説明

分離方法

本発明は二重回転弁を有する改良された吸着型分離方法及び/又は精製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2008年11月19日に出願された米国仮特許出願第61/116,097号(これが本明細書に参考として含まれる)の優先権を主張する。
本発明は吸収型分離方法及び/又は精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液相からの吸着がプロセス流中に低濃度で存在する汚染物質の除去に長く使用されていた。純粋な製品としての供給原料流の主成分の回収のための吸着(時折バルク分離と称される)の商業上の使用は、比較的最近の開発である。
バルク分離の例として、分岐鎖環式炭化水素からの線状パラフィンの分離、パラフィンからのオレフィンの分離、及びC8芳香族異性体(これらはキシレン及びエチルベンゼンを含む)の分離が挙げられる。典型的には、これらの方法は開発された特に有益な選択性のためにゼオライト吸着剤を使用するが、その技術及び理論が好適に選択的なノンシーブ吸着剤、例えば、アルミナ、木炭、金属酸化物等に同等に適用可能である。
液相からの大規模バルク分離の開発は吸着剤の実際の移動のない、吸着剤及びプロセス液体の連続向流を模擬するフロースキーム(“模擬移動床”即ちSMB)の使用により達成されていた。例えば、米国特許第2,985,589号及びKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第3編 (1978), 1巻, 563-581頁を参照のこと。このような方法はC8芳香族化合物の混合物からのp-キシレンの分離(UOP ParexTM)、n-パラフィン分離(UOP MolexTM)、オレフィン-パラフィン分離(UOP OlexTM)のために開発されていた。別法、例えば、p-キシレン分離のためのToray AromaxTM方法が開発されていた。夫々のこれらの製品は重要かつ公知の用途、例えば、ポリエステル繊維及びプラスチックの製造のためのp-キシレンを有する。
SMBはまた最近小規模の分離、例えば、医薬品、バイオケミカル薬品、及び香料の分離に使用されていた。例として、WO 2003026772を参照のこと。
【0003】
吸着剤及び供給原料流の模擬向流移動を使用するこれらの吸着分離ユニットの実質的に全てにおいて、その模擬が吸着剤を一つ以上の円筒形吸着剤チャンバー中で適所に保持することを伴なう。その方法に関係する流れがチャンバーに出入りする位置は、例えば、回転弁(これはマルチポートストップコックと同じ原理で機能する)により床の長さに沿って徐々にシフトされる。通常、この操作で使用される少なくとも四つの流れ(供給原料、脱着剤、抽出物及びラフィネート)があり、供給原料流及び脱着剤流がチャンバーに入り、抽出物流及びラフィネート流がチャンバーを出る位置が設定間隔で同じ方向に同時にシフトされる。これらの移動点の位置の夫々のシフトが液体をチャンバー内の異なる床から送出又は除去する。p-キシレン分離につき、抽出物流がp-キシレン及び脱着剤を含み、ラフィネート流が脱着剤及びp-キシレン減少キシレン混合物を含む。
このシフトは夫々の床への入口で夫々の流れについて指定されたラインを使用して行ない得る。しかしながら、これはその方法のコストを大きく増大し、それ故、ラインが再使用され、夫々のラインがそのサイクルの或る位置で四つのプロセス流の一つを運ぶ。SMBにおいて、供給原料流が一連の床に、最初に床no.1に、次いで床no.2に、そして多くの床(一般に12〜24の間にある)につき以下同様に順に接続される。これらの床は単一の大きい床(その移動が模擬される)の部分であると考えられるかもしれない。供給原料流の行き先が変えられる度に、少なくとも三つのその他の流れ(これらは床に入る流れ、例えば、供給原料流、又は床を出る流れ、例えば、抽出物及びラフィネートであってもよい)の行き先(又は原点)を変えることがまた必要である。脱着剤及び種々のフラッシュがまた床に出入りするかもしれない。移動床模擬は床を一連の固定床に分け、床を導入位置及び抜き取り位置を過ぎて移動することに代えて液体流を導入し、抜き取る位置を一連の固定床を過ぎて移動することと単に記載されるかもしれない。米国特許出願第2008036913号を参照のこと。
【0004】
