説明

分析物および核酸の検出

試料に含まれる少なくとも1つの分析物および少なくとも1つの核酸を検出する方法が提供される。また、この方法を行うための試薬が提供される。種々の態様では、細胞において、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出する方法が提供される。種々の態様では、細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解して細胞溶解物を生成し、近接検出アッセイを用いて、この細胞溶解物内の少なくとも1つの標的分析物を検出し、定量的核酸検出アッセイを用いて、この細胞溶解物内の少なくとも1つの標的核酸を検出する工程を含む方法が提供される。種々の態様では、少なくとも1つの標的分析物の検出と少なくとも1つの標的核酸の検出は、同一の容器で起こる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2006年8月1日に出願された、米国仮出願第60/835,118号の利益を主張する。米国仮出願第60/835,118号は、あらゆる目的のためにその全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
分野
試料に含まれる少なくとも1つの分析物および少なくとも1つの核酸を検出する方法が提供される。また、この方法を行うための試薬が提供される。
【背景技術】
【0003】
ウェスタンブロッティング、ELISAなどを含む、細胞溶解物に含まれるタンパク質を検出する様々な方法が、当該技術分野において知られている。また、RT−PCRなどを含む、細胞溶解物に含まれる核酸を検出する様々な方法が、当該技術分野において知られている。しかしながら、試料中の検出されるタンパク質および検出される核酸の相対量は比較することが困難であり、それは、それらの試料が、一般に、別々に、異なる方法によって調製されるためである。さらに、また、タンパク質および核酸に用いられる種々の検出法は、結果として、それらの相対量を相互に関連付けることを困難にする場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
種々の態様では、細胞において、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出する方法が提供される。種々の態様では、細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解して細胞溶解物を生成し、近接検出アッセイを用いて、この細胞溶解物内の少なくとも1つの標的分析物を検出し、定量的核酸検出アッセイを用いて、この細胞溶解物内の少なくとも1つの標的核酸を検出する工程を含む方法が提供される。種々の態様では、少なくとも1つの標的分析物の検出と少なくとも1つの標的核酸の検出は、同一の容器で起こる。
【0005】
種々の態様では、細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解して細胞溶解物を生成し、この細胞溶解物を、(i)各々の近接検出プローブセットが少なくとも2つの近接検出プローブを含み、各々の近接検出プローブが少なくとも1つの分析物結合部分および少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分を含む少なくとも1つの近接検出プローブセット;(ii)少なくとも1つのスプリント(splint)オリゴヌクレオチド;(iii)少なくとも1つの連結された近接検出プローブセットが形成されるように少なくとも1つのリガーゼとともにインキュベートする工程;この細胞溶解物を少なくとも1つのプロテアーゼとともにインキュベートする工程;少なくとも1つの連結された近接検出プローブを検出する工程;少なくとも1つの標的核酸を検出する工程を含む方法が提供される。
【0006】
種々の態様では、細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解して細胞溶解物を生成し、各々の近接検出プローブセットが少なくとも2つの近接検出プローブを含み、各々の近接検出プローブが少なくとも1つの分析物結合部分および少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分を含み、その結果、少なくとも1つのハイブリダイズされた近接検出プローブセットが形成されるように少なくとも1つの近接検出プローブセットとともにインキュベートする工程;この細胞溶解物を少なくとも1つのプロテアーゼとともにインキュベートする工程;少なくとも1つのハイブリダイズされた近接検出プローブセットを検出する工程;少なくとも1つの標的核酸を検出する工程を含む方法が提供される。
【0007】
種々の態様では、多官能性溶解緩衝液が提供される。種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む。
【0008】
種々の態様では、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核を検出するキットが酸提供される。種々の態様では、キットは、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む少なくとも1つの多官能性溶解緩衝液を含む。
【0009】
種々の態様では、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む多官能性溶解緩衝液を含む溶解物、少なくとも1つの近接検出プローブセットを含む組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に記載されている近接連結アッセイの結果を示す。各々の反応応に対する閾値サイクル数(「avg CT」)が示される。
【図2】実施例1に記載される蛍光の相対的増加(ΔRn)対TaqManワンステップqRT−PCR反応についてのサイクル数のプロットを示す。FAM層だけが図2に示される。
【図3】実施例1に記載されている実験に対して、閾値サイクル数対プレート位置(即ち、TaqManワンステップqRT−PCR反応)のプロットを示す。FAM層だけが図3に示される。
【図4】実施例1に記載されている蛍光の相対的増加(ΔRn)対TaqManワンステップqRT−PCR反応についてのサイクル数を示す。VIC層だけが図4に示される。
【図5】実施例1に記載されている実験に対して、閾値サイクル数対プレート位置(即ち、TaqManワンステップqRT−PCR反応)のプロットを示す。VIC層だけが図5に示される。
【図6】実施例2に記載されているように、プロテアーゼの有無による、緩衝液Na、緩衝液Nb、および緩衝液Ncにおいて調製された溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図7】実施例2に記載されている実験に対して、閾値サイクル数対プレート位置(即ち、TaqManワンステップqRT−PCR反応)のプロットを示す。
【図8】実施例3に記載されているように、種々の化合物を用いて調製された溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。レーン1〜8は、それぞれ、NMP、マッケルニウム(Mackernium)、エムピゲン(Empigen)、NDSB−201、Zwittergent 3−10、Zwittergent 3−14、TMACL、およびDDMABである。レーン9〜16は、それぞれ、CAPSO、CHAPS、LDAO、ザルコシル(Sarkosyl)、CTAB、DEDTAB、DLS、およびDTABである。
【図9】実施例3に記載されているように、2% NDSB−201または5mM CAPSOのいずれかを用いて調製された溶解物の種々の希釈物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図10】実施例4に記載されているように、緩衝液N溶解物の種々の希釈物を用いて、平均の閾値サイクル数(「avg CT」)対近接連結アッセイのプロットを示す。
【図11】実施例4に記載されているように、RNase阻害剤の有無による、様々な時間、37℃でインキュベートされた細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図12】実施例4に記載されているように、Tweenの有無による、緩衝液Na、緩衝液Nb、および緩衝液Ncにおける細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図13】実施例4に記載されているように、種々の濃度のRNase Aとともにインキュベートされた細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図14】実施例4に記載されているように、種々の処理条件下で、緩衝液Nにおける細胞溶解物のSDS−アクリルアミド電気泳動を示す。
【図15】実施例5に記載されているように、種々のプロテアーゼとともにインキュベートされた緩衝液Naにおける細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図16】実施例5に記載されているように、種々のプロテアーゼとともにインキュベートされた0.2%のLDAOを含む緩衝液Naにおける細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す。
【図17】実施例5に記載されているように、種々のプロテアーゼとともにインキュベートされた緩衝液Ncにおける細胞溶解物のアガロースゲル電気泳動を示す
【図18】本明細書に記載されているある種の近接検出アッセイ/標的核酸検出アッセイに関する非制限的な提示的なワークフロー図を示す。そのワークフロー設計では、PDA生成物およびmRNAは、多重増幅反応において同時に検出される。
【図19】本明細書に記載されているある種の近接検出アッセイ/標的核酸検出アッセイに関する非制限的な例示的なワークフロー図を示す。そのワークフロー設計では、PDA生成物の検出のためにプロテアーゼ処理前に試料が取り出され、残りの試料はプロテアーゼ処理され、mRNAの検出のために用いられる。
【図20】0.1%魚ゼラチンまたは1%BSAのいずれかを含む緩衝液における種々の濃度のVEGFを検出するために実行される近接連結アッセイ(proximity ligation assay:PLA)からの例示的なデータを示す。例示的なデータは、平均の閾値サイクル(avg CT)対pM VEGFとしてプロットされる。
【図21】0.1%魚ゼラチンおよび種々の核酸ブロッキング剤を含む緩衝液における種々の濃度のVEGFを検出するために行われる近接連結アッセイ(PLA)からの例示的なデータを示す。パネルAは、少なくとも2週間4℃で保存されたポリA(対照)、ポリA、ポリdC、およびポリdC+ポリdGを含む近接連結アッセイからの例示的なデータを示す。パネルBは、少なくとも2週間4℃で保存されたポリA(対照)、ポリA、ポリdC、および切断されたウシ胸腺DNA(CFD)を含む近接連結アッセイからの例示的なデータを示す。例示的なデータは、平均の閾値サイクル(avg CT)対pM VEGFとしてプロットされる。
【図22】デオキシ−ウラシル(dU)を含むスプリントオリゴヌクレオチドを用いた種々の濃度のMCP−1を検出するために行われた近接連結アッセイからの例示的なデータを示す。これらのアッセイは、ウラシル−DNAグリコシラーゼによる処理の有無、連結生成物の検出前の凍結融解サイクルのある場合(破線)およびない場合(実線)で行われた。例示的なデータは、平均の閾値サイクル(avg CT)対pM MCP−1としてプロットされる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いられている節の見出しは、組織的な目的のためだけにあり、記載されている主題を限定するものとして構成されるべきではない。本明細書に引用されている全ての書類、または書類の一部には、限定されないが、特許、特許出願、記事、本、および論文を含み、これらは、いずれかの目的のために、参照により全体として明示的に援用される。導入されている書類または書類の一部が、本出願における用語の定義と矛盾している用語を定義している場合には、本明細書が支配する。
【0012】
単数形の使用は、特に他に記述がなければ、複数形を含む。単語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、特に他に記述がなければ、「少なくとも1つの」を意味する。「または」の使用は、他に記述がなければ、「および/または」を意味する。多重に従属している請求項との関連での「または」の使用は、択一的なものだけを意味する。句「少なくとも1つの」の意味は、句「1以上の」の意味に等しい。さらに、用語「含んでいる」、並びに他の形態、例えば「含む」および「含んだ」の使用は、限定していない。また、「要素」または「成分」などの用語は、特に他に記述がなければ、1つの単位、1つの単位を超えるものを含む複数の要素または複数の成分を含む複数の要素または複数の成分の両方を含む。
【0013】
本明細書では、「1つの」部分、例えば1つの標的分析物を検出する検討には、特に他に記述がなければ、1以上のその部分を含む。
【0014】
本明細書において検討されている全ての範囲には、端点、端点間の全ての値が含まれる。
【0015】
定義
用語「ヌクレオチド塩基」とは、置換もしくは未置換の芳香族環または複数の芳香族環を指す。ある種の態様では、この芳香族環または複数の芳香族環は、少なくとも1つの窒素原子を含む。ある種の態様では、ヌクレオチド塩基は、適切に相補的なヌクレオチド塩基とワトソン−クリック(Watson−Crick)型および/またはホッグスティーン(Hoogsteen)型水素結合を形成することができる。例示的なヌクレオチド塩基およびそれらの類似体には、限定されないが、天然に存在するヌクレオチド塩基、例えばアデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、およびチミン、並びに天然に存在するヌクレオチド塩基の類似体、例えば7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、N6−Δ2−イソペンテニルアデニン(6iA)、N6−Δ2−イソペンテニル−2−メチルチオアデニン(2ms6iA)、N2−ジメチルグアニン(dmG)、7−メチルグアニン(7mG)、イノシン、ネブラリン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、プソイドウリジン、プソイドシトシン、プソイドイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン類(例えば、米国特許第6,143,877号および同第6,127,121号、並びにPCT国際公開第WO01/38584号を参照されたい)、エテノアデニン、インドール類、例えばニトロインドールおよび4−メチルインドール、並びにピロール類、例えばニトロピロールが挙げられる。ある種の例示的なヌクレオチド塩基は、例えば、Fasman、1989,Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,pp.385−394,CRC Press,Boca Raton,Fla.、および本明細書に引用されている参考文献に見出すことができる。
【0016】
用語「ヌクレオチド」とは、リボース、アラビノース、キシロース、およびピラノース、並びにそれらの糖類似体などの糖のC−1’炭素に連結されたヌクレオチド塩基を含む化合物を指す。また、ヌクレオチドという用語は、ヌクレオチド類似体も含む。この糖は、置換されているかまたは未置換であってもよい。置換されたリボース糖には、限定されないが、1以上の炭素原子、例えば2’−炭素原子が、1以上の同じであるかまたは異なっているCl、F、−R、−OR、−NRまたはハロゲン基で置換されたリボースが挙げられ、ここで、各々のRは、独立して、H、C−CアルキルまたはC−C14アリールである。例示的なリボースには、限定されないが、2’−(C1−C6)アルコキシリボース、2’−(C5−C14)アリールオキシリボース、2’,3’−ジデヒドロリボース、2’−デオキシ−3’−ハロリボース、2’−デオキシ−3’−フルオロリボース、2’−デオキシ−3’−クロロリボース、2’−デオキシ−3’−アミノリボース、2’−デオキシ−3’−(C1−C6)アルキルリボース、2’−デオキシ−3’−(C1−C6)アルコキシリボースおよび2’−デオキシ−3’−(C5−C14)アリールオキシリボース、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、2’−ハロリボース、2’−フルオロリボース、2’−クロロリボース、並びに2’−アルキルリボース、例えば2’−O−メチル、4’−α−アノマーヌクレオチド、1’−α−アノマーヌクレオチド、2’−4’−および3’−4’−連結並びに他の「固定された(locked)」または「LNA」の二環式糖変性剤(例えば、PCT国際公開第WO98/22489号、同第WO98/39352号、および同第WO99/14226号を参照されたい)が含まれる。ポリヌクレオチド内の例示的なLNA糖類似体には、限定されないが、構造:
【0017】
【化1】

(式中、Bは、任意のヌクレオチド塩基である)
が含まれる。
【0018】
リボースの2’−または3’−位での修飾には、限定されないが、水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アリロキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモが含まれる。ヌクレオチドには、限定されないが、天然のD光学異性体、並びにL光学異性体が挙げられる(例えば、Garbesi(1993)Nucl.Acids Res.21:4159−65;Fujimori(1990)J.Amer.Chem.Soc.112:7435;Urata,(1993)Nucleic Acids Symposium Ser.No.29:69−70を参照されたい)。このヌクレオチド塩基がプリン、例えばAまたはGである場合には、リボース糖は、該ヌクレオチド塩基のN−位に結合される。ヌクレオチド塩基がピリミジン、例えばC、TまたはU)である場合には、ペントース糖は、該ヌクレオチド塩基のN−位に結合され、ペントース糖がウラシルヌクレオチド塩基のC5位に結合されるプソイドウリジンを除く(例えば、KornbergおよびBaker,(1992)DNA Replication,第2版,Freeman,カリフォルニア州サンフランシスコ(San Franciso,CA)を参照されたい)。
【0019】
ヌクレオチドの1以上のペントース炭素は、式:
【0020】
【化2】

(ここで、αは0〜4の整数である)
を有するリン酸エステルで置換されてもよい。ある種の態様では、αは2であり、リン酸エステルは、前記ペントースの3’−または5’−の炭素に結合される。ある種の態様では、前記ヌクレオチドは、該ヌクレオチド塩基がプリン、7−デアザプリン、ピリミジン、またはそれらの類似体であるものである。「ヌクレオチド5’−三リン酸」は、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、特にリボース糖の構造的特徴を示すために、時には「NTP」、または「dNTP」および「ddNTP」と示される。該三リン酸エステル基には、種々の酸素のための硫黄置換、例えばα−チオ−ヌクレオチド5’−三リン酸を含むことができる。ヌクレオチド化学の総説については、例えば、Shabarova,Z.およびBogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,ニューヨーク,1994を参照されたい。
【0021】
用語「ヌクレオチド類似体」とは、ペントース糖および/またはヌクレオチド塩基および/またはヌクレオチドの1以上のリン酸エステルが、その個別の類似体で置換され得る態様を指す。ある種の態様では、例示的なペントース糖類似体は、上述されるものである。ある種の態様では、ヌクレオチド類似体は、上述されるヌクレオチド塩基を有する。ある種の態様では、例示的なリン酸エステル類似体には、限定されないが、アルキルホスホネート類、メチルホスホネート類、ホスホラミダート類、ホスホトリエステル類、ホスホロチオネート類、ホスホロジチオネート類、ホスホロセレネート類、ホスホロジセレネート類、ホスホロアニロチオネート類、ホスホロアニリダート類、ホスホロアミデート類、リン酸ホウ素(boronophosphate)などが含まれ、関連する対イオンが含まれてもよい。
【0022】
また、「ヌクレオチド類似体」の定義には、DNA/RNAのリン酸エステルおよび/または糖リン酸エステル骨格が、異なる種類のヌクレオチド間連結によって置換されるポリヌクレオチド類似体に重合され得るヌクレオチド類似体モノマーが含まれる。例示的なポリヌクレオチド類似体には、限定されないが、ペプチド核酸が挙げられ、そこでは、前記ポリヌクレオチドの糖リン酸エステル骨格は、ペプチド骨格によって置換される。
【0023】
