説明

分配装置と集合装置

【課題】分離管に流体を分配させる流体分配装置と、分離管から流体を集合させる流体集合装置と、これら装置の使用方法を提供する。
【解決手段】
本発明に関する分配装置17と集合装置18の双方又はいずれかは、固定された又は流動化されたベッドリアクター又は分離管19、例えば、クロマトグラフィー分離用の分離管、イオン交換用の分離管、吸着用の分離管等に用いることができる。分配装置17は、a)第一流体移送システム1と、b)分配用プレート3を含み、該プレート3は、i)移送点2から送られる流体の流れを複数の部分的な流体の流れに分けて、これら部分的な流体の流れを分離管19内に分配させる流体移送用の第一手段4、5、5a、5bと、ii)流体移送用の第一手段4、5、5a、5b内の差圧により、部分的な流体の流れを制御する第一手段6を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を分離管内に分配させる流体分配装置に関する。また、本発明は、流体を分離管から集める流体集合装置にも関する。また、本発明は、本発明に関する装置の使用方法にも関する。
【0002】
本発明に関する分配装置及び/又は集合装置は、固定された又は流動化されたベッドリアクター又は分離管、例えば、クロマトグラフィー分離用の分離管(chromatographic separation column)、イオン交換用の分離管(ion exchange column)、吸着用の分離管(adsorption column)等に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
分配装置に関する一般的な問題として、分離管の直径と比べて比較的小さな直径を有するパイプを通って、分配される流体が分離管まで導入されることがある。この流体は、時間遅れ(time delay)と時間送れ分配(time delay distribution)を最小にして、分離管の全断面領域にわたって等しく分配されなければならない。同様に、集合装置では、時間遅れと時間送れ分配を最小にして、等しく分離管から流体を集合させ、さらに流体をパイプまで送らなければならない。このことは、分離管の断面領域が大きく、及び/又は特に分離管の長さが短い場合に、特に重要となり、また達成することが困難になる。また、分配装置と集合装置の双方とも流体前方の混合容量(mixing volume of the fluid fronts)を最小にする必要がある。このことは、例えばクロマトグラフィー分離管の操作では、例えば供給物(feed)と溶離物(eluent)の間の濃度勾配は、区別されたままでなければならないことを意味し、またこのことは、必要とされる場合には、分離プロファイルを次の分離管内に供給することを可能にする。混合容量を最小にするためには、材料を詰めた分離管に対して近くで装置を接続させる必要がある。同時に、装置は、材料を詰めた分離管が分配又は集合装置に対して詰まることを防ぐ必要がある。また、分配及び/又は集合装置が材料を詰めた分離管から完全に外側に設けられる場合には、これらは、材料ベッドを詰めた分離管用に幾何学的に理想的な形状を有することが可能になる。また、これら分配及び集合装置は、低めの圧力損失(圧力降下)を有する必要がある。
【0004】
特許文献1には、クロマトグラフィーに用いるのに適する、流体分離用の装置と、流体分配用の方法が開示されている。この流体分離用の装置は分配用プレートを含み、このプレートの一方の側に循環用のチャネルを備え、また、プレートの他方の側に孔を等しく分配させて備えている。循環用のチャネルは、実質的に均一な長さと、同様の幾何学的なフロー抵抗を有している。またこの開示例では、チャネルは循環用のT状結合部を備えることが示されている。しかしながら、この実施例には幾つかの短所があった。即ち、この特許文献1に開示された発明の実施形態の一つは、断面が四角形状である分離管に対してのみ実施可能となっている。またこの特許文献1には、円形状の断面を有する分離管用の解決策についても開示されている。円形状の分離管の場合、分離用の装置は分配用の開口部を含むが、これらは同心状の円の周囲によって定められる領域内に配置されている。しかしながら、この円形状の断面を有する分離管の実施では、0.3mよりも実質的に大きな直径を有する分離管に使用されるように、寸法を拡大することが非常に困難であった。
【0005】
特許文献2には、ピークとトラフを相互に設けた底部を有する濾過用の分離管が開示されている。このトラフ内には、下部に小さな孔を均一に分散させた分岐パイプが設けられており、また、これらパイプをスクリーン又はウェッジパイプによって囲んでいる。分岐パイプは集合用パイプまで導かれ、次にこの集合用パイプは出口まで導かれている。しかし、この種の構成は、材料を詰めた分離管の膨張と縮小によって、機械的及び構造的な問題をこうむりやすい傾向がある。この種の構成に関する問題の一つとして、装置は、流入する流体前方できつい混合を行うため、このことにより分離用の媒体が十分に機能できなくなることがあった。この流体前方でのきつい混合は、材料を詰めた分離管内に装置を設けることにより生じている。
【0006】
特許文献3には、正常所在で科学的に無菌な状態で用いられるのに適する液体クロマトグラフィー分離管が開示されている。この分離管には、オリフィスの全体にわたって流体分配用チャネルを通って案内される流体を分配させるための分配器が含まれている。好ましくは、この分配器は金属製プレートであって、複数の層状に焼結された金属フィルターで、有孔性のプレートであり、樹脂粒子の下方グレイン直径よりも小さな直径を有する孔を設けたものか、又は、金属製リング上に溶着され、組立てられた及び/又は焼結されたステンレススチールの単層状の形態のいずれかである。
【0007】
特許文献4には、クロマトグラフィー分離管が開示されているが、分離管を定めるエンドプレートの一つ又は複数には特別に構成された平坦部と溝部が備えられており、流入する液体を分離管の断面領域にわたって分配させている。この分配用プレートは、プレートの中心から縁部に向って深さを減少させるようにラジアル方向に向う流路を含んでいる。
【0008】
特許文献5に開示されている流体分配器は、有孔性の材料のディスクと、分配用プレートから構成される分離器を含み、分配用プレートの表面上に、管によって、供給/分配用ラインと接続される環状のチャネルを含んでいる。これらチャネルはプレートを貫通する孔によって接続されるが、この孔には圧力損失がある。この圧力損失は、チャネルの面積に対して反比例している。また、特許文献5には、樹脂製のベッドと分配用プレートの間に有孔性のプレートを用いて、樹脂がチャネル内に入ることを防ぐことについても開示されている。
【0009】
特許文献6には、均一な流体分配器を備えた流体移送システムが開示されている。この分配器内には、ステップ−ダウンノズルが循環流用のチャネルとともに用いられている。このステップ−ダウンノズルは、中央の壁部の周りの同心状のリング内に並んで設けられている。
【0010】
