説明

切換弁の固定構造

【課題】切換弁の各ポートに接続された配管の破損を防止できる切換弁の固定構造を提供する。
【解決手段】複数のポート(21a,22a〜22c)を有して該各ポート(22a〜22d)の連通状態を切り替えるパイロット弁(2)と、一端がパイロット弁(2)の複数のポート(22a〜22d)にそれぞれ接続された第1〜第4細管(29a〜29d)と、一端が第1〜第4細管(29a〜29d)の他端にそれぞれ接続され且つ第1〜第4細管(29a〜29d)よりも高剛性の吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)と、パイロット弁(2)が取り付けられると共に、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に取り付けられ、パイロット弁(2)を吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に固定する固定具(4)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポートを有して該各ポートの連通状態を切り替える切換弁の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のポートを有して該各ポートの連通状態を切り替える切換弁として種々のものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、このような切換弁の一例としてのパイロット弁が開示されている。このパイロット弁は、四路切換弁に接続されており、該四路切換弁を動作させるために用いられている。
【0004】
詳しくは、パイロット弁は、第1ポートと第2ポートと共通ポートとを有している。第1ポートは四路切換弁の四路側第1ポートに、第2ポートは四路切換弁の四路側第2ポートに、共通ポートは低圧側配管にそれぞれ細管を介して接続されている。そして、パイロット弁内のニードル弁を動作させることで第1ポートと共通ポートとを連通させる状態と、第2ポートと共通ポートとを連通させる状態とを切り替えることができる。こうして、パイロット弁は、共通ポートを第1ポートと連通させる、又は共通ポートを第2ポートと連通させることによって、四路切換弁の四路側第1ポート又は四路側第2ポートに低圧を作用させて、四路切換弁の切換動作を行わせている。
【0005】
このようなパイロット弁は、通常、四路切換弁のハウジングに取り付けられている。
【特許文献1】特開2003−343944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記切換弁(例えば、パイロット弁)は、必ずしも接続対象(例えば、四路切換弁)に近接して設けられるわけではなく、また、接続対象に近接して設けられたとしても必ずしも該接続対象に取り付け可能な場所があるわけではない。かかる場合には、切換弁の固定構造が問題となる。つまり、切換弁の各ポートには細管が接続されており、切換弁や接続対象が振動すると、該振動により細管が破損する虞がある。この問題は、前記パイロット弁のように、接続される配管が細い場合に特に重要となる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切換弁の各ポートに接続された配管の破損を防止できる切換弁の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る切換弁の固定構造は、複数のポート(21a,22a〜22c)を有して該各ポート(21a,22a〜22c)の連通状態を切り替える切換弁(2)と、一端が前記切換弁(2)の複数のポート(21a,22a〜22c)にそれぞれ接続された複数の第1配管(29a〜29d)と、一端が前記複数の第1配管(29a〜29d)の他端にそれぞれ接続され且つ該第1配管(29a〜29d)よりも高剛性の複数の第2配管(11c,11d,11f)と、前記切換弁(2)が取り付けられると共に、前記複数の第2配管(11c,11d,11f)のうち少なくとも1つの第2配管(11c,11d,11f)に取り付けられ、該切換弁(2)を該第2配管(11c,11d,11f)に固定する固定部材(4)とを備えるものとする。
【0009】
前記の構成の場合、切換弁(2)の接続対象は、前記第2配管(11c,11d,11f)の他端側に(場合によっては、さらなる配管を介して)接続されることになる。かかる場合、接続対象が振動すると、その振動は前記固定部材(4)を介して切換弁(2)にも伝わるが、該切換弁(2)と第2配管(11c,11d,11f)とは固定部材(4)を介して一体的に振動するため、該切換弁(2)と第2配管(11c,11d,11f)とを接続する第1配管(29a〜29d)に作用する該振動に起因する応力を低減することができ、該第1配管(29a〜29d)の破損を防止することができる。ここで、第2配管(11c,11d,11f)は切換弁(2)と共に振動するが、該第2配管(11c,11d,11f)は第1配管(29a〜29d)よりも高剛性であるため、切換弁(2)を第1配管(29a〜29d)のみで支持する構成と比較して、配管の破損を抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1配管(29a〜29d)の他端部は、上方から下方に延びて前記第2配管(11c,11d,11f)の一端部に接続されているものとする。
