説明

切除を伴わないざ瘡の処置および予防のための方法およびシステム

切除を伴わないざ瘡の処置および予防のための方法およびシステムが、開示される。方法は、超音波エネルギーを利用し、該超音波エネルギーは、すでにあるざ瘡を処置し、そして、将来のざ瘡が形成するのを予防するために、関心のある領域を標的に向けられる。超音波エネルギーを加えることが、ざ瘡を処置する多数の生理学的効果をもたらす。これらの生理学的効果のうちの一部は、皮脂を減少させること、関心のある領域における灌流を増加させること、関心のある領域においてタンパク質を変性させること、関心のある領域において生息に適さない環境を創出すること、関心のある領域においてプログラム細胞死を開始させること、および関心のある領域における物理的効果の開始を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置システムに関し、さらに詳細には、切除を伴わないざ瘡の処置のための超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
尋常性ざ瘡は、最も一般的な皮膚疾患であり、一時的な傷および恒久的な傷跡をもたらす。ざ瘡は、一般的には、副腎皮質徴候発現の開始の際、すなわち、性ホルモンの活性が、思春期の頃、男子と女子との両方において増加したときに、顔、背中、および/または胸に現れる。女性は、多くの場合に、周期依存性ざ瘡を経験する。ざ瘡は、皮脂腺の疾患である。皮脂腺は、毛穴と呼ばれる、毛髪を含んでいる管に接続された皮膚の中の腺である。毛穴と皮脂腺との組み合わせが、時には、「毛包脂腺単位構造(pilosebaceous unit)」と呼ばれる。健康な皮膚において、皮脂腺は、皮脂を生成し、該皮脂は、毛穴を通って皮膚から流れ出る。病気の皮膚においては、毛穴は、死んだ皮膚細胞でふさがれる。
【0003】
皮脂、すなわち、皮脂腺の脂性産物と、細胞の残骸とが、栓子となる状態で蓄積する。炎症、そして、多くの場合に、毛穴の破裂が、結果として生じ、ひどい炎症、うみ(白色面皰)、痛み、出血、および/または結果として生じる傷跡をもたらす。ざ瘡障害が、毛穴の中の、集積された破裂していない栓子からなる場合には、「黒色面皰」が発生する。毛穴が、表面的に破裂した場合には、小さな膿疱が発生し、該小さな膿疱は、多くの場合に、傷跡を伴うことなく数週間後に治癒する。毛穴が、中間の真皮または深い真皮の中で破裂した場合には、痛みを伴う嚢胞性の膿瘍が発生する。嚢胞性のざ瘡は、通常、恒久的、かつ、美観を損なう傷跡を伴って治癒する。
【0004】
ざ瘡の正確な病態生理機能は、複雑であるが、いくつかの基本要素が、ざ瘡障害を生み出すために必要であり、そして、ざ瘡の治療は、これらの基本要素のうちの1つ以上を攻撃することに基づいている。第1に、活性な皮脂腺が必要である。皮脂腺の活性は、アンドロゲンと他の性ステロイドホルモンとによってもたらされる。第2に、栓子が、漏斗と呼ばれる、毛穴の流出路において発生しなければならない。
【0005】
バクテリア、特に、皮脂および毛穴の残骸物を消化するプロピオニイバクテリウムアクネス(アクネ桿菌)は、プラギングに寄与する。アクネ桿菌以外に、多数の他のバクテリア株と、他の微生物とが、患者の皮膚の中に存在し、プラギングに寄与する。さらに、バクテリア以外に小さな微生物がまた、一般的に、患者の皮膚に存在することが、分かっており、そして、ざ瘡を悪化させ得る。
【0006】
ざ瘡に対する最も良く効く処置は、レチノイン酸(Accutane(登録商標))などの経口レチノイドであり、該経口レチノイドは、皮脂腺の機能を抑制する。Accutane(登録商標)薬など経口レチノイドは、効果的ではあるが、ひどい副作用を有し、該ひどい副作用が、一定の患者がそれらを使用することを妨げる。特に顕著なことには、これらの薬物は、深刻な先天的欠損症をもたらし得、該深刻な先天的欠損症が、出産適齢期の女性がこれらの処置薬を使用することを妨げる。
【0007】
