分析物の検出
分析物を検出するためのキットおよび製造物が開示される。キットは、(i)検出可能な作用因と、(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含み、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。製造物は、包装材と、その中に含有される検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含み、液体組成物は液体およびナノ構造を有し、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物の検出を強化するために使用することができるキットおよび製造物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体分子(例えば、タンパク質)の検出は疾患または医学的状態の診断において非常に有益であり得る。特定のタンパク質の存在または特定のタンパク質に関する性質を明らかにすることによって、研究者は、疾患状態に関係するウイルス、細菌、遺伝子変異または他の状態の存在を確認することができる。さらには、患者のプロテオーム、すなわち、患者特有の一組の発現タンパク質を分析することによって、個体が特定の医薬品または治療法を必要とすることに関する有用な情報を明らかにすることができ、その結果、一連の治療または予防的治療法を調節することができる。タンパク質およびペプチドを検出するための現在の方法には、様々な簡便な方法が含まれ、例えば、ウエスタンブロット分析、免疫化学的アッセイおよび酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などが含まれる。
【0003】
放射性医薬品の使用は一般に、生体分子を検出するための最も一般的な方法である。しかしながら、放射免疫アッセイの非常に成功した広範囲に及ぶ使用はいくつかの問題を生じさせており、そのような問題には、(1)放射能標識された化合物の貯蔵寿命および安定性、(2)放射性廃棄物処分の費用が大きいこと、および、(3)放射性物質の使用だけでなく、同様に液体シンチレーション計測のために必要な溶媒の使用にさらされる結果としての健康被害が含まれる。
【0004】
蛍光を発する化合物が多くの用途で使用されており、また、入射波長および観測波長が異なるので、蛍光が本質的には吸収よりも高感度である生物学的適用のために特に好適であることが知られている。蛍光を、細胞全体、細胞成分および細胞機能の検出のために使用することができる。例えば、多くの診断技術および分析技術では、サンプルを、サンプルが検出され得るように蛍光標識することが要求される。これは、例えば、細胞、組織、タンパク質、抗体、酵素、薬物、ホルモン、脂質、ヌクレオチド、核酸、炭水化物、あるいは、天然ポリマーまたは合成ポリマーなど、広範囲の様々な物質と相互作用して、蛍光性コンンジュゲートを作製する蛍光性の色素またはプローブを使用することによって達成される。
【0005】
合成された蛍光性プローブの場合、リガンドが、観測されることになる生化学反応に対する特異性を与えるためにしばしば使用され、蛍光性色素により、その相互作用を検出または定量するための手段が提供される。これらの適用には、とりわけ、タンパク質の検出(例えば、ゲル内、表面または水溶液におけるタンパク質の検出)、細胞追跡、酵素活性の評価、および、核酸または他の生体ポリマーを染色することが含まれる。
【0006】
化学発光、すなわち、化学反応による光の生成、および、生物発光、すなわち、一部の生物によって生成される光が、タンパク質の検出においてだけでなく、DNA配列決定および他の関連した研究においても、放射性標識に取って代わる可能性のある代替物として試験されている。化学発光は、放射能標識化を上回る大きな利点を提供する。これは、化学発光により、冷光が生じるからであり、すなわち、その生じた光が、反応に関与する原子および/または分子の振動によってではなく、電子エネルギーへの化学物質の直接的な変換によって引き起こされるからである。したがって、有機化合物の化学発光に関する研究は、現在行われている重点領域の1つである。ちなみに、化学発光はまた、微量元素および汚染物質を環境規制のために検出および測定するためにも好都合である。
【0007】
最も良く知られている化学発光反応は、安定化された酵素誘発可能な1,2−ジオキセタン系化合物、アクリダン系化合物、アクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノールおよびその誘導体、または、ルシゲニンのいずれかを、化学的作用因、反応剤または基質として用いる化学発光反応である。
【0008】
西洋ワサビペルオキシダーゼが、使用するために広範囲に入手可能であり、かつ、安価であるので、様々なアッセイのために広く使用される。西洋ワサビペルオキシダーゼは、環状ヒドラジド、フェノール誘導体、アクリダン誘導体および生物発光系の成分を含めて、広範囲の基質の発光性酸化を触媒する。他の好適な基質にはまた、(a)ルミノールおよび関連化合物、(b)ピロガロールおよびプルプロガリン、(c)アクリダンカルボン酸誘導体、(d)ヒカリカモメガイ(Pholas dactlus)およびホタル(キタアメリカホタル(Photinus pyralis))またはウミホタル(Cypridina)から単離される各種ルシフェリンが含まれる。これらの光生成反応は、それらの検出限界、特異性、試薬の入手性、ならびに、光放射の大きさおよび速度論において広範囲に異なる。このことは、当然のことながら、それらの適用性を制限する。
【0009】
数多くの蛍光性基質および化学発光基質がこの技術分野では知られている一方で、それらのシグナル強度、それらのシグナル対バックグラウンド比および/またはそれらの安定性を改善することが依然として求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの局面によれば、(i)検出可能な作用因と、(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む、分析物を検出するためのキットが提供され、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0011】
本発明の別の局面によれば、包装材と、包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、この場合、液体組成物は液体およびナノ構造を有し、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0012】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、整列した流体分子の前記エンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0013】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、分析物は生体分子である。
【0014】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生体分子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、脂質およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0015】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は非直接的に検出可能である。
【0016】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、非直接的に検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である。
【0017】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は直接的に検出可能である。
【0018】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は親和性認識成分を含む。
【0019】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、親和性認識成分は、アビジン誘導体、ポリヌクレオチドおよび抗体からなる群から選択される。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、直接的に検出可能な作用因は、リン光性作用因、化学発光性作用因および蛍光性作用因からなる群から選択される。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応のエンハンサーを含む。
【0022】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、エンハンサーは、p−ヨードフェノール、3,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、1,2,4−トリアゾール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、フェノール、2−ナフトール、10−メチルフェノチアジン、セチルトリメチルアンモニウム臭化物およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに酸化作用因を含む。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酸化作用因は、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素、過ホウ酸塩、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)からなる群から選択される。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応のための酵素を含む。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酵素は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよびβ−グルクロニダーゼからなる群から選択される。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酵素は抗体またはアビジン誘導体にコンジュゲート化される。
【0028】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応の阻害剤を含む。
【0029】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な生成物は、蛍光性生成物、化学発光性生成物、リン光性生成物および発色性生成物からなる群から選択される。
【0030】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光性生成物を生じさせることができる基質は蛍光団を含む。
【0031】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAOからなる群から選択される分子に由来する。
【0032】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光性生成物を生じさせることができる基質は、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンからなる群から選択される。
【0033】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、発色性生成物を生じさせることができる基質は、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)からなる群から選択される。
【0034】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化学発光性生成物を生じさせることができる基質は、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールからなる群から選択される。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、流体分子の少なくとも一部がガス状状態である。
【0037】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である。
【0038】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はナノ構造のクラスターを形成することができる。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される。
【0042】
本発明は、分析物を検出する能力が高められた組成物を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0043】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。本明細書中に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照として援用される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0044】
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1A〜Fは、ナノ構造を含む水を使用するECL反応の感度における増大を例示するオートラジオグラフの写真である。Jurkat細胞株の7.5μgストリップ(図1A、図1Cおよび図1E)および15μgストリップ(図1B、図1Dおよび図1F)に等しい細胞溶解物をSDS−PAGEに供し、その後、ニトロセルロースメンブランへのタンパク質ブロッティングを行った。ZAP70に対して惹起されたポリクローナル抗体とのインキュベーションの後、免疫反応性タンパク質のバンドをHRPコンジュゲート化二次Abとの反応および免疫ペルオキシダーゼECL検出システムによる現像によって可視化した。レーン1−標準反応試薬;レーン2−全試薬+ナノ構造を含む水を使用する緩衝液;レーン3−ナノ構造を含む水を用いて作製される反応体積。
【図2】図2は、557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図3A】図3Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図3B】図3Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図3C】図3Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図4A】図4Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図4B】図4Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図4C】図4Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図5A】図5Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図5B】図5Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図5C】図5Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図6】図6は、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図7A】図7Aは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図7B】図7Bは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図7C】図7Cは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図8】図8A〜Bは、ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図9A】図9Aは、RF水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図9B】図9Bは、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフである。矢印は2回目の照射を示す。
【図9C】図9Cは、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図10】図10は、RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図11A−11C.11F−11H】図11A〜Cおよび図11F〜Hは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例6のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11D−11E.11I−11J】図11D〜Eおよび図11I〜Jは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例6のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図12A】図12Aは、ナノドロップで測定されたときの、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図12B】図12Bは、ナノドロップで測定されたときの、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図12C】図12Cは、ナノドロップで測定されたときの、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図13】図13は、バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図14】図14は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図15】図15は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図16】図16は、CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図17】図17は、t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図18A】図18Aは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Bの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18B】図18Bは、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Bの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18C】図18Cは、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Aの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18D】図18Dは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Aの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図19】図19は、エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図20A】図20Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの分光光度計測定のグラフである。
【図20B】図20Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの分光光度計測定のグラフである。
【図20C】図20Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの分光光度計測定のグラフである。
【図20D】図20Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の分光光度計測定のグラフである。
【図20E】図20Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の分光光度計測定のグラフである。
【図20F】図20Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの分光光度計測定のグラフである。
【図20G】図20Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの分光光度計測定のグラフである。
【図21A】図21Aは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21B】図21Bは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21C】図21Cは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21D】図21Dは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21E】図21Eは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21F】図21Fは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21G】図21Gは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図22】図22は、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図23】図23は、ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図24】図24A〜Bは、試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図24Aは、24時間放置された試験チューブを例示し、図24Bは、48時間放置された試験チューブを例示する。
【図25】図25A〜Cは、加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図25A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図25B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図25C)の写真である。
【図26】図26A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図26A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図26B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図26C)の写真である。
【図27】図27A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図27A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図27B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図27C)の写真である。
【図28】図28A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【図29】図29A〜Dは、Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図29A)、振とう後30分の写真(図29B)、振とう後60分の写真(図29C)および振とう後120分の写真(図29D)である。
【図30】図30は、分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図31】図31A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図31A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図31B)である。
【図32】図32A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図32A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図32B)である。
【図33】図33A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33B)である。
【図34】図34は、293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【図35】図35A〜Bは、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例14に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図36】図36は、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例15に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図37A】図37Aは、Neowater(商標)およびDMSOにおける0.5mMタキソールの分光光度法による読み取りを例示するグラフである。
【図37B−37C】図37B〜Cは、Neowater(商標)およびDMSOにおけるタキソールのHPLCによる読み取りである。図37Bは、タキソールの新たに調製された標準(DMSO)配合物のHPLCによる読み取りを例示する。図37Cは、−20℃での6ヶ月の貯蔵の後における、Neowater(商標)に分散されたタキソールのHPLCによる読み取りを例示する。
【図38】図38は、DMSO配合物またはNeowater(商標)配合物における様々なタキソール濃度のPC3細胞生存性を例示する棒グラフである。それぞれの点が8個の反復実験からの平均+/−標準偏差を表す。
【図39】図39は、100%のアセトンに溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図40】図40は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図41】図41A〜Bは、セファロスポリン濃度が異なるLBにおけるDH5αの増殖曲線である。細菌を2回別々に37℃および220rpmで増殖させた。