【0011】
前記の構成の場合、第1配管(29a〜29d)の他端部、即ち、第2配管(11c,11d,11f)との接続端は、上方から下方に延びているため、該第1配管(29a〜29d)内に異物が流入したとしても、該異物は自重により第2配管(11c,11d,11f)へ排出され易く、異物が該1配管に詰まってしまうことを可及的に防止することができる。前記第1配管(29a〜29d)は、比較的細い管が採用されることが多く、かかる場合には特に有効である。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第2配管(11c,11d,11f)は、冷媒回路(10)中に設けられた圧縮機(11)に接続されているものとする。
【0013】
前記の構成の場合、前記切換弁(2)の接続対象は前記圧縮機(11)である。つまり、圧縮機(11)は運転中に振動するため、前記切換弁(2)は比較的振動しやすい環境下で使用される。しかしながら、そのような環境下であっても、前記切換弁(2)は前記固定部材(4)を介して前記第1配管(29a〜29d)よりも高剛性の前記第2配管(11c,11d,11f)に固定されているため、該圧縮機(11)の振動により第1配管(29a〜29d)が破損することを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記切換弁(2)を前記固定部材(4)を介して前記第1配管(29a〜29d)よりも高剛性の第2配管(11c,11d,11f)に固定することによって、該切換弁(2)又は該切換弁(2)の接続対象の振動に起因する応力が第1配管(29a〜29d)に作用することを抑制して、該第1配管(29a〜29d)の破損を防止することができる。
【0015】
第2の発明によれば、前記第1配管(29a〜29d)の他端部を、上方から下方に延びるようにして前記第2配管(11c,11d,11f)に接続させることによって、第1配管(29a〜29d)中に異物が詰まることを抑制することができる。
【0016】
第3の発明によれば、前記第2配管(11c,11d,11f)は圧縮機(11)に接続されるが、該圧縮機(11)の振動が前記切換弁(2)に伝達したとしても、前記第1配管(29a〜29d)の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明の実施形態に係る切換弁としてのパイロット弁(2)を図1,2に示す。このパイロット弁(2)は、図2に示すように、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う空気調和装置(1)に設けられている。空気調和装置(1)は、冷媒回路(10)を備えている。この冷媒回路(10)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0019】
前記冷媒回路(10)には、図2に示すように、圧縮機(11)と室内熱交換器(12)と膨張弁(13)と室外熱交換器(14)と四路切換弁(15)とパイロット弁(2)が接続されている。室内熱交換器(12)は、室内ファン(16)と共に室内に設置されている。室内熱交換器(12)では、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われ、熱交換後の空気が室内ファン(16)によって室内へ供給される。室外熱交換器(14)は、室外ファン(17)と共に室外に設置されている。室外熱交換器(14)では、冷媒と室外空気との間で熱交換が行われ、熱交換後の空気は室外ファン(17)によって室外へ排出される。膨張弁(13)は、冷媒を減圧する減圧手段であり、例えば電子膨張弁で構成されている。四路切換弁(15)は、第1から第4までの4つのポート(P1〜P4)を備えている。四路切換弁(15)は、第1ポート(P1)が圧縮機(11)の吐出側と、第2ポート(P2)が室内熱交換器(12)と、第3ポート(P3)が圧縮機(11)の吸入側と、第4ポート(P4)が室外熱交換器(14)とそれぞれ繋がっている。四路切換弁(15)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが繋がると同時に第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが繋がる状態(図2の実線で示す状態)と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが繋がると同時に第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが繋がる状態(図2の破線で示す状態)とに設定が切り換わるように構成されている。
【0020】