特許文献7には、容量と熱を伝える分離管に用いる液体の重量分配(gravimetric distribution)用の装置が開示されている。この装置には、パイプアウトレットを備えたコンテイナーと、マニホールドの形態の複数の独立した分配器と、独立した分配器に向う液体の部分的な流れを計測するため、コンテイナーと独立した分配器の間に計測装置が含まれている。この特許文献7では、分離管の断面は6つの区間に分けられ、六角形状の中心部を有することが示されている。
【0011】
非特許文献1には、流体分配用のフラクタル構造が開示されている。フラクタルは、この場合、実質的に同様なように、チャネル内に流れの分配を行う循環的な型を意味する。但し、必要とされるパフォーマンスの度合いを達成するためには、工学フラクタルに大量の型を使用しなければならず、このため、システムが非常に複雑で高価なものにされていた。
【0012】
上述した先行技術の解決策に関する問題として、分離管の全断面領域に対して液体を分配することが不十分か、又は、分離管の全断面領域から液体を集めることが不十分か、又は、特に大きな分離管が用いられる時、分配及び/又は集合装置の構造を複雑で高価なものにしていた。液体を分配させたり集合させることが不十分なことは、例えば、クロマトグラフィー分離管の操作では、流体前方を混合させ、時間遅れと時間遅れ分配を増大させる結果となっていた。ここで、流体前方は、移動段階での異なる成分の間の濃度勾配を意味し、例えば、供給物と溶離物の間の濃度勾配を意味する。また、分配及び/又は集合装置の時間遅れは、流体のフローレートにより分けられる装置の容量である。また、時間遅れ分配は、分配/集合時間のひろがりである。また、最小の時間遅れ分配は、分離管に導入される流体が分配装置の各点から特に同時に分配されることを意味し、又は、分離管から流出される流体が集合装置の各点から特に同時に集められることを意味する。しかし、先行技術の解決策の多くでは、流体前方で大量に容量を混合させていた。この流体前方の混合は、分離管内で希釈させる結果となっていた。このことは、さらに、材料を詰めた分離管の効率を劣化させる結果となり、このため、所望の成分を分離させることが不適切となり、又は、材料を詰めた分離管をより大量に必要とすることになっていた。そして、このように分離管内に希釈が生じると、操作コストが増大していた。
【特許文献1】米国特許第4,537,217号公報
【特許文献2】米国特許第4,604,199号公報
【特許文献3】米国特許第5,423,982号公報
【特許文献4】米国特許第5,324,426号公報
【特許文献5】米国特許第5,141,635号公報
【特許文献6】米国特許第5,354,460号公報
【特許文献7】米国特許第4,565,216号公報
【非特許文献1】コハージン・アンド・カーニー(ザッカリンダストリー 126(2001)no.1,51−54)(Kochergin and Kearney (Zuckerindustrie 126 (2001) no.1, 51-54))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、上述した短所を解決させる装置と方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、本明細書に添付した特許請求の範囲の独立請求項に記載の特徴を有する装置を提供する。また、従属請求項には、本発明に関する好適な実施形態が記載されている。
【0015】
本発明は、時間遅れを最小にし、時間遅れ分配を最小にし、流体前方の混合容量を最小にするように、流体を分離管、例えばクロマトグラフィー分離管に対して分配させたり、集合させる概念に基く。
【0016】
本発明に関する流体分配装置は、以下のものを含む。即ち、
a)流体の流れを移送点まで送る、第一流体移送システムと、
b)分配用プレートを含むが、このプレートは、以下のものを含む。即ち、
i)移送/分配点から送られる流体の流れを複数の部分的な流体の流れに分けて、さらに部分的な流体の流れを分離管の断面領域を通るように分配させるのに適する、流体移送用の第一手段と、
ii)流体移送用の第一手段内の差圧により部分的な流体の流れを部分的な区間に送ることを制御するための第一手段を含む。
【0017】
本発明に関する流体集合装置は、以下のものを含む。即ち、
a)以下のものを含む集合用プレート、即ち、
i)分離管の複数の部分的な流体の流れを集めて、流体の流れを集合/受取点まで送るのに適する、流体移送用の第二手段と、
ii)流体移送用の第二手段内の差圧により部分的な流体の流れの圧力を制御するための第二手段を含む集合用プレートと、
b)集合/受取点から流体の流れを移送/集合させる、第二流体移送システムを含む。
【0018】
本発明に関する分配装置は、時間遅れを最小にし、時間遅れ分配を最小にし、かつ流体前方の混合を最小にして、等しく分離管内に流体を分配させることに関する課題を解決する。
【0019】
本発明に関する分配装置は、流体移送用の手段、特に分配用のチャネルを含み、ここから流体を分離管に分配できるようにする。流体は、分配用チャネルの全長から、又は分配用チャネルの一部から、等しく分離管まで分配されることができる。このことは、流体の流れをプレート内の部分的な区間まで送ることを制御するための手段により達成される。流体の流れを制御するための手段は差圧を提供し、これにより流体の流れが等しく分配されるようにする。
【0020】
流体の流れを制御するための手段は、ノズル又は開口部でもよい。ノズル又は開口部は、流体移送用ポートと分配用チャネルの間、流体移送用ポートと接続用チャネルの間、又は接続用チャネルと分配用チャネルの間に設けることができる。
【0021】
流体の流れを制御するための手段は、あるいは、開口部を備えたディスクでもよい。開口部を備えたディスクは、分配用チャネルの後方に設けることができる。
【0022】
また、流体を等しく分配させることは、流体移送用の手段内で流体の流れの量が減少するにつれて、流体移送用の手段の断面領域が減少するように、流体移送用の手段を構成することで達成してもよい。
【0023】
本発明に関する集合装置は、時間遅れを最小にし、時間遅れ分配を最小にし、かつ流体前方の混合を最小にして、等しく分離管から流体を集合させることに関する課題を解決する。
【0024】
本発明に関する集合装置は、流体移送用の手段、特に集合用のチャネルを含み、これに対して流体を分離管から集合させる。流体は、集合用チャネルの全長から、又は集合用チャネルの一部から等しく分離管から集められることができる。このことは、プレート内の部分的な区間から流体の流れを送るように制御するための手段により達成することができる。流体の流れを制御するための手段は差圧を提供し、これにより流体の流れを等しく集めるようにする。
【0025】
流体の流れを制御するための手段は、ノズル又は開口部でもよい。ノズル又は開口部は、流体移送用ポートと集合用チャネルの間、流体移送用ポートと接続用チャネルの間、又は接続用チャネルと集合用チャネルの間に設けることができる。
【0026】
流体の流れを制御するための手段は、あるいは、開口部を備えたディスクでもよい。開口部を備えたディスクは、集合用チャネルの前方に設けることができる。また、流体を等しく集めることは、流体移送用の手段内で流体の流れの量が増大するにつれて、流体移送用の手段の断面領域が増大するように、流体移送用の手段を構成することで達成してもよい。
【0027】