【図42】図42A〜Bは、2回別々に接種後7時間における、コントロールでの増殖(セファロスポリン非添加)に対する参照での2つの異なるセファロスポリン濃度によるDH5αの生存性を例示する棒グラフである(コントロール群は100μlのNeowater(商標)を含有する)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、分析物の検出を強化するために使用することができるキットおよび製造物に関する。
【0047】
本発明によるキットおよび製造物の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解されることができる。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の記載において示されるか、または、実施例において例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施することができ、または、様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定するものとして見なすべきでないことを理解しなければならない。
【0049】
医療検査企業および診断検査企業は、生体分子を検出するためのより高感度な方法を絶えず求めている。例えば、医療は、ウイルスを検出する非常に高感度な方法を明らかに必要としている。化学物質または他の物質を検出するためのより高感度なアッセイはまた、広範囲の環境領域において有用であると考えられ、この場合、早期の検出が行われれば、災害を阻止するために十分に早期の是正活動を開始することができる。非常に高感度な検出技術はまた、半導体製造の最適化された制御のためにも有用であり得る。
【0050】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、ナノ構造(例えば、米国特許出願第60/545955号および同第10/865955号、ならびに、国際特許出願公開番号WO2005/079153に記載されるナノ構造など)を含む組成物が分析物の検出を高めることを発見している。
【0051】
本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、ナノ構造および液体がECLタンパク質検出システムの感度を増大させることを明らかにしている。
【0052】
したがって、本発明の1つの局面によれば、包装材と、包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、この場合、液体組成物は液体およびナノ構造を有し、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0053】
本明細書中で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートルまたはサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートルまたはそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、または数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施形態のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、または一つ以上のナノ粒子および一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0054】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0055】
本発明のこの局面による一つの好ましい実施形態によれば、液体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、これらの流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような液体組成物は、本発明者の米国特許出願第60/545955号および第10/865955号、並びに国際特許出願公開WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0056】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質および圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転または再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性または強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0057】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0058】
本明細書中で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0059】
本明細書中で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0060】
好ましくは、エンベロープの流体分子は液体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、液体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0061】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施形態のナノ構造は、液体の比重より低いかまたはそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0062】
流体分子は液体状態またはガス状状態またはそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0063】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0064】
理論にとらわれることはないが、ナノ構造間の長距離相互作用が液体組成物の特有の特徴に役立ち、その結果、液体組成物が検出システムの感度を高めていると考えられる。例えば、本発明者らは、本発明の組成物がタンパク質を熱の影響から保護し、タンパク質を安定化すること(実施例14および実施例15)、および、高まった緩衝能力(すなわち、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力)を含むこと(実施例2〜実施例5)を示している。これらの要因はともに、検出システムにおけるタンパク質の状態に寄与することができ、したがって、検出システムの全体的な感度を高めることができる。
【0065】
本明細書中で使用される表現「緩衝能力」は、酸または塩基が添加されたとき、安定なpHを維持する組成物の能力を示す。
【0066】
さらに、本発明者らは、本発明の組成物により、様々な作用因の溶解性が高まることを示している(実施例6〜実施例13および実施例15〜実施例17)。このことが結果的には、検出システムの高まった感度につながるかもしれない。
【0067】
本発明のこの局面に従ったナノ構造の製造は、「トップダウン」プロセスを使用して行うことができる。このプロセスは、固体粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末または合成ポリマー)が、十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越えて加熱される下記の方法工程を含む。
【0068】
意図される固体粉末の例には、BaTiO3、WO3およびBa2F9O12が含まれるが、これらに限定されない。驚いたことに、本発明者はまた、ハイドロキシアパタイト(HA)もまた本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0069】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,AldrichおよびClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0070】
表1に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0071】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃または2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体および粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上、700MHzより高いものによって照射され、それは連続波RF放射線または変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0072】
本発明者らは、ナノ構造および液体を含む組成物が、検出可能なシグナルの強化によって、および/または、そのようなシグナルの生成に関わる酵素の活性を増大させることによってそのどちらかで検出システムの感度を増大させ得るのではないかと推測している。
【0073】
本明細書中上記で記載されるナノ構造および液体を含む組成物はキットの一部を形成し得ることが理解される。
【0074】
したがって、本発明の別の局面によれば、
(i)検出可能な作用因と、
(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物と
を含む、分析物を検出するためのキットが提供され、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0075】
本発明のキットは、所望されるならば、本発明のキットの1つまたは複数のユニットを含有し得るパックで提示され得る。そのようなパックには、キットを使用するための説明書が付随し得る。パックはまた、実験室補助品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められる形式で容器に関連する通知によって適用させられることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態の当局による承認を反映する。
【0076】
本明細書中で使用される用語「分析物」は、検出されるべき分子または化合物を示す。好適な分析物には、生体分子を含めて、様々な有機分子および無機分子が含まれる。分析物は、環境または臨床での化学物質または汚染物質または生体分子である場合があり、これらには、農薬、殺虫剤、毒素、治療用薬物および乱用薬物、ホルモン、抗生物質、有機物および溶媒が含まれるが、これらに限定されない。好適な生体分子には、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ステロイド、細胞そのもの[原核生物細胞(例えば、病原性細菌など)および真核生物細胞(哺乳動物の腫瘍細胞を含む)を含む]、ウイルス、胞子などが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい分析物は、タンパク質(酵素を含む);薬物、抗体;抗原;細胞膜抗原および受容体(神経受容体、ホルモン受容体、栄養素受容体および細胞表面受容体)またはそのリガンドである。
【0077】
本発明の検出キットは、液体およびナノ構造を含む液体組成物に基づく高まった感度を示す。
【0078】
本発明では、液体およびナノ構造を含む組成物における検出のために、および/または、検出アッセイを行うために要求される少なくとも1つの成分を可溶化することが想定され、この場合、水成分は、少なくとも一部が、液体およびナノ構造を含む組成物に交換される。検出アッセイの液体部分は、5%、より好ましくは10%、より好ましくは20%、より好ましくは40%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、一層より好ましくは100%の本発明の液体組成物を含むことができる。
【0079】
液体およびナノ構造を含む組成物を含むのと同様に、本発明のキットはまた、検出可能な作用因を含む。
【0080】
本発明のこの局面の一実施形態によれば、検出可能な作用因は、典型的には特定の波長の放射線を放出することに基づいて直接的に検出可能である(例えば、蛍光性作用因、リン光性作用因または化学発光性作用因である)。
【0081】
特定の分析物を検出するために、典型的には、そのような検出可能な作用因は、標的分析物に結合する親和性認識成分を含む。親和性認識成分の例には、アビジン誘導体(例えば、アビジン、ストレプトアビジンおよびヌトラビジン)、抗体およびポリヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
アビジンは、等電点が約10.5である多カチオン性の66000ダルトンの糖タンパク質である。ストレプトアビジンは、ほぼ中性の等電点を有するグリコシル化されていない52800ダルトンのタンパク質である。ヌトラビジンはアビジンの脱グリコシル化形態である。これらのタンパク質のすべてが、ビオチンに対する非常に大きい親和性および選択性を有しており、それぞれが分子あたり4個のビオチンと結合することができる。アビジン認識成分を含む検出可能な作用因を、天然に存在するビオチン化された生体分子、または、ビオチンを含むように人為的に操作されている生体分子を検出するために使用することができる。
【0083】
本発明において使用される用語「抗体」は、特定のタンパク質またはポリペプチドに結合することができる無傷の分子、ならびに、その機能的フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2およびFvなど)を包含する。
【0084】
本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはそれらの模倣体の一本鎖または二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを示す。この用語には、天然に存在する塩基、糖および共有結合のヌクレオチド間連結(例えば、骨格)から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに、天然に存在するそれぞれの部分と類似して機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。標識されたポリヌクレオチドを、標識されたポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションすることができるサンプル中のポリヌクレオチドを検出するために使用することができる。
【0085】
本明細書中で使用される表現「ハイブリダイゼーションすることができる」は、塩基対形成することを示し、この場合、核酸作用因の少なくとも一方の鎖は少なくとも一部が、H19 mRNAに対して相同的である。
【0086】
本発明のこの局面の別の実施形態によれば、本発明のキットの検出可能な作用因はまた、非直接的に検出可能である。例えば、検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である場合がある。
【0087】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質は典型的には、蛍光団を含む。そのような蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAO(これらに限定されない)を含めて、多くの分子に由来することができる。
【0088】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質の例には、可溶性の蛍光性生成物を生じさせる基質(例えば、水溶性のクマリン系化合物に由来する基質、緑色〜黄色の水溶性蛍光団に由来する基質、水溶性の赤色蛍光団に由来する基質、チオール反応性の蛍光発生基質、親油性蛍光団、ペンタフルオロベンゾイル蛍光発生酵素基質)、不溶性の蛍光性生成物を生じさせる基質、励起状態のエネルギー転移に基づく基質、および、不連続な酵素アッセイのための蛍光性の誘導体化試薬が含まれるが、これらに限定されない。そのような基質に関する詳細をInvitrogenのウエブサイト(例えば、http://probes.invitrogen.com/handbook/sections/1001.html)において見出すことができる。
【0089】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質の具体的な例には、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
化学発光性生成物を生じさせることができる基質の例には、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
発色性生成物を生じさせることができる基質の例には、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
キットは、種々の検出アッセイにおいて有用でありうる。
【0093】
下記は、本発明のキットを使用して行うことができる、ポリヌクレオチドを検出するためのアッセイの列挙である。
【0094】
ノーザンブロット分析:この方法は、RNAの混合物において特定のRNAを検出することを伴う。RNAサンプルが、塩基対間の水素結合の形成を妨げ、これにより、RNA分子のすべてが、折り畳まれていない線状の立体配座を有することを保証する作用因(例えば、ホルムアルデヒド)による処理によって変性させられる。その後、個々のRNA分子がゲル電気泳動によってサイズに従って分離され、変性したRNAが付着するニトロセルロースメンブランまたはナイロン系メンブランに転写される。その後、メンブランは、標識されたDNAプローブにさらされる。プローブを、酵素連結されたヌクレオチドを使用して標識することができる。検出を、比色反応または化学発光を使用して行うことができる。この方法は、特定のRNA分子の量を定量すること、および、電気泳動期間中のゲルにおける移動距離を示すメンブラン上での相対的な位置によってその同一性を明らかにすることの両方を可能にする。
【0095】
RNAインシトゥーハイブリダイゼーション染色:この方法では、DNAプローブまたはRNAプローブが、細胞に存在するRNA分子に結合させられる。一般には、細胞が最初に、細胞構造を失わないようにするために、また、RNA分子が分解されないようにするために顕微鏡スライドガラスに固定され、その後、標識されたプローブを含有するハイブリダイゼーション緩衝液に供される。ハイブリダイゼーション緩衝液には、DNAプローブまたはRNAプローブが、プローブの非特異的な結合を避けながら、その標的mRNA分子とその場において特異的にハイブリダイゼーションすることを可能にするホルムアミドおよび塩(例えば、塩化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)などの試薬が含まれる。当業者は、ハイブリダイゼーション条件(すなわち、温度、塩およびホルムアミドの濃度およびその他)を特定のプローブおよび細胞タイプに対して調節することができる。ハイブリダイゼーション後、何らかの結合していないプローブが洗い流され、スライドガラスが、化学発光を伴うプローブを使用して生じさせられるシグナルを明らかにする写真乳剤、または、酵素連結の標識されたプローブを使用して生じさせられるシグナルを明らかにする比色反応のいずれかに供される。
【0096】
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ:この方法では、本発明のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイゼーションすることができるオリゴヌクレオチドプローブが固体表面(例えば、ガラスウエハー)に結合させられる。それぞれのオリゴヌクレオチドプローブは長さがおよそ20個〜25個の核酸である。特定の細胞サンプル(例えば、血液細胞)における本発明のポリヌクレオチドの発現パターンを検出するために、RNAが、この技術分野で知られている方法を使用して(例えば、TRIZOL溶液(Gibco BRL、米国)を使用して)細胞サンプルから抽出される。ハイブリダイゼーションを、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、5’−ビオチン化プローブ)、または、相補的DNA(cDNA)もしくは相補的RNA(cRNA)の標識されたフラグメントのいずれかを使用して行うことができる。簡単に記載すると、二本鎖のcDNAが、逆転写酵素(RT)(例えば、Superscript II RT)、DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼIを使用してRNAから調製される(すべてが製造者の説明書(Invitrogen Life Technologies(Frederick、MD、米国)に従って使用される)。標識されたcRNAを調製するために、二本鎖cDNAが、例えば、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit(Enzo、Diagnostics、Affymetix Santa Clara、CA)を使用してビオチン化ヌクレオチドの存在下でのインビトロ転写反応に供される。効率的なハイブリダイゼーションのために、標識されたcRNAは、RNAを、40mMのTris酢酸塩(pH8.1)、100mMの酢酸カリウムおよび30mMの酢酸マグネシウムにおいて94℃で35分間インキュベーションすることによってフラグメント化することができる。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイは洗浄され、ハイブリダイゼーションシグナルが、プローブアレイに結合した標識されているcRNAによって放出される蛍光強度を測定する共焦点レーザー蛍光スキャナを使用して走査される。
【0097】
例えば、Affymetrixマイクロアレイ(Affymetrix(登録商標)、Santa Clara、CA)では、アレイ上のそれぞれの遺伝子が一連の異なるオリゴヌクレオチドプローブによって表される。この場合、オリゴヌクレオチドプローブの各プローブ対が完全一致のオリゴヌクレオチドおよびミスマッチのオリゴヌクレオチドからなる。完全一致のプローブは、特定の遺伝子に対して正確に相補的な配列を有しており、したがって、特定の遺伝子の発現レベルの測定を可能にする一方で、ミスマッチのプローブは、中心の塩基位置での一塩基置換によって完全一致のプローブとは異なる。ハイブリダイゼーションシグナルが、Agilentスキャナを使用して走査され、Microarray Suiteソフトウエアにより、ミスマッチのプローブに由来する非特異的なシグナルが、完全一致のプローブに由来するシグナルから引かれる。
【0098】
下記は、本発明のキットを使用して行うことができる、ポリペプチドを検出するためのアッセイの列挙である。
【0099】
ウエスタンブロット:この方法は、基質をアクリルアミドゲルによって他のタンパク質から分離すること、その後、基質をメンブラン(例えば、ナイロンまたはPVDF)に転写することを伴う。その後、基質の存在が、基質に対して特異的な抗体によって検出され、次に、この抗体が抗体結合試薬によって検出される。抗体結合試薬は、例えば、プロテインAまたは他の抗体であり得る。抗体結合試薬は、本明細書中上記で記載されるように放射能標識することができ、または、酵素連結することができる。検出を、オートラジオグラフィー、比色反応または化学発光によって行うことができる。この方法は、基質の量を定量すること、および、電気泳動期間中のアクリルアミドゲルにおける移動距離を示すメンブラン上での相対的な位置によってその同一性を明らかにすることの両方を可能にする。
【0100】
蛍光活性化細胞分取(FACS):この方法は、基質を基質特異的な抗体によって細胞においてその場で検出することを伴う。基質特異的な抗体が蛍光団に連結される。検出が、細胞が光ビームを通過するときにそれぞれの細胞から放出される光の波長を読み取る細胞分取装置によって行われる。この方法は2つ以上の抗体を同時に用いることができる。
【0101】
免疫組織化学分析:この方法は、基質を、基質特異的な抗体によって、固定処理された細胞においてその場で検出することを伴う。基質特異的な抗体は酵素に連結され得るか、または、蛍光団に連結され得る。検出が、顕微鏡、および、主観的評価または自動的評価によって行われる。酵素連結抗体が用いられるならば、比色反応が必要とされる場合がある。免疫組織化学では、多くの場合、細胞の核を、例えば、ヘマトキシリン染色またはギムザ染色を使用して対比染色することが続いて行われることが理解される。
【0102】
インシトゥー活性アッセイ:この方法によれば、発色性基質が、活性な酵素を含有する細胞に適用され、その酵素により、基質が分解されて、光学顕微鏡または蛍光顕微鏡によって視認され得る発色性生成物を生じさせる反応が触媒される。
【0103】
本発明の1つの局面によれば、キットは、固定化されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、化学発光検出アッセイを使用して検出するために使用することができる。
【0104】
このアッセイでは、標的分析物が、化学発光性基質の酸化を酸化作用因の存在下で触媒することができる酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)に直接的または間接的のいずれかで結合させられる。酸化後、基質は励起状態にあり、検出可能な光波を放出する。光放出の強い強化をエンハンサーによって生じさせることができる。
【0105】
したがって、そのようなキットは、本発明の液体組成物および検出可能な作用因(すなわち、化学発光性化合物、例えば、ルミノール、および、本明細書中上記で記載される化学発光性化合物など)に加えて、化学発光性基質を酸化することができる酵素を含むことができる。典型的には、酵素は、抗体またはアビジン誘導体(例えば、ストレプトアビジンなど)にコンジュゲート化される。そのような酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼおよびカタラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明のこの局面によるキットはまた、酸化剤を含むことができる。例示的な酸化作用因には、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素または過ホウ酸塩が含まれる。当業者に知られている他の酸化剤または酸化作用因を本明細書中で使用することができる。好ましい酸化剤は、過酸化水素または尿素過酸化水素のいずれか、および、それらの混合物である。
【0107】
