説明

分析粒子凝集およびイメージング装置および方法

その内部で分析が実行され得るサンプル容器を有する分析装置。装置は、ホルダを更に有し、ホルダは、レセプタクル、ソケット、または、ホルダに対して正確で容易に繰り返される場所にてサンプル容器を動作可能に受けるように構成される他のデバイスを有する。磁石が、その磁石により生成される磁場がサンプル容器内で磁性凝集領域を画成するサンプル容器の一部に交差するように、ホルダと動作可能に関連付けられ得る。別個のまたは一体化された検出またはインタロゲーション機器、典型的には、分光計が提供され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の分析に関連した粒子を凝集させ画像化するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子および磁性、常磁性、または、特に超常磁性粒子は、固相キャプチャまたは検出種として、診断分析に利用され得る。微粒子を基にした分析が、2つの主要なカテゴリ、均質の(分離のない)および不均質の分析に分けられ得る。
【0003】
均質(分離のない)分析フォーマットにおいて、結合反応物が、検出前に、いかなるその後の洗浄ステップもなく、混合させられ、測定される。かかるシステムの利点は、より少ない分析ステップ、低容積、および、低浪費によるより低いコストとともに、速い溶液相動力学、簡単な分析フォーマット、より簡単な器具類である。均質の免疫測定法は、拘束されたまた遊離した検体の物理的な分離を必要とせず、そのため、不均質の免疫測定法を実行するのにより速く、より簡単であり得る。小さなサンプルサイズ、低い試薬容量および短い培養時間を用いる均質の免疫測定法は、速い所要時間をもたらす。このタイプの分析の短所は、制限されたダイナミックレンジおよび感度であり得る。信号検出前に遊離検体の分離が全くないため、検出感度が更に低下させられ得る。また、干渉が、サンプルとキャプチャ試薬または検出試薬との間の相互作用により高いバックグラウンド信号をもたらし得る。均質分析は、検出方法としてのネフェロメトリ(nephelometry)またはタービディメトリ(turbidimetry)を伴う粒子凝集分析などの診断分析におけるとともに、アルファスクリーン(AlphaScreen)、SPA、蛍光分極およびフローサイトメトリ(flow cytometry)を基にした分析などの高処理能力スクリーニングプラットフォームにおける好適な分析フォーマットである。
【0004】
様々なタイプの分析が、磁性キャプチャ粒子との、光学的にラベル付けされた検出粒子の関連付けを必要とする。磁性キャプチャ粒子が均質の(分離のない)分析フォーマットにおいて用いられる場合、磁界中の粒子の動きが、磁性粒子およびそれらに結合得るいかなるものをも、分析の他の成分から凝集させ、識別するために利用され得る。光学的にラベル付けされた検出粒子にキャプチャ粒子が結合されている(さもなければ組み合わさっている)場合の分析の実施に際し、公知の技術を用いて、キャプチャ粒子を光学的なインタロゲーションシステムの焦点平面に凝集させることは難しい。更なる困難が、磁性キャプチャ粒子がインタロゲーション用に比較的小型および/または小さいペレット(pellet)に凝集させられることが求められる場合にもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願US07/61878号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した問題の1つまたは複数を克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態は、その内部で分析が実行され得るサンプル容器を有する分析装置を有する。装置は、更にホルダを有し、ホルダは、レセプタクル、ソケット、またはホルダに対して正確にまた容易に繰り返される位置にサンプル容器を動作可能に受けるように構成された他のデバイスを備えている。この実施形態は、ホルダと動作可能に連結される磁石を更に有し、磁石により生成される磁場が、サンプル容器内に磁性凝集領域を画成するサンプル容器の一部に交差する。磁石は、永久磁石または電磁石であり得る。この実施形態は、別個の検出またはインタロゲーション計器、典型的には、分光計とともに用いられ得る。分光計はまた、分光計の焦点がサンプル容器の磁性凝集領域内にあるように、サンプル容器を受けまた保持するように具体的に構成される装置を有する。
【0008】
本明細書に記述される分析装置の様々な実施形態は、光学的にラベル付けされた粒子が、磁性、常磁性、または、超常磁性キャプチャ粒子と関連付けられることになるいかなる分析とともに使用するのに適している。本明細書に用いられるとき、用語「磁性粒子」は、従来の磁性粒子、常磁性粒子、超常磁性粒子または磁場により影響を及ぼされるいかなる他のタイプの粒子を含む。本明細書に詳細に記述される一実施形態では、分光計が、ラマン分光計であり、また、光学的にラベル付けされた検出器粒子が、SERSナノタグ(nanotags)である。
【0009】
代替的な実施形態は、サンプル容器、ホルダ、および、前述したような磁性凝集領域を画成する磁石を有する。この実施形態は、ホルダと作動的に連結される分光計を更に有し、分光器の焦点が、サンプル容器がホルダ内へまたはホルダ上に配置される場合に、磁性凝集領域内にある。本発明のこの態様では、ホルダ/凝集装置から別個の分光計へサンプル容器を移動させる中間ステップがなくなる。2つの重要な利点が、組み合わされた機能を備えた実施形態を用いて達成される。第1の利点は、測定繰り返し性が向上させられるとともに、偽陰性の結果(磁性粒子の凝集させられたペレットを全て見逃す)に関する可能性が回避されるように、サンプル容器内で磁性粒子を配置する(または磁性凝集領域を画成する)上での向上した精度である。第2の利点は、ホルダ/凝集装置から別個の分光計へサンプル容器を移動させるステップをなくすことに関し、その結果、サンプル読取りが、単一のステップ操作に削減される。更に、サンプル容器内のペレットの動作の関連した危険、または、測定結果にエラーをもたらし得る、分光計への移動の間のペレットの解離が排除される。
【0010】
本明細書に記載される装置のいかなる実施形態も、磁性凝集領域内の磁性キャプチャ粒子の比較的コンパクトな凝集を刺激するために、サンプル容器と関連付けられたデバイスを更に有し得る。代替的には、本明細書に記載される幾つかの方法が、圧密および凝集を補助すべく用いられ得る。比較的コンパクトな凝集を刺激すべく利用され得る代表的なデバイスは、これに限定されないが、サンプル容器の一部に移動磁場を通過させることにより動作する磁性刺激器具と、サンプル容器を振る、撹拌する、または、振動させるように構成される機械的または電気機械の刺激器具またはバイブレータと、サンプル容器を通じて音波を伝えるように構成される超音波変換器であり得る音響トランスデューサ(acoustic transducer)と、を有する。適切な圧密方法は、ペレットが容器壁における異なる場所で余儀なく再形成させられるために、容器の操作に加えて、直ぐ上記に記述されたデバイスの利用を伴う。例えば、操作は、磁場からの管の除去、および、代替的な方位におけるその交換、または、管における異なる位置での1つまたは複数の磁石の除去および再適用を伴い得る。加えて、圧密向上方法が、別個の局部集合装置、または、分光計または他のインタロゲーションデバイスを有する装置とともに、または、それらを通じて、適用され得る。