本発明に関する長所として、時間遅れを最小にし、時間遅れ分配を最小にし、かつ、流体前方の混合を最小にして、分離管、例えば、クロマトグラフィー分離管の全断面領域を等しく横切るように、流体を分配させたり、集合させる。また、分離管の断面にわたる乱れを最小にして、流体を分配及び/又は集合させる。分離操作における流体の分配及び/又は集合時に、時間遅れをなくし、時間遅れ分配を最小にさせることで、所望の分割での区別を向上させる。本発明に関する他の特徴として、分離管、例えば、クロマトグラフィー分離管内で、本発明に関する分配及び/又は集合装置を使用する時、流体前方の混合容量を最小にすることができる。流体前方の混合容量を最小にすることで、材料を詰めた分離管をより良好に使用することができる。このことは、材料を詰めた分離管の量をより少なくして、所望の製品を良好に区別できることを意味する。さらに、これらにより、低コスト化を達成することができる。
【0028】
本発明に関するさらなる長所として、分配及び/又は集合装置から材料を詰めた分離管を離すように保って、材料を詰めた分離管が分配及び/又は集合装置をつまらせないようにする。また、本発明に関する分配装置及び/又は集合装置の他の長所として、圧力損失を低くして操作することができる。また、本発明に関する長所の一つとして、分配及び/又は集合装置の使用により、希釈を少なくさせて、これら装置のいずれか又は双方を用いるプラントの操作を向上させる。この結果、例えば、より低い濃度が求められることで、エネルギー消費を小さく済ませることができる。また、本発明に関する装置は容易に洗浄することができ、これらを分離管に対して容易に組付けたり、組付けを解除することができる。また、本発明に関する長所の一つとして、特に、大きな断面領域と短めのベッドの長さを有する分離管において有用となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、添付した図を参照して詳細に説明する。
本発明に係る流体分配装置は、以下のものを含む。即ち、
a)流体を移送点2まで送る、第一流体移送システム1と、
b)分配用プレート3を含むが、このプレート3は、以下のものを含む。即ち、
i)移送点2から送られる流体の流れを複数の部分的な流体の流れに分けて、さらに部分的な流体の流れを分配させるのに適する、流体移送用の第一手段4、5、5a、5bと、
ii)差圧により部分的な流体の流れを第一の部分的な区間に送ることを制御するための第一手段6を備える。
【0030】
第一流体移送システム1は、図2に示すように、複数のパイプを用いて構成することができる。また、これは、マスタープレートを用いて構成することもできる。マスタープレートは、流体移送用のチャネルを備えるが、又はマスタープレートは、プレート内に埋め込まれるパイプを用いて構成されていてもよい。効果的には、マスタープレートは、分離管の頂部のプレート3aと分配用プレート3の間で分離管内に置かれていてもよい。
【0031】
流体移送用の第一手段は、例えば、第一流体移送用ポート4又は第一チャネル5、5a、5bでもよい。第一流体移送用ポートは例えばチャネルでもよく、又はこれらは円形又は扁長の形状を有していてもよい。チャネルは、接続用チャネル5a又は分配用チャネル5、5bでもよい。
【0032】
本発明に関する実施形態の一つでは、分配用プレートは、第一流体移送用ポート4と分配用チャネル5を含む。本発明に関する他の実施形態では、分配用プレートは、第一流体移送用ポート4と、第一流体移送用ポート4を分配用チャネル5bと接続させる第一接続用チャネル5aを含む。第一流体移送用ポートの形状は変えられていてもよく、例えば、円形又は扁長の形状を有していてもよい。
【0033】
分配用プレート3は、複数の第一の区間に分けられるが、これらには第一中央部7と複数の第一区間(セクター)8が含まれる。第一中央部7は、一般に多角形の形状を有し、好ましくは、正多角形の形状を有する。第一中央部は、例えば、四角形、五角形、六角形や八角形、さらにはより高次の多角形でもよい。また、第一中央部は、円形状でもよい。好ましくは、第一中央部は、八角形の形状を有する。但し、第一中央部を備えずに分配用プレートを構成することは可能である。第一区間8は、第一中央部7の周りの一つ又は複数のリングでもよい。通常、第一区間は、第一中央部の周りで一つのリングを形成するが、分離管の直径が比較的に大きい場合(例えば、1mよりも大きい場合)には、第一区間は、第一中央部の周りで二つ又は複数のリングでもよい。第一中央部7の次のリング内の第一区間8の数は、効果的には、第一中央部の側部の数に対応する。例えば、第一中央部が八角形の形状を有する場合には、第一中央部の次のリング内の第一区間の数は8である。外側のリング内の第一区間の数は、例えば、この次の、内側のリング内の第一区間の数の2倍である。このことは、第一中央部が八角形の形状を有し、第一中央部の次のリング内の第一区間の数が8の場合には、第一リングの次のリング内の第一区間の数は14から16であることを意味する。効果的には、第一中央部の面積は各第一区間の面積とほぼ等しく、又は効果的には、第一中央部の面積は第一区間の面積のほぼ2倍である。
【0034】
本発明の実施形態に係る分配用装置にはサポートプレートを用いてもよい。また、区間又は分配用プレートをサポートプレートに取付けてもよい。
【0035】
本発明に係る実施形態の一つでは、分配用プレート3上の流体移送用の第一手段は第一流体移送用ポート4を含み、ここから部分的な流体の流れを制御するための第一手段6を通って分配用チャネル5まで流体を流す。部分的な流体の流れを制御するための第一手段6の寸法は、第一手段を通って流れる流体の量が、対応する分配用チャネルによって供給される分配用の領域と比例するように定められる。第一流体移送用ポート4は、分配用チャネル5と垂直でもよく、また、好ましくは、移送点2は、第一流体移送用ポート4のほぼ中央に位置する。効果的には、部分的な流体の流れを制御するための第一手段の圧力損失は、分配用プレートの他の部分で生じる圧力損失と比べて大きい。
【0036】
第一流体移送用ポート4と分配用チャネル5は分配用プレートの同一側に設けられていてもよいが、一般には、分配用プレート3はこの外側に第一流体移送用ポート4を含み、またこの内側に分配用チャネル5を含む。分配用プレートの外側は、この明細書では、分離管内で、材料、例えば、クロマトグラフィー樹脂を詰めた分離管の外側に面する分配用プレートの側を意味する。また、分配用プレートの内側は、この明細書では、分離管内で、材料を詰めた分離管の内側に面する分配用プレートの側を意味する。また、第一流体移送用ポートと分配用チャネルは、パイプを用いて構成されていてもよい。
【0037】
本発明に係る他の実施形態では、分配用プレート3上の流体移送用の第一手段は、第一流体移送用ポート4を含み、ここから部分的な流体の流れを制御するための第一手段6を通って、第一接続用チャネル5aまで流体を送る。第一接続用チャネル5aは、第一流体移送用ポート4と分配用チャネル5bを接続する。分配用チャネル5bから、分離管の断面領域にわたって流体が分配される。また、第一接続用チャネル5aと分配用チャネル5bは、パイプを用いて構成されていてもよい。また、部分的な流体の流れを制御するための第一手段6は、第一接続用チャネル5aと分配用チャネル5bの間に置かれていてもよい。部分的な流体の流れを制御するための第一手段6の寸法は、部分的な流体の流れを制御するための第一手段を通って流れる流体の量が、対応する分配用チャネルによって供給される分配領域と比例するように定められる。
