説明

分離型内視鏡

【課題】シース先端部に対して挿入部の先端部を正確かつ容易に配置することが可能な分離型内視鏡を提供する。
【解決手段】分離型内視鏡は、シース本体22内に挿通され、シース先端部23に先端部が接続されている管部28,29、及び、シース先端部23に設けられている係合受部51、を有する内視鏡シース21と、シース本体22内に挿通可能な挿入部34を有する内視鏡本体33と、挿入部34の先端部に設けられる位置決め部材48であって、係合受部51に係合されてシース先端部23に対して挿入部34の先端部を位置決めする係合部48、及び、管部28,29に対して位置決め部材48を係合受部51に係合部48が係合可能な配置に保持しつつ管部28,29の外周面において管部28,29の長手方向に摺動可能なガイド部49、を有する位置決め部材48と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡シースと内視鏡本体とが組み合わされる分離型内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
分離型内視鏡を使用する際には、内視鏡シース内に内視鏡本体の挿入部が基端側から挿入されており、内視鏡シースが内視鏡本体に着脱自在に装着されている。内視鏡シースの先端部のシース先端部には観察窓等が配設されており、観察窓等の後方には挿入部の先端部の対応する撮像部等が配置される。挿入部は、内視鏡シース内に収容された状態で、内視鏡シースと共に体腔内へと挿入され、分離型内視鏡による観察等が行われる。通常の内視鏡では、感染症等を防止するために、使用毎に、内視鏡全体の洗浄、消毒を行う必要がある。これに対して、分離型内視鏡では、内視鏡シースを安価な構成として、これを使用後に使い捨てとすることで、挿入部の洗浄、消毒を省略することを可能としている。
【0003】
特許文献1には、カバー式内視鏡が開示されている。このカバー式内視鏡では、シース先端部としての先端カバーに対物レンズカバーが配設されており、対物レンズカバーの後方に挿入部の対物レンズが配置される。このために、先端カバーでは、対物レンズの後方に、前方嵌合部、及び、前方嵌合部よりも太径の後方嵌合部が軸方向に順に穿設されており、後方嵌合部を介して、前方嵌合部に挿入部の先端部が挿入され、嵌合される。さらに、前方嵌合部には凹部、挿入部の先端部の外周面には突起が形成されており、凹部に突起が嵌合されることで、先端カバーに対して挿入部の先端部が位置決めされ、固定される。加えて、前方嵌合部と後方嵌合部との間には傾斜状のガイド段差が形成されており、前方嵌合部に挿入部の先端部を挿入する際には、ガイド段差において挿入部の突起がガイドされることで、挿入部が自身の中心軸を中心として回転され、周方向について凹部に突起が整列される。
【特許文献1】特開平7−303598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分離型内視鏡では、長尺で細径の内視鏡シース内に長尺の挿入部を基端側から挿入して挿通することになるため、シース先端部に対して挿入部の先端部を正確かつ容易に配置することは困難である。
【0005】
特許文献1のカバー式内視鏡では、先端カバーのガイド段差において挿入部の突起をガイドすることにより、先端カバーの凹部に突起を整列させているため、凹部と突起とを確実に整列させることが難しく、また、挿入抵抗が増大し、挿入部に捩れが生じることにもなるため、挿入作業が面倒なものとなる。このため、特許文献1のカバー式内視鏡であっても、シース先端部に対して挿入部の先端部を正確かつ容易に配置することは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、シース先端部に対して挿入部の先端部を正確かつ容易に配置することが可能な分離型内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施態様では、分離型内視鏡は、筒状のシース本体、前記シース本体の先端部に設けられているシース先端部、前記シース本体内に挿通されている管部であって、前記シース先端部に前記管部の先端部が接続されている管部、及び、前記シース先端部に設けられている係合受部、を有する内視鏡シースと、前記シース本体内に挿通可能な挿入部であって、前記挿入部の先端部には撮像部が設けられている挿入部、を有する内視鏡本体と、前記挿入部の先端部に設けられる位置決め部材であって、前記係合受部に係合されて前記シース先端部に対して前記挿入部の先端部を位置決めする係合部、及び、前記管部に対して前記位置決め部材を前記係合受部に前記係合部が係合可能な配置に保持しつつ前記管部の外周面において前記管部の長手方向に摺動可能なガイド部、を有する位置決め部材と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の第2実施態様では、分離型内視鏡は、前記係合部は、前記位置決め部材の全体によって形成されており、前記係合受