クリーム、ゲル、および様々なクレンジングパッドを含む多くの局所用処置薬が、ざ瘡を処置するために使用されている。これらの処置薬は、店頭販売の処置薬と、クリームとして患者の体に塗布されるthe Retin A(登録商標)などの、処方によってのみ入手可能なものとの両方を含む。局所用の処置薬の主な欠点は、クリームまたは他の物質は、使い果たされ、そして、定期的に交換しなければならないということである。
【0008】
他の方法およびシステムは、ざ瘡を処置するために様々なデバイスを使用し、該デバイスは、デバイスが使い果たされることはなく、定期的な交換を必要としないという点において局所用処置薬の課題を無くしている。一部のデバイスは、ざ瘡疾患の皮膚に熱を通すか、または皮膚の表面を加熱するが、皮膚の表面よりも下には熱を加えない。1つのかかるデバイスは、Houston、TexasのTyrell,Inc.によって製造されているZenoTMデバイスである。残念ながら、これらのデバイスは、あまり効果的ではなく、使い心地が良くなく、そして、それらは、ひどいざ瘡を処置することができない。これらのデバイスがあまり効果的ではない1つの理由は、それらは、皮膚の表面に熱を加えるだけであるが、皮膚は、いかなる効果を有するためにも、皮脂腺まで熱が下に伝わることを必要とするということである。患者の皮膚に不要な熱を加えることなく、皮脂腺から離れて、皮脂腺を直接的に、そして、皮脂腺の周囲の範囲を加熱するための方法とシステムとを提供することが、望ましい。
【0009】
さらに他の方法およびシステムが、組織を損傷または破壊するために充分な強さであるレベルで、ざ瘡疾患の皮膚にエネルギーを送達することによってざ瘡を処置する。他の技術は、組織の凝固をもたらすことによって組織に影響を与え、これもまた、効果的である。
【0010】
残念ながら、切除や凝固を伴うざ瘡処置方法は、欠点を有する。特に、それらは、組織を破壊するか、または凝固させる場所に対して充分なエネルギーを利用するので、切除デバイスおよび凝固デバイス、ならびに切除技術および凝固技術は、概して、一般大衆の使用のために、店頭で入手することができない。したがって、ひどいざ瘡を含むざ瘡の全ての形態を効果的に処置し得る、家庭での使用に適した処置システムを提供することには利益がある。
【0011】
ざ瘡が突発する前に、使用が、ざ瘡を予防し得、および/もしくは皮脂の生成の量を減少させ得るシステムおよび方法を有すること、または単に皮膚の脂性を減少させることもまた、有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
切除を伴わないざ瘡の処置および予防のための方法およびシステムが、提供される。例示的な実施形態において、焦点を合わせた、焦点をもたない、または焦点をはずした超音波エネルギーが、ざ瘡を処置するために関心のある領域に加えられる。例示的な方法およびシステムは、治療だけの使用、治療およびモニタリングの使用、画像化および治療の使用、または治療、画像化、およびモニタリングの使用によるなどの様々な方法における、毛包脂腺単位構造、特に、皮脂腺およびそれらの内容物の標的化処置のために構成されている。皮脂腺の標的化治療は、様々な空間的および時間的なエネルギー設定における焦点をもたない、焦点を合わせた、または焦点をはずした超音波エネルギーの使用によって提供され得る。
【0013】
例示的な方法およびシステムは、焦点をもたない、または焦点をはずした超音波エネルギーを関心のある領域に加えることによって患者の皮膚の表面の約1ミクロンから10ミリメートル下で関心のある領域を加熱するように構成されている。したがって、本発明は、皮膚の表面(または表面のすぐ下)に、および特定の深さで熱を加える。1つの例示的な実施形態において、超音波エネルギーが、最初の画像化または同時の画像化を伴うことなく、広範な範囲にわたって既知の深さで加えられる。
【0014】