【0038】
第一流体移送用ポート4及び/又は接続用5aと分配用5bのチャネルは、分配用プレートの同一側に置かれていてもよいが、一般には、分配用プレート3は、この外側に第一流体移送用ポート4と接続用チャネル5aを設け、かつこの内側に分配用チャネル5bを設ける。分配用プレートの外側は、この明細書では、分離管内で、材料、例えば、クロマトグラフィー樹脂ベッドを詰めた分離管の外側に面する分配用プレートの側を意味する。また、分配用プレートの内側は、この明細書では、分離管内で、材料を詰めた分離管に面する側を意味する。また、第一流体移送用ポート4と分配用チャネル5bは、パイプを用いて構成されていてもよい。
【0039】
部分的な流体の流れを制御するための第一手段6は、ノズル及び/又は開口部を含む。また、分配用プレートは、ノズルを備えないが、開口部を備えるように構成することは可能であり、例えば、開口部を備えたディスクのようにする。
【0040】
チャネル間の距離は、好適には、一定である。分配用プレートは分配用チャネルを含むが、単位面積毎で分配用チャネルの長さが分配用プレートにわたって効果的には基本的に一定になるようにする。
【0041】
このように分配用チャネルを構成することで、分離管の断面領域にわたって流体を等しく分配することができる。また、このように分配用チャネルの寸法を定めることで、線形のフローレートを等しいままにして、基本的には一定にし、例えば、水−糖−溶液の場合には、チャネル内で、線形のフローレートを0.2−4m/sの間にする。第一流体移送用ポート内で線形な流れを一定に保つためには、好ましくは、第一流体移送用ポート4の断面領域が、移送点2から第一流体移送用ポートの端部に向かって徐々に減少するようにする。また、分配用チャネル内で線形な流れを一定に保つためには、分配用チャネル5の断面領域が、部分的な流体の流れを制御する第一手段6から、例えば、ノズル又は開口部から、分配用チャネルの端部に向って、徐々に減少するようにする。分配用チャネル5の寸法は、材料を詰めた分離管に向って、分配用チャネルに沿って、単位領域毎で流体の量が等しく分配されるように定められる。チャネルを通る流体の容積(volumetric)フローレートは、チャネルを離れる流体のため減少する。このチャネルの構成は、時間遅れ、時間遅れ分配、及び、分離管に向って分配される流体前方の混合容量を最小にする。好ましくは、単位領域に対するチャネルの長さの和の関係は、分配用プレートをわたって基本的に一定である。
【0042】
分配用プレートは、適当な金属又はプラスチックから用意できるが、例えば、ステンレススチールや、ポリスルホン(polysulfone)を用いてもよい。また、プレートに含まれるチャネルは、例えば、曲げられたり、エッチングされたり、鋸状にされたり、又は、プレートの表面内で成形されていてもよい。
【0043】
また、材料を詰めた分離管を分配用プレートから離すように保つ第一手段を分配装置内に用いてもよい。この手段は、例えば、スクリーンやネットでもよく、また、分配用プレートと材料を詰めた分離管の間に設けられてもよい。スクリーンやネットは、材料を詰めた分離管がここを通って分配用プレートの分配用チャネルまで移動することを防ぎ、また、分配用チャネルをブロックさせる。スクリーンやネットは、ステンレススチールメッシュや金属製の焼結されたプレートの組合せでもよく、また、ダイナポール(Dynapore)(登録商標)やフジプレート(Fujiplate)(登録商標)のようなものの組合せでもよく、また、ジョンソンスクリーンズ(Johnson Screens)やユーロスロット エス.エイ.(Euroslot S.A.)によって販売されている、円錐形ワイヤーによって形成されたスクリーンでもよい。材料を詰めた分離管の前方に置かれたネット又はスクリーンの目的の一つは、余分な運動エネルギーを減少させることにある。また、分配用チャネルの後方で分離管内にさらなるネット又はスクリーンを設けることで、流体の分配を向上することができる。
【0044】
また、本発明は、分離管内に流体を分配させる方法にも関するが、この方法には上述した流体分配装置が用いられ、そして、この方法には次のステップが含まれる。即ち、
a)第一流体移送システム1まで流体を供給し、
b)移送点2まで流体を送り、
c)移送点2から第一流体移送用ポート4まで流体を分配させ、
d)第一流体移送用ポート4から分配用チャネル5、5bまで流体を分配させるが、選択的に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段6を通らせ、また、第一接続用チャネル5aを通らせて、
e)分配用チャネル5、5bから流体を分離管の断面にわたって等しく分配させる、各ステップが含まれる。
【0045】
また、本発明は、集合装置にも関する。本発明に関する集合装置は、上述した分配装置と同様に構成することができ、例えば、クロマトグラフィー分離管内に設けられて、集合用チャネルを含む集合用プレートの側が、分離管内で詰められている材料に面するようにする。
【0046】
本発明に関する集合装置は、以下のものを含む。即ち、
a)以下のものを含む集合用プレート9、即ち、
i)複数の部分的な流体の流れを形成する流体の流れを集めて、流体を集合点10まで送るのに適する、流体移送用の第二手段13、13a、13b、12と、
ii)差圧により部分的な流体の流れを第二の部分的な区間まで流すように制御するための第二手段14と、
b)集合点10から流体を集合させる、第二流体移送システム11を含む。
【0047】
集合用プレート9は、複数の第二の区間に分けられるが、これらは、第二中央部15と複数の第二区間16が含まれる。第二中央部15は、一般に多角形の形状を有し、好ましくは、正多角形の形状を有する。第二中央部は、例えば、四角形、五角形、六角形や八角形、さらにはより高次の多角形でもよい。また、第二中央部は、円形状でもよい。好ましくは、第二中央部は、八角形の形状を有する。また、第二中央部を備えずに集合装置を構成することは可能である。第二区間16は、第二中央部の周りで一つ又は複数のリングでもよい。通常、第二区間は、第二中央部の周りで一つのリングを形成するが、分離管の直径が比較的に大きい場合(例えば、1mよりも大きい場合)には、第二区間は、第二中央部の周りで二つ又は複数のリングでもよい。第二中央部15の次のリング内の第二区間16の数は、効果的には、第二中央部の側部の数に対応する。例えば、第二中央部が八角形の形状を有する場合、第二中央部の次のリング内の第二区間の数は8である。そして、外側のリング内の第二区間の数は、例えば、この次の内側のリング内の第二区間の数の2倍である。このことは、第二中央部が八角形の形状を有し、第二中央部の次のリング内の第二区間の数が8の場合には、第一リングの次のリング内の第二区間の数は14から16であることを意味する。効果的には、第二中央部の面積は各第二区間の面積と等しく、又は効果的には、中央部の面積は第二区間の面積の2倍である。
【0048】
