分離弾性糸系を有する伸縮性織物
いくつかの態様における製品は、縦糸および横糸を有する織布を包含する製品である。縦糸または横糸いずれかまたは縦および横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。その糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含し、かつ前記布は外側表面と裏面を有しかつ前記布は下記:(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であることの中の少なくとも1つを包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦および/または横方向に伸縮性を示す織布の製造に関する。本発明は、特に、弾性コア複合糸系および硬質基礎糸系を包含する別々の糸系を含有する布および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性織布または伸縮性織物の製造は長年に渡って行われてきている。布製造業者は一般に消費者が満足する布を達成するための正確な品質パラメーターが重要であることを認識している。しかしながら、そのような商業的に入手可能な布の場合、伸縮性布の本体が弾性複合糸自身で構成されている。弾性糸は下記の2つの機能を果たす:(1)伸縮性糸が被覆、美および手触りを与えるように布の基礎を成すこと、および(2)伸縮性糸が伸び回復機能を与えるように弾性をもたらす。多くの場合、布に伸縮機能を持たせるとそれの外観および性能が悪化する。一般に、伸縮性布が有する外観は弾性糸を含有しない硬質布のそれとは異なる。数多くの織り工程は弾性糸を含有させるとそれが理由で実施が困難になり、例えばデニム用糸のインジゴ染色およびシャツ用糸のパッケージ染色などの実施が困難になる。また、弾性糸加工中の織物生産効率も低下する。たいていは、布中に過剰な収縮力が存在する結果として布の寸法安定性が低下する。寸法安定性を示すそのような弾性含有布を生じさせようとする時に必要な工程は布の収縮力を制御するための熱処理である。
【0003】
伸縮性布の場合には大部分の弾性もしくはゴム弾性糸が相対的に弾性の無い繊維、例えばポリエステル、綿、ナイロン、レーヨンまたは羊毛などと組み合わせて用いられる。しかしながら、本明細書の目的で、そのような比較的弾性の無い繊維を“硬質(hard)”繊維と呼ぶことにする。
【0004】
紡績綿およびゴム弾性繊維を含有する通常の複合糸の染色は典型的に織りで使用する前にパッケージ染色として行われるが、欠点が存在する。具体的には、ゴム弾性コア糸がパッケージ染色で用いられる熱水温度で縮むであろう。加うるに、その複合糸がパッケージ上で圧縮されて非常に密になることで染料が糸パッケージの内部に流れ込むのが邪魔される。それによってしばしば染色パッケージ内の糸の直径方向の位置に応じて色合いおよび伸縮度合が多様な糸が生じてしまう可能性がある。コアスパン(core−spun)複合糸の染色ではそのような問題を軽減する目的で時には小型のパッケージが用いられる。しかしながら、小型パッケージ染色は相対的に高価である、と言うのは、余分なパッケージおよび取り扱いが必要になるからである。
【0005】
通常の産業的実施を上に示したが、製織工程および/または製品を向上させようとして行われた試みを示す目的で追加的参照を本明細書の以下に記述する。例えば、1つの方向に裸のスパンデックスを有しかつもう一方の方向に硬質糸を有する織布が特許文献1に開示されている。しかしながら、その裸のスパンデックスの延伸撚りを個別の工程で行う必要がありかつスパンデックスが布表面に露出する可能性もある。
【0006】
各対が裸のゴム弾性繊維および2番目の硬質糸を有する対になった縦糸が同じヒールドアイレット(heald eyelet)およびデント(dent)の中を平行に異なる張力で通っている縦伸縮性織布および方法が特許文献2に開示されている。しかしながら、また、そのスパンデックスも布表面および裏面に表われている。
【0007】
複合糸および硬質糸の両方が縦方向に用いられている縦伸縮性織布を製造する目的で用
いられた方法が特許文献3に開示されている。その複合糸はポリウレタン糸を含有して成っていて、それが合成マルチフィラメント硬質糸で取り巻かれておりそしてその後にサイズ材料で被覆されている。その複合体をサイズ材料で被覆する前の構造は、図3に示す複合糸の構造である。その複合糸は、所望の縦方向伸縮性を達成する目的で、縦糸として個別の合成マルチフィラメント硬質糸に対して様々な比率で用いられている。その複合糸および方法は、縦伸縮性布を製造する目的および横伸縮性布製織における困難さを回避する目的で開発されたものである。しかしながら、その弾性糸の大きさは硬質糸のそれと同じでありかつ布表面に露出している。
【0008】
あや織り布の縦方向に存在する裸のゴム弾性体が示すグリンスルー(grin−through)を軽減する方法が特許文献4に記述されている。しかしながら、その用いられたゴム弾性体が裸の形態であることでゴム弾性体の滑りが衣類洗濯後に起こってしまう。実行可能な布構造の範囲は狭くかつ織りの効率も低い。
【0009】
従って、収縮率が低く、加工が容易でありかつ衣類の製造にふさわしい伸縮性織物の製造が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,169,558号
【特許文献2】英国特許第15123273号
【特許文献3】日本公開出願2002−013045
【特許文献4】米国特許第6,659,139号
【発明の要約】
【0011】
いくつかの態様における製品は、縦糸と横糸を有する織布を包含する製品である。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を包含し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ前記布は下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する。
【0012】
別の態様における製品は、縦糸と横糸を有する織布を包含する製品である。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を含有し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ前記布は下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
を包含する。
【0013】
また、製品を製造する方法も包含し、この方法は、縦糸と横糸を有する布を織ることを包含する。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を
含有し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
詳細な説明で下記の図を参照し、ここで、同様な数値は同様な要素を指す。
【図1】図1は、二縦糸系を伴う例示布構造である。
【図2】図2は、2/2のあや織り基礎 + 1/1のコア布構造のリフトプランである。
【図3】図3は、3/1のあや織り + 1/1の非適合構造のリフトプランである。
【図4】図4は、3/1のあや織り + 1/1の適合構造のリフトプランである。
【図5】図5は、通常の布処理ルーチンを示すブロック図である。
【図6】図6は、製織で組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図7】図7は、整経で組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図8】図8は、糊付けで組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図9】図9は、3/1のあや織り + 3/1の適合構造のリフトプランである。
【図10】図10は、2/2のあや織り + 2/2の適合構造のリフトプランである。
【図11】図11は、長い浮織り構造を伴う2/2のあや織りのリフトプランである。
【発明の詳細な説明】
【0015】
ゴム弾性繊維は、通常、伸縮性と弾性回復を織布および衣類に与える目的で用いられる。“ゴム弾性繊維”は連続フィラメント(場合により合体マルチフィラメント)または複数のフィラメントのいずれかであり、これらは希釈剤を含有せず、かつ如何なるひだからも独立して100%を超える破壊伸びを示す。ゴム弾性繊維は、(1)これの長さの2倍に引き伸ばし、(2)1分間保持しそして(3)解放した時に解放から1分以内に縮む度合は元々の長さの1.5倍未満である。本明細書の文脈で用いる如き“ゴム弾性繊維”は少なくとも1種のゴム弾性繊維もしくはフィラメントを意味する。そのようなゴム弾性繊維には、これらに限定するものでないが、ゴムフィラメント、2成分フィラメントおよびエラストエステル、ラストール(lastol)およびスパンデックスが含まれる。用語“ゴム弾性”と“弾性”を本明細書全体に渡って互換的に用いる。
【0016】
“スパンデックス”は、フィラメント形成物質が少なくとも85重量%がセグメント化ポリウレタンで構成されている長鎖合成重合体である製造されたフィラメントである。
【0017】
“エラストエステル”は、繊維形成物質が少なくとも50重量%が脂肪族ポリエーテル
および少なくとも35重量%がポリエステルで構成されている長鎖合成重合体である製造されたフィラメントである。
【0018】
“2成分フィラメント”は、フィラメントの長さ方向に沿って互いに接着している少なくとも2種類の重合体を含有して成っていて各重合体が異なる一般的種類、例えばゴム弾性ポリエーテルアミドコアと突出物または羽根状物を伴うポリアミド殻などである連続フィラメントである。
【0019】
“ラストール”は、少なくとも95重量パーセントがエチレンで構成されかつ他の少なくとも1種のオレフィン単位を含有して成っていて低いが有意な結晶化度を示す架橋合成重合体の繊維である。この繊維は弾性を示しかつ実質的に耐熱性である。
【0020】
“被覆”ゴム弾性繊維は、硬質糸で取り巻かれているか、それと一緒に撚られたか或はそれと混ざり合っている繊維である。本明細書の文脈では、また、ゴム弾性繊維および硬質糸を含有して成る被覆糸も“複合糸”と呼ぶ。硬質糸でゴム弾性繊維を被覆することはその繊維を製織工程中に起こる摩滅から保護するに役立つ。そのような摩滅が起こるとゴム弾性繊維の破壊が起こり、その結果として工程の中断がもたらされかつ布が好ましくなく不均一になってしまう。その上、そのような被覆は、ゴム弾性繊維が示す弾性挙動を安定化させるにも役立ち、その結果として、そのような複合糸が製織工程中に示す伸びの制御を裸のゴム弾性繊維を用いた時に可能な度合よりも均一に行うことが可能になる。用語“弾性コア糸”、“弾性コアエンド”、“コアエンド”、“複合糸”、“コア糸”および“複合弾性コア糸”の全部を本明細書の全体に渡って互換的に用いる。
【0021】
複合糸には、(a)ゴム弾性繊維が硬質糸で1回巻かれている糸、(b)ゴム弾性繊維が硬質糸で二重に巻かれている糸、(c)ゴム弾性繊維をステープル繊維で連続的に被覆(即ちコア紡績)した後に巻き取り中に撚った糸、(d)ゴム弾性体と硬質糸を混ぜ合わせてエアージェットで絡ませた糸、および(e)ゴム弾性繊維と硬質糸を一緒に撚った糸が含まれる。
【0022】
“グリンスルー”は、布中の複合糸が露出していて見える度合を記述する目的で用いる用語である。グリンスルーはこれ自身好ましくない輝きとして明らかになり得る。選択を行う必要がある場合、表面側のグリンスルーが低い方が裏面側のグリンスルーが低いよりも好ましい。
【0023】
いくつかの態様の伸縮性布は、非ゴム弾性基礎糸縦エンド(基礎エンドと呼ぶ)および弾性コア複合糸縦エンド(コアエンドと呼ぶ)を含有する。いくつかの態様では、弾性繊維を比較的少ない量で用いて予想外に高い伸縮性と回復特性を示す布を達成した。2種類の糸系を縦糸として用いることでそれを達成した。当業者は、横伸縮性が必要な布ではそれに非ゴム弾性基礎糸横エンドおよび弾性コア横糸を含有させてもよいことを理解するであろう。
【0024】
いくつかの態様では伸縮性布を製造する方法を提供し、この方法は、2種類の別々の糸系(図1に示す如き)、即ち基礎糸系6と弾性コア糸系4を伴う布を準備することを包含する。その基礎糸系6は美、外観、手触りの性能を果たす。弾性コア糸系4は伸縮性および回復機能を果たす。横糸2を図1に断面として示し、これは硬質糸および場合により弾性糸(複合弾性コア糸を包含)を含有する。
【0025】
いくつかの態様における布は、被覆複合糸を弾性コア系として含有する。その複合弾性糸は隣接して位置する硬質糸によって布の内側に隠されていて布表面には表われていない。そのような布は、弾性糸の量が相対的に少なくても高い伸縮性と回復力を示す利点を有
することに加えて、寸法安定性を示す布を生じさせようとして熱処理段階を設ける必要がないことが別の利点である(即ち、その布の縁には縁の丸まりが実質的になくかつその布は、弾性糸が示す収縮力によって引き起こされるねじれを伴うことなく織物として形状を維持する)。
【0026】
更に、本発明の別の態様では、弾性コア糸が被覆スパンデックス糸である布および伸縮性布製造方法も提供する。その裸のスパンデックス糸(複合糸を生じさせるための被覆を受けさせる前の)は約11dtexから約444dtex(デニール-約10Dから約400D)[11dtexから約180dtex(デニール10Dから約162D)を包含]であってもよい。そのようなスパンデックス糸に糸の番手が6から120Neの1種以上の硬質糸による被覆を受けさせる。その被覆工程中にスパンデックス糸に元々の長さの1.1Xから6Xの範囲のドラフトを受けさせる(drafted)。
【0027】
いくつかの態様の布は、布表面に実質的に表われていない弾性コア糸を含有する。これを、ある程度ではあるが、デニールが弾性コア糸のそれと少なくとも同じである硬質糸、好ましくはデニールが弾性糸のそれよりも大きい基礎糸を含有させることで達成する。基礎糸と弾性コア糸が示す糸デニールの比率が約1:1から約20:1および約5:4から約20:1(約2:1から約10:1を包含)になるようにする。基礎糸重量と弾性コア糸重量の他の適切な比率の範囲には5:4から約15:1、3:2から約15:1および3:2から約10:1が含まれる。
【0028】
