベヤ3A…は、第1搬送装置1と第2搬送装置2との間に介在され、揺動枠3aの始端部と終端部の間に張架された送りベルト3bを、揺動枠3aの下部に取り付けられたモータ3cにより搬送方向へ回転させる(図2、図3参照)。これにより、第1搬送装置1によって分散された農産物A…を、後述する揺動装置5による振分けコンベヤ3A…の揺動によって第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…と対応する搬送領域に振分ける(図1参照)。
【0025】
また、振分けコンベヤ3A…の終端部には、該振分けコンベヤ3A…によって搬送される農産物A…を、第4搬送装置4の移送コンベヤ4Aに対して乗り移りガイドするための案内板3d…を取り付けている。
【0026】
また、第4搬送装置4の始端側上部には、振分けコンベヤ3A…の終端部から放出される農産物A…を、移送コンベヤ4Aの搬送領域全体に対して乗り移りガイドするための案内板4d…を配置している。
【0027】
案内板4dは、移送コンベヤ4Aの搬送幅と略同じ幅に形成され、案内板3dと同一の角度に傾斜されている。また、振分けコンベヤ3A…の揺動によって形成される弧状の軌跡と対応して上方から見て弧形状に形成している。
【0028】
第4搬送装置4は、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…を並列に配置してなる搬送幅と等しい幅で、多数の農産物A…を搬送方向(図1、図2に示す矢印方向)へ搬送しながら幅方向に分散するアキューム機能を備えたローラ型の移送コンベヤ4Aで構成されている。移送コンベヤ4Aは、搬送路下部に配置した図示しないモータにより、搬送路両側部のチェーン4a,4a間に架設した支持ローラ4b…を搬送方向に向けて一定速度で周回移動させる(図1、図2参照)。これにより、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…によって振り分けられた農産物A…を、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…と対応する領域に振り分けたまま搬送する。
【0029】
また、移送コンベヤ4Aの終端部には、該移送コンベヤ4Aによって搬送される農産物A…を、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に対して乗り移りガイドするための案内板4c…を配置している。
【0030】
前記揺動装置5は、図3〜図7にも示すように、揺動枠3aの始端側底面部を水平に支持する受け枠5aと、揺動枠3aの終端側底面部を水平に支持する受け枠5bと、受け枠5bを水平回転自在に支持する可動枠5cとで構成されている。
【0031】
受け枠5aの底面には、該受け枠5a下部に配置された支軸5a1の上端部が垂直固定され、支軸5a1の下端部は、揺動枠3aの始端側下部に配置された支持枠5a2の上面に対して水平回転自在に軸受されている(図3参照)。
【0032】
受け枠5bの底面には、該受け枠5b下部に配置された支軸5b1の上端部が垂直固定され、支軸5b1の下端部は、揺動枠3aの終端側下部に配置された可動枠5cの上面に対して水平回転自在に軸受されている。これにより、受け枠5bは、支軸5b1を中心として、振分けコンベヤ3Aの揺動に応じて水平回転される。なお、受け枠5bの両側上端部は、揺動枠3aの両側面に対して長さ方向に向けてスライド自在に係合されている(図4、図5参照)。
【0033】
可動枠5cは、第4搬送装置4の搬送方向と直交して、該第4搬送装置4の始端側下部に架設された一対のレール5c1,5c1間に対して左右方向へ水平移動自在に取り付けられている。レール5c1,5c1は、長さ方向から見て断面L字状に形成され、可動枠5cの水平移動が許容される間隔に隔てて左右対称に配置されている。
【0034】
可動枠5cの前面側及び後面側には、上下一対のローラ5c2,5c2が所定間隔に隔てて3組軸支され、可動枠5cの前側下端部及び後側下端部には、左右一対のローラ5c3,5c3が所定間隔に隔てて軸支されている。上下一対のローラ5c2,5c2によりレール5c1の水平部分を挟持し、左右一対のローラ5c3,5c3をレール5c1の下面側に形成された垂直部分に当接している。これにより、可動枠5cを、一対のレール5c1,5c1に沿って第4搬送装置4の搬送方向と直交する左右方向に対して水平移動自在に設けている。
【0035】
振分けコンベヤ3A…と対応して配置された可動枠5c…の底面部間は、伸縮調節自在な連結ロッド6…でそれぞれ連結されている。これにより、振分けコンベヤ3A…の下流側を相互に離間している。
【0036】