本発明の実施形態に係る集合装置内にはサポートプレートを用いてもよい。また、区間又は集合用プレートをサポートプレートに取付けてもよい。
【0049】
流体移送用の第二手段は、例えば、第二流体移送用ポート12又はチャネル13、13a、13bでもよい。第二流体移送用ポートは、例えばチャネルでもよく、また、これらは円形又は扁長の形状を有していてもよい。チャネルは、接続用チャネル13aや集合用チャネル13、13bでもよい。
【0050】
本発明に関する実施形態の一つでは、集合用プレートは、第二流体移送用ポート12と集合用チャネル13を含む。本発明に関する他の実施形態では、集合用プレートは、第二流体移送用ポート12と、第二流体移送用ポート12を集合用チャネル13bに接続させる第二接続用チャネル13aを含む。また、第二流体移送用ポートの形状は変えられていてもよく、例えば、円形又は扁長の形状を有していてもよい。
【0051】
本発明に係る実施形態の一つでは、集合用プレート9上の流体移送用の第二手段は第二流体移送用ポート12を含み、これに対して、部分的な流体の流れを制御するための第二手段を通るように集合用チャネル13から流体を集める。部分的な流体の流れを制御するための第二手段の寸法は、第二手段を通って流れる流体の量が、対応する集合用チャネルによって供給される集合用の領域と比例するように定められて、基本的に等しい圧力損失を提供させるようにする。第二流体移送用ポート12は、集合用チャネル13と垂直でもよく、また好ましくは、集合点10は、第二流体移送用ポート12のほぼ中央に位置する。効果的には、部分的な流体の流れを制御するための第二手段の圧力損失は、集合用プレートの他の部分で生じる圧力損失と比べて大きい。
【0052】
第二流体移送用ポートと集合用チャネルは集合用プレートの同一側に設けられていてもよいが、一般には、集合用プレート9はこの外側に第二流体移送用ポート12含み、またこの内側に集合用チャネル13を含む。集合用プレートの外側は、この明細書では、分離管内で、材料、例えば、クロマトグラフィー樹脂を詰めた分離管の外側に面する集合用プレートの側を意味する。また、集合用プレートの内側は、この明細書では、分離管内で、材料を詰めた分離管の内側に面する集合用プレートの側を意味する。また、第二流体移送用ポートと集合用チャネルは、パイプを用いて構成されていてもよい。
【0053】
本発明に係る他の実施形態では、集合用プレート9上の流体移送用の第二手段は、第二流体移送用ポート12を含み、これに対し、部分的な流体の流れを制御するための第二手段14を通るように第二接続用チャネル13aから流体を集める。第二接続用チャネルは、第二流体移送用ポートと集合用チャネル13bを接続する。流体は、分離管の断面領域から集合用チャネルに向って集められる。また、第二接続用チャネルと集合用チャネルは、パイプを用いて構成することができる。また、部分的な流体の流れを制御するための第二手段は、第二接続用チャネルと集合用チャネルの間に置かれていてもよい。部分的な流体の流れを制御するための第二手段の寸法は、部分的な流体の流れを制御するための第二手段を通って流れる流体の量が、対応する集合用チャネルによって供給される集合用の領域と直接比例するように定められる。
【0054】
第二流体移送用ポート及び/又は接続用と集合用のチャネルは、集合用プレートの同一側に置かれていてもよいが、一般には、集合用プレート9は、この外側に第二流体移送用ポート12と接続用チャネル13bを設け、かつこの内側に集合用チャネル13を設ける。集合用プレートの外側は、この明細書では、分離管内で、材料、例えば、クロマトグラフィー樹脂ベッドを詰めた分離管の外側に面する側を意味する。また、集合用プレートの内側は、この明細書では、分離管内で、材料を詰めた分離管に面する側を意味する。また、第二流体移送用ポートと集合用チャネルは、パイプを用いて構成されていてもよい。
【0055】
部分的な流体の流れを制御するための第二手段14は、ノズル及び/又は開口部を含む。また、集合用プレートは、ノズルを備えないが、開口部を備えるように構成されていてもよく、例えば、開口部を備えたディスクのようにする。
【0056】
チャネル間の距離は、好適には一定である。集合用プレートは、単位領域毎で集合用チャネルの長さが集合用プレートにわたって効果的には一定となるように、集合用チャネルを含む。
【0057】
このように集合用チャネルを構成することで、分離管の断面領域にわたって流体を等しく集合することができる。また、このように集合用チャネルの寸法を定めることで、線形のフローレートを等しいままにして、基本的には一定にし、例えば、水−糖−溶液の場合には、チャネル内で、線形のフローレートを0.2−4m/sの間にする。第二流体移送用ポート内で線形な流れを一定に保つためには、好ましくは、第二流体移送用ポート12の断面領域は、集合点10から第二流体移送用ポートの端部に向かって徐々に減少するようにする。また、集合用チャネル内の流れを一定に保つためには、集合用チャネル13の断面領域を第二流体移送用ポートに向って徐々に増大させるようにする。集合用チャネル13の寸法は、分離管から、集合用チャネルに沿って、流体の量が等しく集められるように定められる。チャネルを通る流体の容積フローレートは、チャネルに入る流体のため、第二流体移送用ポートに向って増大する。このチャネルの構成は、時間遅れ、時間遅れ分配、及び、分離管内の流体前方の混合容量を最小にする。好ましくは、単位領域に対するチャネルの長さの和の関係は、集合用プレートにわたって一定である。
【0058】
集合用プレートは、適当な金属又はプラスチックから用意できるが、例えば、ステンレススチールや、ポリスルホンを用いてもよい。プレートに含まれるチャネルは、例えば、曲げられたり、エッチングされたり、鋸状にされたり、又は、プレートの表面内で成形されていてもよい。
【0059】
第二流体移送システム11は、複数のパイプを用いて構成することができる。また、これは、マスタープレートを用いて構成することもできる。マスタープレートは、流体移送用のチャネルを備えるが、又はマスタープレートは、プレート内に埋め込まれるパイプを用いて構成されていてもよい。効果的には、マスタープレートは、分離管の底部プレート9aと集合用プレート9の間で分離管内に置かれていてもよい。
【0060】
また、材料を詰めた分離管を集合用プレートから離すように保つ手段を集合装置内に用いてもよい。この手段は、例えば、スクリーンやネットでもよく、また、集合用プレートと材料を詰めた分離管の間に設けられてもよい。スクリーンやネットは、材料を詰めた分離管がここを通って集合用プレートのチャネルまで移動することを防ぎ、また、集合用チャネルをブロックさせる。スクリーンやネットは、ステンレススチールメッシュや金属製の焼結されたプレートの組合せでもよく、また、Dynapore(登録商標)やFujiplate(登録商標)のようなものの組合せでもよく、また、ジョンソンスクリーンズやユーロスロット エス.エイ.によって販売されている、円錐形ワイヤーによって形成されたスクリーンでもよい。また、集合用チャネルの前方で分離管にさらなるネット又はスクリーンを設けることで、流体の集合を向上することができる。
【0061】
また、本発明は、分離管から流体を集める方法にも関するが、この方法では上述した流体集合装置が用いられ、そして、この方法には次のステップが含まれる。即ち、
