説明

分析試料中の不要成分を取り除くための洗浄方法

【課題】分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法を提供する。
【解決手段】(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、(b)この付着した所望成分の少なくとも一部と接触させるのに十分な第1の液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する工程、(c)容器中の洗浄液の液面を揺動させる工程、および(d)容器から洗浄液の少なくとも一部を除去する工程が含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着した所望成分から不要成分を取り除く方法、特に付着しない成分の分離効率の改善に関する。特に本発明は、自動臨床アナライザーにおいて分析される付着被検体を、付着しない標識から分離又は洗浄する方法、特に処理効率又はスピードを低下することなくこれを行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検定を行うためのアナライザーなどの分析試料を入れる容器群を洗浄する方法およびシステム、例えば臨床アナライザーの免疫化学検定システムにおける洗浄台は周知である。例えば、米国特許第6096561号および2000年1月13日出願の「Failure Detection in Automatic Clinical Analyzers」という名称の米国特許出願第09/482599号には、例えば化学ルミネセンスにより測定されるコートされた試料容器に付着した1又は複数種の被検体を含有する容器群を洗浄するための容器洗浄台を含む免疫検定アナライザーについて記載している。このようなシステムは一般に試料洗浄台を含有し、この台には洗浄液分配ノズルおよび吸引ノズルが含まれる。被検体と試薬、例えば標識とを含有する試料は、それをインキュベーションした後に容器から吸引して取り出される。次いで容器に洗浄液を分配し吸引して取り出すことを1又は複数回繰り返して、過剰な被検体および容器側面のコート層、例えばストレプトアビジンに付着しない試薬を除去する。ある周知の表面コートされた容器は、容器の上部近くに非付着標識や被検体などの付着しない材料を捕捉することができる複数のポケット又は棚などの構造物を有する。これらの構造物は、その容器を成形するためおよび/又は積み重ねた容器を分離した状態にしておくために使用される工程の結果であることもある。例えば、積み重ね可能な容器について記載する米国特許第5441895号を参照されたい。免疫化学検定分析に含まれるインキュベーション、試薬の計量および混合の方法は、容器の上部領域にあるポケット又は棚上に付着しない標識および/又は被検体を含有する試料の膜を残すやり方で容器中の試料を移動させる。
【0003】
一般に、免疫化学検定システムにおいてその性能に影響を及ぼす重要な要素は、付着しない成分の分離である。この付着しない成分の分離は2つの主要な要素:
(1)信号を発生させることを意図した成分又は材料、例えば付着した標識をそのまま残すこと、および
(2)付着しない(すなわち遊離の)成分又は材料をできるだけ完全に除去すること、によって制御される。
【0004】
特に、その検定のバックグラウンドにきわめて近い臨床的に有意な性能を有するいくつかの検定がある。これは、この方法の測定部分の間ずっと存在する少量の付着しない材料、特に信号を発する材料が性能に実質上悪影響を及ぼす恐れがあることを意味する。
【0005】
できるだけ完全に付着しない材料を除去するために、容器の洗浄方法は、一般に、第1の高さまで表面コートされた容器を洗浄液で満たす工程、および所定時間後にその洗浄液を吸引する工程などの複数回の洗浄サイクルを含む。例えば、ある周知の方法では、ウェルを洗浄インキュベーションの工程(約37〜40秒)中に移動させることができるように、分配用ノズルが容量300μLの容器を270μLまで満たし、次いで浸漬高さを230μLに設定する。インキュベーションの工程を含むこれらの工程を同じ液の高さを用いて複数回(例えば4回)繰り返す。容器の上部領域に存在する可能性のある付着しない材料は、不注意で洗浄液に曝されたときに取り除かれるだけである。洗浄液が容器の上部領域の付着しない材料と接触し、その材料が再水和されるが除去されない場合、かなりの間違った信号が発せられる恐れがある。その付着しない材料は、容器面に付着した標識の量を検出することを意図する最後の処理工程の間に信号試薬中に滴下する恐れがある。
【0006】
吸引により液を除去する周知のシステムの有する別の問題は、吸引ノズルの外面が付着しない材料を含有する洗浄液で汚染されるようになる恐れがあることである。これは、続く洗浄サイクルにおいて付着しない材料による容器の汚染を招く(その特定の試験又はその後の試験すべてにわたって)恐れがある。周知のシステムには、数回の洗浄工程の後でさえ、付着しない材料が液体の上方に存在し又は浮遊する恐れがあるという更に別の問題がある。これはまた、所望の付着した材料のいずれかの後続の分析の邪魔をする恐れがある。洗浄液中の界面活性剤が付着しない材料を捕捉して、それを浮遊させると考えられる。信号試薬などの別の液を加えると、付着しない材料はその液面に浮遊することがあり、その場合には後続の分析の邪魔をすることになる。これは特に、付着しない材料が西洋ワサビペルオキシダーゼ(「HRP」)の場合に起こりうる。またそれは、変性タンパク質に付着した場合、信号試薬液の表面に浮遊する傾向があることがあり、付着したHRPに関する信号と一緒になり、読み取られて間違った結果を招くことになる偽の信号を創り出すことになる。
【0007】
上記の問題は、試験容器中に残り、ことによると被検体の後続の分析の邪魔をする付着しない材料に帰される。これによれば、結局は不正確な結果が原因で、試験をかなりの不便と費用をかけて繰り返す必要があるということになる。