【0011】
更なる実施形態は、分析を実行する方法を有する。本発明の範囲内の方法は、磁性キャプチャ粒子を、サンプル容器内の光学活性検出粒子と関連付けるステップと、サンプル容器の凝集領域内に磁性キャプチャ粒子を磁気的に凝集させるステップと、前述したような装置を用いて、磁性凝集領域からスペクトルを取得するステップと、を有する。その方法は、機械的に撹拌すること、振動させること、音波を発射すること、移動磁場をサンプル容器の一部に通過させること、サンプル容器を操作すること、磁場を再配置すること、または、他の手法により圧密凝集を刺激するステップを更に有し得る。
【0012】
開示される各実施形態において、凝集領域の外側であるが分光計と凝集領域との間の光路に沿った分析流体の量を最小にすることが有利である。この目的を達成すべく開示される装置および技術は、これに限定されないが、種々の構成要素を、磁性凝集領域が、光路が最初にサンプルホルダに交わる場所で形成させられるように、位置決めするステップを有する。
【0013】
分析が本明細書に記載される装置および方法を用いて実行され得る磁性キャプチャ粒子および光学的にラベル付けされた検出粒子の利用を特徴とする様々な分析が、「SERSナノタグ分析」と題された同時係属特許文献1に十分に記載される。その出願は、本明細書に完全に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】サンプル容器およびサンプル容器ホルダの概略図である。
【図2】サンプル容器および磁性凝集アセンブリの略平面図である。
【図3】サンプル容器およびサンプル容器ホルダの略正面図である。
【図4A】一体化されたサンプル容器、凝集装置および分光計の略平面図である。
【図4B】一体化されたサンプル容器、凝集装置および分光計の略平面図である。
【図5】磁性粒子キャプチャの間の時間の関数としての信号強度の増大のグラフ表示である。
【図6】代表的なペレット圧密方法の概略図である。
【図7】サンプル容器として光学的に透明な毛細管を特徴付ける実施形態の概略図である。
【図8】サンプル容器として光学的に透明な毛細管を特徴付ける代替的な実施形態の概略図である。
【図9】毛細管サンプル容器およびカートリッジのドッキングを特徴付ける実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この出願を通じて用いられる場合、用語「磁性粒子」は、従来の磁性粒子、常磁性粒子、超常磁性粒子または磁場に影響されるいかなる他の粒子として定義されるものとする。幾つかの利点は、キャプチャおよび凝集装置が関連した光学的なまたは他の検出/インタロゲーション器具類とは別個である分析で用いられる磁性粒子のキャプチャおよび凝集のための装置を有することにより実現され得る。例えば、光学的インタロゲーションユニットにおける個々のサンプルにより占められる時間を最小にすることが望ましいこともあり得る。代替的には、利点が、磁性キャプチャおよび凝集装置を分光計または他の光学的インタロゲーションデバイスと一体化させることにより実現され得る。例えば、完全に一体化されたキャプチャ、凝集およびイメージングシステムは、サンプル容器が凝集ステップと光学的インタロゲーションステップとの間で移動させられる必要がないため、凝集させられた磁性粒子のペレットの誤配置または圧密緩和の可能性を最小にする。したがって、別個のおよび一体化された装置の実施形態の両方が、以下に詳細に記載される。本明細書に記載される装置のタイプは、相互排他的な実施形態でない。記載される装置の様々なタイプの特徴が、ユーザの特定のニーズに適合するように、ハイブリッド装置において組み合わせられ得る。
【0016】
図1は、いかなる光学的インタロゲーションユニットとも別個の独立型装置として実施され得る磁性キャプチャおよび凝集装置10の1つの可能性のある実施形態の概略図である。磁性キャプチャ装置10は、1つまたは複数のサンプル容器14用のホルダ12を有する。図1は、また、サンプル容器14を保持するように構成されたホルダ12内のレセプタクル16を示している。図1の特定のホルダ12は、微小遠心管であるサンプル容器14を受けまた保持するように構成される。これに限定されないが、いかなる他の考えられるサンプル容器の形状を含む管、容器、ウェル、チャンバ、滑り台(slides)または面の他のタイプがまた、この実施形態を実施するために利用され得る。代替的に形状付けられた容器の場合、適切に寸法設定され形状付けられたレセプタクル16が、選択された様々なサンプル容器14が迅速に、正確に、また繰り返し可能にホルダ12に対して位置決めされ得ることを保証するために、ホルダ12に関連付けられることになる。
【0017】
ホルダ12と作動的に組み合される磁石18もまた、図1に示される。図示される例では、磁石18が、サンプル容器14用のレセプタクル16の先端より下方に位置決めされた球形の永久磁石である。かかる磁石18は、サンプル容器14内の磁性粒子の浮遊した容積の至る所で磁場勾配に影響を与えるべく利用され得るとともに、従ってまた磁性凝集領域20を画成すべく利用され得る。図1に示される例では、磁性凝集領域20Aが、レセプタクル16の下側先端に配置され、対応する磁性凝集領域20Bが、それがレセプタクル16内に配置される場合に、サンプル容器14の下側先端で形成される。
【0018】
図1には球形磁石が示されるが、永久磁石また電磁石であり得るいかなる他の適切な形状および相対的なサイズの磁石が、本発明の実施に関して同様に適切である。例えば、線状磁石が、長さに沿って走査され得る線状ペレットに備えるべく利用され得る。加えて、特定の実施においては、磁石と、例えば鋼合金または当業者に知られる他の適切な材料の適切な強磁性材料から構成される「ポールピース」との組合せを用いることにより生成された磁場の輪郭を調整することが望ましいこともあり得る。この手法は、磁性粒子の凝集および局部集合のために、磁場パターンを最適化すべく用いられ得る。
【0019】
加えて、カスタマイズされた形状を有するサンプル容器がいくつでも、装置を効果的に実現すべく用いられ得る。カスタマイズされた形状は、前述した磁性凝集領域20でまたはその領域20付近で、突起またはへこみまたは他の構造または形を有し得る。カスタマイズされた形状は、凝集ステップにおいて形成されたペレットの性質に影響し得る。磁性キャプチャ粒子および関連した光ラベルからの、凝集させられ、十分に形作られ、また、一貫した磁性ペレットの発生は、磁性凝集領域20におけるサンプル管形態とともに、磁場アーキテクチャの機能である。そのため、凝集させられたペレットのサイズおよび形状は、磁性キャプチャ粒子がその上にまたはその範囲内に集合させられる面の形状を変えることにより変更され得る。したがって、磁性凝集領域でのまたはその領域付近でのくぼみ(または尖った部分)または他の形状付けられた構造または形を備えたカスタマイズされた管のアーキテクチャは、再現可能なサイズ、形状および一貫性を有する磁性ペレットの形成を補助し得る。例えば、凹形の尖った部分が、カスタマイズされた集合容器の底部または側部において球形ペレットを形成するために利用され得る。