本明細書中で使用するとき、用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」とは、互換可能に用いられ、ヌクレオチドモノマーの一本鎖および二本鎖ポリマーを指し、例えば、ヌクレオチド間のリン酸エステル結合連結によって連結された2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)、またはヌクレオチド間類似体、および例えばH、NH、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Naなどが含まれる。ポリヌクレオチドは、全てがデオキシリボヌクレオチド、全てがリボヌクレオチド、またはそのキメラな混合物から構成されてもよい。ヌクレオチドモノマー単位には、限定されないが、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含む、本明細書に記載されているヌクレオチドのいずれかで構成されてもよい。ポリヌクレオチドは、1以上の病変(lesion)を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、例示的には、大きさにして、多くの場合、当該技術分野において、オリゴヌクレオチドとして意味される場合には数個のモノマー単位、例えば5〜40個から、数千のモノマーヌクレオチド単位の範囲である。他に記述がなければ、ポリヌクレオチド配列が表されるときはいつでも、他に記述がなければ、ヌクレオチドは左から右へ5’から3’であり、「A」がデオキシアデノシンまたはその類似体を示し、「C」がデオキシシチジンまたはその類似体を示し、「G」がデオキシグアノジンまたはその類似体を示し、「T」がチミジンまたはその類似体を示すことは理解される。
【0024】
ポリヌクレオチドは、例えばRNAおよびDNAの場合のような単一型の糖部分、または、例えばRNA/DNAキメラの場合のような異なる糖部分の混合体から構成されてもよい。ある種の態様では、核酸は、以下の構造式:
【0025】
【化3】

に従うリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシリボポリヌクレオチドであり、ここで、各Bは、独立して、ヌクレオチドの塩基部分、例えばプリン、7−デアザプリン、またはその類似体であり;各mは、それぞれの核酸の長さを定義し、かつゼロから数千、数万またはさらにそれを超える範囲であり得て;各Rは、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、−−R’’、−−OR’’、および−−NR’’R’’からなる群から選択され、ここで、各R’’は、独立して、(C−C)アルキルもしくは(C−C1)アリールであり、または2つの隣接するRsは一緒になって、リボース糖が2’3’−ジデヒドロリボースとなるように結合を形成し、各R’は、独立して、ヒドロキシルまたは下記
【0026】
【化4】

であり、ここで、αは、0、1もしくは2である。
【0027】
上記で例示されたリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシリボポリヌクレオチドのある種の態様では、ヌクレオチド塩基Bは、前述されるように該糖成分のC1’炭素に共有結合的に結合される。
【0028】
また、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」には、核酸類似体、ポリヌクレオチド類似体、およびオリゴヌクレオチド類似体が含まれてもよい。用語「核酸類似体」、「ポリヌクレオチド類似体」および「オリゴヌクレオチド類似体」は、互換可能に用いられ、少なくとも1つのヌクレオチド類似体および/または少なくとも1つのリン酸エステル類似体および/または少なくとも1つのペントース糖類似体を含むポリヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチド類似体は、1以上の病変を含んでもよい。また、ポリヌクレオチド類似体の定義の内には、前記リン酸エステルおよび/または糖リン酸エステル連結が他の種類の連結で置換されるものが含まれ、例えば、N−(2−アミノエチル)−グリシンアミド類および他のアミド類(例えば、Nielsenら,1991,Science 254:1497−1500;国際公開第WO92/20702号;米国特許第5,719,262号;米国特許第5,698,685号を参照されたい;);モルホリノ類(例えば、米国特許第5,698,685号;米国特許第5,378,841号;米国特許第5,185,144号を参照されたい);カルバメート類(例えば、StirchakおよびSummerton,1987,J.Org.Chem.,52:4202を参照されたい);メチレン(メチルイミノ)(例えば、Vasseurら,1992,J.Am.Chem.Soc.,114:4006を参照されたい);3’−チオホルマセタール類(例えば、Jonesら,1993,J.Org.Chem.58:2983を参照されたい);スルファメート類(例えば、米国特許第5,470,967号を参照されたい);一般にPNAと呼ばれる2−アミノエチルグリシン(例えば、Buchardt,国際公開第WO92/20702号;Nielsen(1991),Science 254:1497−1500を参照されたい);その他(例えば、米国特許第5,817,781号;FrierおよびAltman,1997,Nucl.Acids Res.25:4429および本明細書に引用されている参考文献を参照されたい)が挙げられる。リン酸エステル類似体には、限定されないが、(i)C−Cアルキルホスホネート、例えばメチルホスホネート;(ii)ホスホロアミデート;(iii)C−Cアルキル−ホスホトリエステル;(iv)ホスホロチオネート;および(v)ホスホロジチオネートが挙げられる。
【0029】
用語「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」とは、互換可能に用いられ、1つの核酸と、二重、三重、または他のより高次の構造を結果として形成させる別の核酸との塩基対相互作用を指す。ある種の態様では、この一次相互作用は、ワトソン/クリックおよびホッグスティーン型の水素結合による塩基特異的、例えばA/TおよびG/Cである。また、塩基重積および疎水性相互作用は、二重鎖の安定性に貢献し得る。
【0030】
本出願では、1つの配列が別の配列と同じであるかまたはそれに相補的であるという記述は、両方の配列が互いに完全に同じであるかまたは相補的であるという状況、これらの配列のうちの1つの一部だけが他の配列の一部または全部と同一であるかまたはそれに相補的である状況を含む。ここで、用語「配列」には、限定されないが、核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プローブ、プライマー、プライマー特異的部分、および標的特異的部分が含まれる。
【0031】
本明細書では、1つの配列が別の配列に相補的であるという記述は、これらの2つの配列がミスマッチを含む状況を含む。ミスマッチに関わらず、これらの2つの配列は、適切な条件下で互いに選択的にハイブリダイズされなければならない。
【0032】
用語「選択的にハイブリダイズする」とは、特定の同一の配列に対して、その特定の同一の配列の実質的な部分が所定の望ましい配列または複数の配列にハイブリダイズし、その特定の同一の配列の実質的な部分が他の望ましくない配列にはハイブリダイズしないことを意味する。各々の場合における「その特定の同一配列の実質的な部分」とは、その特定の同一配列の総数の一部を指し、個別の特定の同一配列の一部を指していない。ある種の態様では、「その特定の同一配列の実質的な部分」とは、その特定の同一配列の少なくとも70%を意味する。ある種の態様では、「その特定の同一配列の実質的な部分」とは、その特定の同一配列の少なくとも80%を意味する。ある種の態様では、「その特定の同一配列の実質的な部分」とは、その特定の同一配列の少なくとも90%を意味する。ある種の態様では、「その特定の同一配列の実質的な部分」とは、その特定の同一配列の少なくとも95%を意味する。
【0033】
ある種の態様では、存在してもよいミスマッチの数が、組成物の複雑性を考慮して変化してもよい。したがって、ある種の態様では、組成物がより複雑になれば、望ましくない配列がハイブリダイズする可能性が高くなる。例えば、ある種の態様では、所定数のミスマッチがあると、同じハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が両方の組成物に用いられる場合、より少ないDNA配列を含む組成物よりも、全ゲノムDNAを含む組成物において望ましくない配列にプローブがハイブリダイズする可能性が高くなる場合がある。このようにして、ミスマッチの所定数は、より少ないDNA配列を含む組成物に対して適切であってもよいが、より少ないミスマッチは、全ゲノムDNAを含む組成物に対してはより最適であり得る。
【0034】
ある種の態様では、配列は、それらが20%未満でミスマッチしたヌクレオチドを有する場合に相補的である。ある種の態様では、配列は、それらが15%未満でミスマッチしたヌクレオチドを有する場合に相補的である。ある種の態様では、配列は、それらが10%未満でミスマッチしたヌクレオチドを有する場合に相補的である。ある種の態様では、配列は、それらが5%未満でミスマッチしたヌクレオチドを有する場合に相補的である。種々の態様では、配列は、それらが0%、1%、2%、または3%でミスマッチしたヌクレオチドを有する場合に相補的である。
【0035】
本出願では、1つの配列が別の配列とハイブリダイズするかまたはそれに結合するという記述は、両方の配列の全体が互いにハイブリダイズするかまたは結合する状況、配列の1つまたは両方の一部だけが、他の配列の全体またはその他の配列の一部にハイブリダイズするかまたは結合する状況を含む。ここで、用語「配列」には、限定されないが、核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プローブ、プライマー、プライマー特異的部分、及び標的特異的部分が含まれる。
【0036】
用語「プライマー」または「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、本明細書中で使用するとき、プライマー伸張生成物が適切な条件下で合成され得るオリゴヌクレオチドを指す。ある種の態様では、このような適切な条件は、相補的核酸にハイブリダイズし、例えばヌクレオチド、DNAまたはRNAポリメラーゼなどの重合誘導剤の存在下で、適切な温度、pH、金属濃度、塩濃度などでインキュベートされるプライマーを含む。種々の態様では、プライマーは5〜100ヌクレオチドの長さである。種々の態様では、プライマーは、8〜75、10〜60、10〜50、10〜40、または10〜35ヌクレオチドの長さである。
【0037】
用語「連結」とは、本明細書中で使用するとき、2つのポリヌクレオチド末端の共有結合的接合を指す。種々の態様では、連結は、第1のポリヌクレオチドの3’末端から第2のポリヌクレオチドの5’末端への共有結合的接合を伴う。種々の態様では、連結は、これらのポリヌクレオチド末端間で形成されるリン酸ジエステル結合をもたらす。種々の態様では、連結は、任意の酵素、化合物、またはポリヌクレオチド末端の共有結合的接合をもたらすプロセスによって媒介されてもよい。ある種の態様では、連結は、リガーゼ酵素によって媒介される。
【0038】
用語「分析物」とは、本明細書中で使用するとき、1以上の近接検出プローブを用いて検出されるべき物質を指す。このような物質には、限定されないが、タンパク質、ペプチド、抗体、炭水化物、ホルモン、小分子、細胞、微生物、分析物結合部分が生じ得る任意の他の物質が挙げられる。分析物は核酸ではない。
【0039】
用語「標的核酸」とは、本明細書中で使用されるとき、検出のために選択されたRNAまたはDNAを指す。例示的なRNAには、限定されないが、mRNA、tRNA、snRNA、rRNA、レトロウイルス、小非コードRNA、マイクロRNA、ポリソームRNA、プレmRNA、イントロンRNA、およびウイルスRNAが挙げられる。例示的なDNAには、限定されないが、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、核小体DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、cDNA、合成DNA、酵母人工染色体DNA(「YAC」)、細菌人工染色体DNA(「BAC」)、他の染色体外DNA、およびプライマー伸長生成物が挙げられる。例えば、ステムループプライマーおよび/または短鎖プライマーを用いる、短鎖核酸を検出する例示的な方法は、例えば、Chenらによる米国特許公開第US2005/0266418号、Laoらによる米国特許公開第US2006/0057595号に見出すことができる。
【0040】
用語「多官能性溶解緩衝液」とは、本明細書中で使用するとき、標的核酸を実質的に分解せずに、選択された生物試料を溶解し、ホモジナイズし、および/または抽出することができる緩衝液を指し、その際、近接検出プローブはこの溶解物中の分析物に結合することができるように、適切な分析物構造を維持している。種々の態様では、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、または50%未満の標的核酸が分解される。種々の態様では、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、または少なくとも50%の標的分析物は、近接検出プローブが溶解物に含まれる分析物に結合することができるように、適切な構造を保持している。
【0041】
種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、この方法を行うために適切な温度および希釈条件下で、本明細書に記載されている方法と適合される。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201(3−(1−ピリジノ)−1−プロパンスルホネート)、LDAO(ラウリルジメチルアミン−オキシド)、CHAPS(3−[(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、DEDTAB(ドデシルエチルジメチルアンモニウム・ブロミド)、Zwittergent 3−10(n−デシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート)、およびCAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸)から選択される少なくとも1つの化学物質を含む。
【0042】
用語「生物試料」とは、本明細書中で使用するとき、標的分析物および/または標的核酸を含むことが疑われる任意の試料を指す。例示的な生物試料には、限定されないが、原核細胞、有核細胞、組織試料、ウイルス粒子、バクテリオファージ、感染粒子、病原体、菌類、食物試料、体液(限定されないが、粘液、血液、血漿、血清、尿、唾液、および精液を含む)、水試料、並びに例えば水および空気由来のろ過物が挙げられる。
【0043】
「近接検出プローブ」は、本明細書中で使用するとき、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分に、共有結合的または非供給結合的に接続された少なくとも1つの分析物結合部分を含むプローブである。ある種の態様では、このオリゴヌクレオチド部分は、結合対の第1メンバーを含み、分析物結合部分は、結合対の第2メンバーを含み、ここで、この結合対の第1メンバーおよび結合対の第2のメンバーは、近接検出プローブ結合並びにハイブリダイゼーションおよび/または連結のために用いられる条件下で安定に結合される。種々の態様では、当業者は、適切な結合対を選択することができる。ある種の態様では、近接検出プローブは、少なくとも1つの分析物結合部分と少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分とを接続する1以上のリンカーを含む。種々の態様では、当業者は、適切なリンカーを選択することができる。
【0044】
「分析物結合部分」は、本明細書中で使用するとき、標的分析物に結合する部分を指す。分析物結合部分として用いることができる例示的な部分には、限定されないが、分析物に結合可能なモノクローナル抗体およびその断片、分析物、タンパク質、ペプチド、レクチン、核酸、アプタマー、炭水化物、可溶性細胞表面受容体、小分子、および標的分析に特異的な任意の他の結合分子に結合可能なポリクローナル抗体およびその断片が含まれる。
【0045】
用語「近接検出アッセイ」または「PDA」は、本明細書中で使用するとき、分析物と少なくとも2つの近接検出プローブとの接触を伴うアッセイを指し、ここで、各プローブは、分析物結合部分およびオリゴヌクレオチド部分を含む。各プローブの分析物結合部分は、同じであるかまたは異なっていてもよい。各プローブのオリゴヌクレオチド部分は、同じであるかまたは異なっていてもよい。ある種の態様では、分析物は、近接検出プローブのセットと接触される。種々の態様では、近接検出プローブのセットは、2、3、4、5、または5を超える近接検出プローブを含む。ある種の態様では、近接検出プローブのセットは、一対の近接検出プローブ、即ち、「近接検出プローブ対」である。ある種の態様では、近接検出プローブのセットにおける各プローブの分析物結合部分は、異なっている。ある種の態様では、近接検出プローブのセットにおける各プローブの分析物部分は、分析物内の異なるエピトープに結合することができる。本明細書中で使用するとき、異なるエピトープは、分析物配列および/または三次元空間において、重複しているエピトープであるかまたは重複していないエピトープであってもよい。ある種の態様では、近接検出プローブのセットにおける各プローブのオリゴヌクレオチドは、異なる配列を含む。
【0046】
種々の態様では、分析物と少なくとも2つの近接検出プローブとの接触後、少なくとも2つの近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、互いに相互作用することができる。種々の態様では、このような相互作用は、1以上の追加のオリゴヌクレオチドによって媒介されてもよい。ある種の態様では、少なくとも2つの近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部は、互いにハイブリダイズする。ある種の態様では、近接検出プローブの各オリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部は、別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。例えば、ある種の態様では、少なくとも1つの追加のオリゴヌクレオチド(本明細書中では、「スプリントオリゴヌクレオチド」という)が添加され、各々の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも1つの一部にハイブリダイズすることによって、少なくとも2つの近接検出プローブ間の相互作用を媒介する。また、オリゴヌクレオチド部分が互いにハイブリダイズするか、または少なくとも2つのオリゴヌクレオチド部分間の架橋を形成する別のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする近接検出アッセイ(proximity detection assay:PDA)であって、ここで、該オリゴヌクレオチドが互いに連結しない前記近接検出アッセイは、「近接相互作用アッセイ」またが「PIA」と呼ばれてもよい。
【0047】
ある種の態様では、少なくとも2つの近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、ポリヌクレオチドリガーゼ酵素によって一緒に連結され得る。ある種の態様では、各オリゴヌクレオチド部分の連結可能な末端は、各々の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部にハイブリダイズすることができる少なくとも1つの他のオリゴヌクレオチド(「スプリントオリゴヌクレオチド」とも呼ばれる)によって一緒にされる。また、近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分が一緒に連結される近接検出アッセイ(PDA)は、「近接連結アッセイ」または「PLA」と呼ばれてもよい。
【0048】
種々の態様では、少なくとも2つの近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分のハイブリダイゼーションおよび/または連結後に、ハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、当該技術分野において知られている任意の方法によって検出されてもよい。ハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分を検出する例示的な手段には、限定されないが、直接的な検出、リアルタイムPCR(限定されないが、5’−ヌクレアーゼリアルタイムPCRを含む)、ローリング・サークル増幅、連結およびPCRの組合せ、前増幅、その後の検出工程(例えば、限定されないが、第2増幅、直接的な検出、連結など)が挙げられる。核酸を検出するある種の例示的な方法が本明細書中に記載されている。
【0049】
例示的な近接検出アッセイは、例えば、米国特許第6,511,809B2号;米国特許出願公開第US2002/0064779号;PCT国際公開第WO2005/123963号;Gustafsdottirら,Clin.Chem.52:1152−1160(2006)に記載されている。
