切断クランプ装置を備えた切断機
【課題】切断時の棒材の跳ね上がりを防止し、切断精度を向上させた切断クランプ装置を備えた切断機の提供。
【解決手段】本発明の切断クランプ装置を備えた切断機は、送り出された棒材7を切断する固定刃5と移動刃6を有し、固定刃と移動刃とのせん断力で切断する構成の切断機である。切断機に着脱可能に基台4を設ける。この基台に刃部5aが反転交換可能な固定刃5とこの固定刃に相対して移動する移動刃6を設ける。棒材を切断するとき、棒材の固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材12を、棒材を挟んで、固定刃に対向するように設ける。この押圧部材12はレバー11の揺動で上下方向に揺動し油圧シリンダ16の駆動で切断時に棒材7を押圧しクランプする。
【解決手段】本発明の切断クランプ装置を備えた切断機は、送り出された棒材7を切断する固定刃5と移動刃6を有し、固定刃と移動刃とのせん断力で切断する構成の切断機である。切断機に着脱可能に基台4を設ける。この基台に刃部5aが反転交換可能な固定刃5とこの固定刃に相対して移動する移動刃6を設ける。棒材を切断するとき、棒材の固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材12を、棒材を挟んで、固定刃に対向するように設ける。この押圧部材12はレバー11の揺動で上下方向に揺動し油圧シリンダ16の駆動で切断時に棒材7を押圧しクランプする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材を押圧して切断する切断クランプ装置を備えた切断機に関する。更に詳しくは、棒材をせん断で切断する切断機に備えられ、ビレットを製造するために固定刃上に送り出された棒材を押圧して切断する切断クランプ装置を備えた切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部品である鍛工品(鍛造品)を製造するには、先ずその素材である棒状定尺素材(例えば、断面円形、多角形状の棒鋼定尺素材であり、以下棒材と称す)から、その一部品単位の必要分量に相当する体積分を切り出す必要がある。言い換えると、棒材よりビレット(金属片、鋼片)と称する必要長さのものを切断して取り出すことが必要である。この素材取り方法には種々の方法があるが、その一方法に通称シャーせん断と称されるプレス式切断がある。
【0003】
取り出されたものは、ビレットと称されていて、両端の切断面が平面を構成するものである。このビレットは、その後の処理工程において、加熱炉で加熱されるか、あるいは加熱することなく常温のままでプレス金型に投入されて、目的形状に塑性加工される。一般的にはこのように鍛造工程を経た後に、機械加工工程等を経て最終の部品に製造される。
【0004】
従って、最終部品を製造者の望む品質のものにするためには順を追ってその工程毎に欠陥がない部品にしていく必要がある。その意味で前段階に当たる素材取り工程において得られるビレットの品質の良し悪しは、以後の製品の製造過程で大きな影響を与える。品質の悪いビレットであると、そのまま品質の悪い部品、完成製品に結びつく。このため、ビレットには、高い品質のものが当初から求められるのである。ビレットの品質に関する問題点は、本出願人の提案になる特許文献に記述されているのでその詳細説明は省略するが、概略説明すると次のようになる。品質に及ぼす問題点の大半は、縁部を含む端面の欠陥にある。
【0005】
シャー切断においては、その切断工具である上下の切断刃(せん断刃)、即ち可動刃及び固定刃で棒材をその相対動作で切断すると、ビレットの切断面である円柱体の両端面にカサブタ、又はカブリと称される欠陥が発生する場合がある。これは前述の上下の切断刃のエッジより発生する切込み破断線が、両切断刃の交差間隙位置が不適当な場合、両切断刃から切断される破断線が合致しないことによるものである。又、カサブタは緩い波のうねりのような曲線形状等の発生によるものである。カブリは、シャー切断により切断されたビレットの両端面が、三日月形のせん断面で既に発生している破断面の一部を家屋の軒のツララのようにしてしまうものである。
【0006】
又、これ以外にも、その端面の縁部に切断過程で残渣が端面外に張り出すバリやカエリ等も生じる。バリは、切断時に切断工具との摩擦熱で素材の一部が溶融流動して凝固付着したものや、切断工具による切り残しや、切断工具により変形させられ流動したもの等である。さらに、カエリは、突き当て部材に当接して変形したもの等である。これらの欠陥を少しでも解消しつつ、ビレットの曲がり、変形等を解消し、精度の良いビレットにするためには、切断段階で棒材の位置を正確に定め、棒材を切断刃に近接して押圧し、条件のよい棒材の抑制状態を維持することが必要である。特にせん断による切断形態は量産に適用する場合が多いので、欠陥の発生は生産能率に大きく影響する。
【0007】
この棒材を抑える点において従来の技術は、棒材を軸線方向に拘束した上で、棒材を切断位置まで案内する筒状の案内部の隙間を小さくしたり、又、棒材を直接押圧したりすることが行われている。例えば、案内された棒材において、下刃より軸方向に離間した位置の棒材上部を、ローラを介して2つの抑え装置で押圧する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、案内部の隙間を小さくすることについては、切断位置近傍における棒材送りの案内部貫通穴、即ち、下刃の貫通穴を、棒材の外形より僅かに大きい材料ガイドとする構成で、クランプは棒材後部で行う構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。このように、切断の際、棒材を隙間の小さい筒状の案内部を介して案内すること、又、棒材自体を直接押圧することは公知である。本出願人も前述に関連するビレットの切断機に関する技術(特許文献3参照)と、切断に関する切断刃の技術(特許文献4,5参照)を提案しており、円筒の貫通穴を有する固定刃により棒材を拘束する構成を公開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平01−060371号公報
【特許文献2】特公昭58−33048号公報
【特許文献3】特開2010−158728号公報
【特許文献4】特許第3415964号公報
【特許文献5】特許第3683007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上詳述したように、従来の構成の切断機に関する技術は、高品質のビレットを生産する点において、切断精度を高める点において、まだ改良改善すべき点があるものであった。即ち、従来の構成技術では、切断刃に近い位置で棒材を拘束する構成は、円筒状の案内部の隙間を小さくするものであった。従って、下刃の貫通穴拘束であっても基本的には隙間の有する拘束構成であった。
又、直接棒材を押圧する構成のものは、切断位置から軸方向に離間した部位の棒材を押圧する構成のものであった。このような構成であると、どうしても切断時に棒材の跳ね上がりが生じてしまい、棒材の切断精度に影響を与えていた。特に長尺の棒材から数多くのビレットを量産するに際しては、切断精度の良し悪しは無視できない。
【0010】
従来構成であると、切断位置に近接して棒材を押圧する構成でないので、どうしても切断時に、切断位置を支点に棒材が跳ね上がる現象が生じ、切断がスムースに行えず、切断精度に影響を与えていた。この跳ね上がりは、案内部の隙間があればその隙間に相当するずれで生じてしまう。又、切断位置から離間した位置の棒材を押圧しても、切断時には棒材がそり上がることになる。いずれにしても切断時には、切断部位の棒材はずれが生じる可能がある状態のまま切断することを余儀なくされていた。
【0011】
特に切断する棒材が短くなったときにその影響は大きく、例えば、棒材の端末部分の切断時には、棒材が短く、棒材のクランプ位置がずれて直接押圧することができない場合が生じていた。その結果、跳ね上がりによって曲がりが生じ、棒材が案内部を通過することもおぼつかない状態が生じていた。このように従来の構成は、切断時に棒材を切断刃に近接して固定する状態になっていないので、切断時に切断部位の棒材が跳び上がることは避けられなかった。このことで、ビレットは均一で一定したものが生産できず、結果的にビレットは切断精度が安定せず、切断長さや切断重量も不揃いで均一さを欠く製品となっていた。従って、前述の現状に鑑み、従来の問題点を解決し、切断精度を向上させたビレットの製造が望まれていた。
【0012】
