説明

切り花展示用フラワーショーケース、および、切り花用活け水の供給方法

【課題】切り花展示用フラワーショーケースにおける各水槽21〜23内や各花桶24の内外での水垢やカビ等の発生を大幅に抑制して、各水槽21〜23内の活け水の入れ替え頻度を低減するとともに、活け水の入れ替時の「各水槽内および花桶内外に付着している水垢やカビ等除去する」除去作業を解消する。
【解決手段】ケース本体10内に、給水源である有隔膜電解式の電解水生成装置40を設置して、生成される電解生成酸性水を給水管31、各オーバフロー管32〜34を通して各水槽21〜23内に供給して、各水槽21〜23に活けられる切り花の活け水として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り花を水槽に活けて展示するための切り花展示用フラワーショーケース、および、切り花用活け水の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切り花展示用フラワーショーケースの一形式として、ケース本体内に、上下に複数段に配設されて切り花用の活け水が収容される水槽と、給水源に接続されて最上段の水槽に活け水を供給する給水管、および、前記各水槽に配設されて同水槽に供給される活け水をオーバフローして次段の水槽に供給するオーバフロー管からなる活け水供給機構とを収納してなる形式の切り花展示用フラワーショーケースがある(特許文献1を参照)。
当該形式の切り花展示用フラワーショーケース(以下、単に当該フラワーショーケースと称することがある)においては、各水槽内に収容された活け水に活けられた各切り花の鮮度を保って、可能なかぎり、長期の展示に耐えるようにすることが要請される。
【0003】
ところで、当該フラワーショーケースにおいては、活け水としては、通常の水道水や、同水道水に延命剤(商品名:クリザール等)を添加した水を使用しているのが一般であるが、当該活け水には、除菌作用が無いか極めて低いため、当該活け水を収容する水槽内には、水垢やカビが早期に発生する。このため、各水槽に収容されている活け水を定期的(例えば2日に1回)に入れ替えるとともに、各水槽内に新たな活け水を供給するに先だっては各水槽を洗浄して、各水槽内に付着している水垢やカビ等を、および、切り花を活ける際に使用している多数の花桶の内外に付着している水垢やカビ等を、それぞれブラシ等で除去するという非常に面倒な作業を行っているのが実状である。
【0004】
一方、切り花の鮮度を保持する手段として、有隔膜電解式の電解水生成装置にて生成される強酸性の電解生成酸性水を活け水に採用することが提案されている(特許文献2を参照)。強酸性の電解生成酸性水は、殺菌作用が高いため、各水槽内での水垢やカビ等の発生を大幅に抑制して、切り花の鮮度を長期間保持すべく機能する。好ましい電解生成酸性水としては、pHが3以下の強酸性の電解生成酸性水を推奨している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開20005−125049号公報
【特許文献2】特許第3078791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記した特許文献2にて提案されている活け水である電解生成酸性水に着目して、電解生成酸性水を、切り花展示用フラワーショーケースにおける各水槽内に収容される活け水として有効活用することによって、各水槽内や各花桶の内外での水垢やカビ等の発生を大幅に抑制することにあり、これにより、展示している切り花の鮮度を長期に保持するために従来行っていた「各水槽を洗浄して、各水槽内に付着している水垢やカビ等を、および、切り花を活けている多数の花桶の内外に付着している水垢やカビ等を、それぞれブラシ等で除去する」という非常に面倒な作業を解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、切り花を水槽に活けて展示するための切り花展示用フラワーショーケース、および、切り花用活け水を各水槽内に供給する供給方法に関する。
本発明が適用対象とする切り花展示用フラワーショーケースは、ケース本体内に、上下に複数段に配設されて切り花用の活け水を収容する水槽と、給水源に接続されて最上段の水槽に活け水を供給する給水管、および、前記各水槽に配設されて同水槽に供給される活け水をオーバフローして次段の水槽に供給するオーバフロー管からなる活け水の給水機構とを収納してなる切り花展示用フラワーショーケースである。
【0008】
