説明

切替器およびタッチパネルの較正方法

【課題】タッチパネルにより生成される座標入力データを正確にかつ自動的に較正することができる切替器およびこの切替器に接続されたタッチパネルの較正方法を実現する。
【解決手段】複数のコンピュータのうちの1つとそれぞれがタッチパネルを有する複数の入出力装置のうちの1つとの間の電気的接続を切り替える切替器1は、タッチパネルにより生成される座標入力データを較正するための較正パラメータをタッチパネルごとに記憶するメモリ11と、所望のコンピュータとの間において電気的接続が確立されたタッチパネルに対応する較正パラメータをメモリ11から読み出す読出し手段12と、読出し手段12が読み出した較正パラメータを用いて、電気的な接続が確立されたタッチパネルから受信した座標入力データを較正する較正手段13と、較正手段13が較正した座標入力データを電気的な接続が確立されたコンピュータへ出力する出力手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入出力装置と複数のコンピュータとの間の電気的な接続を切り替えることにより、入出力装置と複数のコンピュータのうちの所望のコンピュータとの間において電気的な接続を確立する切替器、および、この切替器に接続された座標入力機能を有するタッチパネルの較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの処理性能の格段に進歩に伴い、その利用状況はより多種多様になりつつある。近年では特に、個人ユーザが複数のコンピュータを所有し、各コンピュータ毎に異なる作業環境でコンピュータを利用したり、あるいは、複数のユーザで複数のコンピュータを共有する場面も増えつつある。このような場合、キーボード、ディスプレイモニタ、マウスなどの入出力装置(コンソール)を、切替器を介して複数のコンピュータに接続し、省スペース化および低コスト化を図るのが一般的である。このような切替器はKVM(K:Keyboard、V:Video、M:Mouse)スイッチと一般的に呼ばれている。ユーザは切替器(KVMスイッチ)を用いることで、複数のコンピュータの中から入力装置に接続すべきコンピュータを選択して利用することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、複数のコンピュータと複数の入出力装置との間における電気的な接続を切り替える切替器を含むコンピュータシステムを例示する概念図である。図示の例では、切替器(KVMスイッチ)1は、複数のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dと複数の入出力装置(コンソール)2−A、2−B、2−Cおよび2−Dとの間に接続されるものである。
【0004】
入出力装置2−Aはキーボード2K−A、ディスプレイ2V−Aおよび座標入力装置2M−Aで構成され、中間ユニット4−Aによって各ケーブルがまとめられて切替器1に接続される。入出力装置2−Bはキーボード2K−B、ディスプレイ2V−Bおよび座標入力装置2M−Bで構成され、中間ユニット4−Bによって各ケーブルがまとめられて切替器1に接続される。入出力装置2−Cはキーボード2K−C、ディスプレイ2V−Cおよび座標入力装置2M−Cで構成され、中間ユニット4−Cによって各ケーブルがまとめられて切替器1に接続される。入出力装置2−Dはキーボード2K−D、ディスプレイ2V−Dおよび座標入力装置2M−Dで構成され、中間ユニット4−Dによって各ケーブルがまとめられて切替器1に接続される。座標入力装置2M−A、2M−B、2M−Cおよび2M−Dの例としては、マウス、トラックボール、ジョイスティック、ポインティングデバイスなどがある。
【0005】
切替器1は、複数のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dのいずれか1つと複数の入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dのいずれか1つとの間で電気的な接続を確立する。ユーザは、切替器1を介することによって、複数のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dの中から入出力装置2に接続すべき所望のコンピュータを選択して所望の入出力装置で利用することができる。切替器1には、その本体に切替えスイッチ(図示せず)が例えばハードウェアスイッチの形式で設けられており、ユーザは切替器1の切替えスイッチを手動で操作することにより、利用したい入出力装置およびコンピュータを選択することができる。
【0006】
上記の入出力装置としてのディスプレイおよび座標入力装置の両方の機能を同時に兼ね備える装置として、タッチパネル付きディスプレイがある(例えば、特許文献2参照)。タッチパネル付きディスプレイは、座標入力装置としての機能を有するタッチ操作面が透明もしくは半透明のタッチパネルと、このタッチパネルの背後に設けられ、タッチパネルに向けて画像を表示する表示手段とを有する。タッチパネルは、座標平面上の原点を基準として目標位置の座標を直接に画定する絶対座標入力による座標入力装置である。タッチパネル上の目標位置に指、ペン、スタイラスペンなどで触れると、その目標位置に関する絶対座標データが生成され、コンピュータの制御処理部に出力される。コンピュータは、受信した絶対移動座標データに基づいて、タッチパネルに触れた位置に対応するディスプレイ画面上にカーソルを表示する制御を行う。これにより、ユーザは、タッチパネルを介して表示手段が表示する画面を閲覧することが可能である。
【0007】
