説明

分離型テレビ受像機の制御方法

【課題】分離型テレビ受像機で周辺機器からの制御命令を必ず実行可能にする。
【解決手段】分離型テレビ受像機1は、画像表示機能と画像表示のための制御処理機能の一部とを有し、チューナ部3は画像表示のための残りの制御処理機能を有し、これらが別筐体として結合されて分離型テレビ受像機1を形成する。映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインでのルートデバイスとしてのチューナ部3に画像表示部2が映像デジタルインタフェース4またはシリアルインタフェース11で接続され、かつこの制御ライン上でチューナ部3と同じルートアドレスを画像表示部2に設定することにより、画像表示部2が制御ライン上でルートデバイスとして機能する。これにより、周辺機器13から画像表示部2への制御命令は、画像表示部2で処理可能な部分が画像表示部2で処理され、処理できない部分はチューナ部3で処理されて、必要な信号が画像表示部2に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部とそれ以外の部分(以下、チューナ部という)とが別筐体で分離可能に組み合わされた構成の分離型テレビ受像機を制御するシステムに係り、特に、かかる分離型テレビ受像機に外部機器が、ルートデバイスとして、インタフェース接続されてルーティングされてなるAV(Audio Video:音声映像機器)システムでの分離型テレビ受像機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ受像機やDVD(Digital Versatile Disc:デジタル多用途ディスク)レコーダ,HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ),オーディオ機器などの各種AV機器を、例えば、HDMI(High Definition Multimedia Interface:高解像度マルチメディアインタフェース)などの映像デジタルインタフェースの規格に基づいて接続し、かかるAV機器をルートデバイスとして、ルートデバイス間を順次ルートで結ぶようにしたシステム構成が知られており、かかるルーティングシステムでは、使用される映像デジタルインタフェースで規定される制御方法(例えば、HDMIの場合には、CEC(Consumer Electonic Control:コンシューマ電子制御)の制御方法)により、あるルートデバイスから他のデバイスを制御できるようにしている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図5はかかるAVシステムの一従来例を示すブロック構成図であって、1は分離型テレビ受像機、2は画像表示部、3はチューナ部、4は映像デジタルインタフェース、5はアンプ、6はDVDレコーダ、7はHDD、8〜10は映像デジタルインタフェースである。
【0004】
同図において、分離型テレビ受像機1は、画像表示部2とチューナ部3とが別筐体で構成されて分離可能に組み合わされた構成をなすものであって、チューナ部3に表示画面のサイズが異なる画像表示部2やメーカが異なる画像表示部2を組み合わせて使用することができるものである。これら画像表示部2とチューナ部3とには、これらを接続するためのインタフェース端子が設けられ、これにより、これら画像表示部2とチューナ部3とは映像デジタルインタフェース4によって通信可能に接続される。
【0005】
また、ここでは、この分離型テレビ受像機1のチューナ部2と周辺機器としてのアンプ5,HDD7とが夫々映像デジタルインタフェース8,10によって通信可能に接続され、さらに、アンプ5が周辺機器としてのDVDレコーダ6と映像デジタルインタフェース9によって通信可能に接続されているものとする。
【0006】
このような接続により、DVDレコーダ6から映像デジタルインタフェース9を介してアンプ5へ、さらに、このアンプ5から映像デジタルインタフェース8を介して分離型テレビ受像機1のチューナ部3へのルートが、また、HDD7から映像デジタルインタフェース10を介して分離型テレビ受像機1のチューナ部3へのルートが夫々形成され、このチューナ部3から映像デジタルインタフェース4を介して分離型テレビ受像機1の画像表示部2へのルートが形成されており、これら画像表示部2,チューナ部3及び周辺機器5〜6がかかるルートを構成するルートデバイスとなっている。
【0007】
かかる映像デジタルインタフェースは、また、映像や音声といったコンテンツを伝送可能とするとともに、かかるインタフェースの規格によって規定される制御方法のための制御信号の伝送も可能とするものであって、かかるルートは、また、制御ラインも構成していることになる。そして、かかるルート上で1つのルートデバイスから他のデバイスに制御信号(命令)を通信可能とするために、夫々のルートデバイスに物理アドレス(ルートアドレス)が設定(アドレッシング)される。このルートアドレスは、以下では、4桁の数値からなるものとする。
