分析装置
【課題】本発明の目的は、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる核酸分析装置を提供することに関する。
【解決手段】
本発明は、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有する分析装置に関する。検出器は取り外し可能であり、所望の検出器を装着することで、検査項目に応じた蛍光測定を行える。
本発明によれば、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる。
【解決手段】
本発明は、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有する分析装置に関する。検出器は取り外し可能であり、所望の検出器を装着することで、検査項目に応じた蛍光測定を行える。
本発明によれば、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体関連物質を分析する分析装置に関し、例えば、核酸を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸増幅法としては、例えばPCR法が知られている。PCR法では、検体中に含まれる核酸を塩基配列特異的に増幅することで微量の核酸を高感度で検出する。一般に核酸増幅法では、核酸標識に蛍光色素を使用し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで解析を行なう。また増幅過程では、反応液を温度調節することで反応を促進する。
【0003】
特開2002−116148号公報(特許文献1)には、ウエルと称する反応容器を方形のプレート上に、格子状に配置した蛍光式プレート解析装置が開示されている。この装置では、プレートの底部側に、照射および検出光学系が設けられている。プレートを水平面に沿って縦及び横方向に移動させることによって、ウエルに保持された試料からの蛍光を検出する。また、この装置では、単数の検出位置だけではなく複数の検出位置で蛍光を検出することで、蛍光測定の効率化が図られている。また、安価かつコンパクト、更に、励起光源の保守が容易な装置の提供を目的として、励起光源としてLED(発光ダイオード)を用いている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−116148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者が、臨床検査に適した核酸分析装置について鋭意検討したところ、次のような知見を得るに至った。
【0006】
臨床検査では、ある検体から複数検査項目に対する検査結果を得たいという要求がある。また、項目検査効率を上げる目的から、複数の検査項目を並行して処理することができれば効率的である。
【0007】
定対象ごとに異なる蛍光色素を核酸増幅のマーカーとして割当てることが望ましい。また、検査項目を複数とすることばかりではなく、測定対象と内部標準の2種類の蛍光色素を並行して測定できれば望ましい。更に、臨床検査では、検査項目や測定対象の変更、増減が頻繁に行なわれる為、緊急の測定又は検査に対応できることが必要である。
【0008】
本発明の目的は、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる核酸分析装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有する分析装置に関する。検出器は取り外し可能であり、所望の検出器を装着することで、検査項目に応じた蛍光測定を行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有し、検出器が取り外し可能に装着され、検出器が互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0012】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、互いに異なる波長の励起光を発生する光源と、互いに異なる波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0013】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように、且つ、隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されている核酸分析装置を開示する。
【0014】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、同一の波長の励起光を発生する光源と、同一の波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0015】
また、実施例では、複数の検出器からの出力信号に対する増幅ゲインが、互いに異なるように設定されている核酸分析装置を開示する。
【0016】
また、実施例では、複数の検出器からの出力信号の分解能が、互いに異なるように設定されている核酸分析装置を開示する。
【0017】
また、実施例では、検出器のうち、隣接する2つの検出器の間に遮光板が設けられている核酸分析装置を開示する。
【0018】
また、実施例では、検出器には、開閉可能なシャッタが設けられ、検出器によって反応容器内の反応溶液を光学的に検出するときには、シャッタが開き、検出器によって反応容器内の反応溶液を光学的に検出しないときには、シャッタが閉じるように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0019】
また、実施例では、検出装置の光源が発光ダイオードを有し、検出素子がフォトダイオードを有する核酸分析装置を開示する。
また、実施例では、検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、検出器をスロットに沿って移動させることによって、検出器を取り外すことができ、又は、検出器を装着することができるように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0020】
また、実施例では、反応容器及び反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置が設けられている核酸分析装置を開示する。
【0021】
また、実施例では、温度調節装置が、ファン、熱源、及び、温度センサを有する核酸分析装置を開示する。
【0022】
また、実施例では、温度調節装置が、カローセルに設けられた熱源、及び、温度センサを有する核酸分析装置を開示する。
【0023】
また、実施例では、少なくともカローセル、及び、反応容器を収容するケーシングが設けられ、該ケーシングが開閉可能なゲートを有し、反応容器の出し入れが、ゲートを介して行うことができる核酸分析装置を開示する。
【0024】
また、実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、反応容器及び反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置と、を有し、検出器が取り外し可能に装着され、検出器が互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0025】
また、実施例では、カローセルが、反応容器を設置し又は取り出すためにカローセルを停止される容器設定期間とカローセルを一定速度にて回転させる蛍光測定期間とからなるサイクルによって操作され、蛍光測定期間では、反応容器が、検出器上の検出位置を通過する間に、検出器によって蛍光強度を測定するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0026】
また、実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルを用いて核酸を分析する核酸分析方法において、カローセルの円周状の縁に沿って複数の反応容器を設置し、カローセルを回転させながら、当該カローセルの外周に沿って設置されている複数の検出器によって反応容器に収納された反応溶液からの蛍光を測定し、複数の検出器の各々が所定の反応溶液の蛍光測定を互いに独立的に行ない、反応容器の数又は種類が変化したとき、検出器を増設又は取り外す方法が開示されている。
【0027】
また、実施例では、複数の検出器が、互いに異なる波長の蛍光を検出する核酸分析方法を開示する。
【0028】
以下、上記及びその他の新規な特徴と効果について図面を参酌して説明する。尚、図面は専ら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を減縮するものではない。
【実施例】
【0029】