タッチパネルにおける押下若しくは接触感知の方法の一例として、一般に抵抗膜と呼ばれる抵抗体を用いる方法がある。抵抗膜接触方式のタッチパネルは、操作パネル面下方に設けられる抵抗膜と、この抵抗膜から所定のギャップを隔てて設けられるさらなる抵抗膜と、この2つの抵抗膜上にそれぞれ設けられて互いに直交する方向に電圧を形成するように設けられた2組の透明電極とを備える。タッチパネルの操作パネル面を指などで押下すると、操作パネル面が撓み、操作パネル面下方に設けられた抵抗膜がもう一方の抵抗膜と接触し、これら抵抗膜が短絡する。2つの抵抗膜間に短絡が発生すると、2組の透明電極が互いに直交するように形成する各電圧値にもそれぞれ変化が生じる。この各電圧値を読み取って座標入力データを生成する。
【0008】
タッチパネル内の抵抗膜の抵抗値などの経年変化により、タッチ操作の位置に対してタッチパネルが生成する座標入力データについても経時的に変化する。したがって、タッチパネルが生成した座標入力データについては、必要に応じて較正(キャリブレーション)を行う必要がある。通常、タッチパネル付きディスプレイにおいては、このようなタッチパネルの較正を行う機能が用意されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2005−266951号公報
【特許文献2】特開平11−161426号公報
【特許文献3】特開2003−288172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、タッチパネルの経年変化はタッチパネルごとに異なることから、タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正(キャリブレーション)するために用いられる較正パラメータは、タッチパネルごとに異なる。タッチパネルの較正パラメータは、該タッチパネルにコンピュータを接続したときの当該コンピュータにおける処理によって、取得される。
【0011】
タッチパネル固有の較正パラメータは、当該タッチパネルを較正する際に用いたコンピュータとの組合せにおいて一義的に定まるものである。このため、同一のタッチパネルに関して、あるコンピュータを用いて生成された較正パラメータは、当該コンピュータとは別のコンピュータとの関係においては、全く機能しない。具体例を挙げると、切替器(KVMスイッチ)に、複数のタッチパネル付きディスプレイと複数のコンピュータとが接続される場合においては、タッチパネルとコンピュータと組合せによって較正パラメータが異なる故に、タッチパネルが生成した座標入力データを正確には較正できず、その結果、タッチパネルへのタッチ操作によって本来表示されるべきディスプレイの画面上におけるカーソルの位置からは、実際のカーソル位置がずれてしまう問題が生じる。なお、この問題を回避するために、切替器がタッチパネル付きディスプレイとコンピュータとの組合せを切り替えるごとに、実際に当該タッチパネル付きディスプレイおよび当該コンピュータを利用する前にこの組合せの下で較正(キャリブレーション)をやり直す、といったことも考えられるが、このような切替器の切替動作ごとの再度の較正作業はユーザにとっては非常に面倒なものである。
【0012】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、それぞれがタッチパネルを有する複数の入出力装置のうち所望の入出力装置と複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で切替器が電気的な接続を確立する場合において、タッチパネルとコンピュータの組合せ如何にかかわらず、タッチパネルにより生成される座標入力データを、常に正確にかつ自動的に較正することができる切替器、および、この切替器に接続されたタッチパネルの較正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現するために、本発明においては、複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で電気的な接続を確立する切替器に接続された、座標入力機能を有するタッチパネルに対して、切替器内のメモリに予め記憶された、タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための当該タッチパネル固有の較正パラメータを用いて、複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された当該タッチパネルから受信した座標入力データを、切替器内のプロセッサが較正する。
【0014】
すなわち、本発明によれば、複数のコンピュータと、タッチパネルをコンピュータに対する座標入力手段として有する複数の入出力装置との間における電気的な接続を切り替えることにより、これら複数のコンピュータのうちの所望のコンピュータと、これら複数の入出力装置のうちの所望の入出力装置との間において電気的な接続を確立する切替器は、タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための較正パラメータを、各タッチパネルごとに記憶するメモリと、所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された入出力装置のタッチパネルに対応する較正パラメータをメモリから読み出す読出し手段と、この読出し手段が読み出した較正パラメータを用いて、当該電気的な接続が確立された入出力装置のタッチパネルから受信した座標入力データを較正する較正手段と、この較正手段が較正した座標入力データを、当該電気的な接続が確立されたコンピュータへ出力する出力手段と、を備える。
【0015】