【0008】
図示するルーティングシステムでは、コンテンツを最終的に取得する画像表示部2が全ての桁が「0」のルートアドレス(0.0.0.0)を取得し、これに接続されるチューナ部3が1桁目が画像表示部2のルートアドレスと異なるルートアドレス(1.0.0.0)を取得し、さらに、このチューナ部3に接続されるアンプ5,HDD7が夫々2桁目がチューナ部3のルートアドレスと異なり、かつ互いに異なるルートアドレス(1.1.0.0),(1.2.0.0)を取得する。さらに、アンプ5に接続されたDVDレコーダ6は3桁目がアンプ5のルートアドレスと異なるループアドレス(1.1.1.0)を取得する。
【0009】
なお、図示しないが、チューナ部3にさらに周辺機器が接続されていれば、この周辺機器のルートアドレスは(1.3.0.0)であり、アンプ5にさらに周辺機器が接続されていれば、この周辺機器のルートアドレスは(1.1.2.0)であり、DVDレコーダ6にさらに周辺機器が接続されていれば、この周辺機器のルートアドレスは(1.1.1.1)であり、HDD7にさらに周辺機器が接続されていれば、この周辺機器のルートアドレスは(1.2.1.0)である。
【0010】
このように、ルートデバイスのルートアドレスは、そのルート上での位置に応じて階層的に表現されるものであって、画像表示部2を最上位の階層のルートデバイスとして、ルートアドレスの1桁目が最上位の階層のルートデバイスに該当し、ルートアドレスの2桁目が次に上位の階層のルートデバイスに該当し、ルートアドレスの3桁目がさらに次の上位の階層のルートデバイスに該当し、ルートアドレスの4桁目が最下位の階層のルートデバイスに該当するようにしている。そして、最上位の階層のルートデバイスを除く各ルートデバイスのルートアドレスでは、そのルートデバイスよりも上位の階層のルートデバイスに該当する桁がこの上位の階層のルートデバイスに付された値をそのまま保持している。
【0011】
このように、各ルートデバイスをアドレッシングすることにより、ルートアドレスによって一連のルート(機器の繋がり)が明確になるものであり、コンテンツや制御信号の送り先のルートアドレスを指定することにより、これらが所定のルートを介して送り先に送られることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】HDMI-Specification Informational Ver1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図5に示すルーティングシステムにおいて、画像表示部2がほとんど表示機能しか有しておらず、チューナ機能やOSD(On-Screen Display)制御機能などといった機能のほとんどをチューナ部3に持たせるようにした構成の分離型テレビ受像機1が用いられる場合、不具合が生ずる。
【0014】
例えば、画像表示部2にOSDメニュー画面(設定画面)を表示させるための命令(OSDメニュー表示命令)をいずれかの周辺機器から送る場合、ルートアドレス(0.0.0.0)を用いて画像表示部2を送信先と指定すると、このOSDメニュー表示命令は、先のルートを通って分離型テレビ受像機1のチューナ部3に送られるが、この命令はこのチューナ部3に対して送られたものではないので、チューナ部3はこの命令をそのまま映像デジタルインタフェース4を介して画像表示部2に送ることになる。しかし、画像表示部2は表示機能だけしか有していないため、かかるOSDメニュー表示命令を受けても、この命令に対して機能することができず、分離型テレビ受像機1は、このOSDメニュー表示命令に対応できないことになる。
【0015】
本発明は、かかる問題を解消し、分離型テレビ受像機で周辺機器からの制御命令を必ず実行可能とした分離型テレビ受像機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、画像表示部と該画像表示部以外の部分としてのチューナ部とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法であって、該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、該画像表示部と該チューナ部とで、該制御ライン上のルートアドレスを同一にしたことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記画像表示部は画像表示機能と画像表示のための制御命令に対する制御処理機能の一部とを有し、前記チューナ部は該制御処理機能の残りの部分を有し、前記画像表示部と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースもしくはシリアルインタフェースに基づいて相互に接続されて、前記周辺機器からの表示命令に対し、夫々の該制御処理機能に応じて処理することを特徴とするものである。