部は、前記シース先端部の基端側に形成され前記位置決め部材の全体が係合される係合凹部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3実施態様では、分離型内視鏡は、前記係合部は、前記位置決め部材の基端側から先端側へと縮径するテーパ形状を備えるテーパ部を有し、前記係合受部は、前記シース先端部の基端側から先端側へと縮径するテーパ形状を備えるテーパ受部を有し、前記テーパ部は、前記テーパ受部において摺動可能である、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4実施態様では、分離型内視鏡は、前記位置決め部材は、第1の嵌合部を有し、前記シース先端部は、前記第1の嵌合部に嵌合されて前記シース先端部に対して前記位置決め部材を固定する第2の嵌合部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5実施態様では、分離型内視鏡は、前記第1及び第2の嵌合部の内の一方の嵌合部は爪部を有し、前記第1及び第2の嵌合部の内の他方の嵌合部は孔部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第6実施態様では、分離型内視鏡は、前記第1及び第2の嵌合部の内の一方の嵌合部は弾性突起部を有し、前記第1及び第2の嵌合部の内の他方の嵌合部は嵌合凹部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第7実施態様では、分離型内視鏡は、前記ガイド部は、前記管部の外周面の少なくとも一部分に対応する形状を有するガイド面部を有し、前記第1の嵌合部は、前記ガイド面部によって形成されており、前記第2の嵌合部は、前記管部の先端部に設けられ前記管部の他の部分よりも径の大きな拡径部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1実施態様の分離型内視鏡では、シース本体内に挿入部の先端部を挿入する際には、係合受部に係合部が係合可能な配置を保持しつつ位置決め部材が管部に沿って基端側から先端側へと移動されていき、係合受部に係合部が係合されることで、シース先端部に対して挿入部の先端部が位置決めされる。このようにして、シース先端部に対して挿入部の先端部を正確かつ容易に配置することが可能となっている。
【0015】
本発明の第2実施態様の分離型内視鏡では、位置決め部材の全体を係合凹部に係合することになるため、挿入部の先端部を確実に位置決めすることが可能となっている。
【0016】
本発明の第3実施態様の分離型内視鏡では、テーパ受部においてテーパ部が摺動されて、係合受部へと係合部が誘導される。このため、係合受部に対して係合部が係合可能な位置から若干ずれて配置されているような場合であっても、係合受部に係合部を円滑に係合することが可能となっている。
【0017】
本発明の第4実施態様の分離型内視鏡では、シース先端部に対して位置決め部材を固定することで、シース先端部に対して挿入部の先端部を固定することが可能となっている。
【0018】
本発明の第5実施態様の分離型内視鏡では、爪部を孔部に嵌合させることで、シース先端部に対して位置決め部材を固定している。
【0019】
本発明の第6実施態様の分離型内視鏡では、弾性突起部を弾性変形させて嵌合凹部に嵌合させることで、シース先端部に対して位置決め部材を固定している。
【0020】
本発明の第7実施態様の分離型内視鏡では、管部の先端部の拡径部にガイド面部を外嵌させることで、シース先端部に対して位置決め部材を固定している。このように、位置決め部材の誘導に用いられるガイド面部を位置決め部材の固定に兼用することで、位置決め部材の構成を簡単化することが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1から図3は、本発明の第1実施形態を示す。
【0023】
図1を参照し、分離型内視鏡の内視鏡シース21は、肉厚円板状のシース先端部23を有する。シース先端部23には、透明な観察窓24が配設されている。また、シース先端部23の先端側には観察窓24に向かう送気ノズル25、送水ノズル26が配設されており、シース先端部23にはチャンネル開口27が形成されている。シース先端部23の外周部には全周にわたって段差が形成されており、シース先端部23の基端側23aは先端側よりも細径となっている。シース先端部23の基端側23aには、長尺で柔軟な円筒状のシース本体22の先端部が被覆されている。また、シース先端部23の基端側23aには、管部としての円管状の送気チューブ28及び送水チューブ29、チャンネルチューブ30の先端部が連結されており、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30は、夫々、送気ノズル25、送水ノズル26、チャンネル開口27に接続されている。送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30は、シース本体22内に挿通されて、シース本体22の基端開口から延出されている。なお、シース本体22の基端部22aにおいて、チャンネルチューブ30から分岐管31が分岐して延びており、分岐管31はシース本体22の基端部22aに突設されている処置具挿入口金32の内端部に接続されている。チャンネルチューブ30は、吸引用と処置具の挿通用とに兼用される。
