説明

分析装置

【課題】レーザ光照射手段24の光学系36からレーザ光Lを容器12に照射したとき、容器12からの飛散物が光学系36に付着するのを防止した分析装置を提供する。
【解決手段】レーザ光照射手段24の光学系36で集光したレーザ光Lを容器12に照射する。容器12にレーザ光Lを照射して発生する蛍光を集光し、集光した蛍光から元素を定量する。レーザ光照射手段24の光学系36と容器12との間に、平板状でレーザ光Lが通過する通過孔41を形成した遮蔽板40を配置する。遮蔽板40により、レーザ光Lを集光照射した容器12からの飛散物が光学系36に付着するのを防止し、長時間安定した分析を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析対象物にレーザ光を集光照射して発生するプラズマからの蛍光を集光し、この蛍光から分析対象物中に含まれる元素を定量する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン電池などの製造工程では、溶接またはガスケット封入した容器からの電解液の漏洩の有無を検査する検査工程がある。この検査工程では、電解液が漏洩している場合には漏洩した電解液に起因した白い粉が付着しているため、顕微鏡などを用い、作業員の目視による検査で電解液の漏洩の有無を判断していた。そのため、検査工程に多くの人員を要し、作業効率が悪く、漏洩の判断にばらつきが発生しやすい問題がある。
【0003】
一方、工業プラントからの排煙、排水中に含まれる有害物質の分析などにおいて、レーザ光照射手段の光学系でレーザ光を集光して試料に照射し、それによって発生するプラズマからの蛍光を集光し、この蛍光から試料中に含まれる元素含有量を定量する分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−310596号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した分析装置はリチウムなどの軽元素分析にも適用できる特長を有しており、リチウムイオン電池などの製造工程において、製造ライン上での容器からの電解液の漏洩を自動的に検査する分析装置の開発が進められている。
【0005】
しかしながら、レーザ光照射手段から容器にレーザ光を照射することにより、容器からプラズマ化されない粒子などが飛散し、レーザ光照射手段の光学系の前面に配置されている保護ガラスなどに付着しやすい。
【0006】
リチウムイオン電池などの製造工程に分析装置を用いた場合、多数の容器の検査をするため、レーザ光照射手段の光学系の保護ガラスなどに飛散物が堆積しやすく、この堆積した飛散物によってレーザ光の透過が妨げられ、レーザ光のエネルギが低下して蛍光強度が低下し、漏洩検知の感度が低下する問題が発生する。
【0007】
また、容器からの飛散物の光学系への付着を防止するための手段として、一般的に容器と光学系との間隔を長くすることが考えられるが、レーザ光を集光して照射する場合の集光面積は光学系と集光点との間の距離が影響し、距離を大きくすることが困難である。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、分析対象物からの飛散物の影響を低減し、長時間安定した分析ができる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、レーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、前記レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に配置され、平板およびレーザ光照射手段側に凹湾曲する湾曲板のいずれか一方に形成されるとともにレーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板とを具備しているものである。そして、レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に、レーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板を配置したことにより、レーザ光を集光照射する分析対象物からの飛散物がレーザ光照射手段の光学系に付着するのが低減され、長時間安定した分析が可能となる。
【0010】
