説明

切断装置

【課題】 リード端子等の被切断体を切断する際の操作が容易で、しかも確実に切断屑の飛散を防止する。
【解決手段】 ブロアー11の空気吹出し口11aに対向して吸引器12の吸引口12aが位置付けられて、空気吹出し口と吸引口との間に被切断体を位置付けて被切断体を切断器16で切断する。切断の結果生じた切断屑は空気吹出し口から吹出された空気によって吸引口側に吹き寄せられて吸引器で吸引される。この結果、切断層が周囲に飛散することを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リード線等の被切断体を切断する切断装置に関し、特に、被切断体を切断した際に生じる切断屑の飛散を防止することのできる切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子・電気機器等の製造工程においては、不要となったリード端子等の被切断体を切断しており、この際不可避的に切断屑が発生する。そして、不要となったリード端子の切断又はリード線のビニル被覆の切除等を行った際には、切断屑が飛散することがあり、切断屑の飛散があると電子・電気機器に悪影響を及ぼすことがある。このため、電子・電気機器の製造工程においてリード端子等の切断を行った際には、切断屑の飛散を防止する必要がある。
【0003】
従来、切断屑の飛散を防止するため、例えば、リード端子等の被切断体を切断するための加工具であるニッパ上にカバーを取付け、このカバーの吸引口を吸引ホースを介して吸引装置に接続するととともに、ニッパのグリップ基端部にスイッチを臨ませて、スイッチによってリード端子の切断動作が検出されると吸引装置が動作して、カバーによって切断屑を捕捉し、かつ吸引装置によって切断屑を吸引補集して、切断屑の飛散を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、リード線等の被切断体を切断するための加工具であるニッパが被切断体を切断するニッパ頭部と、ニッパ頭部に装着されてニッパ頭部の刃部により切断された被切断体の切り屑を捕捉するカバーと、カバー内に捕捉された被切断体の切り屑を吸引する吸引手段とを備えて、被切断体をカバー内に導入するためにカバーの先端部に開口部が設けられているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−10460号公報(第3頁〜第5頁、第1図〜第5図)
【特許文献2】特開2001−251077号公報(第5頁〜第6頁、第1図〜第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の切断装置は以上のように構成されているので、ニッパはカバーを装着するために大型化してしまい、切断工程において、ニッパの操作を行いづらく、切断箇所が細かいと切断作業が極めて面倒になってしまうという課題があった。
【0007】
また、従来の切断装置では、一旦切断屑をカバーで捕捉した後、吸引装置で吸引捕集するようにしているものの、カバーの吸引口に吸引装置が接続されている関係上、この点においてもニッパの操作が行いづらくなってしまうという課題がある。
【0008】
そして、従来の切断装置では、単に吸引によって切断屑を吸引捕集しているだけであり、吸引装置の吸引能力には限度があるから、リード端子等の被切断体を切断した際、切断屑が遠くに散乱してしまうと、吸引装置によって切断屑を吸引捕集することができなくなってしまい、その結果、確実に切断屑の飛散を防止できないという課題がある。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、リード端子等の被切断体を切断する際の操作が容易で、しかも確実に切断屑の飛散を防止することのできる切断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る切断装置は、空気を吹出す空気吹出し口を有するブロアー手段と、空気吹出し口に対向して位置付けられた吸引口を有する吸引手段と、空気吹出し口と吸引口との間に位置付けられた被切断体を切断する切断器とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、空気吹出し口と吸引口との間に被切断体を位置付けて、切断器によって被切断体を切断するように構成したので、被切断体を切断した際に生じる切断屑が空気吹出し口から吹出される空気によって吸引口側に吹き寄せられる結果、切断屑を確実に吸引捕集することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における切断装置を示す図であり、ここでは、切断装置10によって電動機の構成部品であるステータ巻線の端部(以下端部をリード片と呼ぶ)を切断処理する例について説明する。図1(a)及び(b)において、図示の切断装置10は、ブロアー(空気吹出し器:ブロアー手段)11及び吸引器(吸引手段)12を有しており、ブロアー11の空気吹出し口11aは吸引器12の吸引口12aに対向して配置されている。図示の例では、ブロアー11と吸引器12との間には受け板部(切断屑受け部)13が配置され、この受け板部13は円弧状に成形されている。前述のように、ここではステータ巻線の端部を切断処理する関係上、図1(a)に示すように、ステータコア14の外周面が受け板部13の内周面に対応付けられるように、受け板部13は円弧状に形成されている。