例示的な実施形態において、加熱は、患者の皮膚の表面の約1ミクロンから5ミリメートル下に生じ、そして、この深さにおいて、患者の通常の体温よりも約1℃〜25℃の範囲で温度を上昇させる。ざ瘡を処置するための、関心のある領域における一定の物理的効果をもたらす。例示的な実施形態において、温度増加は、患者の通常の体温よりも1℃〜15℃高い。したがって、加熱は、皮脂腺の深さと、皮脂腺から離れた皮膚の表面とにおいて生じる。したがって、関心のある領域における特定の深さにおける温度は、約35℃〜49℃の間で上昇させられる。代替の例示的な実施形態において、関心のある領域の中の温度が、約35℃〜約60℃の範囲の間で上昇させられ得る。しかし、他の温度範囲が、使用され得、そして、本発明の範囲に該当する。
【0015】
例示的な実施形態において、充分なエネルギーが、組織の熱容量の下にとどまるように超音波システムから放出される。したがって、組織の切除または凝固は生じない。特定の例示的な実施形態において、温度増加は、劇的であり得るが、エネルギーが、短い期間の間、加えられるだけである場合には、全体的に、エネルギーを加えることは、組織の切除または凝固を起こさないように充分に低い。他の実施形態において、温度増加は、小さくなり得るが、切除または凝固が生じることなく、皮脂腺に適切に影響を与えるために、より長い期間にわたって加えられる。本質的に、時間で平均した電力または投与熱量は、切除または凝固が生じるレベルよりも下に留まる。
【0016】
これらの深さで関心のある領域を加熱することが、ざ瘡を処置する1つ以上の生理学的効果をもたらす。例示的な実施形態において、加熱は、関心のある領域における血液灌流の増加をもたらす。さらに、加熱は、関心のある領域の中のタンパク質が変性させられるレベルに温度を上昇させる。
【0017】
さらに、熱は、ざ瘡に寄与するバクテリア細胞のプログラム細胞死または細胞消滅を開始させ得る。プログラム細胞死は、細胞が、細胞の死をもたらす一定の化学物質を生成する自然のプロセスである。ざ瘡が横行する関心のある領域に熱を加えることが、バクテリア細胞(例えば、アクネ桿菌)にそれらの化学物質を生成させ、そして、さらにざ瘡を減少させる、バクテリア細胞のプログラム細胞死を開始させ得る。最後に、エネルギーを加えることが、関心のある領域において熱を加えることによって、および関心のある領域のおける様々な物理的効果によって皮脂の生成を減少させ得る。
【0018】
例示的な実施形態において、処置が、ざ瘡が生じることを予防するために使用される。例示的な実施形態において、処置は、皮脂腺の活性を抑制するために使用され、それにより、皮膚の孔のサイズと数とを減少させ、皮膚の脂性を減少させ、そして、望ましい美容効果を達成する。
【0019】
例示的な実施形態において、例示的なシステムは、超音波システムを備え、該超音波システムは、上記のように、関心のある領域を加熱するために、患者の皮膚の下の、特定の深さまたは標的化された深さにおいて、集中されたレベルにおける超音波エネルギーを関心のある領域に放出する。例示的な超音波システムは、制御システムと、プローブと、ディスプレイまたはインジケータシステムとを備えている。プローブは、様々なプローブおよび/またはトランスデューサ構成を備え得る。例示的な実施形態において、プローブは、画像化機能を行うことなく、焦点をもたない超音波エネルギーを関心のある領域に送達する。他の例示的な実施形態において、プローブは、強く焦点を合わせた、または弱く焦点を合わせた超音波エネルギーを送達する。さらに別の例示的な実施形態において、画像化は、処置の間に完遂され得る。さらに別の例示的な実施形態において、プローブは、組み合わされたデュアルモードの画像化/治療トランスデューサ、結合されたまたは共に収容された画像化/治療トランスデューサ、または単なる治療プローブもしくは画像化プローブとして構成され得る。
【0020】
制御システムおよび表示システムはまた、プローブおよびシステムの機能性を制御するために様々な構成を備え得、例えば、ソフトウェアおよび複数の入力/出力デバイスを有するマイクロプロセッサ、トランスデューサの電子的および/もしくは機械的な走査および/もしくは多重化を制御するためのシステム、電力送達のためのシステム、モニタリングのためのシステム、プローブおよび/もしくはトランスデューサの空間的な位置を感知するためのシステム、ならびにユーザ入力を処理し、そして、処置結果を記録するためのシステムなどを含む。
【0021】