【0008】
液を容器のより高いところまで満たし、ソーキング(soak)サイクル(すなわち容器の洗浄インキュベーション)の間にわたってそのままにするならば、容器の上部領域中の付着しない材料をより完全に除去することができることは当業界で知られている。これは、他の試験要素を処理することができるようにこの試験要素をソーキングサイクルの間に移動させる必要があるので、ランダムアクセス方式アナライザーシステムにとっては実際的でない。バッチ方式アナライザーでは、その試験要素をこの方法の工程の間ずっと静止させているので、液面の位置を容器のまさにその頂点まで進める(正のメニスカスにする)ことが可能である。容器のまさにその頂点まで試験要素を満たすアナライザーでさえ、付着しない材料を捕捉又は保留することの可能な構造物がこの領域中に存在すると、付着しない標識をまさにその頂点で完全には除去しないという問題がまだ存在する可能性がある。これは、各洗浄処理サイクルで液を同じ高さにする場合、特に正しい。この方法では、この最後の処理工程が、残留する付着しない材料を試験要素の領域に流れ込ませる恐れがあり、それが信号生成試薬の邪魔をすることによって間違った結果を生ずる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、周知の技術の上記欠点を克服することである。本発明の他の目的は、分析試料を保持している容器を洗浄するための改良された洗浄方法、特に所望の付着した材料から不要の付着しない材料の分離を可能にする洗浄方法を提供することである。本発明の更に他の目的は、付着した画分から実質上信号の量を減ずることなく、付着しない材料を除去する免疫化学検定システムのための改良された洗浄方法を提供することである。本発明の更に他の目的は、バックグラウンドノイズに似通った信号強度を有する被検体を分析するための改良された方法を提供することである。本発明の他の目的は、付着しない材料を約2.5秒の時間範囲(洗浄インキュベーション時間を除く)内で除去する改良された方法であって、試験要素を、システムの処理量(効率又は数、あるいは1時間当たりの試験数)の著しい低下なしに、そして好ましくは少しの低下もなしに、処理することを可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述のおよび更なる目的は、次の工程:(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、(b)付着した所望成分の少なくとも一部と接触させるのに十分な第1の液面高さまで容器に洗浄液を分配する工程、(c)容器中の前記洗浄液の前記液面を揺動させる工程、および(d)この容器からその洗浄液の少なくとも一部を除去する工程、を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法を提供する本発明の1つの態様により達成される。本発明の別の態様は、次の工程:(a)容器に付着した被検体を有する表面コートされた容器を提供する工程、(b)容器に付着した被検体の少なくとも一部と接触させるのに十分な第1の液面高さまで容器に洗浄液を分配する工程、(c)容器中の前記洗浄液の前記液面を揺動させる工程、および(d)表面コートされた容器からこの洗浄液を除去する工程、を含む、アナライザーの表面コートされた容器の壁に付着した被検体を洗浄する方法を提供する。
【0011】
本発明の更に別の態様は、次の工程:(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、(b)付着した所望成分の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第1の液面高さまで容器に洗浄液を分配する工程、(c)容器からこの洗浄液を除去する工程、(d)続いて、第1の液面高さよりも低く且つ付着した所望の基体の少なくとも一部を洗浄するのに十分な次の液面高さまで容器に洗浄液を分配する工程、および(e)容器からこの洗浄液を除去する工程、を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法を提供する。
【0012】
本発明の更に他の態様は、次の工程:(a)容器に付着した被検体を有する表面コートされた容器を提供する工程、(b)容器に付着した被検体の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第1の液面高さまで容器に洗浄液を分配する工程、(c)表面コートされた容器からこの洗浄液を除去する工程、(d)続いて、第1の液面高さよりも低く且つ容器に付着した被検体の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第2の液面高さまで試料容器に洗浄液を分配する工程、および、(e)試料容器からこの洗浄液を除去する工程、を含む、アナライザーの表面コートされた容器の壁に付着した被検体を洗浄する方法を提供する。
【0013】
本発明の更に他の態様は、次の工程:(a)コートされた容器中に被検体を含有する試料を提供する工程、(b)この容器中に試薬を提供する工程、(c)随意に、この組み合わされた試料と試薬とをインキュベーションする工程、(d)上記と同様に洗浄を行う工程、(e)随意に、信号試薬を加える工程、および(f)被検体に対してこの試料を分析する工程、を含む、試料中の被検体の量を決定する方法を提供する。好ましくは測定される被検体は、トロポニンIである。
【0014】
本発明の他の態様は、コンピュータによるコンピュータ・プログラムインターフェイスにより実行される上記方法、および上記方法を行うように構成されたコンピュータ読取り可能なプログラム・コードを有するコンピュータ使用に適した媒体を含む製品を提供する。
【0015】
