説明

分散型のレーダ情報処理システム

【課題】システムの一部に故障が生じてもシステムの全面的な停止を回避することができ、システムの変更に対しても柔軟に対応でき、短期間で製造できる安価な分散型のレーダ情報処理システムを提供する。
【解決手段】レーダ装置から取得したレーダ情報を処理することにより航空管制に供する情報を生成する分散型のレーダ情報処理システムであって、流れるデータの種類に応じて設けられた複数のデータバス61〜64と、複数のデータバスで区切ることにより階層化された複数の層の各々に分散して割り当てられ、各々が自層を形成する2つのデータバスに接続されて所定の機能A〜機能Eを実現する複数のアプリケーションと、複数のアプリケーションの間の接続を制御する分散統合インタフェース30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空管制レーダシステムにおいてレーダ装置から得られるレーダ情報を処理する分散型のレーダ情報処理システムに関し、特に、レーダ情報を分散処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ装置から所定の周波数の信号を発信し、この発信した信号が飛行機で反射されて戻ってくる反射波を受信して、飛行機の進行方向や速度を検知し、航空管制を行う航空管制レーダシステムが知られている。このような航空管制レーダシステムの1つとして、例えば、特許文献1は、2つの動作周波数で切替えられ、弱い信号の受信状態を改良し、信号処理能力と処理効率を向上させた3次元画像レーダを開示している。
【0003】
従来の航空管制レーダシステムは、例えば図5に示すように、レーダ装置100、レーダ情報処理システム(RDPS:Radar Data Processing System)200および複数の卓/表示装置300から構成されており、集中型システムと呼ばれている。
【0004】
レーダ装置100は、図示は省略するが、アンテナ、送信装置、受信装置および目標検出装置から構成されている。送信装置は、目標に向けてアンテナから電波を送信する。受信装置は、この送信された電波が目標で反射された反射波をアンテナで受けて受信信号を生成する。この受信信号は、レーダ情報としてレーダ情報処理システム200に送られる。
【0005】
レーダ情報処理システム200は、例えば単体の高性能な電子計算機から構成されており、その内部には、追尾機能、飛行計画機能、表示機能、管制操作機能といった種々の機能を実現するためのソフトウェアが組み込まれている。レーダ情報処理システム200は、レーダ装置100からのレーダ情報を処理した結果を卓/表示装置300に送って画像を表示させるとともに、卓/表示装置300からの信号を受け取ってレーダ装置100を制御する。
【0006】
卓/表示装置300は、上述したように、レーダ情報処理システム200から送られてくるレーダ情報を処理した結果に基づき、検出された目標の画像を表示するとともに、操作員の卓操作に応じた信号を生成してレーダ情報処理システム200に送る。レーダ情報処理システム200は、この卓/表示装置300から送られてくる信号に応じてレーダ装置100を制御する。
【特許文献1】特開平7−5248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の航空管制レーダシステムは、集中型システムとして構成されているので、レーダ情報処理システム200を構成する電子計算機が故障した場合は、航空管制レーダシステムの全体が動作不可能になってしまう。このような事態に対処するために、航空管制レーダシステムは、冗長系を備えているのが一般的である。
【0008】
ところで、航空管制レーダシステムは、一通りの整備がいきわたった現今では、所謂換装フェーズに入っている。ところが、現用の航空管制レーダシステムを、集中型システムのまま、客先仕様に応じた高性能・高機能な航空管制レーダシステムに換装しようとすると、レーダ情報処理システムを構成する電子計算機の変更に伴ってオペレーティングシステム(OS)を変更したり、専用のインタフェースを変更したり、あるいは周辺装置を変更する必要が生じる。その結果、これらの変更に伴ってソフトウェア開発が必要になり、航空管制レーダシステムが高価になる。
【0009】
また、レーダ情報処理システムで使用される電子計算機は、特定のプラットホーム(オペレーティングシステムやハードウェア)でしか動作しないので、航空管制レーダシステムの拡張や縮小に対する柔軟性がなく、次回の換装時に、再び上述した問題が生じる。
【0010】
そこで、プラットホームに左右されず、高性能でない電子計算機でも動作可能であり、種々の客先ニーズに対応でき、拡張や縮小に対する柔軟性を有し、短期間で製造できる安価なレーダ情報処理システムの開発が望まれている。
【0011】