以上、切断されるビレット、切断機に関する課題について説明したが、本発明は、前述のような技術背景のもとになされて開発されたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、切断位置に近接して切断部位の棒材を押圧し、跳ね上がりのない状態にし、均質な切断で切断精度を向上させることができる切断クランプ装置を備えた切断機を提供することにある。
本発明の他の目的は、高能率で確実に安定的に大量生産でき、メンテナンスの容易な構成とした切断クランプ装置を備えた切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述した目的を達成するために次の手段を採る。
本発明1の切断クランプ装置を備えた切断機は、
送り出された棒材を切断するための固定刃と、この固定刃に対して移動する移動刃とを有し、前記固定刃と前記移動刃とのせん断力で前記棒材を切断する切断機において、前記切断機に着脱可能に設けられ前記移動刃及び前記固定刃を取り付けるための基台と、前記棒材を挟んで、前記固定刃の刃部と対向するように設けられ、前記棒材を切断するとき、前記棒材の前記固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材と、前記切断機又は前記基台に設けられ、前記押圧部材を前記棒材に押圧するための押圧駆動部材とからなる。
【0014】
本発明2の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1において、前記固定刃は、刃部が半円形状の刃となっていることを特徴とする。
本発明3の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1又は2において、前記押圧部材は、前記基台に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明4の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1又は2において、前記押圧部材は、前記切断機に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられていることを特徴とする。
本発明5の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至4において、前記押圧駆動部材は、流体圧シリンダであることを特徴とする。
【0016】
本発明6の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明5において、前記流体圧シリンダは、前記切断機に設けられた油圧シリンダ、又は、前記基台に設けられた油圧シリンダであることを特徴とする。
本発明7の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至3において、前記レバーは端部に前記押圧駆動部材に押圧されるローラを有していることを特徴とする。
【0017】
本発明8の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至3において、前記レバーは前記基台に設けられたバネにより反押圧方向に付勢される構成になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の切断クランプ装置を備えた切断機は、棒材を押圧するための押圧部材が、棒材を挟んで固定刃に対向するように設けられ、押圧部が棒材の固定刃と当接する側の反対側を押圧している構成になっている。そして、棒材は、切断位置に近接した部位が、押圧部材と固定刃で挟持固定された状態で、固定刃と移動刃とにより切断されるため、切断時の棒材の跳ね上がりが解消され、切断精度が向上し安定したビレットが製造できるようになった。特に、棒材が短くなった場合にも、切断時の棒材の跳ね上がりを解消することができる。その結果、生産されるビレットは、高品質で変形量が少なく、重量が均一であり、安定した製造部品となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の切断クランプ装置を備えた切断機を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、切断クランプ装置の平面図である。
【図4】図4は、固定刃の外観を斜視して示す外観図である。
【図5】図5は、移動刃の外観を斜視して示す外観図である。
【図6】図6は、他の実施の形態1の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、軸体を本体側に設けたレバー形式の切断クランプ装置を示す正面図である。
【図7】図7は、他の実施の形態2の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、油圧シリンダを基台に設けた構成の切断クランプ装置を示す正面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態3の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、押圧部材を直接油圧シリンダで押圧する構成の切断クランプ装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の切断クランプ装置を備えた切断機の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、切断クランプ装置を備えた切断機を示す正面図である。図2は、図1のA−A断面図である切断クランプ装置の側面図、図3は、切断クランプ装置の平面図である。図4は、固定刃の外観を斜視して示す外観図、 図5は、移動刃の外観を斜視して示す外観図である。
【0021】
切断機は、棒材供給装置(図示せず)からストッパ24側に送られる長尺の棒材7を、固定刃5と移動刃6との相対移動動作によるせん断力で切断してビレットを製造するものである。切断機の本体1はコラム形状になっていて、棒材供給装置を介して送られた棒材(棒状定尺素材)を支持する支持装置、位置決め装置、切断動作を行うための駆動装置等を有している。本体1の一部はコ字状の凹部2となっていて、この凹部2の空間に切断クランプ装置3が組み込まれている。この切断クランプ装置3は、カセット式に構成されていて、本体1に対し基台4を介して着脱可能になっている。この基台4には、固定刃5と移動刃6が組み込まれ、又、位置決めされた棒材7を固定するためのクランプ装置が取り付けられている。
【0022】
従って、この切断クランプ装置3は、本体1に送られて位置決めされた棒材7をクランプする機能と、クランプされた棒材7を切断する機能を有している。基台4は、本体1に対しボルト8を介して着脱可能となっている。この基台4の下部は本体1に対して取り付けるためのU字状の取付溝9を有していて、この取付溝9内にボルト8のねじ軸部が挿入される。本体1側にはねじ穴が形成されている。このボルト8を本体1のねじ穴にねじ込み、締め付けることにより、基台4は本体1に固定される。基台4は、この取付溝9、ボルト8等からなる構成により、本体1との間で位置調整が可能になっている。この構成により、この基台4は、本体1に送られて位置決めされる棒材7に対し適切な位置に調整することが可能であり、位置調整後、本体1に設置、固定されるようになっている。
【0023】
又、この基台4の上部はクランプ装置と切断刃(固定刃、移動刃)を支持する部位になっている。この基台4の一端に軸体10が設けられ、この軸体10を中心にして、鉛直面内または略鉛直面内において揺動可能なレバー11が設けられている。レバー11は、一端側が、軸体10に揺動可能に支持されている。このレバー11の中間部に棒材7を押圧するための押圧部材12がボルト14により着脱可能に固定されている。言い換えると、押圧部材12は、レバー11の所定位置に、ボルト14により着脱可能に締結されている。なお、この形態では、レバー11に押圧部材12を着脱可能に固定されているもので説明を行っているが、レバー11に押圧部材12が一体に形成されているものであってもよい。又、このレバー11の他端側にはローラ13が設けられている。ローラ13を支持するためのローラ軸13aは、レバー11に回転可能に支持されている。押圧部材12は、棒材7に対し、押圧部12aが断面半円形状になっていて棒材7の真上に位置し、押圧部12aで棒材7の外周部を上方側から押圧し、棒材7を上下方向及び横方向に拘束している。又、押圧部材12は、レバー11の揺動動作により、棒材7に対し進退移動可能になっている。なお、この押圧部12aは断面V字形状であってもよいし、平面形状のものであってもよい。
【0024】