上述されるように、本発明のこの局面のキットはまた、化学発光エンハンサーを含むことができる。一般に、本明細書中で使用されるエンハンサーは、有機溶媒または緩衝液に可溶性である有機化合物で、化学発光性有機化合物と、酸化剤と、酵素または他の生物学的分子との間における発光反応を強化する有機化合物を含む。好適なエンハンサーには、例えば、ハロゲン化フェノール類(例えば、p−ヨードフェノール、p−ブロモフェノール、p−クロロフェノール、4−ブロモ−2−クロロフェノール、3,4−ジクロロフェノールなど)、アルキル化フェノール類(例えば、4−メチルフェノールおよび4−tert−ブチルフェノールなど)、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートおよび同様な化合物、4−ベンジルフェノール、4−(2’,4’−ジニトロスチリル)フェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、p−フルオロケイ皮酸、p−ニトロケイ皮酸、p−アミノケイ皮酸、m−ヒドロキシケイ皮酸、o−ヒドロキシケイ皮酸、4−フェノキシフェノール、4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェノール、p−フェニルフェノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、4’−(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、4−(フェニルアゾ)フェノール、4−(2’−カルボキシフェニルアゾ)フェノール、1,6−ジブロモナフト−2−オール、1−ブロモナフト−2−オール、2−ナフトール、6−ブロモナフト−2−オール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2,6−ジヒドロキシベンゾチアゾール、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール、デヒドロルシフェリン、ホタルルシフェリン、フェノールインドフェノール、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、2,6−ジクロロフェノール−o−クレゾール、フェノールインドアニリン、N−アルキルフェノキサジンまたは置換N−アルキルフェノキサジン、N−アルキルフェノチアジンまたは置換N−アルキルフェノチアジン、N−アルキルピリミジルフェノキサジンまたは置換N−アルキルピリミジルフェノキサジン、N−アルキルピリジルフェノキサジン、2−ヒドロキシ−9−フルオレノンまたは置換2−ヒドロキシ−9−フルオレノン、6−ヒドロキシベンゾオキサゾールまたは置換6−ヒドロキシベンゾオキサゾールが含まれる。さらに他の有用な化合物には、酵素によって切断され得る保護されたエンハンサー、例えば、p−フェニルフェノールホスファートまたはp−ヨードフェノールホスファート、あるいは、他の酵素切断可能な基を有する他のフェノールホスファート、ならびに、p−フェニレンジアミンおよびテトラメチルベンジジンなどが含まれる。他の有用なエンハンサーには、フルオレセイン、例えば、5−(n−テトラデカニル)アミノフルオレセインなどが含まれる。
【0108】
本発明の別の局面によれば、キットは、固定化されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、蛍光または発色による検出アッセイを使用して検出するために使用することができる。西洋ワサビペルオキシダーゼまたはその誘導体を含む代わりに、そのようなキットは、典型的には、アルカリホスファターゼと、蛍光性基質または発色性基質とを含む。発色性生成物を生じさせるための酸化作用因もまた、キットに含めることができる(例えば、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)など)。
【0109】
本発明のキットはまた、細胞および細胞抽出物におけるいくつかの一般的なレポーター遺伝子の発現を検出するために使用することができる。したがって、キットは、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼおよびルシフェラーゼのための基質を含むことができる。
【0110】
本発明のキットはさらに、酵素反応のための阻害剤を含むことができる。そのような阻害剤の例には、レバミゾール、L−p−ブロモテトラミゾール、テトラミゾールおよび5,6−ジヒドロ−6−(2−ナフチル)イミダゾ−[2,1−b]チアゾールが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、ナノ構造は、液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0112】
セファロスポリンは、可溶化プロセスを助けるために本発明の液体組成物を加える前の溶媒、または、加えた後の溶媒に溶解することができる。本発明では、この物質の溶解性をさらに増大させるために、極性、非極性、有機(例えば、エタノールまたはアセトンなど)または非有機を含む任意の溶媒の使用が意図されることが理解される。
【0113】
溶媒は、物質が本発明の液体組成物に溶解/分散されたままであるように可溶化プロセスの期間中の任意のときに(完全または部分的に)除くことができる。溶媒を除く様々な方法がこの技術分野では知られている(例えば、エバポレーション(すなわち、加熱、または、圧力を加えることによるエバポレーション)、または、任意の他の方法など)。
【0114】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0115】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0116】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Freshney著「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」、Wiley−Liss、N.Y.(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0117】
実施例1
ECL検出システムに対する、ナノ構造を含む水の影響
電気化学発光反応の感度が、ナノ構造を含む水によって影響されるかどうかを明らかにするために、HRPコンジュゲート化二次抗体を、免疫ペルオキシダーゼECL検出システムを上記水の存在下および非存在下で使用して検出した。
【0118】
材料および方法
ECL試薬の調製:ストックA
a)DMSO(Fluca、0−9253)における250mMのルミノール(Sigma、C−9008)の50μl。
b)DMSOにおける90mMのp−クマル酸(Sigma、C−9008)の22μl。
c)0.5mlのTris(1M、pH8.5)。
d)4.428mlのH2O(合計で5ml)。
【0119】
ストックB
a)3μlのH2O2。
b)0.5mlのTris(1M、pH8.5)。
c)4.5mlのH2O(合計で5ml)。
【0120】
ECL試薬の3つの異なる供給源を使用した。
1.標準。自家製
2.Ver1.0−dH2Oを、試薬および緩衝液のすべてについて、ナノ構造を含む水で置き換えた。
3.Ver1.1−反応体積のdH2Oを、ナノ構造を含む水で置き換えた。
【0121】
全細胞タンパク質抽出物をJurkat細胞から作製した。タンパク質抽出物をSDS−PAGEに供し、その後、ニトロセルロースメンブランへのタンパク質ブロッティングを行った。ZAP70タンパク質について特異的な抗体(自家製ポリクローナル血清Ab)を1:30000の希釈度でメンブランとインキュベーションした(通常の作業希釈度は1:3000である)。抗体による免疫反応性タンパク質のバンドを、HRPコンジュゲート化二次抗体と反応し、その後、免疫ペルオキシダーゼECL検出システムにより現像することによって可視化した。本質的には、等体積のストックAおよびストックBを一緒にし、検出ミックスを5分間平衡化した。この検出ミックスを(タンパク質側を上側にした)ブロットに直接に加え、室温で3分間インキュベーションした。その後、x線フィルムを、ニトロセルロースメンブランに対して、1分間、5分間および10分間感光させた。
【0122】
結果
図1に例示されるように、水を、ナノ構造を含む水で置き換えることにより、ECL反応の感度が増大する。
【0123】
明確化のために別々の実施形態の状況において記載される本発明のいくつかの特徴が、1つの実施形態において組合せでも提供され得ることが理解される。逆に、簡略化のために1つの実施形態の状況において記載される本発明の様々な特徴がまた、別々に提供され得るか、または、任意の好適な部分組合せで提供され得る。
【0124】
実施例2
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0125】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0126】
結果
表1には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0127】
図2および表2に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0128】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0129】
実施例3
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0130】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
【0131】
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
【0132】
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0133】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図3A〜Cおよび図4A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図5A〜Cおよび図6に示す。
【0134】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大する。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0135】
実施例4
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0136】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0137】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0138】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0139】
結果
図7A〜Cおよび図8A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0140】
実施例5
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0141】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0142】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0143】
実験を三連で行った。
【0144】
結果
図9A〜Cおよび図10から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0145】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0146】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0147】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0148】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0149】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0150】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0151】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0152】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0153】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した。
【0154】
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0155】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0156】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0157】
結果
図11A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図11A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0158】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図12A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図12B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図12C)。
【0159】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0160】
実施例7
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0161】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0162】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0163】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0164】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0165】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部に漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0166】
分光光度計での測定(図13)は、アセトンの存在下および非存在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0167】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0168】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0169】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0170】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0171】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0172】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0173】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0174】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0175】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図14)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図15)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0176】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0177】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0178】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図16)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0179】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0180】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0181】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0182】
結果
分光光度計での測定が図17に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0183】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0184】
実施例8
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0185】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0186】
結果
エタノールの存在下および非存在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図18A〜Dに示す。
【0187】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0188】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0189】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0190】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0191】
図19に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0192】
実施例9
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む担体の能力
ナノ構造を含む担体組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0193】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0194】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で増殖させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0195】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図20A〜Gに示す。図21A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0196】
実施例10
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0197】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0198】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0199】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0200】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0201】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図22を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図23に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0202】
実施例11
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0203】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0204】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図24A〜B)。
【0205】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0206】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0207】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0208】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図25A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図26A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図27A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図28A〜Cに示す。
【0209】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0210】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにもかかわらず、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0211】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0212】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0213】
結果
図29A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図30は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0214】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図30)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0215】
実施例12
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0216】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図31A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図31B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0217】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図32A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0218】
実施例13
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0219】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で増殖させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0220】
結果
タキソールは、図33A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図34に示す。
【0221】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0222】
実施例14
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0223】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0224】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0225】
結果
図35A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0226】
実施例15
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む液体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0227】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0228】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0229】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0230】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0231】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0232】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0233】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0234】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0235】
結果
図36に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0236】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物はタキソールを溶解することができることのさらなる証拠
下記の実験を、ナノ構造を含むキャリア組成物が0.08%のエタノールの存在下において0.5mMの最終濃度で物質タキソール(パクリタキセル)を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0237】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を調製した(4mlにおいて0.0017gr)。タキソールをエタノールに溶解し、20日間に及んだRT緩速溶媒交換手法を使用してNeowater(商標)に交換した。この手法が終了したとき、40%未満のエタノールが溶液中に残存し、最終的な投与濃度において0.08%のエタノールをもたらした。溶液を、0.2μmのフィルターを使用して滅菌した。別途、タキソールをDMSOにおいて調製した(0.5mM)。両方の溶液を−20℃で保った。吸光度を分光光度計により検出した。