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、チューナ部と該チューナ部以外の部分からなるテレビ受像機とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法であって、該分離型テレビ受像機は画像表示機能と画像表示のための制御処理機能の全てを有し、該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、該テレビ受像機と該チューナ部とで、該制御ライン上のルートアドレスを異ならせたしたことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記テレビ受像機は、画像表示機能と画像表示のための制御命令に対する制御処理機能の全てとを有し、前記テレビ受像機と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースに基づいて相互に接続され、前記周辺機器からの表示命令が前記チューナ部で受信されて前記テレビ受像機に供給され、前記テレビ受像機が該表示命令に対する該制御処理機能に応じて処理することを特徴とするものである。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、画像表示部と該画像表示部以外の部分としてのチューナ部とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法であって、該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、該チューナ部の該画像表示部と接続する側のインタフェース端子でのルートアドレスを、該チューナ部の該周辺機器と接続する側のインタフェース端子でのルートアドレスと異ならせたことを特徴とするものである。
【0021】
また、前記画像表示部は画像表示機能を有し、前記チューナ部は前記画像表示部で画像表示のための制御処理機能の全てを有し、前記画像表示部と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースもしくはシリアルインタフェースに基づいて相互に接続されて、前記周辺機器からの表示命令に対し、前記チューナ部が該制御処理機能に応じて前記画像表示部での画像表示のための処理することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明は、リモコンからのリモコンコードを前記画像表示部が受信し、前記チューナ部に送信することを特徴とするものである。
【0023】
また、前記画像表示部から前記チューナ部への前記リモコンコードの送信は、前記映像デジタルインタフェースに基づく制御ライン上、もしくはシリアル通信で行なうことを特徴とするものである。
【0024】
また、前記チューナ部は、前記画像表示部からの前記リモコンコードを制御処理し、前記リモコンコードの内容に応じたコマンドを前記画像表示部に送信することを特徴とするものである。
【0025】
また、前記画像表示部がオーディオアンプを備え、前記リモコンコードがオーディオ制御コードであって、前記チューナ部が該オーディオ制御コマンドを前記画像表示部に送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、分離型テレビ受像機が、周辺機器から受けたいかなる制御命令も、実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【図3】本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【図4】本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第4の実施形態を示すブロック構成図である。
【図5】ルーティングシステムの一従来例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第1の実施形態を示すブロック構成図であって、11はシリアルインタフェース、12は映像デジタルインタフェース、13は周辺機器であり、図5に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0030】
同図において、この第1の実施形態は、図5に示した従来例と同様に、画像表示機能と画像表示のための制御処理機能の一部しか持たない画像表示部2と画像表示機能は持たないが、画像表示部2で画像表示させるためのほとんどの制御処理機能を持つチューナ部3とが別筐体からなる分離型テレビ受像機1に、例えば、HDMIのような映像デジタルインタフェース12により、アンプやDVD,HDDなどの周辺機器13が通信可能に接続された構成をなすものである。ここで、チューナ部3と画像表示部2とは、映像デジタルテンタフェース4とで接続してもよいし、また、RS−232Cなどのシリアルインタフェース11で接続するようにしてもよい。
【0031】