コア糸内のゴム弾性繊維含有量を糸の重量を基準にして約0.1%から約50%(約0.5%から約40%および約5%から約30%を包含)の範囲にする。布内のゴム弾性繊維含有量を布の総重量を基準にして約0.01%から約5重量%(約0.1%から約3%を包含)にしてもよい。また、様々な織物形状を与えることが可能な布および伸縮性布製造方法も提供し、そのような織物形状には平織り、ポプリン織り、あや織り、オックスフォード織り、ドビー織り、朱子織り、繻子織りおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
そのような弾性コア糸を硬質糸と組み合わせる時期は製織中、整経中、ビーミング(beaming)または糊付け操作中であってもよい。布の仕上げには、洗い流し、漂白、マーセライズ加工、染色、乾燥および圧縮から成る群より選択される1段階以上およびそのような段階の任意組み合わせが含まれる。
【0030】
いくつかの態様の布が縦または/および横方向に示す伸びは約10%から約45%であり得る。そのような布が洗濯後に示す収縮率は約10%以下であり得る。その伸縮性織布は優れた綿手触りを示し得る。本明細書に記述する布を用いて衣類を製造することができる。
【0031】
いくつかの態様に含める硬質基礎糸は、例えば紡績ステープル糸、例えば綿、羊毛またはリネンおよびフィラメントなどであってもよい。それらはまた1成分ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維、ポリカプロラクタム繊維、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)繊維、アクリル繊維、モダクリル繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ナイロンおよびこれらの組み合わせで出来ていてもよい。
【0032】
複合コア弾性糸の含有量を縦糸の全重量を基準にして約30重量%以下にしてもよい。重量が5オンス/平方ヤード以上の布の場合に受け入れられる縦糸中ゴム弾性繊維含有量は縦糸総重量の約2%以下であり得、それには布総重量の約0.2%から約2%および約1%以下が含まれる。重量が5オンス/平方ヤード未満の布の場合に受け入れられる縦糸中ゴム弾性繊維含有量は縦糸総重量の約5%未満であり得、それには布総重量の約1%から約5%および3%以下が含まれる。
【0033】
いくつかの態様の本発明の布に受け入れられる度合の伸縮性および回復をもたらすことを見いだした弾性繊維量は通常の布に見られるそれとは対照的である。5オンス/平方ヤードより重い通常の伸縮性織物の場合のゴム弾性繊維含有量は一般に2%以上である。本発明の布の場合のゴム弾性繊維含有量は約1%以下、約0.2%以下でさえあってもよいが、それでも良好な伸縮性および回復を示す。1つの理由は、コア弾性糸の織物形状と基礎糸の織物形状が異なってもよい点にある。従って、複合弾性コア糸の力の方が有効に用いられ得る。また、弾性コア糸の糸直径の方が基礎糸のそれよりもずっと小さく、仕上げおよび染色工程中の弛緩段階の時に弾性コア糸が布中心部に移行することで、ゴム弾性繊維がより有効に伸縮性および回復を示し得る。通常の布とは対照的なさらなる点は、通常の布に含まれている複合糸が布表面に露出しておりかつ織物形状が他の表面糸のそれと同じである点である。
【0034】
横糸は縦糸と同じまたは異なってもよい。本布は縦伸縮性のみを示してもよいか或は2方向伸縮性を示してもよく、その場合には有効な伸縮性および回復特性を縦と横方向の両方に示す。そのような横伸縮性を2成分フィラメント糸、スパンデックス、溶融紡糸ゴム弾性体などを用いることで与えることができる。
【0035】
横糸に弾性糸を含有させる場合、それに2番目の糸(場合により紡績テープル糸)、例えばピック−およびピックまたは共−挿入構造などの糸を含有させてもよい。弾性糸もしくは繊維を横糸に含める場合(弾性糸が複合弾性コア糸であることを包含)、その横糸に存在させる弾性糸の量は横糸の約0.2%から約5重量%(約0.2%から約2%を包含)であってもよい。
【0036】
基礎(硬質糸)エンドとコア弾性エンドの比率を約2:1から約8:1にしてもよい。基礎エンドとコアエンドの受け入れられる他の比率は約4:1から約8:1および約4:1から約6:1であり得る。この比率があまりにも低すぎると、コアエンドが布の表面に過度に露出する結果として視覚的および触覚的美観が好ましくなくなってしまう。前記比率があまりにも高いと、そのような布は好ましくなく低い伸縮性および回復特性を示す可能性がある。
【0037】
コアエンドの浮織りが織物形状に応じて布表面上で6ピック以下であるようにする。更に、複合弾性糸が表面に表われないようにする目的で、コアエンドの浮織りを5ピック以下または4ピック以下にしてもよい。この布の裏面側ではコアエンドの浮織りを織物形状に応じて6ピック以下、5、4または3ピック以下にしてもよい。コアエンドの浮織りがあまりにも長いと、そのような布は不均一な表面およびほつれを有する可能性がある。また、グリンスルーも許容されなくなってしまう可能性がある。
【0038】
“コアエンド露出数”は、所定ピックの所のピック糸もしくは連続フィラメントの反対側(横方向)に存在する各コアエンドに隣接して位置する非ゴム弾性(縦方向)表面エンドの数(コアエンドと比較した)を表す。その数は当該ピックの所のコアエンドが表面に存在するか或は裏面に存在するかに応じて布の表面および裏面に関する数であり得、ゼロ、1または2の整数値を持ち得る。例えば、図2に示したリフトプランでは、表面エンドを2/2のあや織物形状として示し、その中に1個のコアエンドが織り込まれている。“H”6は非ゴム弾性(‘硬質’)表面エンドを示しそして“E”4は弾性コアエンドを示す。“EC”9は露出数の省略形であり、“F”8は表面側および“B”10は裏面側である。この図全体に示すように、黒(暗)四角はピックの上を通る非ゴム弾性表面エンドを示し、白四角はピックの下を通る非ゴム弾性表面エンドを示し、“X”はピックの上を通るコア弾性エンドを示し、そして“O”はピックの下を通るコア弾性エンドを示す。また、横方向の糸2も示す。“EC”9の下の数は、各ピック毎のコアエンド露出数を示す。この形状繰り返しの1番目のピック2Aの所のコア弾性エンド7は布の表面側に存在し
、そして隣接して位置する1つの非ゴム弾性表面エンド6Aは布の裏面側に存在し、その結果として、そのピックに関する弾性コアエンド表面露出数は1である。2番目のピック2Bの所のコア弾性エンドは裏面に存在し、そして隣接して位置する非ゴム弾性表面エンドは両方とも前面に存在し、その結果として裏面の露出数は2である。3番目のピック2Cの所のコア弾性エンドは表面に存在し、そして隣接して位置する1つの非ゴム弾性表面エンドは裏面に存在し、その結果として、そのピックに関するコア弾性エンド表面露出数は1である。この形状繰り返しの最後のピック2Dの所の複合コアエンドは裏面に存在することに加えて隣接して位置する両方の非ゴム弾性表面エンドも裏面に存在し、その結果として、弾性コアエンド裏面露出数はゼロである。
【0039】
いくつかの態様の布が示す形状繰り返し中の弾性コアエンド表面露出数は1以下であり、好ましくは、形状繰り返し中の表面露出数はゼロである。言い換えれば、その構成する糸が外側表面に存在する時に隣接して位置する少なくとも1本の硬質糸が同じピックの上を通っている。複合エンドが表面側に存在しそして隣接して位置する少なくとも1つの非ゴム弾性エンドの浮織りが表面側で1ピック以下であるとグリンスルーが更に低下する。表面露出数が2であると、表面上のコア複合糸が示すグリンスルーが受け入れられないほど高くなる可能性があり、特にコアエンドの浮織りが2または3ピックの時に高くなる可能性がある。コア糸の露出およびグリンスルーが最小限であるより均一な布を製造しようとする時は、布が示すコアエンド裏面露出数を1以下にすべきである。
【0040】
図3に示す非適合コアエンド形状を示す織り構造物は布表面側に更に良好な外観を示す可能性がある。図3には、2本の弾性コア糸、即ちコア糸Iおよびコア糸IIが存在する。4本の硬質基礎糸6が2本の弾性糸4Aと4Bの間に存在する。編み込み地点Xは、横糸2Aと弾性糸4Aが交差する織り地点である。この地点では、弾性糸が横糸を布の裏方向に押している。しかしながら、地点Yでは、弾性コア糸4Bが横糸2Aと一緒に編み込まれており、その地点ではコア弾性糸が横糸を布の表面の方向に押している。その結果として、横糸全体が布の中心に保持される。布表面には横糸片が存在しない。それとは対照的に、図4に示す織物形状では、コア弾性糸が個別に横糸に沿って同じ織り合わせ形状を有する。しかしながら、地点Xにおける横糸2Aでは、弾性糸4Aが横糸を布の裏方向に押しており、そして隣接地点(地点Y)でもまたコア弾性糸4Bが横糸を布の裏方向に押している。従って、横糸2A全体では、それが布の裏方向に存在するであろう。隣接して位置する横糸2Bでは、それが弾性糸4Aおよび4Bによって布の表面方向に押されている。その結果として、布表面に横糸片が存在することになるであろう。
【0041】
複合コア糸を必要な如何なる量で存在させてもよく、例えば複合弾性糸が横糸として存在していない場合(即ち、複合糸が縦糸のみに存在する場合)、布総重量を基準にして約5から約20重量パーセントなどにしてもよい。複合弾性コア糸を縦および横糸の両方に存在させる場合、その複合糸をより多い量、例えば約10から40重量%などの量で存在させてもよい。
【0042】
そのような複合コア糸には多様な複合糸、例えばゴム弾性繊維が硬質糸で1回巻かれている糸、ゴム弾性繊維が硬質糸で2回巻かれている糸、ゴム弾性繊維をステープル繊維で連続的に被覆(即ちコア紡績)した後に巻き取り中に撚った糸、ゴム弾性体と硬質糸を混ぜ合わせてエアージェットで絡ませた糸、およびゴム弾性繊維と硬質糸を一緒に撚った糸などが含まれる。
【0043】
いくつかの態様の布の製造で用いる複合糸が示す線形密度は約15デニール(16.5dtex)から約900デニール(990dtex)の範囲であってもよく、それには約30デニールから300デニール(33dtexから330dtex)が含まれる。複合糸と硬質糸の間の糸のデニールの比率が0.8未満であると、そのような布は実質的なグ
リンスルーを示さない。仕上げ工程後にコア糸が布の中心部に移行し、見えなくなりかつ触れることができなくなる。
【0044】
本発明の方法の1つの態様では、複合糸と基礎糸を製織操作中に一緒にする。図5に伸縮性布用の通常の処理ルーチンを示す。本発明の発明処理ルーチンを図6に示す。硬質縦および弾性縦糸ビームを個別に生じさせる。二重ビーム能力を有する織機が必要である。通常は、硬質基礎糸ビームを織機の下部に位置させる。弾性コア糸を伴うビームを上部に置く。基礎およびコア糸の両方をビームから送り出してホイップロールまたはローラーの上に通すことで、製織動作中の糸張力変動を制御する。次に、その糸をドロップワイヤー(drop wires)、ヘドルおよびリードに導く。基礎糸およびコア糸を同じデントの中に存在させてもよい。考案した繰り返しと同様な様式で織られる縦糸の全部が所定のハーネスを占めるようにする。リードによって縦糸シートの幅および製織前の等しい糸空間が確立される。それはまた“布の伏せ縫い”の所で挿入された充填糸(ピック)の各々を布本体の中に押し込む[ビートアップする(beating−up)]目的で用いる機構でもある。その伏せ縫いは糸が布になる地点である。この地点で基礎糸、コア縦糸および横糸が布の形態になり、そして布ロールに集められる準備が出来ている。
【0045】
また、当該コア糸と基礎糸を整経操作中に一緒に組み合わせることも可能である。この処理手順を図7に示す。整経は、複数の糸を個々の糸パッケージから単一のパッケージアセンブリに移行させる工程である。通常は、糸を糸が互いに平行かつ同じ面に位置するシート形態でビーム(これは側フランジを有する円筒形バレルである)上に集める。その供給する糸パッケージをスピンドル(これをクリールと呼ぶ枠組みの中に位置させる)の上に置く。コア糸と基礎糸をクリール上の特定の位置に置く。次に、それらを引き出すことで必要な形状の混合シートを生じさせる。最後に、それらを一緒にビームに巻き取る(図8)。
【0046】
また、当該コア糸と硬質糸をスラッシング(slashing)(糊付け)工程中に混合することも可能である。縦糸を糊付けする主な目的は、その糸を保護被膜で封じ込めることにある。その保護被膜によって製織操作中に起こる糸摩滅が減少しかつ織機の所で起こる糸の多毛化が減少することで隣接して位置する糸が互いに絡み合うことが防止される。そのコア糸と表面糸を糊付け機の中で混合する。スラッシャーレンジ(slasher
range)の後方末端の所でビーミング工程によるセクションビーム(section beam)がクリールされる(creeled)。各ビームから糸が引き出された後に別のビームから引き出された糸と一緒になることで多数の糸シートが生じるが、そのシートの数は機械に備わっているサイズボックス(size boxes)の数に相当する。サイズボックス内で前記糸が下方に導かれて液状サイズの中に浸かる。その糸シートが1組の圧縮ロールによってサイズボックスから汲み出されるが、それは、サイズが糸の中に染み込む量を制御するに役立つ。それによって糸の中に染み込むサイズの量が調節される。その後、その糸を蒸気加熱乾燥缶もしくはシリンダーの上に通すことで乾燥を起こさせる。その時点で糸を完全には乾燥させず、必要な水分が保持されるように監視する。大部分の縦糸がサイズによって起こす増量度合は4−14%である(糸の元々の重量に加わった実際の乾燥固体重量)。それは縦糸の種類に依存する。サイズの量があまりにも多いと糸のチャフィング(chaffing)が起こることに加えて織機の所でサイズ粒子の過度の脱落が起こり、そしてサイズの量があまりにも少ないと過度の糸摩滅が起こる結果として染料条こん、粘着、破断および縁の絡み合いが生じることで、結果として製織効率が低くなってしまう。
【0047】
あらゆる糸を1組のステンレス鋼製スプリットロッド(split rods)[これは糸を個々のシートに分離させるに役立つ]に通す。それによって、1つのシートに由来する糸が別のシートに由来する糸に接着することが確保される。そのスプリットロッドに
通した後の縦糸を集めて単一のシートにした後、コム(comb)[これは個々の糸に分離させるに役立つ]に通す。その拡張型コムを所望の織機ビーム幅に調整する。その時点で、あらゆる縦糸、表面糸およびコア糸を織機ビームに巻き取る。通常は、スラッシャークリール内で1組のセクションビームから数個の織機ビームを生じさせる。
【0048】