しかして、本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいては、活け水の給水源として有隔膜電解式の電解水生成装置が採用されて同電解水生成装置が前記ケース本体内に収納されていて、前記電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を活け水として、前記給水機構を構成する前記給水管および前記オーバフロー管を通して前記各水槽内に供給するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいては、前記給水管の先端開口部は前記最上段の水槽の上方部内に臨むとともに、前記各オーバフロー管の先端開口部は次段の水槽の上方部内に臨む構成として、前記各水槽への活け水の供給時、前記給水管の先端開口部および前記各オーバフロー管の先端開口部から吐出する際の電解生成酸性水から塩素ガスが揮発するようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記給水管または前記各水槽に、活け水である電解生成酸性水を冷却する冷却装置を配設するようにすることができる。
【0011】
また、本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記各水槽内の活け水の入れ替え時、各水槽または電解生成酸性水に紫外線を照射する紫外線照射装置を備える構成とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいては、前記各水槽内に活け水として供給する電解生成酸性水として、pHが3.0〜5.0の範囲の電解生成酸性水、好ましくは、pHが3.5〜4.5の範囲の電解生成酸性水を採用することができる。
【0013】
一方、本発明に係る切り花用活け水の第1の供給方法は、本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおける各水槽内へ活け水を供給する方法である。当該活け水の供給方法においては、活け水を供給するに当たっては、前記電解水生成装置の電解運転を開始して、同電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を前記給水管および前記各オーバフロー管を通して前記各水槽内に供給し、最下段の水槽に設置した水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位に達したことを検出された場合に電解運転を停止し、電解運転停止後、前記水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位よる所定量低下したことを検出された場合には電解運転を再開して設定された所定時間電解運転し、前記各水槽内の活け水を新たな電解生成酸性水に入れ替えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係る活け水の第2の供給方法においては、活け水の供給に当たっては、前記電解水生成装置の電解運転を開始して、同電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を前記給水管および前記各オーバフロー管を通して前記各水槽に供給し、最下段の水槽に設置した水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位に達したことを検出された場合に電解運転を停止し、電解運転停止後に設定された所定時間経過した場合には電解運転を再開して設定された所定時間電解運転して、前記各水槽内の活け水を新たに生成された電解生成酸性水に入れ替えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいては、有隔膜電解式の電解水生成装置をケース本体の内部に設置して活け水の給水源とし、当該電解水生成装置にて生成される強酸性の電解生成酸性水である活け水を、活け水の給水機構を構成する給水管、および、各オーバフロー管を通して、各水槽内に供給するようにしている。このようにして各水槽内に供給される活け水は、強酸性の電解生成酸性水であって殺菌能が高くて特性にムラがなく、殺菌能が持続する期間、各水槽内での水垢やカビ等の発生を著しく抑制することができる。
【0016】
このため、本発明に係る当該フラワーショーケースにおいては、この種形式の従来のフラワーショーケースのごとく、各水槽内で不可避的に発生する水垢やカビ等の面倒な除去作業を解消することができるとともに、各水槽内に収容されている活け水の入れ替えの頻度を低減することができる。各水槽内の活け水を新たな活け水に入れ替える場合、電解水生成装置からは一定濃度(有効塩素濃度)で特性にムラのない電解生成酸性水が供給されることから、各水槽に活けられた切り花に対して、活け水の濃度ムラに起因するストレスを与えることもない。
【0017】
本発明に係る当該フラワーショーケースにおいて、活け水を各水槽へ供給する際に、給水管の先端開口部や、各オーバフロー管の先端開口部から吐出する電解生成酸性水から揮発する微量の塩素ガスと、切り花から発生するエチレンとを反応させて、エチレンを除去することができ、これによって、切り花の成熟を遅延して、切り花の鮮度の保持を助成することができる。