又、基台4には、レバー押上部材15aが進退移動可能に設けられている。レバー押上部材15aは、レバー11を、常時、バネ部材15の付勢力により上方側へ押し上げて、軸体10を支点とする揺動動作させるための部材である。レバー押上部材15aには、レバー押上部材15aが基台4より所定の高さ以上突出しないようにするための段部15bが下方側に形成されている。一方、本体1の側壁には流体圧シリンダ(押圧駆動部材)が設けられている。この流体圧シリンダは油圧シリンダ又は空圧シリンダであるが、本実施の形態では油圧シリンダ16として説明する。油圧シリンダ16のピストンロッドにはロッド16bが連結されており、このロッド16bは、案内部1aに案内され、進退方向に移動可能に設けられている。案内部1aは、本体1にボルト1bで締結固定されている。油圧シリンダ16のシリンダ本体は本体1の上部に固定されている。この油圧シリンダ16はレバー11を下方向に押圧するためのもので、ロッド16bの先端に設けられた当接部材16aがレバー11のローラ13に当接するようになっている。
【0025】
電磁方向切換弁(以下、電磁弁と記載する)を前進(押圧)側に切り換え、油圧シリンダ16を前進方向(伸長方向)に駆動して、ロッド16b、当接部材16aを介してローラ13が押圧されると、バネ部材15の付勢力に抗して、レバー11が軸体10を支点に、図1における反時計回り方向に揺動する。このレバー11の反時計回り方向への揺動動作により押圧部材12が棒材7を押圧しクランプする。油圧シリンダ16は、クランプ後、電磁弁を中立位置に切り換え、戻り側の回路をブロック(遮断)するようにしているので、切断時にはクランプする力は保持される構成になっている。棒材7を切断後、電磁弁を後退(反押圧)側に切り換え、油圧シリンダ16を後退方向(縮小方向)に駆動する。ロッド16b、当接部材16aは、ローラ13から離れる。
【0026】
この場合は、油圧シリンダ16によるクランプ力は解除されるので、バネ部材15に付勢されたレバー押上部材15aの作用により、レバー11は、軸体10を中心にして、図1における時計回り方向に揺動する。このレバー11の時計回り方向への揺動動作により、押圧部材12が棒材7から離れ、棒材7の上部側が開放され、棒材7の上部側に所定の隙間が形成される。この棒材7の上部側が開放されることで、曲がりや直径寸法のバラツキが大きい棒材であっても余裕をもって固定刃5の上部を通過、移動することができる。従って、供給される棒材の状態に左右されることはない。基台4には、このクランプ装置の下部側に固定刃5が、クランプ装置に隣接するように移動刃6が設けられている。
【0027】
固定刃5は、基台4に位置決めされボルト17により固定されている。固定刃5は図4に示すように穴5bを中心に対称形状に構成され、刃部5aは半円形状となっている。刃部5aは、刃本体部5dと刃端部5eとから構成されている。この刃部5aは180度反転させることで、相互に刃部5aの位置を入れ替え、刃部を交換したようにすることが可能である。言い換えると、固定刃5は、180度反転させて取付位置を入れ替え、ボルト穴5cを介してボルト17により基台4に固定される。従って、この固定刃5が180度反転して再取り付けされても刃部5aの位置は正確に維持される。基台4に固定刃5が取り付けられた状態のとき、基台4の固定刃5の上部側には、空間部4sが形成されており、この空間部4sに前述した押圧部材12が配置されている。基台4に形成された穴、固定刃5に形成された穴5bには、切断が完了したビレットを、回収シュート25に向かって蹴り出すための蹴り出しピン18が進退移動可能に設けられている(図2参照)。この蹴り出しピン18は、移動刃押圧駆動装置23と機械的に連動して進退移動し、切断が完了したビレットを回収シュート25側に蹴り出す動作を行う。
【0028】
このような構成にしたことで、押圧部材12を棒材7から離れる方向(反押圧方向)に移動させ、棒材7がこの刃部5a上を通過するときには、棒材7の上部は開放状態となる。従って、切断クランプ装置3の押圧部材12は、その押圧部12aが図示のように固定刃5の位置の棒材7の上部、真上に設置される構成になっている。即ち、棒材7の軸線を直角方向に横切る方向で、固定刃5に対向するように押圧部材12が構成され、直接、押圧部材12の押圧部12aが棒材7の上部を押圧するようになっている。言い換えると、押圧部材12の押圧部12aと固定刃5の刃部5aとが、棒材7を挟んで対向するように設置されている。
【0029】
又、この押圧部材12の押圧部12aは断面半円形状で棒材7を押圧する構成になっていて、前述したように、上下方向に加え横方向も棒材7を拘束している。この構成にすることで、上方に開放部のない筒状の円形固定刃であれば、どうしてもある程度の隙間を許容せざるを得ない従来構成であったのに対し、固定刃5の半円形状の刃部5aで棒材7の下部を、押圧部材12の半円形状の押圧部12aで棒材7の上部を挟持押圧している。言い換えると、押圧部材12は、棒材7の固定刃5の刃部5aと当接する部位に対して反対側に位置する部位を押圧するようになっている。このようにして、固定刃5と押圧部材12とが協働して、棒材7を上下方向及び横方向に拘束しながら挟持押圧することができる。
【0030】
移動刃6は、固定刃5に対し隣接し、基台4の案内部4aを介して移動方向が規制され、上下方向に移動可能となっている。移動刃6は、案内部4aを上下方向に進退移動する保持部材19に固定されている。この移動刃6も図5に示すように、固定刃5と同様に刃部6aが半円形状をなし対称形となっている。又、移動刃6は、図示していないが、固定刃5と同様にボルト穴6bを介して保持部材19にボルト締めされている。従って、この移動刃6も固定刃5同様に刃部6aは反転交換可能である。移動刃6は、刃本体部6dと刃端部6eとから構成されている。棒材7は、固定刃5の移動刃6側の刃端部5eと、移動刃6の固定刃5側の刃端部6eとの間のせん断力でビレットに切断される。
【0031】
一方、移動刃6の下部には、棒材7(及び切断されたビレット)を支えるためのビレット支承シュウ20が設けられている。このビレット支承シュウ20のビレット受け部は、断面半円形状となっていて、切断されたビレットが落下し易いように、固定刃5の反対側の端部側が傾斜面で外方に削がれている。このビレット支承シュウ20は支承装置(図示せず)に支承され、移動刃押圧駆動装置23のラム23a、移動刃6が下降したとき、棒材7の破断が終了するまでは移動刃6の押圧力に比例した支承力で棒材7(及び切断されたビレット)を支承するものである。ビレット支承シュウ20は、支承装置のシュウ支持軸20aの上端に固定されている。このビレット支承シュウ20の支承装置は、本出願人が、特許第4638868号公報、特開2010−158728号公報等で開示している装置であり、この実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0032】
又、この保持部材19の上部には、板状の支え部材21が固定されていて、この支え部材21の両端部は外方に張り出した形状になっていて、その端部は基台4に保持されたバネ部材22により上方へ付勢されている。
従って、保持部材19は移動刃6を保持して上方にバネ部材22の付勢力で移動し一定の位置に位置決め保持されるが、その位置は移動刃6が固定刃5の上方で、棒材7の上部にあり切断開始位置である。一方、支え部材21の上部は離間して本体1に対向している。本体1には詳細は図示していないが、この支え部材21に対向して上下方向に移動可能な移動刃押圧駆動装置23が内蔵されている。移動刃押圧駆動装置23は、ラム23aの押圧部が支え部材21に当接し、支え部材21をバネ部材22の付勢力に抗して下方向へ押圧可能としている。
【0033】
従って、移動刃6は、この支え部材21を押圧する移動刃押圧駆動装置23により下方向へ、又、バネ部材22の付勢力により上方向へと上下方向に移動可能である。言い換えると、移動刃押圧駆動装置23のラム23aが下降した時、支え部材21をバネ部材22の付勢力に抗して下方側に押圧して保持部材19、移動刃6等を下降させる。ラム23aが上昇するときには、バネ部材22の作用により、保持部材19、移動刃6等が上昇する。移動刃6はこのような構成になり、固定刃5に沿い摺接して上下方向に移動が可能である。
【0034】
棒材7は棒材供給装置から切断機の送材部を通して固定刃5上を通過するように送られると、送材方向に設けられた切断機のストッパ24への当接により軸方向の棒材長さが設定される。ストッパ24は、図示しないストッパ装置の定寸送りモータ等により所定の定寸位置に位置決め可能であるとともに、進退移動可能に設けられている。この棒材長さはビレットの所定長さとなり、切断長さである。このストッパ装置は、本出願人が、特許第3415964号公報の段落番号0035〜0037、図13,14等、特許第3683007号公報の段落番号0036〜0038、図13,14等で開示している装置であり、この実施の形態では、詳細な説明を省略する。この棒材長さが設定された後、油圧シリンダ16を作動させ、レバー11等を介して押圧部材12が棒材7を固定刃5側に押圧する。即ち、棒材7が、基台4に固定された固定刃5と前記押圧部材12とに挟持されクランプされる。移動刃6が、本体1の移動刃押圧駆動装置23により、上昇位置(切断開始位置)から下降位置(切断終了位置)に押圧駆動され、下降移動した移動刃6と固定刃5とのせん断力により棒材7を切断する。