【0024】
分離型内視鏡の内視鏡本体33は、内視鏡シース21のシース本体22内に挿通される細長い挿入部34を有する。挿入部34では、先端側から順に、硬性の先端硬性部35、湾曲作動される湾曲部36、長尺で可撓性の可撓管部37が連設されている。ここで、先端硬性部35には、撮像部38が内蔵されている。撮像部38は、照明光を生成する照明ユニットと、観察画像を撮像する撮像ユニットと、から形成されている。挿入部34の基端部は、シース本体22の基端部22aが着脱自在に接続されるシース接続部39に連結されている。シース接続部39には、内視鏡シース21の送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の基端部が夫々接続される送気口金41、送水口金42、吸引口金43が配設されている。シース接続部39の基端部には、操作部44が連結されている。操作部44には、湾曲部36を操作するための湾曲操作ノブ45、送気作動、送水作動、吸引作動、撮像作動を操作するための各種ボタン46が配設されている。操作部44からユニバーサルコード47が延出されており、ユニバーサルコード47は、送気、送水、吸引、撮像のための各種周辺装置に接続される。
【0025】
図2及び図3を参照し、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を正確かつ容易に配置するための構成について説明する。
【0026】
内視鏡本体33の挿入部34の先端部には、挿入部34の長手方向に直交する向きの厚板状の位置決め部材48が連結されている。即ち、位置決め部材48の取付部50には取付孔50aが貫通形成されており、挿入部34は取付孔50aに挿通されて位置決め部材48に固定されている。位置決め部材48は、取付部50の外周部から挿入部34の径方向に二又状に延出されている延出部49を有する。一方、内視鏡シース21のシース先端部23の基端側には、位置決め部材48の全体形状と略同形状の係合受部としての係合凹部51が形成されている。係合凹部51に係合部としての位置決め部材48の全体が係合されることで、シース先端部23に対して挿入部34の先端部が位置決めされ、シース先端部23の観察窓24の後方に挿入部34の撮像部38が適切に配置される。
【0027】
さらに、位置決め部材48では、延出部49の延出端部側に、ガイド部としての第1及び第2のガイド孔52a,52bが挿入部34の長手方向に貫通されている。挿入部34の長手方向に直交する断面において、第1及び第2のガイド孔52a,52bを規定する面は、夫々、送気チューブ28及び送水チューブ29の外周面と略同径の円形状を有し、第1及び第2のガイド孔52a,52bには、夫々、送気チューブ28及び送水チューブ29が挿通可能である。また、挿入部34の長手方向に直交する断面において、第1のガイド孔52aと第2のガイド孔52bとの相対的配置は、シース先端部23における送気チューブ28と送水チューブ29との相対的配置に対応しており、第1及び第2のガイド孔52a,52bと位置決め部材48の全体形状との相対的配置は、シース先端部23における送気チューブ28及び送水チューブ29と係合凹部51の全体形状との相対的配置に対応している。ここで、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30については、これらの基端部を引っ張ることで、シース本体22内において、シース本体22の全長にわたって、シース先端部23における相対的配置と略同一の相対的配置とすることが可能である。かかる相対的配置を有する送気チューブ28及び送水チューブ29を位置決め部材48のガイド部としての第1及び第2のガイド孔52a,52bに夫々挿通することで、送気チューブ28及び送水チューブ29に対して位置決め部材48を、位置決め部材48の全体がシース先端部23の係合凹部51に係合可能な配置に、保持することが可能である。そして、位置決め部材48は、かかる配置を保持しつつ、送気チューブ28及び送水チューブ29の外周面において、送気チューブ28及び送水チューブ29の長手方向に摺動可能である。
【0028】
次に、本実施形態の分離型内視鏡の組み合わせ方法について説明する。
【0029】