【0018】
本発明に係る当該フラワーショーケースの活け水には、強酸性の電解生成酸性水であって、pHが3.0〜5.0の範囲の電解生成水、好ましくは、pHが3.5〜4.5の範囲の電解生成酸性水を採用することができ、このようなpHの範囲の電解生成酸性水を採用することにより、電解生成酸性水が潜在的に有する殺菌能を有効かつ効果的に利用することができる。
【0019】
本発明に係る当該フラワーショーケースにおいては、給水管または各水槽に、活け水である電解生成酸性水を冷却する冷却装置を配設するようにして各水槽内に収容されている活け水を低温状態に保持することができ、これにより、各水槽内に収容されている電解生成酸性水からの塩素成分の揮発を大幅に抑制して、活け水が有する殺菌能を長期に維持することができる。
【0020】
本発明に係る当該フラワーショーケースにおいて、前記各水槽内の活け水の入れ替え時、各水槽または活け水である電解生成酸性水に紫外線を照射する紫外線照射装置を備える構成とすることができ、これにより、活け水の入れ替え時に多く揮発する塩素ガスに紫外線を照射して、余剰の塩素ガスを分解することとができ、同時に、切り花から発生するエチレンガスを分解することができる。この場合、紫外線の照射は可能なかぎり短時間に留めて、紫外線の照射に起因する切り花の寿命の低下や、フラワーショーケースを構成する樹脂部品の劣化を極力抑えるようにする必要がある。
【0021】
本発明に係る当該フラワーショーケースにおいて、活け水を各水槽内へ供給する方法として本発明に係る第1または第2の供給方法を採用すれば、活け水の各水槽内への供給や停止作業、および、各水槽内に収容されている活け水の入れ替え作業を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る切り花展示用フラワーショーケースを右斜め前方から見た斜視図である。
【図2】当該フラワーショーケースを左斜め前方から見た斜視図である。
【図3】当該フラワーショーケースを模式的に示す概略構成図である。
【図4】当該フラワーショーケースを構成する水槽の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、切り花展示用フラワーショーケース、および、当該フラワーショーケースを構成する各水槽内に活け水を供給するための供給方法に関する。図1は、当該フラワーショーケースを右斜め前方からみた斜視図であり、図2は、当該フラワーショーケースを左斜め前方から見た斜視図であり、図3は、当該フラワーショーケースを模式的に示す概略構成図である。但し、図3では、切り花を活けるために使用する花桶は省略されている。
【0024】
当該フラワーショーケースは、ケース本体10内に、上下に3段に配設されて切り花用の活け水を収容する上中下段の各水槽21,22,23と、各水槽21〜23に活け水を供給するための給水機構30と、給水源である電解水生成装置40を収納して構成されている。ケース本体10は、3段の階段状の基台11と、基台11の後部、上部、および、左右の両側部を包囲するカバー12とからなり、左右の両側部は透明の合成樹脂にて形成されている。なお、左右の両側部は透明のガラスであってもよい。
【0025】
これにより、当該カバー12はケース本体10の内部を前方に開放して、ケース本体10の内部を前方から視認可能とし、かつ、カバー12の透明な各側部からケース本体10の内部を透視可能としている。
【0026】
各水槽21〜23は、基台11の上段、中段、および下段にそれぞれ取付けられている。各水槽21〜23は、上側開口部が上蓋21a〜23aにて開閉可能に覆蓋されるもので、各上蓋21a〜23aに形成されている各挿入口には、円筒状の花桶24が抜き差し可能に挿入される。従って、切り花を各水槽21〜23に活ける場合には、切り花を束状にセットした状態の花桶24を、各水槽21〜23の上蓋21a〜23aの挿入口から挿入するようにする。
【0027】
当該フラワーショーケースにおいては、各水槽21〜23に対する活け水の供給は、給水機構30にて行われる。給水機構30は、給水源に接続されて上段水槽21内に活け水を供給する給水管31、各水槽21〜23に配管されているオーバフロー管32〜34、および、各水槽21〜23に配管されている排水管35〜37からなるもので、給水管31は、給水源である電解水生成装置40に接続されている。当該フラワーショーケースにおいては、切り花の活け水として、電解生成酸性水を使用することから、基台11の上段の下方の部位に電解水生成装置40が設置されている。
【0028】