本発明は、このような要請に応えるためになされたものであり、その課題は、システムの一部に故障が生じてもシステムの全面的な停止を回避することができ、システムの変更に対しても柔軟に対応でき、短期間で製造できる安価な分散型のレーダ情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムは、上記課題を達成するために、レーダ装置から取得したレーダ情報を処理することにより航空管制に供する情報を生成する分散型のレーダ情報処理システムであって、流れるデータの種類に応じて設けられた複数のデータバスと、複数のデータバスで区切ることにより階層化された複数の層の各々に分散して割り当てられ、各々が自層を形成する2つのデータバスに接続されて所定の機能を実現する複数のアプリケーションと、複数のアプリケーションの間の接続を制御する分散統合インタフェースとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムによれば、機能を階層化された複数の層に分散させて配置する分散型システムとして構成したので、一部の機能に障害が生じてもシステムの全面的な停止を回避できる。
【0014】
また、複数の機能を分散させるように構成したので、各機能を実現するための装置は必ずしも高性能である必要はなく、安価なレーダ情報処理システムを構成できる。また、分散統合インタフェースにより機能の追加および削除が容易になるので、客先の様々なニーズに対応できるとともにシステムの変更に対する柔軟性を有し、しかもシステムの変更を短期間で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る分散型のレーダ情報処理システムを、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
まず、本発明の概要について説明する。本発明は、上述した集中型システムの欠点を除去するために、レーダ情報処理システムを、機能(または装置)毎に分けた分散型システムとして構成するものであり、特に機能を複数に分けた際の機能間を接続するためのインタフェース(以下、「分散統合インタフェース」という)の構造および機能間で制御(パラメータ)を受け渡すための仕組み(以下、「タスクパラメータ管理」という)に特徴を有するものである。
【0017】
図1は、本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムを概念的に示す図である。この分散型のレーダ情報処理システムは、プラットホーム10、オペレーティングシステム(OS)20、分散統合インタフェース30、RDPS機能パッケージ群40およびタスクパラメータ管理部50から構成されている。
【0018】
プラットホーム10は、オペレーティングシステム20を動作させるための基盤となる計算機システムやインタフェースハードウェアの種類などである。オペレーティングシステム20は、このプラットホーム10に依存して動作する。
【0019】
なお、実施例1に係る分散型のレーダ情報処理システムにおいては、アプリケーション(詳細は後述する)は、マルチプラットホーム上、つまり複数種類のオペレーティングシステムおよびハードウェア上で動作するように構成されている。従って、アプリケーションは、例えばパーソナルコンピュータ(PC)およびこれにインストールされたオペレーティングシステム、組み込みボードコンピュータ(PCC)およびこれにインストールされた他のオペレーティングシステム、エンジニアリングワークステーション(EWS)およびこれにインストールされたさらに他のオペレーティングシステムの何れの下でも動作可能、つまりマルチプラットホームで動作可能になっている。
【0020】
分散統合インタフェース30は、専用ライブラリ31と共通ライブラリ32とから構成されている。専用ライブラリ31は、例えばデバイスドライバといったオペレーティングシステム20やプラットホーム10を形成するハードウェア等に依存して動作するソフトウェアから構成されている。マルチプラットホーム化にあたっては、専用ライブラリ31を部分修正することによって上位互換性が実現される。
【0021】
共通ライブラリ32は、複数のアプリケーションで共通に使用されるソフトウェアから構成されている。オペレーティングシステムの変更、バージョンアップ、レビジョンアップに対しては、この共通ライブラリ32が修正されることによって上位互換性が保たれるようになっている。
【0022】
PDPS機能パッケージ群40は、機能毎にパッケージ化された汎用のソフトウェア(以下、「パッケージ」という)の集合により構成されている。各パッケージは、オペレーティングシステム20およびプラットホーム10には依存しないで動作する。アプリケーションは、PDPS機能パッケージ群40に含まれる複数のパッケージを組み合わせることにより実現される。従って、オペレーティングシステム20やプラットホーム10(計算機システムおよびインタフェースハードウェア)が変更された場合であっても、従来のアプリケーションをそのまま使用することができる。
【0023】
PDPS機能パッケージ群40に含まれるパッケージを組み合わせて実現される機能には、主要な機能である「基本機能」、装置として必須機能である「標準機能」、および必要に応じて選択する「オプション機能」が含まれる。
【0024】