このような各機器の接続が行なわれるに際しては、チューナ部3は、これに接続された画像表示部2が映像デジタルインタフェース4の規格の制御ラインからなるルートでのルートデバイス、即ち、テレビ受像機としての機能を備えたデバイスであるか否かを確認する。かかる確認方法としては、この画像表示部2のベンダ(メーカなど)や機種などのこの画像表示部2に関する情報を基に行なってもよいし、映像デジタルインタフェース4あるいはシリアルインタフェース11を用いて画像表示部2の機能を検知するようにしてもよい。このように、映像デジタルインタフェース4あるいはシリアルインタフェース11を用いて画像表示部2の機能を確認する場合には、画像表示部2以外の機器が応答しない、例えば、ベンダ独自のコマンドを用いてもよい。
【0032】
ここで、この第1の実施形態では、画像表示部2は画像表示機能以外の機能はほとんど持たず、制御命令に対する対処機能を持たないものであり、チューナ部3は、これを確認することにより、この画像表示部2を分離型テレビ受像機の画像表示機能だけしか持たない表示部と認識し、まず、自己(即ち、チューナ部3自身)を映像デジタルインタフェースの制御ラインのルートデバイスと認定し、最初の物理アドレス(ルートアドレス)としての(0.0.0.0)を取得する。また、このようにルートアドレスを取得したチューナ部3は、これに接続される機器にルートアドレスを付与するアドレッシング機能を持つことになる。
【0033】
そして、この画像表示部2は、これが接続されたチューナ部3のアドレッシング機能により、ルートアドレスが付与されて映像デジタルインタフェースの制御ラインのルートデバイスとなるようにされるのであるが、この画像表示部2に必要な制御命令が、この画像表示部2に代わって、このチューナ部3で対処できるようにするために、このチューナ部3のルートアドレスと同じルートアドレス(0.0.0.0)をこの画像表示部2に付与するものである。
【0034】
このようにして、画像表示部2は、映像デジタルインタフェースの制御ラインでのチューナ部3と同じルートアドレス(0.0.0.0)のルートデバイスとなる。そして、このことから、画像表示部2とチューナ部3とが一体となり、分割型テレビ受像機1としてのルートアドレス(0.0.0.0)のルートデバイスということになる。
【0035】
かかる分割型テレビ受像機1、即ち、そのチューナ部3に映像デジタルインタフェース4と同じ規格の映像デジタルインタフェース12で周辺機器13が接続され、この接続がチューナ部3と周辺機器13相互で認識されて、画像表示部2の場合と同様、接続される周辺機器13が制御命令に対処できる機器であることが確認されると、チューナ部3のアドレッシング機能により、この周辺機器13はチューナ部3のルートアドレス(0.0.0.0)の次のルートアドレス(1.0.0.0)を取得し、同じ映像デジタルインタフェースの制御ラインのルートデバイスとなる。そして、この周辺機器13は、これに接続されるたの周辺機器に対してアドレッシング機能を持つことになる。従って、周辺機器13をアンプとし、図5に示すように、これにDVDレコーダが接続されると、このDVDレコーダは同じ制御ライン上でのルートアドレス(1.1.0.0)のルートデバイスとなる。
【0036】
このようにして、ルーティングシステムが形成されるのであるが、かかるルーティングシステムにおいて、周辺機器13から、例えば、OSDメニュー表示命令が送信されと、この命令は、分割型テレビ受像機1の画像表示部2に対してなされるものであって、このときの送信先のアドレスはこの画像表示部2のルートアドレス(0.0.0.0)であるが、また、分割型テレビ受像機1のチューナ部3を指定するアドレスでもある。このため、このOSDメニュー表示命令を受信したチューナ部3は、自己に送信されたものと認識し、このOSDメニュー表示命令に対処してOSDメニュー表示のための可能な処理を行なう。この処理により、QSDメニュー画面の映像信号が作成され、その映像を表示させるための制御信号とともにこのQSDメニュー画面の映像信号を画像表示部2に送るのであるが、OSDメニュー表示命令のうちのチューナ部3で対応できない命令(この命令に対しては、画像表示部2で対処できる)は、作成されたQSDメニュー画面の映像信号ともに、チューナ部3から画像表示部2に送られる。画像表示部2は、QSDメニュー画面の映像信号を受信するとともに、この命令を受信して所定の表示のための制御処理を行ない、これにより、画像表示部2でOSDメニュー画面が表示されることになる。チューナ部3と画像表示部2とがシリアルインタフェース11で接続されているときには、勿論チューナ部3と画像表示部2との間のかかる通信をこれを用いて行なうこともできる。
【0037】
このようにして、この第1の実施形態では、分割型テレビ受像機1の画像表示部2が画像表示機能と一部の制御処理機能しか持たない場合でも、チューナ部3と画像表示部2とが対処可能な部分を分担してOSDメニュー表示命令に対処することができ、これにより、OSDメニュー画面の表示を行なうことができることになる。画像表示部2に対してOSDメニュー表示命令以外の制御命令が送信されても、チューナ部3での同様の処理により、これに対処することが可能となる。