【0238】
細胞生存性アッセイ:2000個のPC3細胞を、10%のFCSを含むRPMIに基づく培地の100μlとともに96ウエルプレートの各ウエルに播種した。播種後24時間で、0.5mMタキソールの2μl、1μlおよび0.5μlを1mlのRPMI培地で希釈し、これにより、1μM、0.5μMおよび0.25μMの最終濃度をそれぞれ得た。少なくとも8個の反復する反応を処理あたり行った。細胞増殖を、タキソール添加後24時間で、クリスタルバイオレット比色アッセイを使用して細胞密度を定量することによって評価した。
【0239】
処理後24時間で、細胞をPBSにより洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにより固定処理した。クリスタルバイオレットを加え、室温で10分間インキュベーションした。細胞を3回洗浄した後、50%エタノールにおいて100Mクエン酸ナトリウムを含む溶液を使用して、色を細胞から溶出した。光学濃度の変化を、分光光度法によるプレートリーダーを使用して570nmで読み取った。細胞生存性を、ブランクを引いた後、コントロールでの光学濃度(これは100%であると見なされる)の百分率として表した。
【0240】
結果
DMSOまたはNeowater(商標)に溶解された0.5mMタキソールの分光光度法による吸光度が図37Aに例示される。図37B〜図37Cは両方の配合物についてのHPLCによる読み取りである。測定結果は、Neowater(商標)に分散されたタキソールの配合における構造的な変化が6ヶ月の貯蔵期間の後で何らないことを示した。細胞生存性のタキソール誘導による喪失の結果が、DMSOまたはNeowater(商標)に溶解した後において図38に例示される。
【0241】
結論
Neowater(商標)に溶解されたタキソール(0.08%のエタノールを最終的な作業濃度において有する)は、DMSOに溶解されたタキソールと類似する、ヒト前立腺ガン細胞株に対するインビトロ細胞生存性/細胞毒性を示した。
【0242】
実施例17
セファロスポリンの可溶化
下記実験の目的は、不溶性のセファロスポリンを、緩速溶媒交換手法を使用して3.6mg/mlの濃度でNeowater(NW)に溶解すること、および、アンピシリン(Amp)耐性を保有するpUC19プラスミドにより形質転換された大腸菌DH5α菌株に対するその生物活性を評価することであった。
【0243】
材料および方法
緩速溶媒交換:25mgのセファロスポリンを5mlの有機溶媒(アセトン)に溶解した(5mg/ml)。NWを添加する前に、この物質をHeλiosα分光光度計により分析した(図39)。この物質はかろうじてアセトンに溶解した。この物質は最初、砂様の外見を伴って沈降した。有機溶媒をNeowater(商標)で交換する手順を、(30℃で設定された)マルチブロックヒーターにおいて、また、デシケータおよびフードの中で行った。有機溶媒の濃度を、表2に示される式に従って計算した。
屈折計:RI:1.3339、式による計算に従って:1.833%。
分析天秤:平均:0.9962、式に従って:1.941%。
【0244】
溶液を、0.45μmのフィルターを使用して首尾良くろ過した。溶液の分光光度計による読み取りをろ過手法の前後で行った。
【0245】
Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの生物活性の分析
pUC19プラスミド(アンピシリン耐性)を保有するDH5α大腸菌を、100μg/mlのアンピシリンが補充された液体LB培地において37℃および220rpm(回転/分)で一晩増殖させた。
【0246】
一晩(ON)のスターター培養物の100μLを下記のように新鮮な液体LBに再接種した:
a.100μlのNeowater(商標)(2回目の実験のみ)および抗生物質非添加(両方の実験)を有する3つのチューブ。
b.セファロスポリンストック溶液(50ug/ml)の10μlを有する3つのチューブ。
c.セファロスポリンストック溶液(5ug/ml)の100μlを有する3つのチューブ。
【0247】
細菌を37℃および220rpmでインキュベーションした。連続したOD読み取りを、TECAN SPECTRAFlour Plusを使用して、590nmのフィルターとともに96ウエルの透明プレートを使用して1時間毎に行った。
【0248】
結果
図40は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【0249】
図41A〜図41Bおよび図42A〜図42Bに例示されるように、Neowater(商標)に溶解されたとき、セファロスポリンは、大きく希釈されたときでさえ、細菌増殖阻害剤としての生物学的利用能および生物活性を有する。注目すべきことに、本実施例は、Neowater(商標)自体は細菌の増殖阻害において何ら役割を有しないことを教示する。
【0250】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物の検出を強化するために使用することができるキットおよび製造物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体分子(例えば、タンパク質)の検出は疾患または医学的状態の診断において非常に有益であり得る。特定のタンパク質の存在または特定のタンパク質に関する性質を明らかにすることによって、研究者は、疾患状態に関係するウイルス、細菌、遺伝子変異または他の状態の存在を確認することができる。さらには、患者のプロテオーム、すなわち、患者特有の一組の発現タンパク質を分析することによって、個体が特定の医薬品または治療法を必要とすることに関する有用な情報を明らかにすることができ、その結果、一連の治療または予防的治療法を調節することができる。タンパク質およびペプチドを検出するための現在の方法には、様々な簡便な方法が含まれ、例えば、ウエスタンブロット分析、免疫化学的アッセイおよび酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などが含まれる。
【0003】
放射性医薬品の使用は一般に、生体分子を検出するための最も一般的な方法である。しかしながら、放射免疫アッセイの非常に成功した広範囲に及ぶ使用はいくつかの問題を生じさせており、そのような問題には、(1)放射能標識された化合物の貯蔵寿命および安定性、(2)放射性廃棄物処分の費用が大きいこと、および、(3)放射性物質の使用だけでなく、同様に液体シンチレーション計測のために必要な溶媒の使用にさらされる結果としての健康被害が含まれる。
【0004】
蛍光を発する化合物が多くの用途で使用されており、また、入射波長および観測波長が異なるので、蛍光が本質的には吸収よりも高感度である生物学的適用のために特に好適であることが知られている。蛍光を、細胞全体、細胞成分および細胞機能の検出のために使用することができる。例えば、多くの診断技術および分析技術では、サンプルを、サンプルが検出され得るように蛍光標識することが要求される。これは、例えば、細胞、組織、タンパク質、抗体、酵素、薬物、ホルモン、脂質、ヌクレオチド、核酸、炭水化物、あるいは、天然ポリマーまたは合成ポリマーなど、広範囲の様々な物質と相互作用して、蛍光性コンンジュゲートを作製する蛍光性の色素またはプローブを使用することによって達成される。
【0005】
合成された蛍光性プローブの場合、リガンドが、観測されることになる生化学反応に対する特異性を与えるためにしばしば使用され、蛍光性色素により、その相互作用を検出または定量するための手段が提供される。これらの適用には、とりわけ、タンパク質の検出(例えば、ゲル内、表面または水溶液におけるタンパク質の検出)、細胞追跡、酵素活性の評価、および、核酸または他の生体ポリマーを染色することが含まれる。
【0006】
化学発光、すなわち、化学反応による光の生成、および、生物発光、すなわち、一部の生物によって生成される光が、タンパク質の検出においてだけでなく、DNA配列決定および他の関連した研究においても、放射性標識に取って代わる可能性のある代替物として試験されている。化学発光は、放射能標識化を上回る大きな利点を提供する。これは、化学発光により、冷光が生じるからであり、すなわち、その生じた光が、反応に関与する原子および/または分子の振動によってではなく、電子エネルギーへの化学物質の直接的な変換によって引き起こされるからである。したがって、有機化合物の化学発光に関する研究は、現在行われている重点領域の1つである。ちなみに、化学発光はまた、微量元素および汚染物質を環境規制のために検出および測定するためにも好都合である。
【0007】
最も良く知られている化学発光反応は、安定化された酵素誘発可能な1,2−ジオキセタン系化合物、アクリダン系化合物、アクリジニウムエステル、ルミノール、イソルミノールおよびその誘導体、または、ルシゲニンのいずれかを、化学的作用因、反応剤または基質として用いる化学発光反応である。
【0008】
西洋ワサビペルオキシダーゼが、使用するために広範囲に入手可能であり、かつ、安価であるので、様々なアッセイのために広く使用される。西洋ワサビペルオキシダーゼは、環状ヒドラジド、フェノール誘導体、アクリダン誘導体および生物発光系の成分を含めて、広範囲の基質の発光性酸化を触媒する。他の好適な基質にはまた、(a)ルミノールおよび関連化合物、(b)ピロガロールおよびプルプロガリン、(c)アクリダンカルボン酸誘導体、(d)ヒカリカモメガイ(Pholas dactlus)およびホタル(キタアメリカホタル(Photinus pyralis))またはウミホタル(Cypridina)から単離される各種ルシフェリンが含まれる。これらの光生成反応は、それらの検出限界、特異性、試薬の入手性、ならびに、光放射の大きさおよび速度論において広範囲に異なる。このことは、当然のことながら、それらの適用性を制限する。
【0009】
数多くの蛍光性基質および化学発光基質がこの技術分野では知られている一方で、それらのシグナル強度、それらのシグナル対バックグラウンド比および/またはそれらの安定性を改善することが依然として求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの局面によれば、(i)検出可能な作用因と、(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物とを含む、分析物を検出するためのキットが提供され、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0011】
本発明の別の局面によれば、包装材と、包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、この場合、液体組成物は液体およびナノ構造を有し、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0012】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、整列した流体分子の前記エンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0013】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、分析物は生体分子である。
【0014】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、生体分子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、脂質およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0015】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は非直接的に検出可能である。
【0016】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、非直接的に検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である。
【0017】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は直接的に検出可能である。
【0018】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な作用因は親和性認識成分を含む。
【0019】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、親和性認識成分は、アビジン誘導体、ポリヌクレオチドおよび抗体からなる群から選択される。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、直接的に検出可能な作用因は、リン光性作用因、化学発光性作用因および蛍光性作用因からなる群から選択される。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応のエンハンサーを含む。
【0022】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、エンハンサーは、p−ヨードフェノール、3,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、1,2,4−トリアゾール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、フェノール、2−ナフトール、10−メチルフェノチアジン、セチルトリメチルアンモニウム臭化物およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに酸化作用因を含む。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酸化作用因は、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素、過ホウ酸塩、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)からなる群から選択される。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応のための酵素を含む。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酵素は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよびβ−グルクロニダーゼからなる群から選択される。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、酵素は抗体またはアビジン誘導体にコンジュゲート化される。
【0028】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、キットはさらに、酵素反応の阻害剤を含む。
【0029】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、検出可能な生成物は、蛍光性生成物、化学発光性生成物、リン光性生成物および発色性生成物からなる群から選択される。
【0030】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光性生成物を生じさせることができる基質は蛍光団を含む。
【0031】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAOからなる群から選択される分子に由来する。
【0032】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、蛍光性生成物を生じさせることができる基質は、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンからなる群から選択される。
【0033】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、発色性生成物を生じさせることができる基質は、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)からなる群から選択される。
【0034】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、化学発光性生成物を生じさせることができる基質は、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールからなる群から選択される。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、流体分子の少なくとも一部がガス状状態である。
【0037】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である。
【0038】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はナノ構造のクラスターを形成することができる。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる。
【0040】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む。
【0041】
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される。
【0042】
本発明は、分析物を検出する能力が高められた組成物を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
【0043】
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。本明細書中に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照として援用される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。さらに、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0044】
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1A〜Fは、ナノ構造を含む水を使用するECL反応の感度における増大を例示するオートラジオグラフの写真である。Jurkat細胞株の7.5μgストリップ(図1A、図1Cおよび図1E)および15μgストリップ(図1B、図1Dおよび図1F)に等しい細胞溶解物をSDS−PAGEに供し、その後、ニトロセルロースメンブランへのタンパク質ブロッティングを行った。ZAP70に対して惹起されたポリクローナル抗体とのインキュベーションの後、免疫反応性タンパク質のバンドをHRPコンジュゲート化二次Abとの反応および免疫ペルオキシダーゼECL検出システムによる現像によって可視化した。レーン1−標準反応試薬;レーン2−全試薬+ナノ構造を含む水を使用する緩衝液;レーン3−ナノ構造を含む水を用いて作製される反応体積。
【図2】図2は、557nmでの吸光度によって測定されたときの様々な水組成物の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図3A】図3Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図3B】図3Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図3C】図3Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図4A】図4Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図4B】図4Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図4C】図4Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の水酸化ナトリウム滴定、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図5A】図5Aは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図5B】図5Bは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図5C】図5Cは、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示する、三連で行われた実験のグラフである。
【図6】図6は、pHによって測定されたときの、ナノ構造を含む水の塩酸滴定、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。それぞれのグラフは3つの三連での実験をまとめる。
【図7A】図7Aは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図7B】図7Bは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図7C】図7Cは、557nmでの吸光度によって測定されたときの、ナノ構造を含む水、および、RO水の水酸化ナトリウム滴定を例示するグラフである。
【図8】図8A〜Bは、ROの塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8A)、および、ナノ構造を含む水の塩酸滴定の後でのキュベットの写真(図8B)である。それぞれのキュベットは1μlの塩酸の添加を例示する。
【図9A】図9Aは、RF水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図9B】図9Bは、RF2水の塩酸滴定を例示するグラフである。矢印は2回目の照射を示す。
【図9C】図9Cは、RO水の塩酸滴定を例示するグラフである。
【図10】図10は、RO水と比較したときの、FR2水の塩酸滴定を例示するグラフである。実験を3回繰り返した。3回の実験のすべてについての平均値がRO水についてプロットされた。
【図11A−11C.11F−11H】図11A〜Cおよび図11F〜Hは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例6のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図11D−11E.11I−11J】図11D〜Eおよび図11I〜Jは、粉末の分散を3回試みた後、様々な時間間隔での、赤色粉末およびNeowater(商標)を含む溶液の写真である。図11A〜図11Eは、実施例6のパートCからの、右側:試験チューブC(50%EtOH+Neowater(商標))、および、左側:試験チューブB(脱水されたNeowater(商標))を例示する。図11G〜図11Jは、赤色粉末の一晩の破砕、および、100μlのNeowater(商標)の滴定の後での溶液を例示する。
【図12A】図12Aは、ナノドロップで測定されたときの、一晩の粉砕の後での赤色粉末+100μlのNeowaterの溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図12B】図12Bは、ナノドロップで測定されたときの、100%の脱水されたNeowater(商標)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図12C】図12Cは、ナノドロップで測定されたときの、EtOH+Neowater(商標)(50%−50%)を加えた後での赤色粉末の溶液からの2μlの吸光度の読み取りである。
【図13】図13は、バイアル#1(CD−Dau+Neowater(商標))、バイアル#4(CD−Dau+10%PEG/Neowater(商標))およびバイアル#5(CD−Dau+50%アセトン+50%Neowater(商標))の分光光度計測定のグラフである。
【図14】図14は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)、および、微量の溶媒(アセトン)を伴う溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。
【図15】図15は、Neowater(商標)における溶解物(青色線)および、アセトンにおける溶解物(ピンク色線)の分光光度計測定のグラフである。淡青色および黄色の線はアセトン蒸発の異なる割合を表し、紫色線はアセトン非含有溶液である。
【図16】図16は、CD−Dauの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図17】図17は、t−bocの200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。青色線はROにおける溶解物を表し、一方、ピンク色線はNeowater(商標)における溶解物を表す。
【図18A】図18Aは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Bの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18B】図18Bは、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Bの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18C】図18Cは、エタノール蒸発直後のエタノール非存在下でのAG−14Aの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図18D】図18Dは、エタノールの存在下、および、エタノール蒸発後24時間のエタノール非存在下でのAG−14Aの、200nm〜800nmにおける分光光度計測定のグラフである。
【図19】図19は、エタノール蒸発後24時間でのAG−14AおよびAG14Bの懸濁物の写真である。
【図20A】図20Aは、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの分光光度計測定のグラフである。
【図20B】図20Bは、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの分光光度計測定のグラフである。
【図20C】図20Cは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの分光光度計測定のグラフである。
【図20D】図20Dは、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の分光光度計測定のグラフである。
【図20E】図20Eは、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の分光光度計測定のグラフである。