本発明の別の態様は、付着しない材料を約2.5秒の時間範囲(洗浄インキュベーション時間を除く)内に除去する改良された方法であって、試験要素を、システムの処理量(効率又は数、あるいは1時間当たりの試験数)の著しい、また好ましくは少しの低下もなしに、処理することを可能にする方法を提供することである。
【0016】
本発明の更に他の態様は、次の工程:(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、(b)不要成分の少なくとも一部が液面にあるように液を容器中に分配する工程、および(c)その不要の部分を含有する液面部分を除去する工程、を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法を提供する。本発明のこの態様は単独で用いることができ、又はより好適には本発明の上記の他の態様と一緒に用いることもできる。
【0017】
本発明の更なる目的、特徴および利点は、次の好ましい実施形態の詳細な考察から当業者に明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の1つの実施形態によるカップ状の容器を示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による容器洗浄用ディスペンサを示す図である。
【図3】トロポニンIの供与量曲線を示す図である。
【図4】0〜0.08ng/mLの臨床的に有意な領域におけるトロポニンIの供与量曲線を示す図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による揺動洗浄方法(四角で表示)と、従来の洗浄方法(三角で表示)を用いたときの、トロポニンIに関する検定能力を比較するグラフである。
【図6】故意にアナライザーの性能が最悪になるようにした状態で、本発明の好適な実施形態による信号試薬吸引を伴う洗浄方法(菱形で表示)と、従来の洗浄方法(四角で表示)を用いたときの、トロポニンIに関する検定能力を比較するグラフである。
【図7】信号試薬吸引および揺動洗浄の両方を伴う洗浄方法(四角で表示)と、従来の洗浄方法(菱形で表示)を用いたときの、トロポニンIに関する検定能力を比較するグラフである。
【図8】信号試薬吸引および揺動洗浄の両方を伴う洗浄方法(菱形で表示)と、従来の洗浄方法(四角で表示)を用いたときの、HBsAgに関する検定能力を比較するグラフである。
【図9】信号試薬吸引および揺動洗浄の両方を伴う洗浄方法(菱形で表示)と、従来の洗浄方法(四角で表示)を用いたときの、HBsAgに関する検定能力を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、基体に付着した試料中の成分(例えば被検体および付着した標識など)を残し、一方で付着しない標識などの非付着成分を容器から除去することを確実にするために、分析試料を保持する容器を洗浄する方法を提供する。上記および下記の多くの記述は、自動免疫化学検定アナライザーに関連しているが、本発明はそうしたものに限定されない。特に、本発明の方法は、任意の化学的、免疫学的、又はその他の分析又は分離に応用することができる。洗浄されるコートされた容器には、付着されている試料の成分(単一又は複数)と、および過剰な被検体(例えばトロポニンIおよびHBsAg)、ビオチンや付着しない標識(例えばHRP)などの過剰な試薬、液相の望ましくない材料/干渉物質(例えばヘモグロビン)などの除去する必要のある試料の成分(単一又は複数)とが含まれる。コートされた容器にはまた、ビオチン化などの更なる変性又は処理をされなかったストレプトアビジンでコートされた容器を含むことができる。この例では、付着した材料はストレプトアビジンのコート層であり、付着しない材料はこの方法の更なる処理の前に除去されるべきすべての不純物である。
【0020】
第1の好ましい実施形態では、洗浄液および試料を保持するのに適した容器が提供される。この容器はプラスチック、ガラス、金属などの材料で構成することができ、またカップ、ウェル、キュベット、試験管などに形づくることができる。すでに言及したように、容器は、射出成形プロセスに由来する特性および/又は容器を積み重ねることに由来する特性を有することができる。洗浄方法の前に、この容器および試料に、下記により十分に述べる試薬の添加又はインキュベーションなどの先行する処理を行うこともできる。本明細書で用いる「洗浄サイクル」とは、洗浄液を容器中へそして容器から分配および吸引することであり、一般に約37.5秒程度であるインキュベーション時間は含まない。
【0021】
洗浄液の最初の分配の前に、容器は、試料の一部を含有しない任意の液相および/又は固体、例えば洗浄されてなく、吸引などにより最初に除去される被検体を有してもよい。次いで、洗浄液を容器中に分配する。いくつかのケースでは、容器中に試料が存在しないうちに最初に洗浄液を分配することもできることが理解されるべきである。しかしながら、本発明の好適な態様において、被検体および標識を含めて試料は、最初の分配以前に容器中に存在する。分配すると、洗浄液が付着した所望の材料又は成分を含有する容器の少なくとも一部と接触して、不要のそして付着していない材料又は成分の洗浄液中への除去を確実にする。分配は、分配ノズル又は任意の他の満足のいく液体分配装置により達成することができる。分配ノズルを用いる場合、それは下記の吸引ノズルと同一でも異なっていてもよい。試料を容器に加えるのに先立って予備洗浄を行う実施形態においては、洗浄液は一般に用いられる洗浄液とは別の組成のものであってもよい。例えば予備洗浄サイクル用の洗浄液は、ブロッキング剤として働くウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質を含んでもよい。
【0022】
選択された接触時間の後、ノズルを用いた吸引などによって、洗浄液を容器から除去し、洗浄サイクルを完了させる。あるいは液の除去を、容器をさかさまにするなどの任意の他の周知の液体除去装置により達成することもできる。