図1A、図1B及び図2を参照して、分析装置の主要部であるリーディングユニットの例を説明する。本例のリーディングユニット1は、分析対象である反応液を収納する複数の反応容器2と、反応容器2を保持するカローセル3と、カローセルを回転させるための駆動機構4と、カローセル3の円周に沿って配置された少なくとも1つの検出器5とケーシング8を有する。
【0030】
カローセル3は、円板状のアルミ合金製のディスクを有し、中心軸線回りに回転可能である。カローセル3の縁には、多数の反応容器2が保持されている。検出器5は、カローセル3の円周に沿って等間隔に配置されている。検出器5は、反応容器2の下方に配置されている。図1Aの例では、検出器5はケーシング8の外側に設けられているが、図1Bの例では、検出器5はケーシング8の内側に設けられている。ここでは、5個の検出器5が設けられているが、5個以外の数の検出器5を設けてよい。
【0031】
検出器5は、交換可能であり、着脱が自由である。検出器5は、スロット6に挿入されている。スロット6は、図1Aに示す例のように、半径方向に沿って延びるように構成してよいが、図1Bに示す例のように、軸線方向に沿って延びるように構成してもよい。更に、図示していないが、スロット6は、軸線方向に対して傾斜して配置されてもよい、即ち、円錐面に沿って配置されてよい。検出器5を装填するには、矢印6Aに示すように、検出器5をスロット6に沿って内方に移動させればよい。検出器5を取り外す場合には、矢印6Aと反対方向に、検出器5をスロット6に沿って外方に移動させればよい。スロット6には、スナップ型の締結装置が設けられてよい。矢印6Aに示すように、検出器5をスロット6に沿って内方に移動させると、検出器5は所定の位置にて締結装置に係合し、それ以上移動することはできない。検出器5を取り外す場合には締結装置を解除する。締結装置の代わりに、ネジによって、検出器5を固定してもよい。
【0032】
本例によると、検出器5は互いに独立的に反応容器2内の反応液の検出又は測定を行なう。従って、1個の検出器が故障した場合やメンテナンスを必要とする場合には、その検出器のみを取り外せばよい。この場合、残存の検出器は、そのまま使用できる。即ち、残存の検出器に対する特別な作業は不要である。検出器の削減は、残存の検出器における検出感度に影響を与えない。従って、作業前後にて、検査結果を一致させることが可能である。
【0033】
図1A及び図1Bに示すように、本例のケーシング8には、開閉可能なゲート9が設けられている。尚、図2では、ケーシング8が除去されている。少なくとも、反応容器2、及び、カローセル3は、ケーシング8内に収納されている。こうして、ケーシング8を設けることによって、ケーシング8内の温度を一定に保持することができる。更に、ケーシング8を設けることによって、不要な光が、反応容器2に照射されることが防止され、更に、検出器5に不要は光が入射されることが防止される。反応容器2をカローセル3に装填する場合には、ゲート9を介して行なわれる。従って、反応容器2を装填するとき、ケーシング8全体を取り外す必要はない。
【0034】
本例のリーディングユニット1は、更に、反応容器2に収納された反応液の温度を所定の温度に支持するための温度調節装置を有する。本例の温度調節装置は、ファン10、熱源11及び温度センサ12を有する。ファン10、熱源11及び温度センサ12は、ケーシング8の天井付近に設けられている。カローセル3にも、同様に、熱源13及び温度センサ14が設けられてよい。
【0035】
ファン10によってケーシング8内の空気が循環し、ケーシング8内の特定の領域における空気の停滞が防止される。特に、反応容器の周囲の空気が循環し、反応容器の周囲に空気が停滞することが防止される。温度センサ12、14として、感温素子を被測定部に接触させるように構成された通常のセンサを用いてもよいが、非接触の赤外線温度計を用いてもよい。赤外線温度計によって反応容器および反応液の非接触の温度測定が可能である。ここでは、ケーシング8の天井付近に設けられた第1の温度調節装置と、カローセル3に設けた第2の温度調節装置を説明した。本発明によると、第1の温度調節装置と第2の温度調節装置の一方を設けてもよいが、両方を設けてもよい。
【0036】
本例の分析装置は、様々な検体の分析装置に適用可能である。しかしながら、ここでは、核酸分析装置を例に説明する。また、リーディングユニットの例として蛍光検出を行なう場合を説明する。検出器5は、カローセル3に保持された反応容器2に励起光を照射するための励起光源を有する。この励起光源には、発光ダイオード(LED)、ガスレーザー、半導体レーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いてよい。しかしながら、励起光源には、好ましくは、発光ダイオードを用いる。
【0037】
反応容器には、蛍光標識された核酸等を含む試料溶液が保持されている。励起光源からの励起光を反応容器2に照射すると、反応液は蛍光を発する。検出器は、反応液からの蛍光を検出するための検出素子を有する。この検出素子には、フォトダイオード、フォトマルチプライヤー、CCD等が用いられる。しかしながら、検出素子には、好ましくは、フォトダイオードを用いる。
【0038】
核酸増幅を促進するための温度調節には、PCR法の場合のように、周期的に段階的に温度変化をさせる周期制御と、NASBA法やLAMP法の場合のように、一定の温度を一定の時間保持する恒温制御がある。更に、核酸分析装置が比較的高温の環境にある場合には、冷房が必要である。そこで、熱源11、13としては、ヒータのように加温素子ばかりでなく、ペルチェ素子のような冷却機能を有する温度調節素子が好ましい。
【0039】
本例の分析装置を用いて核酸増幅法によって核酸を増幅する場合を説明する。核酸増幅法では、蛍光物質を定量的に合成産物へ取り込ませることにより、合成産物を経時的にモニタすることができる。ここでは、核酸増幅法の1つであるNASBA法を実行する場合を説明する。NASBA法は、1温度のみで増幅可能な恒温増幅法の一つである。本例では、この温度を41℃とする。励起光源として用いる発光ダイオード(LED)は、LED本体の温度変化により、ピーク波長及び光量が変化することが知られている。そこで、ケーシング8の天井付近に設けられた第1の温度調節装置と、カローセル3に設けた第2の温度調節装置の両者を用いることにより、発光ダイオード(LED)の周囲の温度を41℃に保持する。それによって、発光ダイオード(LED)の発光特性のバラツキを排除し、同時に反応容器2の温度を41℃に保持することができる。
【0040】
反応容器2には、検体と蛍光物質で標識された塩基を含む反応液が収納されている。反応容器2は、一定の周期にて、カローセルに順次投入され、蛍光測定を行う。
【0041】
カローセルの動作サイクルは、容器設定期間と蛍光測定期間とからなる。容器設定期間では、カローセルは停止させて、反応容器を設置し、または取り出す。蛍光測定期間では、カローセルを一定速度にて回転させながら、蛍光測定を行なう。蛍光測定期間では、反応容器が、検出器上の検出位置を通過する間に、蛍光強度を測定する。容器設定期間と蛍光測定期間の長さは一定であり、所定の周期にて繰り返す。
【0042】
カローセルが1回転する毎に、反応容器は、円周状に配置された全ての検出器を通過する。各検出器には、測定すべき波長の蛍光が割り当てられている。各検出器は、自身に割り当てられた波長の蛍光を独立的に検出する。各反応容器2には、同一の検体が採取されているものとする。各検出器によって測定されたデータは、反応液の経時変化として外部コンピュータに蓄積され、更に、定量分析結果として外部出力される。
【0043】
本例によると、検査項目が新たに開発された場合、又は、新規の蛍光色素を採用する場合、検出器5を追加し、又は、交換する。従って、検査項目が増加したり、蛍光色素の種類が変化しても、新たな核酸分析装置を導入する必要がない。
【0044】
上述のように、通常、各検出器には、互いに異なる波長の蛍光測定が割り当てられる。即ち、各検出器は、互いに異なる波長の蛍光を検出する。しかしながら、複数の検出器に対して、同一の波長が割り当てられてもよい。ここでは、複数の検出器が、同一の波長の蛍光を測定する場合を説明する。
【0045】
先ず、検出器毎に異なるゲインを付与することにより、測定レンジを最適化する方法を説明する。例えば、第1の検出器5aと第2の検出器5bに対して同一波長の蛍光を割り当てる。しかしながら、第1の検出器5aと第2の検出器5bで、信号増幅のゲインが異なるように構成する。即ち、互いに異なる増幅ゲインを付与する。それによって、測定可能な蛍光強度のレンジを最適化することができる。例えば、第1の検出器5aのゲインは低く設定し、第2の検出器5bのゲインは高く設定する。核酸増幅を行う検体の濃度が高い場合には、第1の検出器5aによって蛍光を検出する。第1の検出器5aでは、ゲインが低いため、検出限界が高い。従って高濃度の検体であっても、蛍光を検出することができる。検体の濃度が低い場合には、第2の検出器5bによって蛍光を検出する。第2の検出器5bでは、ゲインが高いため、検出限界が低い。従って低濃度の検体であっても、蛍光を検出することができる。2つの検出器によって同一の波長の蛍光を検出するが、2つの検出器ではゲインが異なるため、蛍光が検出限界を超えているために検出不能となることが回避される。即ち、検出器毎にゲインを変化させることにより、測定レンジを最適化することができる。それによって、検体をロスする危険性を下げることができる。