また、本発明は、レーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、前記レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に配置され、レーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板と、前記レーザ光照射手段の光学系と遮蔽板との間でかつ遮蔽板より光学系に寄った位置で、光学系の前面に沿った方向に気体を流通させる気体流通手段とを具備しているものである。そして、気体流通手段により、レーザ光照射手段の光学系と遮蔽板との間でかつ遮蔽板より光学系に寄った位置で、光学系の前面に沿った方向に気体を流通させることにより、レーザ光を集光照射する分析対象物から遮蔽板の通過孔を通じて飛散してくる飛散物が気体の流れにより光学系に付着するのが低減され、長時間安定した分析が可能となる。さらに、気体が遮蔽板の通過孔から吐出して分析対象物のレーザ光照射位置へ向かうのが低減され、蛍光発生に与える影響が少なくなる。
【0011】
また、本発明は、上方へ向けてレーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、前記レーザ光照射手段の光学系に臨む上側に液体を流通させる液体流通手段とを具備しているものである。そして、液体流通手段により、レーザ光照射手段の光学系に臨む上側に液体を流通させることにより、レーザ光を集光照射する分析対象物からの飛散物を液体で捕獲して除去するので、飛散物が光学系に付着するのが防止され、長時間安定した分析が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に、レーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板を配置したので、レーザ光を集光照射する分析対象物からの飛散物がレーザ光照射手段の光学系に付着するのを低減でき、長時間安定した分析ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図4に第1の実施の形態を示す。
【0015】
図4には、分析装置が分析する分析対象物としてのリチウムイオン電池11の容器12を示し、この容器12は、両側面の面積が大きく厚みが薄い薄形の四角形状に形成されている。容器12は、アルミニウム製の容器本体13とアルミニウム製の蓋体14とを有し、これら容器本体13との蓋体14とが溶接線15にて溶接されており、容器12内にはリチウムイオンを含む電解液が収容されている。蓋体14には、絶縁材16を介して容器12内の電極に接続された出力電極17が設けられている。
【0016】
そして、容器12からの電解液の漏洩は溶接箇所の不具合から生じるため、溶接箇所または溶接箇所近傍について電解液の漏洩の有無を検査する。
【0017】
図3には、リチウムイオン電池11の容器12からの電解液の漏洩の有無を検査する漏洩検知装置である分析装置21を示す。この分析装置21は、容器12の表面にレーザ光Lを集光照射することにより、容器12の表面がレーザ光Lのエネルギを吸収して加熱され、容器12の材料中の元素が高度に電離して励起された気体状態化すなわちプラズマ化するいわゆるブレイクダウンが発生する。この励起されたプラズマPはレーザ光Lの照射終了とともに再び元の状態に戻るため、数μ秒〜数十μ秒の間にエネルギを蛍光として発生する。この励起状態の原子がエネルギを放出して下準位に遷移するとき、励起元素に特有の波長で、原子数に比例した蛍光を放出する。漏洩検知の原理は、このような現象に着目したもので、容器12から放出される蛍光を的確にとらえてリチウムイオン電池11内の電解液の漏洩有無を検知する。
【0018】
分析装置21は、容器12を保持して移動させる移動手段22、レーザ光(パルスレーザ光)Lを発生するレーザ光発生手段23、このレーザ光発生手段23で発生したレーザ光Lを集光して容器12の両側から照射する一対のレーザ光照射手段24、容器12にレーザ光Lを照射することで発生するプラズマPからの蛍光を集光する蛍光集光手段25、この蛍光集光手段25で集光した蛍光から元素含有量を定量する分析手段26の機能を有する制御装置27などを備えている。
【0019】
移動手段22は、容器12を保持し、この容器12の溶接線15の全体に両側のレーザ光照射手段24からレーザ光Lが照射されるように容器12を移動可能とし、信号線30を介して接続された制御装置27の制御によりレーザ光発生手段23のレーザ発振に同期して容器12の位置を移動調整する。
【0020】