【0050】
用語「定量的核酸検出アッセイ」とは、本明細書中で使用するとき、試料に含まれる特定の核酸配列の量を定量することができるアッセイを指す。ある種の例示的な定量的核酸検出アッセイは、本明細書では、「ある種の例示的なアッセイ」と題するセクションにおいて記載されている。
【0051】
本明細書中で使用するとき、用語「検出(detector)プローブ」とは、増幅産物の検出を促進する増幅反応において用いられる分子を指す。例示的な増幅反応には、限定されないが、定量的PCR、リアルタイムPCR、およびエンドポイント分析増幅反応が挙げられる。種々の態様では、このような検出プローブを用いて、標的核酸および/または対照核酸の増幅をモニターすることができる。種々の態様では、増幅反応に存在する検出プローブは、時間を関数として生成されるアンプリコン(単数または複数)量のモニタリングに適切である。
【0052】
種々の態様では、検出プローブは、「配列に基づく」ものであり、配列特異的に増幅産物を検出することを意味する。非制限的な例として、配列に基づく検出プローブは、特異的な増幅産物にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを含んでもよい。ある種の態様では、検出プローブは、「配列に依存しない」ものであり、増幅産物の配列に関わらずに増幅産物を検出することを意味する。
【0053】
ある種の例示的な検出プローブには、限定されないが、5’−ヌクレアーゼアッセイに用いられるプローブ(例えば、TaqMan(TaqMan)(登録商標)プローブ、例えば、米国特許第5,538,848号に記載されている);ステムループ分子ビーコン(例えば、米国特許第6,103,476号および同第5,925,517号、並びにTyagiおよびKramer,1996,Nature Biotechnology 14:303−308を参照されたい);軸のないまたは線状なビーコン(例えば、国際公開第WO99/21881号を参照されたい)、PNA分子ビーコンズ(Molecular Beacons)(商標)(例えば、米国特許第6,355,421号および同第6,593,091号を参照されたい);線状RNAビーコンズ(例えば、Kubistaら,2001,SPIE 4264:53−58を参照されたい);非FRETプローブ(例えば、米国特許第6,150,097号を参照されたい);サンライズ(Sunrise)(登録商標)/アンプリフルオアー(登録商標)プローブ(米国特許第6,548,250号);ステムループおよび二重鎖スコルピオン(Scorpion)(商標)プローブ(Solinasら,2001,Nucleic Acids Research 29:E96、および米国特許第6,589,743号);バルジ(bulge)ループプローブ(米国特許第6,590,091号);疑似節(knot)プローブ(米国特許第6,589,250号)、サイクリコン(cyclicon)(米国特許第6,383,752号);MGBエクリプス(Eclipse)(商標)プローブ(エポックバイオサイエンシーズ(Epoch Biosciences));ヘアピンプローブ(米国特許第6,596,490号);ペプチド核酸(peptide nucleic acid:PNA)ライトアップ(light−up)プローブ;自己集合ナノ粒子プローブ;およびフェロセン修飾プローブが挙げられる。ある種の例示的な検出プローブは、例えば、米国特許第6,485,901号;Mhlangaら,2001,Methods 25:463−471;Whitcombeら,1999,Nature Biotechnology.17:804−807;Isacssonら,2000,Molecular Cell Probes.14:321−328;Svanvikら,2000,Anal Biochem.281:26−35;Wolffsら,2001,Biotechniques 766:769−771;Tsourkasら,2002,Nucleic Acids Research.30:4208−4215;Riccelliら,2002,Nucleic Acids Research 30:4088−4093;Zhangら,2002 Shanghai.34:329−332;Maxwellら,2002,J.Am.Chem.Soc.124:9606−9612;Broudeら,2002,Trends Biotechnol.20:249−56;Huangら,2002,Chem Res.Toxicol.15:118−126;Yuら,2001,J.Am.Chem.Soc 14:11155−11161に記載されている。
【0054】
種々の態様では、検出プローブは、クエンチャーを含むことができる。例示的なクエンチャーには、限定されないが、ブラックホールクエンチャー(バイオサーチ(Biosearch))、アイオワブラック(Iowa Black)(IDT)、QSYクエンチャー(モレキュラープローブズ)、ダブシル(Dabsyl)およびダブセル(Dabcel)スルホネート/カルボキシレートクエンチャー(エポック)が挙げられる。ある種の態様では、検出プローブは、2つのプローブを含んでもよく、ここで、例えば、1つのプローブは、蛍光部分を含み、別のプローブは、クエンチャーを含み、標的物上でのこれらの2つのプローブのハイブリダイゼーションは、シグナルをクエンチするか、または標的物上でのこれらの2つのプローブのハイブリダイゼーションは、蛍光変化を通じてシグナルを変更する。2つのプローブを含むある種の例示的な検出プローブは、例えば、Laoらによる米国特許出願公開第US2006/0014191号に記載されている。また、ある種の例示的な検出プローブには、限定されないが、カルボキシレート基の代わりにSOを有するフルオレセニン色素のスルホネート誘導体、フルオレセインのホスホアミダイド形態、CY5のホスホアミダイド形態(例えばアマシャム(Amersham)から市販されている)が挙げられる。
【0055】
ある種の態様では、検出プローブは、インターカレーティング標識を含む。例示的なインターカレーティング標識には、限定されないが、エチジウムブロマイド、SYBR(登録商標)グリーン(Green)I(モレキュラープローブズ)、およびピコグリーン(PicoGreen)(登録商標)(モレキュラープローブズ)が挙げられ、これらは、核酸プローブが存在しない場合に増幅産物のリアルタイム、または終点で視覚化することができる。ある種の態様では、インターカレーティング標識を含む検出プローブは、配列に依存しない検出プローブである。ある種の態様では、リアルタイムの視覚化は、配列に依存しないインターカレーティング検出プローブおよび配列に基づく検出プローブを含み得る。
【0056】
ある種の態様では、検出プローブは、増幅反応中の相補的配列にハイブリダイズしない場合に少なくとも部分的にクエンチされ、増幅反応中の相補的配列にハイブリダイズする場合に少なくとも部分的にクエンチされない。種々の態様では、検出プローブは、種々の改変剤、例えば、小溝結合剤(例えば、米国特許第6,486,308号を参照されたい)をさらに含むことができ、さらに望ましい熱力学的特性を提供する。ある種の態様では、検出プローブは、ジップコードとも呼ばれる部分の同定、または部分成分の同定に対応することができる。部分の特定は、例えば、米国特許第6,309,829号(そこでは、「タグセグメント」と称する);同第6,451,525号(そこでは、「タグセグメント」と称する);同第6,309,829号(そこでは、「タグセグメント」と称する);同第5,981,176号(そこでは、「グリッドオリゴヌクレオチド」と称する);同5,935,793号(そこでは、「確認(identifier)タグ」と称する);およびPCT国際公開第WO01/92579号(そこでは、「指定可能な支持特異的配列」と呼ばれる)に記載されている。
【0057】
検出プローブは、「検出可能に異なって」いてもよく、これは、検出プローブが少なくとも1つの検出法によって互いに区別し得ることを意味する。検出可能に異なっている検出プローブには、限定されないが、異なった波長の光を放出する検出プローブ、異なった波長の光を吸収する検出プローブ、異なった波長の光を分散する検出プローブ、異なった蛍光減衰存続期間を有する検出プローブ、異なった分光的特徴を有する検出プローブ、異なった放射性崩壊特性を有する検出プローブ。異なった電荷の検出プローブ、異なったサイズの検出プローブが挙げられる。ある種の態様では、検出プローブは、蛍光シグナルを放出する。
【0058】
「エンドポイントポリメラーゼ連鎖反応」または「エンドポイントPCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応法であり、核酸標的配列の存在または定量は、PCR反応が完了した後に検出され、反応が進行中は検出されない。
【0059】
「リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応」または「リアルタイムPCR」は、ポリメラーゼ連鎖反応法であり、核酸標的配列の存在または定量は、反応が進行中に検出される。ある種の態様では、反応組成物に存在する1以上のプローブによって放出されるシグナルは、プライマー伸張生成物の合成の指標として、ポリメラーゼ連鎖反応の各サイクル中に観察される。ある種の態様では、ポリメラーゼ連鎖反応の各サイクル中に放出される蛍光は、プライマー伸張生成物の合成の指標として観察される。
【0060】
「多重増幅反応」とは、2以上の標的核酸配列が同じ反応で増幅される増幅反応である。「多重ポリメラーゼ連鎖反応」または「多重PCR」は、2以上の標的核酸配列が同じ反応で増幅されるポリメラーゼ連鎖反応法である。
【0061】
「一重増幅反応」は、たった1つの標的核酸配列が反応で増幅される増幅反応である。「一重ポリメラーゼ連鎖反応」または「一重PCR」は、たった1つの標的核酸配列が反応で増幅されるポリメラーゼ連鎖反応法である。
【0062】
「閾値サイクル」または「C」は、定量的核酸検出アッセイから観察されるシグナルが、固定された閾値を上回るサイクル数として定義される。ある種の態様では、この固定された閾値は、標的核酸配列を欠如している反応で観察されたシグナルの量として設定される。ある種の態様では、固定された閾値は、バックグラウンドのノイズシグナルを超えるレベルで設定される。例えば、ある種の態様では、固定された閾値は、3倍を超える、バックグラウンドのノイズシグナルの二乗平均平方根と、バックグラウンドのノイズシグナルとの組み合わせに対応する値で設定される。ある種の態様では、観察されたシグナルは、蛍光標識に由来する。
【0063】
用語「標準化対照」とは、近接検出アッセイにおいて検出される標的分析物および/または標的核酸の量を標準化するために用いることができる生物試料および/または生物試料の溶解物に存在する分子を意味する。ある種の態様では、標準化対照は分析物である。ある種の態様では、標準化対照は、核酸である。
【0064】
標準化対照は、種々の態様では、「外因性」または「内因性」と用ばれてもよい。ある種の態様では、外因性標準化対照は、回収後の生物試料に添加される。ある種の態様では、外因性の標準化対照は、生物試料の溶解物に添加されている。種々の態様では、生物試料および/または生物試料の溶解物は、外因性の標準化対照として用いられる同じ分析物および/または核酸の量を必然的に含むが、標準化対照は、分析物および/または核酸が追加されているので外因性であると考えられる。
【0065】
ある種の態様では、内因性標準化対照は、生物試料が分析のために回収されるときに、その試料にすでに存在している。ある種の態様では、内因性標準化対照は、生物試料の溶解物に添加されたことはなくてもその溶解物に存在している。標準化対照は、「ハウスキーピング」と呼ばれ、ある種の態様では、その際、添加されたことがなくても生物試料および/または溶解物に高レベルで存在する。ある種の態様では、ハウスキーピング標準化対照は、1を超える異なった種類の生物試料に高レベルで存在する。
【0066】
ある種の態様では、標準化対照は、内因性分析物である。ある種の態様では、標準化対照は、内因性タンパク質である。ある種の態様では、標準化対照は、内因性ハウスキーピングタンパク質である。ある種の例示的な内因性のハウスキーピングタンパク質の標準化対照には、限定されないが、GAPDH、酸性リボソームタンパク質、ベータ−アクチン、HPRT、ベータ−グルクロニダーゼ、シスタチンB、ICMA1、およびp53が挙げられる。
【0067】
ある種の態様では、標準化対照は、外因性分泌物である。ある種の態様では、標準化対照は、外因性タンパク質である。ある種の例示的な外因性タンパク質の標準化対照には、限定されないが、細菌タンパク質、タンパク質タグ、ウイルスタンパク質、無傷なビリオン、昆虫タンパク質、選択された生物試料には通常は発現しない哺乳動物のタンパク質、選択された生物試料において低レベルで通常発現されている哺乳動物のタンパク質が挙げられる。外因性タンパク質の標準化対照として用いられることができるある種の例示的な細菌タンパク質には、限定されないが、β−ガラクトシダーゼおよびクロロアンフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が含まれる。外因性タンパク質の標準化対照として用いられることができるある種の例示的なタンパク質タグには、限定されないが、ヒスチジンタグ(例えば、Hisタグ)、フル(flu)タグ、血球凝集素タグ、グルタチオン−s−トランスフェラーゼタグ、c−mycタグ、およびルシフェラーゼが挙げられる。ある種の態様では、外因性タンパク質の標準化物は、別のタンパク質に融合されたタンパク質タグを含む。
【0068】
ある種の態様では、標準化対照は、内因性核酸である。ある種の態様では、標準化対照は、ゲノムDNAの内因性ストレッチである。ある種の態様では、ゲノムDNAの内因性ストレッチは、1コピー遺伝子の少なくとも一部を含む。ある種の態様では、ゲノムDNAの内因性ストレッチは、1を超えるコピーでゲノムに存在する遺伝子の少なくとも一部を含む。ある種の例示的な内因性の1コピーのゲノムDNA標準化対照には、限定されないが、RNase P遺伝子の少なくとも一部、短鎖タンデムリピート(short tandem repeat:STR)遺伝子座の少なくとも一部が含まれる。ある種の例示的なSTR遺伝子座には、限定されないが、D3S1358、HUMTH01、D21S11、D18S51、G475、アメロゲニン(Amelogenin)、HUMvWFA31、D8S1179、HUMTPOX、HUMFIBRA、D5S818、D7S820、D13S317、D16S539、HUMCSF1PO、およびS159が挙げられる。ある種のSTR遺伝子座は、例えば、米国特許第7,008,771号に記載されている。
【0069】
ある種の態様では、標準化対照は、内因性RNAである。ある種の態様では、標準化対照は、内因性ハウスキーピングRNAである。ある種の例示的な内因性ハウスキーピングRNAの標準化対照には、限定されないが、GAPDH、18S、ベータ−アクチン、酸性リボソームタンパク質、HPRT、ベータ−グルクロニダーゼ、シスタチンB、ICAM1およびp53が挙げられる。ある種の態様では、標準化対照には、検出されるべき少なくとも1つの標的分析物をコードする内因性RNAである。
【0070】
種々の態様では、標準化対照は、外因性核酸である。種々の態様では、外因性核酸は、RNAおよび/またはDNAを含む。例示的なRNAには、限定されないが、mRNA、tRNA、snRNA、rRNA、レトロウイルス、小非コードRNA、マイクロRNA、ポリソームRNA、プレmRNA、イントロンRNA、およびウイルスRNAが挙げられる。例示的なDNAには、限定されないが、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、核小体DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、cDNA、合成DNA、酵母人工染色体DNA(「YAC」)、細菌人工染色体DNA(「BAC」)、他の染色体外DNA、およびプライマー伸長生成物が挙げられる。ある種の態様では、外因性核酸は、PNAを含む。ある種の態様では、外因性核酸は、生物試料が回収される生物以外の生物に、通常見出される配列を含む。ある種の態様では、外因性核酸は、生物試料が回収される生物に、通常見出される配列を含む。ある種の態様では、外因性標準化対照は、知られている生物には通常見出されない配列を含む。ある種の態様では、外因性標準化対照は、一種の核酸(例えば、mRNA)に通常見出される配列を含むが、外因性標準化対照は、別の種類の核酸(例えば、DNA)においてその配列を含む。ある種の態様では、外因性核酸の標準化対照は、TaqMan(登録商標)外因性内部ポジティブ対照試薬(アプライドバイオシステムズ、カタログ#4308323)である。
【0071】
種々の態様では、標的核酸の量は、ΔCの計算を含む「デルタC法」または「ΔC法」を用いて標準化対照に標準化することができる。ある種の態様では、ΔCは、標的核酸を検出するために用いられる定量的核酸検出アッセイのCから標準化対照を検出するために用いられる定量的核酸検出アッセイのCを差し引くことによって計算される。ある種の態様では、標準化対照および標的核酸の量における倍数差は、ΔCから計算される。ある種の態様では、標準化対照および標的核酸の量の倍数差は、式2−ΔCTによるΔCから計算される。
【0072】
種々の態様では、標的分析物の量は、ΔCを計算することを伴う「デルタC法」または「ΔC法」を用いた標準化対照に標準化され得る。ある種の態様では、ΔCは、標的分析物を検出するために用いられる定量的核酸検出のCから、標準化対照を検出するために用いられる定量的核酸検出アッセイのCを差し引くことによって計算される。ある種の態様では、標準化対照および標的分析物の量における倍数差は、ΔCから計算される。ある種の態様では、標準化対照および標的分析物の量における倍数差は、式2−ΔCTに従ってΔCから計算される。
【0073】
種々の態様では、標的核酸の量は、ΔΔCを計算することを伴う「比較C法」または「ΔΔC法」を用いて標的核酸に標準化されてもよい。種々の態様では、標的分析物の量は、ΔΔCを計算することを伴う「比較CT法」または「ΔΔC法」を用いて標準化対照に標準化されてもよい。ある種の態様では、ΔΔCは、「試験溶解物」のΔCから「較正溶解物」のΔCを差し引くことによって計算される。ある種の例示的な較正溶解物には、限定されないが、未処理の細胞から調製された溶解物、特定の組織から調製された溶解物が含まれる。ある種の例示的な試験溶解物には、限定されないが、較正溶解物が調製された組織以外の組織から調製された処理された細胞および溶解物から調製された溶解物が含まれる。ある種の態様では、ΔΔCは、試験溶解物のΔCから較正溶解物のΔCを差し引くことによって計算される。
【0074】
ある種の態様では、較正溶解物および試験溶解物の標的核酸の量の倍数差は、式2−ΔΔCTに従ってΔΔCから産出される。ある種の態様では、較正溶解物および試験溶解物の標的分析物の量の倍数差は、式2−ΔΔCTに従ってΔΔCから計算される。ΔΔC法の使用は、例えば、アプライドバイオシステムズの“Guide to Performing Relative Quantitation of Gene Expression Using Real−Time Quantitative PCR”;アプライド・バイオシステムズ,使用者会報#2:ABIプライム(Prism)7700配列検出システム(1997年12月11日(2001年10月にアップデート))に記載されている。
【0075】
用語「ブロッキング剤」とは、非特異的な相互作用を低下させるために、反応に含まれる物質を意味する。ある種の態様では、ブロッキング剤は、分析物に関わる非特異的な相互作用を低下させるために反応に含められる。ある種の態様では、ブロッキング剤は、核酸に関わる非特異的な相互作用を低下させるために反応に含められる。
【0076】
ある種の態様では、ブロッキング剤は分析物である。分析物であるブロッキング剤は、「分析物ブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。ある種の態様では、ブロッキング剤はタンパク質である。タンパク質であるブロッキング剤は、「タンパク質ブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。ある種の例示的なタンパク質ブロッキング剤には、限定されないが、BSA、カゼイン、ランダムペプチドライブラリー断片、哺乳動物のIgG画分の調製物、および脂肪を含まないドライミルクが挙げられる。ある種の態様では、ブロッキング剤はゼラチンである。ゼラチンであるブロッキング剤は、「ゼラチンブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。ある種の例示的なゼラチンブロッキング剤には、限定されないが、魚由来のゼラチン(限定されないが、コールド魚ゼラチン(シグマ(Sigma)#G7765)、ウシ由来ゼラチン、およびブタ由来ゼラチンが挙げられる。ある種の態様では、分析物ブロッキング剤は、0.01〜5%の濃度で反応に含められる。ある種の態様では、分析物ブロッキング剤は、0.01〜2%の濃度で反応に含められる。ある種の態様では、分析物ブロッキング剤は、.05〜0.5%の濃度で多官能性溶解緩衝液に存在する。ある種の例示的なブロッキング剤は、例えば、Vogtら,J.Immunol.Meth.,101(1):43−5(1987)に記載されている。