【図20F】図20Fは、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの分光光度計測定のグラフである。
【図20G】図20Gは、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの分光光度計測定のグラフである。
【図21A】図21Aは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたペプチドXの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21B】図21Bは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたX−5FUの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21C】図21Cは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたNLS−Eの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21D】図21Dは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたPalm−PFPSYK(CMFU)の細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21E】図21Eは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたPFPSYKLRPG−NH2の細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21F】図21Fは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたNLS−p2−LHRHの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図21G】図21Gは、クリスタルバイオレットアッセイにより測定されたときの、Neowater(商標)に溶解されたF−LH−RH−palm kGFPSKの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。
【図22】図22は、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図23】図23は、ろ過後の、エタノールおよびNeowater(商標)におけるレチノールの吸光度のグラフである。
【図24】図24A〜Bは、試験チューブ(左側はNeowater(商標)および物質「X」を含有し、右側はDMSOおよび物質「X」を含有する)の写真である。図24Aは、24時間放置された試験チューブを例示し、図24Bは、48時間放置された試験チューブを例示する。
【図25】図25A〜Cは、加熱および振とう処置を行った直後における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図25A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図25B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図25C)の写真である。
【図26】図26A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後60分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図26A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図26B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図26C)の写真である。
【図27】図27A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後120分における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図27A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図27B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図27C)の写真である。
【図28】図28A〜Cは、加熱および振とう処置を行った後24時間における、物質「X」を溶媒1および溶媒2とともに含有する試験チューブ(図28A)、物質「X」を溶媒3および溶媒4とともに含有する試験チューブ(図28B)、ならびに、物質「X」を溶媒5および溶媒6とともに含有する試験チューブ(図28C)の写真である。
【図29】図29A〜Dは、Neowater(商標)および低下した濃度のDMSOを含む溶媒に物質「X」を含むガラス製ボトルの振とう直後の写真(図29A)、振とう後30分の写真(図29B)、振とう後60分の写真(図29C)および振とう後120分の写真(図29D)である。
【図30】図30は、分光光度計によって測定されたときの、ボルテックス後6時間のRO/Neowater(商標)における物質「X」の吸収特徴を例示するグラフである。
【図31】図31A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、エタノールにおけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図31A)、および、アセトンにおけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図31B)である。
【図32】図32A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるSPL2101の吸収特徴を例示するグラフ(図32A)、および、Neowater(商標)におけるSPL5217の吸収特徴を例示するグラフ(図32B)である。
【図33】図33A〜Bは、分光光度計によって測定されたときの、Neowater(商標)におけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33A)、および、DMSOにおけるタキソールの吸収特徴を例示するグラフ(図33B)である。
【図34】図34は、293T細胞に対する異なる溶剤におけるタキソールの細胞傷害作用を例示する棒グラフである。コントロールRO=RO水により構成される培地;コントロールNeo=Neowater(商標)により構成される培地;コントロールDMSO RO=RO水+10μlのDMSOにより構成される培地;コントロールNeo RO=RO水+10μlのNeowater(商標)により構成される培地;タキソールDMSO RO=RO水と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールDMSO Neo=Neowater(商標)と、DMSOに溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW RO=RO水と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地;タキソールNW Neo=Neowater(商標)と、Neowater(商標)に溶解されたタキソールとにより構成される培地。
【図35】図35A〜Bは、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例14に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図36】図36は、2つの異なるTaqポリメラーゼを使用する実施例15に記載されるプロトコルに従って加熱した後、ナノ構造を含む液体組成物の存在下および非存在下で得られたPCR生成物を例示する、臭化エチジウムにより染色されたDNAゲルの写真である。
【図37A】図37Aは、Neowater(商標)およびDMSOにおける0.5mMタキソールの分光光度法による読み取りを例示するグラフである。
【図37B−37C】図37B〜Cは、Neowater(商標)およびDMSOにおけるタキソールのHPLCによる読み取りである。図37Bは、タキソールの新たに調製された標準(DMSO)配合物のHPLCによる読み取りを例示する。図37Cは、−20℃での6ヶ月の貯蔵の後における、Neowater(商標)に分散されたタキソールのHPLCによる読み取りを例示する。
【図38】図38は、DMSO配合物またはNeowater(商標)配合物における様々なタキソール濃度のPC3細胞生存性を例示する棒グラフである。それぞれの点が8個の反復実験からの平均+/−標準偏差を表す。
【図39】図39は、100%のアセトンに溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図40】図40は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【図41】図41A〜Bは、セファロスポリン濃度が異なるLBにおけるDH5αの増殖曲線である。細菌を2回別々に37℃および220rpmで増殖させた。
【図42】図42A〜Bは、2回別々に接種後7時間における、コントロールでの増殖(セファロスポリン非添加)に対する参照での2つの異なるセファロスポリン濃度によるDH5αの生存性を例示する棒グラフである(コントロール群は100μlのNeowater(商標)を含有する)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、分析物の検出を強化するために使用することができるキットおよび製造物に関する。
【0047】
本発明によるキットおよび製造物の原理および操作は、図面および付随する説明を参照してより良く理解されることができる。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の記載において示されるか、または、実施例において例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施することができ、または、様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定するものとして見なすべきでないことを理解しなければならない。
【0049】
医療検査企業および診断検査企業は、生体分子を検出するためのより高感度な方法を絶えず求めている。例えば、医療は、ウイルスを検出する非常に高感度な方法を明らかに必要としている。化学物質または他の物質を検出するためのより高感度なアッセイはまた、広範囲の環境領域において有用であると考えられ、この場合、早期の検出が行われれば、災害を阻止するために十分に早期の是正活動を開始することができる。非常に高感度な検出技術はまた、半導体製造の最適化された制御のためにも有用であり得る。
【0050】
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、ナノ構造(例えば、米国特許出願第60/545955号および同第10/865955号、ならびに、国際特許出願公開番号WO2005/079153に記載されるナノ構造など)を含む組成物が分析物の検出を高めることを発見している。
【0051】
本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、ナノ構造および液体がECLタンパク質検出システムの感度を増大させることを明らかにしている。
【0052】
したがって、本発明の1つの局面によれば、包装材と、包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物が提供され、この場合、液体組成物は液体およびナノ構造を有し、ただし、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0053】
本明細書中で使用される用語「ナノ構造(nanostructure)」は、一つ以上の粒子を含むサブマイクロメートルスケールの構造を指し、それらの粒子の各々はナノメートルまたはサブナノメートルスケールであり、一般に「ナノ粒子」と略される。構造の異なる要素(例えばナノ粒子、分子)の間の距離は、数十ピコメートルまたはそれ未満のオーダであることができ(その場合においてナノ構造は「連続ナノ構造」と称される)、または数百ピコメートルから数百ナノメートルのオーダであることができる(その場合においてナノ構造は「不連続ナノ構造」と称される)。従って、本実施形態のナノ構造は、ナノ粒子、ナノ粒子の配置、または一つ以上のナノ粒子および一つ以上の分子のいかなる配置も含むことができる。
【0054】
上記組成物の液体は水性液体、例えば水であることが好ましい。
【0055】
本発明のこの局面による一つの好ましい実施形態によれば、液体組成物のナノ構造は、整列した流体分子によって包囲されたナノメートルサイズのコア材料を含み、これらの流体分子はコア材料と、そして互いに定常的な物理的状態にある。このような液体組成物は、本発明者の米国特許出願第60/545955号および第10/865955号、並びに国際特許出願公開WO 2005/079153に記載されており、それらの内容は参考としてここに組み入れられる。
【0056】
このようなコア材料の例は、限定されないが、強誘電性物質、強磁性物質および圧電性物質を含む。強誘電性物質は、電場を加えることによって逆転または再配向させることができる永続的な電気的分極をある温度範囲にわたって維持する物質である。強磁性物質は、磁場を加えることによって逆転できる永続的な磁化を維持する物質である。好ましくは、ナノ構造は、コア材料の強誘電性または強磁性を保持し、それによってマクロスケールの物理的特性がナノスケール環境にもたらされる特別な特徴を有する。
【0057】
コア材料はまた、結晶構造を持ってもよい。
【0058】
本明細書中で使用される用語「整列した流体分子」は、相互関係を有する、例えば流体分子間の相関を有する流体分子の組織化された配置を示す。例えば、一つの流体分子の即座の変位は、コア材料を包囲する一つ以上の他の流体分子の即座の変位と相互に関係されることができる。
【0059】
本明細書中で使用される用語「定常的な物理状態」は、物体または分子が、少なくとも局所的な最小値を有する何らかのポテンシャルによって結びついている状況を示す。そのようなポテンシャルについての代表的な例には、限定されないが、ファンデルワールスポテンシャル、湯川ポテンシャル、およびレナード・ジョーンズポテンシャルなどが含まれる。他の形態のポテンシャルもまた、考えられる。
【0060】
好ましくは、エンベロープの流体分子は液体組成物の液体分子と同一である。エンベロープの流体分子は、液体組成物の液体分子と同一でない追加の流体を含んでもよく、従ってエンベロープは不均一流体組成物を含んでもよい。
【0061】
整列した流体分子のエンベロープの形成のため、本実施形態のナノ構造は、液体の比重より低いかまたはそれに等しい比重を有することが好ましい。
【0062】
流体分子は液体状態またはガス状状態またはそれらの二つの混合状態のいずれかであってもよい。
【0063】
ナノ構造の好ましい濃度は1リットルあたり1020個未満のナノ構造、より好ましくは1リットルあたり1015個未満のナノ構造である。好ましくは、液体中のナノ構造は、それらの間で引きつける静電力によって少なくとも一つの追加のナノ構造とクラスター形成することができる。好ましくは、ナノ構造間の距離がクラスター形成(約0.5〜10μm)を防止するとき、ナノ構造は長距離の相互作用を維持することができる。
【0064】
理論にとらわれることはないが、ナノ構造間の長距離相互作用が液体組成物の特有の特徴に役立ち、その結果、液体組成物が検出システムの感度を高めていると考えられる。例えば、本発明者らは、本発明の組成物がタンパク質を熱の影響から保護し、タンパク質を安定化すること(実施例14および実施例15)、および、高まった緩衝能力(すなわち、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力)を含むこと(実施例2〜実施例5)を示している。これらの要因はともに、検出システムにおけるタンパク質の状態に寄与することができ、したがって、検出システムの全体的な感度を高めることができる。
【0065】
本明細書中で使用される表現「緩衝能力」は、酸または塩基が添加されたとき、安定なpHを維持する組成物の能力を示す。
【0066】
さらに、本発明者らは、本発明の組成物により、様々な作用因の溶解性が高まることを示している(実施例6〜実施例13および実施例15〜実施例17)。このことが結果的には、検出システムの高まった感度につながるかもしれない。
【0067】
本発明のこの局面に従ったナノ構造の製造は、「トップダウン」プロセスを使用して行うことができる。このプロセスは、固体粉末(例えば、鉱物、セラミック粉末、ガラス粉末、金属粉末または合成ポリマー)が、十分に高い温度に、好ましくは約700℃を越えて加熱される下記の方法工程を含む。
【0068】
意図される固体粉末の例には、BaTiO3、WO3およびBa2F9O12が含まれるが、これらに限定されない。驚いたことに、本発明者はまた、ハイドロキシアパタイト(HA)もまた本発明の液体組成物を生成するために加熱されてもよいことを示した。ハイドロキシアパタイトは、それが非毒性によって特徴づけられ、一般に人の治療のためにFDA承認されているので、特に好ましい。
【0069】
多くのハイドロキシアパタイト粉末がSigma,AldrichおよびClarion Pharmaceuticals(例えばカタログNo.1306−06−5)のような多数の製造業者から入手可能であることが認識されるだろう。
【0070】
表1に示されるように、HAに基づく液体組成物は全て、水と比較すると高い緩衝能力を持つ。
【0071】
加熱された粉末は次いで、冷たい液体(水)に、その密度異常温度以下で、例えば3℃または2℃で浸漬される。同時に、冷たい液体および粉末は、電磁RF放射線、好ましくは500MHz以上、700MHzより高いものによって照射され、それは連続波RF放射線または変調RF放射線のいずれであってもよい。
【0072】
本発明者らは、ナノ構造および液体を含む組成物が、検出可能なシグナルの強化によって、および/または、そのようなシグナルの生成に関わる酵素の活性を増大させることによってそのどちらかで検出システムの感度を増大させ得るのではないかと推測している。
【0073】
本明細書中上記で記載されるナノ構造および液体を含む組成物はキットの一部を形成し得ることが理解される。
【0074】
したがって、本発明の別の局面によれば、
(i)検出可能な作用因と、
(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物と
を含む、分析物を検出するためのキットが提供され、ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0075】
本発明のキットは、所望されるならば、本発明のキットの1つまたは複数のユニットを含有し得るパックで提示され得る。そのようなパックには、キットを使用するための説明書が付随し得る。パックはまた、実験室補助品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められる形式で容器に関連する通知によって適用させられることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態の当局による承認を反映する。
【0076】
本明細書中で使用される用語「分析物」は、検出されるべき分子または化合物を示す。好適な分析物には、生体分子を含めて、様々な有機分子および無機分子が含まれる。分析物は、環境または臨床での化学物質または汚染物質または生体分子である場合があり、これらには、農薬、殺虫剤、毒素、治療用薬物および乱用薬物、ホルモン、抗生物質、有機物および溶媒が含まれるが、これらに限定されない。好適な生体分子には、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ステロイド、細胞そのもの[原核生物細胞(例えば、病原性細菌など)および真核生物細胞(哺乳動物の腫瘍細胞を含む)を含む]、ウイルス、胞子などが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい分析物は、タンパク質(酵素を含む);薬物、抗体;抗原;細胞膜抗原および受容体(神経受容体、ホルモン受容体、栄養素受容体および細胞表面受容体)またはそのリガンドである。
【0077】
本発明の検出キットは、液体およびナノ構造を含む液体組成物に基づく高まった感度を示す。
【0078】
本発明では、液体およびナノ構造を含む組成物における検出のために、および/または、検出アッセイを行うために要求される少なくとも1つの成分を可溶化することが想定され、この場合、水成分は、少なくとも一部が、液体およびナノ構造を含む組成物に交換される。検出アッセイの液体部分は、5%、より好ましくは10%、より好ましくは20%、より好ましくは40%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、一層より好ましくは100%の本発明の液体組成物を含むことができる。
【0079】
液体およびナノ構造を含む組成物を含むのと同様に、本発明のキットはまた、検出可能な作用因を含む。
【0080】
本発明のこの局面の一実施形態によれば、検出可能な作用因は、典型的には特定の波長の放射線を放出することに基づいて直接的に検出可能である(例えば、蛍光性作用因、リン光性作用因または化学発光性作用因である)。
【0081】
特定の分析物を検出するために、典型的には、そのような検出可能な作用因は、標的分析物に結合する親和性認識成分を含む。親和性認識成分の例には、アビジン誘導体(例えば、アビジン、ストレプトアビジンおよびヌトラビジン)、抗体およびポリヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
アビジンは、等電点が約10.5である多カチオン性の66000ダルトンの糖タンパク質である。ストレプトアビジンは、ほぼ中性の等電点を有するグリコシル化されていない52800ダルトンのタンパク質である。ヌトラビジンはアビジンの脱グリコシル化形態である。これらのタンパク質のすべてが、ビオチンに対する非常に大きい親和性および選択性を有しており、それぞれが分子あたり4個のビオチンと結合することができる。アビジン認識成分を含む検出可能な作用因を、天然に存在するビオチン化された生体分子、または、ビオチンを含むように人為的に操作されている生体分子を検出するために使用することができる。
【0083】
本発明において使用される用語「抗体」は、特定のタンパク質またはポリペプチドに結合することができる無傷の分子、ならびに、その機能的フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2およびFvなど)を包含する。
【0084】
本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはそれらの模倣体の一本鎖または二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを示す。この用語には、天然に存在する塩基、糖および共有結合のヌクレオチド間連結(例えば、骨格)から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに、天然に存在するそれぞれの部分と類似して機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。標識されたポリヌクレオチドを、標識されたポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションすることができるサンプル中のポリヌクレオチドを検出するために使用することができる。
【0085】
本明細書中で使用される表現「ハイブリダイゼーションすることができる」は、塩基対形成することを示し、この場合、核酸作用因の少なくとも一方の鎖は少なくとも一部が、H19 mRNAに対して相同的である。
【0086】
本発明のこの局面の別の実施形態によれば、本発明のキットの検出可能な作用因はまた、非直接的に検出可能である。例えば、検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である場合がある。
【0087】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質は典型的には、蛍光団を含む。そのような蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAO(これらに限定されない)を含めて、多くの分子に由来することができる。
【0088】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質の例には、可溶性の蛍光性生成物を生じさせる基質(例えば、水溶性のクマリン系化合物に由来する基質、緑色〜黄色の水溶性蛍光団に由来する基質、水溶性の赤色蛍光団に由来する基質、チオール反応性の蛍光発生基質、親油性蛍光団、ペンタフルオロベンゾイル蛍光発生酵素基質)、不溶性の蛍光性生成物を生じさせる基質、励起状態のエネルギー転移に基づく基質、および、不連続な酵素アッセイのための蛍光性の誘導体化試薬が含まれるが、これらに限定されない。そのような基質に関する詳細をInvitrogenのウエブサイト(例えば、http://probes.invitrogen.com/handbook/sections/1001.html)において見出すことができる。
【0089】
蛍光性の生成物を生じさせることができる基質の具体的な例には、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
化学発光性生成物を生じさせることができる基質の例には、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
発色性生成物を生じさせることができる基質の例には、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
キットは、種々の検出アッセイにおいて有用でありうる。
【0093】
下記は、本発明のキットを使用して行うことができる、ポリヌクレオチドを検出するためのアッセイの列挙である。
【0094】
ノーザンブロット分析:この方法は、RNAの混合物において特定のRNAを検出することを伴う。RNAサンプルが、塩基対間の水素結合の形成を妨げ、これにより、RNA分子のすべてが、折り畳まれていない線状の立体配座を有することを保証する作用因(例えば、ホルムアルデヒド)による処理によって変性させられる。その後、個々のRNA分子がゲル電気泳動によってサイズに従って分離され、変性したRNAが付着するニトロセルロースメンブランまたはナイロン系メンブランに転写される。その後、メンブランは、標識されたDNAプローブにさらされる。プローブを、酵素連結されたヌクレオチドを使用して標識することができる。検出を、比色反応または化学発光を使用して行うことができる。この方法は、特定のRNA分子の量を定量すること、および、電気泳動期間中のゲルにおける移動距離を示すメンブラン上での相対的な位置によってその同一性を明らかにすることの両方を可能にする。