【0046】
検出器毎に異なるゲインを付与するには、検出器からの出力信号を電圧信号に変換した後の信号増幅器に、検出器毎に異なる利得を付与すればよい。しかしながら、検出器毎に、フォトダイオード、フォトマルプライヤ等の異なる検出素子を組み込んでも同様な結果が得られる。
【0047】
次に、検出器毎に異なるビット分解能を付与することにより、分解能を最適化する方法を説明する。例えば、第1の検出器5aのA/Dコンバータの分解能を8ビットとし、第2の検出器5bのA/Dコンバータの分解能を16ビットとする。8ビットは、通常の濃度の検体を想定した低分解能である。16ビットは、低濃度の検体を想定した高分解能である。こうして、第1の検出器5aに、通常の濃度の検体の蛍光を割り当て、第2の検出器5bに、低濃度の検体の蛍光を割り当てることにより、微小な濃度差を検出することができる。
【0048】
検出器毎に異なるビット分解能を付与する方法として、検出器毎にA/Dコンバータに異なるビット分解能を付与してもよい。しかしながら、検出器毎に取得データの積算回数を変化させてもよい。
【0049】
更に、複数の検出器に対して同一の波長を割り当て、且つ、同一の増幅ゲインを付与してもよい。それによって、複数の検出器より同一の検出結果が得られるが、故障や装置エラーに対する耐性が増加する。本例では、カローセル3に設置された反応容器には、同一の検体が採取されている。従って、反応容器又は検出器を変更した場合には、変更箇所のみの影響を解析結果に反映することができ、測定データの信頼性を向上させる。
【0050】
ここでは、核酸分析装置を例に説明したが、核酸分析装置に限定されるものではなく、広く生体から採取した検体を分析する装置に適用可能である。また、リーディングユニットの例として蛍光検出を行なう場合を説明したが、蛍光検出以外の方法によって分析対象を検出する場合にも本発明は適用可能である。
【0051】
図3を参照して、クロストークについて説明する。複数の蛍光色素を検出する場合に、近接する検出器の間で、蛍光の混入が問題になる。このクロストークは蛍光測定を行なう核酸分析装置において、S/N比を低下させる原因となる。第1の検出器5aによって第1の反応容器2aからの蛍光が検出されると、同時に、第2の検出器5bによって、第2の反応容器2bからの蛍光が検出されるように構成されているものとする。
【0052】
第1の検出器5aによって検出されるクロストークを考える。隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aによって検出されると、それがクロストークとなる。隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されると、それによって蛍光が発生する。この蛍光は、第1の検出器5aによって検出されると、クロストークとなる。
【0053】
図4A及び図4Bを参照して、本発明によるクロストークの防止手段を説明する。図4Aに示す例では、第1の検出器5aと第2の検出器5bの間に、遮光板15が設けられている。遮光板15によって、隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aに到達することが防止され、更に、隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されることが防止される。図4Bに示す例では、検出器5a、5bにはそれぞれ、シャッタ16が設けられている。シャッタ16は、検出器の励起光照射口または蛍光読取口を塞ぐように構成されている。シャッタ16によって遮光板15と同様な機能が提供される。
【0054】
シャッタ16は、蛍光を測定する必要がない反応容器が、検出位置に存在するときは閉じ、蛍光を測定する必要がある反応容器が、検出位置に存在するときに開くように構成してもよい。更に、図4Bに示すように、隣接する2つの検出装置の間の距離Lを、十分大きくしてもよい。それによって、遮光板15又はシャッタ16の機能と同様な機能が得られる。即ち、隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aに到達することが防止され、更に、隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されることが防止される。尚、隣接する反応容器2a、2bの間の間隔を大きくしてもよい。しかしながら、反応容器2a、2bの間の間隔Lが大きすぎると、カローセルに設置する反応容器の数が少なくなる。したがって、反応容器2a、2bの間の間隔Lは、所定の範囲にある。
【0055】
ここでは、クロストークの防止手段として、遮光板15、シャッタ16、2つの検出装置の間の距離Lを大きくする場合を説明した。この3つの手段の幾つかを適宜組合せてよい。
【0056】
図5Aを参照して検出器5の光学系の第1の例を説明する。光学系は、励起光学系と検出光学系を有する。励起光学系は、光源21、集光レンズ22、励起フィルタ23を有する。検出光学系は、集光レンズ22、蛍光フィルタ24及びフォトダイオード25を有する。本例では、反応容器2の底面に励起光を照射し、反応容器2の側方に開口された読取口から蛍光を検出する。尚、図5Aの例では、図4Bに示したシャッタ16は図示していないが、シャッタ16を設けてもよい。
【0057】
図5Bを参照して検出器5の光学系の第2の例を説明する。光学系は、励起光学系と検出光学系とダイクロイックミラー26とシャッタ16を有する。励起光学系は、光源21、集光レンズ22、励起フィルタ23を有する。検出光学系は、集光レンズ22、び蛍光フィルタ24及びフォトダイオード25を有する。
【0058】
図6及び図7を参照して、クロストークの防止手段の他の例を説明する。図6に示すように、4つの検出器5a、5b、5c、5dが、順に、カローセル3の円周に沿って、並んで配置されている。本例によると、これらの検出器は、互いに隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択される。更に、互いに隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されている。ここで、4つの蛍光色素FAM、ROX、CY5、Alexa405からの蛍光を検出するものとする。図7は、4つの蛍光色素FAM、ROX、CY5、Alexa405の各々の励起光の波長と蛍光の波長を示す。波長400nm付近の2つのピーク701は、蛍光色素Alexa405の吸収波長と放射波長、波長500nm付近の2つのピーク702は、蛍光色素FAMの吸収波長と放射波長、波長600nm付近の2つのピーク703は、蛍光色素ROXの吸収波長と放射波長、波長650から700nm付近の2つのピーク704は、蛍光色素CY5の吸収波長と放射波長である。2つの蛍光色素FAM-ROX間およびROX-Cy5間で特にクロストークが大きい。そのため、これらの蛍光色素の検出器は、互いに隣接させないよう配置する。例えば、第1の検出器5aに蛍光色素ROX、第2の検出器5bに蛍光色素Alexa405、第3の検出器5cに蛍光色素Cy5、第4の検出器5dに蛍光色素FAMを割り当ててよい。2つの蛍光色素FAM-ROXに対する検出器が隣接しないで、且つ、2つ蛍光色素ROX-Cy5に対する検出器が隣接しないなら、これ以外の割当であってもよい。
【0059】
図8を参照して、分析結果の信頼性を高める手段の例を説明する。核酸分析装置で使用する核酸増幅用の試薬、消耗品等は一般に生化学や免疫装置に比して高価であり、かつコンタミネーションリスクが高い。そのため、分析結果に対する信頼性はより一層高いものが求められる。
【0060】
本例では、図8に示すように、8つの検出器5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hが、順に、カローセル3の円周に沿って、並んで配置されている。本例では、第1群の検出器5a、5b、5c、5dは第2群の検出器5e、5f、5g、5hと同一の構成を有する。即ち、カローセル3の直径の両端に配置された1対の検出器は同一の構成を有する。例えば、第1の検出器5aと第5の検出器5eは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。同様に、第2の検出器5bと第6の検出器5fは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。第3の検出器5cと第7の検出器5gは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。第4の検出器5dと第8の検出器5hは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。カローセル3が1回転すると、各反応容器の反応液の各蛍光色素に対して1対の検出器による2個の測定データが得られる。1対の検出器によって得られる測定データは同一であるはずである。例えば、第1の検出器5aと第5の検出器5eによって、同一の測定結果が得られるはずである。同一の測定結果が得られない場合には、検出器の異常、又は、データ処理、表示等の処理が異常であると判断される。もし、異常の原因を突き止め、一方の検出器の不具合が判明した場合には、他方の検出器は正常であったと判断できる。この場合、正常であった検出器からの測定データを採用することにより、再測定を行なう必要性がなくなる。そのため、貴重な検体をロスせずに解析結果を出力することができる。