【0038】
図2は本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第2の実施形態を示すブロック構成図であって、14はテレビ受像機であり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0039】
同図において、この第2の実施形態は、チューナ部2に映像デジタルインタフェース4を介してテレビ受像機14を接続したものであり、この場合には、このテレビ受像機14がOSDメニュー表示命令などの各種の命令に対処できるルートデバイスとしての機能を備えており、チューナ部3は、これを確認することにより、ルートアドレス(1.0.0.0)を取得して映像デジタルインタフェースの制御ラインのルートデバイスとなり、また、テレビ受像機14にルートアドレス(0.0.0.0)をアドレッシングしてこの制御ラインのルートデバイスとする。これ以外は図1に示す第1の実施形態と同様である。なお、この場合の周辺機器13のルートアドレスは、(1.1.0.0)となる。
【0040】
このようにしてルーティングシステムが形成されるが、かかるルーティングシステムにおいて、周辺機器13から、例えば、OSDメニュー表示命令が送信されと、この命令は、テレビ受像機14に対してなされるものであって、このときの送信先のアドレスはこのテレビ受像機14のルートアドレス(0.0.0.0)である。このため、このOSDメニュー表示命令を受信したチューナ部3は、自己に送信されたものではないと認識し、このOSDメニュー表示命令をテレビ受像機14に送る。テレビ受像機14では、この命令に対してOSDメニュー表示のための処理を行ない、この処理によってQSDメニュー画面の映像信号が作成されてOSDメニュー画面が表示されることになる。
【0041】
以上のように、この第2の実施形態では、チューナ部3に接続される機器がOSDメニュー表示命令に対処可能なルートデバイスとしての機能を有するテレビ受像機14である場合には、このOSDメニュー表示命令が直接このテレビ受像機が取得して、これに対処することが可能となる。テレビ受像機14に対してOSDメニュー表示命令以外の制御命令が送信されてきても、同様である。
【0042】
図3は本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第3の実施形態を示すブロック構成図であって、2a,3a,3bはインタフェース端子であり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0043】
同図において、この第3の実施形態は、図1に示す第1の実施形態とルーティングシステムの構成が同じであり、また、周辺機器13から見たチューナ部3のルートアドレスも、同様に、(0.0.0.0)であるが、チューナ部3での画像表示部2と映像デジタルインタフェース4で接続するインタフェース端子3aにルートアドレス(1.0.0.0)が設定され、チューナ部3での周辺機器13と映像デジタルインタフェース12で接続するインタフェース端子3bにルートアドレス(0.0.0.0)が設定されるものである。
【0044】
ここで、周辺機器13から見たチューナ部3のルートアドレスは、チューナ部3のこの周辺機器13が接続されるインタフェース端子3bに設定されたルートアドレス(0.0.0.0)であり、画像表示部2から見たチューナ部3のルートアドレスは、チューナ部3のこの画像表示部2が接続されるインタフェース端子3aに設定されたルートアドレス(1.0.0.0)であって、分割型テレビ受像機1内では、チューナ部3のインタフェース端子3a,3b毎にルートアドレスを異ならせている。
【0045】
この第3の実施形態では、チューナ部3が周辺機器13からの制御命令全てに対処するものであり、これにより、チューナ部3の内部では、映像デジタルインタフェースの制御ラインは繋がっていない。このため、周辺機器13から、例えば、OSDメニュー表示命令があると、チューナ部3はこの命令全てに対処してOSDメュー画面の映像信号を作成するとともに、その表示のための制御信号など表示に必要な信号を作成し、これをインタフェース端末3aからアドレス(0.0.0.0)を指定して画像表示部2に送信する。画像表示部2は、これをインタフェース2aから受信してOSDメニュー画面を表示するが、チューナ部3へのOSDメュー画面の映像信号などの要求のためのコマンドは、アドレス(1.0.0.0)を指定してインタフェース端子2aからチューナ部3に送信する。チューナ部3と画像表示部2とがシリアルインタフェース11で接続されているときには、勿論チューナ部3と画像表示部2との間のかかる通信をこれを用いて行なうこともできる。
【0046】
以上のように、チューナ部3が端子毎に異なる物理アドレスを持ち,通信先に応じてアドレスを切り替えることにより、先の実施形態とと同様、不具合のない通信を実現することが可能となる。