【0035】
この切断に際し、棒材7は、切断位置に近接した部位が、油圧シリンダ16の作用により下方側(図1における時計回り方向)に揺動した押圧部材12の押圧部12aと固定刃5の刃部5aとで挟む形で押圧固定されているので、棒材7の跳ね上がりはなく切断される。棒材7が短くなっても、切断位置(せん断の作用点)に近接した部位を押圧部材12と固定刃5とで挟持固定するため、棒材7の跳ね上がりはなく高精度に切断される。又、棒材7が切断される時、棒材7は、前部(ストッパ24)側が移動刃6とビレット支承シュウ20とに、後部側が固定刃5と押圧部材12とに挟持されているため高精度な切断が行われ高品質のビレットを製造できる。
【0036】
切断後、ビレット支承シュウ20は下降し、ストッパ24は、切断クランプ装置3から離れる方向に移動し、退避位置に後退する。切断された棒材7は、ビレットとして短尺材の形で、この切断クランプ装置3より矢印で示すように落下する。落下したビレットは、本体1に付属して設けられた回収シュート25を介してビレットとして回収される。移動刃6は上昇位置に上昇移動し、押圧部材12が反押圧方向に移動する。棒材7が送材部により所定量送り出された後、ストッパ24を切断クランプ装置3に接近する方向に移動させ定寸位置に位置させる。このストッパ24の定寸位置への移動により、棒材7は軸方向長さが設定される。ビレット支承シュウ20は、シュウ上昇用シリンダ(図示せず)により上昇し、切断位置に戻る。
【0037】
〔他の実施の形態1〜3〕
図6〜8に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態1〜3について説明を行う。なお、この他の実施の形態1〜3の説明では、前述した実施の形態と同一のものには、同一の符号を付与し詳細な説明を省略している。
図6は、他の実施の形態1の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、軸体を本体側に設けたレバー形式の切断クランプ装置を示す正面図である。図6に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態1について説明を行う。
前述の説明では、レバー11を揺動させる支点の軸体10を基台4に設けることで説明したが、この軸体10を本体1側に設けてもよい。図6は、その一例である。本体1の凹部2の壁面に軸受部材26を固定し、この軸受部材26に軸体10を支持させ、レバー27をこの軸体10を中心に揺動させる構成である。この軸受部材26は本体1のどの部位に設けてもよい。この構成にすると、クランプ装置関係は本体1側に取り付けられ、切断刃関係装置のみが基台4に設けられる構成となる。
【0038】
図7は、他の実施の形態2の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、油圧シリンダを基台に設けた構成の切断クランプ装置を示す正面図である。図7に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態2について説明を行う。
図7に示すように、この形態2は、レバー形式のクランプ装置で、押圧のための油圧シリンダ28を基台31に設けた構成のものである。この基台31は、前述した基台4に相当するものであり、固定刃5が取り付けられる構成は同じものである。基台構成がカセット式であると、本体1に取り付ける上で取り付けスペースと大きさに設計上の制限を受ける。しかし押圧ストロークが短く、押圧力を大きく必要としない場合に、この構成はコンパクトになるので有効である。この場合は油圧シリンダ28を含めてクランプ装置と切断刃関係装置が一式のカセット構成が可能である。この形態2の場合、図示のように、油圧シリンダ28のロッドの端部をレバー29の端部に組み込むようにしてもよい。図7に示した形態では、レバー29は、一方の端部側が軸体10を介して揺動可能になっている。又、レバー29は、他方の端部側に長穴29aが形成され、この長穴29aに油圧シリンダ28のロッドの端部に設けられたピンまたはローラ30を挿入させ係合させる構成となっている。
【0039】
図8は、他の実施の形態3の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、押圧部材を直接油圧シリンダで押圧する構成の切断クランプ装置を示す正面図である。図8に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態3について説明を行う。
図8に示すように、この形態3は、レバーを介さず押圧部材12を直接油圧シリンダ32で動作させ、棒材7を押圧させる構成のものである。この形態3の場合は、押圧部材12を押圧方向に直列状に油圧シリンダ32を設けている構成でないのが難点である。この場合は押圧部材12を油圧シリンダ32と連結する屈曲部材33が必要となり、押圧力が屈曲部材33に曲げ力として生じてしまうので、屈曲部材33の強度が必要であり、屈曲部材33を押圧方向に案内するための案内部材も必要となるが、簡素な構造が期待できる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、押圧部材の押圧部と固定刃の刃部とが、棒材を挟んで対向するように設置されている構成であれば、押圧部材の押圧部、固定刃の刃部が鉛直線に対して、微小角度又は所定の角度傾斜する方向に傾いて設けられていてもよい。この場合、移動刃も、鉛直線に対して、微小角度又は所定の角度傾斜している方向に移動する構成となる。ただし、この角度は、棒材が固定刃に安定した状態で通過、固定ができる範囲内となっているとよい。
【符号の説明】
【0041】
1…本体
2…凹部
3…切断クランプ装置
4,31…基台
5…固定刃
6…移動刃
7…棒材
10…軸体
11,27,29…レバー
12…押圧部材
15…バネ部材
16…油圧シリンダ
19…保持部材
20…ビレット支承シュウ
21…支え部材
23…移動刃押圧駆動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材を押圧して切断する切断クランプ装置を備えた切断機に関する。更に詳しくは、棒材をせん断で切断する切断機に備えられ、ビレットを製造するために固定刃上に送り出された棒材を押圧して切断する切断クランプ装置を備えた切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部品である鍛工品(鍛造品)を製造するには、先ずその素材である棒状定尺素材(例えば、断面円形、多角形状の棒鋼定尺素材であり、以下棒材と称す)から、その一部品単位の必要分量に相当する体積分を切り出す必要がある。言い換えると、棒材よりビレット(金属片、鋼片)と称する必要長さのものを切断して取り出すことが必要である。この素材取り方法には種々の方法があるが、その一方法に通称シャーせん断と称されるプレス式切断がある。
【0003】
取り出されたものは、ビレットと称されていて、両端の切断面が平面を構成するものである。このビレットは、その後の処理工程において、加熱炉で加熱されるか、あるいは加熱することなく常温のままでプレス金型に投入されて、目的形状に塑性加工される。一般的にはこのように鍛造工程を経た後に、機械加工工程等を経て最終の部品に製造される。
【0004】
従って、最終部品を製造者の望む品質のものにするためには順を追ってその工程毎に欠陥がない部品にしていく必要がある。その意味で前段階に当たる素材取り工程において得られるビレットの品質の良し悪しは、以後の製品の製造過程で大きな影響を与える。品質の悪いビレットであると、そのまま品質の悪い部品、完成製品に結びつく。このため、ビレットには、高い品質のものが当初から求められるのである。ビレットの品質に関する問題点は、本出願人の提案になる特許文献に記述されているのでその詳細説明は省略するが、概略説明すると次のようになる。品質に及ぼす問題点の大半は、縁部を含む端面の欠陥にある。
【0005】