【0061】
本例では、同一試料に対して、2ポイントのデータが得られるから、多くのデータポイントから近似曲線を作成する場合に近似曲線の精度を高めることができる。そのため、精度の高い分析結果を得ることができる。
【0062】
更に、第1群の検出器5a、5b、5c、5dと第2群の検出器5e、5f、5g、5hの対応する1対の検出器において、構成要素及び測定パラメータの1つを異なるように設定し、他の構成要素及び測定パラメータを同一にする。それによって異なる結果が得られた場合には、その結果は、異なる構成要素又は測定パラメータに起因するものであると判断することができる。
【0063】
こうして、構成要素及び測定パラメータのうち、測定結果に影響を及ぼすものと影響を及ぼさないものの判別が可能になる。更に、測定結果に影響を及ぼす構成要素又は測定パラメータについてどのように影響を及ぼすかを知ることができる。
【0064】
以上本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者により容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】分析装置の主要部の断面構造の第1の例を示す説明図
【図1B】分析装置の主要部の断面構造の第2の例を示す説明図
【図2】分析装置の主要部の平面構成の例を示す説明図
【図3】分析装置において、隣接する検出器間でのクロストーク発生メカニズムを説明する説明図
【図4A】分析装置の主要部において、隣接する検出器間でのクロストークを防止する手段の例を示す説明図
【図4B】分析装置の主要部において、隣接する検出器間でのクロストークを防止する手段の例を示す説明図
【図5A】分析装置の検出器の光学系の例を示す説明図
【図5B】分析装置の検出器の光学系の例を示す説明図
【図6】分析装置の検出器の配列構造の例を示す説明図
【図7】蛍光色素のピーク波長の例を示す説明図
【図8】分析装置の検出器の配列構造の他の例を示す説明図
【符号の説明】
【0066】
1…リーディングユニット、2…反応容器、3…カローセル、4…駆動機構、5…検出器、6…スロット、8…ケーシング、9…ゲート、10…ファン、11…熱源、12…温度センサ、13…熱源、14…温度センサ、15…遮光板、16…シャッタ、21…光源、22…集光レンズ、23…励起フィルタ、24…蛍光フィルタ、25…フォトダイオード26…ダイクロイックミラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体関連物質を分析する分析装置に関し、例えば、核酸を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸増幅法としては、例えばPCR法が知られている。PCR法では、検体中に含まれる核酸を塩基配列特異的に増幅することで微量の核酸を高感度で検出する。一般に核酸増幅法では、核酸標識に蛍光色素を使用し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで解析を行なう。また増幅過程では、反応液を温度調節することで反応を促進する。
【0003】
特開2002−116148号公報(特許文献1)には、ウエルと称する反応容器を方形のプレート上に、格子状に配置した蛍光式プレート解析装置が開示されている。この装置では、プレートの底部側に、照射および検出光学系が設けられている。プレートを水平面に沿って縦及び横方向に移動させることによって、ウエルに保持された試料からの蛍光を検出する。また、この装置では、単数の検出位置だけではなく複数の検出位置で蛍光を検出することで、蛍光測定の効率化が図られている。また、安価かつコンパクト、更に、励起光源の保守が容易な装置の提供を目的として、励起光源としてLED(発光ダイオード)を用いている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−116148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者が、臨床検査に適した核酸分析装置について鋭意検討したところ、次のような知見を得るに至った。
【0006】
臨床検査では、ある検体から複数検査項目に対する検査結果を得たいという要求がある。また、項目検査効率を上げる目的から、複数の検査項目を並行して処理することができれば効率的である。
【0007】
定対象ごとに異なる蛍光色素を核酸増幅のマーカーとして割当てることが望ましい。また、検査項目を複数とすることばかりではなく、測定対象と内部標準の2種類の蛍光色素を並行して測定できれば望ましい。更に、臨床検査では、検査項目や測定対象の変更、増減が頻繁に行なわれる為、緊急の測定又は検査に対応できることが必要である。
【0008】
本発明の目的は、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる核酸分析装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有する分析装置に関する。検出器は取り外し可能であり、所望の検出器を装着することで、検査項目に応じた蛍光測定を行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の検査項目を並列的に検査することが可能であり、検査項目や測定対象の変更があっても高い検体処理効率を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有し、検出器が取り外し可能に装着され、検出器が互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0012】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、互いに異なる波長の励起光を発生する光源と、互いに異なる波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0013】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように、且つ、隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されている核酸分析装置を開示する。
【0014】
また、実施例では、複数の検出器の各々が、同一の波長の励起光を発生する光源と、同一の波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0015】
また、実施例では、複数の検出器からの出力信号に対する増幅ゲインが、互いに異なるように設定されている核酸分析装置を開示する。
【0016】
また、実施例では、複数の検出器からの出力信号の分解能が、互いに異なるように設定されている核酸分析装置を開示する。
【0017】
また、実施例では、検出器のうち、隣接する2つの検出器の間に遮光板が設けられている核酸分析装置を開示する。
【0018】
また、実施例では、検出器には、開閉可能なシャッタが設けられ、検出器によって反応容器内の反応溶液を光学的に検出するときには、シャッタが開き、検出器によって反応容器内の反応溶液を光学的に検出しないときには、シャッタが閉じるように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0019】
また、実施例では、検出装置の光源が発光ダイオードを有し、検出素子がフォトダイオードを有する核酸分析装置を開示する。
また、実施例では、検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、検出器をスロットに沿って移動させることによって、検出器を取り外すことができ、又は、検出器を装着することができるように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0020】
また、実施例では、反応容器及び反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置が設けられている核酸分析装置を開示する。
【0021】
また、実施例では、温度調節装置が、ファン、熱源、及び、温度センサを有する核酸分析装置を開示する。
【0022】
また、実施例では、温度調節装置が、カローセルに設けられた熱源、及び、温度センサを有する核酸分析装置を開示する。
【0023】