【0077】
ある種の態様では、ブロッキング剤は核酸である。核酸であるブロッキング剤は、「核酸ブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。種々の態様では、ブロッキング剤は、RNAおよび/またはDNAを含む。種々の態様では、ブロッキング剤は、一本鎖および/または二本鎖核酸を含む。ある種の態様では、ブロッキング剤は、主に一本鎖核酸を含む。主に一本鎖核酸であるブロッキング剤は、「一本鎖核酸ブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。ある種の態様では、ブロッキング剤は、主に二本鎖核酸を含む。主に二本鎖核酸であるブロッキング剤は、「二本鎖核酸ブロッキング剤」と呼ばれる場合がある。ある種の例示的な一本鎖核酸ブロッキング剤には、限定されないが、ポリAおよびポリdCが挙げられる。ある種の例示的な二本鎖核酸ブロッキング剤には、限定されないが、ゲノムDNA、切断されたゲノムDNA、ポリdC+ポリdG、およびポリdI+ポリdCが挙げられる。ある種の例示的な剪断されたゲノムDNAには、限定されないが、切断されたサケ精子DNAおよび切断された仔ウシ胸腺DNAが挙げられる。
【0078】
ある種の例示的な試薬
ある種の例示的な近接検出プローブ
近接検出プローブは、少なくとも1つの分析物結合部分、および少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分を含む。分析物結合部分は、選択された分析物に結合することができる。ある種の態様では、近接検出プローブは、1つの分析物結合部分および1つのオリゴヌクレオチド部分を含む。ある種の態様では、近接検出プローブは、1を超える分析物結合部分を含む。ある種の態様では、近接検出プローブは、1を超えるオリゴヌクレオチド部分を含む。ある種の例示的な多価近接プローブは、例えば、Fredrikssonによる米国特許出願公開第US2005/0003361A1号に記載されている。
【0079】
種々の態様では、近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、1以上のリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドの類似体、および類似体デオキシリボヌクレオチドを含んでもよい。例示的なリボヌクレオチドの類似体およびデオキシリボヌクレオチドの類似体には、限定されないが、ヌクレオチド糖、リン酸塩、および/または塩基部分への1以上の修飾を含む類似体が挙げられる。例示的なオリゴヌクレオチド類似体には、限定されないが、LNA(例えば、米国特許第6,316,198号を参照されたい)、PNA(例えば、米国特許第6,451,968号を参照されたい)、本明細書において検討されているかまたは当該技術分野において知られている任意の他のヌクレオチド類似体(例えば、Loakes,Nucleic Acids Res.2001 Jun 15;29(12):2437−47、Karkareら,Appl Microbiol Biotechnol.2006 Aug;71(5):575−86.Epub 2006 May 9を参照されたい)が挙げられる。
【0080】
種々の態様では、近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも75、または少なくとも100ヌクレオチドを含んでもよい。種々の態様では、近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、10〜1000ヌクレオチドを含んでもよい。種々の態様では、オリゴヌクレオチド部分は、10〜500ヌクレオチドを含んでもよい。種々の態様では、オリゴヌクレオチド部分は、10〜200ヌクレオチドを含んでもよい。種々の態様では、オリゴヌクレオチド部分は、10〜100ヌクレオチドを含んでもよい。
【0081】
近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分および分析物結合部分は、互いに共有結合的であるかまたは非共有結合的に関連付けられてもよい。分析物結合部分とオリゴヌクレオチド部分を共有結合的および非共有結合的に関連付けるある種の方法は、当該技術分野において知られている。
【0082】
ある種の態様では、オリゴヌクレオチド部分は、結合対の第1メンバーを含み、分析物結合部分は、結合対の第2メンバーを含み、ここで、該結合対の第1メンバーおよび該結合対の第2メンバーは、近接検出プローブ結合およびハイブリダイゼーションおよび/または連結のために用いられる条件下で安定に関連付けることができる。ある種の態様では、結合対は、ハイブリダイズおよび/または連結したオリゴヌクレオチド部分の検出中に安定に関連付けられる必要はない。ある種の例示的な結合対には、限定されないが、抗体/抗原、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、ハイブリダイゼーションしている核酸、受容体/リガンド、葉酸/葉酸塩結合タンパク質、ビタミンB12/内因子、タンパク質A/Fc、タンパク質G/Fc、金属/キレート剤などが挙げられる。ある種の態様では、ストレプトアビジンは、スルホ−SMCC試薬(例えば、ピアス(Pierce)カタログ#22322を参照されたい)の使用によってオリゴヌクレオチド部分に結合されてもよい。ある種の態様では、分析物結合部分および近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、共有結合的に関連付けられている。種々の分子間に共有結合を形成させるある種の方法は、当該技術分野において知られ、例えば、ピアスのカタログに見出すことができる。近接検出プローブを作成するある種の例示的な方法は、例えば、Gullbergら,Proc.Natl.Acad.Sci.101(22):8420−8424(2004)に記載されている。
【0083】
種々の態様では、オリゴヌクレオチド部分の3’末端または5’末端は、分析物結合部分と関連付けられている。ある種の態様では、オリゴヌクレオチド部分は、例えば、オリゴヌクレオチド配列中の1以上のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドを介して、オリゴヌクレオチド部分の3’末端または5’末端以外の位置で分析物結合部分と関連付けられている。
【0084】
種々の態様では、2以上の近接検出プローブを組み合わせて、近接検出プローブセットを形成する。種々の態様では、第1の近接検出プローブは、第2の近接検出プローブと対をなして、近接検出プローブ対を形成する。近接検出プローブ対の近接検出プローブは、各々、同じであるかまたは異なっている分析物に結合する。ある種の態様では、セットに含まれる近接検出プローブは、各々、同じ分析物に結合する。ある種の態様では、セットに含まれる近接検出プローブは、各々、異なっている分析物に結合する。ある種の態様では、セットに含まれる第1サブセットの近接検出プローブは、各々、第1分析物に結合し、セットに含まれる第2サブセットの近接検出プローブは、第2分析物に結合する。ある種の態様では、セットに含まれる第1サブセットの近接検出プローブは、第1分析物に結合し、セットに含まれる第2サブセットの近接検出プローブは、第2分析物に結合し、ここで、第1および第2分析物は、ある種の条件下で互いに関連付けることができる。種々の態様では、このような近接検出プローブセットは、例えば、ある種の条件下で第1および第2分析物の関連性を検出するために用いることができる。
【0085】
ある種の態様では、近接検出プローブは、この近接検出プローブの同じ分析物結合部分を介してかまたは複数の分析物結合部分を介して、1を超える分析物に結合することができる。ある種の態様では、近接検出プローブは、関連する分析物のファミリーの2以上のメンバーに結合することができる。
【0086】
種々の態様では、近接検出プローブセットの第1のメンバーのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部は、近接検出プローブセットの第2のメンバーのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部にハイブリダイズすることができる。種々の態様では、ハイブリダイズされた領域は、少なくとも5塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも15塩基対、少なくとも20塩基対、少なくとも25塩基対、少なくとも30塩基対、少なくとも40塩基対、少なくとも50塩基対、少なくとも75塩基対、または少なくとも100塩基対を含む。
【0087】
種々の態様では、近接検出プローブセットの第1のメンバーのオリゴヌクレオチド部分は、近接検出プローブセットの第2のメンバーのオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズすることができない。例えば、ある種の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドは、近接検出アッセイに添加されてもよく、ここで、該スプリントオリゴヌクレオチド(単数または複数)は、第1の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部にハイブリダイズすることができ、また、第2の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部にハイブリダイズすることができる。種々の態様では、スプリントオリゴヌクレオチド(単数または複数)と近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分との間でハイブリダイズされた領域は、少なくとも5塩基対、少なくとも10塩基対、少なくとも15塩基対、少なくとも20塩基対、少なくとも25塩基対、少なくとも30塩基対、少なくとも40塩基対、少なくとも50塩基対、少なくとも75塩基対、または少なくとも100塩基対を含む。種々の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは対称であり、例えば、等しい塩基数の各々のオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズする。種々の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、非対称であり、例えば、第2のオリゴヌクレオチド部分の塩基数よりも多い塩基数の第1のオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズする。ある種の例示的な非対称な非対称なスプリントは、例えば、PCT公開公報第WO2005/123963号に記載されている。
【0088】
種々の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド部分の1つの3’末端が他のオリゴヌクレオチド部分の5’末端に隣接するように、第1と第2のオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズする。ある種の態様では、近接検出プローブ対のオリゴヌクレオチド部分の3’および5’末端は、互いに連結され得る。ある種の態様では、オリゴヌクレオチド部分の1つの3’末端は、1以上のヌクレオチドのギャップによって他のオリゴヌクレオチド部分の5’末端から分離されている。ある種の態様では、このギャップは、ポリメラーゼを用いて満たされ、その結果、満たされた(filled−in)末端が互いに連結され得るようになる。
【0089】
種々の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、1以上のリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドの類似体、および類似体デオキシリボヌクレオチドを含んでもよい。例示的なリボヌクレオチドの類似体およびデオキシリボヌクレオチドの類似体には、限定されないが、ヌクレオチド糖、リン酸塩、および/または塩基部分に1以上の修飾を含む類似体が含まれる。例示的なオリゴヌクレオチド類似体には、LNA(例えば、米国特許第6,316,198号を参照されたい)、PNA(米国特許第6,451,968号を参照されたい)、本明細書において検討されているかまたは当該技術分野において知られている任意の他のヌクレオチド類似体(例えば、Loakes,Nucleic Acids Res.2001 Jun 15;29(12):2437−47、Karkareら,Appl Microbiol Biotechnol.2006 Aug;71(5):575−86.Epub 2006 May 9を参照されたい)が挙げられる。ある種の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのデオキシ−チミン(dT)ヌクレオチドの代わりに少なくとも1つのデオキシ−ウラシル(dU)ヌクレオチドを含む。
【0090】
当業者は、意図された使用に従って、近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分および/またはスプリントオリゴヌクレオチドの適切な配列および長さを選択することができる。近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分および/またはオリゴヌクレオチド部分を選択するための例示的な方法の検討は、例えば、米国特許第6,511,809B2号およびPCT国際公開第WO2005/123963号に見出すことができる。
【0091】
ある種の例示的な多官能性溶解緩衝液
上記で検討されるように、多官能性溶解緩衝液は、標的核酸を実質的に分解することなく、近接検出プローブが溶解物に含まれる分析物に結合することができるように適切な分析物エピトープ構造を維持しながら、選択された生物試料を溶解し、ホモジナイズし、および/または抽出することができる。
【0092】
ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む。種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質の0.01%〜20%を含む。種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質の0.05%〜10%、0.05%〜5%、0.1%〜5%、または0.1%〜2%を含む。種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質の0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、または10%を含む
ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、生物学的緩衝液に適切な1以上の追加の成分を含む。例示的な追加の成分には、限定されないが、緩衝剤、二価陽イオンキレート剤(例えば、EDTA、クエン酸塩、およびEGTA)、一価の塩、二価の塩、還元剤、BSA、酵素阻害剤(例えば、リン酸塩阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、およびRNAse阻害剤)、核酸(例えば、ポリA、サケ精子DNAなど)、一本鎖DNA結合タンパク質などが挙げられる。種々の態様では、当業者は、意図された用途に従って、1以上の追加の成分を選択することができる。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、少なくとも1つの緩衝剤、少なくとも1つの二価陽イオンキレート剤を含む。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、Tris、Hepes、MOPS、BES、BICINE、CAPS、EPPS、MES、PIPES、TAPS、TES、およびTRICINEから選択される少なくとも1つの緩衝剤を含む。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、TrisおよびEDTAを含む。
【0093】
種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、10mM〜200mMまたは20mM〜100mMの少なくとも1つの緩衝剤を含む。
【0094】
種々の態様では、多官能性溶解緩衝液は、意図された使用に適しているpH、例えば、標的核酸および標的分析物に適しているpHを有してもよい。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、pHが5〜9である。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、pHが6〜8.5である。ある種の態様では、多官能性溶解緩衝液は、pHが6.5〜8である。
【0095】
ある種の例示的な多官能性溶解緩衝液は、NDSB−201、Tris、およびEDTAを含む。
【0096】
ある種の例示的なプロテアーゼ
種々の態様では、溶解物は、分析用に核酸を放出するためにプロテアーゼで処理される。ある種の態様では、プロテアーゼは、1以上の下記の特徴に基づいて選択される:プロテアーゼが容易に不活性化され得る、プロテアーゼが活性に金属イオンを必要とするかどうか、プロテアーゼが活性に界面活性剤を必要とするかどうか、プロテアーゼ消化が核酸の分解をもたらすかどうか、プロテアーゼが標的核酸を放出するかどうかである。
【0097】
ある種の態様では、熱によって不活性化され得るプロテアーゼが選択される。ある種の態様では、化学的に不活性化され得るプロテアーゼが選択される。プロテアーゼを不活性化するために用いることができるある種の例示的な化合物には、限定されないが、AEBSF、アプロチニン、ベスタチン、キモスタチン、E−64、EDTA、EGTA、ロイペプチン、ペプスタチンA、1,10−フェナントロリン、ホスホラミドン、およびPMSFが挙げられる。ある種の態様では、1以上のセリンプロテアーゼが本方法に用いられる。ある種の態様では、1以上のプロテアーゼは、subtilisin carlsbergプロテアーゼ、steptomyces griseusプロテアーゼ、およびプロテイナーゼKから選択される。steptomyces griseusが選択された場合、ある種の態様では、このプロテイナーゼは、熱により不活性化される。プロテイナーゼKが選択された場合、ある種の態様では、このプロテアーゼは、化学的に不活性化される。
【0098】
ある種の態様では、1を超えるプロテアーゼは、本方法に用いられる。1を超えるプロテアーゼが用いられる場合、これらのプロテアーゼは、同じであるかまたは異なった時間で添加されてもよい。種々の態様では、1を超えるプロテアーゼが用いられる場合、この方法は、1つの不活性化工程または1を超える不活性化工程を含んでもよい。さらに、種々の態様では、不活性化工程は、同じであるかまたは異なっていてもよく、例えば、1以上の不活性化工程は熱処理であってもよく、1以上の不活性化工程は化学的な処理であってもよい。
【0099】
種々の態様では、例えば、標的分析物がタンパク質またはペプチドである場合、プロテアーゼは、近接検出プローブセットのハイブリダイゼーションおよび/または連結後に添加される。
【0100】
ある種の例示的な方法
本明細書に提供されている方法は、論理的に可能である列挙された事象の任意の順番で、並びに事象の列挙された順番で行ってもよい。
【0101】
標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養に用いられてもよい。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って、および/または当該技術分野において通常達成されているように、および/または本明細書に記載されているように行ってもよい。前述の技術および手法は、一般に、当該技術分野において知られている従来の方法、種々の一般的であり、より具体的な参考文献、例えば、限定されないが、本明細書に引用され、全体を通じて検討されている参考文献に記載されている従来の方法に従って行うことができる。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989));Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.);Methods in Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan Eds.,Academic Press,Inc.);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,1984);A Practical Guide to Molecular Cloning(第2版,Wily Press,1988)を参照されたい。特定の定義が与えられていなければ、本明細書に記載されている生物学、生化学、分析化学、および合成有機化学に関連して利用される命名、並びにそれらの実験室手法および技術は、当該技術分野において知られ、用いられているものである。
【0102】