【0095】
RNAインシトゥーハイブリダイゼーション染色:この方法では、DNAプローブまたはRNAプローブが、細胞に存在するRNA分子に結合させられる。一般には、細胞が最初に、細胞構造を失わないようにするために、また、RNA分子が分解されないようにするために顕微鏡スライドガラスに固定され、その後、標識されたプローブを含有するハイブリダイゼーション緩衝液に供される。ハイブリダイゼーション緩衝液には、DNAプローブまたはRNAプローブが、プローブの非特異的な結合を避けながら、その標的mRNA分子とその場において特異的にハイブリダイゼーションすることを可能にするホルムアミドおよび塩(例えば、塩化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)などの試薬が含まれる。当業者は、ハイブリダイゼーション条件(すなわち、温度、塩およびホルムアミドの濃度およびその他)を特定のプローブおよび細胞タイプに対して調節することができる。ハイブリダイゼーション後、何らかの結合していないプローブが洗い流され、スライドガラスが、化学発光を伴うプローブを使用して生じさせられるシグナルを明らかにする写真乳剤、または、酵素連結の標識されたプローブを使用して生じさせられるシグナルを明らかにする比色反応のいずれかに供される。
【0096】
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ:この方法では、本発明のポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイゼーションすることができるオリゴヌクレオチドプローブが固体表面(例えば、ガラスウエハー)に結合させられる。それぞれのオリゴヌクレオチドプローブは長さがおよそ20個〜25個の核酸である。特定の細胞サンプル(例えば、血液細胞)における本発明のポリヌクレオチドの発現パターンを検出するために、RNAが、この技術分野で知られている方法を使用して(例えば、TRIZOL溶液(Gibco BRL、米国)を使用して)細胞サンプルから抽出される。ハイブリダイゼーションを、標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、5’−ビオチン化プローブ)、または、相補的DNA(cDNA)もしくは相補的RNA(cRNA)の標識されたフラグメントのいずれかを使用して行うことができる。簡単に記載すると、二本鎖のcDNAが、逆転写酵素(RT)(例えば、Superscript II RT)、DNAリガーゼおよびDNAポリメラーゼIを使用してRNAから調製される(すべてが製造者の説明書(Invitrogen Life Technologies(Frederick、MD、米国)に従って使用される)。標識されたcRNAを調製するために、二本鎖cDNAが、例えば、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit(Enzo、Diagnostics、Affymetix Santa Clara、CA)を使用してビオチン化ヌクレオチドの存在下でのインビトロ転写反応に供される。効率的なハイブリダイゼーションのために、標識されたcRNAは、RNAを、40mMのTris酢酸塩(pH8.1)、100mMの酢酸カリウムおよび30mMの酢酸マグネシウムにおいて94℃で35分間インキュベーションすることによってフラグメント化することができる。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイは洗浄され、ハイブリダイゼーションシグナルが、プローブアレイに結合した標識されているcRNAによって放出される蛍光強度を測定する共焦点レーザー蛍光スキャナを使用して走査される。
【0097】
例えば、Affymetrixマイクロアレイ(Affymetrix(登録商標)、Santa Clara、CA)では、アレイ上のそれぞれの遺伝子が一連の異なるオリゴヌクレオチドプローブによって表される。この場合、オリゴヌクレオチドプローブの各プローブ対が完全一致のオリゴヌクレオチドおよびミスマッチのオリゴヌクレオチドからなる。完全一致のプローブは、特定の遺伝子に対して正確に相補的な配列を有しており、したがって、特定の遺伝子の発現レベルの測定を可能にする一方で、ミスマッチのプローブは、中心の塩基位置での一塩基置換によって完全一致のプローブとは異なる。ハイブリダイゼーションシグナルが、Agilentスキャナを使用して走査され、Microarray Suiteソフトウエアにより、ミスマッチのプローブに由来する非特異的なシグナルが、完全一致のプローブに由来するシグナルから引かれる。
【0098】
下記は、本発明のキットを使用して行うことができる、ポリペプチドを検出するためのアッセイの列挙である。
【0099】
ウエスタンブロット:この方法は、基質をアクリルアミドゲルによって他のタンパク質から分離すること、その後、基質をメンブラン(例えば、ナイロンまたはPVDF)に転写することを伴う。その後、基質の存在が、基質に対して特異的な抗体によって検出され、次に、この抗体が抗体結合試薬によって検出される。抗体結合試薬は、例えば、プロテインAまたは他の抗体であり得る。抗体結合試薬は、本明細書中上記で記載されるように放射能標識することができ、または、酵素連結することができる。検出を、オートラジオグラフィー、比色反応または化学発光によって行うことができる。この方法は、基質の量を定量すること、および、電気泳動期間中のアクリルアミドゲルにおける移動距離を示すメンブラン上での相対的な位置によってその同一性を明らかにすることの両方を可能にする。
【0100】
蛍光活性化細胞分取(FACS):この方法は、基質を基質特異的な抗体によって細胞においてその場で検出することを伴う。基質特異的な抗体が蛍光団に連結される。検出が、細胞が光ビームを通過するときにそれぞれの細胞から放出される光の波長を読み取る細胞分取装置によって行われる。この方法は2つ以上の抗体を同時に用いることができる。
【0101】
免疫組織化学分析:この方法は、基質を、基質特異的な抗体によって、固定処理された細胞においてその場で検出することを伴う。基質特異的な抗体は酵素に連結され得るか、または、蛍光団に連結され得る。検出が、顕微鏡、および、主観的評価または自動的評価によって行われる。酵素連結抗体が用いられるならば、比色反応が必要とされる場合がある。免疫組織化学では、多くの場合、細胞の核を、例えば、ヘマトキシリン染色またはギムザ染色を使用して対比染色することが続いて行われることが理解される。
【0102】
インシトゥー活性アッセイ:この方法によれば、発色性基質が、活性な酵素を含有する細胞に適用され、その酵素により、基質が分解されて、光学顕微鏡または蛍光顕微鏡によって視認され得る発色性生成物を生じさせる反応が触媒される。
【0103】
本発明の1つの局面によれば、キットは、固定化されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、化学発光検出アッセイを使用して検出するために使用することができる。
【0104】
このアッセイでは、標的分析物が、化学発光性基質の酸化を酸化作用因の存在下で触媒することができる酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)に直接的または間接的のいずれかで結合させられる。酸化後、基質は励起状態にあり、検出可能な光波を放出する。光放出の強い強化をエンハンサーによって生じさせることができる。
【0105】
したがって、そのようなキットは、本発明の液体組成物および検出可能な作用因(すなわち、化学発光性化合物、例えば、ルミノール、および、本明細書中上記で記載される化学発光性化合物など)に加えて、化学発光性基質を酸化することができる酵素を含むことができる。典型的には、酵素は、抗体またはアビジン誘導体(例えば、ストレプトアビジンなど)にコンジュゲート化される。そのような酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼおよびカタラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明のこの局面によるキットはまた、酸化剤を含むことができる。例示的な酸化作用因には、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素または過ホウ酸塩が含まれる。当業者に知られている他の酸化剤または酸化作用因を本明細書中で使用することができる。好ましい酸化剤は、過酸化水素または尿素過酸化水素のいずれか、および、それらの混合物である。
【0107】
上述されるように、本発明のこの局面のキットはまた、化学発光エンハンサーを含むことができる。一般に、本明細書中で使用されるエンハンサーは、有機溶媒または緩衝液に可溶性である有機化合物で、化学発光性有機化合物と、酸化剤と、酵素または他の生物学的分子との間における発光反応を強化する有機化合物を含む。好適なエンハンサーには、例えば、ハロゲン化フェノール類(例えば、p−ヨードフェノール、p−ブロモフェノール、p−クロロフェノール、4−ブロモ−2−クロロフェノール、3,4−ジクロロフェノールなど)、アルキル化フェノール類(例えば、4−メチルフェノールおよび4−tert−ブチルフェノールなど)、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートおよび同様な化合物、4−ベンジルフェノール、4−(2’,4’−ジニトロスチリル)フェノール、2,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、p−フルオロケイ皮酸、p−ニトロケイ皮酸、p−アミノケイ皮酸、m−ヒドロキシケイ皮酸、o−ヒドロキシケイ皮酸、4−フェノキシフェノール、4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェノール、p−フェニルフェノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、4’−(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、4−(フェニルアゾ)フェノール、4−(2’−カルボキシフェニルアゾ)フェノール、1,6−ジブロモナフト−2−オール、1−ブロモナフト−2−オール、2−ナフトール、6−ブロモナフト−2−オール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2,6−ジヒドロキシベンゾチアゾール、2−シアノ−6−ヒドロキシベンゾチアゾール、デヒドロルシフェリン、ホタルルシフェリン、フェノールインドフェノール、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、2,6−ジクロロフェノール−o−クレゾール、フェノールインドアニリン、N−アルキルフェノキサジンまたは置換N−アルキルフェノキサジン、N−アルキルフェノチアジンまたは置換N−アルキルフェノチアジン、N−アルキルピリミジルフェノキサジンまたは置換N−アルキルピリミジルフェノキサジン、N−アルキルピリジルフェノキサジン、2−ヒドロキシ−9−フルオレノンまたは置換2−ヒドロキシ−9−フルオレノン、6−ヒドロキシベンゾオキサゾールまたは置換6−ヒドロキシベンゾオキサゾールが含まれる。さらに他の有用な化合物には、酵素によって切断され得る保護されたエンハンサー、例えば、p−フェニルフェノールホスファートまたはp−ヨードフェノールホスファート、あるいは、他の酵素切断可能な基を有する他のフェノールホスファート、ならびに、p−フェニレンジアミンおよびテトラメチルベンジジンなどが含まれる。他の有用なエンハンサーには、フルオレセイン、例えば、5−(n−テトラデカニル)アミノフルオレセインなどが含まれる。
【0108】
本発明の別の局面によれば、キットは、固定化されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、蛍光または発色による検出アッセイを使用して検出するために使用することができる。西洋ワサビペルオキシダーゼまたはその誘導体を含む代わりに、そのようなキットは、典型的には、アルカリホスファターゼと、蛍光性基質または発色性基質とを含む。発色性生成物を生じさせるための酸化作用因もまた、キットに含めることができる(例えば、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)など)。
【0109】
本発明のキットはまた、細胞および細胞抽出物におけるいくつかの一般的なレポーター遺伝子の発現を検出するために使用することができる。したがって、キットは、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼおよびルシフェラーゼのための基質を含むことができる。
【0110】
本発明のキットはさらに、酵素反応のための阻害剤を含むことができる。そのような阻害剤の例には、レバミゾール、L−p−ブロモテトラミゾール、テトラミゾールおよび5,6−ジヒドロ−6−(2−ナフチル)イミダゾ−[2,1−b]チアゾールが含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の別の局面によれば、セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法が提供され、この場合、ナノ構造は、液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、コア物質と、整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある。
【0112】
セファロスポリンは、可溶化プロセスを助けるために本発明の液体組成物を加える前の溶媒、または、加えた後の溶媒に溶解することができる。本発明では、この物質の溶解性をさらに増大させるために、極性、非極性、有機(例えば、エタノールまたはアセトンなど)または非有機を含む任意の溶媒の使用が意図されることが理解される。
【0113】
溶媒は、物質が本発明の液体組成物に溶解/分散されたままであるように可溶化プロセスの期間中の任意のときに(完全または部分的に)除くことができる。溶媒を除く様々な方法がこの技術分野では知られている(例えば、エバポレーション(すなわち、加熱、または、圧力を加えることによるエバポレーション)、または、任意の他の方法など)。
【0114】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0115】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0116】
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994);Ausubel他著「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Freshney著「Culture of Animal Cells−A Manual of Basic Technique」、Wiley−Liss、N.Y.(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press(1996);なお、これらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
【0117】
実施例1
ECL検出システムに対する、ナノ構造を含む水の影響
電気化学発光反応の感度が、ナノ構造を含む水によって影響されるかどうかを明らかにするために、HRPコンジュゲート化二次抗体を、免疫ペルオキシダーゼECL検出システムを上記水の存在下および非存在下で使用して検出した。
【0118】
材料および方法
ECL試薬の調製:ストックA
a)DMSO(Fluca、0−9253)における250mMのルミノール(Sigma、C−9008)の50μl。
b)DMSOにおける90mMのp−クマル酸(Sigma、C−9008)の22μl。
c)0.5mlのTris(1M、pH8.5)。
d)4.428mlのH2O(合計で5ml)。
【0119】
ストックB
a)3μlのH2O2。
b)0.5mlのTris(1M、pH8.5)。
c)4.5mlのH2O(合計で5ml)。
【0120】
ECL試薬の3つの異なる供給源を使用した。
1.標準。自家製
2.Ver1.0−dH2Oを、試薬および緩衝液のすべてについて、ナノ構造を含む水で置き換えた。
3.Ver1.1−反応体積のdH2Oを、ナノ構造を含む水で置き換えた。
【0121】
全細胞タンパク質抽出物をJurkat細胞から作製した。タンパク質抽出物をSDS−PAGEに供し、その後、ニトロセルロースメンブランへのタンパク質ブロッティングを行った。ZAP70タンパク質について特異的な抗体(自家製ポリクローナル血清Ab)を1:30000の希釈度でメンブランとインキュベーションした(通常の作業希釈度は1:3000である)。抗体による免疫反応性タンパク質のバンドを、HRPコンジュゲート化二次抗体と反応し、その後、免疫ペルオキシダーゼECL検出システムにより現像することによって可視化した。本質的には、等体積のストックAおよびストックBを一緒にし、検出ミックスを5分間平衡化した。この検出ミックスを(タンパク質側を上側にした)ブロットに直接に加え、室温で3分間インキュベーションした。その後、x線フィルムを、ニトロセルロースメンブランに対して、1分間、5分間および10分間感光させた。
【0122】
結果
図1に例示されるように、水を、ナノ構造を含む水で置き換えることにより、ECL反応の感度が増大する。
【0123】
明確化のために別々の実施形態の状況において記載される本発明のいくつかの特徴が、1つの実施形態において組合せでも提供され得ることが理解される。逆に、簡略化のために1つの実施形態の状況において記載される本発明の様々な特徴がまた、別々に提供され得るか、または、任意の好適な部分組合せで提供され得る。
【0124】
実施例2
ナノ構造を含む組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む組成物の影響を調べた。
【0125】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。290μlを、13mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)の様々なバッチに加えた。それぞれの水が、フェノールレッド溶液が加えられた後でのそれらの黄色または明るいオレンジ色により、それらのすべてが酸性であったが、異なる開始pHを有したことが認められた。2.5mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムの増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0126】
結果
表1には、水酸化ナトリウム滴定の後でのそれぞれの水の溶液の557nmにおける吸光度がまとめられる。
【0127】
図2および表2に例示されるように、RO水は、水酸化ナトリウムを加えたとき、pHにおけるより大きい変化を示す。RO水はわずかな緩衝作用を有するが、吸光度が0.09Aに達したとき、緩衝作用が「破れ」、pH変化が、より多くの水酸化ナトリウムを加えた後ではより大きくなる。HA−99水はROと類似している。NM(#150905−106)(Neowater(商標))、AB水Alexander(AB1−22−1 HA Alexander)は若干の緩衝作用を有する。HAPおよびHA−18はNeowater(商標)よりも一層大きい緩衝作用を示す。
【0128】
まとめると、この実験から、HA−99−Xを除いて、試験されたナノ構造を含むすべての新しい水タイプ(HAP、AB1−2−3、HA−18、Alexander)が、Neowater(商標)と類似した特性を示す。
【0129】
実施例3
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0130】
材料および方法
水酸化ナトリウムおよび塩酸を、50mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加え、pHを測定した。実験を三連で行った。すべてにおいて、3回の実験を行った。
【0131】
水酸化ナトリウム滴定:1μl〜15μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。
【0132】
塩酸滴定:1μl〜15μlの1M塩酸を加えた。
【0133】
結果
水酸化ナトリウム滴定についての結果を図3A〜Cおよび図4A〜Cに示す。塩酸滴定についての結果を図5A〜Cおよび図6に示す。
【0134】
ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の水酸化ナトリウムを要求するので、ナノ構造を含む水は緩衝能力を有する。この特徴は7.6〜10.5のpH範囲においてより著しい。加えて、ナノ構造を含む水は、RO水について必要とされる同じpHレベルに到達するためにより多量の塩酸を必要とする。この作用は、アルカリ範囲よりも、酸性pH範囲での方が大きい。例えば、10μlの水酸化ナトリウム(1M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.56から10.3に増大する。ナノ構造を含む水のpHは7.62から9.33に増大した。10μlの塩酸(0.5M)を(総和で)加えたとき、ROのpHが7.52から4.31に低下した。ナノ構造を含む水のpHは7.71から6.65に低下した。この特徴は7.7〜3のpH範囲においてより著しい。
【0135】
実施例4
ナノ構造を含む液体組成物の緩衝能力
緩衝能力に対する、ナノ構造を含む液体組成物の影響を調べた。
【0136】
材料および方法
フェノールレッド溶液(20mg/25ml)を調製した。1mlを、45mlのRO水、または、ナノ構造を含む水(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)に加えた。pHを測定し、必要ならば、滴定した。3mlのそれぞれの水+フェノールレッド溶液をキュベットに加えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸の増大する体積をそれぞれのキュベットに加え、吸収スペクトルを分光光度計で読み取った。酸性溶液はピークを430nmにおいて与え、アルカリ性溶液はピークを557nmにおいて与える。波長の範囲は200nm〜800nmであり、しかし、0.02M水酸化ナトリウムの添加に関連しては、グラフは557nmの波長だけを示す。
【0137】
塩酸滴定:
RO:45ml pH5.8
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.85
Neowater(商標)(#150905−106):45ml pH6.3
1mlのフェノールレッドおよび4μlの水酸化ナトリウム(1M)を加えた。新しいpH=7.19
【0138】
水酸化ナトリウム滴定:
I.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッド、6μlの塩酸(0.25M)および4μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=4.43
Neowater(商標)(#150604−109):45ml pH8.8
1mlのフェノールレッドおよび45μlの塩酸(0.25M)を加えた。新しいpH=4.43
II.RO:45ml pH5.78
1mlのフェノールレッドおよび5μlの水酸化ナトリウム(0.5M)を加えた。新しいpH=6.46
Neowater(商標)(#120104−107):45ml pH8.68
1mlのフェノールレッドおよび5μlの塩酸(0.5M)を加えた。新しいpH=6.91
【0139】
結果
図7A〜Cおよび図8A〜Bに例示されるように、ナノ構造を含む水の緩衝能力はRO水の緩衝能力よりも大きかった。
【0140】
実施例5
RF水の緩衝能力
緩衝能力に対するRF水の影響を調べた。
【0141】
材料および方法
水酸化ナトリウム(1M)の数μlの液滴を加えて、150mlのRO水のpH(pH=5.8)を上げた。この水の50mlを3つのボトルに等分した。3つの処理を行った:
ボトル1:非処理(RO水)
ボトル2:30Wにより30分間照射されたRO水。このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された(RF水)。
ボトル3:pHが5に達したとき、2回目の照射に供されたRF水。照射後、このボトルは、滴定を開始する前に実験台に10分間放置された。
【0142】
1μlの0.5M塩酸を50mlの水に加えることによって滴定を行った。pH値が4.2未満に達したときに滴定を終えた。
【0143】
実験を三連で行った。
【0144】
結果
図9A〜Cおよび図10から理解され得るように、RF水およびRF2水は、ナノ構造を含む担体組成物の緩衝特性と類似する緩衝特性を含む。
【0145】
実施例6
ナノ構造を含む液体組成物の溶媒能力
下記の実験を、ナノ構造を含む液体組成物が、1mg/mlの濃度で水に溶解しないことがともに知られている2つの材料を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0146】
A.エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
5回の試みを、粉末を様々な組成で溶解することを目指して行った。
組成は下記の通りであった:
A.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)。
B.10mgの粉末(赤色/白色)+990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)。
C.10mgの粉末(赤色/白色)+495μlのNeowater(商標)+495μlのEtOH(50%−50%)。
D.10mgの粉末(赤色/白色)+900μlのNeowater(商標)+90μlのEtOH(90%−10%)。
E.10mgの粉末(赤色/白色)+820μlのNeowater(商標)+170μlのEtOH(80%−20%)。
【0147】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0148】
結果
1.白色粉末は5個すべての試験チューブにおいて溶解しなかった。
2.赤色粉末は溶解したが、しばらくして沈降した。
色がわずかに黄色に変化したので、試験チューブCは粉末をより良好に溶解したかのようであった。
【0149】
B.粉砕後の、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
粉砕後、赤色粉末を4つの組成で溶解した:
A.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのRO。
B.1/2mgの赤色粉末+49.5μlのNeowater(商標)。
C.1/2mgの赤色粉末+9.9μlのEtOH→39.65μlのNeowater(商標)(20%−80%)。
D.1/2mgの赤色粉末+24.75μlのEtOH→24.75μlのNeowater(商標)(50%−50%)。
総反応体積:50μl。
【0150】