この冷媒回路(10)は、冷房運転時には、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが繋がると同時に第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが繋がる状態となる。圧縮機(11)で圧縮された冷媒は、吐出配管(11b)より吐出され、四路切換弁(15)を介して室外熱交換器(14)を流れる。室外熱交換器(14)では、高圧のガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(14)で凝縮した後の高圧の液冷媒は、膨張弁(13)で低圧圧力まで減圧されて室内熱交換器(12)へ送られる。室内熱交換器(12)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その結果、室内熱交換器(12)を流れる冷媒で空気が冷却される冷却動作が行われ、室内が冷房される。室内熱交換器(12)で蒸発した冷媒は、圧縮機(11)の吸入側に送られる。
【0021】
一方、暖房運転時には、前記四路切換弁(15)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが繋がると同時に第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが繋がる状態となる。圧縮機(11)で圧縮された冷媒は、吐出配管(11b)より吐出され、四路切換弁(15)を介して室内熱交換器(12)を流れる。室内熱交換器(12)では、高圧のガス冷媒が室内空気へ放熱して凝縮する。その結果、室内熱交換器(12)を流れる冷媒で空気が加熱される加熱動作が行われ、室内が暖房される。室内熱交換器(12)で凝縮した後の高圧の液冷媒は、膨張弁(13)で低圧圧力まで減圧されて室外熱交換器(14)へ送られる。室外熱交換器(14)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14)で蒸発した冷媒は、圧縮機(11)の吸入側に送られる。
【0022】
前記圧縮機(11)は、互いに噛み合う渦巻状のラップを有する可動スクロール(図示省略)と固定スクロール(図示省略)とを備え、該可動スクロールが固定スクロールに対して偏心回転することによって両ラップの間に形成される圧縮室内の冷媒を圧縮するように構成された、所謂、スクロール型圧縮機である。
【0023】
この圧縮機(11)は、中間圧の冷媒を吸入側にバイパスさせるアンロード機構(11a)を有している。詳しい図示は省略するが、アンロード機構(11a)は、圧縮室と吸入側(吸入空間、吸入ポート、吸入配管等)とを連通させるバイパス通路と該バイパス通路に設けられた開閉弁とを有している。この開閉弁は、所定の高圧が作用することによって弁体が作動してバイパス通路を封止する一方、所定の低圧が作用することによって弁体が作動してバイパス通路を開放するように構成されている。アンロード機構(11a)は、該開閉弁を開閉することで、圧縮室と吸入側との連通状態と遮断状態とを切り替えている。つまり、圧縮機(11)は、通常運転時にはアンロード機構(11a)により圧縮室と吸入側とを遮断状態として通常の吸入容積で冷媒の圧縮行程を行なう一方、アンロード運転時にはアンロード機構(11a)により圧縮室と吸入側とを連通させることで、圧縮室に吸入した冷媒を圧縮行程の途中で吸入側にバイパスさせる、即ち、見かけ上の吸入容積を通常の吸入容積と比べて小さくして冷媒の圧縮行程を行っている(すなわち、アンロード運転時は、通常運転時と比べて吐出圧力が低い)。
【0024】
前記アンロード機構(11a)の開閉弁には、パイロット弁(2)が接続されており、該開閉弁の動作はパイロット弁(2)によって制御されている。
【0025】
パイロット弁(2)は、図3に示すように、筒状のハウジング(21)と、該ハウジング(21)内に配設された弁座(22)と、該弁座(22)状をハウジング(21)の軸方向に摺動する弁体(23)と、ハウジング(21)内に一端を挿入されたソレノイドチューブ(24)と、該ソレノイドチューブ(24)の他端を取り囲むソレノイドコイル(25)と、ソレノイドチューブ(24)内におけるソレノイドコイル(25)側の端部に固定された固定鉄心(26)と、ソレノイドチューブ(24)内において固定鉄心(26)と対向して配設されると共に固定鉄心(26)と反対側の端部に前記弁体(23)が連結された可動鉄心(27)と、ソレノイドチューブ(24)内において固定鉄心(26)と可動鉄心(27)との間に配設されて可動鉄心(27)と固定鉄心(26)から引き離す方向に付勢するバネ(28)とを有している。
【0026】