また、本発明による、複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で電気的な接続を確立する切替器に接続された、座標入力機能を有するタッチパネルの較正方法は、切替器内のメモリに予め記憶された、タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各タッチパネル固有の較正パラメータのうち、所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立されたタッチパネルに対応する較正パラメータを、切替器内のプロセッサがメモリから読み出す読出しステップと、この読出しステップにおいて読み出された較正パラメータを用いて、タッチパネルから受信した座標入力データを、切替器内のプロセッサが較正する較正ステップと、較正ステップにおいて較正された座標入力データを、切替器内のプロセッサが当該電気的な接続が確立された所望のコンピュータへ出力する出力ステップと、を備える。はた、本発明によるタッチパネルの較正方法は、タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各タッチパネル固有の較正パラメータを、切替器内のメモリに記憶する記憶ステップをさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、それぞれがタッチパネルを有する複数の入出力装置のうち所望の入出力装置と複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で切替器が電気的な接続を確立する場合において、タッチパネルとコンピュータの組合せ如何にかかわらず、タッチパネルにより生成される座標入力データを、常に正確にかつ自動的に較正することができる。したがって、タッチパネルへのタッチ操作によって本来表示されるべきディスプレイの画面上におけるカーソルの位置から、実際のカーソル位置がずれてしまうようなこともない。また、本発明によれば、ユーザは、切替器がタッチパネル付きディスプレイとコンピュータとの組合せを切り替えるごとに、タッチパネルの較正操作をやり直す必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例による切替器の原理ブロック図である。本発明の実施例では、切替器(KVMスイッチ)1に、例えば4台のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dと、4組の入出力装置(コンソール)2−A、2−B、2−Cおよび2−Dが接続される。なお、本発明の実施例ではコンピュータおよび入出力装置の数をそれぞれ4台および4組としたが、コンピュータおよび入出力装置の数は本発明を限定するものではなく、その他の数であってもよい。
【0018】
本発明の実施例においては、各入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dは、コンピュータに対する座標入力手段およびユーザに対するディスプレイ手段としてタッチパネル付きディスプレイを備えるが、そのタッチパネルを参照符号2V−A、2V−B、2V−Cおよび2V−Dで表す。なお、ここでは図示しないが、各入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dは、キーボードや、マウス、トラックボール、ジョイスティック、ポインティングデバイスなどの座標入力装置をさらに備えてもよい。あるいは、入出力装置としてタッチパネル付きディスプレイのみを備えるようにしてもよい。
【0019】
切替器1は、従来の切替器と同様に、各入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dのうちのいずれか1つと通信するために電気的接続を切り替えるスイッチング部9と、各コンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dのうちのいずれか1つと通信するために電気的接続を切り替えるスイッチング部10と、を備える。
【0020】
特に本発明の実施例では、切替器1は、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cおよび2V−Dへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための較正パラメータを、各タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cおよび2V−Dごとに記憶するメモリ11と、所望のコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dとの間において電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dに対応する較正パラメータを、メモリ11から読み出す読出し手段12と、読出し手段12が読み出した較正パラメータを用いて、当該電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dから受信した座標入力データを較正する較正手段13と、較正手段13が較正した座標入力データを、当該電気的な接続が確立されたコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dへ出力する出力手段と、を備える。
【0021】
