切削工具
【課題】加圧した洗浄流体の圧力を急速に喪失させることなく、流体を切り屑溝に到達させて、切削インサート及び切り屑溝を洗浄する。
【解決手段】本発明は、雌雄結合部とスクリュ16及びワッシャ18とによって取り外しできるように接続されたフロントヘッド1及びリアホルダ2を有する切削工具に関する。冷却液は、主ダクト20を介して室7に供給され、室7から分岐ダクト11を介して別々の切削インサート5に供給される。前室7がカバー21によって閉鎖され、カバーは室7を取り囲むリング表面10に対して適用されて保持される。本発明によれば、カバー21は、ネジ付き連結部25、26によって締結可能であり、ネジ付き連結部25、26は、スクリュと主ダクト20の前区域との間に位置するネジ付き連結部19a、19bとは独立して作用する。
【解決手段】本発明は、雌雄結合部とスクリュ16及びワッシャ18とによって取り外しできるように接続されたフロントヘッド1及びリアホルダ2を有する切削工具に関する。冷却液は、主ダクト20を介して室7に供給され、室7から分岐ダクト11を介して別々の切削インサート5に供給される。前室7がカバー21によって閉鎖され、カバーは室7を取り囲むリング表面10に対して適用されて保持される。本発明によれば、カバー21は、ネジ付き連結部25、26によって締結可能であり、ネジ付き連結部25、26は、スクリュと主ダクト20の前区域との間に位置するネジ付き連結部19a、19bとは独立して作用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
フロントヘッド及びリアホルダを具備するタイプの切削工具であって、
前記フロントヘッド及び前記リアホルダは、前記ホルダの前部分に含まれる雄部材と、前記ヘッドの後端において開口すると共にリング表面に隣接した前記ヘッドの前端で開口する幅広室に肩部を介して移行する座と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャが、一方では、ヘッドが設けられたスクリュに雄ネジと、他方では、前記ホルダにわたって延びると共に流体を前記室に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔に含まれる雌ネジと、を具備するネジ付き連結部により肩部に押圧され、
分岐ダクトが、流体を個々の切削インサート及び切り屑空間に別々に供給するために、前記室から前記ヘッドの周辺部に位置する個々の切削インサート及び切り屑空間に向かって延び、
前記室がカバーによってシールされ、
前記カバーが前記リング表面に対して適用されて保持される、
切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した類の工具は、スチール、アルミニウム、鋳鉄などの金属のワークピースを、切断加工又は切り屑除去機械加工(chip removing machining)によって切削するのに使用される。これらを、複合材料を切削するのにも使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの用途では、第一には、ワークピースから除去された切り屑をできる限り早く取り除くために、しかしながら、しばしばそれだけでなく切削インサート及びその周囲部分を冷却するために、切削インサートが取り付けられている個々の切り屑溝に洗浄流体を供給することが必要である。切り屑排出効果及び冷却効果が所望されるときには、いくつかの形の液体が、例えば水又は油乳濁液が通常は使用される。流体が繰り屑除去効果のみを有するべきであるならば、流体は、有利には、気体であってもよく、好ましくは空気の形であってもよい。このために、現在の切削工具には、主ダクトを構成する適切に中央に配置された内部の孔が構成され、駆動機械内に又はそれに隣接する貯蔵容器からこの孔を介してヘッドまで流体を供給することができ、流体は、いずれにせよ、周辺に配置された切削インサートに対して外向きに分布される。切削インサートに流体を供給するのにあたって、現在の工具を2つの主なカテゴリに分けることができ、第一のカテゴリは室を利用するものであり、室はヘッドの前部分に形成され、流体は、主ダクトを介して室に供給され、次いでほとんどの場合穿孔された孔又は穿孔の形である個々の内部分岐ダクトを介して、切削インサートに対して個々に外向きに分布される。工具の第二のカテゴリはノズルを利用するものであり、ノズルは、ヘッドの前部分に配置され、複数の小さなノズル孔を介して、普通のシャワーのような流れを用いて切削インサートに外向きに流体を分布する。後者のタイプの工具の欠点は、最初に加圧した流体が、ノズルを通過して流れ出るやいなや液体の圧力を急速に喪失し、その後、液体が切り屑溝に到達する前に比較的長い距離を移動することにある。それにより、切削インサート及び切り屑溝の洗浄作用は、ほとんど普通のものになってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、
フロントヘッド及びリアホルダを具備する切り屑除去機械加工用の切削工具であって、
前記フロントヘッド及び前記リアホルダが、前記ホルダの前部分に含まれる雄部材と、前記ヘッドの後端において開口すると共にリング表面に隣接した前記ヘッドの前端で開口する幅広室に肩部を介して移行する座と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャが、一方では、ヘッドが設けられたスクリュに雄ネジと、他方では、前記ホルダにわたって延びると共に流体を前記室に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔に含まれる雌ネジと、を具備するネジ付き連結部により肩部に押圧され、
分岐ダクトが、流体を個々の切削インサート及び切り屑溝に別々に供給するために、前記室から前記ヘッドの周辺部に位置する個々の切削インサート及び切り屑溝に向かって延び、
前記室がカバーによってシールされ、
前記カバーが前記リング表面に対して適用されて保持される、
切削工具において、
前記カバーが、第二のネジ付き連結部によってリング表面に対して締結可能であり、