a)分離管の断面から集合用チャネル13、13bまで等しく流体を集め、
b)部分的な流体の流れを制御するための第二手段14を通って、集合用チャネル13、13bから第二流体移送用ポート12まで流体を送り、
c)第二流体移送用ポート12から集合点10まで流体を送り、
d)集合点10から第二流体移送システム11まで流体を送る、各ステップが含まれる。
【0062】
また、本発明は、上述した流体分配装置と上述した流体集合装置を含む、分離システム、例えば、クロマトグラフィー分離システムにも関する。
【0063】
また、本発明は、分離方法、例えば、クロマトグラフィー分離方法にも関し、この方法には次のステップが含まれる。
i)上述した流体分配装置を用いた分配段階を含み、この分配段階には次のステップが含まれる。即ち、
a)第一流体移送システム1まで流体を供給し、
b)移送点2まで流体を送り、
c)移送点2から流体移送用の第一手段4まで流体を分配し、
d)流体移送用の第一手段4から分配用チャネル5、5bまで流体を分配させるが、部分的な流体の流れを制御するための第一手段6を通って、また、選択的に第一接続用チャネル5aを通るようにさせ、
e)分離管の断面を通って等しく分配用チャネル5、5bから流体を分配させる、各ステップが含まれ、かつ、
ii)上述した流体集合装置を用いた集合段階を含み、この集合段階には次のステップが含まれる。即ち、
f)分離管の断面から集合用チャネル13、13bまで等しく流体を集め、
g)集合用チャネル13、13bから流体移送用の第二手段12まで流体を送るが、部分的な流体の流れを制御するための第二手段14を通って、また、選択的に第二接続用チャネル13aを通るようにさせ、
h)流体移送用の第二手段12から集合点10まで流体を送り、
j)集合点10から第二流体移送システム11まで流体を送る、各ステップが含まれる。
【0064】
また、本発明は、一つの分離管から次の分離管まで、濃度勾配又は濃度勾配の一部を伝える方法にも関する。この方法には、分離管の底部から本発明に関する集合装置を用いて濃度勾配を集めるステップと、例えばパイプを通るように、次の分離管まで濃度勾配を伝えるステップが含まれる。
【0065】
また、本発明は、本発明に関する集合装置を用いて一つの分離管から濃度勾配を集めて、本発明に関する分配装置を用いて次の分離管まで濃度勾配を分配する方法にも関する。この方法は、分離管の底部から本発明に関する集合装置を用いて濃度勾配を集めるステップと、例えばパイプを通るように、次の分離管まで濃度勾配を伝えて、本発明に関する分配装置を用いて分配させるステップを有する。
【0066】
ここで、本発明の実施形態に関して実施例を示す。
実施例1 クロマトグラフィーテスト
このテスト装置には、分離管(例えば、図7に例示したものを参照)、供給用タンクと溶離用タンク、供給液(feed solution)用ポンプと溶離水(eluent water)用ポンプと双方の供給流用の入口弁とが含まれる。また、この装置には、流出流の流れと濃度を計測するための濃度メーター(マイクロモーション:Micro Motion)と、分離管まで供給及び溶離流を制御するためのフロー制御ユニットが含まれる。また、選択された点で液圧を計測するために分離管内に圧力ゲージを備えるが、選択点には入口の液圧(P1)と供給装置後方の樹脂ベッドの液圧(P2)が含まれる。液圧ゲージP2は、スクリーンネットを用いて樹脂ベッドから区別されている。
【0067】
材料ベッドを詰めた分離管の高さは1.0mであり、また、材料ベッドを詰めた分離管の直径は1.0mである。分離管は、Na+−形態の、強酸性のゲルタイプの陽イオン交換樹脂(ミツビシユービーケイ530:MitsubishiUBK 530)を用いてパックされる。
【0068】
供給用に、10重量パーセントの純粋なショ糖液(sucrose solutions)を用いる。供給及び溶離水は、85℃の温度で用いられる。分離管と分離樹脂は、一定の溶離流で加熱される。そして、第一番目のステップでは、40l/minのフローレートで、分離管内に、40リットルの供給液をポンプさせる。次に、第二番目のステップでは、40l/minのフローレートで、分離管に、500リットルの溶離水をポンプさせる。図12では、テスト分離管から溶離された濃度プロファイルが示されている。
【0069】
図12から、理論的なプレートの数(N)は70pcsを上回り、理論的なプレートの高さ(HETP)は1.5cmを下回ることが計算できる。これら分離管の効率数の計算は次の式に基いて行われる。即ち、
N=16*(Vr/Wi2 (1)
HETP=L/N (2)
この際、
rは、ベッド容量の%としてのピークのリテンションであり、
iは、ベッド容量の%としてのピークの接線の幅であり、
Lは、分離管の長さである。
【0070】
次に示す表1には、40l/minの溶離水の流れを用いたテスト状況での圧力ゲージP1とP2用の圧力ゲージの読み取り値が示されている。
【0071】
表1
P1 P2
圧力、バール 0.91 0.79
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第一流体移送システム1、移送点2及び分配用プレート3を含む分配装置を側方から示す図である。
【図2】第一流体移送システム1、移送点2及び分離管の頂部プレート3aを含む分配装置を上方から示す図である。
【図3】移送点2、第一中央部7、複数の第一区間8、第一流体移送用ポート4、分配用チャネル5及び部分的な流体の流れを制御するための第一手段6を含む分配用プレート3を示す図である。
【図4】分離管の底部プレート9a、集合点10及び第二流体移送システム11を含む集合装置を下方から示す図である。
【図5】集合用プレート9、集合点10及び第二流体移送システム11を含む集合装置を側方から示す図である。
【図6】集合点10、第二中央部15、複数の第二区間16、第二流体移送用ポート12、集合用チャネル13及び部分的な流体の流れを制御するための第二手段14を含む集合用プレート9を示す図である。
【図7】分配装置17、分離用の分離管19及び集合装置18を含む分離システムを示す図である。
【図8】第一中央部7と複数の第一区間8を含む分配用プレート3を示す図であって、複数の第一区間8を二つのリングに分けたものを示す図である。
【図9】第二中央部15と複数の第二区間16を含む集合用プレート9を示す図であって、複数の第二区間16を二つのリングに分けたものを示す図である。
【図10】第一流体移送用ポート4、第一接続用チャネル5a及び分配用チャネル5bを含む分配用プレート3を示す図である。
【図11】第二流体移送用ポート12、第二接続用チャネル13a及び集合用チャネル13bを含む集合用プレート9を示す図である。
【図12】実施例1に従って、テスト分離管から溶離された濃度プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 第一流体移送システム
2 移送点
3 分配用プレート
4 流体移送用の第一手段(第一流体移送用ポート)
5 流体移送用の第一手段(分配用チャネル)
5a 流体移送用の第一手段(第一接続用チャネル)
5b 流体移送用の第一手段(分配用チャネル)
6 部分的な流体の流れを制御するための第一手段