前記弁座(22)には、ハウジング(21)の軸方向一端側から他端側に向けて該軸方向に沿って第1ポート(22a)、第2ポート(22b)、第3ポート(22c)が順に形成されている。また、ハウジング(21)における、弁座(22)と対向する位置には第4ポート(21a)が形成されている。これら第1〜第4ポート(22a〜22c,21a)には、それぞれ第1〜第4細管(29a〜29d)の一端が接続されている。第1細管(29a)の他端部は、ろう付け等により封止されている。第2細管(29b)の他端部には、図2に示すように、圧縮機(11)の吸入配管(11e)に合流する吸入分岐管(11f)の一端部が接続されている。第3細管(29c)の他端部には、圧縮機(11)のアンロード機構(11a)(詳しくは、アンロード機構(11a)中の開閉弁)に接続された切換配管(11d)の一端部が接続されている。第4細管(29d)の他端部には、圧縮機(11)の吐出配管(11b)から分岐した吐出分岐管(11c)の一端部が接続されている。これら第1〜第4細管(29a〜29d)のそれぞれが第1配管を構成し、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)のぞれぞれが第2配管を構成する。
【0027】
前記第1〜第4細管(29a〜29d)は、銅製又はアルミ製の、所謂、キャピラリチューブである。これら第1〜第4細管(29a〜29d)は、外径が約1.2mm〜3.2mm、厚みが約0.2mm〜0.8mmの配管で構成されている。
【0028】
一方、前記吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は、銅製又はアルミ製の配管である。これら吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)の外径は約6.4mmであり、その厚さは約0.8mmであって、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は、前記第1〜第4細管(29a〜29d)よりも剛性が高くなるように形成されている。つまり、これら吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は、第1〜第4細管(29a〜29d)よりもヤング率が大きな材料で形成する、あるいは、第1〜第4細管(29a〜29d)よりも断面二次モーメントが大きな形状に形成する等して、曲げや捩りに対して第1〜第4細管(29a〜29d)よりも変形しにくく構成されている。このように構成されている限り、第1〜第4細管(29a〜29d)、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は、前述の材料及び寸法に限定されるものではない。
【0029】
前記弁体(23)は、弁座(22)と摺接する側に凹部(23a)が形成されている。この凹部(23a)は、弁座(22)に形成された第1〜第3ポート(22a〜22c)のうち、隣接する2つのポートだけを連通させることができる寸法に形成されている。
【0030】
このように構成されたパイロット弁(2)は、ソレノイドコイル(25)を制御することによって、可動鉄心(27)をハウジング(21)の軸線に沿って移動させて、該可動鉄心(27)の一端に連結された弁体(23)を弁座(22)上で摺動させる。こうして、パイロット弁(2)は、弁体(23)を弁座(22)上で摺動させることによって、第1ポート(22a)と第2ポート(22b)とを弁体(23)の凹部(23a)を介して連通させると同時に第3ポート(22c)と第4ポート(21a)とをハウジング(21)の内部空間を介して連通させる第1状態(図3に示す状態)と、第2ポート(22b)と第3ポート(22c)とを弁体(23)の凹部(23a)を介して連通させると同時に第4ポート(21a)と第1ポート(22a)とをハウジング(21)の内部空間を介して連通させる第2状態とに切り替えている。
【0031】
パイロット弁(2)が前記第1状態のときには、前記吐出分岐管(11c)が該パイロット弁(2)を介して切換配管(11d)と連通し、圧縮機(11)のアンロード機構(11a)(詳しくは、アンロード機構(11a)の開閉弁)に吐出圧力が作用することになる。尚、吸入分岐管(11f)は、パイロット弁(2)の第1ポート(22a)が第2ポート(22b)と連通するため、封止された状態となる。こうして、アンロード機構(11a)の開閉弁に吐出圧力が作用すると、該開閉弁がバイパス通路を封止するため、圧縮機(11)は通常の吸入容積で通常運転を行う。
【0032】
一方、パイロット弁(2)が前記第2状態のときには、前記吸入分岐管(11f)が該パイロット弁(2)を介して切換配管(11d)と連通し、圧縮機(11)のアンロード機構(11a)に吸入圧力が作用することになる。尚、吐出分岐管(11c)は、パイロット弁(2)の第1ポート(22a)が第4ポート(21a)と連通するため、封止された状態となる。こうして、アンロード機構(11a)の開閉弁に吸入圧力が作用すると、該開閉弁がバイパス通路を開放して圧縮機(11)の圧縮室と吸入側とを連通させるため、圧縮機(11)は吸入容積が小さくなったアンロード運転を行う。
【0033】
続いて、前記パイロット弁(2)の固定構造について説明する。
【0034】
前記パイロット弁(2)は、図1に示すように、固定具(4)を介して、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に固定されている。この固定具(4)が固定部材を構成する。
【0035】