【0020】
容器と関連付けられる他の形状または形が、選択された形状およびサイズの凝集させられたペレットの形成を容易にすべく工夫され得る。そのため、サンプル容器14は、4つの主要な機能を有する。
【0021】
1)それは、分析試薬の封じ込め用の、また、分析反応の伝導用の密閉された環境を提供する。
【0022】
2)それは、特定の形状を有し得るか、または、磁場の印加による磁性粒子の凝集に対して伝導性のある明確に形成された部分を有し得る。
【0023】
3)それは、管内の試薬を観察することに関連付けられた放射に対してかなり透明である。
【0024】
4)それは、ホルダ内に繰り返し可能にまた正確に適合する全体構造を有する。
【0025】
サンプル容器14の材料は、分析における使用のための試薬と分析物質に適合している必要がある。幾つかの化学的または生理学的被覆が、磁性粒子、光学的なタグまたは容器壁に対する検体の非特異結合を防止するために、容器に塗布され得る。サンプル容器14は、外部ソースから加えられる磁場が影響されないでサンプル容器14を通過するように、非磁性材料で構成されるべきである。更に、それは、局部集合スポットへ試薬により移動される最大距離が考慮されるように設計されるべきである。このことは、磁石システムからの距離が大きくなるにつれ吸着力が急速に小さくなるため、磁性キャプチャの速度および有効性を左右する。加えて、サンプル容器14の形状は、容器の形状全体を通じて、または、前述したようなくぼみまたは尖った部分などの特別な構造を通じて、粒子の凝集およびペレットの形成に有用であり得る。サンプル容器14はまた、磁性凝集または分光計測のために、ホルダ内における正確な配置用の手段を備える。
【0026】
サンプル容器14の形は、位置決めの繰り返し性を向上させ、ホルダ装置内における不正確な容器の挿入を防止するために、外部の幾何学的形状、マーカ(markers)または指標22を有し得る。形状の位置決めには、(これに限定されないが)平坦な部分、キー溝、基準点等の包括を含み得る。これらは、全てが本明細書に記載されるように、磁性局部集合、分光計測、または、これらの機能の組合せと関連付けられた明確に設計される容器レセプタクルにおける同様の形状に一致することになる。
【0027】
分析インタロゲーションが光学的に実行される実施形態では、典型的に、選択されたレーザ出力が凝集させられたペレットに加えられる。そのため、サンプル容器14が、所望のレーザインタロゲーション波長領域において感知できるほどに透明であるべきである。更に、局部集合領域が分光計または他の検出デバイスのレンズシステムと両立可能な光学特性を有することを保証することが望ましい。励起し放射される光の最小の屈折、反射または散乱での出入りを可能とする平坦な光学面が望まれ得る。代替的には、レンズとして機能するための1つまたは複数の寸法における曲率を備えた面が有効であり得る。更に、容器の構造が、磁性局部集合システムおよび分光計の作用の同時存在を、両方の機能が1つの機器に含まれる場合に可能とすべきである。磁性凝集領域20は、分析試薬を凝集させ局部集合させるとともに光学的測定を行うための能力に対する伝導性のあるサンプル容器14上のいかなる位置にもあり得る。これは、(これに限定されないが)サンプル容器14の底部、側壁または上部キャップを含む。
【0028】
本明細書に記載される様々な実施形態は、光学的にラベル付けされた検出粒子としての、SERSナノタグまたは同様のSERSタガント(taggants)に関連付けられた磁性キャプチャ粒子の凝集に特に有効である。SERSナノタグは、ラマン分光法を通じてインタロゲートされ得るラマンリポータ分子(Raman reporter molecule)と関連付けられたSERS活性コアを有する。したがって、ラマン分光法を特色とする本発明のいかなる実施においても、サンプル容器14の材料がラマン光散乱に対して透明であることが有用である。例えば、図1に概略的に示される装置は、典型的にはポリプロピレンで作られる微小遠心管であるサンプル容器14を特徴とする。ラマン分光法に関する主要な制限は、サンプル容器壁24が、これに限定されないが、633nmまたは785nmの波長を含むレーザ励起波長でも、その後のラマン放射波長でも、吸収に干渉しないことである。実際、理想的な材料も、同様に、これらの励起波長でラマン干渉および/または蛍光に寄与しないであろう。多種多様の安価でよく用いられる分析容器が、96または他の数のウェルプレート(well plates)、種々の管、小瓶、バキュテイナ(vacutainers)、スライド面、カップ、または、他の面またはコンテナを含むこの基準を満足させる。これらのコンテナまたは面が製作される材料が、以下の限定的なリスト;ガラス、シリカ、シリコン、シリコン処理をしたガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリスチレン、ニトロセルロース、セルロース、ポリエステル、および、ポリカーボネートから選択され得る。関連する波長におけるレーザ光と干渉しない他の材料もまた、サンプル容器14の製作に適しているであろう。
【0029】
図1に示される構成では、サンプル容器14が、磁石14の位置に対して、できる限り正確にまた繰り返し可能にレセプタクル16内で保持されることが重要である。サンプル容器14の位置精度は、あらゆる凝集ステップにおいて形成された磁性キャプチャ粒子のペレットが一貫した位置において、また一貫したサイズおよび形状を備えて発生することを保証する。いかなる分光計からも別個であるホルダ10を特徴とする一実施形態では、サンプル容器14が取り出され、ペレット内での磁性キャプチャ粒子と関連付けられた光学的にラベル付けされた粒子の含有量を光学的に判断すべく、光学的な分光計内に配置される必要がある。したがって、サンプル容器14、ホルダ12および磁石18は、磁性凝集領域20が、サンプル容器14が別個の分光計内に導かれた場合に、分光計光学系の焦点面と一致するように構成されることが必須である。例えば、図1に示されるように、ペレットは、磁石18の磁性軸を、微小遠心管の縦方向の中心軸と見当合わせすることにより、微小遠心管の先端において形成される。微小遠心管の底部の正確な位置決めは、それが自動的にそれ自体でセンタリングするように、レセプタクル16の円錐形のくぼみ26内に着座することを可能とすることにより実現される。くぼみ26の幾何形状は、分光計の焦点面にて、別個のホルダ内に複製され得る。
【0030】
図2および3は、底部先端におけるよりむしろ、サンプル容器14の側部におけるペレットの形成を特徴とするサンプルホルダ10の代替的な実施形態の概略平面図および正面図である。図2および3の実施形態は、容器が微小遠心管であるように示されるが、異なる壁の幾何形状を備えた他の容器についても適用可能である。図2および図3の実施形態は、以下の特徴を有する。
・サンプル容器14が、ホルダ12のレセプタクル16内で、固定した正確な位置に含まれる。基準面または基準点の任意の組み込みによって、正確な位置決めが、単一の容器、または、適切なパターンの一連の容器の繰り返される配置に関して保証される。