また、実施例では、少なくともカローセル、及び、反応容器を収容するケーシングが設けられ、該ケーシングが開閉可能なゲートを有し、反応容器の出し入れが、ゲートを介して行うことができる核酸分析装置を開示する。
【0024】
また、実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルと、カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、反応容器及び反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置と、を有し、検出器が取り外し可能に装着され、検出器が互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0025】
また、実施例では、カローセルが、反応容器を設置し又は取り出すためにカローセルを停止される容器設定期間とカローセルを一定速度にて回転させる蛍光測定期間とからなるサイクルによって操作され、蛍光測定期間では、反応容器が、検出器上の検出位置を通過する間に、検出器によって蛍光強度を測定するように構成されている核酸分析装置を開示する。
【0026】
また、実施例では、回転軸線回りに回転可能なカローセルを用いて核酸を分析する核酸分析方法において、カローセルの円周状の縁に沿って複数の反応容器を設置し、カローセルを回転させながら、当該カローセルの外周に沿って設置されている複数の検出器によって反応容器に収納された反応溶液からの蛍光を測定し、複数の検出器の各々が所定の反応溶液の蛍光測定を互いに独立的に行ない、反応容器の数又は種類が変化したとき、検出器を増設又は取り外す方法が開示されている。
【0027】
また、実施例では、複数の検出器が、互いに異なる波長の蛍光を検出する核酸分析方法を開示する。
【0028】
以下、上記及びその他の新規な特徴と効果について図面を参酌して説明する。尚、図面は専ら発明の理解のために用いるものであり、権利範囲を減縮するものではない。
【実施例】
【0029】
図1A、図1B及び図2を参照して、分析装置の主要部であるリーディングユニットの例を説明する。本例のリーディングユニット1は、分析対象である反応液を収納する複数の反応容器2と、反応容器2を保持するカローセル3と、カローセルを回転させるための駆動機構4と、カローセル3の円周に沿って配置された少なくとも1つの検出器5とケーシング8を有する。
【0030】
カローセル3は、円板状のアルミ合金製のディスクを有し、中心軸線回りに回転可能である。カローセル3の縁には、多数の反応容器2が保持されている。検出器5は、カローセル3の円周に沿って等間隔に配置されている。検出器5は、反応容器2の下方に配置されている。図1Aの例では、検出器5はケーシング8の外側に設けられているが、図1Bの例では、検出器5はケーシング8の内側に設けられている。ここでは、5個の検出器5が設けられているが、5個以外の数の検出器5を設けてよい。
【0031】
検出器5は、交換可能であり、着脱が自由である。検出器5は、スロット6に挿入されている。スロット6は、図1Aに示す例のように、半径方向に沿って延びるように構成してよいが、図1Bに示す例のように、軸線方向に沿って延びるように構成してもよい。更に、図示していないが、スロット6は、軸線方向に対して傾斜して配置されてもよい、即ち、円錐面に沿って配置されてよい。検出器5を装填するには、矢印6Aに示すように、検出器5をスロット6に沿って内方に移動させればよい。検出器5を取り外す場合には、矢印6Aと反対方向に、検出器5をスロット6に沿って外方に移動させればよい。スロット6には、スナップ型の締結装置が設けられてよい。矢印6Aに示すように、検出器5をスロット6に沿って内方に移動させると、検出器5は所定の位置にて締結装置に係合し、それ以上移動することはできない。検出器5を取り外す場合には締結装置を解除する。締結装置の代わりに、ネジによって、検出器5を固定してもよい。
【0032】
本例によると、検出器5は互いに独立的に反応容器2内の反応液の検出又は測定を行なう。従って、1個の検出器が故障した場合やメンテナンスを必要とする場合には、その検出器のみを取り外せばよい。この場合、残存の検出器は、そのまま使用できる。即ち、残存の検出器に対する特別な作業は不要である。検出器の削減は、残存の検出器における検出感度に影響を与えない。従って、作業前後にて、検査結果を一致させることが可能である。
【0033】
図1A及び図1Bに示すように、本例のケーシング8には、開閉可能なゲート9が設けられている。尚、図2では、ケーシング8が除去されている。少なくとも、反応容器2、及び、カローセル3は、ケーシング8内に収納されている。こうして、ケーシング8を設けることによって、ケーシング8内の温度を一定に保持することができる。更に、ケーシング8を設けることによって、不要な光が、反応容器2に照射されることが防止され、更に、検出器5に不要は光が入射されることが防止される。反応容器2をカローセル3に装填する場合には、ゲート9を介して行なわれる。従って、反応容器2を装填するとき、ケーシング8全体を取り外す必要はない。
【0034】
本例のリーディングユニット1は、更に、反応容器2に収納された反応液の温度を所定の温度に支持するための温度調節装置を有する。本例の温度調節装置は、ファン10、熱源11及び温度センサ12を有する。ファン10、熱源11及び温度センサ12は、ケーシング8の天井付近に設けられている。カローセル3にも、同様に、熱源13及び温度センサ14が設けられてよい。
【0035】
ファン10によってケーシング8内の空気が循環し、ケーシング8内の特定の領域における空気の停滞が防止される。特に、反応容器の周囲の空気が循環し、反応容器の周囲に空気が停滞することが防止される。温度センサ12、14として、感温素子を被測定部に接触させるように構成された通常のセンサを用いてもよいが、非接触の赤外線温度計を用いてもよい。赤外線温度計によって反応容器および反応液の非接触の温度測定が可能である。ここでは、ケーシング8の天井付近に設けられた第1の温度調節装置と、カローセル3に設けた第2の温度調節装置を説明した。本発明によると、第1の温度調節装置と第2の温度調節装置の一方を設けてもよいが、両方を設けてもよい。
【0036】
本例の分析装置は、様々な検体の分析装置に適用可能である。しかしながら、ここでは、核酸分析装置を例に説明する。また、リーディングユニットの例として蛍光検出を行なう場合を説明する。検出器5は、カローセル3に保持された反応容器2に励起光を照射するための励起光源を有する。この励起光源には、発光ダイオード(LED)、ガスレーザー、半導体レーザー、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いてよい。しかしながら、励起光源には、好ましくは、発光ダイオードを用いる。
【0037】
反応容器には、蛍光標識された核酸等を含む試料溶液が保持されている。励起光源からの励起光を反応容器2に照射すると、反応液は蛍光を発する。検出器は、反応液からの蛍光を検出するための検出素子を有する。この検出素子には、フォトダイオード、フォトマルチプライヤー、CCD等が用いられる。しかしながら、検出素子には、好ましくは、フォトダイオードを用いる。
【0038】
核酸増幅を促進するための温度調節には、PCR法の場合のように、周期的に段階的に温度変化をさせる周期制御と、NASBA法やLAMP法の場合のように、一定の温度を一定の時間保持する恒温制御がある。更に、核酸分析装置が比較的高温の環境にある場合には、冷房が必要である。そこで、熱源11、13としては、ヒータのように加温素子ばかりでなく、ペルチェ素子のような冷却機能を有する温度調節素子が好ましい。
【0039】
本例の分析装置を用いて核酸増幅法によって核酸を増幅する場合を説明する。核酸増幅法では、蛍光物質を定量的に合成産物へ取り込ませることにより、合成産物を経時的にモニタすることができる。ここでは、核酸増幅法の1つであるNASBA法を実行する場合を説明する。NASBA法は、1温度のみで増幅可能な恒温増幅法の一つである。本例では、この温度を41℃とする。励起光源として用いる発光ダイオード(LED)は、LED本体の温度変化により、ピーク波長及び光量が変化することが知られている。そこで、ケーシング8の天井付近に設けられた第1の温度調節装置と、カローセル3に設けた第2の温度調節装置の両者を用いることにより、発光ダイオード(LED)の周囲の温度を41℃に保持する。それによって、発光ダイオード(LED)の発光特性のバラツキを排除し、同時に反応容器2の温度を41℃に保持することができる。
【0040】
反応容器2には、検体と蛍光物質で標識された塩基を含む反応液が収納されている。反応容器2は、一定の周期にて、カローセルに順次投入され、蛍光測定を行う。
【0041】
カローセルの動作サイクルは、容器設定期間と蛍光測定期間とからなる。容器設定期間では、カローセルは停止させて、反応容器を設置し、または取り出す。蛍光測定期間では、カローセルを一定速度にて回転させながら、蛍光測定を行なう。蛍光測定期間では、反応容器が、検出器上の検出位置を通過する間に、蛍光強度を測定する。容器設定期間と蛍光測定期間の長さは一定であり、所定の周期にて繰り返す。