前記第二のネジ付き連結部が、前述の第一のネジ付き連結部とは独立して作用する、
切削工具が提供される。
【0005】
従前より既知の切削工具と比較した本発明に係る切削工具の利点が詳細に説明され、本発明に係る切削工具の前に、現在の工具の一般的な構造の特徴が以下の図面の補助によって明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る切削工具の斜視図。
【図2】工具の内部を示す類似の断面斜視図。
【図3】工具のヘッドと工具のホルダの細かい部分を示す拡大断面斜視図。
【図4】ホルダから離間したヘッドを示す断面斜視分解図。
【図5】ホルダにヘッドを固定するスクリュを示す上面斜視図。
【図6】図5と同じスクリュの底面斜視図。
【図7】スクリュと協働するワッシャの斜視図。
【図8】ヘッドに含まれる室をシールするカバーの上面斜視図。
【図9】図8と同じカバーの底面斜視図。
【図10】本発明に係る工具と同じカテゴリに属する従前から既知の切削工具の縦断面図。
【図11】本発明の変形実施形態を示す部分断面斜視図。
【図12】図11に係る実施形態に含まれるスクリュ及びカバーを示す分解図。
【図13】本発明のさらなる変形実施形態に含まれるスクリュ及びカバーを示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(本件切削カッタの一般的な構成)
図1〜4及び図10を参照しつつ、現在のタイプの切削工具の一般的な構造の特徴について、簡易な説明を以下に示す。この切削工具の主な構成要素は、フロントヘッド1とリアホルダ又はリアアダプタ2とであり、これらの両方は、回転対称である基本形状を有し、組み立てられた状態で共通中央軸線Cに対して同軸であり、工具は共通中央軸線C回りに回転することができる。ホルダ2は、駆動機械(図示しない)に固定されるようにされており、リア凹部3を含む。リア凹部3は、この場合では、結合部の一部であって雌のような部分を構成し、結合部の雄のような部分は駆動機械に含まれている。有利には、ヘッド1及びホルダ2をスチールから製造することができる。
【0008】
ヘッド1には、例えば超硬合金から製造された、周辺に位置しかつ接線方向に互いに離間された複数の切削インサート5が含まれ、従来のやり方では、切削インサート5は、再配置可能であり、削り屑溝6にそれぞれ隣接するように配置されている。ヘッド1の内部には(図4参照)、フロント円筒形室7と、同様に円筒形をしたリア円筒形座8とが存在し、これらの間に、室7が座8の直径よりも大きな直径が付与されている結果として、リング形状肩部又はリング形状支持表面9が設けられている。室7は、ヘッド1の前端で開放しており、リング形状表面10(今後、「リング表面」と呼ばれる)によって囲まれた室7の口部を有する。室7からドリル孔の形の分岐ダクト11が延び、分岐ダクト11はヘッド1の外側に開口している。さらに厳密には、個々の分岐ダクト11は、切り屑溝6へ延び、切削インサート5の近くに位置するその口部を有する。有利には、個々の分岐ダクト11は、通過する密な液体ジェット(passing, tight liquid jet)が切削インサート5のチップ表面(chip surface)に向かって方向付けられるような角度で穿孔されている。
【0009】
ヘッド1及びホルダ2は、雄雌結合部を介して取り外しできるように相互接続され、この雄雌結合部は、座8に加えて、ホルダ2の前部分に含まれると共に回転対称の基礎形状を有するソケットの形の雄部材12を含む。ソケットの外側13(及び座8の内側14)は、円錐形状にすることも想定できるが、この例では円筒形である。ソケット12は座8よりも短く、ひいてはソケット12のフロントリング形状端表面15は、ヘッド及びホルダが接続したときに、肩部9の軸線方向後ろに位置することになる。
【0010】
ヘッド1及びホルダ2を一緒に保持するために、ワッシャ18に押圧され続けるヘッド17を有するスクリュ16が使用され、ワッシャ18は肩部9に対して当接するようにもたらされる。このスクリュ16は雄ネジ19aを有し、中央貫通孔20の前区域に含まれる雌ネジ19b内に雄ネジ19aを締結することができ、中央貫通孔20は、工具を通過して前方方向に冷却液を供給する主ダクトとして機能する。この場合では、スクリュ16は中実であり、すなわち孔がなく、有利には、スクリュ16を(ヘッド1及びホルダ2のように)スチールから製造することができる。
【0011】
この工具にはカバー21も含まれ、カバー21は、室7をシールする目的を有し、それにより供給冷却液が強制的に分岐ダクト11を通過して出る。
【0012】
(先行技術)
これより、(SANDVIK COROMANT AB社によって市販されており、)誰でも使用できることによって従前より既知となっている切削工具を図示する図10が参照される。この工具と本発明に係る工具との利点は、冷却液(又は別の適切な流体)が、ヘッドの収集室に加圧した状態で供給されて、次いで内部分岐ダクトを介して互いに異なる密なジェットの形で切削インサート及び切り屑溝に分布され、それにより効果的に切削インサート及びその周囲から切り屑を取り除くことができることである。しかしながら、図10に係る既知の工具の欠点は、室7をシールする目的を有するカバー21が、スクリュ16のヘッドと組み合わせられて、ワッシャ18を肩部9に押圧することによってヘッド1及びホルダ2を一緒に保持する目的を有する同一のネジ付き連結部によりリング表面10にシールするように押圧されて配置されることにある。したがって、この場合、スクリュ16には中央孔22が形成され、中央孔22は、スクリュのネジ付きシャンクにわたって延び、それと同時に、ワッシャ18が(その中央孔を例外として)中実であり、それにより液体が座8から室7へ通過することができないので、ヘッド17内部において複数の分岐ダクト23に分岐する。スクリュヘッドのキーグリップ(key grip)24はスクリュを締結するのと同時に、ワッシャ18を肩部9に対して、かつカバー21をリング表面10に対して締結することができる。また、有利には、ワッシャ18をスチールから製造することができる。