・別個の、分離した局部集合および分光計による測定作業のためのレセプタクルが十分な精度を伴って作成され、サンプル容器14の凝集領域20に局部集合させられた材料が、取り出され、分光計に関連付けられた対応するレセプタクル内に配置される場合に、焦点面に正確におさまることを保証する。
【0031】
図2に示されるように、磁石アッセンブリが、磁性凝集領域20のレーザ/光学的視野を覆い隠してはならない。この必要性は、光路30および磁石システムの中心軸32が互いに対して所定角度に設定されることを保証することにより満足させられる。これにより、分光計によりインタロゲートされる場合に、管の中心軸から中心を外してペレットが配置される。このことは、光路30と管軸36との間のオフセット34を必然的に伴う。
【0032】
代替的な完全に一体化された磁性凝集およびイメージング装置38が、図4の概略図に示される。図4では、磁性キャプチャおよび凝集ステップの実施が、関連した分光計40の焦点面にて行われる。この手法は、サンプル容器が別個の分光計へ移動させられる場合に、磁性凝集ステップで形成されたペレットの誤配置または解離の可能性が除去されるため、有利である。一体化された磁性凝集およびイメージング装置38は、研究室の卓上の機器として、または、持ち運ぶできる現場分析デバイスとして適切な小型化を伴い、実施され得る。図4Bの概略図に示される代替的な実施形態では、特定の実施において、空間的に離れた検出モジュール43から、分光計40の励起モジュール41を切り離すことが有利であり得る。
【0033】
図2および図4に最も良く示されるように、本明細書に記述される装置の幾つかの実施形態では、磁性凝集領域20が配置され、ペレットが、光学的なインタロゲーションの点において、容器壁24に対して形成される。磁性凝集領域20に関するこの場所は、別個の凝集装置10、または、一体化された磁性凝集およびイメージング装置38にいずれにおいても選択され得るとともに、有利であり得る。この望ましい構成では、容器壁24のみが、ペレットと分光計40または他の光学的インタロゲーションデバイスのソースとの間に位置決めされることになる。この望ましい構成は、磁性凝集領域20の外側であるがなお分光計と磁性凝集領域20との間の光路30に沿った分析流体の量を最小化すべく、磁石18および分光計40の焦点面を、サンプルホルダ38に対して位置決めすることにより、実現され得る。この構成はまた、サンプル容器14の内壁24に対する凝集領域20の位置の観点から記載され得る。したがって、磁石18は、磁性凝集領域20が、分光計40と磁性凝集領域20との間の光路30がサンプル容器14の内部または内壁24に最初に交差する場所に実質的に隣接して形成されるように位置決めされ得る。有利なペレットの位置がまた、それが光路30により最初に交差されるサンプル容器壁24の内側により画成される光接触面42の観点から記載され得る。したがって、磁性凝集領域20は、接触面42に実質的に隣接して形成され得る。
【0034】
光路に沿った自由な分析流体の量が最小化される装置および方法が、分光計が磁性凝集領域から容器の反対側に位置決めされる公知のデバイスとははっきり異なる。公知のデバイスで典型的であるような分析媒体を介した光学的なインタロゲーションは、実質的な読取りノイズをもたらし得る。具体的には、解放された検出タグからの読取りノイズが、均質の(ウォッシュのない)分析の場合に、問題になり得る。光路における解放された分析に関連付けられた問題は、図2〜図4に示される新規の構成を利用することにより、除去され、または最小化され得る。
【0035】
図4に示されるように、一体化された装置38の磁性キャプチャ素子が、円錐形のまたは他の形状をもつポールピース44に関連付けられ得る磁石18を有し得る。ポールピース44は、比較的より小さい容積における磁場勾配をもたらすように機能し、その結果、磁性粒子が、明確に画成された磁性凝集領域20において集合させられることが可能となる。磁性凝集領域20が、サンプル容器14の側部において、図4に示される。しかしながら、磁性凝集に適しているまた関連した分光計40の焦点面にあるサンプル容器14に対するいかなる位置も、磁性凝集領域20に関して適切な場所であろう。前述したように、いかなる形状またはサイズものサンプル容器14が、様々な実施形態を実施するために利用され得る。幾つかの利点は、幾つかの寸法(dimensions)のペレットの発生を促進するくぼみまたは他の形状をもつ面などの構造を有するカスタム式に形状付けられた容器を利用することにより実現され得る。
【0036】
図5のグラフ46は、免疫学的反応スキームにおける磁性ビード(magnetic beads)に取り付けられるSERSラベルからの信号により判断されるような、時間の関数としての磁性凝集の間のペレットの形成の進行を示している。分光解析に関しては、キャプチャされた粒子の容積の感知できる部分が、それ以外には、典型的な機器により提供されるレーザ照明スポットの外側におさまり得るため、ペレットのサイズは、できる限り小さいことが望ましい。ペレットのサイズは、概して約70〜200μmの直径である。また、磁性ビーズの所定数に対して、ペレットのサイズは、できる限り小さいことが望ましい。このことは、複数の利点を有する。まず、濃密なペレットは、より小さなサンプリングエリアをもたらす。従来の分光キャプチャでは、より小さなサンプリングエリアが、所定のエタンデュ(etendue)(光学的処理能力)に関してより高いスペクトル分解能をもたらすより小さな分光計スリットに適合することを可能とする。加えて、より濃密なペレットは、単位サンプリング容積当たりより大きな数のタグが存在することになるので、より高い信号対ノイズ比をもたらす。より濃密なペレットはまた、より小さなペレットが、レーザスポットおよび光学的集合エリアの両方に良好に適合すべきであるように、サンプル間のバラツキを改善すべきである。そのため、ペレットより僅かに大きい集合エリアが、ペレット間の軽微な形状差からの信号変動に対して比較的影響を受けずにいられ得る。最後に、磁性ビーズの濃密なペレットが、解放された光学ラベルを含む溶液(solution)のより大きな容積を覆い隠すことを補助する。この覆い隠しのメカニズムは、検出下限を低下させ得る。その結果、感度が上昇し、試験のダイナミックレンジにおける改善につながる。
【0037】
ペレット形成は、サンプル容器14と磁石18との間における静止した位置決めで達成され得る。しかしながら、磁性粒子は、磁石18がサンプル容器の面に対して移動させられる場合に、より小さな容積に凝集させられ得る。1mmより小さい変位が、測定可能な凝集の改善を実現するのに十分である。しかしながら、磁石18の動きは、磁性凝集ゾーン20の位置が分光計40からのレーザ照明と一致するという必要条件のせいで、実行不可能であり得る。しかし、これに限定されないが、サンプル容器14の機械的な、音響のまたは磁性の刺激を含む技術または方法の利用により、堅固なペレットの形成を刺激することが可能である。振動エネルギーは、磁石18または磁性ポールピース44に最も近い最も低いポテンシャルエネルギーの最終位置に達する前に、容器壁に対して動きがとれなくなった粒子を除去するのに十分である。このことが実現され得る実用的な方法は、これに限定されないが、次のもの、すなわち、ホルダ12の瞬間的な振動、サンプルホルダ12内でのサンプル容器14の瞬間的な振動、サンプル容器14および含有物の高圧音波への瞬間的な露出、または、電磁石からなど、移動するまたは発振する磁場の印加を有する。これらの方法は、最も低いエネルギー状態の濃密なペレットの形成を促進するのに十分な摂動を取り入れる。加えて、ペレットが、例えば、磁場から管の取り外し、および、代替的な方位でのその交換により、または、磁石18の取り外し、および、サンプル容器14上の異なる位置における磁石18または複数の磁石の再適用により、容器壁24上の異なる位置で再形成させられるために、サンプル容器14の操作によりペレットに再形成させる更なるオプションがある。