シャー切断においては、その切断工具である上下の切断刃(せん断刃)、即ち可動刃及び固定刃で棒材をその相対動作で切断すると、ビレットの切断面である円柱体の両端面にカサブタ、又はカブリと称される欠陥が発生する場合がある。これは前述の上下の切断刃のエッジより発生する切込み破断線が、両切断刃の交差間隙位置が不適当な場合、両切断刃から切断される破断線が合致しないことによるものである。又、カサブタは緩い波のうねりのような曲線形状等の発生によるものである。カブリは、シャー切断により切断されたビレットの両端面が、三日月形のせん断面で既に発生している破断面の一部を家屋の軒のツララのようにしてしまうものである。
【0006】
又、これ以外にも、その端面の縁部に切断過程で残渣が端面外に張り出すバリやカエリ等も生じる。バリは、切断時に切断工具との摩擦熱で素材の一部が溶融流動して凝固付着したものや、切断工具による切り残しや、切断工具により変形させられ流動したもの等である。さらに、カエリは、突き当て部材に当接して変形したもの等である。これらの欠陥を少しでも解消しつつ、ビレットの曲がり、変形等を解消し、精度の良いビレットにするためには、切断段階で棒材の位置を正確に定め、棒材を切断刃に近接して押圧し、条件のよい棒材の抑制状態を維持することが必要である。特にせん断による切断形態は量産に適用する場合が多いので、欠陥の発生は生産能率に大きく影響する。
【0007】
この棒材を抑える点において従来の技術は、棒材を軸線方向に拘束した上で、棒材を切断位置まで案内する筒状の案内部の隙間を小さくしたり、又、棒材を直接押圧したりすることが行われている。例えば、案内された棒材において、下刃より軸方向に離間した位置の棒材上部を、ローラを介して2つの抑え装置で押圧する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。又、案内部の隙間を小さくすることについては、切断位置近傍における棒材送りの案内部貫通穴、即ち、下刃の貫通穴を、棒材の外形より僅かに大きい材料ガイドとする構成で、クランプは棒材後部で行う構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。このように、切断の際、棒材を隙間の小さい筒状の案内部を介して案内すること、又、棒材自体を直接押圧することは公知である。本出願人も前述に関連するビレットの切断機に関する技術(特許文献3参照)と、切断に関する切断刃の技術(特許文献4,5参照)を提案しており、円筒の貫通穴を有する固定刃により棒材を拘束する構成を公開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平01−060371号公報
【特許文献2】特公昭58−33048号公報
【特許文献3】特開2010−158728号公報
【特許文献4】特許第3415964号公報
【特許文献5】特許第3683007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上詳述したように、従来の構成の切断機に関する技術は、高品質のビレットを生産する点において、切断精度を高める点において、まだ改良改善すべき点があるものであった。即ち、従来の構成技術では、切断刃に近い位置で棒材を拘束する構成は、円筒状の案内部の隙間を小さくするものであった。従って、下刃の貫通穴拘束であっても基本的には隙間の有する拘束構成であった。
又、直接棒材を押圧する構成のものは、切断位置から軸方向に離間した部位の棒材を押圧する構成のものであった。このような構成であると、どうしても切断時に棒材の跳ね上がりが生じてしまい、棒材の切断精度に影響を与えていた。特に長尺の棒材から数多くのビレットを量産するに際しては、切断精度の良し悪しは無視できない。
【0010】
従来構成であると、切断位置に近接して棒材を押圧する構成でないので、どうしても切断時に、切断位置を支点に棒材が跳ね上がる現象が生じ、切断がスムースに行えず、切断精度に影響を与えていた。この跳ね上がりは、案内部の隙間があればその隙間に相当するずれで生じてしまう。又、切断位置から離間した位置の棒材を押圧しても、切断時には棒材がそり上がることになる。いずれにしても切断時には、切断部位の棒材はずれが生じる可能がある状態のまま切断することを余儀なくされていた。
【0011】
特に切断する棒材が短くなったときにその影響は大きく、例えば、棒材の端末部分の切断時には、棒材が短く、棒材のクランプ位置がずれて直接押圧することができない場合が生じていた。その結果、跳ね上がりによって曲がりが生じ、棒材が案内部を通過することもおぼつかない状態が生じていた。このように従来の構成は、切断時に棒材を切断刃に近接して固定する状態になっていないので、切断時に切断部位の棒材が跳び上がることは避けられなかった。このことで、ビレットは均一で一定したものが生産できず、結果的にビレットは切断精度が安定せず、切断長さや切断重量も不揃いで均一さを欠く製品となっていた。従って、前述の現状に鑑み、従来の問題点を解決し、切断精度を向上させたビレットの製造が望まれていた。
【0012】
以上、切断されるビレット、切断機に関する課題について説明したが、本発明は、前述のような技術背景のもとになされて開発されたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、切断位置に近接して切断部位の棒材を押圧し、跳ね上がりのない状態にし、均質な切断で切断精度を向上させることができる切断クランプ装置を備えた切断機を提供することにある。
本発明の他の目的は、高能率で確実に安定的に大量生産でき、メンテナンスの容易な構成とした切断クランプ装置を備えた切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述した目的を達成するために次の手段を採る。
本発明1の切断クランプ装置を備えた切断機は、
送り出された棒材を切断するための固定刃と、この固定刃に対して移動する移動刃とを有し、前記固定刃と前記移動刃とのせん断力で前記棒材を切断する切断機において、前記切断機に着脱可能に設けられ前記移動刃及び前記固定刃を取り付けるための基台と、前記棒材を挟んで、前記固定刃の刃部と対向するように設けられ、前記棒材を切断するとき、前記棒材の前記固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材と、前記切断機又は前記基台に設けられ、前記押圧部材を前記棒材に押圧するための押圧駆動部材とからなる。
【0014】
本発明2の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1において、前記固定刃は、刃部が半円形状の刃となっていることを特徴とする。
本発明3の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1又は2において、前記押圧部材は、前記基台に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明4の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1又は2において、前記押圧部材は、前記切断機に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられていることを特徴とする。
本発明5の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至4において、前記押圧駆動部材は、流体圧シリンダであることを特徴とする。
【0016】
本発明6の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明5において、前記流体圧シリンダは、前記切断機に設けられた油圧シリンダ、又は、前記基台に設けられた油圧シリンダであることを特徴とする。
本発明7の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至3において、前記レバーは端部に前記押圧駆動部材に押圧されるローラを有していることを特徴とする。
【0017】
本発明8の切断クランプ装置を備えた切断機は、本発明1乃至3において、前記レバーは前記基台に設けられたバネにより反押圧方向に付勢される構成になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の切断クランプ装置を備えた切断機は、棒材を押圧するための押圧部材が、棒材を挟んで固定刃に対向するように設けられ、押圧部が棒材の固定刃と当接する側の反対側を押圧している構成になっている。そして、棒材は、切断位置に近接した部位が、押圧部材と固定刃で挟持固定された状態で、固定刃と移動刃とにより切断されるため、切断時の棒材の跳ね上がりが解消され、切断精度が向上し安定したビレットが製造できるようになった。特に、棒材が短くなった場合にも、切断時の棒材の跳ね上がりを解消することができる。その結果、生産されるビレットは、高品質で変形量が少なく、重量が均一であり、安定した製造部品となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の切断クランプ装置を備えた切断機を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、切断クランプ装置の平面図である。
