切断面割れを低減するシャーせん断刃、せん断加工方法およびせん断加工装置
【課題】 切断加工された板が部品成形等の2次加工を受ける際に、切断面から発生する割れを低減し、かつ切断・分離後の板の両方を製品として利用可能なシャーせん断刃、せん断方法及びせん断装置を提供する。
【解決手段】 板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃。また、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度を10〜70度とする。
【解決手段】 板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃。また、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度を10〜70度とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、鋼板を自動車等の部品等として用いるために、鋼板を所定の大きさに切断・分離する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や電化製品等の工業部品の素材として金属板材が多く用いられるが、これら板材は素材メーカーからの出荷時点のコイル形状のまま部品に加工されることはほとんどなく、所定の寸法形状に切り出すための切断工程が不可欠である。また素材メーカーの製造工程においてもコイル寸法の調整のための切断工程が必要になる。
【0003】
これら切断加工には経済性の観点からシャーせん断(切断ともいう)が多用される。シャーせん断においては被加工板の切断面性状が良好でない場合には、その後の部品加工工程において切断面から割れが発生することが知られている。伸びフランジ割れやビード割れ等においてこの種の切断面割れが見られる。切断面割れの発生は主に自動車分野で使用される高張力鋼板で顕著になる。
【0004】
シャー切断と同じせん断加工に分類される打抜き加工技術においては切断面状態を良好に保ち、打抜き穴からの割れを防ぐための技術がこれまでにも検討されている。
例えば特許文献1では、ポンチ先端面に打抜き形状より小さな形状の突出部を設けたポンチを用いて打抜き加工することにより、打抜き時のバリ(かえり)発生を抑制する加工方法が提案されている。この技術は切断面性状を制御するものであるが、打抜き穴からの割れを抑制する方策については言及していない。
【0005】
また特許文献2では、打抜きクリアランスとポンチ先端肩部の面取り形状を適切に設定することで穴縁からの割れ発生を抑制する技術を提案している。
また特許文献3では、打抜きクリアランスの調整とポンチ先端面に打抜き形状より小さな形状の凸部を設けたポンチを用いて打抜き加工することにより、打抜き割れを抑制する技術を提案している。
【0006】
前記のこれら3方法は穴の打ち抜き加工を目的とした技術であるため、打ち抜かれた側の板は変形して製品としては利用できない方法となっているので、切断された板の両側を製品として利用するための技術は何ら開示されていない。シャー切断においては原則切断分離された板の両方を製品とする必要があるため、これら従来技術はシャー切断面からの割れ抑制には貢献しない。
【特許文献1】特開平5−23755号公報
【特許文献2】特開平8−57557号公報
【特許文献3】特開平8−99131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、切断加工された板が部品成形等の2次加工を受ける際に切断面から発生する割れを低減し、かつ切断・分離後の板の両方を製品として利用可能なシャーせん断刃、せん断方法及びせん断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下をその要旨とする。
発明1は、板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明2は、前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度が10〜70度であることを特徴とする前記発明1記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明3は、前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記突起の後端の曲率半径が被加工板の板厚の4〜20%であることを特徴とする前記発明1または2記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明4は、前記発明1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃に対し、被加工板の前方及び後方を固定しながら、前記シャーせん断刃を用いて被加工板をせん断することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断方法である。
発明5は、前記被加工板に、前記被加工板の降伏応力又は0.2%耐力の10〜60%となる張力を付与しながらせん断することを特徴とする前記発明4記載の切断面割れを低減するシャーせん断加工方法である。