ここで、「所望のコンピュータ」とは、4台のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dのうちの1台のコンピュータであって、ユーザが切替器1を操作することによりスイッチング部10により切り替えられ、選択されたコンピュータのことである。また、「当該電気的な接続が確立されたタッチパネル」とは、4組の入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dのうちの1組の入出力装置であって、ユーザが切替器1を操作することによりスイッチング部8により切り替えられ、選択された入出力装置、が有するタッチパネルのことである。
【0022】
また、本発明の実施例では、切替器1は、各タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cおよび2V−Dごとの較正パラメータを、メモリ11に書き込む書込み手段15と、較正手段13による上記の較正を禁止する禁止手段16と、をさらに備える。
【0023】
これら読出し手段12、較正手段13、書込み手段15および禁止手段16は、切替器1が有するプロセッサ9内に実現される。また、出力手段14は、スイッチング部10内に実現される。
【0024】
本発明の実施例による切替器を用いたタッチパネルの較正方法は次のとおりである。すなわち、切替器1内のメモリ11に予め記憶された、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各タッチパネル固有の較正パラメータのうち、所望のコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dとの間において電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dに対応する較正パラメータを用いて、当該タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dからスイッチング部8を介して受信した座標入力データを、切替器1が有するプロセッサ9内に実現される較正手段10が較正する。
【0025】
この較正処理に先立ち、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各タッチパネル固有の較正パラメータを予め取得し、切替器1内のメモリ11に記憶しておく必要がある。この較正パラメータの取得および保存は、具体的には次の2通りの方法で実現すればよい。
【0026】
すなわち、第1の方法は、切替器1をいずれのコンピュータにも接続せずにタッチパネルの較正パラメータの取得および保存を行うことができるものであり、入出力装置2−A、2−B、2−Cもしくは2−Dのディスプレイ上表示された、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dの較正パラメータの取得および保存のための設定画面をユーザが見ながら実行できるようにするものである。上記設定画面の表示は、切替器1のOSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を用いて実現する。切替器1の本体には、較正パラメータの取得および保存の開始もしくは終了を指示するための専用のボタン(図示せず)を設ける。開始ボタンが押下されると、切替器1のOSD機能により、ディスプレイに設定画面が表示され、選択されたタッチパネルとコンピュータとの組に固有の較正パラメータの取得および保存の処理が開始される。ディスプレイに表示される設定画面には、タッチパネルの識別番号、コンピュータの識別番号等が表示され、ユーザは、この設定画面を見ながら較正パラメータの取得および保存を行いたいタッチパネルおよびコンピュータを1つずつ選択することができる。選択されたタッチパネルとコンピュータとの組に固有の較正パラメータが取得されると、書込み手段15は、取得した較正パラメータを、対応するタッチパネルおよびコンピュータの識別番号に紐付けてメモリ11に保存する(書き込む)。較正パラメータの保存が完了した後、終了ボタンが押下されると、ディスプレイから設定画面を消去する。あるいは、較正パラメータの保存が完了した後に、自動的にディスプレイから設定画面を消去するようにしてもよい。また、較正パラメータの取得および保存の開始もしくは終了の指示を、切替器1に接続された入出力装置のうちの例えばキーボードによるキー操作により実現してもよく、この場合は、ある特定のキーコードを較正パラメータの取得および保存の開始もしくは終了の指示に割り当てればよい。
【0027】
一方、較正パラメータの取得および保存の第2の方法は、切替器1をいずれかのコンピュータに接続して較正パラメータの取得および保存を行うものである。このコンピュータには、較正パラメータの取得および保存を行う専用のソフトウェアプログラムをインストールする。このソフトウェアプログラムによる較正パラメータの取得は、公知のタッチパネル較正アプリケーションと同様の処理を行うものであり、本発明の実施例では、取得された較正パラメータは、書込み手段15によって、対応するタッチパネルおよびコンピュータの識別番号に紐付けられてメモリ11に保存される(書き込まれる)。
【0028】
図2は、本発明の実施例による切替器を用いたタッチパネルの較正方法の動作フローを示すフローチャートである。まず、ステップS101において、ユーザが切替器1を操作して4台のコンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび3−Dのうちの1台を選択すると、スイッチング部10は、ユーザが選択したコンピュータが接続された接続ポートの電気的接続をアクティブにする。また、ユーザが切替器1を操作して4組の入出力装置2−A、2−B、2−Cおよび2−Dのうちの1組を選択すると、スイッチング部10は、ユーザが選択した入出力装置が接続された接続ポートの電気的接続をアクティブにする。これにより、ユーザ所望のコンピュータとユーザ所望の入出力装置との間の電気的な接続が切替器1を介して確立される。