また、レーザ光発生手段23は、例えば出力が100mJでパルス幅6nsecのレーザ光Lを発振する小型YAGレーザ装置の発振器31を有し、信号線32を介して接続された制御装置27の制御により発振器31からのレーザ光Lの発振を制御する。発振器31にはレーザ光Lを各レーザ光照射手段24に伝送する各光ファイバ33内にそれぞれ入射させる光ファイバ入射光学系34が配置されている。
【0021】
また、図1に示すように、レーザ光照射手段24は、円筒状の筒体35を有し、この筒体35の基端側にレーザ光発生手段23からレーザ光Lを伝送する光ファイバ33の先端が接続され、筒体35の内部にレーザ光Lを集光する光学系36を構成する複数のレンズ37,38が光軸方向に配設されているとともに光学系36のレーザ光照射方向の前面に保護ガラス39が配設されている。
【0022】
光学系36のレンズ37,38のうちのレーザ光照射方向側に位置するレンズ38は、シリンドリカルレンズで、図4に示すように、容器12の溶接線15に照射するレーザ光Lの焦点形状を、その溶接線15に沿って高さ幅hが狭く横幅wが広い形状に形成する。
【0023】
図1に示すように、筒体35の先端側には、光学系36の保護ガラス39と容器12との間に位置する遮蔽板40が配設されている。この遮蔽板40は、平板状に形成され、中央にはレーザ光Lが通過する通過孔41が形成されている。図2に示すように、通過孔41は、レンズ38で形成されたレーザ光Lの焦点形状に対応した形状に形成されている。レーザ光照射手段24の筒体35に設けられる遮蔽板40は、容器12のレーザ光照射位置から約20mm以上離した位置に配置されている。
【0024】
図1に示すように、筒体35には、光学系36の保護ガラス39と遮蔽板40との間でかつ遮蔽板40より光学系36の保護ガラス39に寄った位置で、光学系36の保護ガラス39の前面に沿った方向に空気などの気体を流通させる気体流通手段42が配設されている。この気体流通手段42は、図示しないポンプなどの気体送り手段からの気体を光学系36の保護ガラス39の前面域に送り込む導入管43、光学系36の保護ガラス39の前面域を通過する気体を排気する排気管44を有し、これら導入管43と排気管44とが遮蔽板40より光学系36の保護ガラス39に寄った位置でかつ光軸を中心とした対称位置に配置されている。排気管44には気体を濾過するフィルタ45が配設されている。
【0025】
また、図3に示すように、蛍光集光手段25は、プラズマPからの蛍光を集光する蛍光集光レンズ46、この蛍光集光レンズ46で集光された蛍光を伝送する光ファイバ47、この光ファイバ47で伝送される蛍光のうちの特定元素の波長のみを透過する波長選択フィルタ48、この波長選択フィルタ48を透過した特定の波長の蛍光強度を電気信号に変換する光電管49、この光電管49からの電気信号を制御装置27に伝送する電線50などを備えている。蛍光集光レンズ46は、レーザ光Lの光軸に対して交差する上方位置で、容器12のレーザ光照射位置から約20mm以上離した位置に配置されている。
【0026】
また、制御装置27は、コンピュータで構成される制御装置本体51、およびこの制御装置本体51の制御で表示する表示手段52を備えており、制御装置本体51は蛍光強度の電気信号を処理して元素含有量を定量する分析手段26の機能を有している。
【0027】
次に、分析装置21によるリチウムイオン電池11の容器12からの電解液の漏洩検知動作を説明する。
【0028】
制御装置27の制御により、レーザ光発生手段23の発振器31がレーザ光Lを発振するとともに、タイミング用のトリガ信号を信号線32を通じて制御装置27に出力する。発振器31で発振したレーザ光Lは、光ファイバ入射光学系34および光ファイバ33を通じてレーザ光照射手段24に伝送し、レーザ光照射手段24の光学系36で集光して大気または希ガス雰囲気中の容器12に照射する。
【0029】
大気または希ガス雰囲気中の容器12にレーザ光Lを集光照射することにより、容器12の表面が蒸気化してプラズマPの状態になる。プラズマP内では時間とともに各元素が下準位にエネルギ移動し、各元素に特有の波長の蛍光が発生する。
【0030】
プラズマPからの蛍光を蛍光集光手段25の蛍光集光レンズ46で集光し、この蛍光集光レンズ46で集光した蛍光を光ファイバ47で波長選択フィルタ48に伝送し、波長選択フィルタ48で蛍光のうちの元素特定の波長のみを透過し、透過した特定の波長の蛍光強度を光電管49で電気信号に変換し、この電気信号を電線50を通じて制御装置27に伝送する。
【0031】
制御装置27は、分析手段26の機能により蛍光強度の電気信号を処理して元素含有量を定量し、リチウムイオン電池11内の電解液の漏洩有無を判断し、結果を表示手段52に表示する。