SMB技術の遂行に使用される一般の技術が文献に良く記載されている。例えば、p-キシレンの回収に関する一般の記載がChemical Engineering Progress (66巻、9号)の1970年9月編集の70頁に提示された。数学的モデリングを強調するその方法の一般化された記載が1983年5月6-11日のドイツ、Upper Bavaria, Schloss Elmauにおける“吸着の基礎”に関する国際会議でD. B. Broughton及びS. A. Gembickiにより示された。F. J. Healyらに発行された米国特許第4,029,717号はキシレン異性体の混合物からのp-キシレンの回収のためのSMB方法を記載している。多くのその他の入手し得る文献が種々の液体流を分配するための回転弁、吸着剤チャンバーのインターナル及び制御システムを含む、SMBシステムの機械部品の多くを記載している。例えば、既に引用された、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第3編 (1978), 1巻, 特に569頁以下、及びその中の図4、Meyers' Handbook of Petroleum Refining Processes (第3編 (2004), McGraw-Hill Handbooks, 2.51頁)中の図2.6.4を参照のこと。
回転弁に関して、米国特許第2,985,589号が固定床のポート及び流れを固定床中に分配するための付随の回転弁を移動するというアイデアを記載している。また米国特許第3,040,777号、同第3,192,954号、同第3,422,848号を参照のこと。回転弁をSMB方法で利用する方法が多くの米国特許、例えば、米国特許第3,201,491号及び同第3,291,726号に記載されている。米国特許第3,706,812号では、カラムがその特許の図1に示されたように、回転弁に連結されたティー中で一緒に結合されている。開示されたシステムは正確な方向の流れを維持するために夫々のカラムとそのティーの間にチェック弁を含んでいた。その特許はまたポートをカラム中に移動するためのソレノイド弁の使用を開示していた。SMB中で使用されるような回転弁は導管の二つの別々のグループの同時の相互連結を達成すると記載されるかもしれない。
固体中の流れの周期的進行はまたマニホールド配置を利用して流体を固体に対し向流様式で流れさせることにより達成されるかもしれない。マニホールド中の弁が逐次様式で運転されて吸着剤固体中の総合の流体の流れと同じ方向の流れのシフトを行なってもよい。米国特許第3,706,812号を参照のこと。
【0005】
UOP SorbexTM方法(これらは上記されたParexTM方法、MolexTM方法、及びOlexTM方法を含む)は、典型的にはネット・イン(net in)流(供給原料及び脱着剤)、ネット・アウト(net out)流(抽出物及びラフィネート)、及び選別されたフラッシュ(一次フラッシュ・イン、二次フラッシュ・イン及びフラッシュ・アウト)をSMBユニット中のシーブチャンバー内の適当なシーブ床へと、またこれらの床から分配する回転弁を使用する。ネット・イン流、ネット・アウト流及び選別されたフラッシュ流が種々の床ラインを通って逐次循環される。選別されたフラッシュ流はその他のネット・イン流及びネット・アウト流からの床ラインの共有により生じる汚染を回避する必要がある。SorbexTMプロセスユニットは典型的にはかなり異なる組成を有する幾つかの流れを加工する。抽出物及びラフィネートという用語は分離される成分の性質、固体の好ましさ、及び装置又はシステムの性質に応じて相対的な用語であるが、本明細書に使用される“抽出物”という用語は製品及び脱着剤を含む流れを意味し、“ラフィネート”という用語は副生物及び脱着剤を含む流れを意味するであろう。
SMBの使用はキシレンとエチルベンゼンの混合物からのキシレン、特にp-キシレンの分離に重要である。米国特許第3,686,342号及び同第3,510,423号を参照のこと。ParexTMプロセスユニット(これは前記SMB方法で回転弁を使用する)は、典型的には種々の濃度のキシレンの混合物、例えば、平衡キシレン、選択的トルエン不均化ユニットからの濃縮されたp-キシレン流、結晶化装置からの濾液(これはp-キシレン濃度が低い)、及びこれらの混合物を供給し得る。通常の配置において、供給原料流の全てが一緒に混合され、一供給原料として回転弁に送られる。米国特許第5,750,820号に教示されたように、供給原料流が別々に保たれ、それらの組成に基づいて異なる床に供給されてもよい。