【0013】
上述のやり方で、単一のネジ付き連結部により、すなわちスクリュの雄ネジ19a及び孔20の雌ネジ19bにより、ワッシャ18及びカバー21の両方を締結できることは、製造及び取扱いの観点から魅力的に見えるかも知れない。しかしながら、実際には、この構成の解決策は、克服するのが困難な問題を含む。すなわち、とりわけヘッドの軸線方向延長部に関するスクリュの寸法制度が正確でないならば、カバーと取り囲んでいるリング表面10との間の漏れのリスクが上昇する。したがって、規定トルクによってスクリュ16を締結した後に、カバー21がリング表面10から一定の距離で停止するおそれがあり、それにより液体がシャワーのような流れで漏れ出るおそれがあり、(漏れのサイズに応じて)このことが液圧を減少させ、それにより分岐ダクト11を通過する標的ジェットの効率を減少させる。言い換えれば、不必要な多量の液が非効率的に周囲に飛び散るので、それと同時に液洗浄の効率が悪化する。カバーは、(リング表面10を押圧するのが早すぎることによって)スクリュが十分に強い力によってヘッド及びホルダを一緒に保持することを妨げるおそれがある。
【0014】
(本発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の特徴は(本発明の第一の実施形態を図示する図1〜9参照)、カバー21が第二のネジ付き連結部によりリング表面10に対して締結することができ、第二の連結部がワッシャ18を肩部9に押圧する第一のネジ付き連結部19a、19bから独立していることである。図1〜9に係る好ましい実施形態では、このことは、カバー21の組み合わせられた部分として含まれる円筒形カフ27の内側に位置する雌ネジ26と協働する雄ネジ25がスクリュ16のヘッド17に形成されることによって認識される。さらに厳密には、カフ27はカバーの後ろ側に配置され、カバーは前からアクセスできるキーグリップ28を含み、キーグリップ28によって、スクリュヘッドにカバーをネジ止めしかつ外すことができる。この場合、スクリュは、液体ダクトがない限りにおいて中実である。キーグリップ24はヘッドの前側で開放しており、キーグリップ24により、ワッシャ18に対してスクリュ16を単独で適切に締結することができる。
【0015】
この場合では、ヘッド1がホルダ2に適用され、ホルダ2の主ダクト20は複数のドリル孔30に分岐し、ドリル孔30は、一方の端では主ダクト20に開口し、他方の端ではソケット12のフロント端表面15に開口する。さらに、ワッシャ18には、適切な数の貫通孔32が形成され、主ダクト20及び分岐孔30からの液体は、貫通孔32を介して座8と室7との間を通過することができる。この例では、孔32の数は4つである。ワッシャの中央孔33は、スクリュよりもいくぶん大きい直径を有する。
【0016】
カバー21は、工具の他の構成要素と同様に、スチールから製造されてもよい。あるいは、スチールよりも弾性が高くかつ軽い、アルミニウム、プラスチック又は様々な複合材料などの材料から、カバー21を製造することができる。さらに、この例では、カバーのキーグリップ28が貫通孔の形であることが指摘されるべきである。カバーに十分な厚さが付与されているならば、カバーの上側に皿状にくぼんだ(countersunk)座のようなキーグリップを形成することもできる。
【0017】
有利には、カフ27を外側に持ち送り積みする(corbel)と共に周辺縁部を形成するカバーの部分は、比較的薄く、その部分の一定の弾性を確保することができる。したがって、その厚さは0.5〜2mmの範囲内であるべきである。さらに、縁部の直径は、カフの直径の少なくとも50%であるべきであり、適切には100%以下であるべきである。
【0018】
(本発明の機能及び利点)
工具の様々な構成要素が一緒に結合されるべきときに、ソケット12が座8に適用され、座のそばでワッシャ18が肩部9に対して当接される。次の段階では、スクリュ16は、所定の場所にもたらされ、適切なトルクによって雌ネジ19b内に締結される。このようにして、ヘッド1はワッシャ18を介してホルダ2にロックされる。終わりの段階では、協働する雄ネジ25及び雌ねじ26によって構成される第二のネジ付き連結部を介して、カバー21が適用されかつ締結される。説明した2つのネジ付き連結部を互いに独立して作動させることができるという事実の結果として、リング表面10に当接するカバーの周辺部の信頼性のあるシール作用が保証される。したがって、シール効果は、協働する構成要素の、すなわちワッシャ、スクリュヘッド及びカバーの寸法精度に依存しないことになる。カバーは、スクリュを正確に締結するのに不利に影響するおそれがない。
【0019】
(本発明の変形実施形態の簡単な説明)
これより、本発明に係る切削工具の変形実施形態を図示する図11及び図12が参照される。図10に係る既知の工具と同様に、この場合では、工具はスクリュ16を含み、スクリュ16は中央孔22を含み、中央孔22は、スクリュのネジ付きシャンクにわたって延び、ヘッド17内部の複数の分岐ダクト23に分岐する。しかしながら、この場合では孔22は、スクリュの対向する端同士の間中にわたって延び、ヘッド17の拡大区域34を含む。加えて、本発明によれば、ヘッド17には、カバー21のカフ27に含まれた雌ネジ26と協働する外ネジ25が形成される。
【0020】
図11及び図12に係る実施形態では、キーグリップ28は、孔22の拡大区域34に収容される中央の厚くされたノブ(central, thickened knob)の形状をした座の形のものである。カバーがスクリュに締結されると、カフのリア端表面が分岐ダクト23に配置されることになり、その結果、供給流体が室7内を自由に通過することができる。
【0021】
最後に、図13には変形実施形態が示され、その変形実施形態では、分岐ダクトがカバー21のカフ27において半径方向孔35の形になっていることが必要である。これらの孔35は、カバーの縁部の直近に配置される。この場合では、カフの孔35を介して取り囲んでいる室内に、孔22を通過して供給される流体を分布させることができるので、分岐ダクトはスクリュ16のヘッド17に穿孔される必要がない。