図1に示す上から1列目に配置された可動枠5cの底面部と、同側下部に垂直軸受された回転軸7の上端部とは、図6、図7に示すように旋回アーム8と連結ロッド9とで連結され、回転軸7の下端部には、同側下部に配置されたモータ10が直結されている。つまり、モータ10の駆動力により回転軸7に固定された旋回アーム8を水平回転させ、旋回アーム8の回転によって連結ロッド9をクランク運動させることにより、連結ロッド6…で連結された可動枠5c…が一対のレール5c1,5c1に沿って水平移動し、受け枠5a…で支持された振分けコンベヤ3A…の上流側を支点にして、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の下流側が第2搬送装置2の搬送幅内で左右方向へ往復揺動される。
【0037】
図5、図6に示すように、図1に示す上から1列目に配置された可動枠5cの上部の下流側に検出片5dが設けられ、下流側のレール5c1の上方には、可動枠5cに設けた検出片5dを検出するための2個の位置検出装置5B1,5B2を配置している。
【0038】
位置検出装置5B1,5B2は、近接スイッチ等の検出センサで構成され、図7の実線で示すレール5c1の左端に位置する可動枠5cの移動範囲内に設けられ、検出片5dの通過を検出し、その検出信号を制御装置14へ出力する(図5参照)。これより、可動枠5cの移動区間をa,b,cの3つに区分している(図7参照)。
【0039】
通常、制御装置14は、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…を、図1に示す実線位置(図7に示す左側揺動限界位置)から同図に示す仮想線位置(右側揺動限界位置)へ移動する際に、可動枠5cの検出片5dを同左側に配置された位置検出装置5B1で検出するまでは揺動装置5のモータ10を低速で回転させ、位置検出装置5B2で検出した直後から同右側に配置された位置検出装置5B2で検出されるまでは、揺動装置5のモータ10を高速で回転させる。
【0040】
そして、位置検出装置5B2で検出片5dを検出した後は、モータ10を低速で回転させる。可動枠5cの移動方向が反転されて再び同右側に配置された位置検出装置5B2で検出したらモータ10を高速で回転させ、同左側に配置された位置検出装置5B1で検出したらモータ10を低速で回転させるようにしている。
【0041】
このような通常時の第3搬送装置3の揺動運動を、検査コンベヤ4Aの搬送量検出装置2B…による検出結果に基づいて、図1に示す実線位置と仮想線位置との間の各区間a,b,cで揺動速度を制御することができるようになっている。
【0042】
検査コンベヤ2A…の搬送量検出区間2aに設けられた搬送量検出装置2B…は、投受光式の光電センサで構成され、検出光を投光する投光部と、投光部から投光された検出光を受光する受光部とを、検査コンベヤ2Aの搬送路を挟んで始端側左側部と始端側右側部とにそれぞれ配置している(図1参照)。
【0043】
制御装置14は、搬送量検出装置2B…から出力される検出信号に基づいて、各第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される所定時間当たりの農産物Aの搬送量(搬送間隔)が所定量より多いか少ないかを判定するとともに、その農産物Aの搬送量の過不足に応じて、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…による搬送速度を個別に制御する。
【0044】
また、制御装置14は、搬送量検出装置2B…から出力される検出信号に基づいて、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量の過不足に応じて、検査コンベヤ2A…に対して農産物A…が略均等に分散して振り分けられるように、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の揺動速度を制御する。
【0045】
搬送量検出装置2Bは、投光部から投光される検出光を、検査コンベヤ2A上を搬送される農産物A…に向けて連続的に照射し、投光器から投光される検出光が農産物Aで遮られて受光器に到達しないときには、検出信号OFFを制御装置14へ出力する。農産物A…間が前後に離間している場合、搬送量検出装置2Bの投光部から投光される検出光が農産物A,Aの間を通過し、その通過した検出光が受光部で受光されると、検出信号ONを制御装置14へ出力する。
【0046】
搬送量検出装置2Bから出力される検出信号の出力時間を測定すれば、農産物A…間の間隔が所定間隔以下であるか、所定間隔以上であるかを判定することができる。つまり、検出信号ONの時間が短いと農産物A…間の間隔が所定間隔以下に近接していることから、制御装置14は、この搬送量検出装置2Bのある検査コンベヤ2Aの搬送量が所定の搬送量以上であると認識する。そして、当該検査コンベヤ2Aへ農産物Aが流れないように、振分けコンベヤ3Aの搬送速度及び揺動速度を制御する。