【0042】
カローセルが1回転する毎に、反応容器は、円周状に配置された全ての検出器を通過する。各検出器には、測定すべき波長の蛍光が割り当てられている。各検出器は、自身に割り当てられた波長の蛍光を独立的に検出する。各反応容器2には、同一の検体が採取されているものとする。各検出器によって測定されたデータは、反応液の経時変化として外部コンピュータに蓄積され、更に、定量分析結果として外部出力される。
【0043】
本例によると、検査項目が新たに開発された場合、又は、新規の蛍光色素を採用する場合、検出器5を追加し、又は、交換する。従って、検査項目が増加したり、蛍光色素の種類が変化しても、新たな核酸分析装置を導入する必要がない。
【0044】
上述のように、通常、各検出器には、互いに異なる波長の蛍光測定が割り当てられる。即ち、各検出器は、互いに異なる波長の蛍光を検出する。しかしながら、複数の検出器に対して、同一の波長が割り当てられてもよい。ここでは、複数の検出器が、同一の波長の蛍光を測定する場合を説明する。
【0045】
先ず、検出器毎に異なるゲインを付与することにより、測定レンジを最適化する方法を説明する。例えば、第1の検出器5aと第2の検出器5bに対して同一波長の蛍光を割り当てる。しかしながら、第1の検出器5aと第2の検出器5bで、信号増幅のゲインが異なるように構成する。即ち、互いに異なる増幅ゲインを付与する。それによって、測定可能な蛍光強度のレンジを最適化することができる。例えば、第1の検出器5aのゲインは低く設定し、第2の検出器5bのゲインは高く設定する。核酸増幅を行う検体の濃度が高い場合には、第1の検出器5aによって蛍光を検出する。第1の検出器5aでは、ゲインが低いため、検出限界が高い。従って高濃度の検体であっても、蛍光を検出することができる。検体の濃度が低い場合には、第2の検出器5bによって蛍光を検出する。第2の検出器5bでは、ゲインが高いため、検出限界が低い。従って低濃度の検体であっても、蛍光を検出することができる。2つの検出器によって同一の波長の蛍光を検出するが、2つの検出器ではゲインが異なるため、蛍光が検出限界を超えているために検出不能となることが回避される。即ち、検出器毎にゲインを変化させることにより、測定レンジを最適化することができる。それによって、検体をロスする危険性を下げることができる。
【0046】
検出器毎に異なるゲインを付与するには、検出器からの出力信号を電圧信号に変換した後の信号増幅器に、検出器毎に異なる利得を付与すればよい。しかしながら、検出器毎に、フォトダイオード、フォトマルプライヤ等の異なる検出素子を組み込んでも同様な結果が得られる。
【0047】
次に、検出器毎に異なるビット分解能を付与することにより、分解能を最適化する方法を説明する。例えば、第1の検出器5aのA/Dコンバータの分解能を8ビットとし、第2の検出器5bのA/Dコンバータの分解能を16ビットとする。8ビットは、通常の濃度の検体を想定した低分解能である。16ビットは、低濃度の検体を想定した高分解能である。こうして、第1の検出器5aに、通常の濃度の検体の蛍光を割り当て、第2の検出器5bに、低濃度の検体の蛍光を割り当てることにより、微小な濃度差を検出することができる。
【0048】
検出器毎に異なるビット分解能を付与する方法として、検出器毎にA/Dコンバータに異なるビット分解能を付与してもよい。しかしながら、検出器毎に取得データの積算回数を変化させてもよい。
【0049】
更に、複数の検出器に対して同一の波長を割り当て、且つ、同一の増幅ゲインを付与してもよい。それによって、複数の検出器より同一の検出結果が得られるが、故障や装置エラーに対する耐性が増加する。本例では、カローセル3に設置された反応容器には、同一の検体が採取されている。従って、反応容器又は検出器を変更した場合には、変更箇所のみの影響を解析結果に反映することができ、測定データの信頼性を向上させる。
【0050】
ここでは、核酸分析装置を例に説明したが、核酸分析装置に限定されるものではなく、広く生体から採取した検体を分析する装置に適用可能である。また、リーディングユニットの例として蛍光検出を行なう場合を説明したが、蛍光検出以外の方法によって分析対象を検出する場合にも本発明は適用可能である。
【0051】
図3を参照して、クロストークについて説明する。複数の蛍光色素を検出する場合に、近接する検出器の間で、蛍光の混入が問題になる。このクロストークは蛍光測定を行なう核酸分析装置において、S/N比を低下させる原因となる。第1の検出器5aによって第1の反応容器2aからの蛍光が検出されると、同時に、第2の検出器5bによって、第2の反応容器2bからの蛍光が検出されるように構成されているものとする。
【0052】
第1の検出器5aによって検出されるクロストークを考える。隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aによって検出されると、それがクロストークとなる。隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されると、それによって蛍光が発生する。この蛍光は、第1の検出器5aによって検出されると、クロストークとなる。
【0053】
図4A及び図4Bを参照して、本発明によるクロストークの防止手段を説明する。図4Aに示す例では、第1の検出器5aと第2の検出器5bの間に、遮光板15が設けられている。遮光板15によって、隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aに到達することが防止され、更に、隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されることが防止される。図4Bに示す例では、検出器5a、5bにはそれぞれ、シャッタ16が設けられている。シャッタ16は、検出器の励起光照射口または蛍光読取口を塞ぐように構成されている。シャッタ16によって遮光板15と同様な機能が提供される。
【0054】
シャッタ16は、蛍光を測定する必要がない反応容器が、検出位置に存在するときは閉じ、蛍光を測定する必要がある反応容器が、検出位置に存在するときに開くように構成してもよい。更に、図4Bに示すように、隣接する2つの検出装置の間の距離Lを、十分大きくしてもよい。それによって、遮光板15又はシャッタ16の機能と同様な機能が得られる。即ち、隣接する第2の反応容器2bからの蛍光301が、第1の検出器5aに到達することが防止され、更に、隣接する第2の検出器5bからの励起光302が、第1の反応容器2aに照射されることが防止される。尚、隣接する反応容器2a、2bの間の間隔を大きくしてもよい。しかしながら、反応容器2a、2bの間の間隔Lが大きすぎると、カローセルに設置する反応容器の数が少なくなる。したがって、反応容器2a、2bの間の間隔Lは、所定の範囲にある。
【0055】
ここでは、クロストークの防止手段として、遮光板15、シャッタ16、2つの検出装置の間の距離Lを大きくする場合を説明した。この3つの手段の幾つかを適宜組合せてよい。
【0056】
図5Aを参照して検出器5の光学系の第1の例を説明する。光学系は、励起光学系と検出光学系を有する。励起光学系は、光源21、集光レンズ22、励起フィルタ23を有する。検出光学系は、集光レンズ22、蛍光フィルタ24及びフォトダイオード25を有する。本例では、反応容器2の底面に励起光を照射し、反応容器2の側方に開口された読取口から蛍光を検出する。尚、図5Aの例では、図4Bに示したシャッタ16は図示していないが、シャッタ16を設けてもよい。
【0057】
図5Bを参照して検出器5の光学系の第2の例を説明する。光学系は、励起光学系と検出光学系とダイクロイックミラー26とシャッタ16を有する。励起光学系は、光源21、集光レンズ22、励起フィルタ23を有する。検出光学系は、集光レンズ22、び蛍光フィルタ24及びフォトダイオード25を有する。
【0058】
図6及び図7を参照して、クロストークの防止手段の他の例を説明する。図6に示すように、4つの検出器5a、5b、5c、5dが、順に、カローセル3の円周に沿って、並んで配置されている。本例によると、これらの検出器は、互いに隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択される。更に、互いに隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されている。ここで、4つの蛍光色素FAM、ROX、CY5、Alexa405からの蛍光を検出するものとする。図7は、4つの蛍光色素FAM、ROX、CY5、Alexa405の各々の励起光の波長と蛍光の波長を示す。波長400nm付近の2つのピーク701は、蛍光色素Alexa405の吸収波長と放射波長、波長500nm付近の2つのピーク702は、蛍光色素FAMの吸収波長と放射波長、波長600nm付近の2つのピーク703は、蛍光色素ROXの吸収波長と放射波長、波長650から700nm付近の2つのピーク704は、蛍光色素CY5の吸収波長と放射波長である。2つの蛍光色素FAM-ROX間およびROX-Cy5間で特にクロストークが大きい。そのため、これらの蛍光色素の検出器は、互いに隣接させないよう配置する。例えば、第1の検出器5aに蛍光色素ROX、第2の検出器5bに蛍光色素Alexa405、第3の検出器5cに蛍光色素Cy5、第4の検出器5dに蛍光色素FAMを割り当ててよい。2つの蛍光色素FAM-ROXに対する検出器が隣接しないで、且つ、2つ蛍光色素ROX-Cy5に対する検出器が隣接しないなら、これ以外の割当であってもよい。