【0023】
特に好適な実施形態によれば、本発明の洗浄サイクルは、揺動プロセスを含むことができる。洗浄液を容器に分配する際、少量(すなわち、例えば容器が完全に空とは言えない量)の洗浄液を分配し、容器から取り出すことを複数回行う。洗浄液を揺動させる動作は、移動するメニスカスを創り出す。移動するメニスカスは、その移動するメニスカスと接する容器の壁面で洗浄液を絶えず新しくすることによって、容器壁の境界層における濃度勾配を減らす。容器の表面に沿って移動するメニスカスは、洗浄液を容器の表面から強制的に奪い去って、表面に沿った対流性の輸送をもたらす。すなわち、揺動によって可能にされる移動性のメニスカスは、境界における濃度勾配を最大にするように、境界層近くでの液体速度を高める。移動性のメニスカスが境界層における拡散を向上させることは知られているが、これがこのような概念を本発明に応用した最初のものであると本発明者等は信ずる。好適な実施形態において、2回の完全な揺動を提供することができ、1回目の揺動はノズルの上下の行程であり、又はその逆である。本出願人等はこの揺動を与えてさえ、たとえその揺動が必要とするいくつかの追加の工程が存在するとしても、周知の洗浄方法とほぼ同じ時間で済む洗浄サイクルを実現することが可能なことを発見した。好適にはこの洗浄サイクルは、約3秒、より好ましくは約2.5秒を要する。
【0024】
別の好適な態様によれば、第1洗浄サイクルでの除去の後に、約37.5秒の洗浄インキュベーションの工程が続く。この洗浄インキュベーション工程の後、更に分配および除去の洗浄サイクルを提供することができる。その更なる1又は複数回の洗浄サイクルにおける分配の工程では、前の洗浄サイクルよりも低い液面高さまで、容器に液を分配する。これによれば、いったん容器の上の部分がきれいになり、十分に不要な材料が除去されたら、もはや次のサイクルの洗浄液とは接触させず、続く洗浄サイクルでは容器の上部区域の再汚染の恐れがなくなる。
【0025】
本発明によれば、必要とされる回数の洗浄サイクルを用いることができる。好ましい洗浄サイクル回数は1〜6回、より好ましくは4回である。また、所望ならば、洗浄サイクル中に他の工程を行うことも可能である。更に、上記揺動工程の実施形態は、洗浄サイクルの1つ又はすべての間に行うことができる。
【0026】
吸引ノズルを用いて洗浄液を除去するシステムでは、ノズルの下降速度は一般に、容器から除去される洗浄液の量と釣合っている。すなわち、液面に対して吸引ノズルは、ほぼ一定のままであることになる。本発明において、本発明者等は特に最終洗浄、好適には第4の洗浄において、吸引ノズル下降中の吸引ノズル下降速度および任意の液の分配の除去速度を減じると、吸引ノズルが洗浄液中に冠水する恐れを減らすことを見出した。最終洗浄サイクル時に洗浄液中にノズルが冠水すると、ノズルの外部に付いた付着しない材料をノズルから洗い流し、残留する不要の又は付着しない材料を容器中に残すことになる。これは異常に高い信号などの間違った結果をもたらす恐れがある。好適な実施形態において、この下降速度は、前の洗浄サイクルにおける下降速度の1/3である(ただし前の洗浄サイクルの下降速度は、液の吸引速度と下降速度とが前述のように釣合っているところである)。
【0027】
いくつかの実施形態、特に洗浄液を温度制御するシステムでは、洗浄液の分配を吸引ノズルの降下の間ずっと続けることができる。これは、温度制御装置が洗浄ノズルヘッド50(図2)内にあるソーキングサイクル中の洗浄液温度の制御を更に改善するために行われる。ノズルは、洗浄ヘッド内の温度制御素子の後に、そのノズルによって保持される液(約80μL)を含有し、この量の液は急速に室温に達する。ノズル降下中の分配および急速な吸引によって、洗浄温度ではないノズル中の冷たい液は迅速に除去される。この実施形態において、本発明者等は、容器中の液のメニスカスの曲率を低減するには最終洗浄の吸引ノズル降下の間、洗浄液の分配を止めることが特に有利であることを見出した。これは、吸引ノズルが冠水し汚染する恐れを更に少なくする。
【0028】
本発明の他の態様によれば、本発明は、容器中に存在する液の上層を好適には吸引によって除去することにより、付着した所望成分から不要成分を除去する方法を提供する。本発明のこの態様は、単独で用いることもでき、あるいは洗浄プロセスの前、間又は後の任意の段階に前述の洗浄プロセスと共に、下記の図6〜9の説明で示すように用いることができる。
【0029】
本発明に至る問題の1つは、試験試料に対する結果が統計ノルムから外れるという問題、いわゆる「異常値」であった。本発明者等は、異常値に対する一つの解決策が、本明細書の最初の部分で述べた方法を用いて、付着した所望成分から、邪魔で不要の、一般には付着しない成分を減らすことにあることを発見したのである。様々な洗浄方法において得られたデータに基づけば、付着しない材料の別の供給源がまた存在すると考えられる。邪魔な付着しない材料のこの別の供給源は、数回の洗浄方法の後でさえも液の上方に存在又は浮遊する材料である。
【0030】
また、この材料は、所望の付着した材料のその後の分析の邪魔をする恐れがある。どのような理論にも制約されるものではないが、洗浄液中の界面活性剤は、付着しない材料を捕捉する可能性があると考えられる。信号試薬などの追加の液を加えた際、付着しない材料は液面に浮遊する可能性があり、それがその後の分析の邪魔をすることになる。好ましい信号のインキュベーション時間は4分間を超える。このインキュベーション時間は、付着しない材料を、それが付属している表面から除去し、そして吸引により除去することができる表面にそれを浮遊させる時間を提供することになる。
【0031】