生物試料に含まれる標的分析物および標的核酸を検討する方法が提供される。種々の態様では、この方法は、同じ容器内で少なくとも1つの分析物および少なくとも1つの標的核酸の検出を可能にする。例えば、種々の態様では、少なくとも1つの分析物を検出するために行われるプロセス、少なくとも1つの核酸を検出するために行われるプロセスは、同じ試料に適用される。したがって、種々の態様では、この方法は、検出された標的分析物の量、検出された標的核酸の量との間のより良好な相関関係を可能にし、それは、この試料が分割されていないか、またはある種の検出法の効率に影響を及ぼす可能性のある、異なった条件およびプロセスに供されていないためである。
【0103】
種々の態様では、方法は、生物試料を溶解し、近接検出アッセイを用いて標的分析物を検出し、標的核酸を検出することを含む。種々の態様では、標的分析物の検出、標的核酸の検出は、同じ容器内で行われる。種々の態様では、1以上の近接検出プローブセット、および1以上の標的核酸は、同じ検出法を用いて検出される。種々の態様では、1以上の近接検出プローブセットおよび1以上の標的核酸は同時に検出される。種々の態様では、この方法は、1以上の近接検出プローブセットの検出および/または1以上の標的核酸の検出前に、核酸精製工程を含まない。例えば、ある種の態様では、第1の標識を用いて近接検出プローブセットを検出し、第2の標識を用いて標的核酸を検出する。ある種の態様では、異なった標識を用いて、各々異なった近接検出プローブセットおよび各々異なった核酸分子を検出する。
【0104】
ある種の態様に従って、生物試料に含まれる標的分析物および標的核酸を検出するためのある種の例示的なワークフロー図が、図18および19に示される。
【0105】
図18は、ある種の方法についての下記の非制限的な例示のワークフローを示す。多官能性溶解緩衝液において生物試料の溶解、ホモジナイゼーション、および/または抽出後、少なくとも1つのセットの近接検出プローブはこの溶解物に添加される。次に、溶解物は、近接検出プローブの分析物結合部分による標的分析物への結合を可能にする条件下でインキュベートされる。種々の態様では、0℃〜45℃の温度でインキュベーションが行われる。ある種の態様では、45℃を超えてインキュベーションが行われる。種々の態様では、インキュベーションは、0℃〜10℃、4℃〜15℃、4℃〜30℃、10℃〜20℃、15℃〜30℃、20℃〜30℃、または20℃〜40℃の温度で行われる。種々の態様では、インキュベーションは、4℃、10℃、20℃、25℃、30℃、37℃、または42℃で行われる。種々の態様では、インキュベーションは、少なくとも一晩行われる。種々の態様では、インキュベーションは、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、または少なくとも4時間行われる。種々の態様では、インキュベーションは、1〜4時間行われる。
【0106】
種々の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの近接検出プローブセットの添加前、添加と同時、または添加後に溶解物に添加される。種々の態様では、連結ミックスは、少なくとも1つの近接検出プローブセットの添加後に溶解物に添加される。ある種の態様では、連結ミックスは、適切な緩衝液中で、近接検出プローブセットのオリゴヌクレオチド部分の末端を互いに連結するのに適切なリガーゼ酵素を含む。ある種の態様では、連結ミックスは、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドの添加後に添加される。ある種の態様では、連結ミックスは、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドと同時に添加される。
【0107】
連結ミックスを溶解物に添加後、種々の態様では、この溶解物は、少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、または少なくとも1時間インキュベートされる。ある種の態様では、溶解物は、5〜10分間インキュベートされる。種々の態様では、連結ミックスの添加後、0℃〜25℃の温度で溶解物をインキュベートする。ある種の態様では、25℃を超える温度で溶解物をインキュベートする。種々の態様では、溶解物は、0℃〜10℃、4℃〜15℃、4℃〜20℃、10℃〜20℃、または15℃〜25℃の温度でインキュベートされる。ある種の態様では、連結反応は終了される。ある種の態様では、連結反応は、少なくとも1つのプロテアーゼを反応に添加することによって終了される。スプリントオリゴヌクレオチドが少なくとも1つのdUヌクレオチドを含む場合、ある種の態様では、連結反応は、ウラシル−DNAグリコシラーゼを添加することによって終了される。
【0108】
種々の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの近接検出プローブセットが溶解物に添加される前、それと同時に、またはその後に溶解物に添加される。種々の態様では、上記で検討されている連結工程は省略される。例えば、ある種の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドが近接検出プローブセットの添加及びインキュベーション後に添加される場合、溶解物は、さらに、少なくとも1つの近接検出プローブへの少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な温度および時間でインキュベートされる。種々の態様では、当業者は、このようなハイブリダイゼーションのための適した時間および温度を選択することができる。種々の態様では、ハイブリダイゼーション条件には、0℃〜75℃の温度が含まれる。種々の態様では、インキュベーションは、0℃〜65℃、4℃〜50℃、10℃〜45℃、または15℃〜40℃で行われる。種々の態様では、インキュベーションは、10℃、20℃、25℃、30℃、37℃、42℃、50℃、55℃、60℃、または65℃で行われる。種々の態様では、インキュベーションは、少なくとも4時間行われる。種々の態様では、インキュベーションは、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、または少なくとも2時間行われる。
【0109】
種々の態様では、溶解物は、少なくとも1つのプロテアーゼで処理される。種々の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼを添加後、溶解物は、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、または少なくとも4時間インキュベートされる。種々の態様では、溶解物は、0℃〜65℃でインキュベートされる。種々の態様では、溶解物は、0℃〜55℃、4℃〜50℃、10℃〜45℃、または15℃〜40℃でインキュベートされる。種々の態様では、インキュベーションは、4℃、10℃、20℃、25℃、30℃、37℃、または42℃で行われる。ある種の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼは、インキュベーション後に不活性化される。ある種の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼは、熱により、例えば、少なくとも5分間、少なくとも50℃で溶解物をインキュベートすることによって不活性化される。ある種の態様では、溶解物を少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃でインキュベートして、プロテアーゼを熱により不活性化する。ある種の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼは、例えば、少なくとも1つの化合物の添加によって不活性化される。ある種の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼは、PMSFの添加によって不活性化される。
【0110】
種々の態様では、少なくとも1つのプロテアーゼの不活性化後、標的核酸およびハイブリダイズされたおよび/または連結された近接検出プローブセットが検出される。種々の態様では、少なくとも1つの標的核酸および少なくとも1つのハイブリダイズされたおよび/または連結された近接検出プローブセットの検出は、多重定量的PCRを含む。ある種の態様では、標的核酸がRNAである場合、このRNAは、検出前に、または検出の一部として逆転写される。
【0111】
図19は、ある種の方法についての下記の非制限的な例示のワークフローを示す。図19に示される方法は、連結工程を介して、図18について上記で検討される方法と同じである。しかしながら、プロテアーゼ処理前に、溶解物のアリコートが、少なくとも1つのハイブリダイズしたおよび/または連結した近接検出プローブセットの検出のために取り出される。
【0112】
アリコートを取り出した後、残りの溶解物を図18について上述されるように処理する。残りの溶解物は、少なくとも1つの標的核酸の検出のために用いられ、取り出されたアリコートは、少なくとも1つのハイブリダイズされたおよび/または連結された近接検出プローブセットの検出のために用いられる。ある種の態様では、少なくとも1つの標的核酸の検出および/または少なくとも1つのハイブリダイズされたおよび/または連結された近接検出プローブセットの検出は、定量的PCRを含む。ある種の態様では、1を超える標的核酸および/または1を超えるハイブリダイズされたおよび/または連結された近接検出プローブセットが検出されるべき場合、この検出は、多重定量的PCRを含む。ある種の態様では、標的核酸がRNAである場合、このRNAは、検出前に、または検出の一部として逆転写される。
【0113】
ある種の方法のある種の局面は、下記にさらに詳細に記載される。
【0114】
ある種の例示的な溶解物
種々の態様では、選択された生物試料は、標的分析物および標的核酸が検出される前に、溶解され、ホモジナイズされ、および/または抽出される。ある種の態様では、この溶解、ホモジナイゼーション、および/または抽出は、多官能性溶解緩衝液中で行われる。
【0115】
選択された生物試料が個々の細胞の形態である場合、種々の態様では、これらの細胞は、1μl当たり100〜200,000細胞の濃度で多官能性溶解緩衝液に懸濁されてもよい。種々の態様では、これらの細胞は、100個未満の細胞/μlまたは200,000個を超える細胞/μlの濃度で再懸濁される。種々の態様では、細胞は、500〜100,000細胞/μl、1,000〜100,000細胞/μl、5,000〜75,000細胞/μl、または10,000〜75,000細胞/μlの濃度で再懸濁される。種々の態様では、細胞は、少なくとも1,000、2,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、40,000、または50,000細胞/μlの濃度で再懸濁される。
【0116】
選択された生物試料が組織の形態である場合、種々の態様では、溶解された組織細胞の濃度が、組織がホモジナイズされ得る効率を考慮して、個々の細胞について上記で検討された濃度におよそ等しくなるように、組織は多官能性溶解緩衝液にホモジナイズされてもよい。例えば、ある種の態様では、20%の組織がホモジナイズしない場合、残りの80%は、細胞濃度を測定することを目的としてカウントされる。当業者は、多官能性溶解緩衝液における組織試料について適切な濃度を選択することができる。
【0117】
同様に、選択された生物試料が、食品、または水もしくは空気のろ過物などの別の形態である場合、当業者は、試料に含まれる細胞(例えば、病原体)の期待される数を推測することができ、したがって、多官能性溶解緩衝液を調節することができる。種々の態様では、選択された生物試料は、多官能性溶解緩衝液を用いた溶解、ホモジナイゼーションおよび/または抽出前に当該技術分野において知られている任意の方法によって濃縮されてもよい。
【0118】
種々の態様では、多官能性溶解緩衝液に選択された生物試料を懸濁させた後、この試料の溶解を促進するために溶解物を物理的に処理する。このような物理的な処理には、限定されないが、ボルテックス、凍結融解サイクル(例えば、ドライアイス、液体窒素の使用など)、選択された温度での回転、超音波処理などが挙げられる。当業者は、選択された生物試料の溶解を促進するために適切な物理的処理を選択することができる。
【0119】
溶解後、ある種の態様では、溶解物を遠心分離して、固体材料をペレットにする。種々の態様では、次に、保存のための新しい容器に澄んだ溶解物を移してもよい。種々の態様では、この溶解物を4℃または凍結して、例えば、標準的な冷凍庫中で、−80℃の冷凍庫中で、または液体窒素中で保存する。
【0120】
ある種の例示的な近接検出アッセイ
例示的な近接検出アッセイは、例えば、米国特許第6,511,809B2号;米国特許出願公開第US2002/0064779号;PCT国際公開第WO2005/123963号;米国特許出願公開第US2005/0003361A1号;米国特許出願公開第US2007/0026430号;Fredrickssonら,Nature Biotech.20:473−477(2002);Gustafsdottirら,Clin.Chem.52:1152−1160(2006)に記載されている。
【0121】
種々の態様では、近接検出アッセイは、少なくとも1つの近接検出プローブセットと少なくとも1つの標的分析物との間の相互作用を可能にする条件下で、少なくとも1つの近接検出プローブセットを用いて生物試料または溶解物をインキュベートすることを含む。近接検出アッセイが近接連結アッセイである場合、種々の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドは、各々の近接検出プローブセットに対して混合物に添加され、この混合物は、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドと近接検出プローブセットのオリゴヌクレオチド部分との間のハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートされる。ある種の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチド部分の3’末端が第2のオリゴヌクレオチド部分の5’末端に隣接されるように2つのオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズする。ある種の態様では、第1のオリゴヌクレオチド部分の3’末端および第2のオリゴヌクレオチド部分の5’末端は一緒に連結される。ある種の態様では、連結は、リガーゼ酵素によって媒介される。
ある種の態様では、連結された生成物は、本明細書において検討された少なくとも1つの方法によって検出される。ある種の態様では、連結された生成物およびハイブリダイズされたスプリントオリゴヌクレオチドは、検出法の一部として、またはその前にプライマー伸張反応に供される。ある種の態様では、プライマー伸張反応は、二本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。ある種の態様では、プライマー伸張反応は、連結された生成物に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。ある種の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドプライマーとともに、プライマー伸張反応におけるプライマーとして機能を果たす。ある種の態様では、スプリントオリゴヌクレオチド以外の2つのオリゴヌクレオチドプライマーは、プライマー伸張反応に含められる。ある種の態様では、二本鎖オリゴヌクレオチドを産生するプライマー伸張反応後、二本鎖オリゴヌクレオチドの第1鎖は、連結されたオリゴヌクレオチド部分を含み、第2鎖は、(i)第1のオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部に相補的である第1配列に連結され、同時に、(ii)第2のオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部に相補的である第2配列に連結されたスプリントオリゴヌクレオチドの配列を含む。
【0122】
種々の態様では、検出法が1以上のオリゴヌクレオチド(例えば、1以上のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはオリゴヌクレオチドを含む検出プローブ)のハイブリダイゼーションを伴う場合、当業者は、オリゴヌクレオチドが連結された生成物を特異的に検出するために用いることができるように適切なヌクレオチド配列を選択することができる。例えば、ある種の態様では、連結されたオリゴヌクレオチド部分がプライマー伸張反応に供される場合、プライマー伸張生成物にハイブリダイズするが、オリゴヌクレオチド部分およびスプリントオリゴヌクレオチドにはハイブリダイズしない1以上のオリゴヌクレオチドを選択することができる。このようなオリゴヌクレオチドは、種々の態様では、直接的な検出法および/または増幅工程に関わる検出法に用いられてもよい。ある種の態様では、1以上のオリゴヌクレオチドは、連結されたオリゴヌクレオチド部分を増幅するために選択され得て、その結果、部分が一緒に連結される場合にだけ増幅が生じる。
【0123】
種々の態様では、近接検出アッセイが近接相互作用アッセイである場合、第1の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分は、第2の近接検出プローブのオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズすることができる。あるいは、ある種の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドは、各々の近接検出プローブセットについて混合物に添加される。種々の態様では、次に、この混合物は、ハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド部分間、および/またはオリゴヌクレオチド部分と少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドとの間でハイブリダイゼーションを可能にする条件下でインキュベートされる。
【0124】
ある種の態様では、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、検出法の一部として、またはその前にプライマー伸張反応に供される。ある種の態様では、オリゴヌクレオチド部分が互いにハイブリダイズする場合、プライマー伸張反応は、各々のオリゴヌクレオチド部分の末端から伸張して、第2のオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部に相補的である配列に接続された第1のオリゴヌクレオチド部分を含む第1鎖と、第1のオリゴヌクレオチド部分の少なくとも一部に相補的である配列に接続された第2のオリゴヌクレオチド部分を含む第2鎖とを含む二本鎖オリゴヌクレオチドを生じる。ある種の態様では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、更なるプライマー伸長反応に供される。ある種の態様では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、更なるプライマー伸長反応に供される。
【0125】
ある種の態様では、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドがオリゴヌクレオチド部分にハイブリダイズする場合、スプリントオリゴヌクレオチドは、二本鎖オリゴヌクレオチドを生じるために、第2のオリゴヌクレオチドプライマーとともに、プライマー伸長反応においてプライマーとして機能を果たす。ある種の態様では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、各々のオリゴヌクレオチド部分オリゴヌクレオチド部分の配列の少なくとも一部を含む第1鎖と、オリゴヌクレオチド部分の1つの少なくとも1つに相補的である(配列に接続されたスプリントオリゴヌクレオチドの配列を含む第2鎖とを含む。
【0126】
ある種の態様では、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、本明細書において検討されている少なくとも1つの方法によって検出される。種々の態様では、検出法が1以上のオリゴヌクレオチド(例えば、1以上のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはオリゴヌクレオチドを含む検出プローブ)のハイブリダイゼーションを伴う場合、当業者は、1以上のオリゴヌクレオチドを用いてハイブリダイズされた生成物を特異的に検出することができるように、適切なヌクレオチド配列を選択することができる。例えば、ある種の態様では、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチド部分がプライマー伸長反応に供される場合、プライマー伸長生成物にハイブリダイズするが、オリゴヌクレオチド部分にはハイブリダイズしない1以上のオリゴヌクレオチドを選択することができる。このようなオリゴヌクレオチドは、種々の態様では、直接的な検出法および/または増幅工程を伴う検出法において用いられてもよい。
