説明

分散処理型障害監視装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、局用交換機システム内の障害を監視する障害監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は従来の局用交換機システムに用いられる障害監視装置の構成を示すブロック図である。
【0003】図中、31は多数の通報源からの接続要求に応じてその通報の着信先に至る接続経路を設定する交換機、32は内部に有するソフトウェアに従って交換機31を制御する交換機制御部、33は障害監視装置である。
【0004】34は障害表示ランプ35と警報ベル36からなる障害表示装置37を制御する障害表示装置制御部、38は局用交換機システム内の障害発生源39からハードウェア的に発生された障害を検出する障害検出部、40は障害情報を集中保守センターへ通知する障害保守センター通知部、、41は交換機制御部32とインターフェイスし、交換機制御部32内でソフトウェア的に検出された障害情報を受信する交換機インターフェイス部、42はマイクロプロセッサを有し、障害表示装置制御部34、障害検出部38、集中保守センター通知部40、及び交換機インターフェイス部41を制御する制御部である。
【0005】この従来の障害監視装置33においては、局用交換機システム内に障害が発生すると、ハードウェア的な障害は障害検出部38により検出され、ソフトウェア的な障害は交換機インターフェイス部41で受信される。制御部42は、このハードウェア的及びソフトウェア的な障害内容を解析し、障害表示装置制御部34に指令を与えて、障害表示装置37に対し、ランプ点灯情報とベル鳴動情報を送らせるとともに、集中保守センター通知部40から集中保守センターへ障害情報を送らせるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の障害監視装置33では、障害監視装置33の制御部42が集中して装置内の制御を行うため、制御部42に障害が発生すると、障害監視装置33の機能が全て停止し、障害の監視、及び障害の通知ができなくなってしまう。
【0007】また、障害表示装置制御部34、障害検出部38、集中保守的センター通知部40、及び交換機インターフェイス部41のそれぞれがインターフェイスする装置に対して、1つでも何らかの改良や変更が行われた場合には、障害監視装置33自身も新しく開発する必要があった。
【0008】本発明は、上記に鑑み、障害監視装置内の各機能をモジュール化して分散処理化を図ることにより、制御部の障害による全機能の停止を防止し、機能拡張に対して柔軟性を持たせることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】図1はこの発明による分散処理型障害監視装置の構成を示すブロック図であり、図に示すように、この発明の分散処理型障害監視装置は、多数の通報源からの接続要求に応じてその通報の着信先に至る接続経路を設定する交換機と、内部に有するソフトウエアに従って交換機を制御する交換機制御部とを有する、局用交換機システムの障害監視装置において、障害情報を伝達するユニット間通信バス101と、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、交換機内において発生したハードウェア的な障害を検出すると共に、その検出した障害情報をユニット間通信バス101に出力するハードウェア障害検出部102と、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、交換機制御部内において発生したソフトウェア的な障害情報を受信すると共に、その障害情報をユニット間通信バス101に出力するソフトウェア障害検出部103と、ユニット間通信バス101に接続されると共に、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、ハードウェア障害検出部102とソフトウェア障害検出部103から出力された障害情報を受信して解析し、障害表示装置に表示信号を出力する障害表示装置制御部104と、ユニット間通信バス101に接続されると共に、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、ハードウェア障害検出部102とソフトウェア障害検出部103から出力された障害情報を受信して解析し、集中保守センターに通知するための障害情報を出力する集中保守センター通知部105と、を備えて構成する。
【0010】
【作用】この発明によれば、ハードウェア障害検出部102と、ソフトウェア障害検出部103と、障害表示装置制御部104と、集中保守センター通知部105とは、それぞれ内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して各々の処理を行うことができるので、どれか1つの機能が停止したとしても全機能が停止することが防止される。また、各部の機能拡張に対して柔軟性を持たせることができる。
【0011】
【実施例】以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。なお、この発明はこれによって限定されるものではない。
【0012】図2は本発明の一実施例の構成を示す構成説明図である。図中、1は多数の通報源からの接続要求に応じてその通報の着信先に至る接続経路を設定する交換機、2は内部に有するソフトウェアに従って交換機1を制御する交換機制御部、3は本発明による分散処理型障害監視装置である。
【0013】本発明の分散処理型障害監視装置3は、それぞれユニット板に装着された、ALMSH−Bと呼ばれるアラーム監視装置本体4、PW106Bと呼ばれる電源供給部5、CAL04Aと呼ばれる装置拡張用カード6、CAL05Aと呼ばれる交換機制御部2の監視部7、CAL00Aと呼ばれる交換機ソフトアラーム受信部8、CAL01Aと呼ばれる障害表示装置制御部9、CAL02Aと呼ばれる集中保守センター通知部10、及びCAL03Aと呼ばれる障害検出部11から主として構成されている。
【0014】これらの装置拡張用カード6、交換機ソフトアラーム受信部8、障害表示装置制御部9、集中保守センター通知部10、及び障害検出部11は、ユニット間通信バス(LAN)12により接続されている。また、装置拡張用カード6、交換機ソフトアラーム受信部8、障害表示装置制御部9、集中保守センター通信部10、及び障害検出部11は、互いに情報のやりとりが可能なように、それぞれ通信部を有している。
【0015】上記において、障害検出部11は、局用交換機システム内において発生したハードウェア的な障害を検出し、その検出した障害データをユニット間通信バス12に出力する。
【0016】交換機ソフトアラーム受信部8は、交換機制御部2に接続され、交換機制御部2内において発生したソフトウェア的な障害データを受信し、その障害データをユニット間通信バス12に出力する。