これらのチューブをボルテックスし、60℃に1時間加熱した。
【0151】
結果
粉砕後、赤色粉末を溶解するために、Neowater(商標)との組合せにおいて、わずかに20%のエタノールだけが必要であった。
【0152】
C.徹底的な粉砕の後における、エタノール/Neowater(商標)(Do−Coop technologies、イスラエル)型溶液における溶解
材料および方法
2つの粉砕プロトコルを行った。第1は粉末単独に対してであり(バイアル1)、第2は、100μlのNeowater(商標)(1%)に分散された粉末に対してあった(バイアル2)。
【0153】
これら2つの組成物を2つのバイアルに入れ、攪拌機上に置いて、材料を一晩粉砕した。
【0154】
15時間後、100μlのNeowater(商標)を数分毎に10μlの滴定によって1mgの赤色粉末(バイアル1)に加えた。
【0155】
変化を、試験チューブの写真を0時間〜24時間の間で撮影することによってモニタリングした(図14F〜J)。
【0156】
比較として、2つのチューブを観察した。2つのうちの一方が、990μlのNeowater(商標)(90分間脱水されたもの)に分散された赤色粉末(1%溶液)を含み、他方が、50%エタノール/50%Neowater(商標)を含む溶液に分散された赤色粉末(1%溶液)を含んだ。チューブを60℃で1時間加熱した。これらのチューブが図14A〜Eに例示される。24時間の期間の後、それぞれの溶液からの2μlを採取し、その吸光度をnanodropで測定した(図15A〜C)。
【0157】
結果
図11A〜Jは、徹底的な粉砕の後では、赤色材料が24時間にわたって安定であり続け、沈下しないように、赤色材料を溶解することが可能であることを例示する。しかしながら、図11A〜Eは、時間が経過するとき、該材料は色が変化すること(安定でないこと)を示す。
【0158】
バイアル1はほとんど吸収しなかった(図12A);溶液Bの吸光度ピークは、左側(220nm)への変化を伴って220nm〜270nmの間にあり(図12B)、溶液Cの吸光度ピークは250nm〜330nmの間にあった(図12C)。
【0159】
結論
赤色材料を粉砕することにより、該材料をNeowater(商標)に分散させることがもたらされた。この分散物は24時間にわたって持続した。該材料をガラス製バイアルにおいて維持することにより、溶液は、100%の脱水Neowater(商標)およびEtOH−Neowater(商標)の両方において、その後72時間安定に保たれた。
【0160】
実施例7
ダイゼイン、ダウノルビシンおよびt−boc誘導体を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が3つの材料(ダイゼイン−ダウノマイシンコンジュゲート(CD−Dau);ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩);ダイゼインのt−boc誘導体(tboc−Daid)、これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0161】
材料および方法
A.CD−Dauの可溶化−パート1:
要求濃度:3mg/ml(Neowater)
属性:この材料を、DMSO、アセトン、アセトニトリルに溶解した。
属性:この材料をEtOHに溶解した。
【0162】
5個の異なるガラス製バイアルを調製した:
1.5mgのCD−Dau+1.2mlのNeowater(商標)。
2.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン。
3.1.8mgのCD−Dau+150μlのアセトン+450μlのNeowater(商標)(25%アセトン)。
4.1.8mgのCD−Dau+600μlの10%*PEG(ポリエチレングリコール)。
5.1.8mgのCD−Dau+600μlのアセトン+600μlのNeowater(商標)。
【0163】
これらのサンプルをボルテックスし、分光光度計での測定を、バイアル#1、バイアル#4およびバイアル#5に対して行った。
【0164】
バイアルを、アセトンを蒸発させるために開けたままにした(バイアル#2、バイアル#3およびバイアル#5)。
【0165】
結果
バイアル#1(100%のNeowater):CD−Dauが数時間後に沈降した。
バイアル#2(100%のアセトン):CD−Dauがアセトン内に懸濁されたが、48時間後には、アセトンが材料を溶解したので、材料が部分的に沈降した。
バイアル#3(25%のアセトン):CD−Dauがあまり良好に溶解せず、材料が溶液内部に漂った(溶液は濁っているようであった)。
バイアル#4(10%PEG+Neowater):CD−Dauが、バイアル#1におけるCD−Dauよりも良好に溶解したが、CD−Dauは、100%アセトンとの混合物の場合ほど良好に溶解しなかった。
バイアル#5:CD−Dauが最初、アセトン内に懸濁され、CD−Dauが完全に溶解した後で、Neowater(商標)を、アセトンを交換するために加えた。最初、アセトンは、Neowater(商標)の存在にもかかわらず、この材料を溶解した。しかしながら、アセトンが蒸発するにつれ、材料は一部がバイアルの底に沈降した。しかしながら、材料は懸濁されたままであった。
【0166】
分光光度計での測定(図13)は、アセトンの存在下および非存在下の両方における材料の挙動を例示する。アセトンがある場合、水または10%PEGにより懸濁される材料(両方の場合に、これらは1つだけのピークを示すだけである)との比較において、2つのピークが存在する。
【0167】
B.CD−Dauの可溶化−パート2:
アセトンが、溶液#2、溶液#4および溶液#5から蒸発するとすぐに、材料はわずかに沈降した。さらなる量のアセトンをこれらのバイアルに加えた。このプロトコルは、材料をアセトンおよびNeowater(商標)の存在下で溶解することを可能にし、一方で、同時に、その後の、溶液からのアセトンの蒸発を可能にする(この処置を2回行った)。2回目のサイクルの後で、液相をバイアルから取り出し、さらなる量のアセトンを沈降した材料に加えた。沈降した材料が溶解すると、それを以前に取り出された液相と一緒にした。一緒にした溶液を再び蒸発させた。材料が全く溶解しなかったので、バイアル#1からの溶液を取り出し、代わりに、1.2mlのアセトンを沈降物に加えて、材料を溶解した。その後、1.2mlの10%PEG+Neowater(商標)もまた加え、しばらくした後で、アセトンを溶液から蒸発させた。これらの処置を終了したとき、これらのバイアルを一緒にして1つのバイアルにした(3mlの総体積)。この最終的な体積の上に、3mlのアセトンを、材料を溶解し且つ透明な液化溶液を収容するために加え、その後、この溶液を50℃で再び蒸発させた。溶液は平衡に達しなかった。これは、そのような状態に一旦達すると、溶液は分離してしまうであろうという事実のためである。平衡を避けることによって、材料の水和状態が維持され、液体として保たれた。溶媒を蒸発させた後、材料を清浄なバイアルに移し、真空条件下で閉じた。
【0168】
C.CD−Dauの可溶化−パート3:
別の3mlの材料(6mlの総体積)を、2mlのアセトン溶解材料と、以前の実験から残った1mlの残留材料とを加えることにより作製した。
【0169】
1.9mlのNeowater(商標)を、アセトンを含有するバイアルに加えた。
【0170】
100μlのアセトン+100μlのNeowater(商標)を残留材料に加えた。
【0171】
蒸発を、50℃に調節されたホットプレート上で行った。
【0172】
この処置を、溶液が安定になるまで3回繰り返した(アセトンの添加およびその蒸発)。
【0173】
これら2つのバイアルをまとめて一緒にした。
【0174】
これら2つの溶液を一緒にした後、材料がわずかに沈降した。アセトンを加え、溶媒の蒸発を繰り返した。
【0175】
バイアル(3ml+2ml)を混合する前に、本明細書中上記のパート2に記載されるような実験で調製された第1の溶液を9℃で一晩インキュベーションして、その結果、溶液が平衡に達し、平衡を維持することを確実にした。そうすることによって、既に溶解している材料は沈降しないはずである。翌朝、溶液の吸収を明らかにし、差グラフを得た(図14)。これら2つのバイアルを一緒にした後、材料がわずかに沈降するので、吸収測定を再び行った。一部の沈降の結果として、溶液をアセトン(5ml)の添加によって1:1で希釈し、続いて、溶液の蒸発をホットプレートにて50℃で行った。蒸発処置を行いながらでの溶液の分光光度計での読み取りはアセトンの存在のために変化した(図15)。これらの実験から、微量のアセトンが存在するとき、アセトンは、もたらされる吸収読み取りに影響を及ぼし得ることが暗示される。
【0176】
B.ダウノルビシン(セルビジン塩酸塩)の可溶化
要求濃度:2mg/ml
【0177】
材料および方法
2mgのダウノルビシン+1mlのNeowater(商標)を1つのバイアルにおいて調製し、2mgのダウノルビシン+1mlのROを第2のバイアルにおいて調製した。
【0178】
結果
この材料は、分光光度計での測定(図16)によって例示されるように、Neowater(商標)および水の両方において容易に溶解した。
【0179】
結論
ダウノルビシンは難なくNeowater(商標)および水に溶解する。
【0180】
C.t−bocの可溶化
要求濃度:4mg/ml
【0181】
材料および方法
1.14mlのEtOHを、18.5mgのt−boc(油状材料)を含有する1つのガラス製バイアルに加えた。その後、これを2つのバイアルに分け、1.74mlのNeowater(商標)またはRO水を、溶液が25%のEtOHを含むようにバイアルに加えた。分光光度計での測定の後、溶媒を溶液から蒸発させ、Neowater(商標)を両方のバイアルに加えてそれぞれのバイアルにおいて2.31mlの最終体積にした。これら2つのバイアルにおける溶液を1つの清浄なバイアルに一緒にし、真空条件下での輸送のためにパッケージングした。
【0182】
結果
分光光度計での測定が図17に例示される。この材料はエタノールに溶解した。Neowater(商標)を加え、その後、溶媒を熱(50℃)により蒸発させた後、この材料はNeowater(商標)に溶解することができた。
【0183】
結論
材料を溶解するための最適な方法は、最初、材料を溶媒(アセトン、酢酸またはエタノール)とともに溶解し、その後、親水性流体(Neowater(商標))を加え、続いて、その溶媒を、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることによって除くことである。
【0184】
実施例8
AG−14aおよびAG−14bを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が2つの薬草材料(AG−14AおよびAG−14B、これらはともに、25mg/mlの濃度で水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0185】
パート1
材料および方法
2.5mgのそれぞれの材料(AG−14AおよびAG−14B)を、4つのチューブのそれぞれにおける粉末の最終濃度が2.5mg/mlであるように、Neowater(商標)単独、または、75%のNeowater(商標)および25%のエタノールを含む溶液のいずれかで希釈した。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0186】
結果
エタノールの存在下および非存在下でのNeowater(商標)における2つの薬草材料の分光光学的測定を図18A〜Dに示す。
【0187】
結論
ROにおける懸濁はAG−14Bを溶解しなかった。Neowater(商標)におけるAG−14Bの懸濁は凝集せず、これに対して、ROでは、AG−14Bが凝集した。
【0188】
AG−14AおよびAG−14BはNeowater/ROに溶解しなかった。
【0189】
パート2
材料および方法
5mgのAG−14AおよびAG−14Bを62.5μlのEtOH+187.5μlのNeowater(商標)で希釈した。さらに62.5μlのNeowater(商標)を加えた。これらのチューブをボルテックスし、50℃に加熱して、エタノールを蒸発させるようにした。
【0190】
結果
Neowater(商標)を加える前でのEtOHにおける溶解、その後、EtOHの蒸発により、AG−14AおよびAG−14Bが溶解した。
【0191】
図19に示されるように、AG−14AおよびAG−14Bは、48時間を超えて懸濁状態で安定なままであった。
【0192】
実施例9
ペプチドを溶解する、ナノ構造を含む担体の能力
ナノ構造を含む担体組成物が7つの細胞傷害性ペプチド(これらのすべてが、水に溶解しないことが知られている)を溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。加えて、Skov−3細胞に対するこれらのペプチドの影響を、ナノ構造を含む担体組成物がペプチドの細胞傷害活性に影響を及ぼしたかどうかを確認するために測定した。
【0193】
材料および方法
可溶化:7個すべてのペプチド(ペプチドX、X−5FU、NLS−E、Palm−PFPSYK(CMFU)、PFPSYKLRPG−NH2、NLS−p2−LHRHおよびF−LH−RH−palm kGFPSK)を0.5mMでNeowater(商標)に溶解した。分光光学的測定を行った。
【0194】
インビトロ実験:Skov−3細胞を96ウエルプレートにおいてマッコイ5A培地で増殖させ、1500細胞/ウエルの濃度に希釈した。24時間後、2μl(0.5mM、0.05mMおよび0.005mM)のペプチド溶液を、10−6M、10−7Mおよび10−8Mの最終濃度のために1mlのマッコイ5A培地でそれぞれ希釈した。9個の反復物をそれぞれの処理のために作製した。それぞれのプレートは、3つの濃度での2つのペプチド、および、コントロール処理の6つのウエルを含有した。90μlのマッコイ5A培地+ペプチドを細胞に加えた。1時間後、10μlのFBSを(競合を防止するために)加えた。細胞を、クリスタルバイオレットに基づく生存性アッセイで24時間後および48時間後に定量した。このアッセイにおける色素はDNAを染色する。可溶化したとき、単層により取り込まれた色素の量をプレート読取り機で定量した。
【0195】
結果
Neowater(商標)で希釈された7個のペプチドの分光光学的測定を図20A〜Gに示す。図21A〜Gに示されるように、溶解されたペプチドのすべてが細胞傷害活性を含んでいた。
【0196】
実施例10
レチノールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物がレチノールを溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0197】
材料および方法
レチノール(ビタミンA)をSigma(Fluka、99%HPLC)から購入した。レチノールを下記の条件下でNeowater(商標)において可溶化した。
EtOHおよびNeowater(商標)における1%レチノール(1mlに0.01gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(1mlに0.005gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.5%レチノール(25mlに0.125gr)。
EtOHおよびNeowater(商標)における0.25%レチノール(25mlに0.0625gr)。最終的なEtOH濃度:1.5%
【0198】
EtOHにおけるレチノールの吸光度スペクトル:レチノール溶液を、校正用グラフを作製するために、種々のレチノール濃度とともに無水EtOHにおいて作製した。吸光度スペクトルを分光光度計で検出した。
【0199】
Neowater(商標)における0.25%および0.5%のレチノールを有し、EtOHの濃度が不明である2つの溶液を分光光度計で検出した。数滴の油滴が水に溶解されないので、レチノールの実際の濃度もまた不明である。
【0200】
ろ過:Neowater(商標)における0.25%のレチノールを有し、EtOHの最終濃度が1.5%である2つの溶液を調製した。これらの溶液を0.44μlおよび0.2μlのフィルターでろ過した。
【0201】
結果
レチノールは、アルカリ性のNeowater(商標)において、酸性のNeowater(商標)よりも容易に可溶化した。溶液の色は黄色であり、この色は時間とともに退色した。吸光度実験において、0.5%のレチノールは、0.125%のレチノールと類似するパターンを示し、0.25%のレチノールは、0.03125%のレチノールと類似するパターンを示した(図22を参照のこと)。レチノールは熱において不安定であるので、(その融点は63℃であり)、レチノールはオートクレーブ処理することができない。ろ過は、レチノールが(EtOHに)完全に溶解されたときに可能であった。図23に示されるように、ろ過後の溶液におけるレチノールは0.03125%未満である。両方のろ液は、類似した結果を与えた。
【0202】
実施例11
材料Xを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料Xを40mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0203】
パート1−水およびDMSOにおける溶解性
材料および方法
第1の試験チューブにおいて、25μlのNeowater(商標)を1mgの材料「X」に加えた。第2の試験チューブにおいて、25μlのDMSOを1mgの材料「X」に加えた。両方の試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、振とう機で1時間振とうした。
【0204】
結果
この材料はNeowater(商標)に全く溶解しなかった(試験チューブ1)。この材料はDMSOに溶解し、黄褐色の色を与えた。これらの溶液を24時間〜48時間放置し、それらの安定性を経時的に分析した(図24A〜B)。
【0205】
結論
Neowater(商標)は材料「X」を溶解せず、材料が沈降し、これに対して、DMSOは材料「X」をほぼ完全に溶解した。
【0206】
パート2−DMSOの削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
それぞれが25μlの総反応体積を含有する6個の異なる試験チューブを分析した:
1.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)(100%)。
2.1mgの「X」+12.5μlのDMSO→12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
3.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlのNeowater(商標)(50%)。
4.1mgの「X」+6.25μlのDMSO+18.75μlのNeowater(商標)(25%)。
5.1mgの「X」+25μlのNeowater(商標)+スクロース*(10%)。
6.1mgの「X」+12.5μlのDMSO+12.5μlの脱水Neowater(商標)**(50%)。
*0.1gのスクロース+1mlのNeowater(商標)=10%Neowater(商標)+スクロース
**脱水Neowater(商標)は、Neowater(商標)を60℃で90分間脱水することによって得た。
【0207】
すべての試験チューブをボルテックスし、60℃に加熱し、1時間振とうした。
【0208】
結果
6つの溶媒および材料Xを含む、時間0での試験チューブを図25A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後60分での試験チューブを図26A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後120分での試験チューブを図27A〜Cに示す。6つの溶媒および材料Xを含む、可溶化後24時間での試験チューブを図28A〜Cに示す。
【0209】
結論
すべての試験チューブにおいて、材料が24時間後に沈降したので、材料「X」は期間中を通して安定なままではなかった。
【0210】
試験チューブ2の溶媒と、試験チューブ6の溶媒との間には、同じ割合の溶媒を含有するにもかかわらず、違いが認められる。これは、試験チューブ6が、非脱水のNeowater(商標)より疎水性である脱水Neowater(商標)を含有するためである。
【0211】
パート3 DMSOのさらなる削減および異なる溶媒における材料の安定性/速度論の経時的な試験
材料および方法
1mgの材料「X」+50μlのDMSOをガラス製チューブに入れた。50μlのNeowater(商標)をチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、Neowater(商標)の溶液(9%DMSO+91%Neowater(商標))500μlを加えた。
【0212】
第2のガラス製チューブにおいて、1mgの材料「X」+50μlのDMSOを加えた。50μlのROをチューブに少しずつ加え(数秒毎に、5μl)、その後、ROの溶液(9%DMSO+91%RO)500μlを加えた。
【0213】
結果
図29A〜Dに例示されるように、材料「X」は、Neowater(商標)を含む溶液に分散されたままであったが、RO水を含む溶液では、チューブの底に沈降した。図30は、ボルテックス後6時間での、RO/Neowater(商標)およびアセトンに分散された材料の吸収特徴を示す。
【0214】
結論
材料「X」が、Neowater(商標)と比較したとき、ROに異なって溶解すること、および、材料「X」は、ROと比較したとき、Neowater(商標)においてより安定であることが明らかである。分光光度計での測定(図30)からは、グラフ下面積がROの場合よりも大きいので、材料「X」が、5時間後でさえ、Neowater(商標)にはより良好に溶解していたことが明らかである。Neowater(商標)は材料「X」を水和することが明らかである。DMSOの量を20%〜80%減らすことができ、また、材料「X」を水和し、材料「X」をNeowater(商標)に分散する、Neowater(商標)に基づく溶液を得ることができる。
【0215】
実施例12
SPL2101およびSPL5217を溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料SPL2101およびSPL5217を30mg/mlの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0216】
材料および方法
SPL2101をその最適な溶媒(エタノール)に溶解し(図31A)、SPL5217をその最適な溶媒(アセトン)に溶解した(図31B)。これら2つの化合物をガラス製バイアルに入れ、冷暗所環境で保った。微量の溶媒が全く認められなくなるまで、溶媒の蒸発をデシケータにおいて長時間行い、Neowater(商標)を溶液に加えた。
【0217】
結果
SPL2101およびSPL5217は、図32A〜Bにおける分光光度計データによって示されるように、Neowater(商標)に溶解した。
【0218】
実施例13
タキソールを溶解する、ナノ構造を含む液体組成物の能力
ナノ構造を含む液体組成物が材料タキソール(パクリタキセル)を0.5mMの最終濃度で溶解することができたかどうかを確認するために、下記の実験を行った。
【0219】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を、DMSO、または、17%のEtOHを伴うNeowater(商標)のいずれかで調製した(4mlにおいて0.0017gr)。吸光度を分光光度計により検出した。
細胞生存性アッセイ:150000個の293T細胞を3mlのDMEM培地とともに6ウエルプレートに播種した。それぞれの処理物を、ROまたはNeowater(商標)に基づくDMEM培地で増殖させた。タキソール(Neowater(商標)またはDMSOに溶解されたもの)を1.666μMの最終濃度に加えた(3mlの培地中10μlの0.5mMタキソール)。細胞をタキソールによる24時間処理の後で集め、死細胞を検出するためのトリパンブルー溶液を使用して計数した。
【0220】
結果
タキソールは、図33A〜Bに示されるように、DMSOおよびNeowater(商標)の両方に溶解した。タキソールの様々な溶液の後での293T細胞の生存性を図34に示す。
【0221】
結論
タキソールは、Neowater(商標)における溶液の後で細胞傷害作用を含んでいた。
【0222】
実施例14
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用
ナノ構造を含む液体組成物がタンパク質の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0223】
材料および方法
2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)を、ddH2O(RO)におけるそれらの活性、および、ナノ構造を含む担体(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)におけるそれらの活性を求めるために、PCR反応において調べた。酵素を1時間〜2.5時間までの種々の期間にわたって95℃に加熱した。2つのタイプの反応液を作製した:
水のみ−酵素および水のみを煮沸した。
中味すべて−反応成分のすべてを煮沸した(酵素、水、緩衝液、dNTP類、ゲノムDNAおよびプライマー)。
【0224】
煮沸後、必要とされる任意のさらなる反応成分をPCRチューブに加え、通常のPCRプログラムを30サイクルに設定した。
【0225】
結果
図35A〜Bに示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件、および、酵素のみが熱ストレスに供された条件の両方の下で、酵素を加熱から保護した。対照的に、RO水は、成分のすべてが熱ストレスに供された条件下で、酵素を加熱から保護しただけであった。
【0226】
実施例15
ナノ構造を含む液体組成物の安定化作用のさらなる例示
ナノ構造を含む液体組成物が2つの市販のTaqポリメラーゼ酵素(Peq−labおよびBio−lab)の安定性をもたらしたかを確認するために、下記の実験を行った。
【0227】
材料および方法
PCR反応を下記のように設定した:
Peq−labサンプル:ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか20.4μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Peq−lab、Taq DNAポリメラーゼ、5U/μl)
【0228】
3つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分および90分であった。
【0229】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlの10X反応緩衝液Y(Peq−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス 10pmol/μl
0.5μlのゲノムDNA 35μg/μl
【0230】
Biolabサンプル
ナノ構造を含む液体組成物(Neowater(商標)、Do−Coop technologies、イスラエル)、または、蒸留水(逆浸透=RO)のいずれか18.9μl。