【0022】
全ての実施形態において、分離した2つのネジ付き連結部が同じ方向に延びるように、これらの連結部に一致するネジを形成することが好ましい。例えば、図5に示された雄ネジ19aが右ネジであるならば、雄ネジ25も右ネジに作成される。このようにして、スクリュの最初の締結作用が、シーリングカバー21のその後の締結作用によって妨げられるというリスクにならないことが保証される。言い換えれば、スクリュ及びカバーは、同一の方向に締結される。さらには、この方向は、工具の回転がスクリュ及びカバーを別々に緩めるよりもむしろ締結することを目的とする場合、工具の回転の方向と一致するように選択されてもよい。
【0023】
完全を期すために、参照番号1,2,16及び21の構成要素、すなわちヘッド1、ホルダ2、スクリュ16及びカバー21の全ては、共通の中央軸線Cに対して同軸であることも指摘されるべきである。
【0024】
(さらなる先行技術の説明)
外部の普通の流れの冷却液を、さらに厳密には、中央ノズルから個々の切り屑溝及び切削インサートに隣接する周囲スロットを介して冷却液を分布するカテゴリに属する、米国特許第6450738号明細書及び国際公開第2007/085281号による切削工具が、従前より既知である。それにより、内部分岐ダクトを介して適切な圧力を持つ互いに異なるジェットを提供することができない。
【0025】
スウェーデン特許第517817号明細書では、個々の切削インサートに対して冷却液を別々に分布するようにされた分岐ダクトの形をそれ自体が含む切削工具が示されている。しかしながら、この場合では、分岐ダクトは切削カッタヘッドの前表面において開放溝の形をしており、シーリングカバーはこの工具に全く含まれていない。
【0026】
(本発明の実現可能な変更)
本発明は、上述の例及び図面に示された例のみに制限されるものではない。したがって、カバーのパイプ区域とスクリュヘッドとの間の代わりに、カバーのパイプ区域と収集室の内部表面との間でシーリングカバーを個別に締結するように使用される第二のネジ付き連結部を配置することが現実可能である。この例では、スクリュヘッドのキーグリップは、カバーのキーグリップよりも大きい。カバーのキーグリップが貫通孔の形であるときに、反対の変形も実現可能であり、すなわち、カバーのキーグリップが、スクリュのキーグリップよりも大きく又は広く作成される。このようにして、(例えば、スクリュを緩めるに当たって、)カバーがスクリュヘッドから最初に取り除かれることなく、スクリュのためのキーをスクリュのキーグリップに挿入することができる。さらに、主ダクトからフロントヘッドの室に対する2つの流れによって、すなわち、ホルダの傾けられたダクトとワッシャの孔とを介して供給される、図1〜9に図示されているタイプの第一の流れと、図11〜13に示されているタイプの中空のスクリュによる第二の流れとによって、流体を供給することが実現可能である。2つの流れで流体を供給することは、一定の用途では、すなわち、工具本体のダクト及びスクリュのために利用可能な空間がそれぞれ制限されているならば、有利であるだろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、
フロントヘッド及びリアホルダを具備するタイプの切削工具であって、
前記フロントヘッド及び前記リアホルダは、前記ホルダの前部分に含まれる雄部材と、前記ヘッドの後端において開口すると共にリング表面に隣接した前記ヘッドの前端で開口する幅広室に肩部を介して移行する座と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャが、一方では、ヘッドが設けられたスクリュに雄ネジと、他方では、前記ホルダにわたって延びると共に流体を前記室に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔に含まれる雌ネジと、を具備するネジ付き連結部により肩部に押圧され、
分岐ダクトが、流体を個々の切削インサート及び切り屑空間に別々に供給するために、前記室から前記ヘッドの周辺部に位置する個々の切削インサート及び切り屑空間に向かって延び、
前記室がカバーによってシールされ、
前記カバーが前記リング表面に対して適用されて保持される、
切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した類の工具は、スチール、アルミニウム、鋳鉄などの金属のワークピースを、切断加工又は切り屑除去機械加工(chip removing machining)によって切削するのに使用される。これらを、複合材料を切削するのにも使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの用途では、第一には、ワークピースから除去された切り屑をできる限り早く取り除くために、しかしながら、しばしばそれだけでなく切削インサート及びその周囲部分を冷却するために、切削インサートが取り付けられている個々の切り屑溝に洗浄流体を供給することが必要である。切り屑排出効果及び冷却効果が所望されるときには、いくつかの形の液体が、例えば水又は油乳濁液が通常は使用される。流体が繰り屑除去効果のみを有するべきであるならば、流体は、有利には、気体であってもよく、好ましくは空気の形であってもよい。このために、現在の切削工具には、主ダクトを構成する適切に中央に配置された内部の孔が構成され、駆動機械内に又はそれに隣接する貯蔵容器からこの孔を介してヘッドまで流体を供給することができ、流体は、いずれにせよ、周辺に配置された切削インサートに対して外向きに分布される。切削インサートに流体を供給するのにあたって、現在の工具を2つの主なカテゴリに分けることができ、第一のカテゴリは室を利用するものであり、室はヘッドの前部分に形成され、流体は、主ダクトを介して室に供給され、次いでほとんどの場合穿孔された孔又は穿孔の形である個々の内部分岐ダクトを介して、切削インサートに対して個々に外向きに分布される。工具の第二のカテゴリはノズルを利用するものであり、ノズルは、ヘッドの前部分に配置され、複数の小さなノズル孔を介して、普通のシャワーのような流れを用いて切削インサートに外向きに流体を分布する。後者のタイプの工具の欠点は、最初に加圧した流体が、ノズルを通過して流れ出るやいなや液体の圧力を急速に喪失し、その後、液体が切り屑溝に到達する前に比較的長い距離を移動することにある。それにより、切削インサート及び切り屑溝の洗浄作用は、ほとんど普通のものになってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、