また、基礎糸と弾性コア糸構造の組み合わせを横方向に用いることも可能である。製織工程中に基礎糸と弾性コア糸を充填糸(fill yarns)として布中に挿入してもよい。それらを単一のピックまたは2つのピックによって1本の横糸挿入中に導入してもよい。エアジェット織機、レピア織機、プロジェクタイル(projectile)織機、ウォータージェット織機およびシャトル織機を用いることができる。
【0049】
布を弛緩させた後ではコア弾性糸が布表面に実質的に表われていない。図1にその構造を示す。コア糸4の波高の方が低くかつ硬質糸2および6がコア糸の方に傾いていることが理由で、コア糸は布の中心部に位置し、表面糸2および6で基本的に覆われていることで、表に出ることも触れることもない。
【0050】
染色および仕上げ工程は、満足される布を製造しようとする時に重要な工程である。布に仕上げを連続レンジ(range)工程および後染めジェット工程で受けさせてもよい。連続仕上げプラントおよび後染め工場に見られる通常の装置が一般に処理で用いるに充分である。通常の仕上げ工程手順は、調製、染色および仕上げを包含する。調製および染色工程[シンギング(singing)、サイズ除去(desizing)、洗い流し、漂白、マーセライズ加工および染色を包含]では、通常の弾性織物処理方法が一般に満足される方法である。
【0051】
仕上げ工程は、2方向伸縮性を示す本発明の布(即ち、横方向ばかりでなく縦方向にも伸縮性を示す布)を満足されるように製造しようとする時により重要な段階である。仕上げを通常はテンターフレーム(tenter frame)を用いて実施する。このテンターフレームを用いた仕上げ工程の主目的は、柔軟剤である耐しわ性樹脂を詰め込んで硬化させかつスパンデックスの熱処理を行うことにある。
【0052】
予想外に、また、本伸縮性織布にはそのような熱処理工程が必要でない可能性があることも見いだした。本布は熱処理無しに数多くの最終使用仕様に合致する。本布は熱処理無しでも約10%未満の収縮率を維持する。熱処理ではスパンデックに“処理”を引き伸ばされた状態で受けさせる。これはまた再デニール化(re−deniering)としても知られ、その処理では、高デニールのスパンデックスにドラフト、即ち引き伸ばしを受けさせることでデニールをより低くした後、そのスパンデックスが低い方のデニールで安定化するに充分に高い温度で充分な時間加熱する。従って、熱処理は、引き伸ばされたスパンデックスが示す回復張力がほとんど解放されてスパンデックスが新しい低い方のデニールで安定になるようにスパンデックスが分子レベルで永久的に変化することを意味する。スパンデックスに適した熱処理温度は一般に175℃から200℃の範囲内である。通常のスパンデックスに適した熱処理条件は約190℃で約45秒以上である。
【0053】
通常の布の場合、スパンデックスを“処理する”ための熱処理を用いないと、そのような布は高い収縮率、過度の布重量および過度の伸びを示す可能性があり、その結果として、その消費者が否定的な体験をする可能性がある。布仕上げ工程中に過度の収縮が起こると結果として加工および家庭で洗濯を行っている時に布表面にしわが生じる可能性がある。そのような様式で生じたしわをアイロンがけで取り除くのはしばしば非常に困難である。
【0054】
本新規な方法では、そのような工程における高温熱処理段階をなくすことで、熱によっ
て特定の繊維(即ち綿)が損傷を受ける度合を低下させることができ、そのようにして、仕上げされた布の取り扱いを向上させることができる。いくつかの態様の布では、それの調製を熱処理段階無しで実施することができる(布を衣類に調製する場合を包含)。さらなる利点として、本新規な方法では熱に敏感な硬質糸を用いてシャツ地を弾性布にすることができ、このようにして、様々な改良製品の可能性が高まる。加うるに、工程時間がより短いことで布製造業者は生産性の利点が得られる。
【0055】
いろいろな最終使用に関して、弾性糸含有複合糸を織る前に染色を行う必要がある。パッケージ糸染色は複合糸を処理するに最も簡潔で最も経済的な方法である。綿およびゴム弾性繊維1種または2種以上を含有する典型的な複合糸の場合、糸パッケージ染色工程中に欠点が生じる。具体的には、そのゴム弾性コア糸がパッケージ染色で用いられる熱水温度で縮みを起こす。加うるに、その複合糸がパッケージ上で圧縮されて非常に密になることで、染料が糸パッケージの内部に流れ込むのが邪魔される。それによってしばしば染色パッケージ内の糸の直径方向の位置に応じて色合いおよび伸縮度合が多様な糸が生じてしまう可能性がある。複合糸の染色ではそのような問題を軽減する目的で時には小型のパッケージが用いられる。しかしながら、小型パッケージ染色は相対的に高価である、と言うのは、余分なパッケージおよび取り扱いが必要になるからである。
【0056】
通常の布では、また、他のいくつかの糸染色方法、例えばかせ糸染色、インジゴ糸ビーム染色およびロープ染色なども用いられる。そのような方法を用いたのでは弾性複合糸が技術的困難さを示しかつ一貫性および品質に問題が生じる。
【0057】
本発明の布では、複合糸をコア糸として用いる。この複合コア糸を実質的なグリンスルー無しに布中心部の中に埋め込む。従って、複合糸染色工程をなくすことも可能である。好まれる色に応じて染色が必要な糸は硬質基礎糸のみである。弾性コア糸は染色無しに自然な色のまま使用可能である。
【0058】
数種の硬質糸を複合糸に入れる硬質繊維として用いることができ、例えば綿、羊毛、ポリエステルフィラメントおよびナイロンフィラメントなどを用いることができることが分かる。そのような硬質糸は布に追加的機能を付加させる機会を与えるものである。例えば、ポリエステルおよびナイロンフィラメントなどは綿布のじん性を向上させかつ耐しわ能力を改善する。綿および羊毛糸は合成布の水分を増加させる。また、特殊な機能的糸を導入することも可能である。例えば、水分を体から吸収して迅速に外側もしくは伝導性繊維(これは電気伝導性である)に送達するに役立つCOOLMAX(商標)繊維などを用いることも可能である。また、ボディーケア、爽やかさおよび手入れ容易さ特性を示す布を生じさせる目的で抗菌性繊維およびミクロカプセルを用いることも可能である。
【0059】
分析方法:
織布の伸び(伸縮性)
布に布伸縮方向1つまたは2つ以上[これは複合糸の方向(即ち、横、縦または横と縦)である]の伸び%に関する評価を特定負荷(即ち、力)下で受けさせる。寸法が60cm x 6.5cmのサンプルを布から3個切り取った。長さ寸法(60cm)は伸縮方向に相当する。これらのサンプルをある程度ほどくことでサンプルの幅を5.0cmにまで狭くした。次に、これらのサンプルに条件付けを20℃ +/− 2℃および65% +/− 2%の相対湿度下で少なくとも16時間受けさせた。
【0060】
1番目の基準線をサンプル末端部から6.5cmの所に各サンプルの幅を横切るように付けた。2番目の基準線を1番目の基準線から50.0cmの所にサンプルを横切るように付けた。その2番目の基準線からサンプルのもう一方の末端部までの余剰布を用いて金属ピンを挿入することが可能なループを作成して縫い付けた。次に、その金属ピンに重り
を取り付けることができるように前記ループの中に切り込みを入れた。
【0061】
そのサンプルのループではない末端部をクランプ留めして、布サンプルを垂直に吊した。17.8ニュートン(N)の重り(4LB)を宙づり用布ループに通して前記金属ピンに取り付けることで前記布サンプルを前記重りで引き伸ばす。そのサンプルを前記重りで3秒間引き伸ばすことでそれを“運動”させた後、手で重りを持ち上げることで力を解放した。このサイクルを3回実施した。次に、その重りを自由に吊すことで布サンプルを引き伸ばした。前記布に負荷がかかっている時の前記2つの基準線の間の距離(ミリメートルで表す)を測定して、この距離をMLと表示する。元々の基準線間の距離(即ち、引き伸ばされていない距離)をGLと表示した。各サンプルの各々が示す布伸び%を下記の如く計算する:
伸び%(E%) = ((ML−GL)/GL)x 100
【0062】
最終的結果として3回の伸び結果の平均を取った。
【0063】
織布の伸長(未回復伸び)
伸長を全く示さない布は引き伸ばし後に引き伸ばし前の元々の長さを正確に回復するであろう。しかしながら、典型的には、伸縮性布は長期間引き伸ばされた後に完全な回復を示さないで若干長くなるであろう。そのような若干の長さ増加を“伸長”と呼ぶ。
【0064】
この上に示した布伸び試験を伸長試験前に完了させておくべきである。布に試験を受けさせる方向は伸縮方向のみであった。2方向伸縮性布の場合には、両方の方向の試験を実施した。各々が55.0cm x 6.0cmのサンプルを布から3個切り取った。それらは前記伸び試験で用いたそれとは異なるサンプルであった。55.0cmの方向が伸縮方向に相当するようにすべきである。これらのサンプルをある程度ほどくことでサンプルの幅を5.0cmにまで狭くした。これらのサンプルに条件付けを前記伸び試験に示した温度および湿度下で受けさせた。2本の基準線を正確に50cm離してサンプルの幅を横切るように引いた。
【0065】
前記伸び試験で得た既知伸び%(E%)を用いて、この既知伸びの80%のサンプル長を計算した。これを下記の如く計算した:
80%のE(長さ) =(E%/100)x 0.80 x L
ここで、Lは基準線間の元々の長さ(即ち、50.0cm)であった。サンプルの両末端をクランプ留めした後、サンプルの引き伸ばしを基準線間の長さがこの上で計算した如きL + E(長さ)に相当するまで行った。その引き伸ばしを30分間保持し、その時間が経過した後に引き伸ばし力を解放し、そしてサンプルを自由に吊した後、弛緩させた。60分後に伸長%を下記の如く測定した
伸長%=(L2 x 100)/L
ここで、L2は、弛緩後のサンプル基準線間の長さ増加度であり、そしてLは基準線間の元々の長さである。この伸長%の測定を各サンプル毎に実施して、その結果の平均を取ることで伸長値を決定した。
【0066】
織布の収縮率
布が示す収縮率の測定を洗濯後に実施した。その布に最初に条件付けを伸びおよび伸長試験に示したそれらと同様な温度および湿度下で受けさせた。次に、2個のサンプル(60cm x 60cm)を布から切り取った。これらのサンプルを縁から少なくとも15cm離れた所から採取した。40cm x 40cmの4面を有する箱に布サンプルに関する印を付けた。
【0067】
洗濯機に前記サンプルおよび充填用布を入れて、前記サンプルの洗濯を実施した。洗濯
機に入れる空気乾燥材料の総充填量を2kgにし、試験サンプルが構成する洗濯物の量が半分以下になるようにした。その洗濯物の洗濯を温度が40℃の水を用いて穏やかに行った後、回転させた。洗剤使用量を水の硬度に応じて1g/lから3g/lにした。これらのサンプルを平らな表面の上に乾燥するまで置いた後、それらに条件付けを20℃ +/− 2℃および65% +/− 2%の相対湿度下で16時間受けさせた。
【0068】
次に、印間の距離を測定することで布サンプルが縦方向および横方向に示す収縮率を測定した。洗濯後の収縮率(C%)を下記の如く計算した:
C% =((L1 - L2)/L1)x 100
ここで、L1は印間の元々の距離(40cm)でありそしてL2は乾燥後の距離である。これらのサンプルが示した結果の平均を取って、横方向および縦方向の両方に関して報告する。収縮率値が負であることは膨張が行ったことを示し、これは、ある場合には硬質糸の挙動が理由で起こり得ることであった。
【0069】
布の重量
織布サンプルにダイスの直径が10cmのダイスを用いた打ち抜きを受けさせた。切り取った織布サンプル各々の重量をグラムで測定した。次に、“布重量”をグラム/平方メートルとして計算した。
【実施例】
【0070】
以下の実施例では、本発明および本発明を多様な軽量布の製造で用いることができることを示す。本発明は他の多様な態様も可能であり、本発明のいくつかの詳細は本発明の範囲および精神から逸脱することなく様々な明確な観点で修飾可能である。従って、本実施例は実際上例示であると見なされるべきであり、限定として見なされるべきでない。
【0071】
以下の13実施例の各々で綿が100%の開放端紡績糸を縦糸として用いた。それらに下記の2種類の番手の糸を含めた:7.0NeのOE糸および8.5NeのOE糸(不規則的な配置の形状を有する)。前記糸にインジゴ染色をビーミング前のロープ形態で受けさせた。次に、それらに糊付けを受けさせた後、織りビームを作成した。
【0072】
数種の複合糸を縦方向のコア糸として用いた。いろいろな横糸を横糸として用い、それにLYCRA(商標)スパンデックス/綿コアスパン糸を含めた。表1に、各実施例のコア糸を作成する時に用いた材料および処理方法を示す。表2に、各布に関する詳細な布構造および性能の要約を示す。LYCRA(商標)スパンデックスはINVISTA S.a r.L.(Wichita、KS)から入手可能である。例えば、頭語がスパンデックスである縦列の中の40Dは40デニールを意味し、3.5Xはコア紡績機によって与えられたLYCRA(商標)のドラフトを意味する(機械ドラフト)。例えば、頭語が‘硬質糸’の縦列の中の40は紡績糸をEnglish Cotton Count Systemで測定した時にそれが示した線形密度である。表1に示す項目の残りには明白な表示を付ける。
【0073】
その後、伸縮性織布の作成を表1に示した各実施例のコア糸および表面糸を用いて実施した。いろいろな糸を横糸として用いた。表2に、布で用いた糸、織物形状および布の品質特徴を要約する。各実施例に関するいくつかの追加的所見を以下に示す。特に明記しない限り、シャツ地用布をDonierエアジェット織機で織った。織機の速度を500ピック/分にした。織機内および生地状態の布の幅をそれぞれ約76および約72インチにした。その織機は二重織りビーム能力を有する。コア糸を前記織機の上部に置きそして基礎糸を前記織機の下部に置く。
【0074】
これらの実施例における各生地布に仕上げをジグル(jiggle)染色機を用いて受
けさせた。各織布に予備洗い流しを3.0重量%のLubit(商標)64(Sybron Inc.)を用いて49℃で10分間受けさせた。その後、それにサイズ除去を6.0重量%のSynthazyme(商標)(Dooley Chemicals.LLC
Inc.)および2.0重量%のMerpol(商標)LFH(E.I.DuPont
Co.)を用いて71℃で30分間受けさせた後、洗い流しを3.0重量%のLubit(商標)64、0.5重量%のMerpol(商標)LFHおよび0.5重量%の燐酸三ナトリウムを用いて82℃で30分間受けさせた。布の仕上げを行った後にテンターフレームを用いた乾燥を160℃で1分間実施した。これらの布に関しては熱処理を実施しなかった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【実施例1】