当該電解水生成装置40は、有隔膜電解式の電解水生成装置である。当該電解水生成装置40は、例えば、塩化カリウムや塩化ナトリウム等の無機塩の希薄水溶液を被電解水とする有隔膜電解を行うもので、有隔膜電解槽の陽極側電解室では強酸性の電解生成酸性水が生成され、同期的に、有隔膜電解槽の陰極側電解室では強アルカリ性の電解生成アルカリ性水が生成される。当該フラワーショーケースにおいては、当該電解水生成装置40にて生成される強酸性の電解生成酸性水を水道水と混合して、適度に希釈された電解生成酸性水とし、これを切り花の活け水に利用する。
【0029】
当該給水機構30を構成する給水管31は、当該電解水生成装置40の陽極側電解室に接続されている流出管に接続されていて、電解水生成装置40の電解運転時には、陽極側電解室にて生成される電解生成酸性水を上段水槽21に供給する。なお、給水管31の途中には、給水管31内を流通する電解生成酸性水を冷却するための冷却装置38aが介装されている。なお、図3に示す符号23bはフロートスイッチ、符号35a,36a,37aは排水弁、符号41は被電解水の供給管、符号42は電磁弁、符号43は減圧弁である。
【0030】
当該フラワーショーケースにおいては、活け水として、pHが3.0〜5.0の電解生成酸性水、好ましくは、pHが3.5〜4.5の電解生成酸性水が採用される。このようなpH範囲の電解生成酸性水を採用することにより、電解生成酸性水に潜在している殺菌能を有効かつ効果的に利用することができる。なお、当該電解生成酸性水においては、殺菌能を発揮する有効塩素濃度が5ppm〜10ppmの範囲にあることが好ましい。
【0031】
また、当該フラワーショーケースにおいては、このようなpH範囲の電解生成酸性水を冷却して活け水として利用する。冷却温度は5〜25℃、好ましくは10〜20℃であって、各水槽21〜23内に収容した電解生成酸性水(活け水)を低温に維持することにより、各水槽21〜23内に収容されている活け水からの塩素ガスの揮発と、切り花の開花および成熟を抑制する。なお、当該フラワーショーケースにおいては、電解生成酸性水を冷却するために、給水管31の途中に冷却装置38aを介装しているが、各水槽21〜23内に収容されている活け水を冷却すべく、図4に示すように、各水槽21〜23の内壁に冷却管38bを配管するようにすることもできる。
【0032】
当該フラワーショーケースにおいては、ケース本体10内の上段水槽21より上方の部位に紫外線照射装置39を配設している。当該紫外線照射装置39は、各水槽21〜23内の活け水を入れ替える際に、各水槽21〜23や、活け水である電解生成酸性水に紫外線を照射するもので、活け水の入れ替え時に多く揮発する塩素ガスに紫外線を照射することにより、余剰の塩素ガスを分解することができ、同時に、切り花から発生するエチレンガスを分解することができる。但し、紫外線の照射は可能なかぎり短時間に留めて、紫外線の照射に起因する切り花の寿命の低下や、当該フラワーショーケースを構成する樹脂部品の劣化を極力抑えるようにする。
【0033】
当該フラワーショーケースにおける各水槽21〜23に対する活け水の供給は、給水源である当該電解水生成装置40の電解運転を開始することによって行われる。当該電解水装置40の電解運転の運転制御は、図示しない制御装置によって行われる。
当該電解水生成装置40の電解運転を開始すると、有隔膜電解槽の陽極側電解室にて強酸性の電解生成酸性水が生成され、生成された電解生成酸性水は活け水として、給水管31を通って上段水槽21に継続して供給され、上段水槽21内から溢れ出た活け水はオーバフロー管32を通って中段水槽22に供給され、中段水槽22内から溢れ出た活け水はオーバフロー管33を通って下段水槽23に供給され、さらには、下段水槽23内から溢れ出た活け水はオーバフロー管34を通って排水される。
【0034】
この間、活け水として各水槽21〜23内に供給される電解生成酸性水は、給水管31の途中に介装されている冷却装置38aにて設定された所定温度に冷却され、各水槽21〜23内には、冷却された活け水として供給される。また、この間、下段水槽23の活け水が設定された所定の水位に達した場合には、下段水槽23内に設置されているフロートスイッチ23bがこれを検出して、この検出信号を制御装置に出力する。これにより、制御装置は、電解水生成装置40の電解運転を停止して、各水槽21〜23内への活け水の供給を終了する。
【0035】
これにより、花桶24に束状にセットされた状態で各水槽21〜23にセットされている切り花は、冷却された活け水に活けられた状態となり、切り花はこの状態で展示されることになる。この場合、各水槽21〜23内に供給される電解生成酸性水は、瞬時に、各水槽21〜23に活けられている切り花の茎の近傍に塩素ガスを揮発させ、揮発した塩素ガスは切り花が発生するエチレンと反応して、これを除去する。
【0036】
