説明

分注装置

【課題】分注精度を悪化させることなく、プローブ移動時の試料の飛び出しを抑制することで、高速動作と分注精度の向上を実現する。
【解決手段】配管内の流体を引き込むことができる液位制御装置40を追加することで、分注精度を悪化することなく、プローブ内の試料の液面位置を操作可能とする。試料の吸引動作後から吐出動作前までの間、液位操作器によって配管内の流体を引き込む。吐出前には引き込んだ流体を元に戻すことで、プローブ内の試料の液面位置を元に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置などに組み込み、試薬や血清などの液体試料の分注処理に用いる分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動分析装置に対する市場要求として、検査コスト低減のため時間当たりの検査数を増すことを目的とした検査の高速化や、患者の負担軽減や試薬使用量の低減のための分注量の微量化がある。そのため、自動分析装置内で試薬や血清の分注を行う分注装置の高速化と微量化対応が求められている。しかし、分注機構はアーム先端の細長いプローブで血清や試薬といった液体試料を扱うため、高速動作した場合に試料が飛散する現象が発生することがある。検体や試薬の飛散が発生した場合は、分注精度が悪化し、検体と試薬の比率が設定値と異なってしまうため、検査精度に影響を及ぼしてしまう問題がある。
【0003】
前記のような試料が飛散する現象では、プローブ側面に吸引時に試料が付着し、付着した試料がアーム動作によって飛散する場合と、プローブ内部の試料が押し出されて飛散する場合とがある。前者のケースは、プローブの材質や形状、あるいは引き抜き時の動作を付着量が少なくなるように設計することで対策している。後者のケースは、特許文献1のように配管内圧力を負圧とすることで、液垂れを防ぐなどの対策が考えられる。特許文献1では、分注装置の配管系に空気漏れ等の異常が起こり、配管の内圧が変化した場合に、シリンジポンプを駆動して配管系の負圧を増加させ液垂れを防ぐ方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−194835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プローブ先端から試料が飛び出し、その飛び出した試料が飛散し、検査精度に影響を及ぼす問題があるが、分注装置の動作中の試料の飛び出しは、プローブを移動する動作に伴い内部の流体に働く慣性力の影響が大きい。そのため、分注装置を高速化しようとすると、試料の飛散が発生しやすくなる。
【0006】
以上のような問題に対しては、前述の特許文献1の技術のようにシリンジポンプを駆動して配管系に負圧をかけることで、プローブ先端の試料の液面を上昇させて、試料の飛び出しを抑制できるが、シリンジポンプに用いられているボールねじ機構部のバックラッシによる位置決め誤差の影響を受け、設定量の試料を吐出することができなくなり、試料を吐出する時に分注精度が悪化する問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、分注精度を悪化させることなく、プローブ移動時の試料の飛び出しを抑制することで、高速動作と分注精度の向上を実現する、分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的なものを挙げると、試料の吸引や吐出を行うプローブと、プローブに接続された配管と、配管に接続され、配管内の圧力を変化させるポンプと、配管に配置され、配管に充填された流体の液位を制御する液位制御装置と、を備えた分注装置である。
【0009】
本発明の分注装置では、吸引や吐出動作を行うシリンジポンプ以外に、配管内の流体を引き込むことができる液位制御装置を追加することで、シリンジポンプを動作させるときに問題となるバックラッシの影響を受けることなく、プローブ内の試料の液面位置を制御可能とする。試料の吸引動作後から吐出動作前までの間、液位操作器によって配管内の流体を引き込むことで、プローブ内の試料の液面位置は上昇し、プローブの移動による液の飛び出しを要因とする飛散を防ぎ、吐出前には引き込んだ流体を元に戻すことで、プローブ内の試料の液面位置を元に戻すことで、分注精度に影響を与えない。
【0010】
前記の配管内の流体を引き込む機構の代わりに、プローブ内の試料が飛び出すときに発生する配管内の圧力変化を抑制するアキュームレータのような蓄圧器を追加した場合も、同様の効果を得ることができる。
【0011】