発明6は、前記発明1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃と、前記シャーせん断刃の前方に配置した前方固定手段と、前記シャーせん断刃の後方近傍に配置した後方固定手段からなることを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断装置である。
尚、本発明でシャーせん断刃の後方近傍とは、シャーせん断刃の後端から後方固定手段の前端までの距離が被加工板の板厚以下の距離とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板の切断後の成形加工における切断面割れを抑制することができ、かつ切断・分離後の板の両方を製品として利用可能となる。切断面割れの抑制は特に高張力鋼板において顕著であるので、自動車部品等への高張力鋼板の適用が容易になり、自動車軽量化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、シャー刃形状を先端部突起と主せん断刃の2段構造とすることにより、シャー切断による切断面割れを抑制できることを知見した。この効果が得られる理由は以下のように考えられる。
通常のシャーせん断加工においては、シャーせん断工具が鉛直方向に移動し、まず被加工板aにシャーせん断刃の主せん断刃2が接触する(図9の(a)従来工程1)。続いてシャーせん断刃の主せん断刃2は被加工板aに食い込んでだれを形成し、続いてせん断面を形成する(同図(b)従来工程2)。その後工具の移動が進行すると被加工板aの内部で板厚方向に亀裂が進展し、破断面を形成する(同図(c)従来工程3)。最終的に亀裂が結合して、被加工板aが分離された後にはバリが形成される(同図(d)従来工程4)。
【0011】
前記加工過程において生成される断面の状態を図9の(e)従来工程の断面性状に示す。被加工板aに生ずるだれ(T1)及びせん断面(T2)は、大きな塑性変形を受けるために加工硬化層を成しており、被加工板の他の部位に比較して端面部の延性が低下しているので、成形加工時に切断面割れの起点となる。破断面(T3)は加工硬化していないが、その先端に発生するバリ(T4)は加工硬化しており、かつ切欠きとしての効果も有するために応力集中を招くので、この部位もまた切断面割れの起点になる。
【0012】
これに対して本発明における2段階構造を有するシャー切断刃を使用した場合、シャーせん断刃は鉛直方向に移動してまず先端部突起1にて被加工板aに接触する(図10の (a)本工程1)。先端部突起1はせん断加工を生じずに、被加工板aの切断を受ける部位に弾性変形範囲の張力を付与する(同図(b)本工程2中の左右方向の矢印を参照)。
シャーせん断刃の移動を継続すると、主せん断刃2が被加工板aに接触し、せん断変形が開始される(同図(c)本工程3)。シャーせん断刃の先端部突起1により付加された張力により、被加工板aのせん断変形部の静水圧応力が増加し、板厚方向の亀裂の発生と進展を促進する(同図(d)本工程4)。その結果、切断面におけるだれ及びせん断部が成長する前に破断による分離が行われ、切断面における破断面の割合が増加する(同図 (e)本工程5)。
【0013】
前記加工過程において生成される断面の状態を、図10の(f)本工程の断面性状に示す。
付加された張力により亀裂形成が促進されるので、破断面(T3)が占める割合が増加し、加工硬化層であるだれ(T1)及びせん断面(T2)は減少する。破断面は加工硬化を受けていないので、切断面における延性が従来のシャーせん断による場合よりも向上し、切断面割れを抑制することになる。さらに、最終的な破断に至る際に張力方向に分離されるので、バリ(T4)が低下する。バリもまた加工硬化層であるから、その低下は切断面割れの低減に寄与する。
【0014】
以上の切断面発生機構の検討を踏まえ、本発明は以下をその要件とする。
本発明1に用いるシャー切断工具は図1〜図3に示すように、刃先の前端側(紙面右方向、後述の図6参照)には、被加工板(図示しない)と面状に接触し、被加工板に曲げを与える突起1と、刃先の後端側(紙面左側)には、図1〜3の矢印で示す鉛直方向で突起1より後退した位置に、被加工板にせん断加工を加える主せん断刃2の2段構造を有する必要がある。
突起1と主せん断刃2が2段構造を有する限り、両者の形状は特に限定することなく本発明の効果を得ることができる。また被加工板にせん断加工を与えない限りにおいて、板搬送方向から見て突起前端の形状は特に規定されない。すなわち図2のように突起前端に曲率を有してもよいし、また図3のように突起後端と対称形状を有してもよい。
【0015】
本発明2におけるシャーせん断刃は図4に示すように、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面(紙面)において、主せん断刃先端Aと突起後端Bとを結ぶ直線が水平方向と成す角度αを10°〜70°の範囲に規定する。αが10°未満の場合には、被加工板に十分な面内張力を与えられないまま、主せん断刃によるせん断加工が開始するため、目的の断面性状が得難くなる。またαが70°超の場合には、突起により被加工板のせん断加工が行われるため、主せん断刃によりせん断加工を受ける部位に十分な張力を与えられずに、目的の断面性状を得難くなる。好ましくは60°以下とする。
