説明

分析物の検出のための、抗体の代替抗原系の使用

蛋白質を標識するための組成物、方法およびキット、ならびに分析物を検出し、定量し、および/または特徴付けるためのレポーター系における使用。目的の蛋白質を特異的に標識するのに有用な標識分子がここに提供される。蛋白質は目的の分析物の結合部位近くで標識される。標識分子は、典型的には、反応性部分、標識部分、標的部分、および切断可能な連結基を含む。反応性部分は、それが標識部分を蛋白質に結合することができるように選択される。いくつかの具体例において、反応性部分は、目的の分析物の結合部位の近くに位置する蛋白質上の官能基とで共有結合を形成することができる架橋基を含む。いくつかの具体例において反応性部分は、外部エネルギー源による活性化に際して、蛋白質上の官能基とで共有結合を形成することができる光反応性基を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.関連出願への相互参照)
本出願は、米国特許法§119(e)のもと、2005年3月15日に出願された出願番号60/662,412(この内容は、参考として本明細書に援用される)に対する利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(2.背景)
レポーター系を用いるアッセイは、生物学的および産業的プロセスにおいて分析物を研究し、および検出するための重要なツールである。多数のアプローチが分析物をアッセイするために開発されているが、広く種々の分析物を特異的にかつ便宜に検出し、特徴付けるのに用いることができる新しいアッセイの設計を見出す必要性が依然として存在する。蛋白質ベースのレポーター系の開発は生物学的分析物の検出の分野をかなり進めた。これらの進行にも拘わらず、蛋白質の非特異的標識。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(3.要旨)
1つの態様において、目的の蛋白質を特異的に標識するのに有用な標識分子がここに提供される。蛋白質は目的の分析物の結合部位近くで標識される。標識分子は、典型的には、反応性部分、標識部分、標的部分、および切断可能な連結基を含む。反応性部分は、それが標識部分を蛋白質に結合することができるように選択される。いくつかの具体例において、反応性部分は、目的の分析物の結合部位の近くに位置する蛋白質上の官能基とで共有結合を形成することができる架橋基を含む。いくつかの具体例において反応性部分は、外部エネルギー源による活性化に際して、蛋白質上の官能基とで共有結合を形成することができる光反応性基を含む。
【0004】
標識部分は、本明細書中に記載される種々の組成物および方法に従って操作できるいずれの蛍光体でもあり得る。いくつかの具体例において、蛍光部分は少なくとも1つの蛍光色素を含む。いくつかの具体例において、蛍光部分は少なくとも1つのローダミン色素を含む。いくつかの具体例において、蛍光部分は、例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(「FRET」)によるような、相互に対して協同可能に作用することができる2以上の蛍光色素を含む。
【0005】
いくつかの具体例において、標識部分は消光部分とすることができる。消光部分は、それが、例えば、軌道重複(基底状態の暗い複合体の形成)、衝突消光、FRET、またはもうひとつのメカニズム、あるいはメカニズムの組合せによるようにそれに対して近接している場合に、シグナル分子の蛍光部分の蛍光を消光することができるいずれの部分とすることもできる。消光部分はそれ自体を蛍光性とすることができ、あるいはそれは非−蛍光性とすることができる。いくつかの具体例において、消光部分は、それに対して近接した場合に、それが蛍光部分の蛍光を消光するように、シグナル分子の蛍光部分と構造的な関係を有する蛍光色素を含む。そのような具体例において、蛍光部分のそれから分解可能な波長において蛍光を発する消光部分の選択は、蛍光シグナルはそれに対して参照できる内部シグナル標準を供することができる。
【0006】
標的部分は、標識すべき蛋白質へ標識分子を結合させることができる。標的部分は、標識すべき蛋白質上の特定の位置へ結合することができるいずれの有機または無機分子を含むこともできる。標的部分を含むことができる分子の非限定的例は、抗原、分析物、酵素基質、蛋白質、炭水化物、多糖、糖蛋白質、ホルモン、ウイルス、代謝産物、転移状態アナログ、補因子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、阻害剤、薬物、栄養素、電解質、成長因子および他の生体分子、ならびに標識すべき蛋白質に結合することができる非−生体分子を含む。
【0007】
切断可能な連結基は標的部分を標識部分に連結させる。切断可能な連結基は少なくとも1つの切断可能な部分および1以上の所望のリンカー部分を含む。切断可能な部分は、切断されて、標的部分の蛋白質からの脱離を可能とすることができる少なくとも1つの官能基を含む。任意のリンカー部分は特定の特性を有するように選択することができる。例えば、リンカー部分は、適用に依存して、特性が疎水性または親水性、長いまたは短い、剛直、半剛直またはフレキシブルであり得る。いくつかの具体例において、リンカー部分は、標識分子の溶解性を増加させるように選択される。他の具体例において、リンカー部分は、特定の長さの切断可能な連結基を供するように選択される。
【0008】
蛋白質は、分析物結合部位に近接して特異的に標識でき、他の位置において実質的に標識できないいずれの蛋白質とすることもできる。適当な蛋白質の例は、限定されるものではないが、抗体、酵素、シグナル形質導入蛋白質および受容体を含む。
【0009】
標識された蛋白質は、該蛋白質を、標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結部分を含む標識分子と接触させることによって作製することができる。標的部分、標識部分、および反応性部分は、該標的部分が蛋白質に結合でき、かつ反応性部分が標識分子を蛋白質に連結させることができるように相互に連結される。反応性部分を活性化することができる剤は、反応性部分および蛋白質の間の共有結合が形成されるように加えられる。標的部分は、切断可能な連結基の切断を誘導することによって除去することができる。得られた標識蛋白質をアッセイで用いて、目的の分析物を検出することができる。
【0010】
もう1つの態様において、目的の分析物、すなわち、標的分析物の存在または不存在を検出するのに有用な分析物レポーター系が本明細書中で提供される。分析物レポーター系は標識された蛋白質および標識された代替分析物を含む。標識された蛋白質は標識された代替分析物と接触させて、代替分析物−標識蛋白質複合体を形成することができる。いくつかの具体例において、蛋白質は、標的分析物による代替分析物の変位に際して、蛍光部分の蛍光の増加を検出できるように、蛍光部分を含む。
【0011】
いくつかの具体例において、標識された蛋白質の蛍光は、代替分析物を蛋白質に結合した場合には消光される。この消光は、種々の異なるメカニズムによって達成することができる。いくつかの具体例において、蛋白質および代替分析物は、相互に近接した場合に、「自己―消光」することができる蛍光部分を含む。他の具体例において、消光は、消光部分の助けを借りて達成することができる。
【0012】
いくつかの具体例において、代替分析物および標識された蛋白質はナノカプセル、リポソーム、ミクロ粒子、脂質粒子、小胞などにカプセル化することができる。いくつかの具体例において、代替分析物および標識された蛋白質をカプセル化するのに用いる粒子を含む膜の多孔度は、代替分析物−標識蛋白質複合体を保持し、同時に、標的分析物の通過を可能とするように選択される。かくして、粒子膜の多孔度は、それが、直径が0.5nmないし5.0nm以下であるエレメントの通過を可能とするようなものである。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は5.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は2.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は1.5nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は1.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は0.5nm以下またはそれと同等である。
【0013】
また、本教示の方法を行うためのキットが提供される。例えば、いくつかの具体例において、キットは標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基を含む標識分子を含む。他の具体例において、キットは、標的分析物の存在を検出するのに有用な代替分析物−蛋白質複合体を含む。なお、他の具体例において、キットはカプセル化された代替分析物−蛋白質複合体を含む。本教示のこれらおよび他の特徴は以下に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(4.詳細な説明)
これまでの一般的な記載および以下の記載双方は例示的かつ説明的にすぎず、本明細書中に記載された組成物および方法を限定するものではないと理解されるべきである。本出願においては、単数の使用は特に断りのない限り複数を含む。また、「または」の使用は特に断りのない限り「および/または」を意味する。同様に、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、および「包含している」は限定的なことを意図しない。
【0015】
(4.2定義)
本明細書中で用いるように、以下の用語およびフレーズは以下の意味を有することを意図する。
【0016】
「抗体」はその標準的な意味を有し、当業者に知られているように、全長、ならびに全抗体の修飾によって生産された、または組換えDNA技術を用いてデ・ノボ合成されたのいずれかである、Fab,Fab、単一鎖抗体(例えば、Fv),モノクローナル、ポリクローナル、キメラ抗体などをいうことを意図する。
【0017】
「検出する」および「検出」はそれらの標準的な意味を有し、分析物の検出、測定、および特徴付けを含むことを意図する。
【0018】
「蛋白質」はその標準的な意味を有し、天然に生じないアミノ酸およびアミノ酸アナログを含有する蛋白質、およびペプチドミメティック構造を含めた蛋白質、オリゴペプチドおよびペプチド、誘導体およびアナログをいい、組換え技術を用いて、すなわち、組換え核酸の発現を介して作製される蛋白質を含む。
【0019】