【0080】
3/1コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne綿にした。LYCRA(商標)のドラフトは3.6Xである。織機の速度を1分当たり500ピックにし、ピックレベルを1インチ当たり41ピックにした。縦コア糸では1下降と3上昇織物形状を用いる。その上、それに適合形状を用いる(図9)。表2に試験結果を要約する。その試験結果は、その織物を洗濯した後の重量は13.9オンス/平方ヤードであり、縦方向および横方向それぞれの伸びは13.3%および24.9%で伸長度は3.8%および4.3%であることを示している。これらのデータは全部がそのようなコア伸縮性糸と表面硬質糸の組み合わせおよび布構造によって良好な布伸縮性および伸長度がもたらされ得ることを示している。布は全くグリンスルーを示さず、コア縦糸は表面および裏面の両方とも見られない。
【実施例2】
【0081】
2/2コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルに持たせた同じ布構造は実施例1のそれと同じであった。異なる点は縦コア弾性糸に2上昇および2下降の織物形状を用いたことのみであった。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne綿にした。織機の速度を1分当たり500ピックにし、1インチ当たり41ピックにした。表2に試験結果を要約する。このサンプルは良好な伸び(縦12.3%
X 横25.7%)を示すことは明らかである。そして幅は53.3インチ。この布もまた低い収縮率を示す。このように、このサンプルは熱処理工程を必要としない。熱処理無
しでも布の外観および取り扱いが向上した。
【実施例3】
【0082】
1/1コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
この布で用いた縦および横糸は実施例1および実施例2に示したそれらと同じであった。また、製織および仕上げ工程も実施例2および3に示したそれらと同じにしたが、弾性コア縦糸の織物形状を1/1の平織りにした(図4)。表2に試験結果を要約する。このサンプルの重量は13.8オンス/平方ヤードであり、良好な伸び(縦12.2% X 横26.1%)および受け入れられる洗濯収縮率(縦4.6%X 横2.7%)を示すことが分かるであろう。再び、このサンプルも熱処理工程を必要としない。この布の外観および取り扱いは優れていた。
【実施例4】
【0083】
縦伸縮性デニム
縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を綿が100%の12Neの開放端糸にした。この横糸は硬質であり、これを布の中に横糸として織機で40ピック/インチになるように挿入した。表面糸の織物形状を3/1のあや織りにした。このサンプルは熱処理無しに縦方向に17%の伸びおよび3.1%の伸長を示した。これは縦伸縮性ジーンズの縫製で用いるに理想的な布である。
【実施例5】
【0084】
ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード(air covered)糸を伴う2方向伸縮性デニム
横糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスエアカバード糸を伴う300D/68F Coolmax(商標)ポリエステルフィラメントにした。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端インジゴ糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にした。織物形状を図9に示す。製織前の伸縮性横糸に織り合わせ工程を受けさせた。製織後の生地布に仕上げをギグル(giggle)染色機を用いて受けさせた。
【0085】
仕上げ布の中の綿糸が示した縦および横方向の密度は77エンド/インチ X 55ピック/インチであり、基本重量は15.4オンス/平方ヤードでありそして伸びは縦方向が11.7%で横方向が16.5%であった。この布が示した収縮率は非常に低く、縦方向が0.5%で横方向が4.2%であった。
【実施例6】
【0086】
ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード糸を有する2方向伸縮性デニム
この実施例では縦コア弾性糸を150Dポリエステル/70D LYCRA(商標)エアカバード糸にする。弾性コア糸と表面糸の比率を1:8にする。8本の表面硬質糸毎に1本のコア弾性糸が存在するようにした。この布には実施例1に示したそれと同じ縦表面糸および同じ布構造を持たせる。20Neの綿/70D LYCRA(商標)コア紡績糸を横糸として用いた。そのLYCRA(商標)にドラフトを被覆工程中に3.5X受けさせた。表2に布特性を示す。そのような糸を用いて作成した布は低い収縮率と良好な伸び(12%X39.8%)を示した。布の熱処理は必要でなかった。
【実施例7】
【0087】
2/2ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード糸を有する2方向伸縮性デニム
この実施例には実施例7と同じ縦表面糸および同じ布構造を持たせたが、但しコア弾性
糸の織物形状を2/2にした。4本の表面糸毎にコア弾性糸のエンドが1個存在するようにする。20Neの綿/70D LYCRA(商標)コアスパン糸を横糸として用いる。表Iに布特性を見ることができる。
【実施例8】
【0088】
3/1のシングルカバード(single covered)糸形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルはナイロン/LYCRA(商標)シングルカバード糸をコア弾性糸として用いる例である。シングルカバー方法を用いて40D LYCRA(商標)を70Dナイロンで被覆する。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne 綿にした。LYCRA(商標)のドラフトは3.6Xである。織機の速度を1分当たり500ピックにし、ピックレベルを1インチ当たり41ピックにした。縦コア糸では1下降と3上昇の織物形状を用いる。これに非適合形状を用いる。表2に試験結果を要約する。この試験結果は、この布を洗濯した後の重量は13.5オンス/平方ヤードであり、縦方向および横方向それぞれの伸びは14.8%および28.1%で伸長度は4.4%および4.4%であることを示している。布はグリンスルーを全く示さず、コア縦糸は表面および裏面の両方とも見られない。
【実施例9】
【0089】
1/3の非適合形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルに持たせた布構造は実施例8に示したそれと同じであった。異なる点は9.4Neの綿/70D LYCRA(商標)コア紡績糸を横糸として用いることのみであった。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を70D ナイロン/40D LYCRA(商標)シングルカバード糸にする。表2に試験結果を要約する。このサンプルは良好な伸び(縦14.1% X 横29.5%)を示すことは明らかである。そして、幅は62.6インチである。この布はまた低い収縮率も示す。このように、このサンプルは熱処理工程を必要としなかった。
【実施例10】
【0090】
1/1のコア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
この布では実施例9と同じ縦および横糸を用いた。また、製織および仕上げ工程も実施例9と同じであったが、弾性コア縦糸の織物形状を2/2にした。表2に試験結果を要約する。このサンプルの重量は14.4オンス/平方ヤードであり、良好な伸び(縦12.8% X 横24.3%)および受け入れられる洗濯収縮率(縦4.4%X 横7.2%)を示すことが分かるであろう。再び、このサンプルも熱処理工程を必要としなかった。
【実施例11】
【0091】
2方向伸縮性デニム
これは重量が中程度のデニム布である。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。横糸を14Ne/70D LYCRA(商標)コアスパン糸にした。この横糸を横糸として布の中に織機で47ピック/インチになるように挿入する。基礎糸の織物形状を3/1のあや織りにした。このサンプルは熱処理無しに横方向に13.5%の伸びおよび3.8%の伸長度を示した。
【実施例12】
【0092】
グリンスルーを示す伸縮性2/2あや織りデニム
これは本発明に従わない比較サンプルである。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne
番手の混合インジゴ開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。縦コア糸の織物形状を2/2織りおよび適合(図10)にし、隣接して位置するコア糸が示す織物形状と異ならせる。この布の露出指数は布表面および裏面の両方とも2である。この布が示した物性は良好(表2を参照)であるが、コア弾性糸が布表面および裏面でグリンスルーを示した。コア弾性糸が露出していて布表面に明らかに表われている。
【実施例13】
【0093】
6/2コア糸が露出している伸縮性2/2あや織りデニム
これは、本発明に従わない別の比較サンプルである。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合インジゴ開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。縦コア糸の織物形状を6/2織り(図11)にする。それのコア弾性糸に長い浮織りを持たせる。この布は仕上げ後にしわとひだを示す。この布が示した露出指数は布の表面および裏面の両方とも2である。また、この布の物性も良好(表2を参照)であるが、コア弾性糸が布表面および裏面でグリンスルーを示す。コア弾性糸が露出していて明らかに布表面に表われている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦および/または横方向に伸縮性を示す織布の製造に関する。本発明は、特に、弾性コア複合糸系および硬質基礎糸系を包含する別々の糸系を含有する布および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮性織布または伸縮性織物の製造は長年に渡って行われてきている。布製造業者は一般に消費者が満足する布を達成するための正確な品質パラメーターが重要であることを認識している。しかしながら、そのような商業的に入手可能な布の場合、伸縮性布の本体が弾性複合糸自身で構成されている。弾性糸は下記の2つの機能を果たす:(1)伸縮性糸が被覆、美および手触りを与えるように布の基礎を成すこと、および(2)伸縮性糸が伸び回復機能を与えるように弾性をもたらす。多くの場合、布に伸縮機能を持たせるとそれの外観および性能が悪化する。一般に、伸縮性布が有する外観は弾性糸を含有しない硬質布のそれとは異なる。数多くの織り工程は弾性糸を含有させるとそれが理由で実施が困難になり、例えばデニム用糸のインジゴ染色およびシャツ用糸のパッケージ染色などの実施が困難になる。また、弾性糸加工中の織物生産効率も低下する。たいていは、布中に過剰な収縮力が存在する結果として布の寸法安定性が低下する。寸法安定性を示すそのような弾性含有布を生じさせようとする時に必要な工程は布の収縮力を制御するための熱処理である。
【0003】
伸縮性布の場合には大部分の弾性もしくはゴム弾性糸が相対的に弾性の無い繊維、例えばポリエステル、綿、ナイロン、レーヨンまたは羊毛などと組み合わせて用いられる。しかしながら、本明細書の目的で、そのような比較的弾性の無い繊維を“硬質(hard)”繊維と呼ぶことにする。
【0004】
紡績綿およびゴム弾性繊維を含有する通常の複合糸の染色は典型的に織りで使用する前にパッケージ染色として行われるが、欠点が存在する。具体的には、ゴム弾性コア糸がパッケージ染色で用いられる熱水温度で縮むであろう。加うるに、その複合糸がパッケージ上で圧縮されて非常に密になることで染料が糸パッケージの内部に流れ込むのが邪魔される。それによってしばしば染色パッケージ内の糸の直径方向の位置に応じて色合いおよび伸縮度合が多様な糸が生じてしまう可能性がある。コアスパン(core−spun)複合糸の染色ではそのような問題を軽減する目的で時には小型のパッケージが用いられる。しかしながら、小型パッケージ染色は相対的に高価である、と言うのは、余分なパッケージおよび取り扱いが必要になるからである。
【0005】
通常の産業的実施を上に示したが、製織工程および/または製品を向上させようとして行われた試みを示す目的で追加的参照を本明細書の以下に記述する。例えば、1つの方向に裸のスパンデックスを有しかつもう一方の方向に硬質糸を有する織布が特許文献1に開示されている。しかしながら、その裸のスパンデックスの延伸撚りを個別の工程で行う必要がありかつスパンデックスが布表面に露出する可能性もある。
【0006】
各対が裸のゴム弾性繊維および2番目の硬質糸を有する対になった縦糸が同じヒールドアイレット(heald eyelet)およびデント(dent)の中を平行に異なる張力で通っている縦伸縮性織布および方法が特許文献2に開示されている。しかしながら、また、そのスパンデックスも布表面および裏面に表われている。
【0007】
複合糸および硬質糸の両方が縦方向に用いられている縦伸縮性織布を製造する目的で用
いられた方法が特許文献3に開示されている。その複合糸はポリウレタン糸を含有して成っていて、それが合成マルチフィラメント硬質糸で取り巻かれておりそしてその後にサイズ材料で被覆されている。その複合体をサイズ材料で被覆する前の構造は、図3に示す複合糸の構造である。その複合糸は、所望の縦方向伸縮性を達成する目的で、縦糸として個別の合成マルチフィラメント硬質糸に対して様々な比率で用いられている。その複合糸および方法は、縦伸縮性布を製造する目的および横伸縮性布製織における困難さを回避する目的で開発されたものである。しかしながら、その弾性糸の大きさは硬質糸のそれと同じでありかつ布表面に露出している。
【0008】