【図4】図4は、固定刃の外観を斜視して示す外観図である。
【図5】図5は、移動刃の外観を斜視して示す外観図である。
【図6】図6は、他の実施の形態1の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、軸体を本体側に設けたレバー形式の切断クランプ装置を示す正面図である。
【図7】図7は、他の実施の形態2の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、油圧シリンダを基台に設けた構成の切断クランプ装置を示す正面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態3の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、押圧部材を直接油圧シリンダで押圧する構成の切断クランプ装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の切断クランプ装置を備えた切断機の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、切断クランプ装置を備えた切断機を示す正面図である。図2は、図1のA−A断面図である切断クランプ装置の側面図、図3は、切断クランプ装置の平面図である。図4は、固定刃の外観を斜視して示す外観図、 図5は、移動刃の外観を斜視して示す外観図である。
【0021】
切断機は、棒材供給装置(図示せず)からストッパ24側に送られる長尺の棒材7を、固定刃5と移動刃6との相対移動動作によるせん断力で切断してビレットを製造するものである。切断機の本体1はコラム形状になっていて、棒材供給装置を介して送られた棒材(棒状定尺素材)を支持する支持装置、位置決め装置、切断動作を行うための駆動装置等を有している。本体1の一部はコ字状の凹部2となっていて、この凹部2の空間に切断クランプ装置3が組み込まれている。この切断クランプ装置3は、カセット式に構成されていて、本体1に対し基台4を介して着脱可能になっている。この基台4には、固定刃5と移動刃6が組み込まれ、又、位置決めされた棒材7を固定するためのクランプ装置が取り付けられている。
【0022】
従って、この切断クランプ装置3は、本体1に送られて位置決めされた棒材7をクランプする機能と、クランプされた棒材7を切断する機能を有している。基台4は、本体1に対しボルト8を介して着脱可能となっている。この基台4の下部は本体1に対して取り付けるためのU字状の取付溝9を有していて、この取付溝9内にボルト8のねじ軸部が挿入される。本体1側にはねじ穴が形成されている。このボルト8を本体1のねじ穴にねじ込み、締め付けることにより、基台4は本体1に固定される。基台4は、この取付溝9、ボルト8等からなる構成により、本体1との間で位置調整が可能になっている。この構成により、この基台4は、本体1に送られて位置決めされる棒材7に対し適切な位置に調整することが可能であり、位置調整後、本体1に設置、固定されるようになっている。
【0023】
又、この基台4の上部はクランプ装置と切断刃(固定刃、移動刃)を支持する部位になっている。この基台4の一端に軸体10が設けられ、この軸体10を中心にして、鉛直面内または略鉛直面内において揺動可能なレバー11が設けられている。レバー11は、一端側が、軸体10に揺動可能に支持されている。このレバー11の中間部に棒材7を押圧するための押圧部材12がボルト14により着脱可能に固定されている。言い換えると、押圧部材12は、レバー11の所定位置に、ボルト14により着脱可能に締結されている。なお、この形態では、レバー11に押圧部材12を着脱可能に固定されているもので説明を行っているが、レバー11に押圧部材12が一体に形成されているものであってもよい。又、このレバー11の他端側にはローラ13が設けられている。ローラ13を支持するためのローラ軸13aは、レバー11に回転可能に支持されている。押圧部材12は、棒材7に対し、押圧部12aが断面半円形状になっていて棒材7の真上に位置し、押圧部12aで棒材7の外周部を上方側から押圧し、棒材7を上下方向及び横方向に拘束している。又、押圧部材12は、レバー11の揺動動作により、棒材7に対し進退移動可能になっている。なお、この押圧部12aは断面V字形状であってもよいし、平面形状のものであってもよい。
【0024】
又、基台4には、レバー押上部材15aが進退移動可能に設けられている。レバー押上部材15aは、レバー11を、常時、バネ部材15の付勢力により上方側へ押し上げて、軸体10を支点とする揺動動作させるための部材である。レバー押上部材15aには、レバー押上部材15aが基台4より所定の高さ以上突出しないようにするための段部15bが下方側に形成されている。一方、本体1の側壁には流体圧シリンダ(押圧駆動部材)が設けられている。この流体圧シリンダは油圧シリンダ又は空圧シリンダであるが、本実施の形態では油圧シリンダ16として説明する。油圧シリンダ16のピストンロッドにはロッド16bが連結されており、このロッド16bは、案内部1aに案内され、進退方向に移動可能に設けられている。案内部1aは、本体1にボルト1bで締結固定されている。油圧シリンダ16のシリンダ本体は本体1の上部に固定されている。この油圧シリンダ16はレバー11を下方向に押圧するためのもので、ロッド16bの先端に設けられた当接部材16aがレバー11のローラ13に当接するようになっている。
【0025】
電磁方向切換弁(以下、電磁弁と記載する)を前進(押圧)側に切り換え、油圧シリンダ16を前進方向(伸長方向)に駆動して、ロッド16b、当接部材16aを介してローラ13が押圧されると、バネ部材15の付勢力に抗して、レバー11が軸体10を支点に、図1における反時計回り方向に揺動する。このレバー11の反時計回り方向への揺動動作により押圧部材12が棒材7を押圧しクランプする。油圧シリンダ16は、クランプ後、電磁弁を中立位置に切り換え、戻り側の回路をブロック(遮断)するようにしているので、切断時にはクランプする力は保持される構成になっている。棒材7を切断後、電磁弁を後退(反押圧)側に切り換え、油圧シリンダ16を後退方向(縮小方向)に駆動する。ロッド16b、当接部材16aは、ローラ13から離れる。
【0026】
この場合は、油圧シリンダ16によるクランプ力は解除されるので、バネ部材15に付勢されたレバー押上部材15aの作用により、レバー11は、軸体10を中心にして、図1における時計回り方向に揺動する。このレバー11の時計回り方向への揺動動作により、押圧部材12が棒材7から離れ、棒材7の上部側が開放され、棒材7の上部側に所定の隙間が形成される。この棒材7の上部側が開放されることで、曲がりや直径寸法のバラツキが大きい棒材であっても余裕をもって固定刃5の上部を通過、移動することができる。従って、供給される棒材の状態に左右されることはない。基台4には、このクランプ装置の下部側に固定刃5が、クランプ装置に隣接するように移動刃6が設けられている。
【0027】
固定刃5は、基台4に位置決めされボルト17により固定されている。固定刃5は図4に示すように穴5bを中心に対称形状に構成され、刃部5aは半円形状となっている。刃部5aは、刃本体部5dと刃端部5eとから構成されている。この刃部5aは180度反転させることで、相互に刃部5aの位置を入れ替え、刃部を交換したようにすることが可能である。言い換えると、固定刃5は、180度反転させて取付位置を入れ替え、ボルト穴5cを介してボルト17により基台4に固定される。従って、この固定刃5が180度反転して再取り付けされても刃部5aの位置は正確に維持される。基台4に固定刃5が取り付けられた状態のとき、基台4の固定刃5の上部側には、空間部4sが形成されており、この空間部4sに前述した押圧部材12が配置されている。基台4に形成された穴、固定刃5に形成された穴5bには、切断が完了したビレットを、回収シュート25に向かって蹴り出すための蹴り出しピン18が進退移動可能に設けられている(図2参照)。この蹴り出しピン18は、移動刃押圧駆動装置23と機械的に連動して進退移動し、切断が完了したビレットを回収シュート25側に蹴り出す動作を行う。
【0028】