多くの方法が、例えば、米国特許第4,434,051号、同第5,470,464号、同第5,750,820号、同第5,912,395号、同第7,208,651号、米国特許出願第20060848065号及び同第20080149565号に教示されたように、吸着分離方法と組み合わせての回転弁の効率及び/又は生産性を増大するために考案されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、製油所及び/又は化学プラントで使用される供給原料流の源を増やすことの必要性により、高価な新しい装置の重大な増加なしに、かつ/又は効率の損失なしに、種々の供給原料源を同時に加工し得るシステムについての要望が依然としてある。例として、異なる組成を有する新しい供給原料流、例えば、90質量%より大きいp-キシレンを有する供給原料流を与える、Mobil選択的トルエン不均化(STDPTM)方法又はMobilトルエンからp-キシレン(MTPXTM)方法(米国特許第4,274,982号、同第4,851,604号、同第5,365,003号、同第5,498,822号を参照のこと)により提供されるようなキシレンの混合物により提供される平衡よりも高い濃度のp-キシレンを有する供給原料流を、約23質量%の平衡濃度のパラ-キシレンを有するキシレン供給原料流、及び/又は結晶化装置濾液により提供されるような、非常に低い量(約3-6質量%)のパラ-キシレンを有する供給原料流と統合するようにとの要望がある。供給原料の混合は有効ではない。何とならば、供給原料流の少なくとも一種が減少された濃度の所望の抽出物を有するようにされるからである。加えて、現行の慣例では、床ライン及び/又は床の少なくとも幾つかが所定の時間に使用中ではなく、これは非常に高価な手段の非効率的使用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは独立に運転するように配置又は配管された平行な回転弁を用意することにより、実施態様において、追加の供給原料流及びフラッシュ流についての増大された能力を与え、これが実施態様においてユニットの能力を増大し、又は一定の能力におけるユニットのエネルギー要求を減少することを実質的にもたらすことを驚くことに発見した。これはデザイナー及び/又はオペレーターが多くの供給位置を最適化し、例えば、ラフィネートと脱着剤の間でラフィネートを床ラインからフラッシュし、脱着剤をシーブチャンバーにフラッシュするためにフラッシュの数を維持又は増加することを可能にする。
本発明はSMBシステムで独立に運転するように配置又は配管された平行な分配弁、好ましくは回転弁に関する。実施態様において、そのシステムは夫々の回転弁内に異なって配置又は配管されたクロスオーバー管を有する少なくとも二つの回転弁を含み、その結果、二つの別々の供給原料、一つ〜夫々の回転弁が、模擬移動床吸着分離システム内で同時又は段階的に利用し得る。
実施態様において、本発明はまた平行な分配弁を有するSMBシステム中の二つの別々の供給原料の使用を含む、本発明のSMBシステムの使用方法に関する。
好ましい実施態様において、その方法は供給原料流を合わせることを必要としないSMBシステム内の複数の供給原料流の精製を含む。
別の好ましい実施態様において、供給原料流が平衡キシレン(約23質量%)、選択的トルエン不均化ユニットからの濃縮されたp-キシレン流(>90質量%)及び結晶化装置からの濾液(これはp-キシレン濃度が低い(<10質量%))から選ばれた少なくとも2種を含む。
これらの、またその他の目的、特徴、及び利点が以下の詳細な説明、好ましい実施態様、実施例及び特許請求の範囲を参照して明らかになるであろう。
添付図面中、同様の参照番号は幾つかの図中で同様の部分を表すのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】SMBシステム、例えば、SorbexTM方法に関する本発明の実施態様を図示する。
【図2】SMBシステム、例えば、SorbexTM方法に関する本発明の実施態様を図示する。
【図3】SMBシステム、例えば、SorbexTM方法に関する本発明の実施態様を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
更に詳しくは、本発明により提供された改良として、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
図1中で、その方法への2種の供給原料が供給原料フラッシング能力を失わないで夫々の回転弁に独立に供給し得る。
図2中で、一つの回転弁がラフィネートを床ラインからフラッシュ・アウトするように配置され、第二の回転弁がラフィネートフラッシュ・アウトを使用して脱着剤をシーブチャンバーにフラッシュバックするように配置される。
図3中で、図1及び図2の特徴の幾つかを合わせて、供給原料及びフラッシュの数が両方とも増大し得る。