以上のような分注装置のプローブからの試料の飛び出しを抑制する方法を実現可能な構成により、試料の飛散による分注精度の悪化を低減し、高速動作と分注精度の向上が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローブの試料の液面位置の操作、もしくは配管内の圧力変化を抑制することで、試料の飛び出しによる飛散を防ぎ、高速動作と高い分注精度を実現可能な分注装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の自動分析装置の分注装置に関する機器の構成を示す図である。
【図2】分注装置のモータ指令加速度と試料飛び出し量およびモータ指令加速度と加速度センサ測定値との関係を示す図である。
【図3】従来の分注装置の制御ブロックを示す図である。
【図4】本発明における分注装置の制御ブロックの一例を示す図である。
【図5】プローブ上昇時における速度波形と加速度センサ測定値および配管内圧力変化を示す図である。
【図6】本発明における分注動作の流れを示す図である。
【図7】本発明におけるピエゾアクチュエータを用いた液位操作器の一例を示す図である。
【図8】本発明における電磁アクチュエータを用いた液位操作器の一例を示す図である。
【図9】本発明における圧力変化を抑制する畜圧器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1から図9を引用し、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、試料として血清を例に説明するが、試薬を扱う場合に関しても基本的には同様である。
【0015】
図1は、従来の自動分析装置の分注装置に関する機器の構成を示す図である。分注装置10は、アームの上下動作と、アームの回転動作が可能な構造で、アームの先端には試料の吸引や吐出を行うプローブ11を有する。分注装置10は、血清が格納された試験管が並ぶサンプルディスク21で血清を吸引して、試薬と血清を混合し反応を確認する反応ディスク22で血清の吐出を行う。サンプルディスク21から反応ディスク22までの間、分注装置10はアームの上昇や下降動作、アームの回転動作を行うことで、目的の位置にプローブを位置決めする。プローブ11には、配管50内の圧力を計測する圧力センサ31と、吸引や吐出動作を行うシリンジポンプ32と、配管50の開閉を行う電磁弁33と、配管50内に充填されたシステム水をプローブ11内部の洗浄を行うときに送り出すギアポンプ34と、システム水を貯水するタンク35とが配管で接続される。前述のように、シリンジポンプ32は、ボールねじ機構で構成され、ステッピングモータの駆動によって、プローブ11からの吸引や吐出動作を行う。
【0016】
図2(a)は、分注装置のモータ指令加速度を変化させたときのプローブ11から飛び出した試料の量との関係を示す図である。分注装置を高速動作させるためには、分注装置のモータ指令加速度を上げることが必要となるが、モータ指令加速度を上げることで、プローブからの試料の飛び出し量が増加するために、試料が飛散しやすくなり、分注精度を悪化することになる。モータの指令加速度を上げると、プローブ11に作用する加速度も増加するため、前述の通りプローブ11内の流体に慣性力が働き、プローブ11から試料の飛び出しが発生する。
【0017】
図2(b)は、アームの上昇動作においてモータ指令加速度を変化させたときのプローブ11付近の構造体に発生した鉛直方向の加速度との関係を示す図である。駆動モータとプローブまでの構造によって特性は異なるが、加速度センサ測定値はモータ指令加速度が増幅される傾向となる。図2(b)のような関係や、駆動モータからプローブ11までの伝達特性を計測することで、モータ指令加速度からプローブ11に作用する加速度を算出することができる。
【0018】
図3は、従来の分注装置の制御ブロックを示す図である。分注装置10は、前述の通りアームの上下動作と回転動作をするため、それぞれの動作を行うためのモータを備え、プローブ11は分注装置のアーム内部で配管50と接続する。分注装置を制御するための分注装置制御部300は、分注装置の動作シーケンスを管理する分注シーケンス処理部301と、分注動作を実行する分注動作制御部302と、モータに駆動指令を与えるモータ制御部303と、シリンジポンプのモータに駆動指令を与えるシリンジ制御部304と、圧力センサ31からの信号により配管内の圧力を検出する圧力検出入力部305と、分注シーケンスの情報を保持する分注シーケンスデータ306と、モータ駆動パラメータを保持する分注動作パラメータ307と、上位計算機320と通信を行う上位通信処理部310とからなる。分注装置のモータやシリンジポンプ32のモータには、分注装置制御部300からの駆動指令を、モータ駆動部330を介して与えることで駆動する。圧力センサは、主に配管内の異常検知のため、血清を扱う分注装置においては特にプローブ内の血清のつまり等の検知を目的として、分注装置制御部で監視を行う構成となっている。
【0019】