「消光する」はその標準的な意味を有し、低下が達成されるメカニズムに拘わらず、特定の波長で測定された蛍光基または部分の蛍光強度の低下をいうことを意図する。具体的な例として、消光は分子衝突、FRETのようなエネルギー移動、PETのような光誘導電子移動、および蛍光基または部分あるいはいずれかの他のメカニズム(またはメカニズムの組合せ)の蛍光スペクトル(色)の変化によるものであり得る。低下の量は臨界的ではなく、広い範囲にわたって変化し得る。唯一の要件は、低下が用いられる検出系によって検出可能であることである。かくして、もし特定の波長におけるその強度がいずれかの測定可能な量だけ低下するならば、蛍光シグナルは「消光されている」。もし特定の波長におけるその強度が少なくとも50%だけ、例えば、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%さえだけ低下するならば、蛍光シグナルは「実質的に消光」されている。
【0020】
(4.3標識分子)
本明細書中において提供されるのは、とりわけ、蛋白質を特異的に標識するのに有用な組成物である。該組成物は、一般には、標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基を含む標識分子を含む。標的部分は、標識分子を目的の蛋白質に結合させることができる。反応性部分は標識分子を蛋白質に連結することができる。切断可能な連結基は、標的部分が標識分子から放出されるように切断できる。標識分子は目的のいずれかの蛋白質を実質的に標識するように設計することができ、但し、蛋白質は標的部分に結合することができる少なくとも1つの結合ドメインを含むものとする。標識することができる適当な蛋白質の非限定的例は、限定されるものではないが、抗体、酵素、シグナル変換蛋白質、受容体、ならびに前記した全ての断片を含む。
【0021】
標識分子は、目的の蛋白質を特異的に標識するのに有用であり、典型的には、標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基を含む。
【0022】
(4.3.1標的部分)
いくつかの具体例において、標識分子は1以上の標的部分を含む。標的部分は、標識すべき蛋白質に標識分子を結合させることができる。具体例において、2以上の標的部分を用い、各標的部分が同一とすることができ、あるいは標的部分のいくつかまたは全ては異なってもよい。標的部分は、標識すべき蛋白質に結合させることができ、かつ切断可能標的を含有することができるいずれかの有機または無機分子を含むことができる。標的部分を含むことができる分子の非限定的例は、抗原、分析物、酵素基質、蛋白質、炭水化物、多糖、糖蛋白質、ホルモン、ウイルス、代謝産物、転移状態アナログ、補因子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、阻害剤、薬物、栄養素、成長因子、および他の生体分子、ならびに標識すべき蛋白質に結合することができ、かつ切断可能連結基を含むことができる非−生体分子を含む。
【0023】
標的部分および蛋白質の間の結合の特異性および強度は、部分的には、弱い非共有結合、水素結合、イオン相互作用、ファン・デル・ワールス引力および好都合な疎水性相互作用を含めた多数の相互作用に依存する。「標的結合部位」と本明細書中ではいう、標的部分に結合する蛋白質の領域は、通常、アミノ酸の特定の配列によって形成された蛋白質表面におけるキャビティよりなる。これらのアミノ酸は、蛋白質が折畳まれた場合に一緒になるポリペプチド鎖の異なる部分に属することができる。蛋白質表面の別々の領域は、異なる標的に対する結合部位を提供することができる。
【0024】
それによっていずれかの2つの分子が相互に結合する強度は直接的に測定することができる。例えば、解離定数Kを用いて、標的部分に対する蛋白質の親和性を表すことができる。いくつかの具体例において、標的部分および蛋白質は約10−6以下のKを有することができる。いくつかの具体例において、解離定数は約10−7以下であり得る。いくつかの具体例において、解離定数は約10−8以下であり得る。いくつかの具体例において、解離定数は約10−9以下であり得る。いくつかの具体例において、解離定数は約
10−10以下であり得る。いくつかの具体例において、解離定数は約10−11以下であり得る。
【0025】
標的部分の組成は、部分的には、検出すべき分析物の構造に、標的分析物を検出するのに用いられる蛋白質に、および標識すべき蛋白質に依存し得る。例えば、もし標識すべき蛋白質が抗体であれば、標的部分は抗体によって認識される少なくとも1つのエピトープを含む抗原を含む。本明細書中で用いるように、用語「抗原」とは、脊椎動物において特異的抗体の合成を誘導することができる剤をいう。本明細書中で用いるように、「エピトープ」とは、抗原決定基、例えば、特異的抗体が結合する抗原内の特定の化学基または複数の化学基をいう。
【0026】
いくつかの具体例において、標的部分はcAMPに対するエピトープを含む抗原を含む。
【0027】
いくつかの具体例において、酵素は、例えば、酵素基質を含む標的部分、酵素に結合することができる酵素基質の部分、補因子、転移状態アナログ、または薬物のような小分子を用いて標識することができる。標的部分はいずれの位置においても酵素に結合することができ、但し、標識部分は活性部分に近接して位置するが、活性部分における基質の結合に干渉せず、および分析物は同一の活性部分に結合するものとする。
【0028】
いくつかの具体例において、標識すべき蛋白質は受容体であり得る。これらの具体例において、標的部分はリガンド、受容体に結合できるリガンドの部分、または小分子を含むことができる。標的部分はいずれの位置における受容体にも結合することができ、但し、標識部分はリガンド結合部位に近接して位置するが、受容体によるリガンドの結合に干渉しないものとする。
【0029】
いくつかの具体例において、標識すべき蛋白質はシグナル変換蛋白質であり得る。これらの具体例において、標的部分はリガンド、受容体に結合することができるリガンドの蛋白質、またはシグナル変換経路に関与する小分子を含むことができる。標的部分はいずれの位置におけるシグナル変換蛋白質に結合することもができるが、標識部分はリガンド結合部位に近接して位置するが、シグナル変換蛋白質によるリガンドの結合に干渉しないものとする。
【0030】
いくつかの具体例において、標的部分はcAMPを含み、標識すべき蛋白質はcAMP抗体を含む。
【0031】
(4.3.2標識部分)
いくつかの具体例において、標識分子は1以上の標識部分を含む。2以上の標識部分を使用する具体例において、各標識部分は同一とすることができ、または標識部分のいくつかまたは全てが異なってよい。
【0032】
いくつかの具体例において、標識部分は蛍光部分を含む。蛍光部分は蛍光シグナルを提供し、かつ本明細書中に記載された方法および原理に従って用いることができるいずれの存在も含むことができる。典型的には、標識分子の蛍光部分は蛍光色素を含み、該色素は、今度は、第一の波長において光を吸収し、吸収事象に応答して第二の波長において蛍光を発する共鳴―非局所化系または芳香族環系を含む。広く種々のそのような蛍光色素分子は当該分野で知られている。例えば、蛍光色素は、キサンテン、ローダミン、フルオレセイン、シアニン、フタロシアニン、スクワレイン、ボディピィ色素、クマリン、オキサジンおよびカルボピロニンのような蛍光化合物の種々のクラスのいずれかから選択することができる。
【0033】
いくつかの具体例において、蛍光部分はキサンテン色素を含む。一般には、キサンテン色素は3つの主な特徴:(1)親キサンテン環;(2)環外ヒドロキシルまたはアミン置換基;(3)環外オキソまたはイミニウム置換基によって特徴付けられる。環外置換基は、典型的には、親キサンテン環のC3およびC6炭素に位置するが、親キサンテン環がC5/C6およびC3/C4炭素いずれかまたは双方に融合したベンゾ基を含む「拡大された」キサンテンも知られている。これらの拡大されたキサンテンにおいて、特徴的な環外置換基は拡大されたキサンテン環の対応する位置に位置する。かくして、本明細書中においては、「キサンテン色素」は、一般には、以下の親環:
【0034】
【化2】

のうちの1つを含む。
【0035】
先に示した親環においては、AはOHまたはNHであって、AはOまたはNHである。AがOHであって、AがOである場合、親環はフルオレセイン―タイプのキサンテン環である。AがNHであって、AがNHである場合、親環はローダミン―タイプのキサンテン環である。AがNHであって、AがOである場合、親環はロドール―タイプのキサンテン環である。
【0036】
(存在する場合)AおよびAの窒素の一方または双方および/または位置C1、C2、C2”、C4、C4”、C5、C5”、C7”、C7およびC8における炭素原子の1以上は、独立して、広く種々の同一または異なる置換基で置換することができる。1つの具体例において、典型的な置換基は、限定されたものではないが、―X、−R、−OR、−SR、−NR、ペルハロ(C−C)アルキル、―CX、―CF、−CN、−OCN、−SCN、NCO、−NCS、−NO、−NO、−N、−S(O)、−S(O)OH,−S(O)、−C(O)R、−C(O)X、−C(S)R、−C(S)X、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NR、−C(S)NRおよび−C(NR)NRを含み、ここに、各Xは、独立して、ハロゲン(好ましくは、−Fまたは―Cl)であり、各Rは、独立して、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルカニル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C26)アリールアルキル、(C−C20)アリールアリール、5ないし20員ヘテロアリール、6ないし26員のヘテロアリールアルキル、5ないし20員のヘテロアリール―ヘテロアリール、カルボキシル、アセチル、スルホニル、スルフェニル、スルホン、ホスフェート、またはホスホネートである。一般に、親環の蛍光を完全に消光する傾向がない置換基が好ましいが、いくつかの具体例において、消光置換基が望ましいであろう。親キサンテン環の蛍光を消光する傾向がある置換基は―NO、―BrおよびーI、のような重い原子、および/またはNOのような他の機能的部分を含む。
【0037】
C1およびC2置換基および/またはC7C8置換基は一緒になって、置換されたまたは置換されていないブタ[1、3]ジエノまたは(C−C20)アリーレノブリッジを形成することができる。説明目的、C1/C2およびC7/C8炭素に融合した置換されていないベンゾブリッジを含めた例示的な親キサンテン環を以下に示す。