【0032】
また、制御装置27は、レーザ光発生手段23の発振器31からトリガ信号を入力することにより、移動手段22により容器12の次の検査位置がレーザ光照射手段24からのレーザ光照射位置に対応するように移動させ、同様に、レーザ光発生手段23の発振器31からレーザ光Lを発振させる。このようにして、容器12の溶接線15の全体に両側のレーザ光照射手段24からレーザ光Lを照射して電解液の漏洩有無を検査する。
【0033】
また、レーザ光Lを容器12に集光照射することにより、容器12の表面が蒸気化してプラズマPの状態となるほか、プラズマ化されない粒子や蒸気などが発生し、この粒子などがレーザ照射手段24の光学系36へ向けて飛散する。
【0034】
レーザ光照射手段24の光学系36と容器12との間には、レーザ光Lが通過する通過孔41が形成された遮蔽板40が配置されているので、レーザ光Lを集光照射する容器12からの粒子などの飛散物が光学系36の保護ガラス39に付着するのを防止する。
【0035】
さらに、レーザ光照射手段24では、気体流通手段42により、光学系36の保護ガラス39と遮蔽板40との間でかつ遮蔽板40より光学系36の保護ガラス39に寄った位置で、光学系36の保護ガラス39の前面に沿った方向に空気などの気体を流通させているため、遮蔽板40の通過孔41から筒体35内に飛散してくる飛散物を気体の流れにより筒体35の外部に吐出させて保護ガラス39に付着するのを防止する。
【0036】
そのため、遮蔽板40および気体流通手段42により、レーザ光Lを集光照射する容器12からの粒子などの飛散物が光学系36の保護ガラス39に付着するのを防止でき、保護ガラス39のレーザ光Lの透過性能が長時間維持され、長時間安定した分析ができる。
【0037】
また、レーザ光照射手段24では、気体流通手段42により、光学系36の保護ガラス39と遮蔽板40との間でかつ遮蔽板40より光学系36の保護ガラス39に寄った位置で、光学系36の保護ガラス39の前面に沿った方向に空気などの気体を流通させているため、気体が遮蔽板40の通過孔41から吐出して容器12のレーザ光照射位置へ向かうのを低減でき、プラズマPの発生に与える影響を少なくできる。
【0038】
また、気体流通手段42により筒体35の外部に吐出する気体をフィルタ45で濾過するため、気体と一緒に吐出される粒子などの飛散物をフィルタ45で捕獲することができる。そのため、飛散物が生産ライン上の製品などに付着するのを防止できる。
【0039】
次に、図5に第2の実施の形態を示す。
【0040】
容器12の表面に対するレーザ光照射手段24からのレーザ光Lの入射角を垂直方向に対して所定の角度θだけ上方へ傾斜させる。角度θは15°以上とする。
【0041】
レーザ光Lを容器12に照射した場合に、容器12の表面に対して垂直方向に粒子などの飛散物が多く飛散しやすいが、容器12の表面に対するレーザ光照射手段24からのレーザ光Lの入射角を垂直方向に対して所定の角度θだけ上方へ傾斜させたことにより、レーザ光照射手段24へ向かって飛散する飛散物量を低減でき、この点でも飛散物が光学系36の保護ガラス39に付着するのを防止できる。
【0042】
次に、図6に第3の実施の形態を示す。
【0043】
レーザ光照射手段24の光学系36のレーザ光照射方向つまり保護ガラス39を上方に向けて配置し、保護ガラス38の上側に沿って液体55を流通させる液体流通手段56を配設する。液体55には、レーザ光Lが通過可能とする清水などが用いられる。
【0044】
液体流通手段56は、図示しないポンプなどの液体送り手段からの液体55を光学系36の保護ガラス39の前面域つまり上面域に送り込む導入管57、光学系36の保護ガラス39の前面域を通過する液体を吐出する吐出管58を有し、これら導入管57と吐出管58とが光軸を中心とした対称位置に配置されている。吐出管58には液体を濾過するフィルタ59が配設されている。
【0045】
そして、レーザ光照射手段24からレーザ光Lを照射するときには、光学系36で集光されたレーザ光Lが液体55を透過して容器12に集光照射される。
【0046】
レーザ光Lを容器12に集光照射することによって発生した粒子などの飛散物がレーザ照射手段24の光学系36へ向けて飛散しても、光学系36の保護ガラス39の前面を覆う液体55で捕獲するとともにこの液体55の流れにより保護ガラス39の前面域から外部に吐出させる。
【0047】
そのため、液体流通手段56により、レーザ光Lを集光照射する容器12からの粒子などの飛散物が光学系36の保護ガラス39に付着するのを防止でき、保護ガラス39のレーザ光Lの透過性能が長時間維持され、長時間安定した分析ができる。