以下、実施例1および2を用いて本発明について説明する。
【実施例1】
【0020】
図4は、本発明における分注装置の制御ブロックを示す図である。分注装置10とシリンジポンプ32の間の配管に、液位制御装置40を追加し、分注装置制御部300内の液位操作部401によって、配管内の流体の引き込みプローブ内の試料の液面位置の制御をする。より具体的には、配管内には流体が充填されており、分注装置制御部300は、この流体の液位を制御することにより、間接的に試料の液面位置を制御する。
【0021】
以上の構成で、分注装置制御部300は、分注動作制御部302から吸引動作の完了後に、液位操作部401を介して、配管内の流体の引き込みを行うように液位制御装置40を駆動する。配管内の流体が液位制御装置内に引き込まれることで、プローブ11の内部の試料の液面位置は引き込んだ流体の体積分だけ引き上げられる。吐出動作前には、分注動作制御部302によって、液位操作部401を介して、引き込んだ流体を戻すように、液位制御装置40を動作させることで、プローブ11の内部の試料の液面位置は、液位制御装置40で操作する前の状態に戻る。
【0022】
さらに、分注装置10のアーム先端には加速度センサ41を追加し、プローブ付近に働く加速度を測定可能な構成とすることもできる。なお、加速度センサ41は、モータ指令加速度とプローブ付近に働く加速度との関係を一度確認すれば、取り外しても良い。圧力センサ31からの配管内の圧力値は、圧力測定部402にて圧力変化が発生するタイミングや圧力変化の周波数や周波数の位相に関する情報を、配管内圧力データ403に記録する。
【0023】
前述の通り、プローブ11内の試料の飛び出しは、プローブ11内部の流体に働く慣性力によるもので、流体に働く加速度を加速度センサ41などで測定することで、液面位置の引き上げ量を決定することができる。例えば、加速度センサ41で測定したプローブ11と同方向の加速度の値がa[m/s2]であったとし、プローブ11内の流体の体積がV[m3]、配管50の断面積がS[m2]とする。プローブ11内の流体は、ここでは仮に一様な密度ρであると定義する。プローブ11内の流体に働く慣性力は、ρVaで表すことができ、この慣性力を配管の断面積で割ることで、圧力変化量ΔPは求まり、ΔP=ρVa/Sで表すことができる。ここで、ΔP=ρVa/Sの式に、圧力センサ31にて測定した圧力変化値と、プローブ11に働く加速度を与えることで、体積の変化量を求めることができる。このように求めた体積の変化量は、プローブ11から飛び出す液量なので、同量の配管内の流体を引き込むことで、プローブ先端の液面位置を液が飛び出さない高さに上げ、液の飛び出しを防ぐことができる。前述のように飛び出す液量を計算で求める方法以外にも、実際の飛び出し量を予めカメラ等で確認しても良い。
【0024】
なお、液位制御装置40は、圧力変化が発生するタイミングや周波数や周波数の位相に関する情報を記録した配管内圧力データ403を使うことで、プローブ内の試料の液面の振動を抑制する制御を行うことも可能である。詳細は後述する。
【0025】
図5は、プローブを上昇動作させたときのプローブ速度波形と、そのときの加速度センサの鉛直方向測定値と、配管内の圧力変化を示す図である。図5(a)は、アームの上下動作を行うモータに台形波形の駆動パターンを与え、上昇動作をさせた時の速度変化を示すものである。図5(b)は、図5(a)の駆動を行ったときのプローブ付近に発生する鉛直方向の加速度を加速度センサで測定したときの波形である。図5(c)は、同じく図5(a)の駆動を行ったときの配管内の圧力変化を圧力センサで測定したときの波形である。プローブには、図5(b)のようにアーム上昇動作の加減速で振動が発生し、上昇動作完了後も振動が残留する。図5(c)のように配管内の圧力変化もアーム上昇動作の加減速のタイミングで振動が発生する。このことは、前述で説明した通り、プローブ内の流体に働く慣性力によってプローブから飛び出してしまい、流体が飛び出したことで配管内の圧力が変化するためである。
【0026】
図6は、分注動作の流れを示す図である。分注装置10は、まずアームを吸引位置へ回転601させ、シリンジポンプ32を使い、プローブ11を用いて空気吸引602する。プローブ11を血清が格納された試験管に挿入するため、分注装置10は、アームを吸引位置へ下降603させ、シリンジポンプ32によって血清を吸引動作604させる。吸引後、分注装置10は、アーム回転をするためアームを回転位置へ上昇605させ、吐出位置へ回転動作607を行う。この際、アームが上昇し停止する前に、液位制御装置40により流体の液位を制御する動作、液位操作606を行う。液位操作606は吐出動作が行われる前までに元の状態に戻しておけば良いが、図6では、吐出位置へ回転動作607の最中に元の状態に戻している。分注装置10は、吸引した血清を吐出するため、プローブ11を反応ディスク22の吐出位置へ下降608させる。分注装置10は、吐出位置で、シリンジポンプ32によって血清の吐出動作609を行う。分注装置10は、吐出後は、アームを回転位置へ上昇610させ、洗浄位置にてプローブ洗浄処理611を行う。