フロントヘッド及びリアホルダを具備する切り屑除去機械加工用の切削工具であって、
前記フロントヘッド及び前記リアホルダが、前記ホルダの前部分に含まれる雄部材と、前記ヘッドの後端において開口すると共にリング表面に隣接した前記ヘッドの前端で開口する幅広室に肩部を介して移行する座と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャが、一方では、ヘッドが設けられたスクリュに雄ネジと、他方では、前記ホルダにわたって延びると共に流体を前記室に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔に含まれる雌ネジと、を具備するネジ付き連結部により肩部に押圧され、
分岐ダクトが、流体を個々の切削インサート及び切り屑溝に別々に供給するために、前記室から前記ヘッドの周辺部に位置する個々の切削インサート及び切り屑溝に向かって延び、
前記室がカバーによってシールされ、
前記カバーが前記リング表面に対して適用されて保持される、
切削工具において、
前記カバーが、第二のネジ付き連結部によってリング表面に対して締結可能であり、
前記第二のネジ付き連結部が、前述の第一のネジ付き連結部とは独立して作用する、
切削工具が提供される。
【0005】
従前より既知の切削工具と比較した本発明に係る切削工具の利点が詳細に説明され、本発明に係る切削工具の前に、現在の工具の一般的な構造の特徴が以下の図面の補助によって明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る切削工具の斜視図。
【図2】工具の内部を示す類似の断面斜視図。
【図3】工具のヘッドと工具のホルダの細かい部分を示す拡大断面斜視図。
【図4】ホルダから離間したヘッドを示す断面斜視分解図。
【図5】ホルダにヘッドを固定するスクリュを示す上面斜視図。
【図6】図5と同じスクリュの底面斜視図。
【図7】スクリュと協働するワッシャの斜視図。
【図8】ヘッドに含まれる室をシールするカバーの上面斜視図。
【図9】図8と同じカバーの底面斜視図。
【図10】本発明に係る工具と同じカテゴリに属する従前から既知の切削工具の縦断面図。
【図11】本発明の変形実施形態を示す部分断面斜視図。
【図12】図11に係る実施形態に含まれるスクリュ及びカバーを示す分解図。
【図13】本発明のさらなる変形実施形態に含まれるスクリュ及びカバーを示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(本件切削カッタの一般的な構成)
図1〜4及び図10を参照しつつ、現在のタイプの切削工具の一般的な構造の特徴について、簡易な説明を以下に示す。この切削工具の主な構成要素は、フロントヘッド1とリアホルダ又はリアアダプタ2とであり、これらの両方は、回転対称である基本形状を有し、組み立てられた状態で共通中央軸線Cに対して同軸であり、工具は共通中央軸線C回りに回転することができる。ホルダ2は、駆動機械(図示しない)に固定されるようにされており、リア凹部3を含む。リア凹部3は、この場合では、結合部の一部であって雌のような部分を構成し、結合部の雄のような部分は駆動機械に含まれている。有利には、ヘッド1及びホルダ2をスチールから製造することができる。
【0008】
ヘッド1には、例えば超硬合金から製造された、周辺に位置しかつ接線方向に互いに離間された複数の切削インサート5が含まれ、従来のやり方では、切削インサート5は、再配置可能であり、削り屑溝6にそれぞれ隣接するように配置されている。ヘッド1の内部には(図4参照)、フロント円筒形室7と、同様に円筒形をしたリア円筒形座8とが存在し、これらの間に、室7が座8の直径よりも大きな直径が付与されている結果として、リング形状肩部又はリング形状支持表面9が設けられている。室7は、ヘッド1の前端で開放しており、リング形状表面10(今後、「リング表面」と呼ばれる)によって囲まれた室7の口部を有する。室7からドリル孔の形の分岐ダクト11が延び、分岐ダクト11はヘッド1の外側に開口している。さらに厳密には、個々の分岐ダクト11は、切り屑溝6へ延び、切削インサート5の近くに位置するその口部を有する。有利には、個々の分岐ダクト11は、通過する密な液体ジェット(passing, tight liquid jet)が切削インサート5のチップ表面(chip surface)に向かって方向付けられるような角度で穿孔されている。
【0009】
ヘッド1及びホルダ2は、雄雌結合部を介して取り外しできるように相互接続され、この雄雌結合部は、座8に加えて、ホルダ2の前部分に含まれると共に回転対称の基礎形状を有するソケットの形の雄部材12を含む。ソケットの外側13(及び座8の内側14)は、円錐形状にすることも想定できるが、この例では円筒形である。ソケット12は座8よりも短く、ひいてはソケット12のフロントリング形状端表面15は、ヘッド及びホルダが接続したときに、肩部9の軸線方向後ろに位置することになる。
【0010】
ヘッド1及びホルダ2を一緒に保持するために、ワッシャ18に押圧され続けるヘッド17を有するスクリュ16が使用され、ワッシャ18は肩部9に対して当接するようにもたらされる。このスクリュ16は雄ネジ19aを有し、中央貫通孔20の前区域に含まれる雌ネジ19b内に雄ネジ19aを締結することができ、中央貫通孔20は、工具を通過して前方方向に冷却液を供給する主ダクトとして機能する。この場合では、スクリュ16は中実であり、すなわち孔がなく、有利には、スクリュ16を(ヘッド1及びホルダ2のように)スチールから製造することができる。