【0013】
吸引器12は捕集管12bを介して捕集箱15に接続されており、後述するようにして、ブロアー11から空気を吹出して、受け板部13上に落下した切断屑を吸引器12側に移動させて(吹き寄せて)、吸引器12によって切断屑を吸引して捕集管12bを介して捕集箱15に捕集する。
【0014】
図2(a)及び(b)はリード片切断の際に用いられるニッパ等の切断器16の一例を示す図であり、切断器16はニッパ頭部16aを備え、このニッパ頭部16aには一対の刃16bが形成されており、操作部16dを操作すると、一対の刃16bが図2(a)に実線矢印で示す方向に閉じ、操作部16dを離すと、一対の刃16bが開く。そして、操作部16dを操作して刃16bによってリード片を切断する。一方、刃16bに沿って所定の厚みを有するシリコン系樹脂等の樹脂で成形された保持部16cが配設されており、この保持部16cは弾力性を有している。
【0015】
次に動作について説明する。
図1を参照して、まず、ブロアー11及び吸引器12を駆動した後、ステータコア14の外周面を受け板部13の内周面に対応付けて、リード端子(被切断体)14aから導出するリード片(切断屑と成る部分)14bを受け板部13上に位置付けるとともに、リード片14b(つまり、切断位置)を空気吹出し口11aと吸引口12aとの間に位置付ける。そして、ニッパ等の切断器16でリード片14bを切断する。
【0016】
前述のように、切断器16の刃16bに沿って弾力性を有する保持部16cが形成されているから、リード片14bを切断器16(つまり、刃16b)でリード片14bを切断する際には、保持部16cが互いに当接した状態となって、保持部16cにリード片14bが挟持された状態となる。この結果、リード片14bを切断しても、リード片14b、つまり、切断屑が不特定の方向に飛散することはなく、切断後刃16bを開けば、保持部16cに保持された切断屑が受け板部13上に落下する。
【0017】
このようにして、リード端子14aの切断によって受け板部13上に落下した切断屑(リード片14b)は、ブロアー11及び吸引器12が駆動されているので、ブロアー11の空気吹き出し口11aから吹出された空気によって、図1(a)に破線矢印で示すように、切断屑は吸引口12a側に吹き寄せられて(移動し)、吸引器12によって吸引口12aから吸引されて、捕集管12bを介して捕集箱15に捕集される。
【0018】
つまり、図3に示すように、ブロアー11から吹出される空気によって、切断屑21は、実線矢印で示すように、吸引口12aの方向に吹き寄せられる。そして、吸引器12の吸引によって、吸引口12aの近傍に達した切断屑21は吸引器12で確実に吸引されることになる。そして、ステータコア14の外周面を受け板部13の内周面に沿って移動させつつ、全てのリード片14bの切断を行うことになる。リード片14bの切断が全て終了した時点では、受け板部13上には切断屑は存在せず、捕集箱15に吸引捕集されている。
【0019】
なお、通常のニッパ等の切断器(保持部16cを備えない切断器)を用いた際においても、ブロアー11によって吸引口12aの方向に空気が吹出されているから、切断屑は不特定の方向に飛散することはほとんどなく、吸引口12a側に吹き寄せられて、吸引器12で吸引されて切断屑は全て捕集箱15に捕集されることになる。
【0020】
このように、切断器16、ブロアー11、及び吸引器12は独立的に構成されている結果、切断器16の操作は極めて容易であり、しかも、受け板部13に落下した切断屑はブロアー11で吸引口12a側に吹き寄せられるから、容易に吸引器12で切断屑を吸引捕集することができる。そして、ブロアー11で切断屑を吸引器12側に吹き寄せるようにしたから、吸引器12の吸引能力は大きくなくても済む(つまり、吸引器12の吸引能力は小さくて済む)。
【0021】
図1に示す例では、受け板部13を備えているが、受け板部13は必須のものではなく、例えば、配線基板においてリード片を切断処理する際には、基板自体が受け板部13として機能するから、切断屑を基板上に落下させて、ブロアー11によって基板上の切断屑を吸引口12a側に吹き寄せて、吸引器12で切断屑を吸引捕集するようにすればよい。また、受け板部13の形状は、被切断体を有する電子・電気機器の形状に応じて適宜変更するようにすればよい。
【0022】
なお、前述のように、ブロアー11及び吸引器12は互いに独立して配置されており、例えば、アクチュエータ等によってブロアー11及び/又は吸引器12の位置を移動させるようにすれば、電子・電気機器の形状に応じてブロアー11及び/又は吸引器12の位置を変更することができ、電子・電気機器への干渉を避けつつ、リード端子等の被切断体を切断して切断屑を吸引捕集することができる。
【0023】
図4(a)及び(b)は配線基板22上のリード端子の不要なリード片を切断処理する際の例を示す図であり、ここでは、基板自体が受け板部13として機能するので、受け板部13を備える必要はない。なお、図4において、図1に示す構成要素と同一の構成要素については同一の参照番号が付されている。
【0024】
