説明

分散性無機微粒子及びその製造方法

【課題】有機溶媒、極性溶媒及び混合溶媒に対して分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)を容易に調製できる分散性無機微粒子とその製造方法を提供する。
【解決手段】分散性無機微粒子(E)は、無機微粒子(A1)及びこの無機微粒子を有機溶媒中で分散安定化する保護コロイド(A2)で構成され、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(第1の分散性無機微粒子(A))と、この第1の分散性無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで構成され、かつ極性溶媒に分散可能な分散性無機微粒子(第2の分散性無機微粒子(C))を含んでおり、前記第2の分散性無機微粒子(C)と、この第2の分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記第2の分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒に対する分散性が改善された無機微粒子(無機系ナノ粒子など)及びこの分散性無機微粒子を含む分散液、そのためのキット並びに分散性無機微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機系ナノ粒子は、非線形光学特性などの物性を有し、バルクや金属原子とは異なる性質を有することが知られており、電気・通信分野などの多様な分野への応用が期待されている。
【0003】
無機系ナノ粒子の製造方法は気相法と液相法に大別される。気相法に関し、特許3341361号公報(特許文献1)には、超微粒子の材料を不活性ガス中で加熱蒸発し、不活性ガスとの衝突により蒸気を急冷することにより超微粒子を形成し、この超微粒子を基板上に付着させる工程と、この基板上にマトリックスを形成させる工程とを交互に行って超微粒子分散材料を製造する方法において、前記マトリックスを形成させる工程が、テトラメトキシシランなどの有機化合物またはシリコン水素化物の気体が化学反応に関与する化学的気相堆積法による工程である超微粒子分散材料の製造方法が開示されている。この方法では、交互堆積法により超微粒子の凝集成長を抑制でき、粒径分布のバラツキの小さな超微粒子分散材料を作製できる。しかし、気相法は、誘導加熱装置や真空装置などの高価で大掛かりな装置を必要とするとともに、金属ナノ粒子が真空装置内で生成するため、一度に得られる金属ナノ粒子の生成量が少なく、金属ナノ粒子を大量生産するのに適していない。
【0004】
一方、液相法は、簡便である上に大量生産にも適する特徴を有する。この液相法で得られる無機系ナノ粒子は、有機溶媒(トルエンなどの疎水性溶媒)に分散性を有する有機溶媒分散型無機系ナノ粒子と、水などの極性溶媒に分散性を有する極性溶媒分散型無機系ナノ粒子とに分類でき、塗布される基板の種類、混合される樹脂の種類などに応じて有機溶媒分散型又は極性溶媒分散型が調製される。また、環境負荷の低減のため、有機溶媒の使用が制限される用途もある。
【0005】
前記有機溶媒分散型無機系ナノ粒子に関し、特開2006−37145号公報(特許文献2)には、カルボン酸銀をトルエン中に分散させ、該トルエン中に沸点300℃以下のアミン(ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミンなどのアルキルアミンなど)を添加して銀のアミン錯体を形成させた後、還元剤(蟻酸、アスコルビン酸など)を添加して還元し、カルボン酸銀アミン錯体が付着したAgナノ粒子を製造することが開示されている。このAgナノ粒子はトルエンなどの有機溶媒に易溶であるが、水などの極性溶媒、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などに対する分散性が低い。
【0006】
また、極性溶媒分散型無機系ナノ粒子に関し、特開2004−43892号公報(特許文献3)には、貴金属(Agなど)の微粒子の表面を表面処理剤で被覆した貴金属微粒子であって、平均粒径が200nm未満、BET比表面積が1.0m/g以上であり、かつ表面処理剤の被覆率が1〜15重量%である貴金属微粒子が開示されている。この微粒子は、水性溶剤に貴金属化合物を溶解させて第1の溶液を調製し、上記水性溶剤に、貴金属イオンを還元反応させて微粒子状に析出させるための還元剤(L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸塩類、グルコースなど)と、表面処理剤とを溶解させて第2の溶液を調製し、液温を30℃以下に維持しつつ、第1の溶液を第2の溶液と混合して還元反応を行うことにより調製できる。この文献には、前記表面処理剤として、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、界面活性剤(カチオン性、アニオン性、両性およびノニオン性界面活性剤)が記載され、界面活性剤としては、カルボン酸基を親水基とするアニオン性界面活性剤が最も好ましいことも記載されている。このような微粒子は極性溶媒(特に水)に対する分散性は高いものの、混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)及び有機溶媒(特に疎水性有機溶媒)に対する分散性は低い。また、極性溶媒分散型微粒子の製造では、洗浄過程で遠心分離、限外ろ過を行う必要があり、設備投資費用が嵩むこと、さらに一度に洗浄できる量が少なく、洗浄効率(ひいては製造効率)が低いという課題がある。
【0007】
このように、有機溶媒と極性溶媒と混合溶媒とでは微粒子の分散特性及び生産性が異なる。そのため、有機溶媒分散型微粒子と極性溶媒分散型微粒子と混合溶媒分散型微粒子とを自由に調製可能な方法が整備されるのが好ましい。例えば、インクジェット印刷などの用途では、従来の極性溶媒分散性の無機微粒子(銀微粒子など)は、インクジェット印刷用インクの溶媒として用いられる混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に良好に分散しないという問題がある。インクジェット印刷用に限らず、混合溶媒の極性に合わせて無機微粒子の分散性を微調整したいという要求がある。
【特許文献1】特許3341361号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2006−37145号公報([特許請求の範囲]、段落[0028]、[0029]、[発明の効果])
【特許文献3】特開2004−43892号公報([特許請求の範囲]、段落[0031]、[0034])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、有機溶媒(疎水性溶媒など)、極性溶媒(水など)、及び有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に対して分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)を容易に調製できる分散性無機微粒子(分散性無機系ナノ粒子など)とその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、有機溶媒(疎水性溶媒など)に対して高い分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)を、極性溶媒(水など)に対して高い分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)に変換可能であり、さらに混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に対して高い分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)に簡便かつ容易に変換可能な分散性無機微粒子、及びこの分散性無機微粒子を含む分散液、そのためのキット並びに分散性無機微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、無機微粒子(A1)及びこの無機微粒子表面に配位した保護コロイド又は分散剤(A2)で構成され、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)と、この無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで構成され、かつ極性溶媒に分散可能な分散性無機微粒子(C)を形成し、前記分散性無機微粒子(C)と、この分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とを組み合わせると、前記無機微粒子(A)で有機溶媒に対する分散性を確保でき、前記無機微粒子(A)と界面活性剤(B)との組合せにより極性溶媒に対する分散性を確保でき、さらに前記分散性無機微粒子(C)と界面活性剤(D)との組み合わせにより、分散性無機微粒子(C)が界面活性剤(D)に内包され、混合溶媒に対する分散性を確保できることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の分散性無機微粒子(E)は、無機微粒子(A1)及びこの無機微粒子を有機溶媒中で分散安定化する保護コロイド(A2)で構成された無機微粒子(A)と、この無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで構成され、かつ極性溶媒に分散可能な分散性無機微粒子(C)を含んでおり、前記分散性無機微粒子(C)と、この分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とで構成されている。