固定具(4)は、図4に示すように、下側ベース部(41)と、該下側ベース部(41)と連続して一体的に設けられた上側ベース部(42)と、下側ベース部(41)に設けられた4つの第1〜第4配管クランプ部(43〜46)と、上側ベース部(42)に設けられた弁クランプ部(47)とを有している。この固定具(4)は、例えばポリカーボネイト等の樹脂で形成されている。
【0036】
前記第1〜第4配管クランプ部(43〜46)は下側ベース部(41)に順番に並んで形成されており、各配管クランプ部(43(44,45,46))は下側ベース部(41)に突設された一対の挟持部(43a,43a(44a,44a,45a,45a,46a,46a))を有している。第1配管クランプ部(43)は切換配管(11d)を、第2配管クランプ部(44)は吸入分岐管(11f)を、第3配管クランプ部(45)は第1細管(29a)を、第4配管クランプ部(46)は吐出分岐管(11c)をそれぞれ着脱可能に挟持している。尚、第3配管クランプ部(45)は、それ以外の配管クランプ部(43,44,46)に比べて細い配管を挟持するため、一対の挟持部(45a,45a)の間隔が狭くなっている。
【0037】
前記弁クランプ部(47)は、上側ベース部(42)において前記第1〜第4配管クランプ部(43〜46)と同じ側に突設された一対の上側挟持部(47a,47a)と一対の下側挟持部(47b,47b)とを有している。弁クランプ部(47)は、これら上側挟持部(47a,47a)及び下側挟持部(47b,47b)でパイロット弁(2)のハウジング(21)を着脱可能に挟持している。
【0038】
このように構成された固定具(4)の弁クランプ部(47)にパイロット弁(2)を取り付け、該固定具(4)を第1〜第4配管クランプ部(43〜46)を介して吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に取り付けることによって、パイロット弁(2)が吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に固定される。このとき、パイロット弁(2)が固定具(4)の上部に、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)が固定具(4)の下部に取り付けられていると共に、第1、第2及び第4配管クランプ部(43,44,46)が吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)の一端部を挟持しているため、該吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)の一端部に接続される第1、第2及び第4細管(29a,29b,29d)は、上方から下方へ延びながらそれぞれ吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に対して接続されている。
【0039】
−実施形態の効果−
したがって、前記実施形態によれば、前記パイロット弁(2)を固定具(4)を介して、第1〜第4細管(29a〜29d)よりも高剛性の吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に固定することによって、圧縮機(11)の振動が吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)やパイロット弁(2)に伝達したとしても、該吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)とパイロット弁(2)とは固定具(4)を介して一体的に振動するため、該吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)とパイロット弁(2)とを接続する第1〜第4細管(29a〜29d)に作用する該振動に起因する応力を抑制することができる。その結果、第1〜第4細管(29a〜29d)の破損を防止することができる。
【0040】
また、パイロット弁(2)を固定する吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は前記第1〜第4細管(29a〜29d)よりも高剛性であるため、パイロット弁(2)を第1〜第4細管(29a〜29d)によって片持ち支持する構成と比較して、該パイロット弁(2)を支持する配管の破損を防止することができる。
【0041】
さらに、パイロット弁(2)が固定具(4)を介して吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に固定された状態において、第2〜第4細管(29b〜29d)は、それぞれの他端部が上方から下方に延びるようにして吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)に接続されているため、該第2〜第4細管(29b〜29d)に異物が流入したとしても、自重により異物が吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)へ流出し、第2〜第4細管(29b〜29d)に異物が詰まることを防止することができる。