あや織り布の縦方向に存在する裸のゴム弾性体が示すグリンスルー(grin−through)を軽減する方法が特許文献4に記述されている。しかしながら、その用いられたゴム弾性体が裸の形態であることでゴム弾性体の滑りが衣類洗濯後に起こってしまう。実行可能な布構造の範囲は狭くかつ織りの効率も低い。
【0009】
従って、収縮率が低く、加工が容易でありかつ衣類の製造にふさわしい伸縮性織物の製造が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,169,558号
【特許文献2】英国特許第15123273号
【特許文献3】日本公開出願2002−013045
【特許文献4】米国特許第6,659,139号
【発明の要約】
【0011】
いくつかの態様における製品は、縦糸と横糸を有する織布を包含する製品である。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を包含し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ前記布は下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する。
【0012】
別の態様における製品は、縦糸と横糸を有する織布を包含する製品である。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を含有し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ前記布は下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
を包含する。
【0013】
また、製品を製造する方法も包含し、この方法は、縦糸と横糸を有する布を織ることを包含する。縦糸または横糸のいずれかまたは縦と横糸の両方が2種類の別々の糸系を有する。この糸系は、布本体を形成する硬質糸および弾性繊維コアを有する被覆複合弾性糸を
含有し、かつ
前記布は外側表面と裏面を有しかつ下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
詳細な説明で下記の図を参照し、ここで、同様な数値は同様な要素を指す。
【図1】図1は、二縦糸系を伴う例示布構造である。
【図2】図2は、2/2のあや織り基礎 + 1/1のコア布構造のリフトプランである。
【図3】図3は、3/1のあや織り + 1/1の非適合構造のリフトプランである。
【図4】図4は、3/1のあや織り + 1/1の適合構造のリフトプランである。
【図5】図5は、通常の布処理ルーチンを示すブロック図である。
【図6】図6は、製織で組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図7】図7は、整経で組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図8】図8は、糊付けで組み合わせる本発明の処理ルーチンを示すブロック図である。
【図9】図9は、3/1のあや織り + 3/1の適合構造のリフトプランである。
【図10】図10は、2/2のあや織り + 2/2の適合構造のリフトプランである。
【図11】図11は、長い浮織り構造を伴う2/2のあや織りのリフトプランである。
【発明の詳細な説明】
【0015】
ゴム弾性繊維は、通常、伸縮性と弾性回復を織布および衣類に与える目的で用いられる。“ゴム弾性繊維”は連続フィラメント(場合により合体マルチフィラメント)または複数のフィラメントのいずれかであり、これらは希釈剤を含有せず、かつ如何なるひだからも独立して100%を超える破壊伸びを示す。ゴム弾性繊維は、(1)これの長さの2倍に引き伸ばし、(2)1分間保持しそして(3)解放した時に解放から1分以内に縮む度合は元々の長さの1.5倍未満である。本明細書の文脈で用いる如き“ゴム弾性繊維”は少なくとも1種のゴム弾性繊維もしくはフィラメントを意味する。そのようなゴム弾性繊維には、これらに限定するものでないが、ゴムフィラメント、2成分フィラメントおよびエラストエステル、ラストール(lastol)およびスパンデックスが含まれる。用語“ゴム弾性”と“弾性”を本明細書全体に渡って互換的に用いる。
【0016】
“スパンデックス”は、フィラメント形成物質が少なくとも85重量%がセグメント化ポリウレタンで構成されている長鎖合成重合体である製造されたフィラメントである。
【0017】
“エラストエステル”は、繊維形成物質が少なくとも50重量%が脂肪族ポリエーテル
および少なくとも35重量%がポリエステルで構成されている長鎖合成重合体である製造されたフィラメントである。
【0018】
“2成分フィラメント”は、フィラメントの長さ方向に沿って互いに接着している少なくとも2種類の重合体を含有して成っていて各重合体が異なる一般的種類、例えばゴム弾性ポリエーテルアミドコアと突出物または羽根状物を伴うポリアミド殻などである連続フィラメントである。
【0019】
“ラストール”は、少なくとも95重量パーセントがエチレンで構成されかつ他の少なくとも1種のオレフィン単位を含有して成っていて低いが有意な結晶化度を示す架橋合成重合体の繊維である。この繊維は弾性を示しかつ実質的に耐熱性である。
【0020】
“被覆”ゴム弾性繊維は、硬質糸で取り巻かれているか、それと一緒に撚られたか或はそれと混ざり合っている繊維である。本明細書の文脈では、また、ゴム弾性繊維および硬質糸を含有して成る被覆糸も“複合糸”と呼ぶ。硬質糸でゴム弾性繊維を被覆することはその繊維を製織工程中に起こる摩滅から保護するに役立つ。そのような摩滅が起こるとゴム弾性繊維の破壊が起こり、その結果として工程の中断がもたらされかつ布が好ましくなく不均一になってしまう。その上、そのような被覆は、ゴム弾性繊維が示す弾性挙動を安定化させるにも役立ち、その結果として、そのような複合糸が製織工程中に示す伸びの制御を裸のゴム弾性繊維を用いた時に可能な度合よりも均一に行うことが可能になる。用語“弾性コア糸”、“弾性コアエンド”、“コアエンド”、“複合糸”、“コア糸”および“複合弾性コア糸”の全部を本明細書の全体に渡って互換的に用いる。
【0021】
複合糸には、(a)ゴム弾性繊維が硬質糸で1回巻かれている糸、(b)ゴム弾性繊維が硬質糸で二重に巻かれている糸、(c)ゴム弾性繊維をステープル繊維で連続的に被覆(即ちコア紡績)した後に巻き取り中に撚った糸、(d)ゴム弾性体と硬質糸を混ぜ合わせてエアージェットで絡ませた糸、および(e)ゴム弾性繊維と硬質糸を一緒に撚った糸が含まれる。
【0022】
“グリンスルー”は、布中の複合糸が露出していて見える度合を記述する目的で用いる用語である。グリンスルーはこれ自身好ましくない輝きとして明らかになり得る。選択を行う必要がある場合、表面側のグリンスルーが低い方が裏面側のグリンスルーが低いよりも好ましい。
【0023】
いくつかの態様の伸縮性布は、非ゴム弾性基礎糸縦エンド(基礎エンドと呼ぶ)および弾性コア複合糸縦エンド(コアエンドと呼ぶ)を含有する。いくつかの態様では、弾性繊維を比較的少ない量で用いて予想外に高い伸縮性と回復特性を示す布を達成した。2種類の糸系を縦糸として用いることでそれを達成した。当業者は、横伸縮性が必要な布ではそれに非ゴム弾性基礎糸横エンドおよび弾性コア横糸を含有させてもよいことを理解するであろう。
【0024】
いくつかの態様では伸縮性布を製造する方法を提供し、この方法は、2種類の別々の糸系(図1に示す如き)、即ち基礎糸系6と弾性コア糸系4を伴う布を準備することを包含する。その基礎糸系6は美、外観、手触りの性能を果たす。弾性コア糸系4は伸縮性および回復機能を果たす。横糸2を図1に断面として示し、これは硬質糸および場合により弾性糸(複合弾性コア糸を包含)を含有する。
【0025】
いくつかの態様における布は、被覆複合糸を弾性コア系として含有する。その複合弾性糸は隣接して位置する硬質糸によって布の内側に隠されていて布表面には表われていない。そのような布は、弾性糸の量が相対的に少なくても高い伸縮性と回復力を示す利点を有
することに加えて、寸法安定性を示す布を生じさせようとして熱処理段階を設ける必要がないことが別の利点である(即ち、その布の縁には縁の丸まりが実質的になくかつその布は、弾性糸が示す収縮力によって引き起こされるねじれを伴うことなく織物として形状を維持する)。
【0026】
更に、本発明の別の態様では、弾性コア糸が被覆スパンデックス糸である布および伸縮性布製造方法も提供する。その裸のスパンデックス糸(複合糸を生じさせるための被覆を受けさせる前の)は約11dtexから約444dtex(デニール-約10Dから約400D)[11dtexから約180dtex(デニール10Dから約162D)を包含]であってもよい。そのようなスパンデックス糸に糸の番手が6から120Neの1種以上の硬質糸による被覆を受けさせる。その被覆工程中にスパンデックス糸に元々の長さの1.1Xから6Xの範囲のドラフトを受けさせる(drafted)。
【0027】
いくつかの態様の布は、布表面に実質的に表われていない弾性コア糸を含有する。これを、ある程度ではあるが、デニールが弾性コア糸のそれと少なくとも同じである硬質糸、好ましくはデニールが弾性糸のそれよりも大きい基礎糸を含有させることで達成する。基礎糸と弾性コア糸が示す糸デニールの比率が約1:1から約20:1および約5:4から約20:1(約2:1から約10:1を包含)になるようにする。基礎糸重量と弾性コア糸重量の他の適切な比率の範囲には5:4から約15:1、3:2から約15:1および3:2から約10:1が含まれる。
【0028】
コア糸内のゴム弾性繊維含有量を糸の重量を基準にして約0.1%から約50%(約0.5%から約40%および約5%から約30%を包含)の範囲にする。布内のゴム弾性繊維含有量を布の総重量を基準にして約0.01%から約5重量%(約0.1%から約3%を包含)にしてもよい。また、様々な織物形状を与えることが可能な布および伸縮性布製造方法も提供し、そのような織物形状には平織り、ポプリン織り、あや織り、オックスフォード織り、ドビー織り、朱子織り、繻子織りおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
そのような弾性コア糸を硬質糸と組み合わせる時期は製織中、整経中、ビーミング(beaming)または糊付け操作中であってもよい。布の仕上げには、洗い流し、漂白、マーセライズ加工、染色、乾燥および圧縮から成る群より選択される1段階以上およびそのような段階の任意組み合わせが含まれる。
【0030】
いくつかの態様の布が縦または/および横方向に示す伸びは約10%から約45%であり得る。そのような布が洗濯後に示す収縮率は約10%以下であり得る。その伸縮性織布は優れた綿手触りを示し得る。本明細書に記述する布を用いて衣類を製造することができる。
【0031】
いくつかの態様に含める硬質基礎糸は、例えば紡績ステープル糸、例えば綿、羊毛またはリネンおよびフィラメントなどであってもよい。それらはまた1成分ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維、ポリカプロラクタム繊維、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)繊維、アクリル繊維、モダクリル繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ナイロンおよびこれらの組み合わせで出来ていてもよい。
【0032】
複合コア弾性糸の含有量を縦糸の全重量を基準にして約30重量%以下にしてもよい。重量が5オンス/平方ヤード以上の布の場合に受け入れられる縦糸中ゴム弾性繊維含有量は縦糸総重量の約2%以下であり得、それには布総重量の約0.2%から約2%および約1%以下が含まれる。重量が5オンス/平方ヤード未満の布の場合に受け入れられる縦糸中ゴム弾性繊維含有量は縦糸総重量の約5%未満であり得、それには布総重量の約1%から約5%および3%以下が含まれる。
【0033】
いくつかの態様の本発明の布に受け入れられる度合の伸縮性および回復をもたらすことを見いだした弾性繊維量は通常の布に見られるそれとは対照的である。5オンス/平方ヤードより重い通常の伸縮性織物の場合のゴム弾性繊維含有量は一般に2%以上である。本発明の布の場合のゴム弾性繊維含有量は約1%以下、約0.2%以下でさえあってもよいが、それでも良好な伸縮性および回復を示す。1つの理由は、コア弾性糸の織物形状と基礎糸の織物形状が異なってもよい点にある。従って、複合弾性コア糸の力の方が有効に用いられ得る。また、弾性コア糸の糸直径の方が基礎糸のそれよりもずっと小さく、仕上げおよび染色工程中の弛緩段階の時に弾性コア糸が布中心部に移行することで、ゴム弾性繊維がより有効に伸縮性および回復を示し得る。通常の布とは対照的なさらなる点は、通常の布に含まれている複合糸が布表面に露出しておりかつ織物形状が他の表面糸のそれと同じである点である。
【0034】
横糸は縦糸と同じまたは異なってもよい。本布は縦伸縮性のみを示してもよいか或は2方向伸縮性を示してもよく、その場合には有効な伸縮性および回復特性を縦と横方向の両方に示す。そのような横伸縮性を2成分フィラメント糸、スパンデックス、溶融紡糸ゴム弾性体などを用いることで与えることができる。
【0035】
横糸に弾性糸を含有させる場合、それに2番目の糸(場合により紡績テープル糸)、例えばピック−およびピックまたは共−挿入構造などの糸を含有させてもよい。弾性糸もしくは繊維を横糸に含める場合(弾性糸が複合弾性コア糸であることを包含)、その横糸に存在させる弾性糸の量は横糸の約0.2%から約5重量%(約0.2%から約2%を包含)であってもよい。
【0036】
基礎(硬質糸)エンドとコア弾性エンドの比率を約2:1から約8:1にしてもよい。基礎エンドとコアエンドの受け入れられる他の比率は約4:1から約8:1および約4:1から約6:1であり得る。この比率があまりにも低すぎると、コアエンドが布の表面に過度に露出する結果として視覚的および触覚的美観が好ましくなくなってしまう。前記比率があまりにも高いと、そのような布は好ましくなく低い伸縮性および回復特性を示す可能性がある。
【0037】
コアエンドの浮織りが織物形状に応じて布表面上で6ピック以下であるようにする。更に、複合弾性糸が表面に表われないようにする目的で、コアエンドの浮織りを5ピック以下または4ピック以下にしてもよい。この布の裏面側ではコアエンドの浮織りを織物形状に応じて6ピック以下、5、4または3ピック以下にしてもよい。コアエンドの浮織りがあまりにも長いと、そのような布は不均一な表面およびほつれを有する可能性がある。また、グリンスルーも許容されなくなってしまう可能性がある。