内視鏡シース21の基端部から延出されている送気チューブ28及び送水チューブ29の基端部を、夫々、挿入部34の先端部に連結されている位置決め部材48の第1及び第2のガイド孔52a,52bに挿通する。そして、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の基端部を引っ張って、シース本体22内において、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30を、シース本体22の全長にわたって、シース先端部23における相対的配置と略同一の相対的配置とする。続いて、シース本体22内に挿入部34を押し込んでいくと、位置決め部材48が送気チューブ28及び送水チューブ29に沿って基端側から先端側へと摺動され、シース本体22内に挿入部34の先端部が挿入されていく。この際、位置決め部材48は、送水チューブ29及び送気チューブ28に対して、位置決め部材48の全体がシース先端部23の係合凹部51に係合可能な配置に保持される。従って、さらにシース本体22内に挿入部34を押し込んでいくと、そのまま、シース先端部23の係合凹部51に位置決め部材48の全体が挿入され、係合される。この結果、シース先端部23に対して挿入部34の先端部が位置決めされ、シース先端部23の観察窓24の後方に挿入部34の撮像部38が適切に配置される。この後、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の基端部を内視鏡本体33の送気口金41、送水口金42、吸引口金43に接続し、シース本体22の基端部を内視鏡本体33のシース接続部39に接続させる。
【0030】
従って、本実施形態の分離型内視鏡は次の効果を奏する。
【0031】
本実施形態の分離型内視鏡では、シース本体22内に挿入部34の先端部を挿入する際には、係合凹部51に位置決め部材48の全体が係合可能な配置を保持しつつ位置決め部材48が送気チューブ28及び送水チューブ29に沿って基端側から先端側へと移動されていき、係合凹部51に位置決め部材48の全体が係合されることで、シース先端部23に対して挿入部34の先端部が位置決めされる。このようにして、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を正確かつ容易に配置することが可能となっている。特に、位置決め部材48の全体を係合凹部51に係合することになるため、挿入部34の先端部を確実に位置決めすることが可能となっている。
【0032】
図4は、本発明の第2実施形態を示す。
【0033】
本実施形態の位置決め部材48では、位置決め部材48の先端側周縁部に、基端側から先端側へと縮径するテーパ形状のテーパ部53が形成されている。一方、シース先端部23の係合凹部51の基端側周縁部に、基端側から先端側へと縮径するテーパ形状のテーパ受部54が形成されている。係合凹部51に位置決め部材48を挿入する際には、テーパ受部54においてテーパ部53が摺動されて、係合凹部51へと位置決め部材48が誘導される。このため、係合凹部51に対して位置決め部材48の配置が若干ずれて挿入される場合であっても、係合凹部51に位置決め部材48を円滑に挿入して係合することが可能となっている。
【0034】
図5は、本発明の第3実施形態を示す。
【0035】
本実施形態のシース先端部23の基端面には一対の爪部55が突設されており、位置決め部材48の外周面には一対の孔部56が形成されている。シース先端部23の係合凹部51に位置決め部材48が係合される際には、爪部55が孔部56に嵌合されて、シース先端部23に対して位置決め部材48が固定される。このようにして、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を固定することが可能となっている。
【0036】
図6は、本発明の第3実施形態の変形例を示す。
【0037】
本変形例では、位置決め部材48の基端面に一対の爪部55が突設されており、シース先端部23の係合凹部51の内周面に一対の孔部56が形成されている。このようにしても、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を固定することが可能である。
【0038】
図7は、本発明の第4実施形態を示す。
【0039】
本実施形態のシース先端部23の係合凹部51の内周面には弾性を有する一対の弾性突起部57が配設されており、弾性突起部57の外面は、所定の曲率Rを有する弾性押圧面を形成している。一方、位置決め部材48の外周面には一対の嵌合凹部58が形成されており、嵌合凹部58は、周方向に延び底面の横断面がV字状をなすV溝を形成している。シース先端部23の係合凹部51に位置決め部材48が係合される際には、弾性突起部57が圧縮変形されて嵌合凹部58に嵌合され、シース先端部23に対して位置決め部材48が固定される。このようにして、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を固定することが可能となっている。
【0040】
図8は、本発明の第4実施形態の変形例を示す。
【0041】
本変形例では、位置決め部材48の外周面に、弾性押圧面を形成する一対の弾性突起部57が配設されており、シース先端部23の係合凹部51の内周面に、V溝を形成する一対の嵌合凹部58が形成されている。このようにしても、シース先端部23に対して挿入部34の先端部を固定することが可能である。