【0038】
図6A〜図6Cは、コンパクトなペレット形成のための3つの代表的なまた非排他的な処理を概略的に示している。各場合において、ステップ(a)は、分析流体における完全な分散の開始点からの試薬の初期キャプチャであり、ステップ(b)は、初期キャプチャの完了およびペレット形成であり、また、ステップ(c)は、ペレットに、相当な再分散なしに第2のキャプチャ点で再形成させ、凝集させることを伴う。このことは、
・所望のペレット形成および操作をもたらすための、サンプル容器に対して移動させられる単一のまたは複数の永久磁石の組合せ。(図6A)
・同じ効果を達成するための、電磁石の組合せ。
・ペレットの再位置決めを強制するための、円筒形サンプル容器の例えば180°の回転などの、レセプタクル内における管の位置の機械的調整。(図6C)
により達成され得る。
【0039】
図4に示されるような一体化されたキャプチャ/インタロゲーションユニット38の幾つかの実施形態では、適切なペレットを形成し、また、光学読み出し用のクリアランス(clearance)をもたらすべく、分析溶液を通じて磁性粒子を引き下ろすのに十分に強い磁場を生成する磁性アッセンブリを設計することは難題であり得る。そのため、光学読み出しが容器の反対側で生じる一方、サンプル容器14の一方側で磁性凝集を生じさせることが有利であり得る。かかる実施形態では、サンプル容器14のいかなる曲率も、その上、ここに含まれる分析成分の光学的効果が、光学要素として作用し得る。前述したように、小さな照明スポットおよび収集エリアを達成することが望ましい。したがって、分光計40と関連付けられた光学系が、サンプル容器14の光学的効果を補償するように設計され得る。例えば、これに限定されないが、円筒形レンズなどの非点収差素子を含む光学素子が、所定のサンプル容器14により導かれた非点収差を補償するために必要であり得る。代替的には、サンプル容器14の光学的効果が、ペレットがサンプル容器の平面的なまたは平坦な表面上に形成されるように、矩形のサンプル容器14を用いることにより最小化され得る。潜在的に、サンプル容器14の反対側からの光学的読み出しが、光学データ収集が図4に示される軸外収集配列とは対照的に軸上で起こるため、光学的効率を向上させ得る。
【0040】
図1〜図4の実施形態は単一のサンプル容器14を示すが、マルチプルパラレル分析サンプル容器ホルダおよび磁石を用いることにより、高スループットのパラレル分析が簡単に用意され、実行され得る。96ウェルプレートなどのよく知られたデバイスが、パラレル実施に適し得る。尖った部分、くぼみ、または他の構造が、ペレットを安定化し、凝集を容易にするために、ウェルプレートまたは同様のマルチプルサンプル容器に形成され得る。磁性凝集ステップおよび読み出しはパラレルにまたは連続して起こり得る。
【0041】
図1に示されるような一体化されていない磁性キャプチャおよび凝集装置10を用いた場合、2つの別個のレセプタクル、すなわち凝集装置10に関連付けられた第1のものと、光学リーダに関連付けられた第2のものとの間で、同じ容器の位置合わせを保証することが必要である。適切な位置合わせは、サンプル容器上に指標22などの位置合わせの形状を配置することにより保証され得る。成形された形状が、3次元で管の見当を合わせるために容器に加えられ得る。サンプル容器14は、これが一体化されていないキャプチャシステム10におけるペレットの位置決めに影響を及ぼし得るため、側壁の厚さが制御されるように製造されるか、または選択されるべきである。加えて、光学リーダがまた、以下の理由の一方または両方のために、磁性キャプチャシステムを含むことが望ましい。
・サンプル容器14の移動後に、ペレットの正確な位置決めを保証するため。
・前述したように、サンプル容器14内でペレットに再形成させることによりペレットの更なる凝集をもたらすため。
【0042】
1/2”の球形NdFeB(希土類元素)磁石が、単一の引き下ろしステップにおいて磁性ビーズのペレットおよび関連したSERSタグを生成すべく、実験的にうまく用いられてきた。利用されたサンプル容器14は、100uL以下の試薬を備えた200uLポリプロピレン微小遠心管であった。図5bのグラフ46に示されるように、比較的規則的な状態の光信号をもたらす粒子の適切な引き下ろしが、1分未満で達成された。
【0043】
代替的な分析システムの実施形態では、全ペレットが、ハイパースペクトル画像スタックを生成すべく、同調型フィルタ(LCTF、AOTF等)を用いて画像化され得る。一貫したペレット形成が困難であることが判明すれば、その後の画像解析と組み合わせられた全ペレットを画像化することは、ペレットの分布または形状を考慮せず一貫性のある「総光学ラベル」に関する測定基準を提供し得る。
【0044】
同様に、拡散ペレット、例えば、線状磁石により形成される線状ペレットが、もし空間的情報が走査または広視野イメージングシステムによってキャプチャされれば、再現可能な均質の磁性引き下ろし分析に適切であり得る。この実施形態では、ペレットが画像化され得るとともに、ソフトウェア解析ステップが、各ペレットから放射された総信号(例えばSERS信号)に関する測定基準を判断すべく採用され得る。この実施は、比較的多数のスペクトルチャンネル(すなわちハイパースペクトルイメージング)の必要性を除いて、一般的に入手可能なDNAマイクロアレイリーダ(DNA microarray readers)と特徴を共有する。それにもかかわらず、マルチプルウェルを備えたマイクロプレート構造を利用する高処理能力システムに関しては、このことが利点をもたらし得る。画像処理アルゴリズムがペレットのサイズおよび形状の差異を明らかにし、複製のペレットにわたり一貫した総信号測定基準が得られるようにするために、50umのオーダの光学的分解能が適切であり得る。事前のリサーチによって、最小数のスペクトルチャンネル(約20〜30のスペクトルチャンネル)がSERSタグを区別し定量化するのに適切であり得ることを示している。広視野の実施形態では、これが、スペクトル分離を達成するための、液晶同調型フィルタ(LCTF)または音響光学同調型フィルタ(AOTF)の使用を可能にし得る。レーザポイント走査システムに関しては、低スペクトル分解能分散型分光計システムが適切であり得る。
【0045】