【0038】
【化3】

ベンゾまたはアリーレノブリッジは、構造式(Ia)ないし(Ic)、supraにおいて炭素C1−C8について前記にてすでに記載された置換基のような種々の異なる置換基群1以上の位置が置換されていてもよい。複数の置換基を含む具体例において、置換基は全て同一であってよく、あるいは置換基のいくつか、または全ては互いに異なり得る。
【0039】
がNHでありおよび/またはAがNHである場合、窒素原子を、隣接炭素原子を含む1または2のブリッジに含めてもよい。ブリッジ基は同一または異なってもよく、典型的には(C−C12)アルキルジイル、(C−C12)アルキレノ、2ないし12員ヘテロアルキルジイルおよび/または2ないし12員ヘテロアルキレノブリッジより選択される。環外窒素を含むブリッジを含む非限定的な例示的親環を以下に示す。:
【0040】
【化4】

親環は、C9位置において置換基を含んでもよい。いくつかの具体例において、C9置換基はアセチレン、低級(例えば、1ないし6個の炭素原子)アルカニル、低級アルケニル、シアノ、アリール、フェニル、ヘテロアリール、および前記基のいずれかの置換された形態から選択される。親環が、例えば、先に示した環(Id)、(Ie)および(If)のようなC1/C2およびC7/C8位置に融合したベンゾまたはアリーレノブリッジを含む具体例において、C9炭素は好ましくは置換されていない。
【0041】
いくつかの具体例において、C9置換基は、キサンテン色素が以下の構造:
【0042】
【化5】

の1つを含むように、置換されたまたは置換されていないフェニル環である。
【0043】
位置3、4、5、6および7における炭素は、炭素C1−C8について先に記載された置換基の基のような種々の異なる置換基の基で置換されていてもよい。いくつかの具体例において、位置C3における炭素はカルボキシル(−COOH)または硫酸(−SOH)基、あるいはそのアニオンで置換されている。AがOHであってAがOである式(IIa)、(IIb)および(IIc)の色素は本明細書中においてはフルオレセイン色素といい;AがNHであって、AがNHである式(IIa)、(IIb)および(IIc)の色素は本明細書中においてはローダミン色素といい;およびAがOHであって、AがNHである(あるいはAがNHであってAがOである)式(IIa)、(IIb)および(IIc)の色素は本明細書中においてはロドール色素という。
【0044】
前記構造によって強調されるように、キサンテン環(または拡大されたキサンテン環)がフルオレセイン、ローダミンおよびロドール色素である場合、それらの炭素原子は異なってナンバリングされる。具体的には、それらの炭素原子のナンバリングはプライム符号を含む。フルオレセイン、ローダミン、およびロドール色素についての前記ナンバリングシステムは便宜のために供せられるが、他のナンバリングシステムを使用してもよく、それらは限定的であることを意図しないと理解されるべきである。また、色素の1つの異性体形態が示されるが、それらは、例であって、限定的ではないが、他の互変異性体形態または幾何学的形態を含めた他の異性体形態で存在し得る。具体的な例として、カルボキシローダミンおよびフルオレセイン色素はラクトン形態で存在させることができる。
【0045】
いくつかの具体例において、蛍光部分はローダミン色素を含む。適当なローダミン色素の例は、限定されるものではないが、ローダミンB、5−カルボキシローダミン、ローダミンX(ROX)、4,7−ジクロロローダミンX(dROX)、ローダミン6G(R6G)、4,7−ジクロロローダミン6G、ローダミン110(R110)、4,7−ジクロロローダミン110(dR110)、テトラメチルローダミン(TAMRA)および4,7−ジクロロ―テトラメチルローダミン(dTAMRA)を含む。さらなる適当なローダミン色素は、例えば、米国特許第6,248,884号、第6,111,116号、第6,080,852号、第6,051,719号、第6,025,505号、第6,017,712号、第5,936,087号、第5,847,162号、第5,840,999号、第5,750,409号、第5,366,860号、第5,231,191号および第5,227,487号;PCT公開WO 97/36960およびWO99/27020;Lee et al.,NUCL.ACIDS RES.20:2471−2483(1992),Arden−Jacob,NEUE LANWELLIGE XANTHEN−FARBSTOFFE FUR FLUORESZENZSONDEN UND FARBSTOFF LASER, Verlag Shaker, Germany (1993),Sauer et al., J.FLUORESCENCE 5:247−261(1995),Lee et al.,NUCL.ACIDS RES.25:2816−2822(1997),およびRosenblum et al., NUCL.ACIDS RES.25:4500−4504(1997)に記載されたものを含む。ローダミン色素の特に好ましいサブセットは4,7−ジクロロローダミンである。1つの具体例において、蛍光部分は4,7−ジクロロ―オルトカルボキシローダミン色素を含む。
【0046】
いくつかの具体例において、蛍光部分はフルオレセイン色素を含む。例示的な適当なフルオレセインは、限定されるものではないが、米国特許第6,008,379号、第5,840,999号、第5,750,409号、第5,654,442号、第5,188,934号、第5,066,580号、第4,933,471号、第4,481,136号および第4,439,356号;PCT公開WO 99/16832、およびEPO公開050684に記載されたフルオレセイン色素を含む。フルオレセイン色素の好ましいサブセットは4,7−ジクロロフルオレセインである。他の好ましいフルオレセイン色素は、限定されるものではないが、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)および6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)を含む。1つの具体例において、フルオレセイン部分は4,7−ジクロロ―オルトカルボキシフルオレセイン色素を含む。
【0047】
いくつかの具体例において、蛍光部分は、以下の文献およびその中で引用された文献:米国特許第6,080,868号、第6,005,113号、第5,945,526号、第5,863,753号、第5,863,727号、第5,800,996号、および第5,436,134号;およびPCT公開WO 96/04405に記載されたもののような、シアニン、フタロシアニン、スクワレイン、またはボディピィ色素を含むことができる。
【0048】
いくつかの具体例において、蛍光部分は、例えば、FRETまたはもう1つのメカニズムによるような相互に協同して作動して、大きなストークス(Stoke)シフトを供する色素のネットワークを含むことができる。そのような色素ネットワークは、典型的には、蛍光ドナー部分および蛍光アクセプター部分を含み、蛍光アクセプターおよびドナー双方として作用するさらなる部分を含むことができる。蛍光ドナーおよびアクセプター部分はこれまでに記載した色素のいずれかを含むことができ、但し、相互に協同して作業できる色素を選択するものとする。特別な具体例において、蛍光部分は、蛍光色素を含む蛍光ドナー部分、およびフルオレセインまたはローダミン色素を含む蛍光アクセプター部分を含む。適当な色素対またはネットワークの非限定的例は米国特許第6,399,392号、第6,232,075号、第5,863,727号、および第5,800,996号に記載されている。
【0049】
いくつかの具体例において、標識部分は消光部分を含む。消光部分は、例えば、軌道重複(基底状態の暗い複合体の形成)、衝突消光、FRET、またはもう1つのメカニズムまたはメカニズムの組合せによるような、それがそれに近接する場合に、蛍光部分の蛍光を消光することができるいずれの部分とすることもできる。消光部分は、それ自体は蛍光性でありえ、またはそれは非−蛍光性とすることができる。いくつかの具体例において、消光部分は、それが、それに対して近接した場合に、蛍光部分の蛍光を消光するように、蛍光部分の発光スペクトルに十分重複する吸収スペクトルを有する蛍光色素を含む。
【0050】
(4.3.3反応性部分)
いくつかの具体例において、標識分子は1以上の反応性部分を含む。反応性部分を用いて、標識部分を標的結合部位の近くの蛋白質に付着させることができる。反応性部分は1以上の任意のリンカーを介して標識部分に直接的または間接的に付着させてもよい。反応性部分は、蛋白質上の対応する反応性基とで共有結合を形成することができるいずれの反応性基も含むことができる。かくして、それが本明細書中に記載された方法および組成物に適合する限り、反応性部分は当該分野で知られたいずれの反応性部分とすることもできる。2以上の反応性部分を使用する具体例において、各反応性部分は同一とすることができ、あるいは反応性部分のいくつかまたは全ては異なってもよい。
【0051】
いくつかの具体例において、反応性部分は架橋剤、すなわち、架橋基を含む。架橋剤の反応性、特異性、および可溶性の特徴は当該分野でよく知られている。適当な架橋剤を選択するためのガイドラインは、Mattson et al., MOL BIOL REP. Apr;17(3):167−83(1993),Double−AgentsTM Cross−linking reagents, Selection Guide, Pierce Biotechnology Inc.,2003)に見出すことができる。また、Wong,1993, Chemistry of Protein Conjugation and Cross−linking, CRC Press,Boca Raton参照。
【0052】
いくつかの具体例において、反応性部分は、蛋白質に存在する相補的基とで共有結合を形成することによって、蛋白質へ反応性部分を付着させるのに用いることができる官能基を含む。共有結合を形成することができる相補的な基の対はよく知られている。いくつかの具体例において、蛋白質は求核性基を含み、架橋性基は求電子性基を含む。他の具体例において、架橋性基は求核性基を含み、蛋白質は求電子性基を含む。生物学的および他のアッセイ条件に対して安定な結合を行うのに有用な「相補的」求核性および求電子性基(または適切に活性化できるその前駆体)はよく知られており、それを用いることができる。適当な相補的求核性および求電子性基、並びにそれから形成された得られる結合の例を表1に掲げる。
【0053】
【表1−1】

【0054】
【表1−2】