【0042】
図9及び図10は、本発明の第5実施形態を示す。
【0043】
本実施形態の位置決め部材48では、延出部49の延出端部側に、ガイド面部を形成するために、ガイド部として、第1及び第2のガイド孔52a,52bに加えて、ガイド凹部59が挿入部34の長手方向に延設されている。挿入部34の長手方向に直交する断面において、第1及び第2のガイド孔52a,52bの半径は、夫々、送気チューブ28及び送水チューブ29の半径よりも僅かに大きくなっている。また、ガイド凹部59を規定する面は、チャンネルチューブ30の半径よりも僅かに大きな曲率半径を備える1/4円形状を有し、ガイド凹部59にチャンネルチューブ30を嵌め込むことが可能である。さらに、第1のガイド孔52a、第2のガイド孔52b、ガイド凹部59の相対的配置は、シース先端部23における送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の相対的配置に対応しており、また、第1及び第2のガイド孔52a,52b並びにガイド凹部59と位置決め部材48の全体形状との相対的配置は、シース先端部23における送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30と係合凹部51の全体形状との相対的配置に対応している。送気チューブ28及び送水チューブ29を第1及び第2のガイド孔52a,52bに夫々挿通するのに加えて、チャンネルチューブ30をガイド凹部59に嵌め込むことにより、位置決め部材48の全体がシース先端部23の係合凹部51に係合可能な配置を保持しつつ、位置決め部材48を送気チューブ28、送水チューブ29、及び、チャンネルチューブ30の外周面において送気チューブ28、送水チューブ29、及び、チャンネルチューブ30の長手方向に摺動可能である。
【0044】
送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の先端部には、夫々、弾性を有する薄肉短筒状の第1から第3の拡径部材が外嵌固定されており、他の部分よりも外径の大きな第1から第3の拡径部61a,61b,61cが形成されている。第1から第3の拡径部61a,61b,61cの半径は、夫々、第1及び第2のガイド孔52a,52bの半径、並びに、ガイド凹部59の曲率半径よりも極僅かだけ大きい。
【0045】
次に、本実施形態の分離型内視鏡の組み合わせ方法について説明する。
【0046】
シース本体22内に挿入部34を押し込んでいくと、挿入部34の先端部に連結されている位置決め部材48が送気チューブ28、送水チューブ29及びチャンネルチューブ30に沿って基端側から先端側へと摺動され、シース本体22内に挿入部34の先端部が挿入されていく。送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30と、第1のガイド孔52a、第2のガイド孔52b、ガイド凹部59との間には夫々適度なクリアランスが形成されているため、挿入抵抗が小さくなり、挿入部34の先端部を円滑に挿入できる。シース先端部23の係合凹部51に位置決め部材48が挿入され係合される際には、送気チューブ28、送水チューブ29、チャンネルチューブ30の先端部の第1から第3の拡径部61a,61b,61cに、夫々、第1及び第2のガイド孔52a,52b、ガイド凹部59が嵌合されて固定され、シース先端部23に対して位置決め部材48が固定される。嵌合の際には、挿入抵抗が増大することになるため、挿入終端位置を的確に把握することができ、挿入部34が必要以上に押し込まれることが防止される。このようにして、シース先端部23に対して挿入部34の先端部が固定される。
【0047】
従って、本実施形態の分離型内視鏡は次の効果を奏する。
【0048】
本実施形態の分離型内視鏡では、位置決め部材48の誘導に用いられる第1及び第2のガイド孔52a,52b並びにガイド凹部59を位置決め部材48の固定に兼用することで、位置決め部材48の構成を簡単化することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態の分離型内視鏡を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態の分離型内視鏡の先端部を示横断面図。
【図4】本発明の第2実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図5】本発明の第3実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図6】本発明の第3実施形態の変形例の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図7】本発明の第4実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図8】本発明の第4実施形態の変形例の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図9】本発明の第5実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す斜視図。