0.1μlのTaqポリメラーゼ(Bio−lab、Taqポリメラーゼ、5U/μl)
【0231】
5つのサンプルを設定し、95℃の一定温度でのPCR装置に入れた。インキュベーション時間は、60分、75分、90分、120分および150分であった。
【0232】
Taq酵素の煮沸の後、下記の成分を加えた:
2.5μlのTAQ 10X緩衝液(Mg非含有)(Bio−lab)
1.5μlのMgCl2(25mM)(Bio−lab)
0.5μlのdNTP類(10mM)(Bio−lab)
1μlのプライマー GAPDHミックス(10pmol/μl)
0.5μlのゲノムDNA(35μg/μl)
【0233】
それぞれの処理(NeowaterまたはRO)のために、陽性コントロールおよび陰性コントロールを作製した。陽性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わないものであった。陰性コントロールは、酵素を煮沸することを伴わず、かつ、DNAを反応において伴わないものであった。PCRミックスを、煮沸taqアッセイ、ならびに、コントロール反応のために作製した。
【0234】
サンプルをPCR装置に入れ、下記のように操作した:
PCRプログラム:
1.94℃で2分間の変性
2.94℃で30秒間の変性
3.60℃で30秒間のアニーリング
4.72℃で30秒間の伸長
工程2〜4を30回繰り返す
5.72℃で10分間の伸長
【0235】
結果
図36に示されるように、ナノ構造を含む液体組成物は、1.5時間までの期間、両方の酵素を熱ストレスから保護した。
【0236】
実施例16
ナノ構造を含む液体組成物はタキソールを溶解することができることのさらなる証拠
下記の実験を、ナノ構造を含むキャリア組成物が0.08%のエタノールの存在下において0.5mMの最終濃度で物質タキソール(パクリタキセル)を溶解することができたかどうかを確認するために行った。
【0237】
材料および方法
可溶化:0.5mMのタキソール溶液を調製した(4mlにおいて0.0017gr)。タキソールをエタノールに溶解し、20日間に及んだRT緩速溶媒交換手法を使用してNeowater(商標)に交換した。この手法が終了したとき、40%未満のエタノールが溶液中に残存し、最終的な投与濃度において0.08%のエタノールをもたらした。溶液を、0.2μmのフィルターを使用して滅菌した。別途、タキソールをDMSOにおいて調製した(0.5mM)。両方の溶液を−20℃で保った。吸光度を分光光度計により検出した。
【0238】
細胞生存性アッセイ:2000個のPC3細胞を、10%のFCSを含むRPMIに基づく培地の100μlとともに96ウエルプレートの各ウエルに播種した。播種後24時間で、0.5mMタキソールの2μl、1μlおよび0.5μlを1mlのRPMI培地で希釈し、これにより、1μM、0.5μMおよび0.25μMの最終濃度をそれぞれ得た。少なくとも8個の反復する反応を処理あたり行った。細胞増殖を、タキソール添加後24時間で、クリスタルバイオレット比色アッセイを使用して細胞密度を定量することによって評価した。
【0239】
処理後24時間で、細胞をPBSにより洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにより固定処理した。クリスタルバイオレットを加え、室温で10分間インキュベーションした。細胞を3回洗浄した後、50%エタノールにおいて100Mクエン酸ナトリウムを含む溶液を使用して、色を細胞から溶出した。光学濃度の変化を、分光光度法によるプレートリーダーを使用して570nmで読み取った。細胞生存性を、ブランクを引いた後、コントロールでの光学濃度(これは100%であると見なされる)の百分率として表した。
【0240】
結果
DMSOまたはNeowater(商標)に溶解された0.5mMタキソールの分光光度法による吸光度が図37Aに例示される。図37B〜図37Cは両方の配合物についてのHPLCによる読み取りである。測定結果は、Neowater(商標)に分散されたタキソールの配合における構造的な変化が6ヶ月の貯蔵期間の後で何らないことを示した。細胞生存性のタキソール誘導による喪失の結果が、DMSOまたはNeowater(商標)に溶解した後において図38に例示される。
【0241】
結論
Neowater(商標)に溶解されたタキソール(0.08%のエタノールを最終的な作業濃度において有する)は、DMSOに溶解されたタキソールと類似する、ヒト前立腺ガン細胞株に対するインビトロ細胞生存性/細胞毒性を示した。
【0242】
実施例17
セファロスポリンの可溶化
下記実験の目的は、不溶性のセファロスポリンを、緩速溶媒交換手法を使用して3.6mg/mlの濃度でNeowater(NW)に溶解すること、および、アンピシリン(Amp)耐性を保有するpUC19プラスミドにより形質転換された大腸菌DH5α菌株に対するその生物活性を評価することであった。
【0243】
材料および方法
緩速溶媒交換:25mgのセファロスポリンを5mlの有機溶媒(アセトン)に溶解した(5mg/ml)。NWを添加する前に、この物質をHeλiosα分光光度計により分析した(図39)。この物質はかろうじてアセトンに溶解した。この物質は最初、砂様の外見を伴って沈降した。有機溶媒をNeowater(商標)で交換する手順を、(30℃で設定された)マルチブロックヒーターにおいて、また、デシケータおよびフードの中で行った。有機溶媒の濃度を、表2に示される式に従って計算した。
屈折計:RI:1.3339、式による計算に従って:1.833%。
分析天秤:平均:0.9962、式に従って:1.941%。
【0244】
溶液を、0.45μmのフィルターを使用して首尾良くろ過した。溶液の分光光度計による読み取りをろ過手法の前後で行った。
【0245】
Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの生物活性の分析
pUC19プラスミド(アンピシリン耐性)を保有するDH5α大腸菌を、100μg/mlのアンピシリンが補充された液体LB培地において37℃および220rpm(回転/分)で一晩増殖させた。
【0246】
一晩(ON)のスターター培養物の100μLを下記のように新鮮な液体LBに再接種した:
a.100μlのNeowater(商標)(2回目の実験のみ)および抗生物質非添加(両方の実験)を有する3つのチューブ。
b.セファロスポリンストック溶液(50ug/ml)の10μlを有する3つのチューブ。
c.セファロスポリンストック溶液(5ug/ml)の100μlを有する3つのチューブ。
【0247】
細菌を37℃および220rpmでインキュベーションした。連続したOD読み取りを、TECAN SPECTRAFlour Plusを使用して、590nmのフィルターとともに96ウエルの透明プレートを使用して1時間毎に行った。
【0248】
結果
図40は、ろ過前およびろ過後における、Neowater(商標)に溶解されたセファロスポリンの分光光度計による読み取りである。
【0249】
図41A〜図41Bおよび図42A〜図42Bに例示されるように、Neowater(商標)に溶解されたとき、セファロスポリンは、大きく希釈されたときでさえ、細菌増殖阻害剤としての生物学的利用能および生物活性を有する。注目すべきことに、本実施例は、Neowater(商標)自体は細菌の増殖阻害において何ら役割を有しないことを教示する。
【0250】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)検出可能な作用因と、
(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物と
を含む、分析物を検出するためのキットであって、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にあるキット。
【請求項2】
分析物は生体分子である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記生体分子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、脂質およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記検出可能な作用因は非直接的に検出可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記非直接的に検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記検出可能な作用因は直接的に検出可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記検出可能な作用因は親和性認識成分を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記親和性認識成分は、アビジン誘導体、ポリヌクレオチドおよび抗体からなる群から選択される、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記直接的に検出可能な作用因は、リン光性作用因、化学発光性作用因および蛍光性作用因からなる群から選択される、請求項6に記載のキット。
【請求項10】
前記酵素反応のエンハンサーをさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項11】
前記エンハンサーは、p−ヨードフェノール、3,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、1,2,4−トリアゾール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、フェノール、2−ナフトール、10−メチルフェノチアジン、セチルトリメチルアンモニウム臭化物およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
酸化作用因をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項13】
前記酸化作用因は、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素、過ホウ酸塩、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)からなる群から選択される、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記酵素反応のための酵素をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項15】
前記酵素は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよびβ−グルクロニダーゼからなる群から選択される、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記酵素は抗体またはアビジン誘導体にコンジュゲート化される、請求項14に記載のキット。
【請求項17】
前記酵素反応の阻害剤をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項18】
前記検出可能な生成物は、蛍光性生成物、化学発光性生成物、リン光性生成物および発色性生成物からなる群から選択される、請求項5に記載のキット。
【請求項19】
前記蛍光性生成物を生じさせることができる基質は蛍光団を含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAOからなる群から選択される分子に由来する、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記蛍光性生成物を生じさせることができる基質は、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンからなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項22】
前記発色性生成物を生じさせることができる基質は、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項23】
前記化学発光性生成物を生じさせることができる基質は、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールからなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項24】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項1に記載のキット。
【請求項25】
前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である、請求項1に記載のキット。
【請求項26】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項1に記載のキット。
【請求項27】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項1に記載のキット。
【請求項28】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項1に記載のキット。
【請求項29】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項30】
前記ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項1に記載のキット。
【請求項31】
包装材と、前記包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項32】
前記検出可能な成分は、蛍光性成分、化学発光性成分、およびリン光性成分からなる群から選択される、請求項31に記載の製造物。
【請求項33】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項31に記載の製造物。
【請求項34】
前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である、請求項31に記載の製造物。
【請求項35】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項31に記載の製造物。
【請求項36】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項31に記載の製造物。
【請求項37】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項31に記載の製造物。
【請求項38】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項31に記載の製造物。
【請求項39】
前記ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項31に記載の製造物。
【請求項40】
セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法であって、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子の前記エンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【請求項1】
(i)検出可能な作用因と、
(ii)液体およびナノ構造を有する液体組成物と
を含む、分析物を検出するためのキットであって、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって取り囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にあるキット。
【請求項2】
分析物は生体分子である、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記生体分子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、脂質およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記検出可能な作用因は非直接的に検出可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記非直接的に検出可能な作用因は、検出可能な生成物を生じさせることができる酵素反応のための基質である、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記検出可能な作用因は直接的に検出可能である、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記検出可能な作用因は親和性認識成分を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
前記親和性認識成分は、アビジン誘導体、ポリヌクレオチドおよび抗体からなる群から選択される、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記直接的に検出可能な作用因は、リン光性作用因、化学発光性作用因および蛍光性作用因からなる群から選択される、請求項6に記載のキット。
【請求項10】
前記酵素反応のエンハンサーをさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項11】
前記エンハンサーは、p−ヨードフェノール、3,4−ジクロロフェノール、p−ヒドロキシケイ皮酸、1,2,4−トリアゾール、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、フェノール、2−ナフトール、10−メチルフェノチアジン、セチルトリメチルアンモニウム臭化物およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
酸化作用因をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項13】
前記酸化作用因は、過酸化水素、尿素過酸化水素、炭酸ナトリウム過酸化水素、過ホウ酸塩、フェリシアン化カリウムおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)からなる群から選択される、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記酵素反応のための酵素をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項15】
前記酵素は、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよびβ−グルクロニダーゼからなる群から選択される、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記酵素は抗体またはアビジン誘導体にコンジュゲート化される、請求項14に記載のキット。
【請求項17】
前記酵素反応の阻害剤をさらに含む、請求項5に記載のキット。
【請求項18】
前記検出可能な生成物は、蛍光性生成物、化学発光性生成物、リン光性生成物および発色性生成物からなる群から選択される、請求項5に記載のキット。
【請求項19】
前記蛍光性生成物を生じさせることができる基質は蛍光団を含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記蛍光団は、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、レゾルフィンおよびDDAOからなる群から選択される分子に由来する、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記蛍光性生成物を生じさせることができる基質は、フルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(FDG)、レゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシド、DDAOガラクトシド、β−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、6,8−ジフルオロ−4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド、3−カルボキシウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、ELF97ホスファート、5−クロロメチルフルオレセインジ−β−D−ガラクトピラノシド(CMFDG)、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、フルオレセインジ−β−D−グルクロニド、PFBアミノフルオレセインジグルクロニド、ELF97−β−D−グルクロニド、BODIPY FLクロラムフェニコール基質(商標)および10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジンからなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項22】
前記発色性生成物を生じさせることができる基質は、BCIP、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−GlcU)および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)、ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)およびo−フェニレンジアミン(OPD)からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項23】
前記化学発光性生成物を生じさせることができる基質は、ルシフェリン、ルミノール、イソルミノール、アクリダン、フェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、2,4,6−トリクロロフェニル−10−メチルアクリダン−9−カルボキシラート、ピロガロール、フロログルシノールおよびレゾルシノールからなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項24】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項1に記載のキット。
【請求項25】
前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である、請求項1に記載のキット。
【請求項26】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項1に記載のキット。
【請求項27】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項1に記載のキット。
【請求項28】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項1に記載のキット。
【請求項29】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項30】
前記ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項1に記載のキット。
【請求項31】
包装材と、前記包装材の中に含有される、検出可能な成分の検出を高めるために特定される液体組成物とを含む製造物であって、前記液体組成物は液体およびナノ構造を有し、前記ナノ構造のそれぞれが、整列した流体分子のエンベロープによって囲まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子のエンベロープとが定常的な物理的状態にある製造物。
【請求項32】
前記検出可能な成分は、蛍光性成分、化学発光性成分、およびリン光性成分からなる群から選択される、請求項31に記載の製造物。
【請求項33】
前記流体分子の少なくとも一部が前記液体の分子と同一である、請求項31に記載の製造物。
【請求項34】
前記流体分子の少なくとも一部がガス状状態である、請求項31に記載の製造物。
【請求項35】
前記ナノ構造の濃度は、ナノ構造が1リットルあたり1020個未満である、請求項31に記載の製造物。
【請求項36】
前記ナノ構造は前記ナノ構造のクラスターを形成することができる、請求項31に記載の製造物。
【請求項37】
前記ナノ構造はナノ構造間の長距離相互作用を維持することができる、請求項31に記載の製造物。
【請求項38】
前記液体組成物は、水の緩衝能力よりも大きい緩衝能力を含む、請求項31に記載の製造物。
【請求項39】
前記ナノ構造はヒドロキシアパタイトから作製される、請求項31に記載の製造物。
【請求項40】
セファロスポリンを、この物質を分散または溶解することを可能にする条件のもとでナノ構造および液体と接触させることを含む、セファロスポリンを溶解または分散する方法であって、前記ナノ構造は、前記液体の整列した流体分子によって包まれるナノメートルサイズのコア物質を含み、前記コア物質と、前記整列した流体分子の前記エンベロープとが定常的な物理的状態にある方法。
【図37B−37C】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A−11C.11F−11H】
【図11D−11E.11I−11J】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図21F】
【図21G】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A−11C.11F−11H】
【図11D−11E.11I−11J】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図21F】
【図21G】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37A】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公表番号】特表2010−528256(P2010−528256A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544491(P2009−544491)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000024
【国際公開番号】WO2008/081455
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000024
【国際公開番号】WO2008/081455
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508203493)ドゥ−コープ テクノロジーズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】
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