*当該分野で理解されているように、活性化されたエステルは、一般には、Zが良好な脱離基(例えば、オキシスクシンイジミル、オキシスルホスクシンイミジル、1−オキシベンゾトリアゾリルなど)である式−C(O)Zを有する。
**アジ化アシルは、イソシアネートに再編成され得る。
【0055】
いくつかの具体例において、反応性部分は、光反応性基を含む架橋剤を含む。光反応性基は活性化に際して、外部エネルギー源によって、他の分子とで共有結合を形成する少なくとも1つの潜在的光反応性基を有する。例えば、ここに引用してその開示を援用する米国特許第5,002,582号参照。例えば、適当な光源への暴露に際して、光反応性基は活性化されて、隣接化学構造とで共有結合、例えば、脂肪族炭素−水素結合を形成することができる。
【0056】
適当な光反応性基は、例えば、アジ化物、ジアゾ、ジアジリン、芳香族ケトン、およびキノンを含む。例示的な光反応性基および活性化に際してのそれらの残基を表2に示す。
【0057】
【表2】

いくつかの具体例においては、光反応性基は、アリールケトン、例えば、アセトフェノン、アントラキノン、アントロン、およびアントロン−様複素環(すなわち、N、OまたはSを10−位置において有するもののようなアントロンの複素環アナログ)、あるいはそれらの置換された(例えば、環置換)誘導体、ベンゾフェノン、ベンゾフェノンマレイミド、4−ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステルを含む。
【0058】
いくつかのアリールケトンの官能基は多数の活性化/不活化/再活性化サイクルを受けることができる。例えば、ベンゾフェノンは、トリプレット状態までのシステム内交差を受ける励起されたシングレット状態の初期形成で光化学励起することができる。励起されたトリプレット状態は、(例えば、ポリマーコーティング層からの)水素原子を抽出し、かくして、基対を作り出すことによって炭素−水素結合に挿入することができる。基対の引き続いての崩壊は、新しい炭素−炭素結合の形成に導く。もし反応性結合(例えば、炭素/水素)が結合のために利用できなければ、ベンゾフェノン基の紫外線光−誘導励起は可逆的であって、分子は、エネルギー源の除去に際して、基底状態エネルギーレベルに戻る。ベンゾフェノンおよびアセトフェノンのような光反応性アリールケトンは、水中での複数再活性化を受け、よって、増大した連結効率を供することができる。
【0059】
いくつかの具体例において、光反応性基はアジ化物を含み、これは、フェニルアザイド、4−フルオロ−3−ニトロフェニルアザイドのようなアリールアザイド(C)、エチルアジドフォミエート、フェニルアジドフォルメートのようなアシルアザイド(−CO−N)、ベンゼンスルホニルアザイドのようなスルホニルアザイド(−SO−N)、およびジフェニルホスホリルアザイドおよびジエチルホルホリスアザイドのようなホスホリスアザイド(RO)PONを含む。
【0060】
いくつかの具体例において、光反応性基はジアゾ化合物を含み、これは、ジアゾメタンおよびジフェニルジアゾメタンのようなジアゾアルカン(−CHN)、ジアゾアセトフェノンおよび1−トリフルオロメチル−1−ジアゾ−2−ペンタノンのようなジアゾケトン(−CO−CHN)、t−ブチルアルファジアゾアセトアセテートのようなジアゾアセテート(−CO−CN−CO−O−)を含む。
【0061】
他の適当な光反応性基はアゾビスイソブチロニトリルのような脂肪族アゾ化合物、3−トリフルオロメチル−3−フェニルジアジリンのようなジアジリン(−CHN)、およびケテンおよびジフェニルケテンのようなケテン(−CH=C=O)、および例えばアントラキノンのようなキノンを含めた光反応性基を含む。
【0062】
適当な活性化可能反応性部分のさらなる例は、限定されるものではないが、ペルオキサイドのような、pH、熱によって、または電気化学により活性化することができる分子を含む。
【0063】
いくつかの具体例において、反応性部分はpHの変化によって活性化された化学基を含む。pHの変化によって活性化された化学基はよく知られており、共有結合を形成するのに用いることができる(例えば、Double−AgentsTM Cross−linking reagents, Selection Guide, Pierce Biotechnology Inc.,2003参照)。適当な非限定的例はイミドエステル、マレイミド基、ヨードアセチル基およびグリオキサールを含む。
【0064】
イミドエステルは、約pH8ないし10において第一級アミンと反応して、アミジン結合を形成することができる。N−ヒドロキシスクシンイミド−エステル(NHS−エステル)は、生理学的pHにおいて第一級アミンと反応することができる。蛋白質のN−末端に存在する接近可能なα−アミン基、およびリシン残基上のε−アミンはNHS−エステルと反応し、アミド結合を形成する。マレイミド基は、反応混合物のpHがpH6.5および7.5の間にあり、安定なチオエステル結合を形成する場合に、スルフヒドリル基と特異的に反応することができる。中性pHにおいて、マレイミドはpH>8.5における以外は、アミンとでよりも1000倍速くスルフヒドリルと反応することができ、反応は第一級アミンに対して好都合である。ヨードアセチル基は生理学的pHにおいてスルフヒドリル基と反応することができる。ヨードアセチル基とスルフヒドリルとの反応は、ヨウ素の安定なチオエーテル結合を生じさせるチオールでの求核置換によって進行するヨードアセチル基は約pH6.9ないし7.0のpHにおいてイミダゾールと反応することができる。グリオキサールは温和にアルカリ性のpHにおいてアルギニンを標的とすることができる。グリオキサールは、アルギニン残基のグアニジル部分を標的化するための有用な化合物である。約pH9においてリシンとで交差反応性があり得る。
【0065】
いくつかの具体例において、反応性部分は熱によって活性化することができる化学基を含む。熱によって活性化できる化学基は当業者によく知られている。熱によって活性化することができる化学基の適当な非限定的例はペルオキシド、例えば、ベンゾイルペルオキシド、およびアゾ基、例えば、アゾビスイソブチロニトリルを含む。
【0066】
いくつかの具体例において、反応性部分は、電気化学的に活性化することができる化学基を含む。電気化学的に活性化することができる化学基は当業者によく知られている。電気化学的に活性化することができる化学基の適当な非限定的例はα−ブロモトルエンのようなハロベンジル化合物、およびフェニル水銀化合物のような有機金属化合物を含む。
【0067】
いくつかの具体例において、リンカー部分は反応性基の間に挿入されて、蛋白質の活性との立体的干渉を最小化することができる。リンカー部分の化学的組成は臨界的ではない。得られた標識蛋白質が本明細書中で記載されたように機能させるリンカーのタイプを用いることができる。適当なリンカー部分は後に記載する。
【0068】
(4.3.4切断可能連結基)
いくつかの具体例に例おいて、標識分子は切断可能連結基を含む。一般に、切断可能な連結基は標的部分を標識部分に連結させる。切断可能連結基は少なくとも1つの切断可能部分および1以上の任意のリンカー部分を含む。切断可能部分は、蛋白質からの標的部分の脱離を可能とするように切断することができる少なくとも1つの官能基を含む。任意のリンカー部分は、典型的には、標識分子の溶解性に影響させるように用いることができ、および/または切断可能連結基を標的部分および標識部分に連結するように機能する1以上の結合基を含む。
【0069】
切断可能部分はいずれかの数の官能基を含むことができる。例えば、切断可能部分は、切断可能連結基が標識された蛋白質に結合し、またはそれと相互作用している場合には、選択された切断剤によって切断することができる官能基を含むことができる。もう1つの例として、切断可能部分は、選択された切断条件下で、あるいは選択された化学的反応によって、切断することができる官能基を含むことができる。かくして、切断可能部分は、光分解的に、化学的に、熱的にまたは酵素的に切断することができる官能基を含むことができる。例えば、米国特許第5,721,099号、米国特許公開番号第2004/0166529号、およびGreene et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS, 2nd ed. Wiley, 1991, および米国特許出願番号第10/828647号参照。
【0070】
いくつかの具体例において、切断可能部分は、フッ素、臭素または塩素のようなハロゲンで、酸化または酸によって切断することができるシリル基を含む。
【0071】
他の具体例において、切断可能部分は、電磁気放射で切断することができるo−ニトロベンジル、7−ニトロインダニル、2−ニトロベンズヒドリルエーテルまたはエステルなどのような光不安定結合を含むことができる。
【0072】
切断可能部分の他の例は当業者に知られている。例えば、セリウム塩で切断することができるカテコールは、切断可能部分として用いることができる。オゾン、過マンガン酸塩または四酸化オスミウムで切断することができるオレフィンは切断部分として用いることができる。シングレット酸素で、または過酸化水素での酵素触媒酸化的切断によって切断することができるスルフィドは、得られたスルホンが脱離を受けることができる場合に、切断可能部分として用いることができる。酸素またはメタノール中の臭素で切断することができるフランは切断可能部分として用いることができる。酸で切断することができる第三級アルコールケタールおよびアセタールは切断可能部分として用いることができる。塩基で切断することができるアルファ−およびベータ−置換エーテルおよびエステルは、置換基が電子吸引基、例えば、スルホン、スルホキシド、ケトンなどである場合には切断可能部分として用いることができる。酸または温和な還元的条件によって切断され得る置換されたベンジルエーテルまたはその誘導体、例えば、ベンズヒドリルエーテル、インダリルエーテルなどは切断可能部分として用いることができる。
【0073】
いくつかの具体例において2以上の切断可能部分を用いる。これらの具体例においてそのような切断可能部分は同一とすることができ、あるいは切断可能部分のいくらかまたは全ては異なり得る。
【0074】
いくつかの具体例において、切断可能連結基は1以上の任意のリンカー部分を含む。リンカー部分は、標識分子において、もう1つの部分へ切断可能部分を連結することができるいずれかの結合基を含むことができる。2以上のリンカー部分を使用する具体例において、リンカー部分の各々は同一とすることができ、あるいはリンカー部分のいくつかまたは全ては異なり得る。
【0075】