本発明によれば、SMBシステムは少なくとも2種の異なる供給原料流の同時の加工を可能にするために独立に配管された少なくとも二つの分配弁を備えている。
実施態様において、本発明者らにより発見されたように、供給位置を最適化し、ラフィネートと脱着剤の間でラフィネートを床ラインからフラッシュし、脱着剤をシーブチャンバーにフラッシュするために配置又は配管された平行の回転弁システムを有することが好ましい。これはSMB方法、例えば、SorbexTM方法でフラッシュの数を実際に維持又は増加するとともに一つより多い供給位置についての能力を与えることにより達成し得る。
本発明は幾つかの図面を参照することにより一層良く理解されるかもしれない。以下の説明は単に例としてのためであり、本発明は本明細書に特別に示された以外に実施し得ることが理解されるであろう。
図1に示されるように、実施態様において、2種の供給原料、好ましくは2種の異なる供給原料(実施態様において、これらは(i)キシレンの平衡混合物、(ii)平衡濃度よりも大きい量のp-キシレンを有する選択的トルエン不均化ユニットからのキシレンの混合物、及び(iii)平衡濃度よりも少ない量のp-キシレンを有する結晶化方法からのキシレンの混合物からなる群から選ばれた供給原料であってもよい)が、夫々ライン1及び2を通って夫々の回転弁A及びBに独立に供給される。供給原料フラッシング能力の損失はない。何とならば、第二回転弁Bが床ラインに関して第一回転弁Aとは異なって配置される(配管される)からである。幾つかの図面中、回転弁の内部配管は示されていない。何とならば、それは夫々の回転弁に関してそれ自体通常であるからである。平行の回転弁A及びBは一種より多い供給原料の最適化を可能にするために独立に配置される。図に示されるように、3種の製品流(ラフィネート13、抽出物15及び抽出物フラッシュ・アウト18)が同じ場所(シーブチャンバー101)から抜き取られる。
【0010】
図1中の略図により示されるシステムに使用される例において、抽出物が脱着剤及びp-キシレンの混合物である。ラフィネートが脱着剤及びp-キシレン減少キシレンの混合物である。抽出物フラッシュ・アウトが脱着剤及びp-キシレンの混合物である。これらの流れの夫々が、更に好ましい実施態様において、例えば、蒸留により下流(略図中に示されていない)で精製されてもよく、脱着剤がそのシステムに循環されてもよい。また、更に別の更に好ましい実施態様において、ラフィネート流が異性化ユニット(また、略図中に示されていないが、当業界でそれ自体公知である)に送られ、次いで回転弁A又はBへの供給原料流がキシレンの平衡混合物である場合には供給原料流としてまた循環されてもよい。これらの更に好ましい実施態様(これらは組み合わされてもよい)が、本発明の所有の通常の職人によりすぐに配管し得る。
【0011】
ラフィネート、抽出物、及び抽出物フラッシュ・アウトの夫々の流れ(床ライン13、15、及び18)が分かれ(例えば、13A及び13Bに;その他の表示は見る上での便宜のために図面に省かれる)、夫々の流れのための夫々の出口で再度合わさる前に夫々の回転弁A及びB中を流れる(夫々、流れ3A、3B;5A、5B;8A及び8B)。下流の加工、例えば、蒸留、循環等(本明細書のいずれかに説明されているような)への出口についての配管は、見る上での便宜のために図に示されていないが、それ自体通常の配管である。供給原料流4(脱着剤)、6(供給原料フラッシュ・イン)及び7(二次供給原料フラッシュ)が夫々の回転弁A及びB中で同等に分かれ(4A、4B;6A、6B;7A、7B)、次いで再度合わさり(流れ14A及び14Bが14に合わさる)、同様に適当な流れが図1に示されるようにシーブチャンバー101及び102に入る前に流れ16及び17に合わさる(その他の表示は見る上での便宜のために省かれる)。
脱着剤はシーブについてのアフィニティー(これは分離される成分と同様である)を有する成分又は成分の混合物である。p-キシレン分離の場合には、脱着剤が典型的にはパラ-ジエチルベンゼン(PDEB)である。供給原料フラッシュ・インはSMB方法の床ライン中にある“汚染物”(供給原料)をフラッシュ・アウトする流れである。p-キシレン分離の場合には、この流れがPDEB、p-キシレン又は循環されたラインフラッシュ・アウトのいずれかである。二次供給原料フラッシュは抽出物が除去される床ラインに一層近くで追加の床ラインフラッシングを与える。p-キシレン分離では、二次供給原料フラッシュが典型的にはPDEBである。
【0012】