【0042】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0043】
すなわち、前記実施形態では、切換弁としてパイロット弁(2)を採用しているが、これに限られるものではない。複数のポートを有して該各ポートの連通状態を切り替えるように構成された弁であれば、任意の弁を採用することができる。
【0044】
また、前記パイロット弁(2)は、4つのポートを有し、該ポートに4つの細管が接続されているが、これに限られるものではない。例えば、前記第1ポート(22a)及び第1細管(29a)は必ずしも必要ではなく、第2〜第4ポート(22b,22c,21a)の各ポートの連通状態を切り替えるように構成してもよい。あるいは、パイロット弁(2)が5以上のポート及び5以上の細管を有する構成であってもよい。要するに、切換弁は、そのポート及び細管の数に限定されるものではない。
【0045】
さらに、第1配管としての前記第1〜第4細管(29a〜29d)は、前述の材料及び形状に限定されるものではなく、任意の材料及び形状を採用することができる。そして、第2配管としての吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)は、第1〜第4細管(29a〜29d)よりも剛性が高ければ、任意の材料及び形状を採用することができる。
【0046】
さらにまた、固定具(4)は、第2配管としての吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)全てに取り付けられているが、これに限られず、吐出分岐管(11c)、切換配管(11d)及び吸入分岐管(11f)のうちの何れかに取り付けられる構成であってもよい。
【0047】
また、前記パイロット弁(2)は、前記圧縮機(11)のアンロード機構(11a)を制御すべく、該アンロード機構(11a)に接続されているが、切換弁の接続対象は圧縮機(11)に限定されるものではない。
【0048】
また、前記パイロット弁(2)は、空気調和装置(1)に採用されているが、これに限られず、冷蔵・冷凍用を含む冷凍装置に適用することもできる。
【0049】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明は、複数のポートを有して該各ポートの連通状態を切り替える切換弁の固定構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るパイロット弁の固定構造を示す正面図である。
【図2】冷媒回路用マフラが介設された冷媒回路の配管系統図である。
【図3】パイロット弁の構成を示す模式断面図である。
【図4】固定具を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0052】
11 圧縮機
11c 吐出分岐管(第2配管)
11d 切換配管(第2配管)
11f 吸入分岐管(第2配管)
2 パイロット弁(切換弁)
21a 第4ポート(ポート)
22a,22b,22c 第1〜第3ポート(ポート)
29a,29b,29c,29d 第1〜第4細管(第1配管)
4 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポート(21a,22a〜22c)を有して該各ポート(21a,22a〜22c)の連通状態を切り替える切換弁(2)と、
一端が前記切換弁(2)の複数のポート(21a,22a〜22c)にそれぞれ接続された複数の第1配管(29a〜29d)と、
一端が前記複数の第1配管(29a〜29d)の他端にそれぞれ接続され且つ該第1配管(29a〜29d)よりも高剛性の複数の第2配管(11c,11d,11f)と、
前記切換弁(2)が取り付けられると共に、前記複数の第2配管(11c,11d,11f)のうち少なくとも1つの第2配管(11c,11d,11f)に取り付けられ、該切換弁(2)を該第2配管(11c,11d,11f)に固定する固定部材(4)とを備えることを特徴とする切換弁の固定構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1配管(29a〜29d)の他端部は、上方から下方に延びて前記第2配管(11c,11d,11f)の一端部に接続されていることを特徴とする切換弁の固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2配管(11c,11d,11f)は、冷媒回路(10)中に設けられた圧縮機(11)に接続されていることを特徴とする切換弁の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−133921(P2008−133921A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321567(P2006−321567)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】