いくつかの具体例において、リンカー部分は1以上の(ビス)エチレングリコール基を含む。当業者によって認識されるように、リンカー部分を含むオキシエチレン単位の数は選択的に変化させることができる。例えば、1、2、3またはそれ以上のオキシエチレン単位を用いて、リンカー部分を形成することができる。切断可能連結基を前記したように機能させる同一または異なるオキシエチレン単位の実質的にいずれの組合せを用いることもできる。具体的な例においてリンカー部分は同一または異なる低級オキシエチレン単位(例えば、xが0ないし6の範囲の整数である―(CHχCH−))の1ないし約5を含むことができる。リンカー部分の化学組成は臨界的ではない。得られた標識分子が本明細書中に記載するように機能させるいずれのタイプのリンカー部分も用いることができる。
【0076】
リンカー部分は特定の特性を有するように選択することができる。例えば、リンカー部分は、特定の適用に依存して、特性が疎水性、特性が親水性、長いまたは短い、剛直な、半剛直な、またはフレキシブルであり得る。リンカー部分は、所望により、同一または異なってもよい、さらなる置換基の付着用の1以上の置換基または1以上の連結基で置換することもでき、それにより、さらなる分子または基材を標識分子にコンジュゲートまたは連結することができる「多価」連結部分を供する。しかしながら、ある具体例においては、リンカー部分はそのようなさらなる置換基または連結基を含まない。
【0077】
安定な結合を含む広く種々のリンカー部分が当該分野で知られており、その例として、限定せずに、アルキルジイル、置換されたアルキルジイル、アルキレノ(例えば、アルカノ)、置換されたアルキレノ、ヘテロアルキルジイル、置換されたヘテロアルキルジイル、ヘテロアルキレノ、置換されたヘテロアルキレノ、非環式へテロ原子ブリッジ、アリールジイル、置換されたアリールジイル、アリールアリールジイル、置換されたアリールアリールジイル、アリールアルキルジイル、置換されたアリールアルキルジイル、ヘテロアリールジイル、置換されたヘテロアリールジイル、ヘテロアリール−ヘテロアリールジイル、置換されたヘテロアリール−ヘテロアリールジイル、ヘテロアリールアルキルジイル、置換されたヘテロアリールアルキルジイル、ヘテロアリール−ヘテロアルキルジイル、置換されたヘテロアリール−ヘテロアルキルジイルなどを含む。かくして、リンカー部分は単一、二重、三重または芳香族炭素−炭素結合、窒素−窒素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合、炭素−硫黄結合、およびそのような結合の組合せを含むことができ、従って、カルボニル、エーテル、チオエーテル、カルボキサミド、スルホンアミド、尿素、ウレタン、ヒドラジンなどの官能性を含むことができる。いくつかの具体例において、リンカー部分はC、N、O、P、およびSよりなる群から選択される1ないし20の非−水素原子を有し、エーテル、チオエーテル、アミン、エステル、カルボキサミド、スルホンアミド、ヒドラジン、芳香族およびヘテロ芳香族基のいずれかの組合せで構成される。
【0078】
特定の適用に適した特性を有するリンカー部分の選択は当業者の能力内である。例えば、剛直なリンカー部分が望まれれば、リンカー部分はポリプロリンのような剛直なポリペプチド、剛直な多価不飽和アルキルジイルまたはアリールジイル、ビアリールジイル、アリールアリールジイル、アリールアルキルジイル、ヘテロアリールジイル、ビヘテロアリールジイル、ヘテロアリールアルキルジイル、ヘテロアリール−ヘテロアリールジイルなどを含むことができる。フレキシブルリンカー部分が望まれる場合、リンカー部分はポリグリシンのようなフレキシブルなポリペプチド、またはフレキシブルな飽和アルカニルジイルまたはヘテロアルカニルジイルを含むことができる。親水性リンカー部分は、例えば、ポリアルコール、ポリアルキレングリコールのようなポリエーテルまたはポリ第四級アミンのようなポリ電解質を含むことができる。疎水性リンカー部分は、例えば、アルキルジイルまたはアリールジイルを含むことができる。
【0079】
いくつかの具体例において、リンカー部分はペプチド結合を含む。当業者であれば、ペプチド結合の使用は便宜であるが、標識分子を含む種々の部分を、標識分子が用いられるであろう条件に対して安定であるいずれかの結合を介して相互に連結することができるのを認識するであろう。
【0080】
いくつかの具体例において切断可能連結基は構造:
【0081】
【化6】

[式中、Yおよび/またはXは酸素原子であり、
およびRは炭化水素であり;
Lは任意のリンカー部分を表し;および
nは0ないし5の整数である]
を含む。
【0082】
前記で示した具体例において、YまたはXが酸素原子である場合、他の部分が酸素原子または炭素原子を含むことができる。例えば、Yは酸素原子である場合、Xは炭素原子であり得る。もう1つの例として、Xが酸素原子である場合、Yは炭素原子であり得る。
なおもう1つの例において、YおよびXは共に酸素原子であり得る。
【0083】
いくつかの具体例において、切断可能連結基は構造:
【0084】
【化7】

[式中、RおよびRは炭化水素である]
を含む。
【0085】
切断可能連結基はいずれの長さのものとすることもでき、但し、切断可能部分と切断に際して標識部分は、標的結合に干渉しない位置における分析物結合部位に近接して位置させる。特定の適用に適した特性を有する切断可能連結基の選択は、当業者の能力内である。例えば、競合結合アッセイは、種々の長さの切断可能連結基を含む標識分子で標識された蛋白質で行って、標識部分が実質的に標的結合に実質的に干渉しないように、切断可能連結基の最適な長さを決定することができる。
【0086】
いくつかの具体例において、切断可能連結基は5ないし約20オングストロームとすることができる。
【0087】
標識分子を含む種々の部分を、それらの各機能を行うようにするいずれかの方法で相互に連結することができる。いくつかの具体例において、標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基は相互に対して直接的に連結することができ、すなわち、相互に対して共有結合により連結することができる。いくつかの具体例において、部分の位置、いくつかまたは全てを、1以上の任意のリンカーを介して相互に間接的に連結することができる。全て記載したリンカーのいずれかを用いて、種々の部分を相互に連結することができる。
【0088】
1つの具体例において、切断可能連結基を標的部分に直接的に連結することができる。いくつかの具体例において、切断可能連結基を任意のリンカーを介して標的部分に間接的に連結することができる。いくつかの具体例において、切断可能連結基を標識部分に直接的に連結する。いくつかの具体例において、切断可能連結基は任意のリンカーを介して標識部分に間接的に連結される。いくつかの具体例において、切断可能連結基を反応性部分に直接的に連結させる。いくつかの具体例において、切断可能連結基を任意のリンカーを介して反応性部分に間接的に連結させる。
【0089】
いくつかの具体例において、標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基を多価リンカーを介して相互に連結することができる。多価リンカーは、他の分子およびその部分に適した2、3、4またはそれ以上の付着部分を有するいずれかの分子であり得る、あるいはそれらは適切に活性化させて、他の分子部分および部分をそれに付着させることができる。例えば、反応性(または活性化可能)連結基を付着させるリンカーの骨格は、線状、分岐状または環状飽和または不飽和アルキル、単環または多環アリールまたはアリールアルキルとすることができよう。リンカーは炭素および水素原子に制限される必要はない。事実、リンカーは単一、二重、三重または芳香族炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、窒素−窒素結合、炭素−酸素結合、炭素−硫黄結合、リン−酸素結合およびその組合せを含むことができ、従って、それは、カルボニル、エーテル、チオエーテル、カルボキサミド、スルホンアミド、尿素、ウレタン、ヒドラジンなどのような官能性を含むことができる。
【0090】
多価リンカー上の官能基は、共有結合を形成することができる相補的反応性基の対のいずれのメンバーとすることもできる。そのような具体例において、多官能性リンカーを含む各反応性基は、相補的求核性基または求電子性基と反応して、生物学的アッセイ条件に対して安定な共有結合を形成することができる求電子性基または求核性基である。
【0091】
多価リンカー上の反応性基は、全てが同一であってもよく、あるいはそれらのいくつかまたは全ては異なり得る。いくつかの具体例において、異なる化学的反応性を有して、本明細書中に記載された種々の部分のリンカーへの選択的付着を容易とする反応性基が選択される。
【0092】
いくつかの具体例において、多価リンカーは三官能性リンカーとすることができる。いくつかの具体例において、三官能性リンカーはアミノ酸であり、これは、アルファアミノ酸、ベータアミノ酸、ガンマアミノ酸、または適当な反応性官能基を有する側鎖を含む他のタイプのアミノ酸であり得る。適当なアミノ酸の具体的な例は、限定されるものではないが、リシン、グルタミン、システイン、セリン、ホモセリンおよび1,3−ジアミノ酪酸を含む。これらのアミノ酸はD−またはL−立体配置いずれかのものであってよく、またはラセミまたはその他の混合物を構成することができる。
【0093】
いくつかの具体例において、標識分子は構造:
TM−(L−CT−(L−LM−(L−RM
[式中、TMは標的部分を表し;
CTは切断可能連結基を表し;
LMは標識部分を表し;
RMは反応性部分を表し;
ないしLは任意のリンカーを表し;
nは0ないし5の整数である]
を含む。
【0094】
、L、およびLは前記した任意のリンカーのいずれかを含むことができる。いくつかの具体例において、リンカーは同一とすることができる。いくつかの具体例において、リンカーは異なるものとすることができる。いくつかの具体例において、リンカーのいくつかは同一であって、他は異なるものとすることができる。
【0095】
いくつかの具体例において、標識分子は構造:
【0096】
【化8】

[式中、TMはcAMP抗原を含む標的部分を表し;
CTは、シリル切断可能部分および2つの任意のアルキルリンカーを含む切断可能連結基を表し;
LMはカルボキシフルオレセイン色素(FAM)を含む標識部分を表し;
RMは光反応性の反応性部分を表し;
および
ないしLは任意のリンカーを表す。
【0097】
(4.3.5 特異的に標識された蛋白質)