【0048】
また、液体流通手段56により保護ガラス39の前面域から外部に吐出する液体をフィルタ59で濾過するため、液体と一緒に吐出される粒子などの飛散物をフィルタ59で捕獲することができる。
【0049】
なお、図6に示す実施の形態においても、遮蔽板40を併用してもよく、液体55中に飛散する飛散物の量を低減できる。
【0050】
また、各実施の形態において、遮蔽板40は、平板に限らず、レーザ光照射手段24側に凹湾曲する湾曲板で構成してもよく、この場合には、遮蔽板40の周縁部と容器12との間隔を広げることができるため、プラズマPからの蛍光を蛍光集光手段25で集光しやすくできる。
【0051】
また、分析装置21は、リチウムイオン電池11の容器12からの電解液の漏洩有無を検知する漏洩検知装置に限らず、その他の分析対象物について分析対象物中に含まれる元素含有量を定量する装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分析装置の断面図である。
【図2】同上分析装置の遮蔽板の正面図である。
【図3】同上分析装置の構成図である。
【図4】同上分析装置が分析対象とするリチウムイオン電池の容器の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す分析装置の断面部である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す分析装置の断面図である。
【符号の説明】
【0053】
12 分析対象物としての容器
21 分析装置
24 レーザ光照射手段
25 蛍光集光手段
26 分析手段
36 光学系
40 遮蔽板
41 通過孔
42 気体流通手段
45 フィルタ
55 液体
56 液体流通手段
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、
前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、
この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、
前記レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に配置され、平板およびレーザ光照射手段側に凹湾曲する湾曲板のいずれか一方に形成されるとともにレーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板と
を具備していることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
レーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、
前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、
この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、
前記レーザ光照射手段の光学系と分析対象物との間に配置され、レーザ光が通過する通過孔が形成された遮蔽板と、
前記レーザ光照射手段の光学系と遮蔽板との間でかつ遮蔽板より光学系に寄った位置で、光学系の前面に沿った方向に気体を流通させる気体流通手段と
を具備していることを特徴とする分析装置。
【請求項3】
気体流通手段は、光学系の前面域から排出される気体を濾過するフィルタを備えている
ことを特徴とする請求項2記載の分析装置。
【請求項4】
上方へ向けてレーザ光を集光させる光学系を有し、この光学系で集光したレーザ光を分析対象物に照射するレーザ光照射手段と、
前記分析対象物にレーザ光を照射して発生するプラズマからの蛍光を集光する蛍光集光手段と、
この蛍光集光手段で集光した蛍光から元素を定量する分析手段と、
前記レーザ光照射手段の光学系に臨む上側に液体を流通させる液体流通手段と
を具備していることを特徴とする分析装置。
【請求項5】
分析対象物に対するレーザ光の入射角を垂直方向に対して傾斜させた
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−17620(P2006−17620A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196845(P2004−196845)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】