【0029】
ユーザ所望のコンピュータとユーザ所望の入出力装置との間の電気的な接続が確立されると、ステップS102において、切替器1内のメモリ11に予め記憶された、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各タッチパネル固有の較正パラメータのうち、所望のコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dとの間において電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dに対応する較正パラメータを、切替器1が有するプロセッサ9内の読出し手段12が、メモリ11から読み出す。ここで、プロセッサ9は、ステップS101におけるスイッチング部8および10の切替処理の段階で、電気的な接続が確立されているコンピュータと入出力装置すなわちタッチパネルに関する情報を、電気的接続がアクティブになっている接続ポートの識別番号の形式で認識しているので、ステップS102におけるステップ読出し手段12の上記読出し処理を実行することができる。
【0030】
スイッチング部8を介して当該電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dから座標入力データを切替器1が受信したとき、ステップS103において、プロセッサ9内の較正手段13は、読出し手段12が読み出した較正パラメータを用いて、当該電気的な接続が確立されたタッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dから受信した座標入力データを較正する。
【0031】
そして、ステップS104において、較正手段13によって較正された座標入力データは、スイッチング部10内の出力手段14によって、電気的な接続が確立されたコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dへ出力される。
【0032】
このように、本発明の実施例は、切替器1内のメモリ11に予め記憶された、タッチパネル2V−A、2V−B、2V−Cもしくは2V−Dへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための当該タッチパネル固有の較正パラメータを用いて、複数のコンピュータ3−A、3−B、3−Cもしくは3−Dのうち所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された当該タッチパネルから受信した座標入力データを、切替器1が有するプロセッサ9内に実現される較正手段10が較正するものである。すなわち、本発明の実施例によれば、複数のタッチパネル付きディスプレイと複数のコンピュータとが切替器を介して接続される場合においても、当該切替器を介して電気的な接続が確立されているコンピュータとタッチパネル付きディスプレイとの組合せに最適な較正パラメータを用いて、当該タッチパネル付きディスプレイが生成した座標入力データを較正するので、タッチパネルとコンピュータの組合せが変わっても、タッチパネル付きディスプレイの画面上において常に正確な位置にカーソルを表示させることができる。また、ユーザは、切替器がタッチパネル付きディスプレイとコンピュータとの組合せを切り替えるたびにタッチパネルの較正操作をやり直す必要もない。
【0033】
また、本発明の実施例では、禁止手段16により、較正手段13による較正処理を禁止することができる。すなわち、タッチパネルにより生成される座標入力データを、較正しないでそのままの状態でコンピュータへ出力することも可能である。例えば切替器1の本体に設けられるディップスイッチの操作に連動して、プロセッサ9内の禁止手段16による禁止処理の有無を設定できるようにする。あるいはまた、禁止手段16の禁止処理の一部を、コンピュータ3−A、3−B、3−Cおよび/または3−Dにインストールされたソフトウェアプログラムの形式で実現してもよく、この場合は、コンピュータから受信したコマンドにより、プロセッサ9内の禁止手段16による禁止処理の有無を設定できるようにする。
【0034】
また、メモリ11に記憶される較正パラメータの書き換えができるようにしてもよい。例えば、タッチパネルおよびコンピュータの組合せに関して新たに較正パラメータを取得した場合には、既にメモリ11に記憶されている較正パラメータを、新たに取得した較正パラメータで上書きされるようにしてもよい。また、既にメモリ11に記憶されている較正パラメータを単に削除できるようにしてもよい。これら上書きおよび削除の指示は、較正パラメータの上書きおよび/または削除を指示するための専用のスイッチ(図示せず)を切替器1の本体に設けるか、あるいは切替器1に接続されるコンピュータに、較正パラメータの上書きおよび/または削除を指示するための専用のソフトウェアプログラムをインストールすることで実現できるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、それぞれがタッチパネル付きディスプレイ、キーボード、マウスを有する複数の入出力装置(コンソール)のうちのいずれかを、複数のコンピュータのうちのいずれかに電気的に接続するKVMスイッチと呼ばれる切替器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例による切替器の原理ブロック図である。