また、本明細書中において、標的分析物結合部位に近接して特異的に標識することができ、他の位置においては実質的に標識されていない、目的の標的分析物に結合することができる蛋白質も提供される。該蛋白質は、あるいは本明細書中に記載された種々の組成物および方法に関連して使用できるいずれかの蛋白質またはその断片であり得る。例えば、いくつかの具体例において、該蛋白質は、エピトープを含む標的抗原に結合することができる抗体であり得る。他の具体例において、該蛋白質は標的基質に結合することができる酵素であり得る。なお他の具体例において、該蛋白質は標的リガンドに結合することができる受容体であり得る。なお他の具体例において、該蛋白質は標的リガンドに結合することができるシグナル変換蛋白質であり得る。
【0098】
該蛋白質は1以上の標識部分で特異的に標識することができる。先に記載された標識部分のいずれも該蛋白質に含めることができる。2以上の標識部分を使用する具体例において、各標識部分は同一とすることができ、あるいは標識部分のいくつかまたは全ては異なり得る。例えば、いくつかの具体例において、該蛋白質は蛍光部分を含むことができる。蛍光部分は、蛍光シグナルを提供し、および本明細書中に記載された方法および原理に従って用いることができるいずれの存在も含むことができる。いくつかの具体例において、該蛋白質は、蛍光部分の蛍光を消光することができる消光部分を含む。
【0099】
標識部分および標的結合部位の間の正確な距離は臨界的ではなく、広い範囲に渡って変化させることができる。唯一の要件は、標識部分が標的の結合部位から十分な距離であって、分析物および代替分析物が蛋白質上の結合部位に結合するのを実質的にブロックしないことである。いくつかの具体例において、標識は結合部位から約3ないし50オングストロームとすることができる。いくつかの具体例において、標識は結合部位から約5ないし30オングストロームとすることができる。いくつかの具体例において、標識は結合部位から約5ないし20オングストロームとすることができる。
【0100】
標識された蛋白質を作製するための方法は、一般には、蛋白質を、標的部分、標識部分、反応性部分、および選択可能連結基を含む標識分子と接触させることを含む。該標的部分、標識部分、および反応性部分は、標的部分が蛋白質に結合することができ、反応性部分が標識部分を蛋白質に連結させることができるように、相互に連結される。反応性部分を活性化することができる剤を加えて、反応性部分および蛋白質の間の共有結合を形成する。標的部分は、a)前記したように適当な剤または条件によって切断可能な連結基の切断を誘導し、およびb)希釈によって、または代替分析物または分析物の添加によるなどして、蛋白質の近隣から標的部分を効果的に除去する条件を供することによって蛋白質から脱離させることができる。
【0101】
図1は、標識分子110と共に機能的に標識された抗体100を作製する方法の例示的な具体例を示す。図1Aは、抗原部分AgM、標識部分LM、反応性部分RM、および抗原部分AgMに連結された切断可能連結基CTを含む標識分子110と抗体100とを接触させることを示す。当業者によって認識されるように、図1に掲げられる標識分子110で説明した種々の部分の編成は単に例示的なものであって、種々の部分を、それらの各機能を行う方法で相互に連結させることができる。図1Bは、抗体100を標識分子110と接触させることを示す。図1Cは、活性化された反応性部分RMおよび抗体100の間に共有結合を形成するように反応性部分RMを活性化することを示す。図1Dは、切断可能な連結基CTの切断を示す。図1Eは、切断可能連結基の切断に続いての切断産物、例えば、標識された抗体および抗原部分AgMを示す。
【0102】
いくつかの具体例において、該方法は、さらに、標的部分を含む切断産物から標識された蛋白質を単離することを含む。切断産物から蛋白質を単離する方法は当業者によって知られている。
【0103】
典型的には、標識に適した蛋白質は、標的分析物についての少なくとも1つの結合ドメイン、および反応性部分と反応することができる反応性基を含む。適当な蛋白質、標識部分、反応性部分、および切断可能な連結基の非限定的例は先に記載する。
【0104】
(4.3.6代替分析物−標識蛋白質複合体)
また、本明細書中において、分析物検出用のレポーター系としてとりわけ有用な代替分析物−蛋白質複合体も提供される。該代替分析物−蛋白質複合体は標識された蛋白質および標識された代替分析物を含む。図2Aは例示的な代替分析物−蛋白質複合体を示し、そこでは、代替分析物は標識された蛋白質、すなわち、抗体と複合体化した代替抗原である。図2Aにおいては、抗体を蛍光部分Fで標識し、代替抗原sAを消光部分Qで標識する。標識されたF抗体および代替抗原sAは代替抗原−抗体複合体を形成し、そこでは、消光部分Qは、それが抗体上の蛍光部分Fの蛍光を消光できるように位置させる。代替抗原−抗体複合体は、抗体への抗原Aの競合的結合および代替抗原sAの変位によって引き起こされる複合体の解離に際して蛍光の検出可能な増加を生じさせることができる。
【0105】
代替分析物は、標識された蛋白質への結合について目的の標的(すなわち、分析物)と競合することができ、かつ、蛍光部分につき消光部分に所望により付着させることができるリンカーを含むことができるいずれの標識された有機または無機分子でもあり得る。代替分析物を含むことができる適当な分子の非限定的例は抗原、酵素基質、蛋白質、ペプチド、炭水化物、多糖、糖蛋白質、ホルモン、受容体、ウイルス、代謝産物、転移状態アナログ、補因子、阻害剤、薬物、栄養素、電解質成長因子および他の生体分子ならびに標識された蛋白質に結合することができる非−生体分子を含む。
【0106】
いくつかの具体例において、代替分析物はcAMPを含む。
【0107】
代替分析物は1以上の標識部分を含む。先に記載された標識部分のいずれを用いて、代替分析物を標識することもできる。2以上の標識部分を使用する具体例において、各標識部分は同一とすることができ、あるいは標識部分のいくつかまたは全ては異なり得る。
【0108】
いくつかの具体例において、標識蛋白質は蛍光部分を含み、代替分析物は消光部分を含む。蛍光部分の蛍光シグナルは、代替分析物が標識された蛋白質に結合すると消光することができる。標的分析物の標識された蛋白質への結合は、代替分析物を変位させることができ、消光効果を低下または排除することができ、それにより、蛍光の検出可能な増加が生じる。
【0109】
いくつかの具体例において、標識された蛋白質は消光部分を含み、代替分析物は蛍光部分を含む。蛍光部分の蛍光シグナルは、代替分析物が標識された蛋白質に結合すると消光することができる。標識された蛋白質への標的分析物の結合は代替分析物を変位させることができ、消光効果を低下または排除することができ、それにより、蛍光の検出可能な増加が生じる。
【0110】
いくつかの具体例において、代替分析物−蛋白質複合体は粒子中にカプセル化される。カプセル化された代替分析物−蛋白質複合体は細胞内分析物分子の検出で用いて、代替−分析物−蛋白質複合体の局所的濃度を増加させ、および/またはそうでなければ代替分析物−蛋白質複合体を分解し、または不活化するであろう剤から代替分析物−蛋白質複合体を隔離することができる。
【0111】
代替分析物−蛋白質複合体はナノカプセル、リポソーム、マイクロ粒子、脂質粒子、小胞等にカプセル化することができる。代替分析物−蛋白質複合体をカプセル化するのに用いられる粒子は浸透性、半浸透性または不浸透性であり得る。いくつかの具体例において、代替分析物−蛋白質複合体は、10ないし1000ナノメートルの直径を有する半浸透性ナノカプセルにカプセル化することができる。いくつかの具体例において、代替分析物および標識された蛋白質をカプセル化するのに用いられる粒子を含む膜の多孔度は、代替分析物−標識蛋白質複合体を保持し、同時に、標的分析物の通過を可能とするように選択される。かくして、粒子膜の多孔度は、それが、直径が0.5nmないし5.0nm以下であるエレメントの通過を可能とするようなものである。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は5.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は2.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は1.5nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は1.0nm以下である。いくつかの具体例において、粒子のポア直径は0.5nm以下である。
【0112】
いくつかの具体例において、ナノカプセル膜は架橋された水溶性ビニルポリマーまたはコポリマーを含む。ビニルポリマーまたはコポリマーの適当なタイプは、限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートを含む。
【0113】
ナノカプセルのポア直径は、代替分析物−蛋白質複合体、標識された蛋白質、および/または標識された蛋白質−標的分析物複合体を保持し、代替分析物または標的分析物がナノカプセルを通過できるようにするように設計することができる。例えば、いくつかの具体例においては、ナノカプセルは標的分析物および/または代替分析物に対して浸透性であり、標識された抗体またはその断片に対して不浸透性である。いくつかの具体例において、ナノカプセルは標的分析物および/または代替分析物に対して浸透性であり、標識された酵素またはその断片に対して不浸透性である。いくつかの具体例において、ナノカプセルは標的分析物および/または代替分析物に対して浸透性であって、受容体またはその断片に対して不浸透性である。
【0114】
いくつかの具体例において、標的部分はナノカプセルに付着させることができ、これを用いて、例えば、ナノカプセルを特定の細胞または細胞のコレクションに標的化させることができる。本明細書中で用いるように、「標的部分」は、細胞、組織または器官中の特定のタイプの膜および/またはオルガネラに結合し、またはそうでなければそれを通って輸送することができるいずれの化学的部分も含む。組成物を特定の細胞に向ける種々の剤は当該分野で知られている(例えば、Cotten et al., Methods Enzym, 217:618,1993、および米国特許第6,692,911号、第6,835,393号参照)。標的部分の適当な非限定的例は(インスリン、EGF、またはトランスフェリンのような)蛋白質、レクチン、抗体および断片、炭水化物、脂質、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、または小分子および薬物を含む。有用な標的部分のさらなる例は、限定されるものではないが、Pro−Ject(Pierce Biotechnology)のようなトランスフェクション剤、トランスポータントのようなウイルスペプチド断片、ストレプトリシン−Oのようなポア形成トキシン、疎水性エステル、ポリリシンのようなポリカチオン、アシア糖蛋白質、およびジフテリアトキシンを含む。