【0016】
本発明3におけるシャーせん断刃においては、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、突起後端の曲率半径Rを板厚の4〜20%の範囲内に規定する。板厚の4%未満の曲率を有する突起においては、突起先端にて被加工板のせん断加工が開始するため、主せん断刃によりせん断加工を受ける部位に十分な張力を与えられず、目的の断面性状を得難くなる。また板厚の20%を超える曲率を有する突起においては、適切な張力を与えられずに目的の断面性状を得難くなる。
【0017】
本発明1から3の何れかに規定するシャーせん断刃は、それら単独の使用でも目的の被加工板断面を得ることはできるが、本発明4または5の方法にて用いることにより、容易に効果を高めることができる。
【0018】
本発明4におけるシャーせん断加工方法においては、図6に示すように、被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃に対し、被加工板aの後方(紙面左側)を固定する板の後方固定手段b1、b2を設置し、被加工板aの前方(紙面右側)を固定する板の前方固定手段c1、c2を設置して、シャーせん断刃を用いて被加工板aをせん断する。シャーせん断刃を挟んで前後2箇所で被加工板aを固定することにより、せん断加工の際の被加工板aの平面度を確保すると共に、シャーせん断刃の先端突起Bが被加工板に接触する際の板面内張力の発生を容易かつ適切に行うことが可能になる。
後方固定手段b1、b2の位置は、せん断クリアランスを規定するので、シャーせん断刃の後方近傍に配置することが好ましい。前方固定手段c1、c2の位置は、面内張力が十分に与えられれば特に規定の必要はない。
前方固定手段c1、c2、後方固定手段b1、b2としては、特に限定するものではなく、油圧シリンダー、固定用カム機構、ねじ式万力機構等を使用することができる。
【0019】
本発明5におけるシャーせん断加工方法においては、前記本発明4における方法よりも積極的に被加工板面内張力を付与することを実施する。すなわち、シャーせん断刃後方に被加工板の後方固定手段を設置し、シャーせん断刃前方に張力を付与する。せん断加工時に被加工板に張力を付与することにより、被加工板の面内に張力を発生させ、シャーせん断刃がせん断加工を行う際の張力条件を適切に制御することを可能にする。この際に付与する張力は製品寸法精度を確保するために塑性変形を生じない範囲に収まる必要がある。 シャーせん断刃先端突起Bによっても板面内張力は付加されるので、被加工板に付加される張力は降伏応力または0.2%耐力の60%以下である必要がある。また付加張力が低過ぎると目的の断面性状を得られないので、付加する張力は降伏応力または0.2%耐力の10%以上である必要がある。
【0020】
例えば図7に示すように、被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃の後方近傍に被加工板aの後方固定手段b1、b2を設置し、シャーせん断刃の前方には板の前方固定手段としてクランパーc1、c2を設置する。c1、c2よりも前方に配置された張力発生手段としてのシリンダーdによりクランパーを引張ることにより、被加工板aの面内張力を付与することが可能になる。またシリンダーdの反力を測定することにより、現実に付加されている張力を確認することができる。またその反力を制御することにより、面内張力を最適化することもできる。
【0021】
また、図8のように被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃の後方近傍に板の後方固定手段b1、b2を設置し、シャーせん断刃の前方には板の張力発生手段としてのロールc1、c2を設置する。この場合、ロールc1、c2は張力発生手段と前方固定手段を兼ねる。板を前方(紙面右側)に搬送する方向にロールc1、c2を駆動させることにより、被加工板aの面内張力を付与することが可能になる。
【0022】
本発明6におけるシャーせん断装置においては、本発明1〜3の何れかのシャーせん断刃と、本発明4または5のせん断方法で用いる前方及び後方固定手段とを組み合わせて、面内張力付加を容易に実現することができる。
尚、本発明6でシャーせん断刃の後方近傍を、シャーせん断刃の後端から後方固定手段の前端までの距離が被加工板の板厚以下の距離と規定するのは、この距離以下でないと被加工板に過大な塑性曲げ変形が加わり適切な面内張力付加が実現できず、目的の断面性状を得ることができないからである。
【実施例】
【0023】
本発明例1として、図11に示すように、角度α=40°、曲率半径R=0.3mmのシャーせん断刃を使用した。また比較例1として図9に示す形状のシャーせん断刃(幅5m)を使用した。被加工板として高強度冷延鋼板を切断し、その端面性状を観察・評価した。