特に、付着しない材料が、変性タンパク質や変性タンパク質に付着する西洋ワサビペルオキシダーゼ(「HRP」)などの標識である場合は、このケースに該当する可能性がある。信号生成試薬と付着し、読み取られることになる偽の信号を生ずることによって間違った結果を招くことになるこのタンパク質は、信号試薬流体の表面に浮遊する傾向があることがある。これらの発見に基づいて、本発明者等は測定に先立っていくつかの箇所で液の上層を除去することが、より異常値の少ない結果をもたらすことを見出した。免疫化学の場合は、表面の膜を信号試薬の添加の後に除去することになる。下記の図6〜9で述べるように、実験は、若干残った異常値が本質的に排除されたか、又は著しく減少したことを明示している。これは全く予想外のまた驚くべきことであった。というのは、液の表面層のこの除去は、供与量曲線を変えない、又は普通なら追加の工程から予想されるはずの精度の低下を起こさなかったからである。
【0032】
供与量曲線は、測定しようとする成分の量に対する検定の信号の比を示している。例えばトロポニンについては、次のデータおよび図3のグラフを参照されたい。
【表1】

【0033】
特にトロポニンのようないくつかの被検体に関する1つの問題は、0〜0.08ng/mLの臨床的に重要な領域の信号がきわめて小さいことである。このグラフを図4に示す。
【0034】
図4のグラフが実証するように、この線が水平線に近い場合にはより小さい信号を扱うことになり、従って本質的により不正確さを有することになる。より正確な信号応答を生ずるが、臨界範囲における有益な信号の半分を減らすという犠牲を払ってこれを行う洗浄方法を採用するならば、その改善が2倍よりも著しくすぐれていない場合はほとんど又は何も利益がないことになる。本発明の利点は、有益な信号の量を減らすことなく低端部の精度が著しく改善されることである。本発明のこの態様は、上記のウェル又はキュベットなどの試料ホルダーの表面に邪魔な不要成分を有する可能性がある任意の分析において有用である。表面膜除去のタイミングは使用されるシステムおよび化学種に左右される。免疫化学を使用する場合、この除去は信号試薬の添加および任意のインキュベーションの後であることになる。このインキュベーションは、表面から除去される材料の量を増すことが予想される。それはまた、表面に浮遊する材料の量にも影響を与える可能性がある。この方法の有効性が、一定のインキュベーション期間後に最も大きいことは予想されるはずである。化学ルミネセンス(免疫化学)検定も、このインキュベーション期間を有するが、この種の方法は光を生ずるだけなので、信号の高まりを生じないことになる。
【0035】
信号生成試薬のインキュベーションを使用する表面除去の実施形態(以下では吸引又は吸引の実施形態とも呼ぶ)の利点は、これが、同等の洗浄効率に対して総合的により短い時間をもたらすことを可能にし、またよりすぐれたシステム処理量を可能にすることである。これは、吸引の実施形態が、信号生成試薬のインキュベーションを、同時にインキュベーションをする補足的な洗浄方法(ソーキング)に変えることによって、信号生成試薬のインキュベーションの利用を2倍にすることによる。例えば上記の好適な実施形態においては、一般に複数の洗浄の間に、合計120秒のソーキング時間(それぞれ40秒間の3回の浸漬)がある。4分40秒の追加のソーキング時間(すなわち、いくつかの実施形態における信号のインキュベーション時間)が加わる好ましい吸引方法では、ソーキング時間の4倍超の増加という結果がもたらされる。従って吸引方法を使用しない同等の方法と比べて、吸引方法を使用する実施形態の場合は、より長い有効洗浄/ソーキング時間が存在する。
【0036】
その分析が染料検出システムを有する比色分析の場合、表面の膜又は層は、終点の色を測定する前に除去すべきである。染料検出システムは、信号生成材料が存在すると、時間とともに色密度の増大をもたらす。従って、本発明の吸引の実施形態を比色タイプの検定に使用する場合、その方法は若干修正されることになる。例えば、液面は、検出インキュベーション工程の間に複数回吸引されることがある。他の選択肢では、洗浄液に入れ、インキュベーション時間後に表面を吸引することになる。長い洗浄ソーキング時間を伴う現状の当業界の方法を凌ぐこの方法の利点は、バルクの液を除去する前に表面膜を吸引すると、付着しない材料の濃縮層を除去すると思われることである。吸引ノズルが表面膜を最初に選択的に除去又は吸引することなくバルクの液を除去する従来の吸引法を用いると、この付着しない材料が容器の表面に再付着することがある。
【0037】
表面膜除去の最終的なタイミングは、使用するシステムおよび化学種に左右され、当業者は本明細書を参考にしてそのタイミングを決めることができる。
【0038】
特に好適な実施形態において上記方法は、米国特許第6069561号および係属中の「Failure Detection in Automated Clinical Analyzers」という名称で2000年1月13日出願の米国特許出願第09/482599号(これらは両方とも全体が参考により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどの、免疫診断検定用アナライザーで使用される。好適な免疫診断用アナライザーでは、容器はカップ形である。好適な容器は、試薬と相補的な材料をコートされた0.35mLの円錐形の容器である。容器のコート層は、ストレプトアビジンなどの材料、および/又は検定化学の一種として被検体が付着するビオチン化した抗原又は抗体による付着を促進することが当業界でよく知られている免疫化学分析に有用な他の材料を含むことができる。容器10の例を図1に示す。図2に示す洗浄装置40中の洗浄ディスペンサ20および吸引ノズル30のような別体の洗浄液分配および吸引用プローブもまた好ましい。
【0039】