【0038】
“コアエンド露出数”は、所定ピックの所のピック糸もしくは連続フィラメントの反対側(横方向)に存在する各コアエンドに隣接して位置する非ゴム弾性(縦方向)表面エンドの数(コアエンドと比較した)を表す。その数は当該ピックの所のコアエンドが表面に存在するか或は裏面に存在するかに応じて布の表面および裏面に関する数であり得、ゼロ、1または2の整数値を持ち得る。例えば、図2に示したリフトプランでは、表面エンドを2/2のあや織物形状として示し、その中に1個のコアエンドが織り込まれている。“H”6は非ゴム弾性(‘硬質’)表面エンドを示しそして“E”4は弾性コアエンドを示す。“EC”9は露出数の省略形であり、“F”8は表面側および“B”10は裏面側である。この図全体に示すように、黒(暗)四角はピックの上を通る非ゴム弾性表面エンドを示し、白四角はピックの下を通る非ゴム弾性表面エンドを示し、“X”はピックの上を通るコア弾性エンドを示し、そして“O”はピックの下を通るコア弾性エンドを示す。また、横方向の糸2も示す。“EC”9の下の数は、各ピック毎のコアエンド露出数を示す。この形状繰り返しの1番目のピック2Aの所のコア弾性エンド7は布の表面側に存在し
、そして隣接して位置する1つの非ゴム弾性表面エンド6Aは布の裏面側に存在し、その結果として、そのピックに関する弾性コアエンド表面露出数は1である。2番目のピック2Bの所のコア弾性エンドは裏面に存在し、そして隣接して位置する非ゴム弾性表面エンドは両方とも前面に存在し、その結果として裏面の露出数は2である。3番目のピック2Cの所のコア弾性エンドは表面に存在し、そして隣接して位置する1つの非ゴム弾性表面エンドは裏面に存在し、その結果として、そのピックに関するコア弾性エンド表面露出数は1である。この形状繰り返しの最後のピック2Dの所の複合コアエンドは裏面に存在することに加えて隣接して位置する両方の非ゴム弾性表面エンドも裏面に存在し、その結果として、弾性コアエンド裏面露出数はゼロである。
【0039】
いくつかの態様の布が示す形状繰り返し中の弾性コアエンド表面露出数は1以下であり、好ましくは、形状繰り返し中の表面露出数はゼロである。言い換えれば、その構成する糸が外側表面に存在する時に隣接して位置する少なくとも1本の硬質糸が同じピックの上を通っている。複合エンドが表面側に存在しそして隣接して位置する少なくとも1つの非ゴム弾性エンドの浮織りが表面側で1ピック以下であるとグリンスルーが更に低下する。表面露出数が2であると、表面上のコア複合糸が示すグリンスルーが受け入れられないほど高くなる可能性があり、特にコアエンドの浮織りが2または3ピックの時に高くなる可能性がある。コア糸の露出およびグリンスルーが最小限であるより均一な布を製造しようとする時は、布が示すコアエンド裏面露出数を1以下にすべきである。
【0040】
図3に示す非適合コアエンド形状を示す織り構造物は布表面側に更に良好な外観を示す可能性がある。図3には、2本の弾性コア糸、即ちコア糸Iおよびコア糸IIが存在する。4本の硬質基礎糸6が2本の弾性糸4Aと4Bの間に存在する。編み込み地点Xは、横糸2Aと弾性糸4Aが交差する織り地点である。この地点では、弾性糸が横糸を布の裏方向に押している。しかしながら、地点Yでは、弾性コア糸4Bが横糸2Aと一緒に編み込まれており、その地点ではコア弾性糸が横糸を布の表面の方向に押している。その結果として、横糸全体が布の中心に保持される。布表面には横糸片が存在しない。それとは対照的に、図4に示す織物形状では、コア弾性糸が個別に横糸に沿って同じ織り合わせ形状を有する。しかしながら、地点Xにおける横糸2Aでは、弾性糸4Aが横糸を布の裏方向に押しており、そして隣接地点(地点Y)でもまたコア弾性糸4Bが横糸を布の裏方向に押している。従って、横糸2A全体では、それが布の裏方向に存在するであろう。隣接して位置する横糸2Bでは、それが弾性糸4Aおよび4Bによって布の表面方向に押されている。その結果として、布表面に横糸片が存在することになるであろう。
【0041】
複合コア糸を必要な如何なる量で存在させてもよく、例えば複合弾性糸が横糸として存在していない場合(即ち、複合糸が縦糸のみに存在する場合)、布総重量を基準にして約5から約20重量パーセントなどにしてもよい。複合弾性コア糸を縦および横糸の両方に存在させる場合、その複合糸をより多い量、例えば約10から40重量%などの量で存在させてもよい。
【0042】
そのような複合コア糸には多様な複合糸、例えばゴム弾性繊維が硬質糸で1回巻かれている糸、ゴム弾性繊維が硬質糸で2回巻かれている糸、ゴム弾性繊維をステープル繊維で連続的に被覆(即ちコア紡績)した後に巻き取り中に撚った糸、ゴム弾性体と硬質糸を混ぜ合わせてエアージェットで絡ませた糸、およびゴム弾性繊維と硬質糸を一緒に撚った糸などが含まれる。
【0043】
いくつかの態様の布の製造で用いる複合糸が示す線形密度は約15デニール(16.5dtex)から約900デニール(990dtex)の範囲であってもよく、それには約30デニールから300デニール(33dtexから330dtex)が含まれる。複合糸と硬質糸の間の糸のデニールの比率が0.8未満であると、そのような布は実質的なグ
リンスルーを示さない。仕上げ工程後にコア糸が布の中心部に移行し、見えなくなりかつ触れることができなくなる。
【0044】
本発明の方法の1つの態様では、複合糸と基礎糸を製織操作中に一緒にする。図5に伸縮性布用の通常の処理ルーチンを示す。本発明の発明処理ルーチンを図6に示す。硬質縦および弾性縦糸ビームを個別に生じさせる。二重ビーム能力を有する織機が必要である。通常は、硬質基礎糸ビームを織機の下部に位置させる。弾性コア糸を伴うビームを上部に置く。基礎およびコア糸の両方をビームから送り出してホイップロールまたはローラーの上に通すことで、製織動作中の糸張力変動を制御する。次に、その糸をドロップワイヤー(drop wires)、ヘドルおよびリードに導く。基礎糸およびコア糸を同じデントの中に存在させてもよい。考案した繰り返しと同様な様式で織られる縦糸の全部が所定のハーネスを占めるようにする。リードによって縦糸シートの幅および製織前の等しい糸空間が確立される。それはまた“布の伏せ縫い”の所で挿入された充填糸(ピック)の各々を布本体の中に押し込む[ビートアップする(beating−up)]目的で用いる機構でもある。その伏せ縫いは糸が布になる地点である。この地点で基礎糸、コア縦糸および横糸が布の形態になり、そして布ロールに集められる準備が出来ている。
【0045】
また、当該コア糸と基礎糸を整経操作中に一緒に組み合わせることも可能である。この処理手順を図7に示す。整経は、複数の糸を個々の糸パッケージから単一のパッケージアセンブリに移行させる工程である。通常は、糸を糸が互いに平行かつ同じ面に位置するシート形態でビーム(これは側フランジを有する円筒形バレルである)上に集める。その供給する糸パッケージをスピンドル(これをクリールと呼ぶ枠組みの中に位置させる)の上に置く。コア糸と基礎糸をクリール上の特定の位置に置く。次に、それらを引き出すことで必要な形状の混合シートを生じさせる。最後に、それらを一緒にビームに巻き取る(図8)。
【0046】
また、当該コア糸と硬質糸をスラッシング(slashing)(糊付け)工程中に混合することも可能である。縦糸を糊付けする主な目的は、その糸を保護被膜で封じ込めることにある。その保護被膜によって製織操作中に起こる糸摩滅が減少しかつ織機の所で起こる糸の多毛化が減少することで隣接して位置する糸が互いに絡み合うことが防止される。そのコア糸と表面糸を糊付け機の中で混合する。スラッシャーレンジ(slasher
range)の後方末端の所でビーミング工程によるセクションビーム(section beam)がクリールされる(creeled)。各ビームから糸が引き出された後に別のビームから引き出された糸と一緒になることで多数の糸シートが生じるが、そのシートの数は機械に備わっているサイズボックス(size boxes)の数に相当する。サイズボックス内で前記糸が下方に導かれて液状サイズの中に浸かる。その糸シートが1組の圧縮ロールによってサイズボックスから汲み出されるが、それは、サイズが糸の中に染み込む量を制御するに役立つ。それによって糸の中に染み込むサイズの量が調節される。その後、その糸を蒸気加熱乾燥缶もしくはシリンダーの上に通すことで乾燥を起こさせる。その時点で糸を完全には乾燥させず、必要な水分が保持されるように監視する。大部分の縦糸がサイズによって起こす増量度合は4−14%である(糸の元々の重量に加わった実際の乾燥固体重量)。それは縦糸の種類に依存する。サイズの量があまりにも多いと糸のチャフィング(chaffing)が起こることに加えて織機の所でサイズ粒子の過度の脱落が起こり、そしてサイズの量があまりにも少ないと過度の糸摩滅が起こる結果として染料条こん、粘着、破断および縁の絡み合いが生じることで、結果として製織効率が低くなってしまう。
【0047】
あらゆる糸を1組のステンレス鋼製スプリットロッド(split rods)[これは糸を個々のシートに分離させるに役立つ]に通す。それによって、1つのシートに由来する糸が別のシートに由来する糸に接着することが確保される。そのスプリットロッドに
通した後の縦糸を集めて単一のシートにした後、コム(comb)[これは個々の糸に分離させるに役立つ]に通す。その拡張型コムを所望の織機ビーム幅に調整する。その時点で、あらゆる縦糸、表面糸およびコア糸を織機ビームに巻き取る。通常は、スラッシャークリール内で1組のセクションビームから数個の織機ビームを生じさせる。
【0048】
また、基礎糸と弾性コア糸構造の組み合わせを横方向に用いることも可能である。製織工程中に基礎糸と弾性コア糸を充填糸(fill yarns)として布中に挿入してもよい。それらを単一のピックまたは2つのピックによって1本の横糸挿入中に導入してもよい。エアジェット織機、レピア織機、プロジェクタイル(projectile)織機、ウォータージェット織機およびシャトル織機を用いることができる。
【0049】
布を弛緩させた後ではコア弾性糸が布表面に実質的に表われていない。図1にその構造を示す。コア糸4の波高の方が低くかつ硬質糸2および6がコア糸の方に傾いていることが理由で、コア糸は布の中心部に位置し、表面糸2および6で基本的に覆われていることで、表に出ることも触れることもない。
【0050】
染色および仕上げ工程は、満足される布を製造しようとする時に重要な工程である。布に仕上げを連続レンジ(range)工程および後染めジェット工程で受けさせてもよい。連続仕上げプラントおよび後染め工場に見られる通常の装置が一般に処理で用いるに充分である。通常の仕上げ工程手順は、調製、染色および仕上げを包含する。調製および染色工程[シンギング(singing)、サイズ除去(desizing)、洗い流し、漂白、マーセライズ加工および染色を包含]では、通常の弾性織物処理方法が一般に満足される方法である。
【0051】
仕上げ工程は、2方向伸縮性を示す本発明の布(即ち、横方向ばかりでなく縦方向にも伸縮性を示す布)を満足されるように製造しようとする時により重要な段階である。仕上げを通常はテンターフレーム(tenter frame)を用いて実施する。このテンターフレームを用いた仕上げ工程の主目的は、柔軟剤である耐しわ性樹脂を詰め込んで硬化させかつスパンデックスの熱処理を行うことにある。
【0052】
予想外に、また、本伸縮性織布にはそのような熱処理工程が必要でない可能性があることも見いだした。本布は熱処理無しに数多くの最終使用仕様に合致する。本布は熱処理無しでも約10%未満の収縮率を維持する。熱処理ではスパンデックに“処理”を引き伸ばされた状態で受けさせる。これはまた再デニール化(re−deniering)としても知られ、その処理では、高デニールのスパンデックスにドラフト、即ち引き伸ばしを受けさせることでデニールをより低くした後、そのスパンデックスが低い方のデニールで安定化するに充分に高い温度で充分な時間加熱する。従って、熱処理は、引き伸ばされたスパンデックスが示す回復張力がほとんど解放されてスパンデックスが新しい低い方のデニールで安定になるようにスパンデックスが分子レベルで永久的に変化することを意味する。スパンデックスに適した熱処理温度は一般に175℃から200℃の範囲内である。通常のスパンデックスに適した熱処理条件は約190℃で約45秒以上である。
【0053】
通常の布の場合、スパンデックスを“処理する”ための熱処理を用いないと、そのような布は高い収縮率、過度の布重量および過度の伸びを示す可能性があり、その結果として、その消費者が否定的な体験をする可能性がある。布仕上げ工程中に過度の収縮が起こると結果として加工および家庭で洗濯を行っている時に布表面にしわが生じる可能性がある。そのような様式で生じたしわをアイロンがけで取り除くのはしばしば非常に困難である。
【0054】
本新規な方法では、そのような工程における高温熱処理段階をなくすことで、熱によっ
て特定の繊維(即ち綿)が損傷を受ける度合を低下させることができ、そのようにして、仕上げされた布の取り扱いを向上させることができる。いくつかの態様の布では、それの調製を熱処理段階無しで実施することができる(布を衣類に調製する場合を包含)。さらなる利点として、本新規な方法では熱に敏感な硬質糸を用いてシャツ地を弾性布にすることができ、このようにして、様々な改良製品の可能性が高まる。加うるに、工程時間がより短いことで布製造業者は生産性の利点が得られる。
【0055】
いろいろな最終使用に関して、弾性糸含有複合糸を織る前に染色を行う必要がある。パッケージ糸染色は複合糸を処理するに最も簡潔で最も経済的な方法である。綿およびゴム弾性繊維1種または2種以上を含有する典型的な複合糸の場合、糸パッケージ染色工程中に欠点が生じる。具体的には、そのゴム弾性コア糸がパッケージ染色で用いられる熱水温度で縮みを起こす。加うるに、その複合糸がパッケージ上で圧縮されて非常に密になることで、染料が糸パッケージの内部に流れ込むのが邪魔される。それによってしばしば染色パッケージ内の糸の直径方向の位置に応じて色合いおよび伸縮度合が多様な糸が生じてしまう可能性がある。複合糸の染色ではそのような問題を軽減する目的で時には小型のパッケージが用いられる。しかしながら、小型パッケージ染色は相対的に高価である、と言うのは、余分なパッケージおよび取り扱いが必要になるからである。
【0056】
通常の布では、また、他のいくつかの糸染色方法、例えばかせ糸染色、インジゴ糸ビーム染色およびロープ染色なども用いられる。そのような方法を用いたのでは弾性複合糸が技術的困難さを示しかつ一貫性および品質に問題が生じる。