前記無機微粒子(A)は、無機微粒子(A1)を有機溶媒に対して分散可能であり、前記無機微粒子(A)と前記界面活性剤(B)との組合せで、無機微粒子(A1)を極性溶媒(極性無機溶媒など)に分散可能であり、前記無機微粒子(A)と前記界面活性剤(B)と前記界面活性剤(D)との組合せで、無機微粒子(A1)を混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に分散可能である。前記有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)は、界面活性剤(B)に内包されていてもよい。前記無機微粒子(A1)は、金属ナノ粒子であってもよい。また、前記無機微粒子(A1)を構成する金属は、周期表第8族金属、周期表第1B族金属及び周期表第4B族金属から選択された少なくとも一種であってもよい。前記保護コロイド(A2)は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含み、かつ無機微粒子に対して配位可能な官能基と、疎水鎖とを有する有機化合物であってもよい。前記界面活性剤(B)は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種であってもよい。また、界面活性剤(D)は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種であってもよい。前記界面活性剤(B)と界面活性剤(D)との組合せは、カチオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、又はアニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せであってもよい。前記混合溶媒は、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。また、前記混合溶媒は、水と、カルビトール類、セロソルブ類及びセロソルブアセテート類から選択された少なくとも一種との混合溶媒であってもよい。
【0012】
より具体的には、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)が、平均粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子と、この金属ナノ粒子に配位し、かつ前記金属に対する配位性基とC6−20アルキル鎖とを有する非水溶性有機化合物とで構成され、界面活性剤(B)がカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択された少なくとも一種であり、界面活性剤(D)がアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種であり、前記金属ナノ粒子100重量部に対して、前記非水溶性有機化合物の割合が30〜500重量部程度、前記界面活性剤(B)の割合が1〜100重量部程度、前記界面活性剤(D)の割合が1〜100重量部程度であってもよい。
【0013】
本発明には、前記分散性無機微粒子(E)が、有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散した分散液も含まれる。
【0014】
また、本発明には、前記有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)を含む第1の収容体と、界面活性剤(B)を含む第2の収容体と、界面活性剤(D)を含む第3の収容体とで構成されたキットであって、前記第1の収容体と前記第2の収容体とで、前記無機微粒子(A)を極性溶媒に分散可能であり、前記第1の収容体と前記第2の収容体と前記第3の収容体とで、前記無機微粒子(A)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能なキットも含まれる。
【0015】
さらに、本発明には、前記有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)、界面活性剤(B)及び極性溶媒を含む分散液を、有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒中で界面活性剤(D)と混合し、前記混合溶媒に分散可能な無機微粒子(E)を製造する方法も含まれる。
【0016】
なお、以下の説明において、「有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)」を単に「第1の分散性無機微粒子」又は「第1の分散性無機微粒子(A)」と称し、「極性溶媒に分散可能な無機微粒子」及び「分散性無機微粒子(C)」を単に「第2の分散性無機微粒子」又は「第2の分散性無機微粒子(C)」と称し、「混合溶媒に分散可能な無機微粒子(E)」を単に「第3の分散性無機微粒子」又は「第3の分散性無機微粒子(E)」と称する場合がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、第3の分散性無機微粒子(E)を第1の分散性無機微粒子(A)及び界面活性剤(B)で構成された分散性無機粒子(C)と、界面活性剤(D)とで構成し、分散性無機粒子(C)が界面活性剤(D)で内包された構造を有するため、有機溶媒(疎水性溶媒など)、極性溶媒(水など)、及び有機溶媒と混合溶媒との混合溶媒(水と水性有機溶媒との混合溶媒など)に対して無機微粒子(無機系ナノ粒子など)を容易に分散できる。すなわち、用途に応じて、有機溶媒分散型無機系ナノ粒子と、極性溶媒分散型無機系ナノ粒子と、混合溶媒分散型無機系ナノ粒子とを簡便に作り分けることができ、溶媒の極性に合わせて無機微粒子の分散性を制御できる。また、前記第1の分散性無機微粒子(A)及び界面活性剤(B)及び極性溶媒を含む分散液を、混合溶媒中で界面活性剤(D)と混合するだけで、有機溶媒(疎水性溶媒など)に対して高い分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)を、混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に対して高い分散性を有する無機系微粒子(金属ナノ粒子など)に簡便かつ容易に変換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の分散性無機微粒子(第3の分散性無機微粒子(E))は、無機微粒子(A1)及びこの無機微粒子を有機溶媒中で分散安定化する保護コロイド(A2)で構成され、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(第1の分散性無機微粒子(A))と、この第1の分散性無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで構成され、かつ極性溶媒に分散可能な分散性無機微粒子(第2の分散性無機微粒子(C))を含んでおり、前記第2の分散性無機微粒子(C)と、この第2の分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記第2の分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とで構成されている。
【0019】
[第1の分散性無機微粒子(A)]
無機微粒子(A1)
第1の分散性無機微粒子(A)の無機微粒子(A1)を構成する金属(金属原子)としては、例えば、遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウムなどの周期表第4A族金属;バナジウム、ニオブなどの周期表第5A族金属;モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;マンガンなどの周期表第7A族金属;鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、イリジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金などの周期表第1B族金属など)、周期表第2B族金属(例えば、亜鉛、カドミウムなど)、周期表第3B族金属(例えば、ガリウム、インジウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、ゲルマニウム、スズ、鉛など)、周期表第5B族金属(例えば、アンチモン、ビスマスなど)などが挙げられる。金属は、周期表第8族金属(コバルト、ニッケルなど)、周期表第1B族金属(銅、銀など)及び周期表第4B族金属(鉛など)から選択された金属であってもよい。なお、金属(金属原子)は、保護コロイド又は分散剤(A2)に対する配位性の高い金属、例えば、周期表第8族金属、周期表第1B族金属などである場合が多い。
【0020】
無機微粒子(A1)は、前記金属単体、前記金属の合金、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物などであってもよい。これらの無機微粒子(A1)は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。無機微粒子(A1)は、通常、金属粒子(金属単体粒子、金属合金粒子)である場合が多い。
【0021】