典型的な免疫診断用アナライザーは、米国特許出願第09/482599号に記載のものなど一連の被検体の試料の測定において、様々な方法を行うシステムおよびサブシステムの構成要素に分類される。一般的な方法は、すでに試薬計量システムによって分配されてその中に存在する試薬を有していてもまたいなくてもよい容器中への試料の分配を含む。試薬を加えた後、必要ならば試料を希釈し、次いでインキュベーションする。本発明の洗浄によるこの例では、インキュベーション後、容器を洗浄する。洗浄の後で信号試薬を加え、更にインキュベーションが続き、もし必要なら随意に、表面除去の実施形態が続く。付着した被検体/信号試薬の組み合わせによって生じた信号は、適切な検出器、例えば照度計によって読み取られる。
【0040】
本発明による洗浄方法は、当業界で周知のように、アナライザーのコンピュータ制御装置と共に作用するコンピュータ読取可能なプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラムによって実施することができる。
【0041】
特に好適な洗浄順序(洗浄インキュベーションを含めない)は次のとおりである(比較のために典型的な洗浄順序と併せて示す)。
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
特に好ましい吸引手順は下記のようなものである(比較のために典型的な洗浄手順を示す)。
【0051】
【表10】

【0052】
【表11】

【実施例】
【0053】
本発明は、トロポニンI(cTnl)、すなわち急性心筋梗塞の後4〜6時間以内に血流で検出可能なタンパク質の分析性能を改善するのに特に有用であることが分かった。上記洗浄方法(周知および本発明の両方)を用いていくつかの試験を行い、下記に述べる手順によりトロポニンIの水準を求めた。
【0054】
[実施例1]
試料を入れたスプレプトアビジンでコートされた容器にビオチン試薬を加えて、ビオチン化抗cTnl抗体と、スプレプトアビジンでコートされた容器と、試料中に存在するcTnlとの間の反応を開始させた。またHRP接合試薬を加えて、HRP接合型抗cTnl抗体と試料中のcTnlとの間の反応を開始させた。次いで試料および試薬を8分間、37℃でインキュベーションした。インキュベーション後に試料を入れた容器を本発明および周知の洗浄方法によって洗浄した。洗浄後、ルミノール誘導体、過酸塩、および置換アセトアニリド電子伝達剤を含有する信号試薬を加えて発光を生じさせ、これを照度計で読取った。この結果を図5のグラフに示す。このグラフが示すように、本発明の洗浄方法を用いた結果は、周知の洗浄方法を用いた結果よりもずっと安定しており、且つ異常値が少なかった。
【0055】
[実施例2]
前述のように信号試薬吸引を用いた8回の洗浄および信号試薬吸引を用いない8回の洗浄を行った。これらの結果を図6のグラフに示す。このグラフが示すように、本発明の揺動洗浄方法および信号試薬吸引を用いた結果は周知の洗浄方法を用いた結果よりもずっと安定しており且つ異常値が少なかった。
【0056】
[実施例3]
信号試薬吸引および揺動洗浄を用いて一連の洗浄を行った。信号試薬吸引又は揺動洗浄を用いない他の一連の洗浄を行った。これらの結果を図7のグラフに示す。このグラフが示すように、本発明の洗浄方法を用いた結果は周知の洗浄方法を用いた結果よりもずっと安定しており且つ異常値が少なかった。
【0057】
[実施例4および5]
本発明は、また、HBsAg(B型肝炎表面抗原)の分析性能を改善するのに有用である。マウス単クローン性抗HBsAg抗体をコートされた容器、HRPで標識したマウス単クローン性抗HBsAg抗体の複合体、および試料中のHBsAgを反応させた。次いでこの試料を29分間、37℃でインキュベーションした。インキュベーション後、試料を入れた容器を、本発明の揺動の実施形態および周知の洗浄方法によって洗浄した。洗浄後、ルミノール誘導体、過酸塩、および置換アセトアニリド電子伝達剤を含有する信号試薬を加え、続いて信号試薬をインキュベーションして発光を生じさせ、これを照度計で読取った。信号を読取る前に、本発明の表面除去の実施形態を用いて表面の膜を除去した。上記洗浄方法(周知および本発明の両方)を用いていくつかの作業を行い、HBsAgのレベルを求めた。
【0058】
HBsAgに対する能力比較を図8および9に示す。データが非常に少ないので、非信号試薬吸引および信号試薬吸引両方のデータは、揺動洗浄によるウェル作業とよらないウェル作業を含んでいる。これらの結果は、この検定に対する予想の低端部では能力が著しく異なることを実証する。
【0059】
様々な修正形態および変形形態を本発明の化合物、組成物、および方法について案出することができることは当業技術者には明らかなはずである。従って本発明は、このような修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびそれらの等効物の範囲内にあるという条件で、それらを対象として含む。
【0060】
上記で引用したすべての刊行物の開示内容は、それぞれを参考して組み込んだのと同じ程度に、それら全体が参考により本明細書に明確に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、
(b)前記付着した所望成分の少なくとも一部と接触させるのに十分な第1の液面高さまで、前記容器中に洗浄液を分配する工程、
(c)前記容器中の前記洗浄液の液面を揺動させる工程、そして
(d)前記容器から前記洗浄液の少なくとも一部を除去する工程、
を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法。
【請求項2】
工程(b)〜(d)に約2.5秒以下を要する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
洗浄液を入れた容器をインキュベーションする工程を、工程(d)の後に更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インキュベーションに約37.5秒を要する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の液面高さよりも低く、且つ前記付着した所望成分の少なくとも一部と接触させるのに十分な液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する後続の工程、並びに