【0027】
以上の分注動作において、吸引動作604から吐出動作609の間が、液の飛散が発生することで検査精度に影響を与える。そのため、吸引動作604後に液位制御装置40によって配管内の流体を引き込み、吐出動作609の前に引き込んだ流体を元に戻すことで、プローブの移動による液の飛び出しを要因とする飛散を防ぎ、分注精度の向上が可能となる。特に、図5(C)にプローブ速度の停止時間で配管内圧力が大きく変化するため、このタイミングで液の飛散が生じやすいので、図6では、回転位置へ上昇605が終了するタイミング、すなわちプローブの停止前に、液位操作606を行っている。
【0028】
言い換えれば、分注装置制御部300は、プローブにより試料を吸引した後に配管に充填された流体の液位を上昇させ、その後、試料の吐出を行う前に上昇させた流体の液位を下降するように液位制御装置40を制御している。また、最低限の動作として、少なくとも、分注装置制御部300は、アームの上昇動作が停止する前に、流体の液位を上昇させるよう液位制御装置を制御している。なお、特許文献1の技術のように、シリンジポンプによる試料の吸引動作と吐出動作の間に、配管系の負圧を増加させることは行わない。
【0029】
このように、シリンジポンプとは別に、液位制御装置を新たに設け、上述の制御を行うことで、シリンジポンプが負圧を増加させることに伴う、分注精度が悪化する問題を解決し、高速動作と分注精度の向上が可能となる。
【0030】
図7は、本発明におけるピエゾアクチュエータを用いたときの液位制御装置40の一例である。図7の液位制御装置40の例では、ピエゾアクチュエータ701内のピエゾ素子702により微小変位を発生するアクチュエータを使い、ピエゾ素子702の変位を配管内の流体に伝えるため、ダイヤフラム703を用いて、配管内の流体を制御できる構成である。前述したように、プローブの試料の液面位置を上げるためには、ダイヤフラム703を上げるようにピエゾアクチュエータ701を駆動させる。このとき、ピエゾアクチュエータ701には、前述のように求めた飛び出し量を操作できるだけの変位量を発生する必要がある。ピエゾ素子702の変位だけでは、目標とする体積を操作できない場合には、変位拡大機構などを設けることで対応できる。引き上げた液面位置を戻すには、ダイヤフラム703を元の位置に戻すように、ピエゾアクチュエータ701を駆動させればよい。
【0031】
以上のような操作を、プローブからの試料の飛び出しが問題となる吸引動作から吐出動作まで行うことで、試料の飛散を抑制できる。なお、図7では、ピエゾアクチュエータ701を使ったが、ボイスコイルモータなど微小変位の位置決めが可能なアクチュエータであれば良い。
【0032】
ピエゾアクチュエータ701を用いることで、事前に配管内圧力データ403に記録した配管内の圧力変化の周波数に合わせて、ダイヤフラム703を上下させ、配管内の圧力が上がるタイミングで圧力を下げ、配管内の圧力が下がるタイミングで圧力を上げるというように、逆位相の圧力が発生するような操作をすることで、圧力変化量を低減させることができる。以上のような方法を用いることで、プローブ内部の試料の液面振動を抑えることができるため、試料の吐出処理を高精度に行うことができる。言い換えると、液位制御装置は、配管の圧力変化の周波数と位相情報を基に、圧力変化を打ち消すよう、周波数と当該位相情報と逆位相で液位制御装置を制御することで、試料の飛散を抑制することができる。
【0033】
図8は、本発明における電磁アクチュエータを用いた場合の液位制御装置40の一例である。図8の液位制御装置40の例では、配管内の流体にダイヤフラム801が接するように接続し、コイル802へ通電をしていないときには、プランジャ804がばね803によって引き上げられるため、ダイヤフラム801は配管内の流体を引き込むように作用する。コイル802への通電を行うと、プランジャ804は押し下げられて、ダイヤフラム801は配管内に引き込んだ流体を押し戻すように駆動する。前述の液位制御装置40と同様に、プローブからの試料の飛び出しが問題となる吸引動作から吐出動作まで、コイル802への通電を切り流体を引き込むことで、プローブ内の試料の液面位置を上昇させ、吐出前にコイル802に通電することで、試料の液面位置を元に戻すことができる。
【0034】
電磁アクチュエータ、電磁式ブランジャを使った例では、ONとOFFの2値制御となるため、プローブ内の試料の液面を所望の位置とするには、予めプランジャ804やダイヤフラム801などの機構を設計する必要がある。