【0011】
この工具にはカバー21も含まれ、カバー21は、室7をシールする目的を有し、それにより供給冷却液が強制的に分岐ダクト11を通過して出る。
【0012】
(先行技術)
これより、(SANDVIK COROMANT AB社によって市販されており、)誰でも使用できることによって従前より既知となっている切削工具を図示する図10が参照される。この工具と本発明に係る工具との利点は、冷却液(又は別の適切な流体)が、ヘッドの収集室に加圧した状態で供給されて、次いで内部分岐ダクトを介して互いに異なる密なジェットの形で切削インサート及び切り屑溝に分布され、それにより効果的に切削インサート及びその周囲から切り屑を取り除くことができることである。しかしながら、図10に係る既知の工具の欠点は、室7をシールする目的を有するカバー21が、スクリュ16のヘッドと組み合わせられて、ワッシャ18を肩部9に押圧することによってヘッド1及びホルダ2を一緒に保持する目的を有する同一のネジ付き連結部によりリング表面10にシールするように押圧されて配置されることにある。したがって、この場合、スクリュ16には中央孔22が形成され、中央孔22は、スクリュのネジ付きシャンクにわたって延び、それと同時に、ワッシャ18が(その中央孔を例外として)中実であり、それにより液体が座8から室7へ通過することができないので、ヘッド17内部において複数の分岐ダクト23に分岐する。スクリュヘッドのキーグリップ(key grip)24はスクリュを締結するのと同時に、ワッシャ18を肩部9に対して、かつカバー21をリング表面10に対して締結することができる。また、有利には、ワッシャ18をスチールから製造することができる。
【0013】
上述のやり方で、単一のネジ付き連結部により、すなわちスクリュの雄ネジ19a及び孔20の雌ネジ19bにより、ワッシャ18及びカバー21の両方を締結できることは、製造及び取扱いの観点から魅力的に見えるかも知れない。しかしながら、実際には、この構成の解決策は、克服するのが困難な問題を含む。すなわち、とりわけヘッドの軸線方向延長部に関するスクリュの寸法制度が正確でないならば、カバーと取り囲んでいるリング表面10との間の漏れのリスクが上昇する。したがって、規定トルクによってスクリュ16を締結した後に、カバー21がリング表面10から一定の距離で停止するおそれがあり、それにより液体がシャワーのような流れで漏れ出るおそれがあり、(漏れのサイズに応じて)このことが液圧を減少させ、それにより分岐ダクト11を通過する標的ジェットの効率を減少させる。言い換えれば、不必要な多量の液が非効率的に周囲に飛び散るので、それと同時に液洗浄の効率が悪化する。カバーは、(リング表面10を押圧するのが早すぎることによって)スクリュが十分に強い力によってヘッド及びホルダを一緒に保持することを妨げるおそれがある。
【0014】
(本発明の好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の特徴は(本発明の第一の実施形態を図示する図1〜9参照)、カバー21が第二のネジ付き連結部によりリング表面10に対して締結することができ、第二の連結部がワッシャ18を肩部9に押圧する第一のネジ付き連結部19a、19bから独立していることである。図1〜9に係る好ましい実施形態では、このことは、カバー21の組み合わせられた部分として含まれる円筒形カフ27の内側に位置する雌ネジ26と協働する雄ネジ25がスクリュ16のヘッド17に形成されることによって認識される。さらに厳密には、カフ27はカバーの後ろ側に配置され、カバーは前からアクセスできるキーグリップ28を含み、キーグリップ28によって、スクリュヘッドにカバーをネジ止めしかつ外すことができる。この場合、スクリュは、液体ダクトがない限りにおいて中実である。キーグリップ24はヘッドの前側で開放しており、キーグリップ24により、ワッシャ18に対してスクリュ16を単独で適切に締結することができる。
【0015】
この場合では、ヘッド1がホルダ2に適用され、ホルダ2の主ダクト20は複数のドリル孔30に分岐し、ドリル孔30は、一方の端では主ダクト20に開口し、他方の端ではソケット12のフロント端表面15に開口する。さらに、ワッシャ18には、適切な数の貫通孔32が形成され、主ダクト20及び分岐孔30からの液体は、貫通孔32を介して座8と室7との間を通過することができる。この例では、孔32の数は4つである。ワッシャの中央孔33は、スクリュよりもいくぶん大きい直径を有する。
【0016】
カバー21は、工具の他の構成要素と同様に、スチールから製造されてもよい。あるいは、スチールよりも弾性が高くかつ軽い、アルミニウム、プラスチック又は様々な複合材料などの材料から、カバー21を製造することができる。さらに、この例では、カバーのキーグリップ28が貫通孔の形であることが指摘されるべきである。カバーに十分な厚さが付与されているならば、カバーの上側に皿状にくぼんだ(countersunk)座のようなキーグリップを形成することもできる。
【0017】
有利には、カフ27を外側に持ち送り積みする(corbel)と共に周辺縁部を形成するカバーの部分は、比較的薄く、その部分の一定の弾性を確保することができる。したがって、その厚さは0.5〜2mmの範囲内であるべきである。さらに、縁部の直径は、カフの直径の少なくとも50%であるべきであり、適切には100%以下であるべきである。
【0018】
(本発明の機能及び利点)
工具の様々な構成要素が一緒に結合されるべきときに、ソケット12が座8に適用され、座のそばでワッシャ18が肩部9に対して当接される。次の段階では、スクリュ16は、所定の場所にもたらされ、適切なトルクによって雌ネジ19b内に締結される。このようにして、ヘッド1はワッシャ18を介してホルダ2にロックされる。終わりの段階では、協働する雄ネジ25及び雌ねじ26によって構成される第二のネジ付き連結部を介して、カバー21が適用されかつ締結される。説明した2つのネジ付き連結部を互いに独立して作動させることができるという事実の結果として、リング表面10に当接するカバーの周辺部の信頼性のあるシール作用が保証される。したがって、シール効果は、協働する構成要素の、すなわちワッシャ、スクリュヘッド及びカバーの寸法精度に依存しないことになる。カバーは、スクリュを正確に締結するのに不利に影響するおそれがない。