従来技術では、通常単一供給原料流(これは二つ以上の流れのブレンドである)が、また夫々の回転弁中で同等に分けられ、シーブチャンバー中で単一供給場所へと再度合わされる。しかしながら、図1に示されるように、これらの供給原料流(供給原料1及び供給原料2)が夫々の回転弁から流れ11及び12により一方又は両方のシーブチャンバー(図1の実施態様において単一シーブチャンバー102により示される)へと個々に供給し得る。
全ての図中のシーブチャンバーは通常の吸着剤物質(それ自体当業者に知られている)を使用する通常のシーブチャンバーであってもよい。
蒸留塔について、所定の供給原料の最適の場所は組成の関数である。SMBユニットへのC8芳香族化合物供給原料は典型的には幾つかの源、例えば、リフォーメート、トランスアルキル化、トルエン不均化、選択的トルエン不均化、キシレン異性化、p-キシレン結晶化装置からの濾液等に由来する。これらの供給原料の組成はp-キシレン純度(例えば、約3質量%、もしくは約6質量%、又は約9質量%から約80質量%もしくは約90質量%、又は約92質量%、或いは約94質量%まで)そしてまたエチルベンゼン含量(例えば、約1質量%から約25質量%まで)の点で広く変化し、供給原料が異なる源からのキシレン及びエチルベンゼンの混合物であってもよく、こうして夫々のC8異性体が供給原料流中で痕跡の不純物レベルから99質量%又はそれ以上まで変化してもよい。エチルベンゼンが最も注目に値する。何とならば、それが典型的にはp-キシレンから最も分離し難い異性体であるからである。
しかしながら、異なる濃度を有する供給原料流の混合は、本発明の利点の一つが重要な少なくとも一種の最終製品を共通して有する2種の異なる供給原料流が混合しないでSMBシステムで加工されて重要な前記最終製品を含む共通の抽出物を誘導し得ることであることを考えると、一般に、熱力学的に非効率的である。
例として、また限定であると意図しないで、多様な供給原料流が製油所及び/又は化学プラントの供給原料流、例えば、SMB方法、例えば、ParexTM方法に関して先に説明されたC8芳香族化合物供給原料から選ばれてもよく、パラフィン及び/又はオレフィン供給原料流を含んでもよい。
また、例として、重要な最終製品はp-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、エチルベンゼン、又はこれらの混合物、クメン、一種以上のパラフィン、一種以上のオレフィン、フラクトース等であってもよい。
【0013】
本発明の多くのその他の実施態様が本明細書の所有の当業者に直ちに明らかになるであろう。
二三のその他の特別かつ好ましい実施態様が以下に挙げられる。
図2に示されるように、別の実施態様において、一つの回転弁Aがラフィネートを床ラインからフラッシュ・アウトするように配置又は配管され、またその他の回転弁Bがラフィネートフラッシュ・アウトを使用して脱着剤を逆にシーブチャンバーにフラッシュするように配置される。図2中、平行な回転弁配置がまたSMB方法におけるフラッシュの数を増大するのに利用し得る。三つの製品流(ラフィネート13、抽出物15及び抽出物フラッシュ・アウト18)が夫々の回転弁A及びBについて同じ床ラインから抜き取られる。流れが15及び18に分かれ(例えば、ライン13に関して示されるようにライン13A及び13Bに(見る上での便宜のためにその他の表示が省かれる))、出口(ラフィネート3、抽出物5及びフラッシュ・アウト8として示される流れ)で再度合わさる前に夫々の回転弁中を流れる(夫々、3A、3B;5A、5B;及び8A、8B)。流れが本明細書のいずれかに説明されるような、更なる加工、例えば、蒸留続いて循環のために下流に送られてもよい(示されていない配管)。脱着剤4、供給原料フラッシュ・イン6、及び供給原料1の供給原料流が同等に分かれ(夫々4A、4B;6A、6B;1A、1B)、夫々の回転弁を通過し、次いで同じ場所で夫々のシーブチャンバー101及び102(夫々、シーブチャンバー#1及び#2)に入る前に再度合わさる(流れ14、16及び11)。流れ9(ラフィネートフラッシュ・アウト)が床ライン10Bを通って回転弁Bに輸送され、この同じ流れが流れ10(脱着剤フラッシュ・イン)として使用され、これが回転弁Aを通ってラフィネート抜き取り位置13と脱着剤供給位置14の間の場所に輸送される。流れ9(これは好ましい実施態様においてp-キシレン減少キシレン及びパラジエチルベンゼンの混合物である)が、脱着剤(パラジエチルベンゼン)の充分な床ラインを逆にチャンバーへと置換するであろう。こうすることにより、脱着剤がSMB方法で充分に利用されるであろう。好ましい実施態様において、このフラッシングの比率が床ライン容積/回転弁ステッピング(stepping)比率を超えない。