基本機能には、(1)追尾機能と(2)管制表示および入力機能とが含まれる。標準機能には、(3)システム監視制御機能、(4)飛行計画機能、および(5)オフライン機能が含まれる。オプション機能には、(6)警報監視機能、(7)記録再生機能、(8)システム連接機能、および(9)擬似目標生成機能などが含まれる。
【0025】
タスクパラメータ管理部50は、分散統合インタフェース30に含まれる専用ライブラリ31および共通ライブラリ32とPDPS機能パッケージ群40に含まれるパッケージとを関連付ける。このタスクパラメータ管理部50によって関連付けられることにより、所定の機能を発揮するように実際に動作するアプリケーションが実現される。
【0026】
図2は、本発明の実施例1に係る分散型のレーダ情報処理システムの構成を概念的に示す図である。この分散型のレーダ情報処理システムは、分散化構成および階層化構造を有する。すなわち、分散型のレーダ情報処理システムは、ヒューマンインタフェースを司る機能が割り当てられる第1層、内部処理を実行する機能が割り当てられる第2層および外部入出力を行う機能が割り当てられる第3層から成る3層構造を有する。各層の表裏には、流れるデータの種類、例えばデータが流れる速度や発生頻度といったデータの特性に応じて設けられた第1データバス61〜第4データバス64が定義されている。
【0027】
具体的には、第1層は第1データバス61と第2データバス62とによって挟まれており、この第1層に割り当てられた機能は、第1データバス61および第2データバス62を用いてデータの入出力を行う。また、第2層は第2データバス62と第3データバス63とによって挟まれており、この第2層に割り当てられた機能は、第2データバス62および第3データバス63を用いてデータの入出力を行う。さらに、第3層は第3データバス63と第4データバス64とによって挟まれており、この第3層に割り当てられた機能は、第3データバス63および第4データバス64を用いてデータの入出力を行う。
【0028】
図2に示した例では、第3層には機能Aが割り当てられ、第2層には機能Bおよび機能Cが割り当てられ、第1層には機能Dおよび機能Cが割り当てられている。機能Aとしては、例えば(1)追尾機能を割り当てることができる。
【0029】
この機能Aは、例えば、外部(例えば図示しないレーダ装置)から第4データバス64を介して送られてくるレーダ情報を入力し、追尾処理を実行する。この機能Aによる追尾処理の結果は、第3データバス63に出力される。従って、第2層に割り当てられている機能Bおよび機能Cは、この追尾処理の結果を第3データバス63から取得して利用することができる。
【0030】
機能Bとしては、例えば(4)飛行計画機能を割り当てることができる。また、機能Cとしては、例えば(3)システム監視制御機能や(5)オフライン機能を割り当てることができる。例えば、機能Cは、機能Aから第3データバス63を介して送られてくる追尾結果を入力し、システム監視制御処理を実行する。この機能Cによるシステム監視制御処理の結果は、第2データバス62に出力される。従って、第1層に割り当てられている機能Dおよび機能Eは、このシステム監視制御処理の結果を第2データバス62から取得して利用することができる。
【0031】
機能Dとしては、例えば(2)管制表示および入力機能のうちの管制入力機能を割り当てることができ、機能Eとしては、例えば(2)管制表示および入力機能のうちの管制表示機能を割り当てることができる。機能Dにより、操作者の入力が可能になり、機能Eにより表示装置への表示が可能になる。
【0032】
機能Eは、例えば、機能Cから第2データバス62を介して送られてくるシステム監視制御の結果を入力し、表示処理を実行する。この表示処理の結果は、第1データバス61に出力される。従って、第1データバス61に接続された表示装置(図示しない)は、機能Eによる表示処理の結果を第1データバス61から取得してその画面に表示させることができる。
【0033】
図2に示した分散型のレーダ情報処理システムでは、第3層の機能Aのみを装置αに実装し、第2層および第3層の機能B〜機能Eを装置βに実装した例を示している。この例では、装置αの第4データバス64はコネクタ71(および、必要に応じてケーブル)を介して装置βに延伸され、装置αの第3データバス63はコネクタ72を介して装置βに延伸されている。
【0034】
なお、機能Aを有する装置αが装置βに接続されない場合は、機能Aに相当する機能A’が装置βに実装することもできる。
【0035】
図2に示した例では、第3層の機能Aを装置βとは異なる装置αに設けているが、第2層の機能Bまたは機能Cを、コネクタを介して装置αまたは他の装置に設けるように構成することもできる。
【0036】
同様に、第1層の機能Dまたは機能Eを、コネクタを介して装置αまたは他の装置に設けるように構成することもできる。さらに、例えば装置αに延伸された第3データバス63および第4データバス64を、コネクタを介してさらに他の装置γ(図示しない)に延伸させ、この装置γに他の機能を実装するように構成することもできる。
【0037】
以上のような構成により、複数の機能を自装置内で分散させるのみならず、複数の装置に分散させた分散型システムとしてのレーダ情報処理システムを構成できる。
【0038】