図示の例では、ブロアー11から吹出される空気の通路を規定するための一対のガイド体(空気通路ガイド体)23が配置されており、このガイド体23は、例えば、板状の壁体であり、配線基板22の表面に対して垂直に配置され、かつ空気吹出し口11aから吸引口12aの方向に延在している。そして、一対のガイド体23間に空気通路が規定される。空気吹出し口11aから吹出された空気は、図4(a)に破線矢印で示すように、空気通路を通って吸引口12aに向う。この際、配線基板22上に落下した切断屑21は空気吹出し口11aから吹出された空気によって吸引口12a側に吹き寄せられ、吸引器12で吸引されて、捕集箱15に捕集される。
【0025】
このようにして、ブロアー11から吹出される空気の通路を基板上に規定するようにしたから、吹出し空気を確実に吸引口12a側に導くことができ、ブロアー11からの空気流によって切断屑21が吸引器12側以外に吹き飛ばされることがなく、確実に切断屑21を吸引器12で吸引することができる。
【0026】
なお、切断処理を行う際、ガイド体23をアクチュエータ等によって駆動してガイド体23を配線基板22上に降下させて、切断箇所が空気通路内に位置するようにブロアー11と吸引器12との間に空気通路を形成するようにする。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、空気吹出し口と吸引口との間にリード片を位置付けて、リード片を切断するようにしたので、リード片を切断した際に生じる切断屑が空気吹出し口から吹出される空気によって吸引口側に吹き寄せられ、切断屑を確実に吸引捕集することができる。さらに、切断器16、ブロアー11、及び吸引器12は独立的に構成されているから、リード片を切断する際の操作が容易となる。
【0028】
この実施の形態1によれば、空気吹出し口と吸引口との間に、リード片を切断した際に生じる切断屑を受ける受け板部13を配置するようにしたので、切断屑を吸引捕集する際、切断屑が落下してしまう恐れがない。
【0029】
この実施の形態1によれば、ガイド体23によって空気吹出し口から吸引口に向う空気通路を規定して、空気通路内に被切断体の切断位置を位置付けるようにしたので、空気の流れが確実に空気吹出し口から吸引口に向うことになって、確実に切断屑を吸引口側に移動させることができ、切断屑の捕集漏れを防止することができるという効果がある。
【0030】
この実施の形態1によれば、切断器16の一対の刃16bによってリード片を切断する際切断屑となる部分を挟持して切断屑を保持する弾力性の保持部16cを備えているので、リード片を切断する際、切断屑が不特定の方向に飛散することがなく、確実に切断屑を吸引捕集することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1による切断装置の一例を示す図であり、(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図2】図1に示す切断装置で用いられる切断器のニッパ頭部の一例を概略的に示す図であり、(a)は正面側から見た図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す切断装置における切断屑の吸引捕集動作を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態1による切断装置の他の例を示す図であり、(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
【符号の説明】
【0032】
10 切断装置、11 ブロアー、11a 空気吹出し口、12 吸引器、12a 吸引口、12b 捕集管、13 受け板部(切断屑受け部)、14 ステータコア、14a リード端子(被切断体)、14b リード片(切断屑と成る部分)、15 捕集箱、16 切断器、16a ニッパ頭部、16b 刃、16c 保持部、21 切断屑、22 配線基板、23 ガイド体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断体を切断する際に用いられる切断装置において、
空気を吹出す空気吹出し口を有するブロアー手段と、
前記空気吹出し口に対向して位置付けられた吸引口を有する吸引手段と、
前記空気吹出し口と前記吸引口との間に位置付けられた前記被切断体を切断する切断器とを有することを特徴とする切断装置。
【請求項2】
空気吹出し口と吸引口との間に位置し、前記被切断体を切断した際に生じる切断屑を受ける切断屑受け部を有することを特徴とする請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
空気吹出し口から吸引口に向う空気通路を規定する空気通路ガイド体を有し、
前記空気通路内に被切断体の切断位置を位置付けるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の切断装置。
【請求項4】
切断器は、前記被切断体を切断するための一対の刃と、該刃によって前記被切断体を切断する際切断屑となる部分を挟持して該切断屑を保持する弾力性の保持部とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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