【図2】本発明の実施例による切替器を用いたタッチパネルの較正方法の動作フローを示すフローチャートである。
【図3】複数のコンピュータと複数の入出力装置との間における電気的な接続を切り替える切替器を含むコンピュータシステムを例示する概念図である。
【符号の説明】
【0037】
1 切替器
2−A、2−B、2−C、2−D 入出力装置
2K−A、2K−B、2K−C、2K−D キーボード
2V−A、2V−B、2V−C、2V−D ディスプレイ
2M−A、2M−B、2M−C、2M−D 座標入力装置
3−A、3−B、3−C、3−D 入出力装置
4−A、4−B、4−C、4−D 中間ユニット
8、10 スイッチング部
9 プロセッサ
11 メモリ
12 読出し手段
13 較正手段
14 出力手段
15 書込み手段
16 禁止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータと、それぞれがタッチパネルを前記コンピュータに対する座標入力手段として有する複数の入出力装置との間における電気的な接続を切り替えることにより、前記複数のコンピュータのうちの所望のコンピュータと、前記複数の入出力装置のうちの所望の入出力装置との間において電気的な接続を確立する切替器であって、
前記タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための較正パラメータを、各前記タッチパネルごとに記憶するメモリと、
前記所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された前記所望の入出力装置の前記タッチパネルに対応する前記較正パラメータを前記メモリから読み出す読出し手段と、
該読出し手段が読み出した前記較正パラメータを用いて、当該電気的な接続が確立された前記所望の入出力装置の前記タッチパネルから受信した前記座標入力データを較正する較正手段と、
該較正手段が較正した前記座標入力データを、当該電気的な接続が確立された前記所望のコンピュータへ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする切替器。
【請求項2】
各前記タッチパネルごとの較正パラメータを、前記メモリに書き込む書込み手段をさらに備える請求項1に記載の切替器。
【請求項3】
前記較正手段による前記の較正を禁止する禁止手段をさらに備える請求項1に記載の切替器。
【請求項4】
複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で電気的な接続を確立する切替器に接続された、座標入力機能を有するタッチパネルの較正方法であって、
前記切替器内のメモリに予め記憶された、前記タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための当該タッチパネル固有の較正パラメータを用いて、前記所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された当該タッチパネルから受信した前記座標入力データを、前記切替器内のプロセッサが較正することを特徴とするタッチパネルの較正方法。
【請求項5】
複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で電気的な接続を確立する切替器に接続された、座標入力機能を有するタッチパネルの較正方法であって、
前記切替器内のメモリに予め記憶された、前記タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各前記タッチパネル固有の較正パラメータのうち、前記所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された前記タッチパネルに対応する前記較正パラメータを用いて、当該タッチパネルから受信した前記座標入力データを、前記切替器内のプロセッサが較正することを特徴とするタッチパネルの較正方法。
【請求項6】
複数のコンピュータのうち所望のコンピュータとの間で電気的な接続を確立する切替器に接続された、座標入力機能を有するタッチパネルの較正方法であって、
前記切替器内のメモリに予め記憶された、前記タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各前記タッチパネル固有の較正パラメータのうち、前記所望のコンピュータとの間において電気的な接続が確立された前記タッチパネルに対応する前記較正パラメータを、前記切替器内のプロセッサが前記メモリから読み出す読出しステップと、
該読出しステップにおいて読み出された前記較正パラメータを用いて、前記タッチパネルから受信した前記座標入力データを、前記切替器内のプロセッサが較正する較正ステップと、
該較正ステップにおいて較正された前記座標入力データを、前記切替器内のプロセッサが当該電気的な接続が確立された前記所望のコンピュータへ出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とするタッチパネルの較正方法。
【請求項7】
前記タッチパネルへのタッチ操作により生成される座標入力データを較正するための各前記タッチパネル固有の較正パラメータを、前記切替器内のメモリに記憶する記憶ステップをさらに備える請求項6に記載のタッチパネルの較正方法。
【請求項8】
前記較正手段による前記の較正を禁止する禁止ステップをさらに備える請求項6に記載のタッチパネルの較正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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