このような構成にしたことで、押圧部材12を棒材7から離れる方向(反押圧方向)に移動させ、棒材7がこの刃部5a上を通過するときには、棒材7の上部は開放状態となる。従って、切断クランプ装置3の押圧部材12は、その押圧部12aが図示のように固定刃5の位置の棒材7の上部、真上に設置される構成になっている。即ち、棒材7の軸線を直角方向に横切る方向で、固定刃5に対向するように押圧部材12が構成され、直接、押圧部材12の押圧部12aが棒材7の上部を押圧するようになっている。言い換えると、押圧部材12の押圧部12aと固定刃5の刃部5aとが、棒材7を挟んで対向するように設置されている。
【0029】
又、この押圧部材12の押圧部12aは断面半円形状で棒材7を押圧する構成になっていて、前述したように、上下方向に加え横方向も棒材7を拘束している。この構成にすることで、上方に開放部のない筒状の円形固定刃であれば、どうしてもある程度の隙間を許容せざるを得ない従来構成であったのに対し、固定刃5の半円形状の刃部5aで棒材7の下部を、押圧部材12の半円形状の押圧部12aで棒材7の上部を挟持押圧している。言い換えると、押圧部材12は、棒材7の固定刃5の刃部5aと当接する部位に対して反対側に位置する部位を押圧するようになっている。このようにして、固定刃5と押圧部材12とが協働して、棒材7を上下方向及び横方向に拘束しながら挟持押圧することができる。
【0030】
移動刃6は、固定刃5に対し隣接し、基台4の案内部4aを介して移動方向が規制され、上下方向に移動可能となっている。移動刃6は、案内部4aを上下方向に進退移動する保持部材19に固定されている。この移動刃6も図5に示すように、固定刃5と同様に刃部6aが半円形状をなし対称形となっている。又、移動刃6は、図示していないが、固定刃5と同様にボルト穴6bを介して保持部材19にボルト締めされている。従って、この移動刃6も固定刃5同様に刃部6aは反転交換可能である。移動刃6は、刃本体部6dと刃端部6eとから構成されている。棒材7は、固定刃5の移動刃6側の刃端部5eと、移動刃6の固定刃5側の刃端部6eとの間のせん断力でビレットに切断される。
【0031】
一方、移動刃6の下部には、棒材7(及び切断されたビレット)を支えるためのビレット支承シュウ20が設けられている。このビレット支承シュウ20のビレット受け部は、断面半円形状となっていて、切断されたビレットが落下し易いように、固定刃5の反対側の端部側が傾斜面で外方に削がれている。このビレット支承シュウ20は支承装置(図示せず)に支承され、移動刃押圧駆動装置23のラム23a、移動刃6が下降したとき、棒材7の破断が終了するまでは移動刃6の押圧力に比例した支承力で棒材7(及び切断されたビレット)を支承するものである。ビレット支承シュウ20は、支承装置のシュウ支持軸20aの上端に固定されている。このビレット支承シュウ20の支承装置は、本出願人が、特許第4638868号公報、特開2010−158728号公報等で開示している装置であり、この実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0032】
又、この保持部材19の上部には、板状の支え部材21が固定されていて、この支え部材21の両端部は外方に張り出した形状になっていて、その端部は基台4に保持されたバネ部材22により上方へ付勢されている。
従って、保持部材19は移動刃6を保持して上方にバネ部材22の付勢力で移動し一定の位置に位置決め保持されるが、その位置は移動刃6が固定刃5の上方で、棒材7の上部にあり切断開始位置である。一方、支え部材21の上部は離間して本体1に対向している。本体1には詳細は図示していないが、この支え部材21に対向して上下方向に移動可能な移動刃押圧駆動装置23が内蔵されている。移動刃押圧駆動装置23は、ラム23aの押圧部が支え部材21に当接し、支え部材21をバネ部材22の付勢力に抗して下方向へ押圧可能としている。
【0033】
従って、移動刃6は、この支え部材21を押圧する移動刃押圧駆動装置23により下方向へ、又、バネ部材22の付勢力により上方向へと上下方向に移動可能である。言い換えると、移動刃押圧駆動装置23のラム23aが下降した時、支え部材21をバネ部材22の付勢力に抗して下方側に押圧して保持部材19、移動刃6等を下降させる。ラム23aが上昇するときには、バネ部材22の作用により、保持部材19、移動刃6等が上昇する。移動刃6はこのような構成になり、固定刃5に沿い摺接して上下方向に移動が可能である。
【0034】
棒材7は棒材供給装置から切断機の送材部を通して固定刃5上を通過するように送られると、送材方向に設けられた切断機のストッパ24への当接により軸方向の棒材長さが設定される。ストッパ24は、図示しないストッパ装置の定寸送りモータ等により所定の定寸位置に位置決め可能であるとともに、進退移動可能に設けられている。この棒材長さはビレットの所定長さとなり、切断長さである。このストッパ装置は、本出願人が、特許第3415964号公報の段落番号0035〜0037、図13,14等、特許第3683007号公報の段落番号0036〜0038、図13,14等で開示している装置であり、この実施の形態では、詳細な説明を省略する。この棒材長さが設定された後、油圧シリンダ16を作動させ、レバー11等を介して押圧部材12が棒材7を固定刃5側に押圧する。即ち、棒材7が、基台4に固定された固定刃5と前記押圧部材12とに挟持されクランプされる。移動刃6が、本体1の移動刃押圧駆動装置23により、上昇位置(切断開始位置)から下降位置(切断終了位置)に押圧駆動され、下降移動した移動刃6と固定刃5とのせん断力により棒材7を切断する。
【0035】
この切断に際し、棒材7は、切断位置に近接した部位が、油圧シリンダ16の作用により下方側(図1における時計回り方向)に揺動した押圧部材12の押圧部12aと固定刃5の刃部5aとで挟む形で押圧固定されているので、棒材7の跳ね上がりはなく切断される。棒材7が短くなっても、切断位置(せん断の作用点)に近接した部位を押圧部材12と固定刃5とで挟持固定するため、棒材7の跳ね上がりはなく高精度に切断される。又、棒材7が切断される時、棒材7は、前部(ストッパ24)側が移動刃6とビレット支承シュウ20とに、後部側が固定刃5と押圧部材12とに挟持されているため高精度な切断が行われ高品質のビレットを製造できる。
【0036】
切断後、ビレット支承シュウ20は下降し、ストッパ24は、切断クランプ装置3から離れる方向に移動し、退避位置に後退する。切断された棒材7は、ビレットとして短尺材の形で、この切断クランプ装置3より矢印で示すように落下する。落下したビレットは、本体1に付属して設けられた回収シュート25を介してビレットとして回収される。移動刃6は上昇位置に上昇移動し、押圧部材12が反押圧方向に移動する。棒材7が送材部により所定量送り出された後、ストッパ24を切断クランプ装置3に接近する方向に移動させ定寸位置に位置させる。このストッパ24の定寸位置への移動により、棒材7は軸方向長さが設定される。ビレット支承シュウ20は、シュウ上昇用シリンダ(図示せず)により上昇し、切断位置に戻る。
【0037】
〔他の実施の形態1〜3〕
図6〜8に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態1〜3について説明を行う。なお、この他の実施の形態1〜3の説明では、前述した実施の形態と同一のものには、同一の符号を付与し詳細な説明を省略している。
図6は、他の実施の形態1の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、軸体を本体側に設けたレバー形式の切断クランプ装置を示す正面図である。図6に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態1について説明を行う。
前述の説明では、レバー11を揺動させる支点の軸体10を基台4に設けることで説明したが、この軸体10を本体1側に設けてもよい。図6は、その一例である。本体1の凹部2の壁面に軸受部材26を固定し、この軸受部材26に軸体10を支持させ、レバー27をこの軸体10を中心に揺動させる構成である。この軸受部材26は本体1のどの部位に設けてもよい。この構成にすると、クランプ装置関係は本体1側に取り付けられ、切断刃関係装置のみが基台4に設けられる構成となる。
【0038】
図7は、他の実施の形態2の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、油圧シリンダを基台に設けた構成の切断クランプ装置を示す正面図である。図7に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態2について説明を行う。