【図10】本発明の第5実施形態の分離型内視鏡の先端部を示す横断面図。
【符号の説明】
【0050】
21…内視鏡シース、22…シース本体、23…シース先端部、28,29,30…管部(28…送気チューブ、29…送水チューブ、30…チャンネルチューブ)、33…内視鏡本体、34…挿入部、38…撮像部、48…位置決め部材;係合部、49…ガイド部、51…係合受部(係合凹部)、53…テーパ部、54…テーパ受部、55;57;52a,52b,59…第1の嵌合部(55…爪部、57…弾性突起部、52a…ガイド面部(第1のガイド孔)、52b…ガイド面部(第2のガイド孔)、59…ガイド面部(ガイド凹部))、56;58;61a,61b,61c…第2の嵌合部(56…孔部、58…嵌合凹部、61a…第1の拡径部、61b…第2の拡径部、61c…第3の拡径部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシース本体、前記シース本体の先端部に設けられているシース先端部、前記シース本体内に挿通されている管部であって、前記シース先端部に前記管部の先端部が接続されている管部、及び、前記シース先端部に設けられている係合受部、を有する内視鏡シースと、
前記シース本体内に挿通可能な挿入部であって、前記挿入部の先端部には撮像部が設けられている挿入部、を有する内視鏡本体と、
前記挿入部の先端部に設けられる位置決め部材であって、前記係合受部に係合されて前記シース先端部に対して前記挿入部の先端部を位置決めする係合部、及び、前記管部に対して前記位置決め部材を前記係合受部に前記係合部が係合可能な配置に保持しつつ前記管部の外周面において前記管部の長手方向に摺動可能なガイド部、を有する位置決め部材と、
を具備することを特徴とする分離型内視鏡。
【請求項2】
前記係合部は、前記位置決め部材の全体によって形成されており、
前記係合受部は、前記シース先端部の基端側に形成され前記位置決め部材の全体が係合される係合凹部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離型内視鏡。
【請求項3】
前記係合部は、前記位置決め部材の基端側から先端側へと縮径するテーパ形状を備えるテーパ部を有し、
前記係合受部は、前記シース先端部の基端側から先端側へと縮径するテーパ形状を備えるテーパ受部を有し、
前記テーパ部は、前記テーパ受部において摺動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離型内視鏡。
【請求項4】
前記位置決め部材は、第1の嵌合部を有し、
前記シース先端部は、前記第1の嵌合部に嵌合されて前記シース先端部に対して前記位置決め部材を固定する第2の嵌合部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の分離型内視鏡。
【請求項5】
前記第1及び第2の嵌合部の内の一方の嵌合部は爪部を有し、
前記第1及び第2の嵌合部の内の他方の嵌合部は孔部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の分離型内視鏡。
【請求項6】
前記第1及び第2の嵌合部の内の一方の嵌合部は弾性突起部を有し、
前記第1及び第2の嵌合部の内の他方の嵌合部は嵌合凹部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の分離型内視鏡。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記管部の外周面の少なくとも一部分に対応する形状を有するガイド面部を有し、
前記第1の嵌合部は、前記ガイド面部によって形成されており、
前記第2の嵌合部は、前記管部の先端部に設けられ前記管部の他の部分よりも径の大きな拡径部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の分離型内視鏡。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の分離型内視鏡の内視鏡シース。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の分離型内視鏡の内視鏡本体。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の分離型内視鏡の位置決め部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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