容器から洗浄液を除去する後続の工程、
を更に含み、前記揺動工程(c)をいずれかの前記分配および除去の工程の間に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記揺動工程を、前記第1の分配および除去の工程に続く分配および除去の工程の間に行う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記洗浄液を除去する工程が、吸引ノズルを用いて容器から洗浄液を吸引することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記容器が、上端に構造物を有するカップ型である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄液を除去する工程の間、洗浄液とノズルの外面との接触を減らすか又は避けるために、追加の洗浄液を分配せず、且つ吸引ノズルの下降速度を先行の洗浄液除去の工程と比べて遅くする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(a)容器に付着した被検体を有する表面コートされた容器を提供する工程、
(b)前記容器に付着した前記被検体の少なくとも一部と接触させるのに十分な第1の液面高さまで容器中に洗浄液を分配する工程、
(c)前記容器中の前記洗浄液の前記液面を揺動させる工程、並びに
(d)表面コートされた前記容器から、前記洗浄液を除去する工程、
を含む、アナライザーの表面コートされた容器の壁に付着した被検体を洗浄する方法。
【請求項11】
前記第1の液面高さよりも低く、且つ前記付着した被検体の少なくとも一部と接触させるのに十分な液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する後続の工程、並びに
容器から洗浄液を除去する後続の工程、
を更に含み、前記揺動工程(c)をいずれかの前記分配および除去の工程の間に行う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記後続の洗浄液除去の工程の後に、追加の液を加える工程および表面部分除去の工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記追加の液が信号試薬を含有し、その液面部分を、分析される付着した被検体に先立って吸引により除去する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記揺動工程を、前記第1の分配および除去の工程に続く分配および除去の工程の間に行う、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アナライザーが免疫診断用検定アナライザーである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記容器がカップ型であり、且つ抗体を塗布されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定される前記被検体がトロポニンIである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記アナライザーが免疫診断用検定アナライザーであり、前記容器がカップ型で且つ抗体を塗布されており、且つ測定される前記被検体が肝炎である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄液を除去する工程が、吸引ノズルにより容器から洗浄液を吸引する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、
(b)前記付着した所望成分の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第1の液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する工程、
(c)容器から前記洗浄液を除去する工程、
(d)引き続き、前記第1の液面高さよりも低く前記付着した所望の基質の少なくとも一部を洗浄するのに十分な次の液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する工程、並びに
(e)容器から前記洗浄液を除去する工程、
を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法。
【請求項21】
少なくとも1つの前記分配および除去の工程の間に、洗浄液の液面を揺動させる工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記揺動工程を、前記第1の分配および除去の工程に続く分配および除去の工程の間に行う、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記洗浄液を除去する工程(e)が、吸引ノズルにより容器から洗浄液を吸引することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記容器が、上端に構造物を有するカップ型である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記洗浄液を除去する工程(e)の間、洗浄液とノズルの外面との接触を減らすか又は避けるために追加の洗浄液を分配せず、且つ吸引ノズルの下降速度を、先行の洗浄液除去の工程と比べて遅くする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
(a)容器に付着した被検体を有する表面コートされた容器を提供する工程、