【0047】
図4は本発明による分離型テレビ受像機の制御方法の第4の実施形態を示すブロック構成図であって、15はオーディオアンプ(増幅器)、16はスピーカ、17はリモコン(リモートコントローラ)であり、図1に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
【0048】
同図において、この第4の実施形態は、図1に示した第1の実施形態と構成,動作が同様であるが、さらに、画像表示部2がリモコン17からのリモコンコードを受信して制御命令に対処できるようにしたものである。
【0049】
制御ライン上の画像表示部2,チューナ部3及び周辺機器13は、先の第1の実施形態と同様にして、アドレッシングが行なわれ、画像表示部2とチューナ部3とに同じルートアドレス(0.0.0.0)が設定され、周辺機器13にルートアドレス(1.0.0.0)が設定される。
【0050】
また、画像表示部2には、オーディオアンプ15とスピーカ16とが設けられており、また、リモコン17からの制御命令のリモコンコードを受信する機能を備えているが、この制御命令を処理する機能を備えていない。チューナ部3は、画像表示部2の構成要素にオーディオアンプ15とスピーカ16とがあることを確認する。かかる確認は、先の第1の実施形態で説明したアドレッシング時の画像表示部2の機能確認の際に実行されるのが好ましい。
【0051】
このように、アドレッシングと接続機器の確認が完了してルーティングシステムが形成された状態で、リモコン17から制御命令のリモコンコードが送信されると、画像表示部2はこの制御命令のリモコンコードを受信し、チューナ部3へ送信する。チューナ部3は、このリモコンコードを受信して、これが画像表示部2で対処できる制御処理のコマンドであるか否かを判定し、対処できるものであるならば、その制御処理を実行可能な制御信号を画像表示部2に送り返し、画像表示部2で対処できない制御処理のコマンドであれば、チューナ部3でその処理を行なう。
【0052】
ここで、一例として、このリモコンコードが音量制御コードである場合について説明する。
【0053】
リモコン17から音量制御コードが送信され(矢印(イ))、これが画像表示部2で受信されると、画像表示部2はこの受信した音量制御コードをチューナ部3に送信する(矢印(ロ))。チューナ部3は、この受信した音量制御コードに対する必要処理が、例えば、オーディオアンプ15の制御処理や音量調整OSD表示であることを判断し、さらに、このオーディオアンプ15の制御処理は画像表示部2で行ない、音量調整OSD表示はチューナ部3で行なうものと判断する。この判断の結果、チューナ部3は、オーディオアンプ15の音量調整のための制御信号を画像表示部2へ送信し(矢印(ハ))、また、音量調整OSD表示処理を行なって音量調整OSD表示のための映像信号を生成し、これを画像表示部2に送信する(矢印(ニ))。
【0054】
これにより、この音量調整OSD表示を基にして、ユーザが所望の音量とするためのリモコン17の操作を行なうことにより、リモコン17からその操作に応じた音量調整量を指定する音量制御コードが画像表示部2に送信されることになり、音量調整のための制御信号がチューナ部3から画像表示部2のオーディオアンプ15に送られて、オーディオアンプ15での音量調整の制御が行なわれる。
【0055】
なお、画像表示部2とチューナ部3との間の上記の通信は、映像デジタルインターフェイス4を用いて行なわれるようにしてもよいし、また、シリアルインターフェイス11を用いて行なわれるようにしてもよい。
【0056】
また、ここでは、リモコン17からのリモコンコードを音量調整コードとしたが、これのみに限るものではなく、他のリモコンコードについても同様である。
【0057】
このように、画像表示部2が受信したリモコンコードをチューナ部3に送信し、チューナ部3で最適処理を判断することにより、画像表示部2が映像デジタルインタフェースの規格の制御ライン上のルートデバイス、あるいはテレビ受像機としての必要機能の一部を持たなくても、不具合のない動作が可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 分離型テレビ受像機
2 画像表示部
2a インタフェース端子
3 チューナ部
3a,3b インタフェース端子
4 映像デジタルインタフェース
11 シリアルインタフェース
12 映像デジタルインタフェース
13 周辺機器
14 テレビ受像機
15 オーディオアンプ
16 スピーカ
17 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部と該画像表示部以外の部分としてのチューナ部とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法において、
該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、