【0127】
近接検出アッセイのためのある種の例示的な標準化対照
種々の態様では、標的核酸の量は、少なくとも1つの標準化対照に対して標準化されてもよい。種々の態様では、標的分析物の量は、少なくとも1つの標準化対照に対して標準化されてもよい。ある種の例示的な標準化対照は、例えば、本明細書、PCT国際公開第WO2005/123963号に記載されている。種々の態様では、当業者は、特定の用途のために1以上の標準化対照を選択することができる。
【0128】
種々の態様では、試料は、少なくとも1つの標準化対照、少なくとも2つの標準化対照、少なくとも3つの標準化対照、少なくとも4つの標準化対照、または少なくとも5つの標準化対照を含む。ある種の態様では、試料は、少なくとも1つの分析物標準化対照および少なくとも1つの核酸標準化対照を含む。ある種の態様では、試料は、少なくとも1つの内因性標準化対照および少なくとも1つの外因性標準化対照を含む。ある種の態様では、試料に含まれる全ての標準化対照は、外因性である。ある種の態様では、分析物標準化対照を用いて、標的分析物を標準化する。ある種の態様では、核酸標準化対照を用いて、標的分析物を標準化する。ある種の態様では、核酸標準化対照を用いて、標的核酸を標準化する。ある種の態様では、分析物標準化対照を用いて、標的核酸を標準化する。ある種の態様では、標的核酸および標的分析物は、同じ標準化対照について標準化される。ある種の態様では、標的核酸および標的分析物は、同じ標準化対照について標準化される。ある種の態様では、標的核酸および標的分析物は、異なる標準化対照について標準化される。
【0129】
ある種の態様では、標準化対照は、標的分析物および/または標的核酸が検出される同じ溶解物において検出される。ある種の態様では、標準化対照は、同じであるかまたは異なった方法を用いて、標的分析物および/または標的核酸が検出される同じ容器で検出される。種々の態様では、溶解物は分配されるかまたは分割され、標準化対照並びに少なくとも1つの標的分析物および標的核酸は、同じであるかまたは異なった方法を用いて、別々の容器で検出される。種々の態様では、標準化対照は、少なくとも1つの標的分析物と標的核酸とが検出されるのと同時に検出される。
【0130】
ある種の態様では、標的分析物の量は、ΔC法を用いて標準化対照に対して標準化されてもよい。ある種の態様では、標的分析物の量は、ΔΔC法を用いて、標準化対照に対して標準化されてもよい。ある種の態様では、標準化対照の使用は、分析物を用いる外部標準曲線を作成する必要性を排除する場合があり、ここでは、溶解物に個々のレベルの分析物が存在する場合に観察されるC値とは異なるC値を得てもよい。
【0131】
ある種の態様では、標的核酸の量は、ΔC法を用いて標準化対照に対して標準化されてもよい。ある種の態様では、標的核酸の量は、ΔΔC法を用いて標準化対照に対して標準化されてもよい。ある種の態様では、標準化対照の使用は、溶解物に含まれる核酸の個々のレベルによって観察されるC値とは異なるCを生じ得る、核酸を用いて外部標準曲線を作成する必要性を排除する。
【0132】
種々の態様では、標準化対照の使用は、近接検出アッセイにおける可変体(variable)に対して調節してもよい。近接検出アッセイにおけるある種の例示的な可変体には、限定されないが、核酸の分解、分析物の分解、分析物のエピトープ構造が維持されている程度、近接検出プローブが分析物に結合する効率、連結反応の効率、およびリアルタイムPCR反応の効率が含まれる。
【0133】
種々の態様では、分析物標準化対照は、近接検出アッセイを用いて検出される。ある種の例示的な近接検出アッセイは、本明細書に記載されている。ある種の態様では、分析物標準化対照は、標的分析物と同じ方法(適切な近接検出プローブを用いる)、同じ容器を用いて検出される。ある種の態様では、分析物標準化対照は、標的分析物と同じ方法(適切な近接検出プローブを用いる)を用いるが、異なった容器を用いて検出される。
【0134】
種々の態様では、分析物標準化対照を検出するために用いられる核酸標準化対照および/または近接検出プローブは、直接的な検出法によるかまたは増幅工程を伴う検出法によって検出される。ある種の例示的な核酸を検出する方法および/または近接検出プローブは、本明細書に記載されている。ある種の態様では、異なった標識を用いて、核酸標準化対照、標的核酸、分析物標準化対照を検出するために使用される近接検出プローブ、および/または標的物を検出するために用いられる近接検出プローブを検出する。
【0135】
種々の態様では、核酸標準化対照がRNAである場合、核酸標準化対照は、近接検出プローブ、標的核酸、および/または第2の核酸標準化対照を検出するために用いられる同じ方法を用いて検出することができる形態にそれを変換するための前処理に供される。
【0136】
ある種の態様では、分析物標準化対照を検出するために用いられる核酸標準化対照および/または近接検出プローブは、リアルタイムPCRを用いて検出される。ある種の態様では、分析物標準化対照を検出するために用いられる核酸標準化対照および/または近接検出プローブは、PCRおよび連結の組合せを用いて検出される。例えば、ある種の態様では、分析物標準化対照を検出するために用いられる核酸標準化対照および/または近接検出プローブは、初めにPCRによって増幅され、次に連結調査(inquiry)を適用することによって検出される。ある種の例示的なこのような方法は、当該技術分野において知られ、例えば、Chenら,“A homogeneous,ligase−mediated DNA diagnostic test,”Genome Res.8(5):549−56(1998)に記載されている。
【0137】
ある種の態様では、核酸標準化対照は、初めに連結反応、その後にPCR増幅を伴う方法を用いて検出される。ある種の例示的なこのような方法は、当該技術分野において知られ、例えば、米国特許第4,797,470号に記載されている。例えば、ある種の態様では、核酸標準化対照は、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。ある種の態様では、この少なくとも2つのオリゴヌクレオチドは、連結によって接合されることができる。ある種の態様では、オリゴヌクレオチドの各々の連結可能な末端が核酸標準化対照によって一緒にされる。ある種の態様では、2つのオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に隣接するように連結鋳型にハイブリダイズする。ある種の態様では、各々のオリゴヌクレオチドの連結可能な末端は、連結によって接合される。ある種の態様では、連結は、リガーゼ酵素によって媒介される。連結を伴う方法による核酸標準化対照の検出は、ある種の態様では、近接検出アッセイにおいて連結反応工程の効率に対して調節されてもよい。
【0138】
ある種の例示的なブロッキング剤
ある種の態様では、近接検出アッセイは、少なくとも1つのブロッキング剤の存在において行われる。種々の態様では、近接検出アッセイは、分析物ブロッキング剤および/または核酸ブロッキング剤の存在下で行われる。ある種の態様では、分析物ブロッキング剤は、タンパク質である。ある種の態様では、タンパク質ブロッキング剤は、ゼラチンである。ある種の態様では、核酸ブロッキング剤は、主に、一本鎖核酸である。ある種の態様では、核酸ブロッキング剤は、主に、二本鎖核酸である。
【0139】
ある種の態様では、少なくとも1つのブロッキング剤は、多官能性溶解緩衝液に添加される。ある種の態様では、少なくとも1つのブロッキング剤は、溶解物に添加される。少なくとも1つのブロッキング剤は、1以上の近接検出プローブの添加前またはそれと同時に溶解物に添加される。ある種の態様では、少なくとも1つのブロッキング剤は、ハイブリダイズされたおよび/または連結されたヌクオチド部分および/または標的核酸の検出前に溶解物に添加される。ある種の態様では、少なくとも1つの分析物ブロッキング剤および少なくとも1つの核酸ブロッキング剤が添加される。種々の態様では、1を超えるブロッキング剤が添加される場合、それらは、同時であるかまたは別の時間で添加されてもよい。
【0140】
図20は、ある種の分析物ブロッキング剤、0.1%冷凍魚ゼラチンおよび1%BSAの存在下で行われたVEGFを検出するための近接連結アッセイの例示的な結果を示す。それらの例示的な結果においては、近接連結反応は、0.1%コールド魚ゼラチンおよび1%BSAにおいて同様に等しく行う。
【0141】
図21は、ある種の核酸ブロッキング剤、ポリA、ポリdC、ポリdG+ポリdC、および切断されたウシ胸腺DNA(「CFD」)の存在下で行われたVEGFを検出するための近接連結アッセイの例示的な結果を示す。図21の対照は、少なくとも2週間、4℃で保存されたポリAの存在下で行われる。それらの例示的な結果において、二本鎖核酸ブロッキング剤(ポリdG+ポリdCおよび切断されたウシ胸腺DNA)の存在下で行われた近接連結アッセイは、一本鎖核酸ブロッキング剤(ポリA、およびポリdC)の存在下で行われた近接連結アッセイよりも大きな検出範囲を示した。
【0142】
ある種の例示的な連結反応の終了
ある種の態様では、近接連結アッセイにおける連結反応は、連結された生成物の検出前に終了される。ある種の態様では、連結反応は、近接連結アッセイを保存する前に終了される。近接連結アッセイは、連結された生成物の検出前または検出後に保存されてもよい。ある種の態様では、連結反応の終了は、例えば、近接連結アッセイの保存中に、経時的に蓄積されてもよい追加の連結された生成物の量を減少させる。
【0143】
ある種の態様では、連結反応は、プロテアーゼを用いた処理によって終了される。ある種の例示的なプロテアーゼは、本明細書に記載されている。ある種の態様では、連結反応は、スプリントオリゴヌクレオチドを変更することによって終了される。ある種の態様では、近接検出アッセイに用いられるスプリントオリゴヌクレオチドは、デオキシ−チミン(dT)の代わりにデオキシ−ウラシル(dU)を含む。ある種の態様では、dUを含むスプリントオリゴヌクレオチドは、連結工程の後にウラシル−DNAグリコシラーゼ(UNG)を近接検出アッセイに添加することによって変更される。ある種の態様では、スプリントオリゴヌクレオチドの変更は、連結された生成物の検出中に形成される場合がある望ましくないプライマー伸長生成物を減少させる。
【0144】
図22は、dUを含むスプリントオリゴヌクレオチドを用いて、MCP−1を検出する近接連結アッセイの例示的な結果を示す。このアッセイは、連結反応後にUNG処理しておよび処理しないで、連結産物の検出前に凍結融解サイクルを伴っておよび伴わないで行われた。0U、0.002U、0.02U、および0.2UのUNGを用いた例示的な処理を示す。UNG処理は、その例示的な実験において、37℃で15分間、その後、95℃で3分行われる。さらに、qPCRは、UNG処理の直後(実線)、凍結融解の1サイクルを伴うUNG処理の24時間後(点線)にその例示的な実験において連結産物を検出するために行われた。例示的なデータは、UNGインキュベーション工程を含めることが、ある種の態様では、経時的な連結産物の蓄積を減少させることを示す。
【0145】
近接検出プローブおよび標的核酸のある種の例示的な検出
種々の態様では、近接検出プローブおよび標的核酸のハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、種々の態様では、別々におよび/または同時に検出されてもよい。ある種の態様では、近接検出プローブおよび標的核酸のハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、同時または異なった時間のいずれかで、同じ容器で検出される。ある種の態様では、例えば、標的核酸がRNAである場合、標的核酸は、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分と同じ方法を用いて検出され得る形態に該標的核酸を変換するための前処理に供される。このような前処理には、限定されないが、逆転写が含まれる。
【0146】
ある種の態様では、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、標的核酸を検出するのと同じ方法を用いて検出され得る形態にそれらを変換するための前処理に供される。このような前処理には、限定されないが、連結およびプライマー伸長反応が含まれる。ある種の態様では、ハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分の検出が増幅を伴う場合に、前処理のプライマー伸長反応を必要としない場合があり、それは、増幅条件が増幅前、またはそれと同時にプライマー伸長反応が生じ得るためである。
【0147】
ある種の態様では、溶解物は分配されるかまたは分割され、同じであるかまたは異なった方法を用いて、近接検出プローブの標的核酸およびハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は別々の容器で検出される。ある種の態様では、溶解物は、近接検出プローブがハイブリダイズされたおよび/または連結された後に分割される。ある種の態様では、溶解物は、検出をもたらすプロセスの全てが行われた後に分割される。例えば、ある種の態様では、溶解物は、例えば同じ検出プローブが各々の検出法に用いられてもよいように、近接検出プローブセットおよび標的核酸の別々の検出を促進するためだけに分割される。種々の態様では、溶解物は、溶解後、近接検出プローブを結合した後、近接検出プローブのハイブリダイゼーションおよび/または連結の後、またはプロテアーゼ処理の後に分割されてもよい。
【0148】
ある種の態様では、標的核酸がRNAである場合、標的核酸は、選択された検出法の前またはその最中のいずれかで逆転写に供される。また、標的核酸のDNAコピーは、標的核酸(RNAコピーが標的RNA核酸と呼ばれる場合があり、DNAコピーが標的核酸と呼ばれる場合があるが)とも呼ばれる。種々の態様では、標的核酸RNAが標的核酸DNAに逆転写された後、標的核酸DNAは、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分と同じ方法によって検出される場合がある。ある種の態様では、標的核酸DNAおよび近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、同じ容器内で、同じ検出法によって同時に検出される。
【0149】
ある種の態様では、近接検出プローブの複数のハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または複数の標的核酸は、同じ容器内で同時に検出される。ある種の態様では、異なる標識を用いて、異なった近接検出プローブセットおよび異なった標的核酸を同定する。例えば、ある種の態様では、5つの標的分析物および5つの標的核酸が生物試料において検出され、1つの検出法を用いて、5つの異なった近接検出プローブセットおよび5つの異なった標的核酸を検出する場合、10個の異なる標識を用いて、異なった生成物を別々に同定してもよい。種々の態様では、このような標識は、本明細書で検討されている検出プローブの形態、または検出法での使用に適切である当該技術分野において知られている任意の他の標識の形態であってもよい。当業者は、種々の態様に従って、適切な標識または複数の標識を選択することができる。
【0150】
ある種の態様では、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または標的核酸は、リアルタイムPCRを用いて検出される。リアルタイムPCRを行う例示的な方法には、限定されないが、5’ヌクレアーゼリアルタイムPCR、およびその多重バージョンが挙げられる。5’ヌクレアーゼリアルタイムPCRのある種の例示的な方法は、当該技術分野において知られ、例えば、Livak,“SNP genotyping by the 5’−nuclease reaction,”Methods Mol Biol.212:129−47(2003);Leeら,“Seven−color,homogeneous detection of six PCR products,”Biotechniques 27(2):342−9(1999);Livak,“Allelic discrimination using fluorogenic probes and the 5’nuclease assay,”Genet Anal.14(5−6):143−9(1999);Heidら,“Real time quantitative PCR,”Genome Res.6(10):986−94(1996);Leeら,“Allelic discrimination by nick−translation PCR with fluorogenic probes,“Nucleic Acids Res.11;21(16):3761−6(1993)に記載されている。例示的な定量的PCRは、例えば、A−Z Quantitative PCR,Bustin,S.,Ed.,IUL Biotechnology Series(2004)に記載されている。また、リアルタイムPCRのある種の例示的な方法は、例えば、Watsonら,Int J Toxicol.2005 May−June;24(3):139−45,米国特許第6,890,718号;同第6,773,817号;及び同第6,258,569号に記載されている。ある種の態様では、標的核酸は、TaqMan(TaqMan)ワンステップqRT−PCR(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))を用いて検出される。
【0151】
種々の態様では、受動参照色素は、定量的PCR法に用いられてもよい。ある種の例示的な受動参照色素は、米国特許第5,736,333号に記載されている。種々の態様では、外部対照は、定量的PCR法において用いられてもよい。ある種の例示的な定量的対照は、例えば、米国特許第6,890,718号に記載されている。
【0152】
ある種の態様では、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または標的核酸は、PCRおよび連結の組合せを用いて検出される。非制限的な例として、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、初めにPCRによる増幅、次に連結調査の適用によって検出され得る。ある種の例示的なこのような方法は、当該技術分野において知られ、例えば、Chenら,“A homogeneous, ligase−mediated DNA diagnostic test,”Genome Res.8(5):549−56(1998)に記載されている。更なる非制限的な例として、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分は、初めに連結反応、その後のPCR増幅によって検出されてもよい。ある種の例示的なこのような方法は、当該技術分野において知られ、例えば、米国特許第4,797,470号に記載されている。
【0153】
種々の態様では、連結アッセイは、例えば、米国特許第6,511,810号に記載されているフラップエンドヌクレアーゼを含んでもよい。
【0154】
ある種の態様では、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または標的核酸は、第1の「前増幅反応」(例えば、PCT国際公開第WO2004/051218号に記載される)において増幅され、次に、第2の増幅反応において解読される。ある種の例示的なこのような方法は、当業者に知られ、例えば、米国特許第6,605,451号;Laoらによる米国特許出願第11/090,468号;およびAndersenらの米国特許出願第11/090,830号に記載されている。
【0155】
また、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または標的核酸を検出するある種の例示的な方法は、例えば、米国特許第6,511,809B2号;米国特許出願公開第US2002/0064779A1号;およびPCT国際公開第WO2005/123963号に記載されている。ある種の例示的な多重検出法は、例えば、Bodeauらによる米国特許出願第11/372,242号に記載されている。
【0156】
種々の態様では、検出プローブを用いて、近接検出プローブのハイブリダイズされたおよび/または連結されたオリゴヌクレオチド部分、および/または標的核酸、および/または増幅産物の検出を促進する。ある種の例示的な検出プローブは、本明細書において検討されている。種々の態様では、当業者は、意図された用途に従って、1以上の適切な検出プローブを選択することができる。
【0157】
例示的なキット
種々の態様では、本発明を実施するための少なくとも1つの成分を含むキットが提供される。種々の態様では、キットは、少なくとも1つの多官能性溶解緩衝液を含む。種々の態様では、キットは、少なくとも1つの近接検出プローブセットを含む。種々の態様では、キットは、少なくとも1つのプロテアーゼを含む。種々の態様では、キットは、少なくとも1つのリガーゼを含む。種々の態様では、キットは、少なくとも1つの標準化対照を含む。
【0158】
種々の態様では、キットは、近接検出プローブおよび/または標的核酸を検出するための少なくとも1つの成分を含む。種々の態様では、キットは、標準化対照を検出するための少なくとも1つの成分を含む。例示的な成分には、限定されないが、検出プローブ、プライマー、ポリメラーゼ、および逆転写酵素が挙げられる。