7 区間(第一中央部)
8 区間(第一区間)
9 集合用プレート
10 集合点
11 第二流体移送システム
12 流体移送用の第二手段(第二流体移送用ポート)
13 流体移送用の第二手段(集合用チャネル)
13a 流体移送用の第二手段(第二接続用チャネル)
13b 流体移送用の第二手段(集合用チャネル)
14 部分的な流体の流れを制御するための第二手段
15 区間(第二中央部)
16 区間(第二区間)
17 分配装置
18 集合装置
19 分離管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離管内に流体を分配させるための流体分配装置であって、
a)移送点(2)まで流体の流れを送る第一流体移送システム(1)と、
b)分配用プレート(3)を含み、該プレートは、
i)前記移送点(2)から送られる流体の流れを複数の部分的な流体の流れに分けて、これら部分的な流体の流れを前記分離管内に分配させる流体移送用の第一手段(4、5、5a、5b)と、
ii)前記流体移送用の第一手段(4、5、5a、5b)内の差圧により、前記部分的な流体の流れを制御する第一手段(6)を含むことを特徴とする流体分配装置。
【請求項2】
前記流体移送用の第一手段は、
前記移送点(2)から第一接続用チャネル(5a)まで流体の流れを送る第一流体移送用ポート(4)と、
前記第一流体移送用ポート(4)から分配用チャネル(5b)まで流体の流れを送る第一接続用チャネル(5a)と、
流体の流れを前記分離管内に分配させる分配用チャネル(5b)を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体分配装置。
【請求項3】
前記流体移送用の第一手段は、
前記移送点(2)から分配用チャネル(5)まで流体の流れを送る第一流体移送用ポート(4)と、
流体の流れを前記分離管内に分配させる分配用チャネル(5)を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体分配装置。
【請求項4】
少なくとも一つの前記第一流体移送用ポート(4)は、チャネルであることを特徴とする請求項2又は3に記載の流体分配装置。
【請求項5】
少なくとも一つの前記第一流体移送用ポート(4)は、円形又は扁長の形状を有する空洞部であることを特徴とする請求項2又は3に記載の流体分配装置。
【請求項6】
少なくとも一つの前記第一流体移送用ポート(4)は、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)を通って、分配用チャネル(5)と接続されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項7】
分配用チャネル(5、5b)の上流側に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項8】
分配用チャネル(5、5b)の下流側に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項9】
接続用チャネル(5a)の上流側に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項10】
接続用チャネル(5a)の下流側に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項11】
前記部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)は、前記流体移送用ポート(4)と分配用チャネル(5)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項12】
前記部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)は、前記流体移送用ポート(4)と接続用チャネル(5a)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項13】
前記部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)は、前記接続用チャネル(5a)と分配用チャネル(5b)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項14】
前記部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)は、分配用チャネル(5、5b)の後方に、開口部を備えたディスクを含むことを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項15】
前記分配用プレート(3)は、複数の区間(7、8)に分けられることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項16】
分配用チャネル(5、5b)の長さの少なくとも一部から前記分離管まで流体を分配させることを特徴とする請求項2〜15のいずれかに記載の流体分配装置。
【請求項17】
前記分配用チャネル(5、5b)の断面領域は、前記部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)から前記分配用チャネルの端部に向かって減少することを特徴とする請求項16に記載の流体分配装置。
【請求項18】
分離管から流体を集合させるための流体集合装置であって、
a)以下のものを含む集合用プレート(9)、即ち、
i)前記分離管から複数の部分的な流体の流れを集合点(10)まで集めるための流体移送用の第二手段(13、13a、13b、12)と、
ii)前記流体移送用の第二手段(13、13a、13b、12)内の差圧により、前記部分的な流体の流れの圧力を制御する第二手段(14)を含む集合用プレート(9)と、
b)前記集合点(10)から流体の流れを送るための第二流体移送システム(11)を含むことを特徴とする流体集合装置。
【請求項19】
前記流体移送用の第二手段は、
前記分離管から流体の流れを集める集合用チャネル(13b)と、
前記集合用チャネル(13b)から第二流体移送用ポート(12)まで流体の流れを送る第二接続用チャネル(13a)と、
前記接続用チャネル(13a)から前記集合点(10)まで流体の流れを送る第二流体移送用ポート(12)を含むことを特徴とする請求項18に記載の流体集合装置。
【請求項20】
前記流体移送用の第二手段は、
前記分離管から流体の流れを集めて、第二流体移送用ポート(12)まで流体を送る集合用チャネル(13)と、
前記集合用チャネル(13)から前記集合点(10)まで流体の流れを送る第二流体移送用ポート(12)を含むことを特徴とする請求項18に記載の流体集合装置。
【請求項21】
少なくとも一つの前記第二流体移送用ポート(12)は、チャネルであることを特徴とする請求項19又は20に記載の流体集合装置。
【請求項22】
少なくとも一つの前記第二流体移送用ポート(12)は、円形又は扁長の形状を有する空洞部であることを特徴とする請求項19又は20に記載の流体集合装置。
【請求項23】