該画像表示部と該チューナ部とで、該制御ライン上のルートアドレスを同一にしたことを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記画像表示部は画像表示機能と画像表示のための制御命令に対する制御処理機能の一部とを有し、前記チューナ部は該制御処理機能の残りの部分を有し、
前記画像表示部と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースもしくはシリアルインタフェースに基づいて相互に接続されて、前記周辺機器からの表示命令に対し、夫々の該制御処理機能に応じて処理することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項3】
チューナ部と該チューナ部以外の部分からなるテレビ受像機とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法において、
該分離型テレビ受像機は画像表示機能と画像表示のための制御処理機能の全てを有し、
該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、
該テレビ受像機と該チューナ部とで、該制御ライン上のルートアドレスを異ならせたことを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記テレビ受像機は、画像表示機能と画像表示のための制御命令に対する制御処理機能の全てとを有し、
前記テレビ受像機と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースに基づいて相互に接続され、
前記周辺機器からの表示命令が前記チューナ部で受信されて前記テレビ受像機に供給され、前記テレビ受像機が該表示命令に対する該制御処理機能に応じて処理することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項5】
画像表示部と該画像表示部以外の部分としてのチューナ部とが別筐体で構成された分離型テレビ受像機に周辺機器が接続され、該周辺機器から該画像表示部での画像表示を制御することを可能とした分離型テレビ受像機の制御方法において、
該分離型テレビ受像機と該周辺機器とは、映像デジタルインタフェースの規格に基づいて通信可能に接続されて、該映像デジタルインタフェースの規格に基づく制御ラインによるルートが形成され、
該チューナ部の該画像表示部と接続する側のインタフェース端子でのルートアドレスを、該チューナ部の該周辺機器と接続する側のインタフェース端子でのルートアドレスと異ならせたことを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記画像表示部は画像表示機能を有し、前記チューナ部は前記画像表示部で画像表示のための制御処理機能の全てを有し、
前記画像表示部と前記チューナ部とは、前記映像デジタルインタフェースもしくはシリアルインタフェースに基づいて相互に接続されて、前記周辺機器からの表示命令に対し、前記チューナ部が該制御処理機能に応じて前記画像表示部での画像表示のための処理することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項7】
請求項1,2,5または6において、
リモコンからのリモコンコードを前記画像表示部が受信し、前記チューナ部に送信することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記画像表示部から前記チューナ部への前記リモコンコードの送信は、前記映像デジタルインタフェースに基づく制御ライン上、もしくはシリアル通信で行なうことを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記チューナ部は、前記画像表示部からの前記リモコンコードを制御処理し、前記リモコンコードの内容に応じたコマンドを前記画像表示部に送信することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。
【請求項10】
請求項7,8または9において、
前記画像表示部がオーディオアンプを備え、
前記リモコンコードがオーディオ制御コードであって、前記チューナ部が該オーディオ制御コマンドを前記画像表示部に送信することを特徴とする分離型テレビ受像機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−62869(P2013−62869A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263941(P2012−263941)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2012−46070(P2012−46070)の分割
【原出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】