当該フラワーショーケースにおいては、切り花を長時間展示した場合には、各水槽21〜23内に収容されている活け水が、切り花による吸い上げや蒸発によって漸次減少し、また、活け水の殺菌能が有効塩素成分の揮発によって漸次低下する。このため、当該フラワーショーケースにおいては、各水槽21〜23内の活け水の水位が設定された所定の水位に低下した時点、または、展示時間か設定された所定の時間経過した時点で、各水槽21〜23内の活け水の入れ替え作業を行う。当該フラワーショーケースにおいては、各水槽21〜23内の活け水の入れ替え方法として、二通りの方法を採っている。
【0037】
第1の活け水入れ替え方法は、切り花を長時間展示して、各水槽21〜23内の活け水の水位が設定された所定の水位に低下しことを、フロートスイッチ23bが検出した時点で行う方法である。当該方法においては、フロートスイッチ23bは、水槽23内の活け水の水位が設定された所定の水位に低下した場合これを検出し、これを検出信号として制御装置に出力すると、制御装置は、当該検出信号に基づいて、電解水生成装置40の電解運転を再開し、電解運転を設定された所定時間継続する。これにより、各水槽21〜23内の活け水が完全に入れ替えられる。
【0038】
第2の活け水入れ替え方法は、各水槽21〜23内の活け水の水位が設定された所定の水位に低下した時点を待たずに、切り花の展示時間が設定された所定時間経過した場合には、時点で、制御装置は電解水生成装置40の電解運転を再開する方法である。制御装置は、この時点で電解水生成装置40の電解運転を再開し、電解運転を設定された所定時間継続する。これにより、各水槽21〜23内の活け水が完全に入れ替えられる。
【0039】
これらの活け水入れ替え方法では、電解生成酸性水を各水槽21〜23内に供給している際、または、供給終了した時点で短時間、紫外線照射装置39によって各水槽21〜23上に短時間の間、紫外線照射を行う。これにより、活け水の入れ替え時に多く揮発する塩素ガスに紫外線を照射して、余剰の塩素ガスを分解することができ、同時に、切り花から発生するエチレンガスを分解することができる。
【0040】
このように、当該フラワーショーケースにおいては、活け水として電解生成酸性水を採用して、給水機構30により、各水槽21〜23に対して同時に供給する手段を採っている。このため、各水槽21〜23内に収容された活け水は、殺菌能が高くて特性にムラがなく、殺菌能が持続する期間、各水槽21〜23内での水垢やカビ等の発生を著しく抑制することができる。
【0041】
このため、当該フラワーショーケースにおいては、この種形式の従来のフラワーショーケースのごとく、各水槽21〜23内や花桶24の内外で不可避的に発生する水垢やカビ等の面倒な除去作業を解消することができるとともに、各水槽21〜23内に収容されている活け水の入れ替えの頻度を低減することができる。各水槽21〜23内の活け水を新たな活け水に入れ替える場合、電解水生成装置からは一定濃度で特性にムラのない電解生成酸性水が供給されることから、切り花に対して、活け水の濃度ムラ等に起因するストレスを与えることもない。
【0042】
当該フラワーショーケースにおいて、活け水を各水槽21〜23内へ供給する際に、給水管31の先端開口部や、各オーバフロー管32〜34の先端開口部から吐出する電解生成酸性水から揮発する塩素ガスと、切り花から発生するエチレンとを反応させて、エチレンを除去することができ、これによって、切り花の成熟を遅延して、切り花の鮮度を保持助長することができる。
【0043】
本発明に係る切り花展示用フラワーショーケースにおいては、切り花の展示を長期間(16日)間行う展示実験を行い、各水槽21〜23内に収容されている活け水を、上記した第2の入れ替え方法を採用して、3日に1回の割合で入れ替える実験を行った。
【0044】
本実験では、活け水である電解生成酸性水として、pHが3.5〜4.5の範囲で、有効塩素濃度が5ppm〜10ppmの範囲で、水温10℃〜20℃の範囲の複数種類の電解生成酸性水を採用して、各電解生成酸性水を活け水とする切り花を展示し、展示期間中3日に1回、各水槽21〜23内の活け水の全部を入れ替えて、切り花を16日間展示した。
【0045】
当該切り花の展示実験では、展示期間中、切り花の保持性は良好であった。また、各水槽21〜23内の活け水の入れ替えの際に、各水槽21〜23や花桶24を視認により観察したが、水垢やカビ等の発生は皆無に近く、水垢やカビの除去作業を行う必要は全くなかった。
【符号の説明】
【0046】