無機微粒子(A1)の平均粒子径(平均一次粒子径)は特に制限されず、0.001〜1μm程度の範囲から選択でき、通常、500nm以下(例えば、1〜300nm)である。無機微粒子(A1)はナノメーターサイズであるのが好ましく、このような無機微粒子(A1)の平均粒子径(平均一次粒子径)は、通常、250nm以下(例えば、1〜200nm)、好ましくは100nm以下(例えば、2〜80nm)、さらに好ましくは3〜50nm(例えば、4〜30nm)程度である。ナノメータサイズの無機微粒子(金属ナノ粒子などのナノ粒子)は、例えば、2〜20nm(例えば、3〜10nm)程度であってもよい。
【0022】
保護コロイド又は分散剤(A2)
第1の分散性無機微粒子(A)を構成する保護コロイド又は分散剤(A2)は、前記無機微粒子(A1)に作用して有機溶媒中で分散安定化する成分、例えば、前記無機微粒子(A1)に対して物理的又は化学的に親和性を有するか又は結合(水素結合、イオン結合、配位結合、化学結合など)して安定化する成分であればよい。前記無機微粒子(A1)の有機溶媒中での分散安定性を高めるためには、保護コロイド又は分散剤(A2)が前記無機微粒子(A1)表面に配位して結合するのが好ましい。そのため、好ましい保護コロイド又は分散剤(A2)は前記無機微粒子(A1)に配位する親和性化合物又は配位性化合物ということもできる。
【0023】
保護コロイド又は分散剤(A2)は、無機微粒子(無機微粒子の金属原子)に配位可能な官能基(又は金属原子に対する親和性基)を有している場合が多い。このような配位性官能基(又は配位子)としては、ハロゲン原子を有する基などであってもよいが、通常、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子など)、代表的には、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を有する基(官能基)である場合が多い。配位性官能基は、同種又は異種の複数のヘテロ原子を有していてもよい。配位性官能基は塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)を形成していてもよい。
【0024】
なお、本明細書において、「配位可能」「配位性」とは、金属に対して電子供与可能であることを意味し、必ずしも実際に金属原子に配位しなくてもよい。そのため、「配位性化合物」は、電子供与可能な(又は電子供与可能な基を有する)化合物であればよく、金属に対して配位していなくてもよい。
【0025】
具体的な配位性官能基としては、窒素原子を有する基[アミノ基、置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)、イミノ基(−NH−)、アミド基(−CON<)、シアノ基、ニトロ基、窒素環基(ピリジル基などの5〜8員窒素環基、カルバゾール基、モルホリニル基など)など]、酸素原子を有する基[ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−6アルコキシ基)、ホルミル基、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、酸素環基(テトラヒドロピラニル基などの5〜8員酸素環基など)など]、硫黄原子を有する基[例えば、チオ基(−S−)、チオール基(−SH)、チオカルボニル基(−SO−)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基などのC1−4アルキルチオ基など)、スルホ基、スルファモイル基、スルフィニル基(−SO−)など]、これらの塩を形成した基などが例示できる。保護コロイド又は分散剤(A2)(配位性化合物)は、配位性官能基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
【0026】
なお、保護コロイド又は分散剤(A2)(配位性化合物など)は、無機化合物であってもよいが、通常、有機化合物であってもよい。保護コロイド又は分散剤(A2)を構成する代表的な化合物としては、例えば、窒素原子含有有機化合物{例えば、アミン類、アミド類[例えば、アルカン酸アミド(アセトアミドなど)、N−置換アルカン酸アミド、ラクタム類など]、ニトロ化合物、ニトリル類(カプロニトリル、ラウロニトリルなどのC6−22脂肪族ニトリルなど)など}、酸素原子含有有機化合物{例えば、アルコール類[例えば、アルカノール類(ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールなどのC6−20アルカンモノオール)、シクロアルカノール類(シクロヘキサノールなど)、アルカンジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ポリアルキレングリコール類(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、アラルキルアルコール類、多価アルコール類など]、エーテル類(セロソルブ類、カルビトール類など)、カルボン酸類[例えば、酢酸、酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸などのC2−30飽和脂肪族カルボン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸などのC4−24不飽和脂肪族カルボン酸(例えば、C10−24高級不飽和カルボン酸)など]、ケトン類[例えば、アルカノン類、シクロアルカノン類、ジケトン類(アセチルアセトンなどのβ−ジケトン類)など]、エステル類(例えば、脂肪酸エステル類、グリコールエーテルエステル類など)、アルデヒド類(カプリルアルデヒド、ラウリルアルデヒド、パルミトアルデヒド、ステアリルアルデヒドなどのC6−20脂肪族アルデヒド)など}、硫黄原子含有有機化合物[例えば、チオール類(例えば、ヘキサンチオール、オクタンチオールなどのアルカンチオールなど)、スルホキシド類、スルホン酸類(例えば、アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)など]などが挙げられる。
【0027】
アミン類としては、モノアミン類、ポリアミン類、アミノカルボン酸類(グリシンなど)などが挙げられる。モノアミン類としては、例えば、第1級アミン類[例えば、モノアルキルアミン類(プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン(n−オクチルアミン、2−エチルへキシルアミンなど)、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ラウリルアミン(ドデシルアミン)、トリデシルアミン、ミリスチルアミン(テトラデシルアミン)、ペンタデシルアミン、パルミチルアミン(セチルアミン)、ステアリルアミン(オクタデシルアミン)、オレイルアミンなどのC3−20アルキルアミン、好ましくはC5−16アルキルアミン、さらに好ましくはC6−12アルキルアミンなど)、シクロアルキルアミン類(例えば、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどのC4−10シクロアルキルアミン)、アリールアミン類(例えば、アニリン、トルイジン、アミノナフタレンなどのC6−10アリールアミン)、アラルキルアミン類(ベンジルアミンなど)、ヒドロキシルアミン類(例えば、エタノールアミンなどのアルカノールアミン類)など]、第2級アミン類[例えば、ジアルキルアミン類(ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミンなどのジC3−20アルキルアミン、好ましくはジC4−16アルキルアミンなど)、ジシクロアルキルアミン類(例えば、ジシクロヘキシルアミンなどのジC4−10シクロアルキルアミン)、ジアリールアミン類(例えば、ジフェニルアミンなどのジC6−10アリールアミン)、ジアラルキルアミン類(ジベンジルアミンなど)、アルキルシクロアルキルアミン類(メチルシクロヘキシルアミンなど)、アルキルアリールアミン類(N−メチルアニリンなど)、複素環式アミン(例えば、ピロール、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、モルホリンなどの5〜8員環状第2級アミンなど)、ヒドロキシルアミン類(例えば、ジエタノールアミンなどのジアルカノールアミン類)など]、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン類(トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミンなどのトリC3−20アルキルアミン、好ましくはトリC5−16アルキルアミンなど;ジメチルデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミンなどのジC1−2アルキルC6−20アルキルアミンなど)、トリシクロアルキルアミン類(トリシクロへキシルアミンなど)、トリアリールアミン類(トリフェニルアミンなど)、トリアラルキルアミン類(トリベンジルアミンなど)、ジシクロアルキルアルキルアミン類(ジシクロヘキシルメチルアミンなど)、シクロアルキルジアルキルアミン類(シクロヘキシルジメチルアミンなど)、アリールジアルキルアミン類(N,N−ジメチルアニリンなど)、複素環式アミン(例えば、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、N−フェニルモルホリンなどの5〜8員環状第3級アミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−1など)、ヒドロキシルアミン類(例えば、トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン類)など]などが挙げられる。