被加工板の板厚は1.6mm、引張強度TS=802MPa、降伏応力YP=464MPa、全伸びT−EL=26.4%である。
【0024】
図7に示す装置を用いて試験を行い、後方固定手段b1、b2にはともに油圧シリンダーによる板抑えを採用し、10tの荷重を付加して固定した。シャーせん断刃(主せん断刃2)の後端から後方固定手段b2の前端までの距離(クリアランス)は0.2mmとした。シャーせん断刃前端から200mm前方に前方固定手段c1、c2として万力型のクランパーを配置し、油圧シリンダーでクランパーを引張ることにより、板面内に6t重の張力を付加した。被加工板aの断面寸法は200mm×1.6mmであるので、発生した面内引張応力は184MPaとなり、これはYPの約40%に相当する。
【0025】
また2次加工時の切断面割れ発生を確認するため、本発明例1と比較例1によりそれぞれ4枚の被加工板を切り出し、それらに球頭パンチ張出試験を実施して切断面割れの有無を確認した。球頭パンチ直径はφ100mmとし、被加工板の2箇所の短辺に板抑えを施した。結果を表1に示す。
【0026】
(表1)
本発明例1と比較例1の結果比較
せん部断長さ 破断部長さ バリ高さ 切断面割れ(球頭張出試験)
(mm) (mm) (mm)
発明例1 0.25 1.35 0.02 0回(内部割れ)
比較例1 0.68 0.92 0.05 4回(ビード部端面割れ)
【0027】
せん断部は、比較例1においては0.68mm発生したが、本発明例1において0.25mmまで減少した。反対に破断部長さは、比較例1において0.92mmであったが、本発明例1において1.35mmまで増加した。これは切断面において加工硬化層が減少したことを意味する。
またバリ高さは、比較例1において0.05mmであったが、本発明例1において0.02mmまで減少している。
また球頭張出試験の結果、比較例1においては4回とも板押さえビード部にて切断面割れを生じていたが、本発明例1においてはビード部では割れず、球頭パンチに近い板内部で割れが発生した。この結果はせん断部長さの減少により加工硬化層が除去されると共に、バリ高さが低減されて応力集中の起点となる切欠き部も減少したことにより、板端面での割れ発生が抑制されたものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の先端部突起と主せん断刃を有するシャーせん断刃の図。
【図2】本発明のシャーせん断刃の具体例を示す図。突起前端に曲率を有する場合。
【図3】本発明のシャーせん断刃の具体例を示す図。突起前端が後端と対称形状を有する場合。
【図4】本発明のシャーせん断刃形状を規定する角度αの説明図。
【図5】本発明のシャーせん断刃形状を規定する突起後端の曲率半径Rの説明図。
【図6】本発明のシャーせん断方法における前方・後方固定手段の説明図。
【図7】本発明のシャーせん断方法においてクランパーとシリンダーにより板面内張力を発生せしめる場合の説明図。
【図8】本発明のシャーせん断方法においてロールにより板面内張力を発生せしめる場合の説明図。
【図9】従来のシャーせん断工程(a)〜(d)図と、製造される断面性状の模式図(e)。
【図10】本発明のシャーせん断工程(a)〜(e)図と、製造される断面性状の模式図(f)。
【図11】本発明実施例1のシャーせん断刃の寸法・形状の説明図。
【符号の説明】
【0029】
1:先端部突起
2:主せん断刃
A:主せん断刃先端
B:突起先端
R:先端部突起の曲率半径
a:被加工板
b1、b2:被加工板の後方固定手段
c1、c2:被加工板の前方固定手段(クランパー)、または張力発生手段
d:シリンダー(張力発生手段)
T1:だれ
T2:せん断面
T3:破断面
T4:バリ
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、鋼板を自動車等の部品等として用いるために、鋼板を所定の大きさに切断・分離する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や電化製品等の工業部品の素材として金属板材が多く用いられるが、これら板材は素材メーカーからの出荷時点のコイル形状のまま部品に加工されることはほとんどなく、所定の寸法形状に切り出すための切断工程が不可欠である。また素材メーカーの製造工程においてもコイル寸法の調整のための切断工程が必要になる。
【0003】
これら切断加工には経済性の観点からシャーせん断(切断ともいう)が多用される。シャーせん断においては被加工板の切断面性状が良好でない場合には、その後の部品加工工程において切断面から割れが発生することが知られている。伸びフランジ割れやビード割れ等においてこの種の切断面割れが見られる。切断面割れの発生は主に自動車分野で使用される高張力鋼板で顕著になる。
【0004】
シャー切断と同じせん断加工に分類される打抜き加工技術においては切断面状態を良好に保ち、打抜き穴からの割れを防ぐための技術がこれまでにも検討されている。
例えば特許文献1では、ポンチ先端面に打抜き形状より小さな形状の突出部を設けたポンチを用いて打抜き加工することにより、打抜き時のバリ(かえり)発生を抑制する加工方法が提案されている。この技術は切断面性状を制御するものであるが、打抜き穴からの割れを抑制する方策については言及していない。