【0047】
逆に検出信号ONの時間が長いと、農産物A…間の間隔が所定間隔以上に離間していると判定し、制御装置14は、その搬送量検出装置2Bのある検査コンベヤ2Aの搬送量が所定の搬送量以下であると認識する。そして、当該検査コンベヤ2Aへ農産物Aが多く流れるように、振分けコンベヤ3Aの搬送速度及び揺動速度を制御する。
【0048】
図示実施例は前記の如く構成するものにして、以下、分散供給装置Bによる多数の農産物A…を分散して供給する方法を説明する。
【0049】
先ず、図1、図2にも示すように、多数の農産物A…を、第1搬送装置1の分散コンベヤ1Aによって搬送しながら幅方向へ分散して、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…にそれぞれ供給する(図3参照)。
【0050】
揺動装置5を駆動して、振分けコンベヤ3A…の上流側を支点にして、振分けコンベヤ3A…の下流側を第2搬送装置2の搬送幅内で左右方向へ往復揺動させる(図1参照)。
【0051】
第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…によって分散された農産物A…を、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…と対応する搬送領域に分散したまま第4搬送装置4の移送コンベヤ4Aで搬送して、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に対してそれぞれ供給する(図1参照)。
【0052】
検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量を搬送量検出装置2B…で個別に検出するとともに、その搬送量検出装置2B…で検出した検出信号を制御装置14へ出力する。
【0053】
制御装置14は、搬送量検出装置2B…から出力される検出信号に基づいて、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物Aの搬送量(搬送間隔)を該検査コンベヤ2A…毎に判定するとともに、その判定結果に応じて、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…による搬送速度を個別に制御する。
【0054】
例えば図1に示す下から1列目に配置された検査コンベヤ2Aによる農産物Aの搬送量が少なく設定量以下であると判定された際には、設定量以下であると判定された検査コンベヤ2Aと対応して上流側に配置された振分けコンベヤ3Aを、検査コンベヤ2Aの搬送速度よりも高速の設定速度まで増速する。これにより、振分けコンベヤ3Aによって搬送される農産物A…を、設定量以下であると判定された検査コンベヤ2Aと対応する第4搬送装置4の搬送領域内に向けて農産物A…を積極的に振分け、検査コンベヤ2Aに対する農産物A…の供給量を増加させる。
【0055】
また、農産物Aの搬送量が多く設定量以上であると判定された際には、設定量以上であると判定された検査コンベヤ2Aと対応して上流側に配置された振分けコンベヤ3Aを、検査コンベヤ2Aの搬送速度よりも低速の設定速度まで減速する。これにより、振分けコンベヤ3Aによって搬送される農産物A…が、設定量以上であると判定された検査コンベヤ2Aと対応する第4搬送装置4の搬送領域内に向けて振分けられ、その検査コンベヤ2Aに対する農産物A…の供給量を減少させることができる。
【0056】
第2搬送装置2での農産物A…の搬送量に応じて第3搬送装置3の揺動速度を制御する際には、例えば図1に示す下から1列目に配置された検査コンベヤ2Aによる農産物A…の搬送量が少なく設定量以下であると判定された場合、可動枠5cが区間aを移動する時における速度を通常時より高速にし、区間bでは通常時より低速にする(図7参照)。これにより、設定量以下であると判定された検査コンベヤ2Aに対する農産物A…の供給量を増加させることができる。
【0057】
また、農産物Aの搬送量が多く設定量以上であると判定された場合、区間cでは通常時より低速にする(図7参照)。これにより、設定量以上であると判定された検査コンベヤ2Aに対する農産物A…の供給量を減少させることができる。
【0058】
第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に振り分けられた農産物A…は、農産物検査区間2bに配置された農産物検査装置2C…により個々に検査されるとともに、その検査結果に基づいて、農産物A…を選別区間にて項目別に選別処理し、包装区間にて項目別に包装処理する。
【0059】