【実施例】
【0159】
(実施例1)
細胞溶解物に含まれるタンパク質およびmRNAの定量的検出
RajiヒトB細胞リンパ腫細胞は、1000×gで5分間遠心分離することによってペレットにした。PBSの1μl当たり50,000細胞の濃度で細胞を懸濁させた。等量の2×緩衝液N(2×緩衝液Nは、0.2%NDSB−201、50mM Tris−HCl pH8.0、および1mM EDTA pH8.0である)を懸濁液に添加し、5秒間ボルテックスすることによって十分に混合した。
【0160】
近接連結アッセイ
5つの標的分析物は、近接連結アッセイによって検出するために選択された。標的分析物は、ADAM9(ADAM metallopeptidase domain 9;http://www.genecards.org/cgi−bin/carddisp.pl?gene=ADAM9&search=ADAM9);CCL5(ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5;http://www.genecards.org/cgi−bin/carddisp.pl?gene=CCL5&search=ccl5);CSTB(シスタチンB;http://www.genecards.org/cgi−bin/carddisp.pl?gene=CSTB&search=cystatin+B);SMAD4(DDPホモログに対する母体4;http://www.genecards.org/cgi−bin/carddisp.pl?gene=SMAD4&search=smad4);およびRUNX1(ラント関連転写因子(Runt−related transcription factor)1;http://www.genecards.org/cgi−bin/carddisp.pl?gene=RUNX1&search=runx1)であった。本実験では、各標的分析物に対する近接連結アッセイは、別々に行われた。
【0161】
近接検出プローブは、Simon Fredrikssonによって提供された。例示的な近接検出プローブおよび近接検出プローブを設計するための方法は、PCT国際公開第2005/123963号に記載されている。各標的分析物について、2つのオリゴヌクレオチドは、第1に5’−結合ストレプトアビジンを用いて、第2に3’−結合ストレプトアビジンを用いて合成された。200nMストックの第1のストレプトアビジン結合したオリゴヌクレオチドの5μlは、緩衝液C(1×PBS pH7.4、0.1% BSA、5nM EDTA)中で選択された標的分析物に対する200nMストックのビオチン化されたポリクローナル抗体(ビオチン化されたポリクローナル抗体の全てはR&Dシステムズ(Systems)からのものである)の5μlと混合された。同様に、200nMストックの第2のストレプトアビジン結合のオリゴヌクレオチドの5μlは、緩衝液C中で選択された標的分析物に対するビオチン化された200nMストックのポリクローナル抗体の5μlと混合された。混合物を1時間、室温でインキュベートした。各々の近接検出プローブは、緩衝液D(1×PBS pH7.4、1% BSA、1mM ビオチン、および16μg/ml ポリA)の1nMまで、99μlの緩衝液Dを1μlの近接検出プローブに添加することによって希釈された。これは、5つの標的分析物の各々に対する第1および第2の近接検出プローブ(即ち、近接検出プローブセット)をもたらした。
【0162】
5つの異なる近接検出プローブセットの1つを各々用いて、5つの別々の溶液を形成するために、プローブセットの第1および第2の近接検出プローブを各々の近接検出プローブについて100pMの濃度で緩衝液Dにおいて組合わせた。細胞溶解物の3つの濃度を緩衝液Dによる希釈によって調製し、1μl当たり5000、500、または50細胞に相当していた。ホスファターゼ阻害剤カクテル(100×HALTホスファターゼ阻害剤カクテル、ピアス(Pierce)カタログ#78420)は、第2の近接検出プローブの5’ホスフェートを保護するために、1×の濃度までの細胞溶解物希釈物に添加された。緩衝液N中の1μlの細胞溶解物は1μlの近接検出プローブ対溶液と混合され、1時間、37℃でインキュベートされた。プローブ結合混合物に含まれる各々の近接検出プローブの濃度は、50pMであった。
【0163】
プローブ連結について、スプリントオリゴヌクレオチド(単数または複数)は、Simon Fredrikssonによって提供された。例示的なスプリントオリゴヌクレオチドおよびスプリントオリゴヌクレオチドを設計する方法は、PCT国際公開第WO2005/123963号に記載されている。各々のスプリントオリゴヌクレオチドは、近接検出プローブセットにおける第1のオリゴヌクレオチド部分の遊離した3’末端が近接検出プローブセットに含まれる第2のオリゴヌクレオチド部分の遊離した5’末端に隣接するように、近接検出プローブセットの各々のオリゴヌクレオチド部分の一部にハイブリダイズすることができた。各スプリントオリゴヌクレオチドは非対称であった(例えば、PCT国際公開第WO2005/123963号を参照されたい)。120μlの連結溶液(1×PCR II緩衝液(アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems))、100nMのスプリントオリゴヌクレオチド、1.5mMのMgCl、0.3mMのNAD、10mMのDTT、および2.5ユニットのアンプリガーゼ(Ampligase)(エピセントレ(Epicentre))をプローブ結合混合物に添加した。各々の近接検出プローブセットに対する3つの連結混合物中のRaji細胞の相当の濃度は、約41.7細胞/μl、4.17細胞/μl、および0.417細胞/μlであった。連結混合物は、30℃で10分間インキュベートされた。41.7細胞/μlおよび4.17細胞/μlを含む20μlの連結混合物を取り出し、mRNA検出のために保存した(後述される)。
【0164】
連結された近接検出プローブセットは、下記のようにリアルタイムPCRを用いて検出された。10μlの連結混合物は、10μlの2×パワーSYBRグリーンPCRマスターミックス(アプライドバイオシステムズ;カタログno.4367218)、並びに連結されていない近接検出プローブではなく、近接検出プローブ対の連結されたオリゴヌクレオチド部分を増幅させるために設計された、各々0.04μlのフォワードおよびリバースプライマー(最終のプライマー濃度は各プライマーについて400nMであった)に混合された。フォワードおよびリバースプライマーは、Simon Fredrikssonによって提供された。例示的なフォワードおよびリバースプライマー配列は、PCT国際公開第WO2005/123963号に記載されている。リアルタイムPCRは、パワーSYBRグリーンPCRマスターミックスプロトコール(アプライドバイオシステムズ;カタログno.4310251)に従って行われた。
【0165】
mRNA検出
連結混合物の20μl試料は、60分間、37℃で5μlのstreptomyces griseusプロテアーゼ(フルカ(Fluka)カタログno.81748;6.34U/mg)を用いて処理された。次に、混合物を10分間、75℃に加熱し、プロテアーゼ活性を低下させまたは排除した。プロテアーゼ処理した連結混合物は、「mRNA試料」と呼ばれる。各々の近接検出プローブについて、2つのmRNA試料中のRaji細胞の相当濃度は、約33.3細胞/μlおよび3.33細胞/μlであった。
【0166】
25μlのmRNA試料は、100μlの水および5μlの50μg/μlのBSA(アンビオン(Ambion);カタログno.2616)を添加することによって、約1:5に希釈された。したがって、希釈されたmRNA試料に含まれるBSAの最終濃度は、約2μg/μlであり、各々の近接検出プローブセットについて2つの希釈されたmRNA試料に含まれるRaji細胞の相当濃度は、約6.6細胞/μlおよび0.66細胞/μlであった。希釈されたmRNA試料の5μlを25μlのTaqManワンステップqRT−PCR反応に用いた。各々の近接検出プローブセットについてRT−PCR反応のRaji細胞の相当な総数は、約33細胞および3.3細胞であり、約0.5ngの総RNAおよび0.05ngの総RNAに等しく、約15pg/細胞のRNA濃度であると推測された。TaqMan遺伝子発現アッセイプライマーおよびプローブ(アプライドバイオシステムズ;カタログno.SMAD4:Hs00232068 m1;CCL5:Hs00174575 m1;CSTB:Hs00164368 m1;ADAM9:Hs00177638 m1;RUNX1:Hs00234079 m1)は、1×濃度で用いられ、ワンステップRT−PCR反応は、製造業者のプロトコール(アプライドバイオシステムズ;キットカタログno.4309169;プロトコールカタログno.4310299)に従ってアプライドバイオシステムズのTaqManワンステップRT−PCRマスターミックス試薬キットを用いて行われた。連結混合物に含まれる18S RNAの検出は、対照(18S RNA対照試薬;アプライドバイオシステムズ、カタログno.4308329)として用いられた。最後に、Raji細胞から精製された100ngのRNAは、各々の選択された標的について、正の対照として用いられた。各々の反応は、正の対照を除いて、3点測定で行われ、1つのウェル中でなされた。5つの選択された標的分析物は全て、FAMを用いて検出され、18Sは、VICを用いて検出された。
【0167】
この実験の近接連結アッセイおよびmRNA検出アッセイの結果は下記の通りである。図1は、試験された3つのRaji細胞溶解物濃度での各々の標的分析に対する平均的な閾値サイクル(Ct)を示す。そのデータは、この近接連結アッセイ実験が、投薬量に依存して、首尾よくCSTBを検出したことを示している。
【0168】
図2は、上記で検討されたように、標的mRNAを検出するために用いられたTaqManワンステップqRT−PCR反応の各々についての蛍光における相対的な増加(ΔRn)対サイクルを示す。FAM層だけが図2において検出され、そのため、VICを用いた18S反応は検出できない。そのデータは、TaqManワンステップqRT−PCR反応のほぼ全てが検出可能な増幅産物を生成したことを示した。蛍光における急な相対増加は、相対的にしっかりした増幅が各々の標的mRNAについて達成されたことを示唆する。
【0169】
図3は、反応が行われる96ウェルプレートのウェル位置によって、TaqManワンステップqRT−PCR反応の各々について閾値サイクル(Ct)のプロットを示す。FAM層だけが、図3において検出され、そのため、VICを用いる18S反応は検出できない。反応のウェル位置は下記の通りである。ウェルA1〜A12(図3では1〜12)は、5つのうち4つの標的mRNA(ウェルA1〜A3にはADAM9、ウェルA4〜A6にはCCL5、ウェルA7〜A9にはCSTB、ウェルA10〜A12にはSMAD4)については、より高いRaji細胞相当濃度(1反応当たり33細胞)を用いる3点測定反応を含んだ。ウェルB1〜B6(図3では13〜18)は、RUNX1(ウェルB1〜B3)および対照RNA、18S(ウェルB4〜B6)について最大のRaji細胞相当濃度(1反応当たり33細胞)を用いて3点測定反応を含んだ。ウェルB7〜B12(図3では19〜24)は、各々の選択された標的(ウェルB7〜B11には、それぞれADAM9、CCL5、CSTB、SMAD4、RUNX1)および18S RNA(ウェルB12)を検出するためにRaji細胞から精製したRNAの100ngを用いて、正の対照反応を含んだ。ウェルC1〜C12(図3では25〜36)は、5つの標的mRNAのうち4つ(C1〜C3にはADAM9、ウェルC4〜C6ではCCL5、ウェルC7〜CC9ではCSTB、ウェルC10〜C12ではSMAD4)についてより低いRaji細胞相当濃度(1反応当たり3.3細胞)を用いる3点測定反応を含んだ。ウェルD1〜D6(図3では13〜18)は、RUNX1(ウェルD1〜D3)および対照RNA、18S(ウェルD4〜D6)についてより低いRaji細胞相当濃度(1反応当たり3.3細胞)を用いて3点測定反応を含んだ。これらのデータは、選択された標的の全てに関するmRNAが、1反応当たり33細胞を用いてTaqManワンステップqRT−PCR反応において検出されたことを示す。
【0170】
1反応当たり33細胞が1反応当たり約0.5ngに相当することを想定すれば、正の対照反応は、100ngの精製したRaji RNAを用いた場合、約200×を超えるRNAを含んだ。200×を超えるRNAを用いると、閾値サイクル(ΔCt)の相違は、約7.6であることが期待され、これは、およそ、(ウェル1〜3とウェル19、ウェル4〜6とウェル20、ウェル7〜9とウェル21、ウェル10〜12とウェル22、ウェル13〜15とウェル23と比較して)観察されたものである。測定された平均のΔCtは、ADAM9については6.99、CCL5については6.00、CSTBについては5.21、SMAD4については4.97、RUNX1については3.03であった。
【0171】
図4は、18S RNAを検出するために用いられたTaqManワンステップqRT−PCR反応の各々についての蛍光の相対的増加(ΔRn)対サイクルを示す。VIC層だけが、図4において検出され、それにより、標的mRNA反応は、FAMを用いた場合、検出できない。各々の反応は、正の対照を除いて、3点測定で行われた。このデータは、18S RNAを検出する全てのTaqManワンステップqRT−PCR反応が検出可能な増幅産物を生じたことを示す。蛍光における急な相対増加は、しっかりした増幅が全ての18S RNAについて達成されたことを示唆する。
【0172】
図5は、反応が行われた96ウェルプレートのウェル位置によって、TaqManワンステップqRT−PCR反応の各々について閾値サイクル(Ct)のプロットを示す。VIC層だけが、図3において検出され、それにより、18S反応だけが検出可能である。反応のウェル位置は、図3について上記で検討される通りである。これらのデータは、18S RNAが各々の反応において検出可能であることを示した。
【0173】
(実施例2)
RTを伴う場合および伴わない場合、プロテアーゼ処理を含む場合および含まない場合のmRNA検出
mRNA検出実験は、逆転写酵素(RT)を用いておよび用いないで、反応の18S RNAレベルを測定するために行われた。また、反応は、プロテアーゼ処理を伴う場合および伴わない場合に行われた。RTによるおよびよらない反応を行うことによって、RNA及びゲノムDNAを含む反応と、ゲノムDNAだけを含む反応との間でのΔCtを測定することができる。
【0174】
この実施例では、Raji細胞は、3種類の溶解緩衝液に最終濃度5000細胞/μlで溶解された。第1の緩衝液、緩衝液Naは、10%NDSB−201、50mM Tris 8.0、および1mM EDTAを含んだ;第2の緩衝液、緩衝液Nbは、1% NDSB−201、50mM Tris 8.0、および1mM EDTAを含んだ;第3の緩衝液、緩衝液Ncは、0.1% NDSB−201、50mM Tris 8.0、および1mM EDTAを含んだ。各Raji細胞溶解物の半分は37℃で30分間、streptomyces griseusプロテアーゼ(2.5U/μl)で処理され、次に、75℃で5分間、熱処理された。試料の他の半分は、37℃で30分間インキュベートされ、次に、75℃で5分間、熱処理されたが、プロテアーゼを受けなかった。プロテアーゼ処理された試料は、粘性になったが、未処理の試料は粘性にはならなかった。
【0175】
図6は、各溶解物の10μlのアガロース電気泳動を示す。このゲルは、プロテアーゼ処理された試料がRNAおよびゲノムDNAを放出したが、未処理の試料は放出しなかったことを示す。
【0176】
次に、3つのRaji細胞溶解物(緩衝液Na、緩衝液Nb、および緩衝液Nc中)は、0.1% NDSB−201の濃度に標準化するために、必要に応じて、50mM Tris 8.0、1mM EDTAで希釈された。結果として、希釈された緩衝液Na溶解物は、1μl当たり50細胞を含み、希釈された緩衝液Nb溶解物は、1μl当たり500細胞を含む、緩衝液Nc溶解物は、1μl当たり5000細胞を維持された。5μlの溶解物を各25μlのTaqManワンステップqRT−PCR反応に用いて、18S RNAを検出した。各溶解物(各細胞濃度、プロテアーゼ処理および未処理)は、3点測定でRTの有無により試験された。反応は、ABI PRISM 7700システムを用いて分析された。
【0177】
図7は、その実験の結果を示す。反応のウェル位置は、下記の通りである。ウェルA1〜A12(図7では1〜12)は、プロテアーゼ処理された溶解物:250細胞/反応(ウェルA1〜A3)、2500細胞/反応(ウェルA4〜A6)、25,000細胞/反応(ウェルA7〜A9)、及び鋳型不含対照(「NTC」)(ウェルA10〜A12)を用いて、RTによる反応を含んだ。ウェルB1〜B12(図7では13〜24)は、250細胞/反応(ウェルB1〜B3)、2500細胞/反応(ウェルB4〜B6)、25,000細胞/反応(ウェルB7〜B9)、および鋳型不含対照(「NTC」)(ウェルB10〜B12)を用いて、RTによらない反応を含んだ。ウェルC1〜C9(図7では25〜33)は、プロテアーゼ未処理溶解物:250細胞/反応(ウェルC1〜C3)、2500細胞/反応(ウェルC4〜C6)、および25,000細胞/反応(ウェルC7〜C9)を用いて、RTによる反応を含んだ。ウェルD1〜D9(図7では37〜45)は、プロテアーゼ未処理溶解物:250細胞/反応(ウェルD1〜D3)、2500細胞/反応(ウェルD4〜D6)、および25,000細胞/反応(ウェルD7〜D9)を用いて、RTによる反応を含んだ。
【0178】
これらのデータは、溶解物のプロテアーゼ処理が、18S RNAまたはゲノムDNAのいずれかを検出可能に像フルするためにその実験では必要であることを示した。さらに、TaqManワンステップqRTPCR反応は、(図7のウェル1〜3および13〜15とウェル4〜9および15〜21とを比較して)1反応当たり2500および25,000細胞ではなく、1反応当たり250細胞で18S RNAまたはゲノムDNAを検出するには十分に作用した。最後に、RTを用いた反応(ウェル1〜3)とRTを用いない反応(ウェル13〜15)との間のΔCtは約8.5であった。このΔCtは、18S RNAと18SゲノムDNAの増幅との間のΔCtを表す。2倍体のRaji細胞を確立し、これは、18Sゲノム配列の約540コピー、18S RNAの約1,000,000コピーを含む。したがって、18SゲノムDNAよりも2,000×多くの18S RNAが存在し、結果としてΔCtが約11になると予測される。観察された8.5のΔCtと予測された約11のΔCtとの間の違いは、18S RNA増幅の低効率に起因していた可能性がある。
【0179】
(実施例3)
界面活性剤試験
種々の界面活性剤および疎水性化合物は、アガロースゲルによって測定されるように、Raji細胞の溶解および無傷な核酸の放出におけるそれらの有効性について試験された。下記の化合物を試験した:NMP(シグマ(Sigma))、マルケルニウム(Mackernium)(CJペトロウ(Petrow))、エンピゲン(Empigen)(カルビオケム(Calbiochem))、NDSB−201(カルビオケム)、Zwittergent 3−10(カルビオケム)、Zwittergent 3−14(カルビオケム)、TMACL(シグマ)、DDMAB(カルビオケム)、CAPSO(シグマ)、CHAPS(カルビオケム)、LDAO(カルビオケム)、ザルコシル(Sarkosyl)(シグマ)、CTAB(カルビオケム)、DEDTAB(フルカ)、DLS(シグマ)、およびDTAB(シグマ)。各々の化合物は1μl当たり50,000Raji細胞で、50mM Tris、pH8.0、1mM EDTAを含む緩衝液において0.5%で溶解について試験された。
【0180】
溶解物に含まれる核酸のアガロースゲル電気泳動の例示的な結果を図8に示す。上段レーンは、それぞれ、NMP、マルケルニウム、エンピゲン、NDSB−201、Zwittergent 3−10、Zwittergent 3−14、TMACL、およびDDMABを用いた溶解物である。下段レーンは、それぞれ、CAPSO、CHAPS、LDAO、ザルコシル、CTAB、DEDTAB、DLS、およびDTABを用いた溶解物である。この実験から、NMP、エンピゲン、NDSB−201、Zwittergent 3−10、Zwittergent 3−14、DDMAB、CAPSO、CHAPS、LDAO、CTAB、DEDTAB、およびDTABは、本明細書に記載されている方法における使用のための可能性のある候補対象として特定された。
【0181】
さらに、スクリーニング試験は、各々の化合物を用いた溶解物が加熱後のアガロースゲル上に無傷なリボソームRNAバンドを含むかどうか、これらの化合物が0.1%の濃度でTaqManワンステップqRTPCR反応と適合され得るかどうかを測定するために行われた。(データを示さず。)これらの実験に続いて、NDSB−201(非界面活性剤スルホベタイン−201;3−(1−ピリジノ)−1−プロパンスルホネート)、LDAO(ラウリルジメチルアミンオキシド)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、およびCHAPS([3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート])が更なるスクリーニングのために選択された。また、近接連結アッセイの阻害を調べる実験は、DEDTAB(ドデシルエチルジメチルアンモニウムブロミド)およびZwittergent 3−10(n−デシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート)も記載されている方法における使用のための候補対象であることを示唆した。(データを示さず。)