【0005】
また特許文献2では、打抜きクリアランスとポンチ先端肩部の面取り形状を適切に設定することで穴縁からの割れ発生を抑制する技術を提案している。
また特許文献3では、打抜きクリアランスの調整とポンチ先端面に打抜き形状より小さな形状の凸部を設けたポンチを用いて打抜き加工することにより、打抜き割れを抑制する技術を提案している。
【0006】
前記のこれら3方法は穴の打ち抜き加工を目的とした技術であるため、打ち抜かれた側の板は変形して製品としては利用できない方法となっているので、切断された板の両側を製品として利用するための技術は何ら開示されていない。シャー切断においては原則切断分離された板の両方を製品とする必要があるため、これら従来技術はシャー切断面からの割れ抑制には貢献しない。
【特許文献1】特開平5−23755号公報
【特許文献2】特開平8−57557号公報
【特許文献3】特開平8−99131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、切断加工された板が部品成形等の2次加工を受ける際に切断面から発生する割れを低減し、かつ切断・分離後の板の両方を製品として利用可能なシャーせん断刃、せん断方法及びせん断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下をその要旨とする。
発明1は、板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明2は、前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度が10〜70度であることを特徴とする前記発明1記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明3は、前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記突起の後端の曲率半径が被加工板の板厚の4〜20%であることを特徴とする前記発明1または2記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃である。
発明4は、前記発明1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃に対し、被加工板の前方及び後方を固定しながら、前記シャーせん断刃を用いて被加工板をせん断することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断方法である。
発明5は、前記被加工板に、前記被加工板の降伏応力又は0.2%耐力の10〜60%となる張力を付与しながらせん断することを特徴とする前記発明4記載の切断面割れを低減するシャーせん断加工方法である。
発明6は、前記発明1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃と、前記シャーせん断刃の前方に配置した前方固定手段と、前記シャーせん断刃の後方近傍に配置した後方固定手段からなることを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断装置である。
尚、本発明でシャーせん断刃の後方近傍とは、シャーせん断刃の後端から後方固定手段の前端までの距離が被加工板の板厚以下の距離とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板の切断後の成形加工における切断面割れを抑制することができ、かつ切断・分離後の板の両方を製品として利用可能となる。切断面割れの抑制は特に高張力鋼板において顕著であるので、自動車部品等への高張力鋼板の適用が容易になり、自動車軽量化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、シャー刃形状を先端部突起と主せん断刃の2段構造とすることにより、シャー切断による切断面割れを抑制できることを知見した。この効果が得られる理由は以下のように考えられる。
通常のシャーせん断加工においては、シャーせん断工具が鉛直方向に移動し、まず被加工板aにシャーせん断刃の主せん断刃2が接触する(図9の(a)従来工程1)。続いてシャーせん断刃の主せん断刃2は被加工板aに食い込んでだれを形成し、続いてせん断面を形成する(同図(b)従来工程2)。その後工具の移動が進行すると被加工板aの内部で板厚方向に亀裂が進展し、破断面を形成する(同図(c)従来工程3)。最終的に亀裂が結合して、被加工板aが分離された後にはバリが形成される(同図(d)従来工程4)。
【0011】
前記加工過程において生成される断面の状態を図9の(e)従来工程の断面性状に示す。被加工板aに生ずるだれ(T1)及びせん断面(T2)は、大きな塑性変形を受けるために加工硬化層を成しており、被加工板の他の部位に比較して端面部の延性が低下しているので、成形加工時に切断面割れの起点となる。破断面(T3)は加工硬化していないが、その先端に発生するバリ(T4)は加工硬化しており、かつ切欠きとしての効果も有するために応力集中を招くので、この部位もまた切断面割れの起点になる。