【0115】
いくつかの具体例において、代替分析物−蛋白質複合体または標識された蛋白質は、固体支持体または固体表面のような基材に固定化し、または付着させる。固体支持体は、本明細書中に記載されたアッセイシステムで利用することができる、当業者に公知のいずれの材料であってもよい。一般には、支持体は選択される検出系で使用できるであろう(例えば、フルオールを標識として用いる場合の蛍光)。適当な固体支持体は金のような金属表面、ガラスおよび修飾されたもしくは機能性化されたガラス、ファイバーガラス、テフロン(登録商標)、セラミック、雲母、(アクリル、ポリスチレン、およびスチレンおよび他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイミド、ポリカルボネート、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、およびその誘導体等を含めた)プラスチック、GETEK(ポリプロピレンオキサイドおよびファイバーグラスのブレンド)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、ケイ素および修飾されたケイ素を含めたシリカまたはシリカ−ベースの材料、炭素、金属、無機ガラスおよび種々の他のポリマーを含む。いくつかの具体例において、マイクロタイタプレートおよび(時々、本明細書中においてはマイクロスフィアという)ビーズのような固体支持体は高スループットスクリーニングを可能とすることができる。ビーズの組成は、用途に応じて変化するであろう。適当なビーズ組成物はペプチド、核酸で用いるものを含み、限定されるものではないが、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、トリアゾル、炭素グラファイト、二酸化チタン、Sepharoseのようなラテックスまたは架橋されたデキソラン、セルロース、ナイロン、架橋されたミセルおよびテフロン(登録商標)を含めた有機部分合成を全て用いることができる。
【0116】
分子を固体支持体へカップリングさせるための方法は当該分野でよく知られており、アフィニティーカラム、ELISAアッセイプレート、支持体−結合ペプチドおよび薬物候補ライブラリーおよびポリヌクレオチドアレイの作製で広く用いられてきた。例えば、Sigel et al., FEBS LETT. 147:45−48(1982)参照。種々の化学および方法のいずれを用いて、代替分析物または標識された蛋白質を固定することもできる。代替分析物または標識された蛋白質は、共有結合および/または非共有結合相互作用によって固体基材に安定に付着させることができる。例えば、代替分析物または標識された蛋白質は、グルタルアルデヒド、ホウ水素化物、または他の二官能性剤のような架橋剤を介して固体支持体の表面に共有結合蒸着させることができる。代替分析物または標識された蛋白質もまた、アルキルアミノ−リンカー基またはポリマーリンカーを介して基材に共有結合連結させることもできる。カップリング方法は、標的および代替分析物または標識された蛋白質の間の結合の特異性および/または親和性に実質的に影響すべきでない。
【0117】
(4.3.7アッセイ)
また、本明細書中において、試料中の標的分析物の存在または不存在を検出するためのアッセイも提供される。テストすべき試料は使用者によって選択されるいずれの適当な試料とすることもできる。試料は天然に生じるもの、または人造のものとすることができる。例えば、試料は血液試料、組織試料、細胞試料、頬試料、皮膚試料、尿試料、水試料または土壌試料であり得る。試料は真核生物、原核生物、哺乳動物、ヒト、酵母または細菌のような生きた生物からのものであり得る。試料は細胞、組織または器官であり得る。試料は、当該分野で知られたいずれかの方法による本教示の代替分析物−蛋白質複合体または標識された蛋白質との接触に先立って処理することができる。例えば、試料は溶解工程、沈殿工程、カラムクロマトグラフィー工程、加熱工程等に付すことができる。
【0118】
アッセイは、試料を、本明細書中に記載された代替分析物−蛋白質複合体または標識された蛋白質を含む「レポーター系」と接触させることを含む。いくつかの具体例において、レポーター系はカプセル化することができる。他の具体例において、レポーター系は固体支持体に付着させることができる。
【0119】
図3は、標的部分(「細胞膜輸送剤」)を付着させることができる半浸透性カプセル(「中空シェル」)にカプセル化された、各々は標識された蛋白質(「レポーター標識抗体」)および代替分析物(「クエンチャー標識抗原」)を含む、1以上の代替分析物−蛋白質複合体を含む例示的なレポーター系を示す。標的部分を用いて、レポーター系を含むカプセルを目的の細胞に導入することができる。図3に示すように、代替分析物の標識された抗体への結合は「レポーター」からのシグナルを消光する。図3に示された「レポーター」は、本明細書中に記載された標識部分のいずれを含むこともできる。1以上の標的分析物のカプセルへの通過は、1以上の代替分析物を変位させることができ、蛍光の測定可能な増加を生じさせ、標的分析物の存在を示す。
【0120】
アッセイは、典型的には、レポーター系を、1以上の目的の標的分析物を含む試料と接触させることを含む。2以上の標的分析物を使用する具体例において、レポーター系を含む各標識された蛋白質は同一とすることができ、あるいは標識された蛋白質のいくつかまたは全ては異なり得る。
【0121】
本明細書中で教示されたアッセイは、典型的には、2003Sigma−Aldrich Catalogの「Biological Buffers」セクションに記載された緩衝液のような緩衝液の使用を含む。例示的な緩衝液はリン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、PBS、MES、MOPS、HEPES、トリス(トリズマ)、ビシン、TAPS、CAPS等を含む。緩衝液は所望のpHおよび/またはイオン強度を生じさせ、それを維持するのに十分な量で存在する。結合緩衝液のpHは、結合活性のpH依存性に従って選択することができる。例えば、pHは2ないし12、4ないし11、または6ないし10とすることができる。緩衝液は必要な補因子または結合に必要な剤も含有することができる。そのような補因子および/または剤の同一性および濃度は特定のアッセイ系に依存し、当業者に明らかであろう。レポーター系に存在する標識された蛋白質の濃度は実質的に変化するであろう。例えば、アッセイ緩衝液は約10−10ないし10−3標識蛋白質を含むことができる。いくつかの具体例において、アッセイ緩衝液は約1pMないし1μM標識蛋白質を含む。もし複数の異なるタイプの標識された蛋白質を用いるのであれば、各々は、前記濃度範囲にてアッセイ緩衝液を含むことができる。
【0122】
アッセイは、典型的には、洗剤または他の成分の存在を必要としない。一般には、反応生成物の蛍光特性に悪影響しかねず、あるいは標的分析物の検出に干渉しかねない反応混合物中の高濃度の成分を回避するのが望ましい。
【0123】
蛍光シグナルは、慣用的な方法および機器を用いてモニターすることができる。例えば、本教示の代替分析物−蛋白質複合体は、リアルタイムにて連続的モニタリング相で用いて、使用者が、分析物が試料中に存在するか否か、および所望により分析物の量または活性を迅速に決定するのを可能とすることができる。いくつかの具体例において、蛍光シグナルは少なくとも2つの異なる時点から測定することができる。いくつかの具体例において、シグナルは、連続的に、またはいくつかの選択された時点においてモニターすることができる。別法として、蛍光シグナルは最終点具体例で測定することができ、そこではシグナルはある量の時間後に測定され、シグナルは対照シグナル(分析物なしの試料)、閾値シグナル、または標準曲線に対して比較される。
【0124】
生じた蛍光シグナルの量は臨界的ではなく、広い範囲にわたって変化し得る。唯一の要件は、蛍光が使用される検出系によって測定可能なことである。いくつかの具体例において、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも2倍大きな蛍光シグナルを、代替分析物−蛋白質複合体の解離に際して生じ得る。いくつかの具体例において、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも3倍大きな蛍光シグナルを、代替分析物−蛋白質複合体の解離に際して生じ得る。いくつかの具体例において、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも4倍大きな蛍光シグナルを、代替分析物−蛋白質複合体の解離に際して生じ得る。いくつかの具体例において、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも5倍大きな蛍光シグナルを、代替分析物−蛋白質複合体の解離に際して生じ得る。いくつかの具体例において、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも2ないし10倍大きな蛍光シグナルを、代替分析物−蛋白質複合体の解離に際して生じ得る。
【0125】
(4.3.8キット)
また、本教示の方法を行うためのキットも提供される。いくつかの具体例において、キットは標的部分、標識部分、反応性部分、および切断可能連結基を含む標識分子を含む。いくつかの具体例において、キットは、蛋白質標識を容易とする反応混合物を調製するための緩衝液を含有することができる。いくつかの具体例において、キットは、さらに、反応性部分の活性化および/または切断可能連結基の切断のための化学物質を含むことができる。これらの他の成分は、相互に別々に提供することができ、あるいは乾燥または液体形態で一緒に混合することができる。
【0126】
いくつかの具体例において、キットは標的分析物の存在または不存在を検出するのに有用な代替分析物−蛋白質複合体を含む。いくつかの具体例において、キットはカプセル化された代替分析物−蛋白質複合体を含む。いくつかの具体例において、キットは、固体支持体に付着される代替分析物−蛋白質複合体を含む。いくつかの具体例において、キットは固体支持体に付着されている代替分析物を含む。いくつかの具体例において、キットは固体支持体に付着されている標識された蛋白質を含む。
【0127】