(b)容器に付着した前記被検体の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第1の液面高さまで、容器中に洗浄液を分配する工程、
(c)表面コートされた容器中から前記洗浄液を除去する工程、
(d)引き続き、前記第1の液面高さよりも低く、且つ前記容器に付着した被検体の少なくとも一部を洗浄するのに十分な第2の液面高さまで、試料容器中に洗浄液を分配する工程、並びに
(e)前記試料容器から前記洗浄液を除去する工程、
を含む、アナライザーの表面コートされた容器の壁に付着した被検体を洗浄する方法。
【請求項27】
前記分配および前記洗浄液を除去する工程が後続で少なくとも4回起る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(削除)
【請求項29】
(削除)
【請求項30】
(削除)
【請求項31】
(削除)
【請求項32】
(削除)
【請求項33】
前記洗浄液を除去する工程が、吸引ノズルにより容器から洗浄液を吸引する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
第4の洗浄液を除去する工程の間、洗浄液とノズルの外面の接触を減らすか又は避けるために、以前の洗浄液除去に対して追加の洗浄液を分配せず、且つ吸引ノズルの下降速度を以前の洗浄液除去と比べて遅くする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(a)コートされた容器中に被検体を保持する試料を提供する工程、
(b)前記容器中に試薬を提供する工程、
(c)随意に、一緒にした前記試料および試薬をインキュベーションする工程、
(d)請求項10に従って洗浄を行う工程、
(e)随意に、信号試薬を加える工程、並びに
(f)前記被検体に関して試料を分析する工程、
を含む、試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項36】
信号試薬を含有する液を工程(e)で加え、その信号試薬液の表面を除去する工程(e1)を更に含む、請求項35に記載の試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項37】
前記除去の工程(e1)が吸引によるものである、請求項36に記載の試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項38】
(g)コートされた容器中に被検体を含有する試料を提供する工程、
(h)前記容器中に試薬を提供する工程、
(i)随意に、一緒にした前記試料および試薬をインキュベーションする工程、
(j)請求項26に従って洗浄を行う工程、
(k)随意に、信号試薬を加える工程、並びに
(l)前記被検体に関して試料を分析する工程、
を含む、試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項39】
信号試薬を含有する液を工程(k)で加え、前記信号試薬液の表面を除去する工程(k1)を更に含む、請求項38に記載の試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項40】
前記除去の工程(k1)が吸引によるものである、請求項39に記載の試料中の被検体の量を決定する方法。
【請求項41】
(a)容器に付着した所望成分および不要成分を有する容器を提供する工程、
(b)前記不要成分の少なくとも一部が液面にくるようにして、液を容器中に分配する工程、並びに
(c)前記不要成分を含有する液面部分を除去する工程、
を含む、分析における付着した所望成分から不要成分を除去する方法。
【請求項42】
前記付着した成分が被検体であり、その被検体を分析する工程(d)を更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記液面部分を吸引によって除去する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
工程(b)における前記液が信号試薬である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記分析が免疫診断用検定アナライザー中で行われ、前記容器がカップ型で且つ抗体を塗布されており、且つ測定される前記被検体が肝炎である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記表面除去の工程を使用しない方法と比べて、より長い有効洗浄/ソーキング時間がある、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
コンピュータと共に作用するコンピュータ・プログラムによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
請求項1の方法を実施するように構成された、コンピュータ読取可能なプログラム・コードを有するコンピュータ使用可能な媒体を含む製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−210643(P2010−210643A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−126751(P2010−126751)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2003−385802(P2003−385802)の分割
【原出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(503419756)オルソ−クリニカル ダイアグノスティクス,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】