【0057】
本発明の布では、複合糸をコア糸として用いる。この複合コア糸を実質的なグリンスルー無しに布中心部の中に埋め込む。従って、複合糸染色工程をなくすことも可能である。好まれる色に応じて染色が必要な糸は硬質基礎糸のみである。弾性コア糸は染色無しに自然な色のまま使用可能である。
【0058】
数種の硬質糸を複合糸に入れる硬質繊維として用いることができ、例えば綿、羊毛、ポリエステルフィラメントおよびナイロンフィラメントなどを用いることができることが分かる。そのような硬質糸は布に追加的機能を付加させる機会を与えるものである。例えば、ポリエステルおよびナイロンフィラメントなどは綿布のじん性を向上させかつ耐しわ能力を改善する。綿および羊毛糸は合成布の水分を増加させる。また、特殊な機能的糸を導入することも可能である。例えば、水分を体から吸収して迅速に外側もしくは伝導性繊維(これは電気伝導性である)に送達するに役立つCOOLMAX(商標)繊維などを用いることも可能である。また、ボディーケア、爽やかさおよび手入れ容易さ特性を示す布を生じさせる目的で抗菌性繊維およびミクロカプセルを用いることも可能である。
【0059】
分析方法:
織布の伸び(伸縮性)
布に布伸縮方向1つまたは2つ以上[これは複合糸の方向(即ち、横、縦または横と縦)である]の伸び%に関する評価を特定負荷(即ち、力)下で受けさせる。寸法が60cm x 6.5cmのサンプルを布から3個切り取った。長さ寸法(60cm)は伸縮方向に相当する。これらのサンプルをある程度ほどくことでサンプルの幅を5.0cmにまで狭くした。次に、これらのサンプルに条件付けを20℃ +/− 2℃および65% +/− 2%の相対湿度下で少なくとも16時間受けさせた。
【0060】
1番目の基準線をサンプル末端部から6.5cmの所に各サンプルの幅を横切るように付けた。2番目の基準線を1番目の基準線から50.0cmの所にサンプルを横切るように付けた。その2番目の基準線からサンプルのもう一方の末端部までの余剰布を用いて金属ピンを挿入することが可能なループを作成して縫い付けた。次に、その金属ピンに重り
を取り付けることができるように前記ループの中に切り込みを入れた。
【0061】
そのサンプルのループではない末端部をクランプ留めして、布サンプルを垂直に吊した。17.8ニュートン(N)の重り(4LB)を宙づり用布ループに通して前記金属ピンに取り付けることで前記布サンプルを前記重りで引き伸ばす。そのサンプルを前記重りで3秒間引き伸ばすことでそれを“運動”させた後、手で重りを持ち上げることで力を解放した。このサイクルを3回実施した。次に、その重りを自由に吊すことで布サンプルを引き伸ばした。前記布に負荷がかかっている時の前記2つの基準線の間の距離(ミリメートルで表す)を測定して、この距離をMLと表示する。元々の基準線間の距離(即ち、引き伸ばされていない距離)をGLと表示した。各サンプルの各々が示す布伸び%を下記の如く計算する:
伸び%(E%) = ((ML−GL)/GL)x 100
【0062】
最終的結果として3回の伸び結果の平均を取った。
【0063】
織布の伸長(未回復伸び)
伸長を全く示さない布は引き伸ばし後に引き伸ばし前の元々の長さを正確に回復するであろう。しかしながら、典型的には、伸縮性布は長期間引き伸ばされた後に完全な回復を示さないで若干長くなるであろう。そのような若干の長さ増加を“伸長”と呼ぶ。
【0064】
この上に示した布伸び試験を伸長試験前に完了させておくべきである。布に試験を受けさせる方向は伸縮方向のみであった。2方向伸縮性布の場合には、両方の方向の試験を実施した。各々が55.0cm x 6.0cmのサンプルを布から3個切り取った。それらは前記伸び試験で用いたそれとは異なるサンプルであった。55.0cmの方向が伸縮方向に相当するようにすべきである。これらのサンプルをある程度ほどくことでサンプルの幅を5.0cmにまで狭くした。これらのサンプルに条件付けを前記伸び試験に示した温度および湿度下で受けさせた。2本の基準線を正確に50cm離してサンプルの幅を横切るように引いた。
【0065】
前記伸び試験で得た既知伸び%(E%)を用いて、この既知伸びの80%のサンプル長を計算した。これを下記の如く計算した:
80%のE(長さ) =(E%/100)x 0.80 x L
ここで、Lは基準線間の元々の長さ(即ち、50.0cm)であった。サンプルの両末端をクランプ留めした後、サンプルの引き伸ばしを基準線間の長さがこの上で計算した如きL + E(長さ)に相当するまで行った。その引き伸ばしを30分間保持し、その時間が経過した後に引き伸ばし力を解放し、そしてサンプルを自由に吊した後、弛緩させた。60分後に伸長%を下記の如く測定した
伸長%=(L2 x 100)/L
ここで、L2は、弛緩後のサンプル基準線間の長さ増加度であり、そしてLは基準線間の元々の長さである。この伸長%の測定を各サンプル毎に実施して、その結果の平均を取ることで伸長値を決定した。
【0066】
織布の収縮率
布が示す収縮率の測定を洗濯後に実施した。その布に最初に条件付けを伸びおよび伸長試験に示したそれらと同様な温度および湿度下で受けさせた。次に、2個のサンプル(60cm x 60cm)を布から切り取った。これらのサンプルを縁から少なくとも15cm離れた所から採取した。40cm x 40cmの4面を有する箱に布サンプルに関する印を付けた。
【0067】
洗濯機に前記サンプルおよび充填用布を入れて、前記サンプルの洗濯を実施した。洗濯
機に入れる空気乾燥材料の総充填量を2kgにし、試験サンプルが構成する洗濯物の量が半分以下になるようにした。その洗濯物の洗濯を温度が40℃の水を用いて穏やかに行った後、回転させた。洗剤使用量を水の硬度に応じて1g/lから3g/lにした。これらのサンプルを平らな表面の上に乾燥するまで置いた後、それらに条件付けを20℃ +/− 2℃および65% +/− 2%の相対湿度下で16時間受けさせた。
【0068】
次に、印間の距離を測定することで布サンプルが縦方向および横方向に示す収縮率を測定した。洗濯後の収縮率(C%)を下記の如く計算した:
C% =((L1 - L2)/L1)x 100
ここで、L1は印間の元々の距離(40cm)でありそしてL2は乾燥後の距離である。これらのサンプルが示した結果の平均を取って、横方向および縦方向の両方に関して報告する。収縮率値が負であることは膨張が行ったことを示し、これは、ある場合には硬質糸の挙動が理由で起こり得ることであった。
【0069】
布の重量
織布サンプルにダイスの直径が10cmのダイスを用いた打ち抜きを受けさせた。切り取った織布サンプル各々の重量をグラムで測定した。次に、“布重量”をグラム/平方メートルとして計算した。
【実施例】
【0070】
以下の実施例では、本発明および本発明を多様な軽量布の製造で用いることができることを示す。本発明は他の多様な態様も可能であり、本発明のいくつかの詳細は本発明の範囲および精神から逸脱することなく様々な明確な観点で修飾可能である。従って、本実施例は実際上例示であると見なされるべきであり、限定として見なされるべきでない。
【0071】
以下の13実施例の各々で綿が100%の開放端紡績糸を縦糸として用いた。それらに下記の2種類の番手の糸を含めた:7.0NeのOE糸および8.5NeのOE糸(不規則的な配置の形状を有する)。前記糸にインジゴ染色をビーミング前のロープ形態で受けさせた。次に、それらに糊付けを受けさせた後、織りビームを作成した。
【0072】
数種の複合糸を縦方向のコア糸として用いた。いろいろな横糸を横糸として用い、それにLYCRA(商標)スパンデックス/綿コアスパン糸を含めた。表1に、各実施例のコア糸を作成する時に用いた材料および処理方法を示す。表2に、各布に関する詳細な布構造および性能の要約を示す。LYCRA(商標)スパンデックスはINVISTA S.a r.L.(Wichita、KS)から入手可能である。例えば、頭語がスパンデックスである縦列の中の40Dは40デニールを意味し、3.5Xはコア紡績機によって与えられたLYCRA(商標)のドラフトを意味する(機械ドラフト)。例えば、頭語が‘硬質糸’の縦列の中の40は紡績糸をEnglish Cotton Count Systemで測定した時にそれが示した線形密度である。表1に示す項目の残りには明白な表示を付ける。
【0073】
その後、伸縮性織布の作成を表1に示した各実施例のコア糸および表面糸を用いて実施した。いろいろな糸を横糸として用いた。表2に、布で用いた糸、織物形状および布の品質特徴を要約する。各実施例に関するいくつかの追加的所見を以下に示す。特に明記しない限り、シャツ地用布をDonierエアジェット織機で織った。織機の速度を500ピック/分にした。織機内および生地状態の布の幅をそれぞれ約76および約72インチにした。その織機は二重織りビーム能力を有する。コア糸を前記織機の上部に置きそして基礎糸を前記織機の下部に置く。
【0074】
これらの実施例における各生地布に仕上げをジグル(jiggle)染色機を用いて受
けさせた。各織布に予備洗い流しを3.0重量%のLubit(商標)64(Sybron Inc.)を用いて49℃で10分間受けさせた。その後、それにサイズ除去を6.0重量%のSynthazyme(商標)(Dooley Chemicals.LLC
Inc.)および2.0重量%のMerpol(商標)LFH(E.I.DuPont
Co.)を用いて71℃で30分間受けさせた後、洗い流しを3.0重量%のLubit(商標)64、0.5重量%のMerpol(商標)LFHおよび0.5重量%の燐酸三ナトリウムを用いて82℃で30分間受けさせた。布の仕上げを行った後にテンターフレームを用いた乾燥を160℃で1分間実施した。これらの布に関しては熱処理を実施しなかった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【実施例1】
【0080】
3/1コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne綿にした。LYCRA(商標)のドラフトは3.6Xである。織機の速度を1分当たり500ピックにし、ピックレベルを1インチ当たり41ピックにした。縦コア糸では1下降と3上昇織物形状を用いる。その上、それに適合形状を用いる(図9)。表2に試験結果を要約する。その試験結果は、その織物を洗濯した後の重量は13.9オンス/平方ヤードであり、縦方向および横方向それぞれの伸びは13.3%および24.9%で伸長度は3.8%および4.3%であることを示している。これらのデータは全部がそのようなコア伸縮性糸と表面硬質糸の組み合わせおよび布構造によって良好な布伸縮性および伸長度がもたらされ得ることを示している。布は全くグリンスルーを示さず、コア縦糸は表面および裏面の両方とも見られない。
【実施例2】
【0081】
2/2コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルに持たせた同じ布構造は実施例1のそれと同じであった。異なる点は縦コア弾性糸に2上昇および2下降の織物形状を用いたことのみであった。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne綿にした。織機の速度を1分当たり500ピックにし、1インチ当たり41ピックにした。表2に試験結果を要約する。このサンプルは良好な伸び(縦12.3%
X 横25.7%)を示すことは明らかである。そして幅は53.3インチ。この布もまた低い収縮率を示す。このように、このサンプルは熱処理工程を必要としない。熱処理無
しでも布の外観および取り扱いが向上した。
【実施例3】
【0082】
1/1コア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
この布で用いた縦および横糸は実施例1および実施例2に示したそれらと同じであった。また、製織および仕上げ工程も実施例2および3に示したそれらと同じにしたが、弾性コア縦糸の織物形状を1/1の平織りにした(図4)。表2に試験結果を要約する。このサンプルの重量は13.8オンス/平方ヤードであり、良好な伸び(縦12.2% X 横26.1%)および受け入れられる洗濯収縮率(縦4.6%X 横2.7%)を示すことが分かるであろう。再び、このサンプルも熱処理工程を必要としない。この布の外観および取り扱いは優れていた。
【実施例4】
【0083】
縦伸縮性デニム
縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にする。横糸を綿が100%の12Neの開放端糸にした。この横糸は硬質であり、これを布の中に横糸として織機で40ピック/インチになるように挿入した。表面糸の織物形状を3/1のあや織りにした。このサンプルは熱処理無しに縦方向に17%の伸びおよび3.1%の伸長を示した。これは縦伸縮性ジーンズの縫製で用いるに理想的な布である。
【実施例5】
【0084】
ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード(air covered)糸を伴う2方向伸縮性デニム
横糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスエアカバード糸を伴う300D/68F Coolmax(商標)ポリエステルフィラメントにした。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端インジゴ糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う100/2Ne Siroコアスパン糸にした。織物形状を図9に示す。製織前の伸縮性横糸に織り合わせ工程を受けさせた。製織後の生地布に仕上げをギグル(giggle)染色機を用いて受けさせた。
【0085】
仕上げ布の中の綿糸が示した縦および横方向の密度は77エンド/インチ X 55ピック/インチであり、基本重量は15.4オンス/平方ヤードでありそして伸びは縦方向が11.7%で横方向が16.5%であった。この布が示した収縮率は非常に低く、縦方向が0.5%で横方向が4.2%であった。
【実施例6】
【0086】
ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード糸を有する2方向伸縮性デニム