【0012】
これに対して本発明における2段階構造を有するシャー切断刃を使用した場合、シャーせん断刃は鉛直方向に移動してまず先端部突起1にて被加工板aに接触する(図10の (a)本工程1)。先端部突起1はせん断加工を生じずに、被加工板aの切断を受ける部位に弾性変形範囲の張力を付与する(同図(b)本工程2中の左右方向の矢印を参照)。
シャーせん断刃の移動を継続すると、主せん断刃2が被加工板aに接触し、せん断変形が開始される(同図(c)本工程3)。シャーせん断刃の先端部突起1により付加された張力により、被加工板aのせん断変形部の静水圧応力が増加し、板厚方向の亀裂の発生と進展を促進する(同図(d)本工程4)。その結果、切断面におけるだれ及びせん断部が成長する前に破断による分離が行われ、切断面における破断面の割合が増加する(同図 (e)本工程5)。
【0013】
前記加工過程において生成される断面の状態を、図10の(f)本工程の断面性状に示す。
付加された張力により亀裂形成が促進されるので、破断面(T3)が占める割合が増加し、加工硬化層であるだれ(T1)及びせん断面(T2)は減少する。破断面は加工硬化を受けていないので、切断面における延性が従来のシャーせん断による場合よりも向上し、切断面割れを抑制することになる。さらに、最終的な破断に至る際に張力方向に分離されるので、バリ(T4)が低下する。バリもまた加工硬化層であるから、その低下は切断面割れの低減に寄与する。
【0014】
以上の切断面発生機構の検討を踏まえ、本発明は以下をその要件とする。
本発明1に用いるシャー切断工具は図1〜図3に示すように、刃先の前端側(紙面右方向、後述の図6参照)には、被加工板(図示しない)と面状に接触し、被加工板に曲げを与える突起1と、刃先の後端側(紙面左側)には、図1〜3の矢印で示す鉛直方向で突起1より後退した位置に、被加工板にせん断加工を加える主せん断刃2の2段構造を有する必要がある。
突起1と主せん断刃2が2段構造を有する限り、両者の形状は特に限定することなく本発明の効果を得ることができる。また被加工板にせん断加工を与えない限りにおいて、板搬送方向から見て突起前端の形状は特に規定されない。すなわち図2のように突起前端に曲率を有してもよいし、また図3のように突起後端と対称形状を有してもよい。
【0015】
本発明2におけるシャーせん断刃は図4に示すように、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面(紙面)において、主せん断刃先端Aと突起後端Bとを結ぶ直線が水平方向と成す角度αを10°〜70°の範囲に規定する。αが10°未満の場合には、被加工板に十分な面内張力を与えられないまま、主せん断刃によるせん断加工が開始するため、目的の断面性状が得難くなる。またαが70°超の場合には、突起により被加工板のせん断加工が行われるため、主せん断刃によりせん断加工を受ける部位に十分な張力を与えられずに、目的の断面性状を得難くなる。好ましくは60°以下とする。
【0016】
本発明3におけるシャーせん断刃においては、シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、突起後端の曲率半径Rを板厚の4〜20%の範囲内に規定する。板厚の4%未満の曲率を有する突起においては、突起先端にて被加工板のせん断加工が開始するため、主せん断刃によりせん断加工を受ける部位に十分な張力を与えられず、目的の断面性状を得難くなる。また板厚の20%を超える曲率を有する突起においては、適切な張力を与えられずに目的の断面性状を得難くなる。
【0017】
本発明1から3の何れかに規定するシャーせん断刃は、それら単独の使用でも目的の被加工板断面を得ることはできるが、本発明4または5の方法にて用いることにより、容易に効果を高めることができる。
【0018】
本発明4におけるシャーせん断加工方法においては、図6に示すように、被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃に対し、被加工板aの後方(紙面左側)を固定する板の後方固定手段b1、b2を設置し、被加工板aの前方(紙面右側)を固定する板の前方固定手段c1、c2を設置して、シャーせん断刃を用いて被加工板aをせん断する。シャーせん断刃を挟んで前後2箇所で被加工板aを固定することにより、せん断加工の際の被加工板aの平面度を確保すると共に、シャーせん断刃の先端突起Bが被加工板に接触する際の板面内張力の発生を容易かつ適切に行うことが可能になる。
後方固定手段b1、b2の位置は、せん断クリアランスを規定するので、シャーせん断刃の後方近傍に配置することが好ましい。前方固定手段c1、c2の位置は、面内張力が十分に与えられれば特に規定の必要はない。
前方固定手段c1、c2、後方固定手段b1、b2としては、特に限定するものではなく、油圧シリンダー、固定用カム機構、ねじ式万力機構等を使用することができる。
【0019】