【0035】
図7や図8のように、液面を制御する方法では、制御する液量が少ない方が液面の操作を行ったときに発生する液振動が小さくなるため、前述のように求めた飛び出し量と同等程度の量を操作できるようにすることが望ましい。また、急な液の引き込み操作は、圧力の急激な変化を発生させて振動するため、図7のようなアクチュエータを使って液面を操作する場合には、駆動速度に台形波形やS字波形を用いて、流体の振動を抑えた操作を行うことが望ましい。
【実施例2】
【0036】
図9は、本発明における圧力変化を抑制する蓄圧器の一例を示す図である。図9はアキュームレータで、ガス容器901と容器902とからなり、配管内の圧力変化をガス容器901が吸収し、流体の振動を抑制するものである。液位制御装置40の代わりに、アキュームレータのような、配管内の流体の圧力変化が生じたときに内部の気体の体積が変化することで、圧力変化を吸収する蓄圧器を追加することで、プローブ内の流体に慣性力が働いたとき、ガス容器901がショックアブソーバと同様の働きをし、プローブ内の試料が飛び出すことを防ぐことができる。
【0037】
図7から図9のいずれかのような働きをする機構を、分注装置10とシリンジポンプ32の間の配管に追加することで、プローブからの試料の飛び出しを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 分注装置
11 プローブ
21 サンプルディスク
22 反応ディスク
31 圧力センサ
32 シリンジポンプ
33 電磁弁
34 ギアポンプ
35 タンク
40 液位制御装置
41 加速度センサ
300 分注装置制御部
301 分注シーケンス処理部
302 分注動作制御部
303 モータ制御部
304 シリンジ制御部
305 圧力検出入力部
306 分注シーケンスデータ
307 分注動作パラメータ
310 上位通信処理部
320 上位計算機
330 モータ駆動部
401 液位操作部
402 圧力測定部
403 配管内圧力データ
601 吸引位置へ回転
602 空気吸引
603 吸引位置へ下降
604 吸引動作
605、610 回転位置へ上昇
606 液位操作
607 吐出位置へ回転動作
608 吐出位置へ下降
609 吐出動作
611 プローブ洗浄処理
701 ピエゾアクチュエータ
702 ピエゾ素子
703、801 ダイヤフラム
802 コイル
803 ばね
804 プランジャ
901 ガス容器
902 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の吸引や吐出を行うプローブと、
前記プローブに接続された配管と、
前記配管に接続され、前記配管内の圧力を変化させるポンプと、
前記配管に配置され、前記配管に充填された流体の液位を制御する液位制御装置と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
請求項1記載の分注装置において、
さらに、前記液位制御装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記プローブにより試料を吸引した後に前記配管に充填された流体の液位を上昇させ、その後、試料の吐出を行い前に上昇させた流体の液位を下降するように前記液位制御装置を制御することを特徴とする分注装置。
【請求項3】
請求項2記載の分注装置において、
さらに、前記プローブを先端に備えた、上下動作を行うアームを備え、
前記制御装置は、前記アームの上昇動作が停止する前に、前記流体の液位を上昇させるよう前記液位制御装置を制御することを特徴とする分注装置。
【請求項4】
請求項1記載の分注装置において、
前記液位制御装置は、ピエゾアクチュエータと、前記ピエゾアクチュエータにより駆動されるダイヤフラムを有することを特徴とする分注装置。
【請求項5】
請求項1記載の分注装置において、
前記液位制御装置は、電磁式ブランジャと、前記電磁式ブランジャにより駆動されるダイヤフラムを有することを特徴とする分注装置。
【請求項6】
請求項1記載の分注装置において、
前記制御装置は、前記配管の圧力変化の周波数と位相情報を基に、前記圧力変化を打ち消すよう、前記周波数と前記位相情報と逆位相で前記液位制御装置を制御することを特徴とする分注装置。
【請求項7】
試料の吸引や吐出を行うプローブと、
前記プローブに接続された配管と、
前記配管に接続され、前記配管内の圧力を変化させるポンプと、
前記配管に配置され、前記配管に充填された流体の圧力変化が生じたときに内部の気体の体積が変化する蓄圧器と、
を備えることを特徴とする分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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