高処理能力検出システムでは、磁気凝集ステップを光学読取りステップから分離することが好適であり得る。磁性凝集は化学反応を凍結させ、そのため、バッチにおける全サンプル、例えば、マイクロウェルプレート上のサンプルの全てが、それらのペレットが同時に形成されることを要することになる。大きな処理容積は、各ペレットの正確な場所におけるバラツキをもたらす。それ故、高処理能力配列に関するこの問題に取り組むための1つの可能性は、スペクトル情報を集めるためではなく、単にペレットを配置するために、最初のイメージングステップを用いることである。画像処理ステップは、全ペレットの位置を抽出し、この情報を、従来のポイント分光計システムを各ペレットの下で連続して位置決めすべく利用し得る。
【0046】
高処理能力方法は、以下の機能を実行すべく自動化された機械類を有し得る。
・全ウェルにおいてペレットを同時に凝集させるために、各容器、例えば、96ウェルプレートの各ウェル内でのペレットの局部集合のための磁石アレイの利用。自動化された装置が、その後、プレートを、ウェルを連続して読み取ることが可能である走査リーダへ移動し得る。システムは、リーダを用いた各ウェルにおけるペレットの見当合わせを保証するために、十分な精度を備えるものである必要がある、または、ペレットを配置すべくイメージングを行う手段が、その結果判定されるペレットの場所にて分光測定を行う前に提供される必要がある。
・代替的には、ウェルが、反応タイミングの精度を向上させるために、個々にまたは列ごとに(または行ごとに)局部集合させられ得る。分光測定は、前述した方法のいずれかを用いて実施され得る。
【0047】
サンプル容器が別個の管である高処理能力装置が作製され得る。管は、装置内で、コンベヤトラック、ベルトまたはロボットシステムによる様々な機能「ステーション」へ搬送され得る。各サンプル管の正確な場所およびタイミングは、装置の機能を制御するマイクロプロセッサシステムにより追跡され得る。それにより、反応タイミング、温度、混合および測定等の正確な制御が可能とされる。本発明に関するかかる装置は、これに限定されないが、次のものを含む処理ステップ用の規定を有し得る。
・サンプル容器への試薬、検体の送り出し。
・容器温度および反応時間の制御。
・磁場の印加による分析成分の局部集合。
・前述した方法によりペレット形成の最適化。
・容器内の局部集合させられた試薬の光学的測定。
【0048】
連続したステップが、既に記載したのと同じように、光学的測定の実施と分離したまたは一致した局部集合の方法を有し得る。そのため、高処理能力装置は、局部集合のための磁石アッセンブリ、および/または、磁石アッセンブリと作動的に関連付けられた分光計を有する容器用のレセプタクルを組み込むことになる。本明細書に記載される基本的な高処理能力装置における他の変形は、この開示事項の範囲内にある。
【0049】
本発明の他の実施形態は、反応容器に配置される高透磁率の材料(例えば、ニッケル、コバルト等)で構成される小さなビードを利用する。高透磁率ビードの存在は、磁力線の焦点を合わせ、その結果、磁性粒子を引き付けるために、高磁場勾配が生成されることになる。磁性粒子/分析タグ複合体が、ビードのまわりで関連し得るとともに、周囲の小さな磁性粒子および分析タグとともに大きな「ビード」を含む大きなアッセンブリ全体が画像化されることになる。この技術は、最善のインタロゲーションのために、再現可能な球形のペレットの実現を補助し得る。
【0050】
他の実施形態は、光学検出器でのサンプル容器14の自動化された位置決めを特徴とする。これは、場合によって読み出しがおそらく連続的に実行される高処理能力方法の変形であるが、磁性凝集は、パラレルに実現され得る。おそらく自動化された流体ハンドラシステムの使用によって容器に導かれる予め混合された試薬の全てを含む一組のサンプル容器は、対応する試薬とともに磁性粒子を凝集させるために、磁性アッセンブリを有することになる。これは、事実上、反応を止めることになるが、また、多種多様なペレットを形成する粗いプルダウン(pull-down)でもある。各容器は、その後、図4に示されるようなホルダ38内に位置決めされ得る。ホルダ38は粗いペレットを更に凝集させ、SERSまたは他の信号の光学的読み出しを可能にすることになる。そのため、この実施形態では、全容器が、パラレルに作用するであろう初期の粗い磁性凝集を有することになる。凝集は、磁性粒子が懸濁液(suspension)から引き出されているが、各容器内で一組の大きな分散したペレットを形成し得るという意味で「粗い」。それにもかかわらず、反応が停止し、光学的なインタロゲーションが、微細なペレットの位置決め、凝縮および読み出しのため、各管を位置決めする自動化されたロボットシステムを用いて連続的に継続することになる。
【0051】
幾つかの実施形態では、標準または高処理能力システムにおいて、ペレットの再形成または調整の必要性を除去することが望ましいことがある。ペレット調整のない使用に関した1つの適切な装置が、図7および8に概略的に示される。装置50は、前述した他のタイプのサンプル容器の代わりに、毛細管52を有する。毛細管52は、分析粒子懸濁液54と流体的に連通している。粒子懸濁液54が毛細管52を通じて流れるにつれ、磁性粒子が、ポールピース44と関連付けられるまたは関連付けられないキャプチャ磁石18により管52内で凝集させられる。キャプチャ磁石18は、毛細管52内で特定の磁性凝集領域20に磁性粒子を凝集させるべく作用する。ラマン分光計40であり得る分光計または他のインタロゲーションデバイスが、毛細管52に作動的に関連付けられ、磁性凝集領域20上に焦点を合わせられる。図7および8に示されるように、光学的インタロゲーションは、磁気軸とは反対側にある、または、磁気軸からただ単にずれた光路に沿って行われてよい。
【0052】
代替的なフォーマットのサンプル容器としての毛細管52の利用により、これに限定されないが、次のものを含む幾つかの注目すべき利点がもたらされる。
・典型的なレーザを基にしたシステムによりインタロゲートされる小エリアに関した磁性粒子の正確な配置。このことは、定量的な判断が必要とされる測定の精度を潜在的に向上させることになる。
・サンプル容器が、高い光学的品質を本質的に有する。例えば、毛細管52は、平坦な側を有し得るとともに、必要な波長において透明である材料で作られ得る。毛細管52はまた、磁性および光学的構成要素と相対的な場所に潜在的に固定される。
・毛細管装置50は、試験が、100マイクロリットルより少ない小サンプル容積、および、改善された感度をもたらし得る小試薬量を用いて実行されることを可能とする。
・毛細管装置50は、調整を要さずに、サンプルペレットの迅速な収集を可能とする。ペレットは、小エリアに含まれ、本質的に密にまとめられる。毛細管壁および磁極が近接したレジストレーションで(例えば、1mm未満の距離間隔で)配置されるため、大きな間隔での吸着力を提供するために磁性素子が必要とされない。これは、磁性粒子により被る吸着力が、磁石システムのポールまたはポールピース44からの距離が大きくなるに伴って急速に降下するため、有利である。
・リーダによりインタロゲートされる流体の容量が、狭い毛細管の容器の利用により著しく減少させられる。したがって、望ましくない「バックグラウンド信号」をもたらすこととなる解放されたタグの量が、非常に小さくされ得る。
・キャプチャ機構における電磁石の利用は、凝集領域での磁性粒子の収集、およびその後のこの領域からの粒子の掃き出しを可能とし得る。このようにして、容器が、複数のサンプル分析反応から読み取るために、連続的に利用され得る。これは、要求に応じて、または、多くのテストが連続的に進行させられるより大きな自動化システムの一部として半連続的に作用し得る。