4つの化合物全ては、ELISAアッセイにおける適合性について試験され、抗原/抗体相互作用が保存されることを示唆した。4つの化合物全てが、標的としてVEGFを用いたサンドイッチELISAアッセイにおいて少なくとも部分的な適合性を示した。(データ示さず。)第2のELISA実験は、NDSB−201、LDAO、およびCAPSOを用い、PBSを標準として含み、100pg/ml VEGF、およびR&DシステムズVEGF ELISAキットおよびELISAプレートリーダーを用いて行われた。その実験では、CAPSOおよびLDAOは、適合性のあるバックグラウンド読み取りを示し、BSAに対する適合性のある試料読み取りを示した。また、NDSB−201は、適合性のあるバックグラウンド読み取りを示したが、BSAに対するより高い試料読み取りを示した。(データを示さず。)
別の実験では、Raji細胞溶解物は、2% NDSB−201または5mM CAPSOのいずれかで生じさせた。次に、各々の溶解物を1:5および1:10に希釈し、この溶解物および溶解希釈物は、37℃で30分間、続く50℃で5分間のインキュベーション中のリボソームRNAのRNase分解を阻害するそれらの能力について評価された。結果を図9に示す。RNAは、試験された試料の全てにおいて分解されないままであるようである。LDAOは、長期のインキュベーションに対するRNA保存に効果が弱いことが見出された。(データを示さず。)
NDSB−201は、関連化合物の大きなファミリーのメンバーであり、NDSB−195、−211、−221、−256および−256−Hが含まれる。例えば、カルビオケムカタログを参照されたい。これらの化合物の各々は、Raji細胞の溶解およびRNAの保存についてスクリーニングされた。NDSB−201が、それらの実験において試験された化合物のうちで最も良好に機能した。(データを示さず。)
(実施例4)
追加の試薬試験
近接連結アッセイは、緩衝液NのRaji細胞溶解物の種々の希釈物を用いて行われた。緩衝液Nで1μl当たり50,000細胞のRaji細胞溶解物から開始して、緩衝液Dでの1:5、1:10、1:50、および1:100倍の希釈物をVEGFを検出するために近接連結アッセイに用いた。アッセイは、実施例1において上記で検討されるように行われた。結果を図10に示す。この実験では、2μlの結合反応において1,000細胞をもたらす溶解物の1:50の希釈物は、最も良好な結果(即ち、最も低い平均の閾値サイクル)を示した。
【0182】
緩衝液NのRaji細胞溶解物に含まれるRNAの安定性を測定するために実験を行った。8μlの溶解物(1μl当たり50,000細胞)は、1μlの抗RNAse阻害剤(ストックは22u/μl、アンビオン(Ambion);カタログno.2690)の有無により、0、1、または4時間、37℃でインキュベートされた。インキュベーション後、0.5% SDSおよび2μg/μlのプロテイナーゼK(アンビオン;カタログno.2546)を含む32μlの溶液を55℃で30分間インキュベートした。次に、2×グリセロールローディング緩衝液(2×GLB;50%グリセロール、0.5×TBE、ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノール色素を含む)の40μlを各々の溶解物に添加した。次に、この溶解物の16μlを1.4%アガロースゲル上に装填した。結果を図11に示す。この実験では、RNAは、試験された全ての条件下でRaji溶解物において安定であった。Rnase阻害剤は、この実験ではRNAの保存には必要ではなかった。
【0183】
次に、Tween−20の効果は、前段に記載されているアッセイに類似したRNA安定性アッセイにおいて試験された。この実験では、Raji細胞溶解物は、1μl当たり50,000細胞で、上述される緩衝液Na(10% NDSB−201)、緩衝液Nb(1% NDSB−201)、および緩衝液Nc(0.1% NDSB−201)に調製された。8μlの溶解物は、20% Tween−20の0.2μl(溶解物中の最終濃度、0.5%)を含むまたは含まないで、4時間、37℃でインキュベートされた。インキュベーション後、0.5%SDSおよび2μg/μlのプロテイナーゼKを含む溶液32μlを添加し、溶解物を55℃で30分間インキュベートした。次に、40μlの2×GLBを各々の溶解物に添加した。その後、16μlの溶解物を1.4%のアガロースゲル上に装填した。結果を図12に示す。RNAは、NDSB−201だけを含む試料の各々において相対的に安定であったが、しかしながら、RNAは、Tween−20も含む全ての試料において安定性が低かった。したがって、Tween−20は、この実験での使用にはあまり適切ではないようである。
【0184】
次に、緩衝液Nは、RNase A活性を阻害する能力について試験された。1mg/mlストックのRnase A(アンビオン;カタログno.2270)は、50mM Tris pH8.0、1mM EDTA、および0.5μg/μl BSAで作製された。10μl(500ng)の精製されたRaji細胞RNA(ストックは、50ng/μlである;アプライドバイオシステムズのTaqMan対照総RNA(ヒト)、カタログno.4307281)は、緩衝液Nまたは50mM Tris、5mM EDTA pH8.0のいずれかで、RNase Aストックの1:100,000、1:1,000,000、1:10,000,000倍希釈物5μlと混合された。反応物は、10分間、37℃でインキュベートされた。次に、1μlの抗RNase阻害剤(ストックは22u/μlである;アンビオン)および4μlの5×RNAローディング緩衝液(アンビオン;カタログno.8556;10×ストックを5×として用いた)を添加し、16μlの反応物を1.4%アガロースゲル上に装填した。結果を図13に示す。その実験では、RNase活性は、緩衝液Nを含む反応物、並びにTris/EDTAを含む反応物において同じであり、緩衝液NがRNase A活性を阻害しないことを示唆した。しかしながら、緩衝液Nで作製された溶解物に含まれるRNAの安定性に基づいて、緩衝液Nは、RNase Aの阻害以外にメカニズムを通じてRNAを安定にする場合がある。
【0185】
図14は、種々の処理条件下で緩衝液Nを用いて作製されたRaji細胞溶解物においてタンパク質安定性を示す。種々の条件下で緩衝液Nで作製された10μl溶解物(1μl当たり50,000細胞)を4時間、37℃でインキュベートした。10%SDS−アクリルアミドゲル上に装填する前に、溶解物を1×ノバジェン(Novagen)SDS変性ゲルローディング緩衝液(ノバジェン;カタログno.70607)において95℃で5分間処理した。1.5μlの溶解物を各々のレーンに装填した。ゲルは、ピアスゲルコードステイン(ピアスケミカル;カタログno.24590)を用いて一晩染色された。その実験では、Raji細胞タンパク質は、少なくとも4時間、37℃でインキュベートした場合を含む多数の条件下で緩衝液Nにおいて安定であった。
【0186】
(実施例5)
プロテアーゼ試験
実験は、実施例1で検討された近接連結アッセイおよびmRNA検出アッセイにおいて種々のプロテアーゼの安定を測定するために行われた。プロテアーゼの選択に考慮された特徴には、プロテアーゼが熱により不活性化され得るかどうか、プロテアーゼが活性に金属イオンを要求するかどうか、プロテアーゼがSDSなどの界面活性剤を必要とするかどうか、プロテアーゼ消化がRNAを分解するかどうか、プロテアーゼがRNAを十分に遊離するかどうかが含まれる。
【0187】
下記のプロテアーゼをスクリーニングした:ペプシン(シグマ)、コラゲナーゼ(シグマ)、粗I型プロテアーゼ(ウシ膵臓由来)(シグマ)、プロテアーゼ−subtilisin carlsberg(シグマ)、X型プロテアーゼ−bacillus thermoproteolyticus(カルビオケム)、XIII型プロテアーゼ−aspergillus saitoi(シグマ)、XXI型プロテアーゼ−streptomyces griseus(フルカ)、およびプロテイナーゼK(アンビオン)。各々のアッセイについて、PBSに含まれるRaji細胞の2μlの懸濁液(1μl当たり50,000細胞)を8μlの緩衝液Na(10%NDSB−201を含む)と混合して、細胞を溶解する。約20mg/mlのプロテアーゼの4μlをRaji細胞溶解物に添加し、混合物を37℃で30分間インキュベートした。30分後、溶解物の粘度を調べた。Subtilisin carlsbergプロテアーゼ、streptomyces griseusプロテアーゼ、およびプロテイナーゼKの全てが溶解物を引き起し、粘性になった。また、ウシ膵臓の粗プロテアーゼは溶解物を引き起し、僅かに粘性になった。残りのプロテアーゼは、溶解物の粘性を有意に増加させなかった。
【0188】
次に、溶解物を1.4%アガロースゲル上で流し、プロテアーゼがRNAおよびDNAを放出するかどうか、プロテアーゼがRNAおよびDNAの分解を引き起こすかどうかを測定した。図15は、その実験の結果を示す。データは、subtilisin carlsbergプロテアーゼ、streptomyces griseusプロテアーゼ、およびプロテイナーゼKが、その実験において、溶解物にRNAおよびDNAを最も効果的に放出することを示す。ウシ膵臓の粗プロテアーゼは、その実験では、RNAではなく、DNAを放出するようであった。コラゲナーゼは、その実験では、DNAおよび/またはRNAの分解を引き起こし得たようである。
【0189】
第2のプロテアーゼスクリーニングは、2種類の溶解緩衝液に溶解させたRaji細胞を用いて行われた。第1の溶解緩衝液は、緩衝液Naプラス0.2% LDAOであった。第2の調合物は、緩衝液Ncであった。PBSに含まれるRaji細胞の5μl(50,000細胞/μl)を5μlの2×溶解緩衝液と混合し、室温で15分間インキュベートした。4μlの約20mg/mlのプロテアーゼをRaji細胞溶解物に添加し、混合物を37℃で30分間インキュベートした。次に、5μlの50mM EDTAを添加し、溶解物を75℃で5分間インキュベートした。5μlのGLBを添加し、試料を1.4%アガロースゲル上で泳動した。下記のプロテアーゼをその実験で試験した:ペプシン、コラゲナーゼ、プロテアーゼ−subtilisin carlsberg、X型プロテアーゼ−bacillus thermoproteolyticus、XIII型プロテアーゼ−aspergillus saitoi、XXI型プロテアーゼ−streptomyces griseus、およびプロテイナーゼK。
【0190】
その実験の結果を図16および17に示す。図16は、0.2% LDAOを含む緩衝液Naを用いた結果を示し、図17は、緩衝液Ncを用いた結果を示す。緩衝液を含むNDSB−201へのLDAOの添加は、その実験では、プロテアーゼによる消化中にRNAの安定性を増加させなかった(図16を参照されたい)。
【0191】
開示された技術は、種々の用途、方法、および組み合わせと比較して記載されてはいるが、種々の変更および修飾は本明細書に記載される技術から逸脱することなしになされ得ることは承認される。前述の実施例は、本技術をより良く例証するために提供され、本明細書に記載される技術の範囲を限定することは意図しない。本技術のある種の局面は、さらに、下記の特許請求の範囲に照らして理解され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞において、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、
a)該細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解させて、細胞溶解物を生成する工程;
b)近接検出アッセイを用いて、該細胞溶解物内の少なくとも1つの標的分析物を検出する工程;
c)定量的核酸検出アッセイを用いて、該細胞溶解物内の少なくとも1つの標的核酸を検出する工程
を含み、ここで、(b)および(c)は同一の容器で行われる、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの標的分析物が、タンパク質、ペプチド、炭水化物、およびホルモンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの標的分析物が、タンパク質である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記近接検出アッセイが、
a)第1の近接検出プローブと第2の近接検出プローブとの間の相互作用を可能にする条件下で、該第1の近接検出プローブおよび該第2の近接検出プローブとともに前記細胞溶解物をインキュベートする工程;
b)該第1の近接検出プローブと該第2の近接検出プローブとの間の相互作用を検出する工程、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の近接検出プローブが、第1のオリゴヌクレオチド部分および第1の分析物結合部分を含み、ここで、前記第2の近接検出プローブが、第2のオリゴヌクレオチド部分および第2の分析物結合部分を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の分析物結合部分および前記第2の分析物結合部分が、同一の標的分析物に結合することができる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の分析物結合部分および前記第2の分析物結合部分が、異なった標的分析物に結合することができる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の近接検出プローブと前記第2の近接検出プローブとの間の相互作用が、前記第1のオリゴヌクレオチド部分と前記第2のオリゴヌクレオチド部分との間のハイブリダイゼーション、該第1のオリゴヌクレオチド部分と該第2のオリゴヌクレオチド部分との連結から選択される少なくとも1つの方法を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の近接検出プローブと前記第2の近接検出プローブとの間の相互作用が、前記第1のオリゴヌクレオチド部分と前記第2のオリゴヌクレオチド部分との連結を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記インキュベートする工程が、少なくとも1つのスプリント(splint)オリゴヌクレオチドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの標的核酸が、少なくとも1つのmRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記定量的核酸検出アッセイが、逆転写およびリアルタイムPCRを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの標的核酸のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの標的分析物のうち少なくとも1つをコードしている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記多機能性溶解緩衝液が、NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記多機能性溶解緩衝液が、NDSB−201を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの標的分析物を検出する工程が第1のリアルタイムPCR反応を含み、前記少なくとも1つの標的核酸を検出する工程が第2のリアルタイムPCR反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
細胞において、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、
a)該細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解させて、細胞溶解物を生成する工程;
b)該細胞溶解物を
i)少なくとも1つの近接検出プローブセットであって、ここで、各々の近接検出プローブセットは、少なくとも2つの近接検出プローブを含み、各々の近接検出プローブは、少なくとも1つの分析物結合部分および少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分を含む、近接検出プローブセット;と
ii)少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチド;と
iii)少なくとも1つのリガーゼ
とともにインキュベートし、少なくとも1つの連結された近接検出プローブセットを形成する工程;
c)該細胞溶解物を少なくとも1つのプロテアーゼとともにインキュベートする工程;
d)該少なくとも1つの連結された近接検出プローブセットを検出する工程;ならびに
e)少なくとも1つの標的核酸を検出する工程
を含む、方法。
【請求項18】
少なくとも1つの標的分析物が、タンパク質である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(d)および(e)が同一の容器で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
細胞において、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、
a)該細胞を多官能性溶解緩衝液に溶解させて、細胞溶解物を生成する工程;
b)該細胞溶解物を少なくとも1つの近接検出プローブセットとともにインキュベートし、少なくとも1つのハイブリダイズされた近接検出プローブセットを形成する工程であって、ここで、各々の近接検出プローブセットは、少なくとも2つの近接検出プローブを含み、各々の近接検出プローブは少なくとも1つの分析物結合部分および少なくとも1つのオリゴヌクレオチド部分を含む、工程;
c)該細胞溶解物を少なくとも1つのプロテアーゼとともにインキュベートする工程;
d)該少なくとも1つのハイブリダイズされた近接検出プローブセットを検出する工程;
e)少なくとも1つの標的核酸を検出する工程、
を含む、方法。
【請求項21】
少なくとも1つの標的分析物が、タンパク質である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(d)および(e)が同一の容器で行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記(b)におけるインキュベートする工程が、少なくとも1つのスプリントオリゴヌクレオチドを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む多官能性溶解緩衝液。
【請求項25】
NDSB−201を含む、請求項24に記載の多官能性溶解緩衝液。
【請求項26】
少なくとも1つの化学物質が、0.05%〜5%の濃度で存在する、請求項24に記載の多官能性溶解緩衝液。
【請求項27】
NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質を含む少なくとも1つの多官能性溶解緩衝液を含む、少なくとも1つの標的分析物および少なくとも1つの標的核酸を検出するためのキット。
【請求項28】
前記キットが、少なくとも1つのリガーゼを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記キットが、少なくとも1つの近接検出プローブセットを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項30】
前記キットが、少なくとも1つのプロテアーゼを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項31】
前記キットが、少なくとも1つのプライマー、少なくとも1つの検出プローブ、および少なくとも1つのポリメラーゼを含む、請求項27に記載のキット。
【請求項32】
NDSB−201、LDAO、CHAPS、DEDTAB、Zwittergent 3−10、およびCAPSOから選択される少なくとも1つの化学物質、および少なくとも1つの近接検出プローブセットを含む多官能性溶解緩衝液を含む溶解物を含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−545317(P2009−545317A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522862(P2009−522862)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/017187
【国際公開番号】WO2008/016644
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】