【0019】
(本発明の変形実施形態の簡単な説明)
これより、本発明に係る切削工具の変形実施形態を図示する図11及び図12が参照される。図10に係る既知の工具と同様に、この場合では、工具はスクリュ16を含み、スクリュ16は中央孔22を含み、中央孔22は、スクリュのネジ付きシャンクにわたって延び、ヘッド17内部の複数の分岐ダクト23に分岐する。しかしながら、この場合では孔22は、スクリュの対向する端同士の間中にわたって延び、ヘッド17の拡大区域34を含む。加えて、本発明によれば、ヘッド17には、カバー21のカフ27に含まれた雌ネジ26と協働する外ネジ25が形成される。
【0020】
図11及び図12に係る実施形態では、キーグリップ28は、孔22の拡大区域34に収容される中央の厚くされたノブ(central, thickened knob)の形状をした座の形のものである。カバーがスクリュに締結されると、カフのリア端表面が分岐ダクト23に配置されることになり、その結果、供給流体が室7内を自由に通過することができる。
【0021】
最後に、図13には変形実施形態が示され、その変形実施形態では、分岐ダクトがカバー21のカフ27において半径方向孔35の形になっていることが必要である。これらの孔35は、カバーの縁部の直近に配置される。この場合では、カフの孔35を介して取り囲んでいる室内に、孔22を通過して供給される流体を分布させることができるので、分岐ダクトはスクリュ16のヘッド17に穿孔される必要がない。
【0022】
全ての実施形態において、分離した2つのネジ付き連結部が同じ方向に延びるように、これらの連結部に一致するネジを形成することが好ましい。例えば、図5に示された雄ネジ19aが右ネジであるならば、雄ネジ25も右ネジに作成される。このようにして、スクリュの最初の締結作用が、シーリングカバー21のその後の締結作用によって妨げられるというリスクにならないことが保証される。言い換えれば、スクリュ及びカバーは、同一の方向に締結される。さらには、この方向は、工具の回転がスクリュ及びカバーを別々に緩めるよりもむしろ締結することを目的とする場合、工具の回転の方向と一致するように選択されてもよい。
【0023】
完全を期すために、参照番号1,2,16及び21の構成要素、すなわちヘッド1、ホルダ2、スクリュ16及びカバー21の全ては、共通の中央軸線Cに対して同軸であることも指摘されるべきである。
【0024】
(さらなる先行技術の説明)
外部の普通の流れの冷却液を、さらに厳密には、中央ノズルから個々の切り屑溝及び切削インサートに隣接する周囲スロットを介して冷却液を分布するカテゴリに属する、米国特許第6450738号明細書及び国際公開第2007/085281号による切削工具が、従前より既知である。それにより、内部分岐ダクトを介して適切な圧力を持つ互いに異なるジェットを提供することができない。
【0025】
スウェーデン特許第517817号明細書では、個々の切削インサートに対して冷却液を別々に分布するようにされた分岐ダクトの形をそれ自体が含む切削工具が示されている。しかしながら、この場合では、分岐ダクトは切削カッタヘッドの前表面において開放溝の形をしており、シーリングカバーはこの工具に全く含まれていない。
【0026】
(本発明の実現可能な変更)
本発明は、上述の例及び図面に示された例のみに制限されるものではない。したがって、カバーのパイプ区域とスクリュヘッドとの間の代わりに、カバーのパイプ区域と収集室の内部表面との間でシーリングカバーを個別に締結するように使用される第二のネジ付き連結部を配置することが現実可能である。この例では、スクリュヘッドのキーグリップは、カバーのキーグリップよりも大きい。カバーのキーグリップが貫通孔の形であるときに、反対の変形も実現可能であり、すなわち、カバーのキーグリップが、スクリュのキーグリップよりも大きく又は広く作成される。このようにして、(例えば、スクリュを緩めるに当たって、)カバーがスクリュヘッドから最初に取り除かれることなく、スクリュのためのキーをスクリュのキーグリップに挿入することができる。さらに、主ダクトからフロントヘッドの室に対する2つの流れによって、すなわち、ホルダの傾けられたダクトとワッシャの孔とを介して供給される、図1〜9に図示されているタイプの第一の流れと、図11〜13に示されているタイプの中空のスクリュによる第二の流れとによって、流体を供給することが実現可能である。2つの流れで流体を供給することは、一定の用途では、すなわち、工具本体のダクト及びスクリュのために利用可能な空間がそれぞれ制限されているならば、有利であるだろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントヘッド(1)及びリアホルダ(2)を具備する切り屑除去機械加工用の切削工具であって、
前記フロントヘッド(1)及び前記リアホルダ(2)が、前記ホルダ(2)の前部分に含まれる雄部材(12)と、前記ヘッド(1)の後端において開口すると共にリング表面(10)に隣接した前記ヘッド(1)の前端で開口する幅広室(7)に肩部(9)を介して移行する座(8)と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャ(18)が、一方では、ヘッド(17)が設けられたスクリュ(16)に雄ネジ(19a)と、他方では、前記ホルダ(2)にわたって延びると共に流体を前記室(7)に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔(20)に含まれる雌ネジ(19b)と、を具備するネジ付き連結部により肩部(9)に押圧され、
分岐ダクト(11)が、流体を個々の切削インサート(5)及び切り屑溝(6)に別々に供給するために、前記室(7)から前記ヘッド(1)の周辺部に位置する個々の切削インサート(5)及び切り屑溝(6)に向かって延び、
前記室(7)がカバー(21)によってシールされ、