・毛細管装置50はまた、側方流分析デバイスを実施すべく用いられ得る。側方流分析の実施形態では、磁石に関連付けられた毛細管が、典型的なセルロース繊維束または他のマトリクスに取って代わる。貯留器または吸収された試薬を含む貯留器パッド(例えば、SERSタグおよび磁性粒子)が、毛細管の1つの開口部と連通するように配置され得る。貯留器への検体流体の導入が、微粒子の試薬の解放をもたらし、それらは溶液中の検体とともに毛細管に沿って流される。磁石は、正確に規定された場所で磁性粒子を捕捉する。磁性粒子に付着させられるSERS粒子などのいかなるタグも、キャプチャポイントに指向させられたラマン分光計によって検出され得る。分光計に関係したキャプチャポイントの正確な場所は、磁石システムを通じてもたらされ得る。
【0053】
直ぐ上に記載された毛細管を基にした側方流の実施形態は、一体化された分析システムとしての利用に適している。その分析システムは、所望であれば、高精度で繰り返し可能な現場分析の利用のために、非常に小型の形式因子に開発され得る。この実施形態に一致した一体化されたシステム60が、図9に概略的に示される。図9の実施形態では、毛細管52が、サンプルカートリッジ62に設けられる。毛細管52は、サンプルカートリッジ62内に形成されるサンプル貯留器64と連通している。磁性粒子および試薬を含む分析を実行するために必要である分析粒子懸濁液54が、サンプル貯留器64において混合され得る。サンプル貯留器64が毛細管52と流体的に連通しているため、完全に反応した分析懸濁液54は、毛細管作用により磁性凝集領域20に向かって容易に引き込まれる。加えて、過剰な分析粒子が、磁性凝集領域20から逃がされ、バックグラウンド信号が最小化される。磁性キャプチャ領域20では、磁石18が、凝集させられたサンプルの光学的インタロゲーションが行われ得る分光計40の焦点面にて、前述したように磁性粒子を凝集させることになる。
【0054】
図9の一体化されたシステム60は、磁性キャプチャ領域20が適切に位置合わせされるように、カートリッジ62を正確に受け位置決めすべく構成されたカートリッジドッキングレセプタクル66を備えて作製され得る。システム60はまた、分光計と関連付けられたデータ処理素子68を有し得る。それらデータ処理素子68は、装置60が、持ち運び可能な、潜在的に携帯型の独立型の分析デバイスとして利用されることを可能とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル容器と、
前記サンプル容器を動作可能に受けるように構成されたホルダと、
磁場が前記サンプル容器内の磁性凝集領域を画成する前記サンプル容器の一部と交差するように、前記サンプル容器ホルダと作動的に関連付けられた磁石と、
焦点が前記磁性凝集領域内にあるように、前記サンプル容器を動作可能に受けるように構成された分光計と、
を具えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記分光計はラマン分光計であることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記サンプル容器と作動的に関連付けられたコンパクトな凝集を刺激するための手段を更に具えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記コンパクトな凝集を刺激するための手段は、電磁刺激器、バイブレータ、音響トランスデューサ、および機械的撹拌器からなるグループから選択されることを特徴とする請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記磁石および前記分光計は、前記磁性凝集領域の外側であるが、前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路内にある分析流体の量を最小化すべく、位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路が前記サンプル容器の内部に最初に交差する場所に前記磁気凝集領域が実質的に隣接して形成されるように、前記磁石が位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記サンプル容器は内壁を更に有し、前記分光計からの光路が最初に交差する前記内壁の一部が接触面を画成し、前記磁性凝集領域は、前記接触面に実質的に隣接して形成されることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
サンプル容器と、
前記サンプル容器を動作可能に受けるように構成されたホルダと、
磁場が磁性凝集領域を画成する前記サンプル容器の一部と交差するように、前記サンプル容器ホルダと作動的に関連付けられた磁石と、
焦点が前記磁性凝集領域内にあるように、前記サンプル容器と作動的に関連付けられた分光計と、を有することを特徴とする分析装置。
【請求項9】
前記分光計はラマン分光計であることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記サンプル容器と作動的に関連付けられたコンパクトな凝集を刺激するための手段を更に具えたことを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項11】
前記コンパクトな凝集を刺激するための手段は、電磁刺激器、バイブレータ、音響トランスデューサ、および機械的撹拌器からなるグループから選択されることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項12】
前記磁石および前記分光計は、前記磁性凝集領域の外側であるが、前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路内にある分析流体の量を最小化すべく、位置決めされることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項13】
前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路が前記サンプル容器の内部に最初に交差する場所に磁気凝集領域が実質的に隣接して形成されるように、前記磁石が位置決めされていることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項14】
前記サンプル容器は内壁を更に有し、前記分光計からの光路により最初に交差される前記内壁の一部が接触面を画成し、前記磁性凝集領域は、前記接触面に実質的に隣接して形成されることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項15】
前記サンプル容器は毛細管であることを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項16】
サンプルカートリッジと、
前記サンプルカートリッジを受けるように構成される、前記分析装置と関連付けられたホルダと、
を更に具えたことを特徴とする請求項8に記載の分析装置。
【請求項17】
前記サンプルカートリッジは、