【0028】
ポリアミン類としては、前記モノアミン類に対応するポリアミン類、例えば、鎖状ポリアミン類{例えば、アルカンジアミン類(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC2−20アルカンジアミン)などのジアミン類;ポリアルキレンポリアミン類(又はポリアルキレンイミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタアミンなどのポリC2−4アルキレンポリアミン)などの第1級ポリアミン類}、環状ポリアミン類[例えば、環状第2級ポリアミン(例えば、ピペラジン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリエチレンジアミンなど)、環状第3級ポリアミン(ピリミジンなど)など]などが挙げられる。
【0029】
また、保護コロイド又は分散剤(A2)は、低分子化合物に限らず高分子化合物であってもよい。このような高分子化合物としては、前記例示のヘテロ原子を有する高分子化合物[例えば、窒素原子含有高分子化合物(例えば、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエーテルポリアミン(ポリオキシエチレンポリアミンなど)など)、酸素原子含有高分子化合物(ポリビニルアルコールなど)]などが挙げられる。
【0030】
これらの保護コロイド又は分散剤(A2)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0031】
有機溶媒中での無機微粒子(A1)の分散安定性を高めるため、保護コロイド又は分散剤(A2)は、無機微粒子(A1)に対して配位可能な官能基(配位性基)と、疎水鎖(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C6−20アルキル鎖)とを有する場合が多い。また、保護コロイド又は分散剤(A2)は水溶性化合物であってもよいが非水溶性化合物(又は疎水性化合物)であってもよい。このような化合物としては、例えば、炭素数4以上のアルキルアミン類、例えば、モノ乃至トリC6−30アルキルアミン、好ましくはモノ乃至トリC7−24アルキルアミン、さらに好ましくはモノC8−20アルキルアミンなどが挙げられる。好ましいアミン類は、長鎖アルキルアミン(例えば、モノC6−20アルキルアミン)、特に第1級アミン類である。
【0032】
保護コロイド又は分散剤(A2)の割合は、金属ナノ粒子などの無機微粒子(A2)100重量部に対して、30〜500重量部(例えば、50〜400重量部)、好ましくは75〜350重量部(例えば、100〜300重量部)、さらに好ましくは150〜250重量部程度であってもよい。
【0033】
前記無機微粒子(A)は有機溶媒に対して高い分散性を有し、長期間に亘り高い分散安定性を示す。有機溶媒は、通常、非水溶性溶媒(又は疎水性溶媒)である場合が多く、例えば、炭化水素類(ヘキサン、トリメチルペンタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は単独で又は混合溶媒として使用できる。なお、前記無機微粒子(A)は有機溶媒に対して高い分散性を示すため、有機溶媒中の前記無機微粒子(A1)の濃度は特に制限されず、例えば、1〜50重量%(例えば、3〜25重量%)、好ましくは5〜20重量%(例えば、7〜15重量%)程度であってもよい。
【0034】
[第2の分散性無機微粒子(C)]
界面活性剤(B)
前記第1の分散性無機微粒子(A)と、この第1の分散性無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで、第2の分散性無機微粒子(C)を構成している。前記界面活性剤(B)は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などであってもよい。これらの界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの界面活性剤のうち、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを用いる場合が多い。
【0035】
前記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩(クエン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの飽和又は不飽和C6−24脂肪酸塩など);アルカンスルホン酸塩(ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルカンスルホン酸塩など)、ポリオキシアルキルエーテルスルホン酸塩(ポリオキシアルキルエーテルスルホン酸ナトリウムなど)、α−オレフィンスルホン酸塩(9−オクタデセニルスルホン酸ナトリウムなどのC12−18アルケニルスルホン酸塩など)、アルキルアレーンスルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルベンゼンスルホン酸塩など)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのC3−8アルキルナフタレンスルホン酸塩など)など]などのスルホン酸塩;アルキルリン酸塩(モノラウリルリン酸ナトリウム、ジラウリルリン酸ナトリウムなど)、モノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど);高級アルコール硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなどのC12−24アルコール硫酸エステル塩など);N−アシル−N−メチルタウレートなどが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
これらのアニオン性界面活性剤のうち、脂肪酸塩(クエン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど)、高級アルコール硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)などを用いる場合が多い。
【0037】
カチオン性界面活性剤は、N−エチルアルカンアミドアンモニウムハライドなどであってもよいが、4級アンモニウム塩である場合が多い。4級アンモニウム塩において、対イオンはハロゲンイオンであってもよく水酸化物イオン(又はヒドロキシ(OH)イオン)であってもよい。4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラC1−6アルキルアンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイドなどのテトラC1−4アルキルアンモニウム塩など);ジアリルジC1−4アルキルアンモニウム塩(例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなど);アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどのC8−20アルキルトリメチルアンモニウムハライド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなど);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイドなどのジC8−20アルキルジメチルアンモニウムハライドなど);アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(例えば、ベンザルコニウムクロライドなどのC8−20アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド、ベンゼトニウムクロライドなどの4−C1−10アルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリドなど);アルキルピリジニウム塩(例えば、セチルピリジニウムクロライドなどのN−C10−20アルキルピリジニウムハライド、N−C10−20アルキルピリジニウムクロライドなど)などが例示できる。これらのカチオン性界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0038】
好ましいカチオン性界面活性剤は、長鎖アルキル基(C6−20アルキル基など)、アルキル基が置換していてもよいアリール基(C6−12アリール基又はC1−20アルキル−C6−12アリール基)及びアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−12アリール−C1−4アルキル基など)から選択された少なくとも1つの疎水鎖(又は疎水基)と4級アンモニウム塩基とを有する水溶性のカチオン性界面活性剤である。このようなカチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、C10−16アルキルトリメチルアンモニウムハライド、好ましくはC10−14アルキルトリメチルアンモニウムハライドなど)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、ジC10−16アルキルジメチルアンモニウムハライド、好ましくはジC10−14アルキルジメチルアンモニウムハライドなど)、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(例えば、C10−16アルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド、4−C1−8アルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジルジメチルアンモニウムハライドなど)、アルキルピリジニウム塩(例えば、N−C10−16アルキルピリジニウムハライドなど)及びこれらのハライドに対応するヒドロキシドなどが例示できる。これらの界面活性剤も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0039】