10…ケース本体、11…基台、12…カバー、21,22,23…水槽、21a,22a,23a…上蓋、23b…フロートスイッチ、24…花桶、30…給水機構、31…給水管、32,33,34…オーバフロー管、35,36,37…排水管、35a,36a,37a…排水弁、38a…冷却装置、38b…冷却管、39…紫外線照射装置、40…電解水生成装置、41…被電解水の供給管、42…電磁弁、43…減圧弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体内に、上下に複数段に配設されて切り花用の活け水を収容する水槽と、給水源に接続されて最上段の水槽に活け水を供給する給水管、および、前記各水槽に配設されて同水槽に供給される活け水をオーバフローして次段の水槽に供給するオーバフロー管からなる活け水の給水機構とを収納してなる切り花展示用フラワーショーケースであり、当該フラワーショーケースにおいては、活け水の給水源として有隔膜電解式の電解水生成装置が採用されて同電解水生成装置が前記ケース本体内に収納されていて、前記電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を活け水として、前記給水機構を構成する前記給水管および前記オーバフロー管を通して前記各水槽内に供給するように構成されていることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【請求項2】
請求項1に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記給水管の先端開口部は前記最上段の水槽内の上方部に臨むとともに、前記各オーバフロー管の先端開口部は前記次段の水槽内の上方部に臨んでいて、前記各水槽内への活け水の供給時、前記給水管の先端開口部および前記各オーバフロー管の先端開口部から吐出する際の電解生成酸性水から塩素ガスが発生するように構成されていることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【請求項3】
請求項1または2に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記給水管または前記各水槽には、活け水である電解生成酸性水を冷却する冷却装置が配設されていることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記各水槽内の活け水の入れ替え時、前記各水槽上または活け水である電解生成酸性水に紫外線を照射する紫外線照射装置を備えていることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【請求項5】
請求項1〜4の少なくとも一項に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおいて、前記各水槽内に活け水として供給する電解生成酸性水は、pHが3.0〜5.0の範囲のものであることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケース。
【請求項6】
請求項1に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおける切り花用活け水の供給方法であり、当該活け水の供給に当たっては、前記電解水生成装置の電解運転を開始して、同電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を前記給水管および前記各オーバフロー管を通して前記各水槽に供給し、最下段の水槽に設置した水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位に達したことを検出された場合に電解運転を停止し、電解運転停止後、前記水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位よる所定量低下したことを検出された場合には電解運転を再開して設定された所定時間電解運転し、前記各水槽内の活け水を新たな電解生成酸性水に入れ替えることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケースにおける切り花用活け水の供給方法。
【請求項7】
請求項1に記載の切り花展示用フラワーショーケースにおける切り花用活け水の供給方法であり、当該活け水の供給に当たっては、前記電解水生成装置の電解運転を開始して、同電解水生成装置にて生成される電解生成酸性水を前記給水管および前記各オーバフロー管を通して前記各水槽内に供給し、最下段の水槽に設置した水位検出手段により同水槽内の水位が設定された水位に達したことを検出された場合に電解運転を停止し、電解運転停止後に設定された所定時間経過した場合には電解運転を再開して設定された所定時間電解運転して、前記各水槽内の活け水を新たに生成された電解生成酸性水に入れ替えることを特徴とする切り花展示用フラワーショーケースにおける切り花用活け水の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−24163(P2012−24163A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163211(P2010−163211)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】