何とならば、これが脱着剤に非常に近い場所にp-キシレン減少混合キシレンを導入するからであろう。これがp-キシレン製品の汚染をもたらし得る。この配置では、図1で二次供給原料フラッシュに使用される回転弁A及びB中の回転弁トラック(回転弁の内部配管;それら自体が本発明の特徴ではないので示されていない)が、今、ラフィネート供給原料フラッシュ・アウト9及び脱着剤供給原料フラッシュ・イン16のために使用される。減少された供給原料フラッシングのための若干の負債が実現されるかもしれないが、ラフィネート及び脱着剤フラッシングについての信用が供給原料フラッシングを減少するための負債をはるかに補って余りあるであろう。
【0014】
図3に示されるように、更に別の実施態様において、供給原料及びフラッシュの数が両方とも増大し得る。
図3に示された本発明の実施態様は図1中の先に説明されたような供給原料最適化及び図2中の先に説明されたような最適化されたフラッシングの両方を利用する。図3中、供給原料1及び2が夫々ライン1A及び2Bにより回転弁A及びBに夫々供給され、次いで流れ11及び12によりシーブチャンバー102中の異なる場所に供給される。図示されたように、三つの製品流(ラフィネート13、抽出物15及び抽出物フラッシュ・アウト18)が同じ場所(床ライン)から抜き取られる。流れが分かれ(先の図面のように、13A及び13Bに、またその他の流れ15及び18について、見る上での便宜のために別にマークされていない)、出口(流れ3、5及び8)でライン3A、3B;5A、5B、及び8A、8Bにより再度合わさる前に夫々の回転弁A及びB中を流れ、これらがその後に本明細書のいずれかに説明されたように下流で更に加工されてもよい(下流の加工のためのラインは示されていない)。供給原料流4(脱着剤)及び6(供給原料フラッシュ・イン)が同等に分かれ(夫々、4A、4B;6A、6B)、夫々の回転弁を通過し、次いで同じ場所(床ライン)でシーブチャンバー101及び102に夫々入る前に再度合わさる(示された流れ14及び16;14A及び14B;16のための同様のラインが見る上での便宜のためにマークされていない)。流れ9(ラフィネートフラッシュ・アウト)がライン9Bを通って回転弁Bに輸送され、この同じ流れが流れ10A(脱着剤フラッシュ・イン)として使用され、これが回転弁Aを通ってラフィネート抜き取り位置と脱着剤供給位置の間の場所に輸送される。流れ9、p-キシレン減少キシレン及びパラジエチルベンゼンの混合物が、脱着剤(パラジエチルベンゼン)の充分な床ラインを逆にチャンバーへと置換するであろう。再度、これが脱着剤をSMB方法で更に充分に利用する。好ましい実施態様において、このフラッシングの比率が床ライン容積/回転弁ステッピング比率を超えない。何とならば、これが脱着剤に非常に近い場所にp-キシレン減少混合キシレンを導入するからであろう。これがp-キシレン製品の汚染をもたらし得る。
【0015】
別の実施態様において、ラフィネートフラッシュ・アウトがラフィネート塔供給原料であるその流れの配置により一つの回転弁を通って輸送し得る。ラフィネートフラッシュ・アウトを(図2のように)脱着剤フラッシュ・インに循環することに代えて、第二回転弁が配管されて更なる(二次的な)供給原料フラッシング能を与える。
更に、追加の好ましい実施態様はラフィネート流及び脱着剤流の数を増大することを含むであろう。異なる組成を有する脱着剤流が平行な回転弁を異なって配管することによりSMBプロセスユニット中の異なる位置に同時に供給し得る。回転弁への脱着剤流はラフィネート及び抽出物を分別する塔中で分離され、そこから循環される脱着剤の混合物である。ラフィネート塔からの脱着剤の組成は抽出物塔からの脱着剤の組成とはわずかに異なる。ラフィネート塔からの脱着剤中の不純物はp-キシレン減少C8芳香族化合物(それが最高の沸点のC8芳香族化合物であるので主としてo-キシレン)である。抽出物塔からの脱着剤中の不純物は主としてp-キシレンである。こうして、別の好ましい実施態様において、その方法はこれらの流れをシーブ床中の異なる位置に独立に供給することを更に含む。加えて、この最適化が塔仕様の緩和及びエネルギーインプットの減少を可能にするであろう。
本発明の例示の実施態様が特別に記載されたが、種々のその他の変更が本発明の精神及び範囲から逸脱しないで当業者によりすぐになし得ることが理解されるであろう。