ノニオン性界面活性剤は、低分子界面活性剤であってもよくオリゴマー又は高分子界面活性剤(アルキレンオキサイド付加体)であってもよい。界面活性剤の疎水鎖(又は疎水部)は飽和又は不飽和脂肪族鎖で構成してもよく、このような脂肪族鎖に対応する化合物としては、炭素数4〜24程度の化合物、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などのC6−24飽和脂肪酸、リンデル酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などのC6−24不飽和脂肪酸、これらの脂肪酸に対応するC6−24高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、オクタデシルアルコール、アラキルアルコール、オレイルアルコールなどのC10−24飽和又は不飽和アルコールなど)などが例示できる。疎水鎖は、汎用性が高く、価格の点から、炭素数6〜18程度であるのが好ましい。また、親水鎖(又は親水部)は多価アルコール(例えば、グリセリン、ポリグリセリン(例えば、平均重合度2〜5程度のポリグリセリン)、ソルビタン、ショ糖など)で構成してもよく、オキシアルキレン単位(特にオキシエチレン単位)で構成してもよい。また、必要によりオキシアルキレン単位としてオキシプロピレン単位を有していてもよい。非イオン性界面活性剤のオキシエチレン単位(−O−CH−CH−)(式中、nはユニット数を示す)のユニット数nは、界面活性剤の種類に応じて、極性溶媒に溶解し、ミセルを形成する範囲のユニット数であれば特に限定はされない。ユニット数の増加につれて水への溶解性が増加するので、無機微粒子(無機系ナノ粒子など)を分散させる極性溶媒の種類に応じて、ユニット数nは適宜決定される。
【0040】
低分子界面活性剤としては、例えば、アルキルグルコシド又はアルキルポリグルコシド(高級アルコールとグルコース類との反応により生成するアルキルポリグルコシド、例えば、オクチルポリグルコシド、ラウリルポリグルコシド、ミリスチルポリグルコシド、パルミチルポリグルコシド、ステアリルポリグルコシド、オレイルポリグルコシドなどのC6−22アルキル−ポリグルコシドなど)、脂肪酸多価アルコールエステル(グリセリンモノ又はジ脂肪酸エステル、例えば、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレートなどのグリセリンモノ又はジC10−24脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル、例えば、ショ糖モノラウレート、ショ糖モノパルミテート、ショ糖モノステアレート、ショ糖ジラウレートなどのショ糖C10−24脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタンC10−24脂肪酸エステルなど)、脂肪酸アルカノールアミド(例えば、N,N−ジエタノールラウリン酸アミド、N,N−ジエタノールパルミチン酸アミド、N,N−ジエタノールオレイン酸アミド、N,N−ジエタノールステアリン酸アミド、N,N−ジプロパノールラウリン酸アミドなどのC10−24脂肪酸−C2−4アルカノールアミドなど)などが例示できる。
【0041】
オリゴマー又は高分子界面活性剤(アルキレンオキサイド付加体)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンC6−22アルキルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル(ポリオキシエチレンオレイルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンC6−18アルキルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレートなどのポリオキシエチレンC10−24脂肪酸エステルなど)、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレート、ポリオキシエチレングリセリンジラウレート、ポリオキシエチレングリセリンジステアレート、ポリオキシエチレングリセリンジオレートなどのポリオキシエチレングリセリンC10−24脂肪酸エステル又はこれらの化合物に対応するポリオキシエチレンポリグリセリンC10−24脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンショ糖モノラウレート、ポリオキシエチレンショ糖モノステアレート、ポリオキシエチレンショ糖モノオレート、ポリオキシエチレンショ糖ジラウレート、ポリオキシエチレンショ糖ジステアレート、ポリオキシエチレンショ糖ジオレートなどのポリオキシエチレンショ糖C10−24脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリスステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタンC10−24脂肪酸エステルなど)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルアミン(ポリオキシエチレンオクチルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンミリスチルアミン、ポリオキシエチレンパルミチルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミンなどのポリオキシエチレンC6−22アルキルアミンなど)、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド(例えば、ポリオキシエチレンN,N−ジエタノールラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンN,N−ジエタノールパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンN,N−ジエタノールオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンN,N−ジエタノールステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンN,N−ジプロパノールラウリン酸アミドなどのポリオキシエチレンC10−24脂肪酸−C2−4アルカノールアミドなど)などが例示できる。これらのノニオン性界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
ノニオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミドなどを用いる場合が多い。
【0043】
両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド(ジメチルドデシルアミンオキシドなどのジメチルアルキルアミンオキシドなど)、N−アルキルベタイン(N−C6−24アルキルベタインなど)、イミダゾリン誘導体(ラウリルイミダゾリウムベタインなど)、アルキルアミノ脂肪酸類(グリシン、アミノプロピオン酸などのアルキルアミノ脂肪酸又はその塩)、スルホベタインなどが挙げられる。これらの両性界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0044】
両性界面活性剤のうち、アミノプロピオン酸などのアルキルアミノ脂肪酸類などを用いる場合が多い。
【0045】
界面活性剤(B)の親水−疎水バランス(Hydrophile-Lipophile-Balance)HLBは、極性溶媒の種類などに応じて、例えば、7〜75(例えば、10〜30)、好ましくは12〜20、さらに好ましくは15〜20程度であってもよい。
【0046】
また、界面活性剤(B)の臨界ミセル濃度(cmc)は、例えば、温度25℃において、0.0001〜0.03重量%、好ましくは0.0005〜0.02重量%、さらに好ましくは0.001〜0.015重量%(例えば、0.002〜0.01重量%)程度であってもよい。なお、分散液中の界面活性剤(B)の濃度は、通常、臨界ミセル濃度又はそれ以上である。
【0047】
界面活性剤(B)の使用量は、金属ナノ粒子などの無機微粒子(A1)の分散安定性を損なわない範囲で選択でき、通常、無機微粒子(A1)100重量部に対して、1〜100重量部(例えば、3〜75重量部)、好ましくは5〜50重量部(例えば、7〜40重量部)、さらに好ましくは10〜30重量部(例えば、10〜20重量部)程度である。前記界面活性剤(B)は、通常、極性溶媒(例えば、水など)に可溶である。また、界面活性剤(B)は第1の分散性無機微粒子(A)と遊離していてもよいが、第1の分散性無機微粒子(A)を内包していてもよい。