【0059】
図8を参照して、分析結果の信頼性を高める手段の例を説明する。核酸分析装置で使用する核酸増幅用の試薬、消耗品等は一般に生化学や免疫装置に比して高価であり、かつコンタミネーションリスクが高い。そのため、分析結果に対する信頼性はより一層高いものが求められる。
【0060】
本例では、図8に示すように、8つの検出器5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5hが、順に、カローセル3の円周に沿って、並んで配置されている。本例では、第1群の検出器5a、5b、5c、5dは第2群の検出器5e、5f、5g、5hと同一の構成を有する。即ち、カローセル3の直径の両端に配置された1対の検出器は同一の構成を有する。例えば、第1の検出器5aと第5の検出器5eは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。同様に、第2の検出器5bと第6の検出器5fは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。第3の検出器5cと第7の検出器5gは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。第4の検出器5dと第8の検出器5hは、同一の構成を有し、同一波長の励起光を発生し、同一波長の蛍光を検出する。カローセル3が1回転すると、各反応容器の反応液の各蛍光色素に対して1対の検出器による2個の測定データが得られる。1対の検出器によって得られる測定データは同一であるはずである。例えば、第1の検出器5aと第5の検出器5eによって、同一の測定結果が得られるはずである。同一の測定結果が得られない場合には、検出器の異常、又は、データ処理、表示等の処理が異常であると判断される。もし、異常の原因を突き止め、一方の検出器の不具合が判明した場合には、他方の検出器は正常であったと判断できる。この場合、正常であった検出器からの測定データを採用することにより、再測定を行なう必要性がなくなる。そのため、貴重な検体をロスせずに解析結果を出力することができる。
【0061】
本例では、同一試料に対して、2ポイントのデータが得られるから、多くのデータポイントから近似曲線を作成する場合に近似曲線の精度を高めることができる。そのため、精度の高い分析結果を得ることができる。
【0062】
更に、第1群の検出器5a、5b、5c、5dと第2群の検出器5e、5f、5g、5hの対応する1対の検出器において、構成要素及び測定パラメータの1つを異なるように設定し、他の構成要素及び測定パラメータを同一にする。それによって異なる結果が得られた場合には、その結果は、異なる構成要素又は測定パラメータに起因するものであると判断することができる。
【0063】
こうして、構成要素及び測定パラメータのうち、測定結果に影響を及ぼすものと影響を及ぼさないものの判別が可能になる。更に、測定結果に影響を及ぼす構成要素又は測定パラメータについてどのように影響を及ぼすかを知ることができる。
【0064】
以上本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者により容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】分析装置の主要部の断面構造の第1の例を示す説明図
【図1B】分析装置の主要部の断面構造の第2の例を示す説明図
【図2】分析装置の主要部の平面構成の例を示す説明図
【図3】分析装置において、隣接する検出器間でのクロストーク発生メカニズムを説明する説明図
【図4A】分析装置の主要部において、隣接する検出器間でのクロストークを防止する手段の例を示す説明図
【図4B】分析装置の主要部において、隣接する検出器間でのクロストークを防止する手段の例を示す説明図
【図5A】分析装置の検出器の光学系の例を示す説明図
【図5B】分析装置の検出器の光学系の例を示す説明図
【図6】分析装置の検出器の配列構造の例を示す説明図
【図7】蛍光色素のピーク波長の例を示す説明図
【図8】分析装置の検出器の配列構造の他の例を示す説明図
【符号の説明】
【0066】
1…リーディングユニット、2…反応容器、3…カローセル、4…駆動機構、5…検出器、6…スロット、8…ケーシング、9…ゲート、10…ファン、11…熱源、12…温度センサ、13…熱源、14…温度センサ、15…遮光板、16…シャッタ、21…光源、22…集光レンズ、23…励起フィルタ、24…蛍光フィルタ、25…フォトダイオード26…ダイクロイックミラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りに回転可能なカローセルと、前記カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、前記反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有し、
前記検出器は取り外し可能に装着され、前記検出器は互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、互いに異なる波長の励起光を発生する光源と、互いに異なる波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように、且つ、隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、同一の波長の励起光を発生する光源と、同一の波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項5】
請求項4記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器からの出力信号に対する増幅ゲインは、互いに異なるように設定されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項6】
請求項4記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器からの出力信号の分解能は、互いに異なるように設定されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出器のうち、隣接する2つの検出器の間に遮光板が設けられていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出器には、開閉可能なシャッタが設けられ、前記検出器によって前記反応容器内の反応溶液を光学的に検出するときには、前記シャッタは開き、前記検出器によって前記反応容器内の反応溶液を光学的に検出しないときには、前記シャッタは閉じるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出装置の前記光源は発光ダイオードを有し、前記検出素子はフォトダイオードを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の核酸分析装置において、前記検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、
前記検出器を前記スロットに沿って移動させることによって、前記検出器を取り外すことができ、又は、前記検出器を装着することができるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記反応容器及び前記反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置が設けられていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項12】
請求項11記載の核酸分析装置において、
前記温度調節装置は、ファン、熱源、及び、温度センサを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項13】
請求項11記載の核酸分析装置において、
前記温度調節装置は、前記カローセルに設けられた熱源、及び、温度センサを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項14】
請求項1記載の核酸分析装置において、
少なくとも前記カローセル、及び、前記反応容器を収容するケーシングが設けられ、該ケーシングは開閉可能なゲートを有し、前記反応容器の出し入れは、前記ゲートを介して行うことができることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項15】