この実施例では縦コア弾性糸を150Dポリエステル/70D LYCRA(商標)エアカバード糸にする。弾性コア糸と表面糸の比率を1:8にする。8本の表面硬質糸毎に1本のコア弾性糸が存在するようにした。この布には実施例1に示したそれと同じ縦表面糸および同じ布構造を持たせる。20Neの綿/70D LYCRA(商標)コア紡績糸を横糸として用いた。そのLYCRA(商標)にドラフトを被覆工程中に3.5X受けさせた。表2に布特性を示す。そのような糸を用いて作成した布は低い収縮率と良好な伸び(12%X39.8%)を示した。布の熱処理は必要でなかった。
【実施例7】
【0087】
2/2ポリエステル/LYCRA(商標)エアカバード糸を有する2方向伸縮性デニム
この実施例には実施例7と同じ縦表面糸および同じ布構造を持たせたが、但しコア弾性
糸の織物形状を2/2にした。4本の表面糸毎にコア弾性糸のエンドが1個存在するようにする。20Neの綿/70D LYCRA(商標)コアスパン糸を横糸として用いる。表Iに布特性を見ることができる。
【実施例8】
【0088】
3/1のシングルカバード(single covered)糸形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルはナイロン/LYCRA(商標)シングルカバード糸をコア弾性糸として用いる例である。シングルカバー方法を用いて40D LYCRA(商標)を70Dナイロンで被覆する。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。横糸を55D LYCRA(商標)コアスパン糸を伴う12Ne 綿にした。LYCRA(商標)のドラフトは3.6Xである。織機の速度を1分当たり500ピックにし、ピックレベルを1インチ当たり41ピックにした。縦コア糸では1下降と3上昇の織物形状を用いる。これに非適合形状を用いる。表2に試験結果を要約する。この試験結果は、この布を洗濯した後の重量は13.5オンス/平方ヤードであり、縦方向および横方向それぞれの伸びは14.8%および28.1%で伸長度は4.4%および4.4%であることを示している。布はグリンスルーを全く示さず、コア縦糸は表面および裏面の両方とも見られない。
【実施例9】
【0089】
1/3の非適合形状を有する2方向伸縮性デニム
このサンプルに持たせた布構造は実施例8に示したそれと同じであった。異なる点は9.4Neの綿/70D LYCRA(商標)コア紡績糸を横糸として用いることのみであった。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。その縦糸にインジゴ染色をビーミング前に受けさせた。コア縦糸を70D ナイロン/40D LYCRA(商標)シングルカバード糸にする。表2に試験結果を要約する。このサンプルは良好な伸び(縦14.1% X 横29.5%)を示すことは明らかである。そして、幅は62.6インチである。この布はまた低い収縮率も示す。このように、このサンプルは熱処理工程を必要としなかった。
【実施例10】
【0090】
1/1のコア糸形状を有する2方向伸縮性デニム
この布では実施例9と同じ縦および横糸を用いた。また、製織および仕上げ工程も実施例9と同じであったが、弾性コア縦糸の織物形状を2/2にした。表2に試験結果を要約する。このサンプルの重量は14.4オンス/平方ヤードであり、良好な伸び(縦12.8% X 横24.3%)および受け入れられる洗濯収縮率(縦4.4%X 横7.2%)を示すことが分かるであろう。再び、このサンプルも熱処理工程を必要としなかった。
【実施例11】
【0091】
2方向伸縮性デニム
これは重量が中程度のデニム布である。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。横糸を14Ne/70D LYCRA(商標)コアスパン糸にした。この横糸を横糸として布の中に織機で47ピック/インチになるように挿入する。基礎糸の織物形状を3/1のあや織りにした。このサンプルは熱処理無しに横方向に13.5%の伸びおよび3.8%の伸長度を示した。
【実施例12】
【0092】
グリンスルーを示す伸縮性2/2あや織りデニム
これは本発明に従わない比較サンプルである。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne
番手の混合インジゴ開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。縦コア糸の織物形状を2/2織りおよび適合(図10)にし、隣接して位置するコア糸が示す織物形状と異ならせる。この布の露出指数は布表面および裏面の両方とも2である。この布が示した物性は良好(表2を参照)であるが、コア弾性糸が布表面および裏面でグリンスルーを示した。コア弾性糸が露出していて布表面に明らかに表われている。
【実施例13】
【0093】
6/2コア糸が露出している伸縮性2/2あや織りデニム
これは、本発明に従わない別の比較サンプルである。縦表面糸を7.0Ne番手と8.4Ne番手の混合インジゴ開放端糸にした。コア縦糸を40D LYCRA(商標)スパンデックスを伴う70Neシングルカバード糸にする。縦コア糸の織物形状を6/2織り(図11)にする。それのコア弾性糸に長い浮織りを持たせる。この布は仕上げ後にしわとひだを示す。この布が示した露出指数は布の表面および裏面の両方とも2である。また、この布の物性も良好(表2を参照)であるが、コア弾性糸が布表面および裏面でグリンスルーを示す。コア弾性糸が露出していて明らかに布表面に表われている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦糸および横糸を有する織布を含んで成る製品であって、前記縦糸および横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有しかつ前記布が外側表面と裏面を有しかつ下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する製品。
【請求項2】
前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が約2:1から約10:1である請求項1記載の製品。
【請求項3】
基礎糸とコア糸の糸エンド比が約2:1から約8:1である請求項1記載の製品。
【請求項4】
前記縦糸に存在する弾性繊維の量が前記縦糸の約0.1から約5重量%である請求項1記載の製品。
【請求項5】
前記横糸に存在する弾性繊維の量が前記横糸の約0.1から約5重量%である請求項4記載の製品。
【請求項6】
前記弾性糸がスパンデックスである請求項1記載の製品。
【請求項7】
前記被覆複合弾性糸がコアスパン糸、エアカバード糸、シングルラップト糸、ダブルラップト糸およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項8】
前記布本体を形成する硬質糸がステープル紡績糸、フィラメント糸およびこれらの組み合わせから選択される請求項1記載の製品。
【請求項9】
前記布本体を形成する硬質糸が羊毛、リネン、絹、ポリエステル、ナイロン、オレフィン、綿およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項10】
布が平織り、あや織り、繻子織りおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される織物形状を有する請求項1記載の製品。
【請求項11】
前記硬質糸と複合糸の布織物形状が異なる請求項10記載の製品。
【請求項12】
前記布が縦糸方向に示す伸びが約10から約45%の範囲である請求項1記載の製品。
【請求項13】
前記弾性繊維コアが示すデニールが約10Dから約400Dである請求項1記載の製品。
【請求項14】
前記布が衣類を構成している請求項1記載の製品。
【請求項15】
縦糸および横糸を有する織布を含んで成る製品であって、前記縦糸または横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有しかつ前記布が外側表面と裏面を有しかつ前記布が下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくと
も1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
を包含する製品。
【請求項16】
製品を製造する方法であって、
縦糸および横糸を有していて前記縦糸または横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有する布を織ることを含んで成っていて、前記布が外側表面と裏面を有しかつ前記布が下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと前記複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する方法。
【請求項17】
前記被覆複合弾性糸が整経工程、糊付け工程または製織工程中に一緒に結合させた硬質糸と弾性糸コアの組み合わせを含有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記布の仕上げを後染めまたは連続工程で実施する請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記布の調製を熱処理工程無しに実施する請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記製品が衣類である請求項16記載の方法。
【請求項1】
縦糸および横糸を有する織布を含んで成る製品であって、前記縦糸および横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有しかつ前記布が外側表面と裏面を有しかつ下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する製品。
【請求項2】
前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が約2:1から約10:1である請求項1記載の製品。
【請求項3】
基礎糸とコア糸の糸エンド比が約2:1から約8:1である請求項1記載の製品。
【請求項4】
前記縦糸に存在する弾性繊維の量が前記縦糸の約0.1から約5重量%である請求項1記載の製品。
【請求項5】
前記横糸に存在する弾性繊維の量が前記横糸の約0.1から約5重量%である請求項4記載の製品。
【請求項6】
前記弾性糸がスパンデックスである請求項1記載の製品。
【請求項7】
前記被覆複合弾性糸がコアスパン糸、エアカバード糸、シングルラップト糸、ダブルラップト糸およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項8】
前記布本体を形成する硬質糸がステープル紡績糸、フィラメント糸およびこれらの組み合わせから選択される請求項1記載の製品。
【請求項9】
前記布本体を形成する硬質糸が羊毛、リネン、絹、ポリエステル、ナイロン、オレフィン、綿およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項10】
布が平織り、あや織り、繻子織りおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される織物形状を有する請求項1記載の製品。
【請求項11】
前記硬質糸と複合糸の布織物形状が異なる請求項10記載の製品。
【請求項12】
前記布が縦糸方向に示す伸びが約10から約45%の範囲である請求項1記載の製品。
【請求項13】
前記弾性繊維コアが示すデニールが約10Dから約400Dである請求項1記載の製品。
【請求項14】
前記布が衣類を構成している請求項1記載の製品。
【請求項15】
縦糸および横糸を有する織布を含んで成る製品であって、前記縦糸または横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有しかつ前記布が外側表面と裏面を有しかつ前記布が下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくと
も1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
を包含する製品。
【請求項16】
製品を製造する方法であって、
縦糸および横糸を有していて前記縦糸または横糸の少なくとも一方が布本体を形成する硬質糸および弾性糸コアを有する被覆複合弾性糸を包含する2種類の別々の糸系を有する布を織ることを含んで成っていて、前記布が外側表面と裏面を有しかつ前記布が下記:
(a)前記複合糸が外側表面に存在する時に前記複合糸および隣接して位置する少なくとも1種の硬質糸が同じピックの上を通る織物形状を有すること、
(b)前記硬質糸のデニールと前記複合糸のデニールの比率が少なくとも1:1であること、および
(c)前記複合糸の浮織りが外側表面上で5ピック以下であること、
の中の少なくとも1つを包含する方法。
【請求項17】
前記被覆複合弾性糸が整経工程、糊付け工程または製織工程中に一緒に結合させた硬質糸と弾性糸コアの組み合わせを含有する請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記布の仕上げを後染めまたは連続工程で実施する請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記布の調製を熱処理工程無しに実施する請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記製品が衣類である請求項16記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−511888(P2011−511888A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544376(P2010−544376)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/031376
【国際公開番号】WO2009/094311
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/031376
【国際公開番号】WO2009/094311
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】
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