本明細書に使用されるトレード名はTM記号又は登録商標記号により示され、その名称が或るトレードマーク権により保護され、例えば、それらが種々の司法権で登録トレードマークであり得ることを示す。本明細書で引用された全ての特許及び特許出願、試験操作(例えば、ASTM方法、UL方法等)、並びにその他の書類はこのような開示が本発明と不一致ではない程度に、またこのような組み入れが許される全ての司法権について参考として完全に組み入れられる。数的下限及び数的上限が本明細書にリストされている場合、あらゆる下限からあらゆる上限までの範囲が意図されている。本明細書に使用される用語の意味は当業界におけるそれらの通常の意味を有するべきである。特に、Handbook of Petroleum Refining Processes,第3編, Robert A. Meyers編集, McGraw-Hill (2004)が参考にされるべきである。
【符号の説明】
【0016】
A,B−回転弁
1,2−ライン
4,6,7−供給原料流
11,12−流れ
13−ラフィネート
15−抽出物
18−抽出物フラッシュ・アウト
101,102−シーブチャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一化合物及び少なくとも一種のその他の化合物を含む混合物から第一化合物をSMBシステムで分離するための方法であって、前記方法が
a.第一濃度の前記第一化合物及び第一濃度の第二化合物を有する、第一供給原料流を、第一分配弁(前記第一分配弁は第二分配弁に流体連結されている)、及び前記第一化合物又は前記第二化合物の吸着に選択的な吸着剤物質を含む複数のチャンバーに与える工程、
b.第二濃度の前記第一化合物(その濃度は前記第一化合物の前記第一濃度と同じであってもよく、又は異なっていてもよい)、及び第二濃度の第二化合物(その濃度は工程(a)における前記第二化合物の前記第一濃度と同じであってもよく、又は異なっていてもよい)を有する第二供給原料流を、前記第一分配弁に流体連結された、前記第二分配弁、及び吸着剤物質を含む前記チャンバーの少なくとも一つに与える工程、
c.前記第一供給原料流を、前記吸着剤物質を含み、かつ前記第一化合物又は前記第二化合物を前記吸着剤物質に選択的に吸着する前記複数のチャンバーの前記少なくとも一つに導入して変性された吸着剤物質及び前記第一化合物の前記第一濃度とは異なる、第三濃度の前記第一化合物、及び前記第一化合物の前記第一濃度とは異なる、第三濃度の前記第二化合物を有する変性された第一供給原料流を得、前記変性された第一供給原料流を前記少なくとも一つのチャンバーから抜き取り、前記変性された第一供給原料流を前記第一分配弁、前記第二分配弁、又はこれらの組み合わせに通す工程、
d.前記第二供給原料流を前記吸着剤物質を含み、かつ前記第一化合物又は前記第二化合物を前記吸着剤物質に選択的に吸着する前記複数のチャンバーの前記少なくとも一つ(これは工程(c)における前記複数のチャンバーの前記少なくとも一つと同じであってもよく、又は異なっていてもよい)に導入して変性された吸着剤物質及び前記第一化合物の前記第二濃度とは異なる、第四濃度の前記第一化合物、及び前記第一化合物の前記第二濃度とは異なる、第四濃度の前記第二化合物を有する変性された第二供給原料流を得(前記第一化合物の前記第四濃度及び前記第二化合物の前記第四濃度は、独立に、前記第一化合物の前記第三濃度及び前記第二化合物の前記第三濃度と、夫々、同じであってもよく、又は異なっていてもよい)、前記変性された第二供給原料流をこの工程(d)で前記少なくとも一つのチャンバーから抜き取り、前記変性された第二供給原料流を前記第一分配弁、前記第二分配弁、又はこれらの組み合わせに通す工程、
e.前記変性された第一供給原料流及び前記変性された第二供給原料流を回収する工程、
f.脱着剤物質を含む少なくとも一種のフラッシュを前記第一分配弁、前記第二分配弁、又はこれらの組み合わせに与える工程、
g.工程(c)及び(d)からの前記変性された吸着剤物質を、前記フラッシュと、同時又は段階的に接触させ、それにより前記第一化合物又は前記第二化合物を少なくとも部分的に脱着して、変性されたフラッシュを得る工程、及び
h.前記変性されたフラッシュを前記第一分配弁、前記第二分配弁、又はこれらの組み合わせに通す工程
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記第一化合物がp-キシレンであり、かつ前記第二化合物がo-キシレン、m-キシレン、及びエチルベンゼンからなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(c)及び工程(d)がo-キシレンを前記吸着剤物質に吸着する工程を含み、かつ前記第一の変性された供給原料流及び前記第二の変性された供給原料流がo-キシレン、m-キシレン、及びエチルベンゼンから選ばれた少なくとも一種の化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(a)における前記第一供給原料流がC8芳香族化合物、オレフィンとパラフィンの混合物、ノルマルパラフィンの混合物、及びフラクトースからなる群から選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