少なくとも一つの前記第二流体移送用ポート(12)は、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)を通って、集合用チャネル(13)と接続されることを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項24】
集合用チャネル(13、13b)の上流側に、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項25】
集合用チャネル(13、13b)の下流側に、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項26】
接続用チャネル(13a)の上流側に、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項27】
接続用チャネル(13a)の下流側に、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)が少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項28】
前記部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)は、前記流体移送用ポート(12)と集合用チャネル(13)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項19〜27のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項29】
前記部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)は、前記流体移送用ポート(12)と接続用チャネル(13a)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項19〜28のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項30】
前記部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)は、前記接続用チャネル(13a)と集合用チャネル(13b)の間にノズル又は開口部を備えることを特徴とする請求項19〜28のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項31】
前記部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)は、集合用チャネル(13、13b)の後方に、開口部を備えたディスクを含むことを特徴とする請求項19〜28のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項32】
前記集合用プレート(9)は、複数の区間(15、16)に分けられることを特徴とする請求項18〜31のいずれかに記載の流体集合装置
【請求項33】
集合用チャネル(13、13b)の長さの少なくとも一部から、流体を集めることを特徴とする請求項19〜32のいずれかに記載の流体集合装置。
【請求項34】
前記集合用チャネル(13、13b)の断面領域は、前記集合用チャネルの開始部から前記部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)に向かって増大することを特徴とする請求項33に記載の流体集合装置。
【請求項35】
請求項1〜17のいずれかに記載の流体分配装置と、請求項18〜34のいずれかに記載の流体集合装置を含むことを特徴とする分離システム。
【請求項36】
分離管内に流体を分配するための方法であって、請求項1〜17のいずれかに記載の流体分配装置を用いて、
a)第一流体移送システム(1)まで流体を供給し、
b)移送点(2)まで流体を送り、
c)前記移送点(2)から第一流体移送用ポート(4)まで流体を分配させ、
d)前記第一流体移送用ポート(4)から分配用チャネル(5,5b)まで流体を分配させるが、選択的に、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)を差圧により通らせて、また、第一接続用チャネル(5a)を通らせて、
e)前記分配用チャネル(5,5b)から流体を前記分離管の断面にわたって等しく分配させる、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項37】
分離管から流体を集合するための方法であって、請求項18〜34のいずれかに記載の流体集合装置を用いて、
a)前記分離管の断面から集合用チャネル(13、13b)まで等しく流体を集め、
b)部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)を差圧により通らせて、前記集合用チャネル(13、13b)から第二流体移送用ポート(12)まで流体を送り、
c)前記第二流体移送用ポート(12)から集合点(10)まで流体を送り、
d)前記集合点(10)から第二流体移送システム(11)まで流体を送る、各ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項38】
クロマトグラフィー分離用の方法であって、
i)分配段階を含み、この段階では、請求項1〜17のいずれかに記載の流体分配装置を用いて、次のステップが含まれ、即ち、
a)第一流体移送システム(1)まで流体を供給し、
b)移送点(2)まで流体を送り、
c)前記移送点(2)から流体移送用の第一手段(4)まで流体を分配させ、
d)前記流体移送用の第一手段(4)から分配用チャネル(5,5b)まで流体を分配させるが、部分的な流体の流れを制御するための第一手段(6)を差圧により通らせ、また選択的に、第一接続用チャネル(5a)を通るようにさせ、
e)前記分離管の断面を通って等しく前記分配用チャネル(5,5b)から流体を分配させる、各ステップが含まれ、かつ、
ii)分配段階を含み、この段階では、請求項18〜34のいずれかに記載の流体集合装置を用いて、次のステップが含まれ、即ち、
f)前記分離管の断面から集合用チャネル(13、13b)まで等しく流体を集め、
g)前記集合用チャネル(13、13b)から流体移送用の第二手段(12)まで流体を送るが、部分的な流体の流れを制御するための第二手段(14)を差圧により通らせ、また選択的に、第二接続用チャネル(13a)を通るようにさせ、
h)前記流体移送用の第二手段(12)から集合点(10)まで流体を送り、
j)前記集合点(10)から第二流体移送システム(11)まで流体を送る、各ステップが含まれることを特徴とする方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−512195(P2006−512195A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564255(P2004−564255)
【出願日】平成15年12月30日(2003.12.30)
【国際出願番号】PCT/FI2003/000989
【国際公開番号】WO2004/060526
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503250632)
【Fターム(参考)】