前記カバー(21)が前記リング表面(10)に対して適用されて保持される、
切削工具において、
前記カバー(21)が、第二のネジ付き連結部(25、26)によってリング表面(10)に対して締結可能であり、
前記第二のネジ付き連結部(25、26)が、前述の第一のネジ付き連結部(19a、19b)とは独立して作用する、
切削工具。
【請求項2】
前記第二のネジ付き連結部が、前記スクリュの前記ヘッド(17)に含まれる第一のネジ(25)と、前記カバー(21)の後ろ側から突出する部材(27)に含まれる第二のネジ(26)とを具備する、
請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記部材が内部雌ネジ(26)を有する円筒形カフ(27)であり、
前記第一のネジが、前記スクリュヘッド(17)の外側に位置する雄ネジ(25)である、
請求項2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記カフ(27)が、前記カバー(21)の近傍に位置する複数の貫通孔(35)を含む、
請求項3に記載の切削工具。
【請求項5】
前記スクリュ(16)が、中央に第二の流体ダクト(22)と、前記ヘッド(17)に形成されると共に前記ヘッドの後端の近くに位置する1又は複数の半径方向分岐ダクトとを含む、
請求項3又は4に記載の切削工具。
【請求項6】
前記ワッシャ(18)が、流体を前記座(8)から前記室(7)に通過させる1又は複数の軸線方向貫通孔(32)を具備する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削工具。
【請求項7】
締結するときに前記スクリュ(16)及び前記カバー(21)が同一の回転方向に回転することを保証するために、2つのネジ付き連結部(19a、19b;25、26)の互いに一致するネジ山が、互いに同一の方向に延びている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削工具。
【請求項1】
フロントヘッド(1)及びリアホルダ(2)を具備する切り屑除去機械加工用の切削工具であって、
前記フロントヘッド(1)及び前記リアホルダ(2)が、前記ホルダ(2)の前部分に含まれる雄部材(12)と、前記ヘッド(1)の後端において開口すると共にリング表面(10)に隣接した前記ヘッド(1)の前端で開口する幅広室(7)に肩部(9)を介して移行する座(8)と、を含む雌雄結合部によって取り外しできるように接続され、
ワッシャ(18)が、一方では、ヘッド(17)が設けられたスクリュ(16)に雄ネジ(19a)と、他方では、前記ホルダ(2)にわたって延びると共に流体を前記室(7)に運ぶ主ダクトとして機能する貫通孔(20)に含まれる雌ネジ(19b)と、を具備するネジ付き連結部により肩部(9)に押圧され、
分岐ダクト(11)が、流体を個々の切削インサート(5)及び切り屑溝(6)に別々に供給するために、前記室(7)から前記ヘッド(1)の周辺部に位置する個々の切削インサート(5)及び切り屑溝(6)に向かって延び、
前記室(7)がカバー(21)によってシールされ、
前記カバー(21)が前記リング表面(10)に対して適用されて保持される、
切削工具において、
前記カバー(21)が、第二のネジ付き連結部(25、26)によってリング表面(10)に対して締結可能であり、
前記第二のネジ付き連結部(25、26)が、前述の第一のネジ付き連結部(19a、19b)とは独立して作用する、
切削工具。
【請求項2】
前記第二のネジ付き連結部が、前記スクリュの前記ヘッド(17)に含まれる第一のネジ(25)と、前記カバー(21)の後ろ側から突出する部材(27)に含まれる第二のネジ(26)とを具備する、
請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記部材が内部雌ネジ(26)を有する円筒形カフ(27)であり、
前記第一のネジが、前記スクリュヘッド(17)の外側に位置する雄ネジ(25)である、
請求項2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記カフ(27)が、前記カバー(21)の近傍に位置する複数の貫通孔(35)を含む、
請求項3に記載の切削工具。
【請求項5】
前記スクリュ(16)が、中央に第二の流体ダクト(22)と、前記ヘッド(17)に形成されると共に前記ヘッドの後端の近くに位置する1又は複数の半径方向分岐ダクトとを含む、
請求項3又は4に記載の切削工具。
【請求項6】
前記ワッシャ(18)が、流体を前記座(8)から前記室(7)に通過させる1又は複数の軸線方向貫通孔(32)を具備する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の切削工具。
【請求項7】
締結するときに前記スクリュ(16)及び前記カバー(21)が同一の回転方向に回転することを保証するために、2つのネジ付き連結部(19a、19b;25、26)の互いに一致するネジ山が、互いに同一の方向に延びている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の切削工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−232406(P2012−232406A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103154(P2012−103154)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(507226695)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(507226695)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (34)
【Fターム(参考)】
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