説明

分流器

【課題】 流体の気液分離状態の均一化を図ることができる分流器を提供することである。
【解決手段】 分流器200は、入口側配管1と出口側配管11,12,13との間に環状路50を備えている。この構成によれば、入口側配管1から環状路50へ流入した流体は、環状路50内において循環する。したがって、環状路50内で流体の気液分離状態が均一化される。その結果、環状路50から複数の出口側配管11,12,13へ流出される流体の気液分離状態がほぼ同一になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口側配管から複数の出口側配管へ流体を流す分流器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、入口側配管から流入した流体が複数の出口側配管から流出される分流器が用いられている。分流器は、たとえば、1つの室外熱交換器から流れ込む流体を複数の室内熱交換器に分配するマルチタイプエアコンにおいて用いられている。分流器においては、図10に示すように、入口側配管1に接続された流体溜り部500を経て仕切弁111、112、113のそれぞれを介して出口側配管11、12、13に冷媒が流れ込んでいる。
【特許文献1】実公昭58−10942号
【特許文献2】実公昭59−18277号
【特許文献3】実開昭63−22568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の分流器においては、液溜り部50は、入口側配管1よりは径が大きいが、入口側配管1に連続して接続された一直線状に延びる円筒状部である。したがって、液溜り部50内において発生する偏流によって流体の気液分離状態に偏りが生じ、複数の出口側配管11、12、13のいずれかへ流れ込む流体には、気体が多く混ざっているという不具合が生じる場合もある。
【0004】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、流体の気液分離状態の均一化が図られた分流器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分流器は、入口側配管と、入口側配管に接続された環状路と、環状路に接続された複数の出口側配管とを備えている。これによれば、複数の出口側配管のそれぞれに流れ込む流体の気液分離状態を均一化させることができる。
【0006】
また、環状路に逆止弁が設けられていれば、環状路内での流体の流れが安定するため、複数の出口側配管のそれぞれに流れ込む流体の気液分離状態をより均一化させることができる。
【0007】
また、環状路がその一部に他の部分よりも流路断面が小さい部分を有すれば、その部分での流体の流速が大きくなるため、流体の均一化がより確実に図られる。
【0008】
また、環状路がほぼ円形であり、入口側配管と複数の出口側配管とが円周上に均等に配置されていてもよい。
【0009】
また、入口側配管と環状路とは三方継手によって接続されていれば、環状路へ流れ込む流体の流れが一方向に固定され易いため、複数の出口側配管のそれぞれに流れ込む流体の気液分離状態をより均一化させることができる。また、入口側配管と環状路とは分岐継手によって接続されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を参照しながら、本発明の実施の形態の分流器を説明する。
実施の形態の分流器200は、三方継手10と、三方継手10の3つの接続部のうちの一つに接続された入口側配管1と、両端が三方継手10の他の2つの接続部に接続された環状路50と、環状路50に仕切弁111、112、113を介して接続された出口側配管11、12、13とを備えている。
【0011】
上記の分流器200には、入口側配管1内を流れている流体が流入する。環状路50内では、流体が循環する。このとき、流体は攪拌されるため、たとえば、流体が空気調和機に使用されるフロンのような冷媒であれば、冷媒の気液分離状態が均一化される。したがって、出口側配管11、12、13を流れる冷媒の気液分離状態がほぼ同一になる。その結果、前述の分流器200が、複数の室内熱交換器と1つの室外熱交換器とが分流器を介して接続されているような、いわゆるマルチタイプエアコンに用いられる場合には、複数の室内熱交換器を流れる冷媒の気液分離状態がほぼ同一になる。また、通常のセパレートタイプエアコンにおいて、室内機(室内熱交換器を含む)内で冷媒を複数のパスに分流させる場合に前述の分流器を用いても、同様に、複数のパスにおける冷媒の気液分離状態をほぼ同一にすることができる。したがって、複数の室内熱交換器の冷房能力をほぼ同一にすることができる。また、入口側配管1から環状路50内へ大きな流速で流体が流れ込んでも、環状路50から出口側配管11、12、13へ流れ出す流体の速度はそれほど大きくない。つまり、流体速度が環状路50内で低減される。流体速度が分流器の分配性能へ与える悪影響を低減することが可能になる。
【0012】
また、図1に示すように、環状路50には、逆止弁60が設けられている。そのため、環状路50内の流体は常に一方向において循環する。したがって、環状路50内での流体の逆流に起因する淀み部の発生がないため、流体の気液分離状態の均一性がより向上する。但し、図2に示す環状路50に逆止弁が設けられていない分流器200であっても、入口側配管1から環状路50に流れ込む流体の経路が一直線状でれば、環状路50内を流体がスムーズに循環し易いため、図1に示す分流器200と同様の効果を得ることが可能となる。したがって、環状路50と入口側配管1との接続には、図1に示すようなT型の三方継手(いわゆるチーズ)10が用いられることが望ましい。
【0013】
また、図3に示すように、分流器200は、その一部に他の部分より管径が小さな部分を含んでいてもよい。たとえば、管径が相対的に大きな部分50aと管径が相対的に小さな部分50cとを備えていてもよい。管径が大きな部分50aと管径が小さな部分50cとは、円錐状の接続部50bおよび50dによって接続されている。このように、環状路10において管径が相対的に小さな部分があれば、管径が小さな部分において流体の速度が大きくなるため、循環路50内での流体の循環がより一層スムーズに行なわれる。その結果、流体の気液分離特性がより一層向上する。
【0014】
また、図4に示すように、環状路50は、平面的に見てほぼ円形をしており、その円形の環状路50に、入口側配管1、出口側配管11、12、13が互いに均等な間隔を隔てて配置されていてもよい。また、図5に示すように、入口側配管1と環状路50とが分岐継手(Y型継手)20によって接続されていてもよい。
【0015】
さらに、図6および図7に示すように、入口側配管1と出口側配管11、12、13とが互いに垂直な方向に延びる分流器において、環状路50が用いられても、前述の効果と同様の効果得ることができる。また、図8および図9に示すように、入口側配管1と出口側配管11、12、13とが互いに平行に延びるような分流器において、環状路50が用いられても、前述の効果と同様の効果得ることができる。
【0016】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態の第1の分流器の平面図である。
【図2】実施の形態の第2の分流器の平面図である。
【図3】実施の形態の第3の分流器の平面図である。
【図4】実施の形態の第4の分流器の平面図である。
【図5】実施の形態の第5の分流器の平面図である。
【図6】実施の形態の第6の分流器の斜視図である。
【図7】実施の形態の第6の分流器の側面図である。
【図8】実施の形態の第7の分流器の斜視図である。
【図9】実施の形態の第7の分流器の側面図である。
【図10】従来の分流器を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 入口側配管、10 三方継手、20 分岐継手、50 環状路、11,12,13 出口側配管、111,112,113 仕切弁、200 分流器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口側配管と、
前記入口側配管に接続された環状路と、
前記環状路に接続された複数の出口側配管とを備えた、分流器。
【請求項2】
前記環状路には逆止弁が設けられた、請求項1に記載の分流器。
【請求項3】
前記環状路は、その一部に他の部分よりも流路断面が小さい部分を有する、請求項1に記載の分流器。
【請求項4】
前記環状路は、ほぼ円形であり、
前記入口側配管と前記複数の出口側配管とが前記円周上に均等に配置された、請求項1に記載の分流器。
【請求項5】
前記入口側配管と前記環状路とは三方継手によって接続された、請求項1に記載の分流器。
【請求項6】
前記入口側配管と前記環状路とが分岐継手によって接続された、請求項1に記載の分流器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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