本発明5におけるシャーせん断加工方法においては、前記本発明4における方法よりも積極的に被加工板面内張力を付与することを実施する。すなわち、シャーせん断刃後方に被加工板の後方固定手段を設置し、シャーせん断刃前方に張力を付与する。せん断加工時に被加工板に張力を付与することにより、被加工板の面内に張力を発生させ、シャーせん断刃がせん断加工を行う際の張力条件を適切に制御することを可能にする。この際に付与する張力は製品寸法精度を確保するために塑性変形を生じない範囲に収まる必要がある。 シャーせん断刃先端突起Bによっても板面内張力は付加されるので、被加工板に付加される張力は降伏応力または0.2%耐力の60%以下である必要がある。また付加張力が低過ぎると目的の断面性状を得られないので、付加する張力は降伏応力または0.2%耐力の10%以上である必要がある。
【0020】
例えば図7に示すように、被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃の後方近傍に被加工板aの後方固定手段b1、b2を設置し、シャーせん断刃の前方には板の前方固定手段としてクランパーc1、c2を設置する。c1、c2よりも前方に配置された張力発生手段としてのシリンダーdによりクランパーを引張ることにより、被加工板aの面内張力を付与することが可能になる。またシリンダーdの反力を測定することにより、現実に付加されている張力を確認することができる。またその反力を制御することにより、面内張力を最適化することもできる。
【0021】
また、図8のように被加工板aに対してせん断加工を施す際に、シャーせん断刃の後方近傍に板の後方固定手段b1、b2を設置し、シャーせん断刃の前方には板の張力発生手段としてのロールc1、c2を設置する。この場合、ロールc1、c2は張力発生手段と前方固定手段を兼ねる。板を前方(紙面右側)に搬送する方向にロールc1、c2を駆動させることにより、被加工板aの面内張力を付与することが可能になる。
【0022】
本発明6におけるシャーせん断装置においては、本発明1〜3の何れかのシャーせん断刃と、本発明4または5のせん断方法で用いる前方及び後方固定手段とを組み合わせて、面内張力付加を容易に実現することができる。
尚、本発明6でシャーせん断刃の後方近傍を、シャーせん断刃の後端から後方固定手段の前端までの距離が被加工板の板厚以下の距離と規定するのは、この距離以下でないと被加工板に過大な塑性曲げ変形が加わり適切な面内張力付加が実現できず、目的の断面性状を得ることができないからである。
【実施例】
【0023】
本発明例1として、図11に示すように、角度α=40°、曲率半径R=0.3mmのシャーせん断刃を使用した。また比較例1として図9に示す形状のシャーせん断刃(幅5m)を使用した。被加工板として高強度冷延鋼板を切断し、その端面性状を観察・評価した。
被加工板の板厚は1.6mm、引張強度TS=802MPa、降伏応力YP=464MPa、全伸びT−EL=26.4%である。
【0024】
図7に示す装置を用いて試験を行い、後方固定手段b1、b2にはともに油圧シリンダーによる板抑えを採用し、10tの荷重を付加して固定した。シャーせん断刃(主せん断刃2)の後端から後方固定手段b2の前端までの距離(クリアランス)は0.2mmとした。シャーせん断刃前端から200mm前方に前方固定手段c1、c2として万力型のクランパーを配置し、油圧シリンダーでクランパーを引張ることにより、板面内に6t重の張力を付加した。被加工板aの断面寸法は200mm×1.6mmであるので、発生した面内引張応力は184MPaとなり、これはYPの約40%に相当する。
【0025】
また2次加工時の切断面割れ発生を確認するため、本発明例1と比較例1によりそれぞれ4枚の被加工板を切り出し、それらに球頭パンチ張出試験を実施して切断面割れの有無を確認した。球頭パンチ直径はφ100mmとし、被加工板の2箇所の短辺に板抑えを施した。結果を表1に示す。
【0026】
(表1)
本発明例1と比較例1の結果比較
せん部断長さ 破断部長さ バリ高さ 切断面割れ(球頭張出試験)
(mm) (mm) (mm)
発明例1 0.25 1.35 0.02 0回(内部割れ)
比較例1 0.68 0.92 0.05 4回(ビード部端面割れ)
【0027】
せん断部は、比較例1においては0.68mm発生したが、本発明例1において0.25mmまで減少した。反対に破断部長さは、比較例1において0.92mmであったが、本発明例1において1.35mmまで増加した。これは切断面において加工硬化層が減少したことを意味する。
またバリ高さは、比較例1において0.05mmであったが、本発明例1において0.02mmまで減少している。
また球頭張出試験の結果、比較例1においては4回とも板押さえビード部にて切断面割れを生じていたが、本発明例1においてはビード部では割れず、球頭パンチに近い板内部で割れが発生した。この結果はせん断部長さの減少により加工硬化層が除去されると共に、バリ高さが低減されて応力集中の起点となる切欠き部も減少したことにより、板端面での割れ発生が抑制されたものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の先端部突起と主せん断刃を有するシャーせん断刃の図。
【図2】本発明のシャーせん断刃の具体例を示す図。突起前端に曲率を有する場合。