【0017】障害表示装置制御部9は、障害検出部11と交換機ソフトアラーム受信部8から出力された障害データを受信して解析し、障害表示装置13に表示信号を出力する。障害表示装置13は、障害を光によって表示する障害表示ランプと、音によって知らせる警報ベルを備えている。
【0018】集中保守センター通知部10は、障害検出部11と交換機ソフトアラーム受信部8から出力された障害データを受信して解析し、集中保守センター14に対して、その解析結果である障害データを出力する。
【0019】電源供給部5は、外部から−48Vの電源を受け、+5Vに変換し、アラーム監視装置本体4内の各部に供給する。
【0020】監視部7は、交換機制御部2から交換機制御部異常の信号を受ける。また、交換機制御部2に対して、交換機1を監視する信号をリセットする信号を送る。
【0021】装置拡張用カード6は、アラーム監視装置本体4と他のアラーム監視装置本体15とを接続するためのユニットカードであり、他のアラーム監視装置本体15内の装置拡張カード16と接続することにより、アラーム監視装置本体4の能力の拡張を図ることができる。
【0022】障害表示装置制御部9及び集中保守センター通知部10は、障害検出部11及び交換機ソフトアラーム受信部8とデータのやりとりを随時行い、それらの各部及び自分自身の障害を検出すると、その障害データに従って、障害表示装置13へのアラーム表示、及び集中保守センター14への通知を行う。
【0023】上記の障害検出部11、交換機ソフトアラーム受信部8、障害表示装置制御部9、及び集中保守センター通知部10は、それぞれ内部にマイクロプロセッサを有し、そのプロセッサにより他から独立して上述の各制御を行うようになっている。
【0024】したがって、交換機ソフトアラーム受信部8、障害表示装置制御部9、集中保守センター通知部10、及び障害検出部11は、個々にインターフェイスする装置とのデータのやりとりを行い、さらにユニット間通信バス12によって各部が相互にデータをやりとりすることにより、障害監視装置としての機能をはたすとともに、各部の障害の監視を行う。
【0025】これにより、アラーム監視装置本体4内の一部に障害が発生した場合においても、その部分を除いた機能による処理を行うことが可能となり、各部の機能変更、及び新機能の追加による障害監視装置自身へのインパクトは最小となる。
【0026】図3はアラーム監視装置本体4のユニット板の実装状態を示す説明図である。この図に示すように、図2で示したPW106Bは1. 2インチ幅、CAL00Aは1. 0インチ幅、CAL04Aは1. 2インチ幅、CAL05Aは0. 6インチ幅である。CALXXAは、CAL01A,CAL02A及びCAL03Aを示し、1. 0インチ幅であり、図中、CALXXAで示したユニット板の位置であればいずれに装着してもよい。
【0027】障害検出箇所の増加については、たとえば、CAL03Aのユニット板1枚で32箇所から障害データを受けることが可能であるので、このユニット板を増設して障害検出箇所を増加させるようにする。
【0028】このように、局の規模により、ユニット板の枚数及び構成を任意に決定することが可能である。また、新機能のユニット板の追加も容易に行えるため、アップグレード性に優れ、装置内障害時の波及度も小さい。
【0029】
【発明の効果】この発明によれば、障害監視装置の、ハードウェア障害検出部、ソフトウェア障害検出部、障害表示装置制御部、及び集中保守センター通知部のそれぞれの内部にプロセッサを持たせて、分散処理化を図ったので、従来のような制御部の障害によって生ずる障害監視装置の全機能の停止を防止することができ、さらに各部の機能拡張に対して柔軟性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例の構成を示す構成説明図。
【図3】アラーム監視装置本体のユニット板の実装状態を示す説明図。
【図4】従来の障害監視装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 交換機
2 交換機制御部
3 分散処理型障害監視装置
4 アラーム監視装置本体
5 電源供給部
6 装置拡張カード
7 交換機制御部の監視部
8 交換機ソフトアラーム受信部
9 障害表示装置制御部
10 集中保守センター通知部
11 障害検出部
12 ユニット間通信バス
13 障害表示装置
14 集中保守センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数の通報源からの接続要求に応じてその通報の着信先に至る接続経路を設定する交換機と、内部に有するソフトウエアに従って交換機を制御する交換機制御部とを有する、局用交換機システムの障害監視装置において、障害情報を伝達するユニット間通信バス(101)と、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、交換機内において発生したハードウェア的な障害を検出すると共に、その検出した障害情報をユニット間通信バス(101)に出力するハードウェア障害検出部(102)と、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、交換機制御部内において発生したソフトウェア的な障害情報を受信すると共に、その障害情報をユニット間通信バス(101)に出力するソフトウェア障害検出部(103)と、ユニット間通信バス(101)に接続されると共に、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、ハードウェア障害検出部(102)とソフトウェア障害検出部(103)から出力された障害情報を受信して解析し、障害表示装置に表示信号を出力する障害表示装置制御部(104)と、ユニット間通信バス(101)に接続されると共に、内部にプロセッサを有し、そのプロセッサにより独立して、ハードウェア障害検出部(102)とソフトウェア障害検出部(103)から出力された障害情報を受信して解析し、集中保守センターに通知するための障害情報を出力する集中保守センター通知部(105)と、を備えてなる分散処理型障害監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】第2594704号
【登録日】平成8年(1996)12月19日
【発行日】平成9年(1997)3月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−15320
【出願日】平成3年(1991)2月6日
【公開番号】特開平5−244264
【公開日】平成5年(1993)9月21日
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000237640)富士通九州通信システム株式会社 (2)