また、この実施例1に係る分散型のレーダ情報処理システムでは、機能のプラグイン化が実現されている。すなわち、分散型のレーダ情報処理システムに対する機能の追加または削除を、恰も基板を装置に挿脱するような感覚で可能になっている。
【0039】
図2に示す例では、第2層の第3データバス63に設けられたプラグ81および第2データバス62に設けられたプラグ82を介して機能Bが実装され、また、第1層の第2データバス62に設けられたプラグ83および第1データバス61に設けられたプラグ84を介して機能Dが実装されている。これらの機能Bおよび機能Dは、必要に応じて、分散型のレーダ情報処理システムから削除することができる。
【0040】
以上の構成により、複数の機能を分散させた分散型システムを構築する場合に、1つの装置内では勿論、複数の装置に分散させることもできるので、分散型のレーダ情報処理システムを構成する各装置は、必ずしも高性能である必要はない。すなわち、各装置の性能に応じて分散すべき機能の種類および数を決定することができる。
【0041】
また、図2に示した例において、機能Aを実現するための装置αが故障した場合、装置β内の機能A’を利用して運用を継続できるので、故障に対する耐性が高い分散型のレーダ情報処理システムを実現できる。
【0042】
図3は、図1に概念的に示した分散型のレーダ情報処理システムの具体的な構成を示す図である。この分散型のレーダ情報処理システムは、図3(a)に示すように、電子計算機PC1と電子計算機PC2とがネットワークNETで接続されることにより構成されている。ネットワークNETとしては、例えばイーサネット(登録商標)を用いることができる。
【0043】
図3(b)は、電子計算機PC1および電子計算機PC2の内部の構成を示す図である。これら電子計算機PC1の内部構成と電子計算機PC2の内部構成は同じである。
【0044】
中心部のRDPS機能パッケージ群40は、複数のパッケージを組み合わせて成るアプリケーション(以下、「アプリ」と略する)1、アプリ2、・・・として表されている。このRDPS機能パッケージ群40の外側には分散統合インタフェース30が設けられ、分散統合インタフェース30の外側にはオペレーティングシステム(OS)20が設けられている。
【0045】
オペレーティングシステム20には、通信プロトコルが含まれる。さらに、オペレーティングシステム20の外側には、プラットホーム10が設けられている。プラットホーム10には、グラフィックボード、イーサネットボード、RS232C/RS422ボードといったハードウェアが含まれる。
【0046】
電子計算機PC1および電子計算機PC2の各々において、アプリ1、2、・・・が使用されるか否かは、各電子計算機に実装される機能によって決定される。図3に示した例では、アプリ2が装置間で使用され、アプリ6とアプリ7とが機能間で使用される状態を示している。
【0047】
このような構成によれば、各アプリケーションは、分散統合インタフェース30によってマルチプラットホーム上で動作するように処理されるので、連接相手の装置や物理的なインタフェースを意識しないで、データの受け渡しが可能となる。
【0048】
次に、図1に示したタスクパラメータ管理部50の具体的な例を説明する。図4は、本発明に係るレーダ情報処理システムにおけるタスクパラメータ管理部50の構造および動作を説明するための図である。
【0049】
タスクパラメータ管理部50は、第1パラメータファイルPF1〜第4パラメータファイルPF4といった4つのパラメータファイルを備えており、これら4つのパラメータファイルにより、全体のタスクパラメータが管理される。
【0050】
第1パラメータファイルPF1は、装置構成を管理するためのパラメータである分散化パラメータを格納している。分散化パラメータは、パッケージがどの装置(電子計算機)に存在するかを表すデータから構成されている。この分散化パラメータには、例えば、各パッケージの起動の有無、常駐/非常駐の区別、二重化の有無、IPアドレスといったデータが含まれる。
【0051】
なお、この第1パラメータファイルPF1に格納されている分散化パラメータは、分散型のレーダ情報処理システムを構成する装置の何れか1つがマスタとなって、スレーブとなる他の装置に配布するようになっている。
【0052】
第2パラメータファイルPF2は、装置単位のパラメータである起動パラメータを格納している。起動パラメータは、自装置(電子計算機)に存在するパッケージに関するデータのみから構成されている。起動パラメータには、例えば、自己を規定する端末情報(自端末の機能や端末番号)が含まれる。
【0053】
第3パラメータファイルPF3は、プロセス単位のパラメータである動作パラメータを格納している。動作パラメータには、各タスクを実行するために必要なデータ、例えば通信リトライ数、動作周期、通信タイムアウト数などが含まれる。この動作パラメータは、各プロセスにおいて変更を制限することもできる。
【0054】
第4パラメータファイルPF4は、各プロセスにおいて運用時に運用者が動的に変更することができるパラメータである運用パラメータを格納している。運用パラメータには、例えば、画面の色や文字の大きさを変更するためのデータが含まれる。