毛細管と、
前記毛細管に流体連通するサンプル貯留器と、
を有することを特徴とする請求項16に記載の分析装置。
【請求項18】
磁気キャプチャ粒子を、サンプル容器内の検出粒子と関連付けるステップと、
前記サンプル容器を受け、それをホルダと関連付けられた磁石と精選された関係で保持するように構成された前記ホルダ内に、前記サンプル容器を配置するステップと、
前記磁性キャプチャ粒子を、前記サンプル容器の凝集領域に磁気的に凝集させるステップと、
前記ホルダから前記サンプル容器を取り出すステップと、
焦点が前記磁気凝集領域内にあるように、前記サンプル容器を動作可能に受けるべく構成される分光計内に、前記サンプル容器を配置するステップと、
前記磁気凝集領域からスペクトルを取得するステップと、
を具えたことを特徴とする分析を実行する方法。
【請求項19】
前記磁性凝集領域から取得される前記スペクトルは、ラマンスペクトルであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ラマンスペクトルは、前記磁性凝集領域における前記磁性キャプチャ粒子と関連付けられたSERSタガントから取得されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記凝集領域における前記磁性キャプチャ粒子のコンパクトな凝集を刺激するステップを更に具えたことを特徴とする請求項18に記載の分析を実行する方法。
【請求項22】
前記刺激するステップは、前記サンプル容器を機械的に撹拌するステップと、前記サンプル容器を振動させるステップと、音波を前記サンプル容器の中に発射し、動いている磁場を前記サンプル容器の一部に通過させるステップとの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項18に記載の分析を実行する方法。
【請求項23】
前記磁石および前記分光計が、前記磁性凝集領域の外側であるが、前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路内にある分析流体の量を最小化すべく位置決めされることを特徴とする請求項18に記載の分析を実行する方法。
【請求項24】
前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路が前記サンプル容器の内部に最初に交差する場所に前記磁性凝集領域が実質的に隣接して形成されるように、前記磁石が位置決めされていることを特徴とする請求項18に記載の分析を実行する方法。
【請求項25】
前記サンプル容器は内壁を更に有し、前記分光計からの光路が最初に交差する前記内壁の一部が、接触面を画成し、前記磁性凝集領域は、前記接触面に実質的に隣接して形成されることを特徴とする請求項18に記載の分析を実行する方法。
【請求項26】
磁気キャプチャ粒子を、サンプル容器内の検出粒子と関連付けるステップと、
前記サンプル容器を受け、それをホルダと関連付けられた磁石と精選された関係で保持するように構成された前記ホルダ内に、前記サンプル容器を配置するステップと、
前記磁性キャプチャ粒子を、前記サンプル容器の凝集領域に磁気的に凝集させるステップと、
焦点が前記磁性凝集領域内にあるように、前記サンプル容器と動作可能に関連付けられた分光計を用いて、前記磁性凝集領域からスペクトルを取得するステップと、
を具えたことを特徴とする分析を実行する方法。
【請求項27】
前記磁性凝集領域から取得される前記スペクトルは、ラマンスペクトルであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ラマンスペクトルは、前記磁性凝集領域における前記磁性キャプチャ粒子と関連付けられたSERSタガントから取得されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記凝集領域における前記磁性キャプチャ粒子のコンパクトな凝集を刺激するステップを更に具えたことを特徴とする請求項26に記載の分析を実行する方法。
【請求項30】
前記刺激するステップは、前記サンプル容器を機械的に撹拌するステップと、前記サンプル容器を振動させるステップと、音波を前記サンプル容器の中に発射し、動いている磁場を前記サンプル容器の一部に通過させるステップとの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記刺激するステップは、前記磁石に対して前記サンプル容器を再度位置決めするステップと、前記サンプル容器に対して前記磁石を再度位置決めし、複数の磁石から前記サンプル容器へ磁場を加えるステップとの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項26に記載の分析を実行する方法。
【請求項32】
前記磁石および前記分光計は、前記磁性凝集領域の外側であるが、前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路内にある分析流体の量を最小化すべく位置決めされることを特徴とする請求項26に記載の分析を実行する方法。
【請求項33】
前記磁石は、前記分光計と前記磁性凝集領域との間の光路が前記サンプル容器の内部に最初に交差する場所に前記磁性凝集領域が実質的に隣接して形成されるように、位置決めされることを特徴とする請求項26に記載の分析を実行する方法。
【請求項34】
前記サンプル容器は内壁を更に有し、前記分光計からの光路が最初に交差する前記内壁の一部が、接触面を画成し、前記磁性凝集領域が、前記接触面に実質的に隣接して形成されることを特徴とする請求項26に記載の分析を実行する方法。
【請求項35】
磁気キャプチャ粒子を、毛細管と流体連通するサンプル貯留器における検出粒子と関連付けるステップと、
前記サンプル貯留器および毛細管を受け、それをホルダと関連付けられた磁石との選択された関係に保持するように構成された前記ホルダ内に、前記サンプル貯留器および前記毛細管を配置するステップと、
前記毛細管の凝集領域に前記磁性キャプチャ粒子を磁気的に凝集させるステップと、
焦点が前記磁性凝集領域内にあるように、前記毛細管と動作可能に関連付けられた分光計を用いて、前記磁性凝集領域からスペクトルを取得するステップと、
を具えたことを特徴とする分析を実行する方法。
【請求項36】
前記サンプル貯留器および毛細管は、サンプルカートリッジと作動的に関連付けられることを特徴とする請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−544975(P2009−544975A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521938(P2009−521938)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/074161
【国際公開番号】WO2008/014223
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【出願人】(509025496)
【出願人】(509025533)
【出願人】(509025511)
【出願人】(509025577)
【出願人】(509025544)
【Fターム(参考)】