本明細書中で言及された全ての刊行物および特許出願は、あたかも各刊行物または特許出願が引用により具体的かつ個々に一体化されるのが示されるようにここに引用して一体化させる。本明細書中で用いるセクションの見出しは組織化目的のみのためであって、断じて記載された主題を限定すると解釈されるべきではない。本教示は種々の具体例と組み合わせて記載されるが、本教示はそのような具体例に制限されることを意図しない。対照的に、本教示は、当業者によって認識されるように、種々の変形、修飾および同等物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1A〜Eは、抗原部分、標識部分、切断可能連結基、および反応性部分を含む例示的な標識分子を利用する抗体標識スキームの例示的な具体例を提供する。
【図2】図2A〜Cは、細胞内のカプセル化された分析物受容体系の例示的具体例を提供する。
【図3】図3は、分析物レポーター系の例示的具体例を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)標的部分;
(b)標識部分;
(c)活性化可能反応性部分;および
(d)該標的部分を分子に連結させる切断可能連結基
を含む、蛋白質を特異的に標識するのに有用な標識分子であって、
該標的部分、標識部分、および反応性部分は、該標的部分が該蛋白質に結合でき、かつ該反応性部分が該標識分子を該蛋白質に架橋できるように相互に連結されている、
標識分子。
【請求項2】
前記蛋白質が抗体であって、前記標的部分が該抗体によって認識されるエピトープを含む抗原である請求項1記載の標識分子。
【請求項3】
構造:
TM−(L)−CT−(L)−LM−(L)−RM
を有する請求項2記載の標識分子であって、ここで、
TMは標的部分を表し;
CTは切断可能連結基を表し;
LMは標識部分を表し;
RMは反応性部分を表し;
Lは任意のリンカー部分を表し;および
nは0ないし5の整数である、
標識分子。
【請求項4】
前記標識部分が蛍光部分を含む請求項3記載の標識分子。
【請求項5】
前記蛍光部分がキサンテン色素を含む請求項4記載の標識分子。
【請求項6】
前記キサンテン色素がフルオレセイン色素およびローダミン色素から選択される請求項5記載の標識分子。
【請求項7】
前記標識部分が消光部分を含む請求項3記載の標識分子。
【請求項8】
前記消光部分が蛍光部分の蛍光を消光することができる請求項7記載の標識分子。
【請求項9】
前記反応性部分が特異的に活性化可能である請求項3記載の標識分子。
【請求項10】
前記反応性部分が光−活性化可能である請求項9記載の標識分子。
【請求項11】
前記反応性部分がベンゾフェノンを含む請求項10記載の標識分子。
【請求項12】
前記反応性部分がリンカー部分を介して前記標識部分に連結される、請求項3記載の標識分子。
【請求項13】
前記リンカー部分が1以上の窒素原子を含む請求項12記載の標識分子。
【請求項14】
前記切断可能連結基が1以上のリンカー部分に連結された切断部分を含み、該切断部分が化学切断剤によって切断することができる結合を含む請求項3記載の標識分子。
【請求項15】
前記化学切断剤がフッ化物である請求項14記載の標識分子。
【請求項16】
前記切断可能連結基が構造:
(TE)CM(TE)
を有する請求項14記載の標識分子であって、ここで、
CMは切断部分を表し;
TEは任意の連結基エレメントを表し;および
nは0ないし5の整数である、
標識分子。
【請求項17】
連結基のエレメントが同一である請求項16記載の標識分子。
【請求項18】
連結基のエレメントが異なる請求項16記載の標識分子。
【請求項19】
前記連結基のエレメントが、2ないし25個の炭素原子を有する置換されたまたは置換されていない、飽和されたまたは不飽和の炭化水素を含む請求項16記載の標識分子。
【請求項20】
前記連結基のエレメントが、2ないし10個の炭素原子を有する置換されたまたは置換されていない、飽和されたまたは不飽和の炭化水素を含む請求項16記載の標識分子。
【請求項21】
前記連結基のエレメントが線状、分岐状または環状の、飽和または不飽和アルキルである請求項19または20記載の標識分子。
【請求項22】
前記連結基のエレメントが完全に飽和されたn−アルキルである請求項21記載の標識分子。
【請求項23】
さらに、置換されたまたは置換されていないヘテロ原子を含む請求項19または20記載の標識分子。
【請求項24】
前記切断可能部分が構造:
【化1】

を含む請求項16記載の標識分子であって、ここで、
およびRは炭化水素であり;
TEは任意の連結基エレメントを表し;および
nは0ないし5の整数である、
標識分子。
【請求項25】
前記標識部分、反応性部分、および標的部分が多価リンカーを介して相互に連結された請求項1記載の標識分子。
【請求項26】
1以上の標識部分と共に分析物結合部位に近接し、特異的に標識された分析物に結合することができる蛋白質であって、該蛋白質は他の位置において実質的に標識されていない、蛋白質。
【請求項27】
エピトープを含む抗原に結合することができる抗体である請求項26記載の蛋白質。
【請求項28】
前記蛋白質が蛍光部分で標識された請求項26記載の蛋白質。
【請求項29】
前記蛍光部分がキサンテン色素を含む請求項28記載の蛋白質。
【請求項30】
前記キサンテン色素がフルオレセイン色素およびローダミン色素から選択される請求項29記載の蛋白質。
【請求項31】
前記標識部分が消光部分を含む請求項26記載の蛋白質。
【請求項32】
前記消光部分が蛍光部分の蛍光を消光することができる請求項31記載の蛋白質。
【請求項33】
消光部分を含む代替抗原に結合された請求項26記載の蛋白質。
【請求項34】
蛍光部分を含む代替抗原に結合された請求項26記載の蛋白質。
【請求項35】
カプセル化された請求項33または34記載の蛋白質。
【請求項36】
半浸透性ナノカプセルにカプセル化された請求項33または34記載の蛋白質。
【請求項37】
前記ナノカプセルが分析物分子に対して浸透性であって、前記抗体に対して不浸透性である請求項36記載の蛋白質。
【請求項38】
前記ナノカプセルの直径が10ナノメートルないし1000ナノメートルである請求項36記載の蛋白質。
【請求項39】
前記ナノカプセルが架橋された水溶性ビニルポリマーまたはコポリマーを含む請求項36記載の蛋白質。
【請求項40】
前記ナノカプセルが、さらに、細胞膜標的部分を含む請求項36記載の蛋白質。
【請求項41】
固体支持体に付着されている請求項26記載の蛋白質。
【請求項42】
前記抗体が固体支持体に付着されている請求項27記載の蛋白質。
【請求項43】
前記代替抗原が固体支持体に付着されている請求項33または34記載の蛋白質。
【請求項44】
目的の標識された蛋白質を作製する方法であって:
(a)該蛋白質と、標的部分、標識部分、反応性部分、および該標的部分に連結された切断可能な連結基を含む標識分子とを接触させる工程であって、ここで、該標的部分、標識部分、および反応性部分は、該蛋白質が標的部分に結合する条件下で、該標的部分が該蛋白質に結合し、該反応性部分が該分子を該蛋白質に連結できるように相互に連結される、工程;
(b)該反応性部分を活性化して、該反応性部分および該蛋白質の間に共有結合を形成させる工程;
(c)該切断可能連結基を切断する工程;そして、
(d)該標識された蛋白質複合体から該切断された標的部分を除去する工程;
を包含する、方法。
【請求項45】
前記蛋白質が抗体であって、前記標的部分が該抗体を認識するエピトープを含む抗原である請求項44記載の方法。
【請求項46】
さらに、前記標的部分を含む切断産物から前記標識された抗体を単離する工程を含む、請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記標識部分が蛍光部分を含む、請求項44記載の方法。
【請求項48】
さらに、前記抗体を消光部分を含む代替抗原と接触させる工程を含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記標識部分が消光部分を含む、請求項44記載の方法。
【請求項50】
さらに、前記抗体を、蛍光部分を含む代替抗原と接触させる工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
試料中の標的分析物分子の存在または不存在を検出する方法であって、
該試料を代替分析物−蛋白質複合体と接触させる工程を包含し、
ここで、該複合体は、バックグラウンドシグナルよりも少なくとも3倍大きい、複合体の解離時の検出可能な蛍光シグナルを生じさせることができるレポーター系を含み、ここに、該検出可能な蛍光シグナルの存在は、該標的分析物が該試料中に存在することを示す、方法。
【請求項52】
前記代替分析物−蛋白質複合体が、代替抗原および抗体を含む代替抗原−抗体複合体である請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記代替抗原が消光部分を含み、前記抗体が蛍光部分を含む請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記代替抗原が蛍光部分を含み、前記抗体が消光部分を含む請求項52記載の方法。
【請求項55】
前記代替抗原−抗体複合体はカプセル化されている請求項51または52記載の方法。
【請求項56】
前記代替抗原−抗体複合体が、ナノカプセルからの複合体の拡散を妨げ、かつナノカプセルへの標的分析物分子の拡散を可能とする、浸透性を有するナノカプセルにカプセル化される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記試料が生きた細胞である請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記ナノカプセルが細胞膜に局所化される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記ナノカプセルがオルガネラに局所化される、請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記試料が組織または器官である請求項56記載の方法。
【請求項61】
前記代替抗原−抗体複合体は固体支持体に付着されている請求項51または52記載の方法。
【請求項62】
請求項1ないし61のいずれか1項に記載の蛋白質の断片。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−533167(P2008−533167A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502041(P2008−502041)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/009520
【国際公開番号】WO2006/099537
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】