回転軸線回りに回転可能なカローセルと、前記カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、前記反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、前記反応容器及び前記反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置と、を有し、
前記検出器は取り外し可能に装着され、前記検出器は互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置。
【請求項16】
請求項15記載の核酸分析装置において、前記検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、
前記検出器を前記スロットに沿って移動させることによって、前記検出器を取り外すことができ、又は、前記検出器を装着することができるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項17】
請求項15記載の核酸分析装置において、
前記カローセルは、前記反応容器を設置し又は取り出すために前記カローセルを停止される容器設定期間と前記カローセルを一定速度にて回転させる蛍光測定期間とからなるサイクルによって操作され、前記蛍光測定期間では、前記反応容器が、前記検出器上の検出位置を通過する間に、前記検出器によって蛍光強度を測定するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項18】
回転軸線回りに回転可能なカローセルを用いて核酸を分析する核酸分析方法において、
前記カローセルの円周状の縁に沿って複数の反応容器を設置し、
前記カローセルを回転させながら、当該カローセルの外周に沿って設置されている複数の検出器によって前記反応容器に収納された反応溶液からの蛍光を測定し、前記複数の検出器の各々が所定の反応溶液の蛍光測定を互いに独立的に行ない、
前記反応容器の数又は種類が変化したとき、前記検出器を増設又は取り外す核酸分析方法。
【請求項19】
請求項18記載の核酸分析方法において、
前記複数の検出器は、互いに異なる波長の蛍光を検出することを特徴とする核酸分析方法。
【請求項1】
回転軸線回りに回転可能なカローセルと、前記カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、前記反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、を有し、
前記検出器は取り外し可能に装着され、前記検出器は互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、互いに異なる波長の励起光を発生する光源と、互いに異なる波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、隣接する2つの検出器の光源が発生する励起光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように、且つ、隣接する2つの検出器の検出素子が検出する蛍光の波長の差が所定の波長差より大きくなるように選択されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器の各々は、同一の波長の励起光を発生する光源と、同一の波長の蛍光を検出する検出素子を有するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項5】
請求項4記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器からの出力信号に対する増幅ゲインは、互いに異なるように設定されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項6】
請求項4記載の核酸分析装置において、
複数の前記検出器からの出力信号の分解能は、互いに異なるように設定されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出器のうち、隣接する2つの検出器の間に遮光板が設けられていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出器には、開閉可能なシャッタが設けられ、前記検出器によって前記反応容器内の反応溶液を光学的に検出するときには、前記シャッタは開き、前記検出器によって前記反応容器内の反応溶液を光学的に検出しないときには、前記シャッタは閉じるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記検出装置の前記光源は発光ダイオードを有し、前記検出素子はフォトダイオードを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の核酸分析装置において、前記検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、
前記検出器を前記スロットに沿って移動させることによって、前記検出器を取り外すことができ、又は、前記検出器を装着することができるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の核酸分析装置において、
前記反応容器及び前記反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置が設けられていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項12】
請求項11記載の核酸分析装置において、
前記温度調節装置は、ファン、熱源、及び、温度センサを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項13】
請求項11記載の核酸分析装置において、
前記温度調節装置は、前記カローセルに設けられた熱源、及び、温度センサを有することを特徴とする核酸分析装置。
【請求項14】
請求項1記載の核酸分析装置において、
少なくとも前記カローセル、及び、前記反応容器を収容するケーシングが設けられ、該ケーシングは開閉可能なゲートを有し、前記反応容器の出し入れは、前記ゲートを介して行うことができることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項15】
回転軸線回りに回転可能なカローセルと、前記カローセルの円周状の縁に沿って保持された複数の反応容器と、前記反応容器に励起光を照射する光源と該反応容器内の反応液からの蛍光を検出する検出素子とを有する少なくとも1個の検出器と、前記反応容器及び前記反応容器中の反応液を所定の温度に保持する温度調節装置と、を有し、
前記検出器は取り外し可能に装着され、前記検出器は互いに独立的に蛍光測定を行なうように構成されている核酸分析装置。
【請求項16】
請求項15記載の核酸分析装置において、前記検出器を取り外し可能に支持するためのスロットと、を有し、
前記検出器を前記スロットに沿って移動させることによって、前記検出器を取り外すことができ、又は、前記検出器を装着することができるように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項17】
請求項15記載の核酸分析装置において、
前記カローセルは、前記反応容器を設置し又は取り出すために前記カローセルを停止される容器設定期間と前記カローセルを一定速度にて回転させる蛍光測定期間とからなるサイクルによって操作され、前記蛍光測定期間では、前記反応容器が、前記検出器上の検出位置を通過する間に、前記検出器によって蛍光強度を測定するように構成されていることを特徴とする核酸分析装置。
【請求項18】
回転軸線回りに回転可能なカローセルを用いて核酸を分析する核酸分析方法において、
前記カローセルの円周状の縁に沿って複数の反応容器を設置し、
前記カローセルを回転させながら、当該カローセルの外周に沿って設置されている複数の検出器によって前記反応容器に収納された反応溶液からの蛍光を測定し、前記複数の検出器の各々が所定の反応溶液の蛍光測定を互いに独立的に行ない、
前記反応容器の数又は種類が変化したとき、前記検出器を増設又は取り外す核酸分析方法。
【請求項19】
請求項18記載の核酸分析方法において、
前記複数の検出器は、互いに異なる波長の蛍光を検出することを特徴とする核酸分析方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−151665(P2010−151665A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331057(P2008−331057)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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