図7に示すように、この形態2は、レバー形式のクランプ装置で、押圧のための油圧シリンダ28を基台31に設けた構成のものである。この基台31は、前述した基台4に相当するものであり、固定刃5が取り付けられる構成は同じものである。基台構成がカセット式であると、本体1に取り付ける上で取り付けスペースと大きさに設計上の制限を受ける。しかし押圧ストロークが短く、押圧力を大きく必要としない場合に、この構成はコンパクトになるので有効である。この場合は油圧シリンダ28を含めてクランプ装置と切断刃関係装置が一式のカセット構成が可能である。この形態2の場合、図示のように、油圧シリンダ28のロッドの端部をレバー29の端部に組み込むようにしてもよい。図7に示した形態では、レバー29は、一方の端部側が軸体10を介して揺動可能になっている。又、レバー29は、他方の端部側に長穴29aが形成され、この長穴29aに油圧シリンダ28のロッドの端部に設けられたピンまたはローラ30を挿入させ係合させる構成となっている。
【0039】
図8は、他の実施の形態3の切断クランプ装置を備えた切断機を示し、押圧部材を直接油圧シリンダで押圧する構成の切断クランプ装置を示す正面図である。図8に従って、クランプ切断装置の他の実施の形態3について説明を行う。
図8に示すように、この形態3は、レバーを介さず押圧部材12を直接油圧シリンダ32で動作させ、棒材7を押圧させる構成のものである。この形態3の場合は、押圧部材12を押圧方向に直列状に油圧シリンダ32を設けている構成でないのが難点である。この場合は押圧部材12を油圧シリンダ32と連結する屈曲部材33が必要となり、押圧力が屈曲部材33に曲げ力として生じてしまうので、屈曲部材33の強度が必要であり、屈曲部材33を押圧方向に案内するための案内部材も必要となるが、簡素な構造が期待できる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、押圧部材の押圧部と固定刃の刃部とが、棒材を挟んで対向するように設置されている構成であれば、押圧部材の押圧部、固定刃の刃部が鉛直線に対して、微小角度又は所定の角度傾斜する方向に傾いて設けられていてもよい。この場合、移動刃も、鉛直線に対して、微小角度又は所定の角度傾斜している方向に移動する構成となる。ただし、この角度は、棒材が固定刃に安定した状態で通過、固定ができる範囲内となっているとよい。
【符号の説明】
【0041】
1…本体
2…凹部
3…切断クランプ装置
4,31…基台
5…固定刃
6…移動刃
7…棒材
10…軸体
11,27,29…レバー
12…押圧部材
15…バネ部材
16…油圧シリンダ
19…保持部材
20…ビレット支承シュウ
21…支え部材
23…移動刃押圧駆動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出された棒材を切断するための固定刃と、この固定刃に対して移動する移動刃とを有し、前記固定刃と前記移動刃とのせん断力で前記棒材を切断する切断機において、
前記切断機に着脱可能に設けられ前記移動刃及び前記固定刃を取り付けるための基台と、
前記棒材を挟んで、前記固定刃の刃部と対向するように設けられ、前記棒材を切断するとき、前記棒材の前記固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材と、
前記切断機又は前記基台に設けられ、前記押圧部材を前記棒材に押圧するための押圧駆動部材と
からなる切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項2】
請求項1に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記固定刃は、刃部が半円形状の刃となっている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧部材は、前記基台に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧部材は、前記切断機に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項5】
請求項1乃至4から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧駆動部材は、流体圧シリンダである
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項6】
請求項5に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記流体圧シリンダは、前記切断機に設けられた油圧シリンダ、又は、前記基台に設けられた油圧シリンダである
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項7】
請求項1乃至3から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記レバーは端部に前記押圧駆動部材に押圧されるローラを有している
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項8】
請求項1乃至3から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記レバーは前記基台に設けられたバネ部材により反押圧方向に付勢される構成になっている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項1】
送り出された棒材を切断するための固定刃と、この固定刃に対して移動する移動刃とを有し、前記固定刃と前記移動刃とのせん断力で前記棒材を切断する切断機において、
前記切断機に着脱可能に設けられ前記移動刃及び前記固定刃を取り付けるための基台と、
前記棒材を挟んで、前記固定刃の刃部と対向するように設けられ、前記棒材を切断するとき、前記棒材の前記固定刃側の反対側を押圧するための押圧部材と、
前記切断機又は前記基台に設けられ、前記押圧部材を前記棒材に押圧するための押圧駆動部材と
からなる切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項2】
請求項1に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記固定刃は、刃部が半円形状の刃となっている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧部材は、前記基台に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧部材は、前記切断機に設けられた支軸を介して揺動するレバーに設けられている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項5】
請求項1乃至4から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記押圧駆動部材は、流体圧シリンダである
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項6】
請求項5に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記流体圧シリンダは、前記切断機に設けられた油圧シリンダ、又は、前記基台に設けられた油圧シリンダである
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項7】
請求項1乃至3から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記レバーは端部に前記押圧駆動部材に押圧されるローラを有している
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【請求項8】
請求項1乃至3から選択される1項に記載された切断クランプ装置を備えた切断機において、
前記レバーは前記基台に設けられたバネ部材により反押圧方向に付勢される構成になっている
ことを特徴とする切断クランプ装置を備えた切断機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−13949(P2013−13949A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147123(P2011−147123)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(391039195)株式会社万陽 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(391039195)株式会社万陽 (4)
【Fターム(参考)】
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