以上のように、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量に応じて、第1搬送装置1と第2搬送装置2との間に介在された第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の揺動速度及び搬送速度を制御装置14で制御するので、多数の農産物A…を、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…に対して略均等に分散して供給することができ、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…における農産物Aの搬送量に過不足が生じるのを防止することができる。また、検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量が一定しているので、農産物A…の所定項目を効率よく検査することができ、処理効率の向上を図ることができる。
【0060】
なお、第2搬送装置2の検査コンベヤ2A…によって搬送される農産物A…の搬送量に応じて、第3搬送装置3の振分けコンベヤ3A…の搬送速度及び揺動速度のいずれか一方を制御するか、搬送速度及び揺動速度の両方を制御する等してもよい。
【0061】
この発明の構成と、前記実施例との対応において、
この発明の被搬送物は、実施例の農産物Aに対応し、
以下同様に、
第1搬送手段は、第1搬送装置1に対応し、
第2搬送手段は、第2搬送装置2に対応し、
第3搬送手段は、第3搬送装置3に対応し、
揺動手段は、揺動装置5に対応し、
制御手段は、制御装置14に対応し、
搬送量検出手段は、搬送量検出装置2Bに対応するも、
この発明は、前記実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0062】
本実施例では、第4搬送装置4を第2搬送装置2と第3搬送装置3との間に設けたが、この第4搬送装置4を設けず、第2搬送装置2に第3搬送装置3を直接接続するようにしてもよい。この場合、第2搬送装置2の各条間のすき間から農産物Aが落下しないように設けるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】分散供給装置による農産物の分散状況を示す平面図。
【図2】第1〜第4搬送手段の配置を示す側面図。
【図3】第1搬送手段から第3搬送手段への乗り移り状態を示す拡大側面図。
【図4】揺動装置の可動枠による揺動枠の支持状態を示す拡大平面図。
【図5】可動枠による揺動枠の支持状態を示す拡大側面図。
【図6】旋回アーム及び連結ロッドのクランク動作を示す拡大平面図。
【図7】図6の旋回アーム及び連結ロッドの連結構造を示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0064】
A…農産物
B…分散供給装置
1…第1搬送装置
1A…分散コンベヤ
2…第2搬送装置
2A…検査コンベヤ
3…第3搬送装置
3A…振分けコンベヤ
4…第4搬送装置
4A…移送コンベヤ
5…揺動装置
14…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の被搬送物を搬送する第1搬送手段と、該第1搬送手段より下流側に設けられた複数条からなる第2搬送手段との間に介在され、第1搬送手段で搬送される被搬送物を幅方向に分散して第2搬送手段に供給する分散供給装置において、
前記第2搬送手段より少ない条数からなり、上流側を支点にして下流側を第2搬送手段の搬送幅内で揺動可能に設けられる第3搬送手段と、
前記第3搬送手段の下流側を揺動させる揺動手段と、
前記第3搬送手段の各条の搬送速度を個別に制御する制御手段と、
前記第2搬送手段の各条での被搬送物の搬送量を個別に検出する搬送量検出手段とを備え、
前記制御手段は搬送量検出手段により検出された第2搬送手段での被搬送物の搬送量に応じて第3搬送手段の搬送速度を個別に制御するようにしたことを特徴とする
分散供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記搬送量検出手段により検出された第2搬送手段での被搬送物の搬送量に応じて揺動手段による第3搬送手段の揺動運動を制御するようにした
請求項1に記載の分散供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−184751(P2009−184751A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23510(P2008−23510)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】