【0055】
タスクパラメータ管理部50は、第1パラメータファイルPF1〜第4パラメータファイルPF4に格納されている各パラメータをアプリケーションに与えることにより、アプリケーションを動作させる。
【0056】
すなわち、第1パラメータファイルPF1に格納されている分散化パラメータによってパッケージの起動の要否が判断され、起動が必要であることが判断された場合に、第2パラメータファイルPF2に格納されている起動パラメータに従った条件でパッケージが起動され、起動されたパッケージは、第3パラメータファイルPF3に格納されている動作パラメータに従って動作する。この際、第4パラメータファイルPF4に格納されている運用パラメータに従って表示などが変更される。
【0057】
以上のように、アプリケーションはタスクパラメータ管理部50に格納されているパラメータに従って動作するように構成されているので、アプリケーションにとってのプラットホーム(計算機システムやインタフェースハードウェア)が変更されても、アプリケーション自体を変更する必要がない。従って、レーダ情報処理システムを換装する場合に、ソフトウェア開発の負荷を軽減することができる。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施例1に係る分散型のレーダ情報処理システムによれば、流れるデータの種類に応じて設けられた第1データバス61〜第4データバス64によって階層化された第1層〜第3層に機能A〜機能Eを分散させて配置する分散型システムとして構成したので、一部の機能に障害が生じてもシステムの全面的な停止を回避できる。
【0059】
また、複数の機能A〜機能Eを分散させるように構成したので、各機能を実現するための装置は必ずしも高性能である必要はなく、安価な分散型のレーダ情報処理システムを構成できる。
【0060】
また、分散統合インタフェース30により機能A〜機能Eの追加および削除が容易になるので、客先の様々なニーズに対応できるとともにシステムの変更に対する柔軟性を有し、しかもシステムの変更を短期間で行うことができる。
【産業上の利用分野】
【0061】
本発明は、航空管制レーダシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムを概念的に示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係る分散型のレーダ情報処理システムの構成を概念的に示す図である。
【図3】本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムの具体的な構成を示す図である。
【図4】本発明に係る分散型のレーダ情報処理システムにおけるタスクパラメータ管理部の具体例を示す図である。
【図5】従来の航空管制レーダシステムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
10 プラットホーム
20 オペレーティングシステム(OS)
30 分散統合インタフェース
31 専用ライブラリ
32 共通ライブラリ
40 RDPS機能パッケージ群
50 タスクパラメータ管理部
61〜64 第1データバス〜第4データバス
71、72 コネクタ
81〜84 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置から取得したレーダ情報を処理することにより航空管制に供する情報を生成する分散型のレーダ情報処理システムであって、
流れるデータの種類に応じて設けられた複数のデータバスと、
前記複数のデータバスで区切ることにより階層化された複数の層の各々に分散して割り当てられ、各々が自層を形成する2つのデータバスに接続されて所定の機能を実現する複数のアプリケーションと、
前記複数のアプリケーションの間の接続を制御する分散統合インタフェース
とを備えたことを特徴とする分散型のレーダ情報処理システム。
【請求項2】
前記複数のデータバスおよび層は2つ以上の装置にまたがるように形成され、
前記分散統合インタフェースは、一方の装置内のアプリケーションと他方の装置内のアプリケーションとの接続を制御することを特徴とする請求項1記載の分散型のレーダ情報処理システム。
【請求項3】
前記複数のアプリケーションの動作に必要なパラメータを管理するタスクパラメータ管理部を備え、
前記分散統合インタフェースは、前記タスクパラメータ管理部によって管理されているパラメータを用いて前記複数のアプリケーションの間を接続して動作させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の分散型のレーダ情報処理システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−208323(P2006−208323A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24106(P2005−24106)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】