工程(a)における前記第一供給原料流及び工程(b)における前記第二供給原料流がキシレンの平衡混合物、選択的トルエン不均化ユニットからの濃縮されたp-キシレン流、及び結晶化装置からの濾液(これはp-キシレンが少ない)から選ばれ、かつ工程(b)における前記第二供給原料流が異なる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
工程(a)で得られる前記第一化合物の前記第二濃度が工程(b)により得られる前記第一化合物の前記第一濃度とは異なる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
供給原料流中の第一化合物を前記供給原料流中の第一化合物及び少なくとも一種のその他の化合物を含む混合物から分離するためのSMB方法において、その改良が互いに、かつ前記複数の吸着分離チャンバーに流体連結された二つの分配弁を含み、前記分配弁の夫々が供給原料流の別々の源を有し、前記分配弁が異なる濃度の前記第一化合物を有する別々の供給原料流を加工することを特徴とする前記SMB方法。
【請求項8】
平行の回転弁を使用するSMB方法において、その改良が第一供給原料流を第一回転弁に供給し、前記第一供給原料流とは異なる、第二供給原料流を第二回転弁に供給し、前記供給原料流を混合しないで前もって決められた製品を前記供給原料流の夫々から分離することを特徴とする前記SMB方法。
【請求項9】
第一化合物及び少なくとも一種のその他の化合物を含む混合物から第一化合物をSMBシステムで分離するための方法であって、前記方法が
a.第一濃度の前記化合物及び第一濃度の第二化合物を有する、第一供給原料流を、第一分配弁(前記第一分配弁は第二分配弁に流体連結されている)、及び前記第一化合物又は前記第二化合物の吸着に選択的な吸着剤物質を含む複数のチャンバーに与える工程、
b.前記第一供給原料流を前記吸着剤物質を含み、かつ前記第一化合物又は前記第二化合物を前記吸着剤物質に選択的に吸着する前記複数のチャンバーの前記少なくとも一つに導入して変性された吸着剤物質及び前記第一化合物の前記第一濃度とは異なる濃度の前記第一化合物、及び前記第一化合物の前記第一濃度とは異なる濃度の前記第二化合物を有する変性された第一供給原料流を得、前記変性された第一供給原料流を前記少なくとも一つのチャンバーから抜き取り、前記変性された第一供給原料流を前記第一分配弁、前記第二分配弁、又はこれらの組み合わせに通す工程、
c.脱着剤及び第二分配弁からのフラッシュからなる群から選ばれた物質を前記変性された吸着剤物質を含む前記複数のチャンバーの前記少なくとも一つに導入する工程、及び
d.前記変性された第一供給原料流を回収する工程
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項10】
供給原料流中の第一化合物を前記供給原料流中の第一化合物及び少なくとも一種のその他の化合物を含む混合物から分離するためのSMB方法において、その改良が互いに、かつ前記複数の吸着分離チャンバーに流体連結された二つの分配弁を含み、前記分配弁の夫々が脱着剤及びフラッシュから選ばれた物質の少なくとも一種の源を有し、これらの夫々が同じ又は異なる源からのものであってもよく、かつこれらの夫々が同じ又は異なる組成を有してもよく、前記複数の吸着分離チャンバーの少なくとも一つが前記混合物と接触され、次いで前記分配弁の夫々からの物質の前記少なくとも一つにより接触されることを特徴とする前記SMB方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−509162(P2012−509162A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536366(P2011−536366)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/060833
【国際公開番号】WO2010/059317
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】