【0048】
さらに、第2の分散性無機微粒子(C)は極性溶媒に分散可能であり、極性溶媒中で長期間に亘り安定に分散する。極性溶媒としては、例えば、水などが挙げられる。なお、前記極性溶媒は、少量であれば水溶性有機溶媒を含んでいてもよいが、通常、極性溶媒の主成分は水であり、極性溶媒として水単独を用いる場合が多い。水溶性有機溶媒の割合が多すぎると、極性溶媒に対する無機微粒子(A1)の分散が不安定になる場合がある。
【0049】
なお、極性溶媒(特に水)を用いた分散系のpHは特に制限されないが、カチオン性界面活性剤を用いる場合、極性溶媒のpHが高い(例えば、弱アルカリ性乃至アルカリ性)ほど分散性が向上する傾向を示し、ノニオン性界面活性剤を用いる場合、極性溶媒のpHが低い(例えば、弱酸性乃至酸性)ほど分散性が向上する傾向を示す。そのため、極性溶媒のpHは1〜12程度の範囲から選択でき、分散性を向上させるため、カチオン性界面活性剤を用いる場合、pH7以上(例えば、7.5〜12程度)に調整するのが好ましく、ノニオン性界面活性剤を用いる場合、pH7以下(例えば、1〜7、好ましくは2〜6.5程度)に調整するのが好ましい。
【0050】
pH調整は、慣用の方法、例えば、酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸)、アルカリ[水酸化ナトリウム、アンモニアなどの無機塩基、アミン類(例えば、アルキルアミン、アルカノールアミンなどの第三級アミン類などの有機塩基)などの塩基類]を用いて行うことができる。
【0051】
極性溶媒中の前記無機微粒子(A1)の濃度も特に制限されず、例えば、1〜50重量%(例えば、3〜25重量%)、好ましくは5〜20重量%(例えば、7〜15重量%)程度であってもよい。
【0052】
[第3の分散性無機微粒子(E)]
本発明の第3の分散性無機微粒子(E)は、前記第2の分散性無機微粒子(C)と、この第2の分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記第2の分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とで構成されている。
【0053】
界面活性剤(D)
界面活性剤(D)としては、前記界面活性剤(B)で例示の界面活性剤が挙げられ、アニオン性界面活性剤[特に、脂肪酸塩(クエン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど)、高級アルコール硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)]、ノニオン性界面活性剤(特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド)など]、両性界面活性剤(特に、アミノプロピオン酸などのアルキルアミノ脂肪酸類など)などを使用する場合が多い。界面活性剤(D)は、前記界面活性剤(B)と同種又は同系統であってもよいが、通常、異なる場合が多い。
【0054】
前記界面活性剤(B)と界面活性剤(D)との組合せとしては、(1)カチオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、(2)アニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、(3)ノニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、(4)ノニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せなどが挙げられ、好ましい組合せとしては、カチオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、アニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せなどが挙げられる。
【0055】
界面活性剤(D)の親水−疎水バランス(Hydrophile-Lipophile-Balance)HLBは、極性溶媒の種類などに応じて、例えば、2〜30(例えば、5〜30)程度の範囲から選択でき、通常、5〜20、好ましくは7〜15(例えば、10〜15)程度であってもよい。
【0056】
また、界面活性剤(D)の臨界ミセル濃度(cmc)は、例えば、温度25℃において、0.0001〜0.03重量%、好ましくは0.0005〜0.02重量%、さらに好ましくは0.001〜0.015重量%(例えば、0.002〜0.01重量%)程度であってもよい。なお、界面活性剤(D)が、前記第2の分散性無機微粒子(C)を内包するためには、分散液中の界面活性剤(D)の濃度が臨界ミセル濃度又はそれ以上であるのが有利である。
【0057】
界面活性剤(D)の使用量は、金属ナノ粒子などの無機微粒子(A1)の分散安定性を損なわない範囲で選択でき、通常、無機微粒子(A1)100重量部に対して、1〜100重量部(例えば、3〜75重量部)、好ましくは5〜50重量部(例えば、7〜40重量部)、さらに好ましくは10〜30重量部(例えば、10〜20重量部)程度である。
【0058】
前記界面活性剤(D)は、通常、有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒など)に可溶である。さらに、前記第3の分散性無機微粒子(E)は混合溶媒に分散可能であり、混合溶媒中で長期間に亘り安定に分散する。本発明には、第3の分散性無機微粒子(E)が、前記混合溶媒に分散した分散液も含まれる。前記前記混合溶媒としては、水性混合溶媒、例えば、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、前記例示の非水性溶媒であってもよいが、水溶性有機溶媒が挙げられる。前記水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、有機カルボン酸類(酢酸など)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのC1−4アルキルセロソルブ類など)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテートなどのC1−4アルキルセロソルブアセテート類)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトールなどのC1−4アルキルカルビトール類など)などが例示できる。これらの水溶性有機溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。有機溶媒のうち水溶性有機溶媒が好ましく、セロソルブ類、セロソルブアセテート類、カルビトール類などを用いる場合が多く、特にカルビトール類(C1−4アルキルカルビトール類など)を用いる場合が多い。
【0059】
前記界面活性剤(D)を用いることにより、混合溶媒に対する無機微粒子(A1)の分散性を高めることができる。
【0060】
なお、混合溶媒を用いた分散系のpHは特に制限されないが、必要に応じて前記と同様に調整できる。
【0061】
混合溶媒中の前記無機微粒子(A1)の濃度も特に制限されず、例えば、1〜50重量%(例えば、3〜25重量%)、好ましくは5〜20重量%(例えば、7〜15重量%)程度であってもよい。
【0062】
[第3の分散性無機微粒子(E)の製造方法及びキット]
第3の分散性無機微粒子(E)は、第1の分散性無機微粒子(A)、界面活性剤(B)及び極性溶媒を含む分散液を、混合溶媒中で界面活性剤(D)と混合し、得ることができる。
【0063】
第1の分散性無機微粒子(A)は、慣用の方法で製造できる。例えば、前記無機微粒子(A1)に対応する金属化合物を、保護コロイド又は分散剤(A2)の存在下、有機溶媒中で還元することにより第1の分散性無機微粒子(A)を調製できる。
【0064】
前記無機微粒子(A1)に対応する金属化合物は、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)など]などであってもよい。なお、金属塩の形態は、単塩、複塩又は錯塩のいずれであってもよく、多量体(例えば、2量体)などであってもよい。これらの金属化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属化合物のうち、金属ハロゲン化物、金属酸塩[金属無機酸塩(硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩などのオキソ酸塩など)、金属有機酸塩(酢酸塩など)を使用する場合が多い。
【0065】
還元剤としては、慣用の成分、例えば、水素化ホウ素ナトリウム類(水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウムなど)、水素化アルミニウムリチウム、次亜リン酸又はその塩(ナトリウム塩など)、ボラン類(ジボラン、ジメチルアミンボランなど)、ヒドラジン、ホルマリンなどが例示できる。これらの還元剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0066】
還元剤の使用量は、金属原子換算で前記金属化合物1当量(又は1モル)に対して、0.8〜5モル(例えば、0.9〜4モル)、好ましくは1〜3.5モル(例えば、1.1〜3モル)、さらに好ましくは1.2〜2.5モル程度であってもよい。
【0067】