【図3】本発明のシャーせん断刃の具体例を示す図。突起前端が後端と対称形状を有する場合。
【図4】本発明のシャーせん断刃形状を規定する角度αの説明図。
【図5】本発明のシャーせん断刃形状を規定する突起後端の曲率半径Rの説明図。
【図6】本発明のシャーせん断方法における前方・後方固定手段の説明図。
【図7】本発明のシャーせん断方法においてクランパーとシリンダーにより板面内張力を発生せしめる場合の説明図。
【図8】本発明のシャーせん断方法においてロールにより板面内張力を発生せしめる場合の説明図。
【図9】従来のシャーせん断工程(a)〜(d)図と、製造される断面性状の模式図(e)。
【図10】本発明のシャーせん断工程(a)〜(e)図と、製造される断面性状の模式図(f)。
【図11】本発明実施例1のシャーせん断刃の寸法・形状の説明図。
【符号の説明】
【0029】
1:先端部突起
2:主せん断刃
A:主せん断刃先端
B:突起先端
R:先端部突起の曲率半径
a:被加工板
b1、b2:被加工板の後方固定手段
c1、c2:被加工板の前方固定手段(クランパー)、または張力発生手段
d:シリンダー(張力発生手段)
T1:だれ
T2:せん断面
T3:破断面
T4:バリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項2】
前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度が10〜70度であることを特徴とする請求項1記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項3】
前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記突起の後端の曲率半径が被加工板の板厚の4〜20%であることを特徴とする請求項1または2記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃に対し、被加工板の前方及び後方を固定しながら、前記シャーせん断刃を用いて被加工板をせん断することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断方法。
【請求項5】
前記被加工板に、前記被加工板の降伏応力または0.2%耐力の10〜60%となる張力を付与しながらせん断することを特徴とする請求項4記載の切断面割れを低減するシャーせん断方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃と、前記シャーせん断刃の前方に配置した前方固定手段と、前記シャーせん断刃の後方近傍に配置した後方固定手段からなることを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断装置。
【請求項1】
板のシャーせん断刃において、刃先の前端側に被加工板と接触する面状の突起を有し、刃先の後端側に、鉛直方向で前記突起より後退した位置に主せん断刃を有することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項2】
前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記主せん断刃の先端から前記突起の先端に引いた接線と水平方向のなす角度が10〜70度であることを特徴とする請求項1記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項3】
前記シャーせん断刃の板搬送方向垂直断面において、前記突起の後端の曲率半径が被加工板の板厚の4〜20%であることを特徴とする請求項1または2記載の切断面割れを低減するシャーせん断刃。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃に対し、被加工板の前方及び後方を固定しながら、前記シャーせん断刃を用いて被加工板をせん断することを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断方法。
【請求項5】
前記被加工板に、前記被加工板の降伏応力または0.2%耐力の10〜60%となる張力を付与しながらせん断することを特徴とする請求項4記載の切断面割れを低減するシャーせん断方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャーせん断刃と、前記シャーせん断刃の前方に配置した前方固定手段と、前記シャーせん断刃の後方近傍に配置した後方固定手段からなることを特徴とする切断面割れを低減するシャーせん断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−231425(P2006−231425A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45494(P2005−45494)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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