還元反応は、分散安定剤、例えば、アルカンカルボン酸(ペンタン酸、カプロン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸などのC6−20飽和脂肪族カルボン酸、リンデル酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などのC8−24不飽和脂肪族カルボン酸(例えば、C10−24高級不飽和カルボン酸)など)の存在下で行ってもよい。
【0068】
還元反応は、慣用の方法、例えば、温度10〜75℃(例えば、15〜50℃、好ましくは20〜35℃)程度で撹拌することにより行うことができる。反応系の雰囲気は、空気、不活性ガス(窒素ガスなど)であってもよく、還元性ガス(水素ガスなど)を含む雰囲気であってもよい。なお、反応溶媒は前記有機溶媒で構成する場合が多く、必要により、前記有機溶媒と水溶性有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ジメチルアセトアミドなどのアミド類など)との混合溶媒を用いてもよく、水溶性有機溶媒は反応系に添加される成分、例えば、還元剤などの溶媒に由来してもよい。
【0069】
還元反応の終了後、反応混合液を濃縮し、メンブレンフィルタなどで精製することにより、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)を調製することができる。
【0070】
第1の分散性無機微粒子(A)、界面活性剤(B)及び極性溶媒を含む分散液は、極性溶媒中に、第1の分散性無機微粒子(A)及び界面活性剤(B)を共存させることにより調製でき、通常、第1の分散性無機微粒子(A)、界面活性剤(B)、及び極性溶媒を混合することにより調製できる。前記分散液を混合溶媒中(混合溶媒存在下)で界面活性剤(D)と混合し、本発明の第3の分散性無機微粒子を得ることができる。また、界面活性剤(D)を混合溶媒に溶解し、前記分散液と混合して本発明の第3の分散性無機微粒子を得ることもできる。なお、混合は、慣用の撹拌方法を用いて行ってもよい。また、前記混合溶媒を用いず、界面活性剤(D)を直接前記分散液と混合すると、分散性無機微粒子が凝集する場合がある。
【0071】
本発明の第3の分散性無機微粒子(E)は、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)を含む第1の収容体(又は包装体)と、界面活性剤(B)を含む第2の収容体(又は包装体)と、界面活性剤(D)を含む第3の収容体(又は包装体)とで構成され、前記無機微粒子を混合溶媒(水性混合溶媒など)に分散可能なキットを用いて得ることもできる。前記第1の収容体では第1の分散性無機微粒子(A)を粉末状の形態で収容してもよく、有機溶媒に分散した分散体の形態で収容してもよい。また、第2の収容体では、界面活性剤(B)を粉末状の形態で収容してもよく、極性溶媒に溶解した溶液の形態で収容してもよい。第3の収容体では、界面活性剤(D)を粉末状の形態で収容してもよく、混合溶媒に溶解した溶液の形態で収容してもよい。なお、第1の分散性無機微粒子(A)及び界面活性剤(B)を含む収容体と、界面活性剤(D)を含む収容体とでキットを形成してもよい。
【0072】
前記第1の収容体を用いると、無機微粒子の有機溶媒に対する分散性を確保でき、前記第1の収容体及び第2の収容体を用いると、極性溶媒に対する分散性を確保でき、前記第1の収容体、第2の収容体、及び第3の収容体を用いると、混合溶媒に対する分散性を確保することができる。
【0073】
本発明において、第1の分散性無機微粒子(A)は有機溶媒(非水溶性溶媒)に分散可能であり、第2の分散性無機微粒子(C)は極性溶媒(水など)に分散可能であり、第3の分散性無機微粒子(E)は混合溶媒(水と水性有機溶媒との混合溶媒など)に分散可能である。これらの無機微粒子(A)(C)(E)の構造は断定できないものの、実験結果から前記第1の分散性無機微粒子(A)、第2の分散性無機微粒子(C)及び第3の分散性無機微粒子(E)は、模式図である図1に示す構造を有すると思われる。なお、図1では界面活性(B)として、カチオン性界面活性剤(疎水鎖と4級アンモニウム塩基とを有する化合物)を用い、界面活性(D)として、アニオン性界面活性剤(疎水鎖と硫酸塩基とを有する化合物)を用いた例を示している。すなわち、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した第1の分散性無機微粒子(A)のコア部の平均粒子径は、動的光散乱粒径測定(DLS)により測定した第1の分散性無機微粒子(A)全体の平均粒子径よりも小さい。そのため、図1(A)に示されるように、有機溶媒中において、第1の分散性無機微粒子(A)では、無機微粒子(A1)がコアを形成し、保護コロイド又は分散剤(A2)が無機微粒子(A1)の表面を被覆するか又は表面に配向しているようである。
【0074】
また、第2の分散性無機微粒子(C)について透過型電子顕微鏡(TEM)でコア部の平均粒子径を測定すると、第1の分散性無機微粒子(A)のコア部の平均粒子径とさほど相違はなく、動的光散乱粒径測定(DLS)で第2の分散性無機微粒子(C)全体の平均粒子径を測定すると、第1の分散性無機微粒子(A)全体の平均粒子径よりも大きい場合が多い。そのため、図1(C)に示されるように、極性溶媒中において、第2の分散性無機微粒子(C)は、無機微粒子(A1)がコアを形成し、界面活性剤(B)が第1の分散性無機微粒子(A)を内包した構造を有しているようである。すなわち、第2の分散性無機微粒子(C)は、分散剤又は保護コロイド(A2)を介して無機微粒子(A1)が界面活性剤(B)に内包された構造を有しているようである。
【0075】
また、第3の分散性無機微粒子(E)について透過型電子顕微鏡(TEM)でコア部の平均粒子径を測定すると、第1の分散性無機微粒子(A)のコア部の平均粒子径とさほど相違はなく、動的光散乱粒径測定(DLS)で第2の分散性無機微粒子(C)全体の平均粒子径を測定すると、第2の分散性無機微粒子(C)全体の平均粒子径よりも大きい場合が多い。そのため、図1(E)に示されるように、混合溶媒中において、第2の分散性無機微粒子(C)は、無機微粒子(A1)がコアを形成し、界面活性剤(D)が第2の分散性無機微粒子(C)を内包した構造を有しているようである。すなわち、第3の分散性無機微粒子(E)は、分散剤又は保護コロイド(A2)、及び界面活性剤(B)を介して、無機微粒子(A1)が界面活性剤(B)に内包された第2の分散性無機微粒子(C)の形態が、さらに界面活性剤(D)に内包された構造を有しているようである。そのため、第3の分散性無機微粒子(E)の分散体は、上記構造を保持して混合溶媒中に分散している。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、第1の分散性無機微粒子の形態とすることにより無機微粒子を有機溶媒に分散でき、また、第2の分散性無機微粒子の形態とすることにより無機微粒子を極性溶媒に分散でき、さらに、第3の分散性無機微粒子の形態とすることにより無機微粒子を混合溶媒に分散できる。従って、無機微粒子の利用範囲が制約されることがなく、広い範囲で利用できる。例えば、樹脂に添加して補強性、導電性などを付与できるとともに、有機溶媒、極性溶媒又は混合溶媒に分散して低温焼結が可能な導電性ペースト、印刷用インク(インクジェット印刷用インクなど)などとして利用できる。
【実施例】
【0077】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0078】
実施例1
硝酸銀2.5g、保護剤としてオクチルアミン4.9g、リノール酸3.1gをトリメチルペンタン1.0Lに加え、攪拌混合し溶解した。この混合溶液に、0.03モル/Lの水素化ホウ素ナトリウムを含むプロパノール溶液1.0Lを1時間かけて滴下し銀を還元した。さらに、3時間攪拌して黒色の液体を得た。得られた黒色の液体をエバポレータによって濃縮した後、これにメタノール2.0Lを加えて褐色の沈殿物を生成させた後、吸引ろ過により沈殿物を回収した。生成した沈殿物をトリメチルペンタンに再分散させ、ろ過した後、乾燥させて、銀ナノ粒子を黒色の固体として得た。透過型電子顕微鏡(TEM)によれば、得られた銀ナノ粒子のコア部の個数平均粒子径は4nm、動的光散乱粒径測定(DLS)によれば、保護コロイドを含む銀ナノ粒子全体の個数平均粒子径は8nmであった。
【0079】
保護コロイドを含む銀ナノ粒子20g、界面活性剤(B)として、カチオン性界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)3gを、25℃のイオン交換水110mLに投入した(銀濃度は10.5重量%)。混合直後、水が着色し、銀ナノ粒子が水に分散したことを確認した。1時間撹拌後、得られた分散液を、細孔径0.2μmのメンブレンフィルタでろ過した。ろ液から一部を取り出し、るつぼに入れ、マッフル炉中550℃で焼き、残渣重量からろ液中に含まれる銀濃度を測定した結果、銀濃度は8.0重量%であった。
【0080】
コア部と保護コロイドを含む全体の個数平均粒子径を再度測定したところ、コア部は4nmと変化はなく、全体は14nmであった。このことから、銀ナノ粒子がCTABに内包された構造を有しており、このような構造で水へ分散していると思われる。
【0081】
また、イオン交換水60gにブチルカルビトール30gを混合し、これに界面活性剤(D)として、アニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム2gを添加し、界面活性剤(D)含有溶液を調製した。続いて、上記で得られた銀ナノ粒子水分散液0.1mgに、界面活性剤(D)含有溶液0.9mgを添加した。混合直後、沈殿は生じなかった。0.5時間撹拌後、得られた分散液を、細孔径0.2μmのメンブレンフィルタでろ過した。ろ液から一部を取り出し、るつぼに入れ、マッフル炉中550℃で焼き、残渣重量からろ液中に含まれる銀濃度を測定した結果、銀濃度は0.8重量%であった。
【0082】
コア部と保護コロイドを含む全体の個数平均粒子径を再度測定したところ、コア部は4nmと変化はなく、全体は17nmであった。このことから、銀ナノ粒子がCTABに内包され、さらにドデシル硫酸ナトリウムに内包された多重ミセル構造を形成しており、このような構造で水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。
【0083】
実施例2
界面活性剤(B)にカチオン性界面活性剤であるベンゼトニウムクロライドを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0084】
実施例3
界面活性剤(B)にカチオン性界面活性剤であるベンザルコニウムクロライドを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0085】
実施例4
界面活性剤(B)にカチオン性界面活性剤であるセチルピリジニウムクロライドを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0086】
実施例5
界面活性剤(B)にカチオン性界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は1.0重量%であった。
【0087】
実施例6
界面活性剤(B)にカチオン性界面活性剤であるジドデシルジメチルアンモニウムブロミドを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は1.0重量%であった。
【0088】
実施例7
界面活性剤(D)にアニオン性界面活性剤であるオレイン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0089】
実施例8
界面活性剤(D)にアニオン性界面活性剤であるポリオキシドデシルエーテルスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・ブチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0090】
実施例9
ブチルカルビトールに代えてエチルカルビトールを用い、界面活性剤(D)に両性界面活性剤であるアミノプロピオン酸を用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・エチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0091】
実施例10
ブチルカルビトールに代えてエチルカルビトールを用い、界面活性剤(D)にアニオン性界面活性剤であるクエン酸ナトリウムを用いた以外は、実施例1と同様に行った。沈殿は生成せず、多重ミセル構造を形成していると考えられる銀ナノ粒子が水・エチルカルビトール混合溶媒に分散した。銀濃度は0.8重量%であった。
【0092】
比較例1
界面活性剤(D)を使用しない以外は、実施例1と同様に行った。銀ナノ粒子は水・ブチルカルビトール混合溶媒中で凝集及び沈殿した。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は第1の分散性無機微粒子(A)と第2の分散性無機微粒子(C)と第3の分散性無機微粒子(E)とを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0094】
A…第1の分散性無機微粒子(A)
A1…無機微粒子
A2…保護コロイド
C…第2の分散性無機微粒子(C)
B…界面活性剤(B)
E…第3の分散性無機微粒子(E)
D…界面活性剤(D)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子(A1)及びこの無機微粒子を有機溶媒中で分散安定化する保護コロイド(A2)で構成され、有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)と、この無機微粒子(A)を極性溶媒に分散するための界面活性剤(B)とで構成され、かつ極性溶媒に分散可能な分散性無機微粒子(C)を含む分散性無機微粒子(E)であって、前記分散性無機微粒子(C)と、この分散性無機微粒子(C)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能であり、かつ前記分散性無機微粒子(C)を内包する界面活性剤(D)とで構成されている分散性無機微粒子。
【請求項2】
有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)が界面活性剤(B)に内包されている請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項3】
無機微粒子(A1)が金属ナノ粒子である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項4】
無機微粒子(A1)を構成する金属が、周期表第8族金属、周期表第1B族金属及び周期表第4B族金属から選択された少なくとも一種である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項5】
保護コロイド(A2)が、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含み、かつ無機微粒子に対して配位可能な官能基と、疎水鎖とを有する有機化合物である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項6】
界面活性剤(B)が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項7】
界面活性剤(D)が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項8】
界面活性剤(B)と界面活性剤(D)との組合せが、カチオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せ、又はアニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種との組合せである請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項9】
混合溶媒が、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項10】
混合溶媒が、水と、カルビトール類、セロソルブ類及びセロソルブアセテート類から選択された少なくとも一種との混合溶媒である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項11】
有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)が、平均粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子と、この金属ナノ粒子に配位し、かつ前記金属に対する配位性基とC6−20アルキル鎖とを有する非水溶性有機化合物とで構成され、界面活性剤(B)がカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択された少なくとも一種であり、界面活性剤(D)がアニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択された少なくとも一種であり、前記金属ナノ粒子100重量部に対して、前記非水溶性有機化合物の割合が30〜500重量部、前記界面活性剤(B)の割合が1〜100重量部、前記界面活性剤(D)の割合が1〜100重量部である請求項1記載の分散性無機微粒子。
【請求項12】
請求項1記載の分散性無機微粒子(E)が、有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散した分散液。
【請求項13】
請求項1記載の有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)を含む第1の収容体と、界面活性剤(B)を含む第2の収容体と、界面活性剤(D)を含む第3の収容体とで構成されたキットであって、前記第1の収容体と前記第2の収容体とで、前記無機微粒子(A)を極性溶媒に分散可能であり、前記第1の収容体と前記第2の収容体と前記第3の収容体とで、前記無機微粒子(A)を有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒に分散可能なキット。
【請求項14】
請求項1記載の有機溶媒に対して分散性を有する無機微粒子(A)、界面活性剤(B)及び極性溶媒を含む分散液を、有機溶媒と極性溶媒との混合溶媒中で界面活性剤(D)と混合し、前記混合溶媒に分散可能な無機微粒子(E)を製造する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−274350(P2008−274350A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119318(P2007−119318)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】