例示的な実施形態において、ゲル、クリーム、液体、エマルジョン、薬品、または他の化合物のうちの少なくとも1つを含む結合剤が、プローブを患者の体に音響的に結合するために使用され得る。例示的な実施形態において、結合剤は、プローブからのエネルギーの放出の間に、患者の体に送達される薬および他の薬物を含む。この例示的な実施形態において、薬剤の中の薬物と薬とは、ざ瘡などの疾患を処置するために皮膚の処置および修復に向けられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の主題は、特に、明細書の結論部分において指摘される。しかしながら、本発明は、構成と動作方法との両方に関して、添付の図面と関連付けて用いられる以下の記述を参照することによって最も良く理解され得る。図面においては、同様な部分は、同様な参照番号によって示され得る。
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従った、ざ瘡処置方法の構成図を例示する。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従った、処置システムの構成図を例示する。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従った、毛包脂腺単位構造を処置するように構成された処置システムの概略図を例示する。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態に従った、毛包脂腺単位構造を処置することと、薬物送達を補助するために使用されることとの両方のために構成された超音波処置システムの概略図を例示する。
【図5A】図5A〜図5Bは、本発明の様々な例示的な実施形態に従った、処置層の中での直接的な標的化によって皮脂腺を処置するように構成された超音波処置システムの概略図を例示する。
【図5B】図5A〜図5Bは、本発明の様々な例示的な実施形態に従った、処置層の中での直接的な標的化によって皮脂腺を処置するように構成された超音波処置システムの概略図を例示する。
【図6A】図6A、図6B、図6C、図6D、および図6Eは、本発明の様々な実施形態に従った例示的なトランスデューサの断面図を例示する。
【図6B】図6A、図6B、図6C、図6D、および図6Eは、本発明の様々な実施形態に従った例示的なトランスデューサの断面図を例示する。
【図6C】図6A、図6B、図6C、図6D、および図6Eは、本発明の様々な実施形態に従った例示的なトランスデューサの断面図を例示する。
【図6D】図6A、図6B、図6C、図6D、および図6Eは、本発明の様々な実施形態に従った例示的なトランスデューサの断面図を例示する。
【図6E】図6A、図6B、図6C、図6D、および図6Eは、本発明の様々な実施形態に従った例示的なトランスデューサの断面図を例示する。
【図7A】図7A、図7B、および図7Cは、本発明の例示的な実施形態に従った、例示的な制御システムの構成図を例示する。
【図7B】図7A、図7B、および図7Cは、本発明の例示的な実施形態に従った、例示的な制御システムの構成図を例示する。
【図7C】図7A、図7B、および図7Cは、本発明の例示的な実施形態に従った、例示的な制御システムの構成図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、本明細書において、様々な機能コンポーネントと様々な処理ステップとに関して記述され得る。かかるコンポーネントと、かかるステップとは、特定の機能を行うように構成された多数のハードウェアコンポーネントによって実現され得るということが理解されるべきである。例えば、本発明は、様々な医療処置デバイス、様々な視覚的画像化および表示デバイス、様々な入力端末などを利用し得、それらは、1つ以上の制御システムまたは他の制御デバイスの制御の下で、多様な機能を実行し得る。さらに、本発明は、多数の医学的状況において実施され得、そして、本明細書に記述されているような、ざ瘡および皮脂腺の処置と、ざ瘡の予防とのための方法およびシステムに関する。例示的な実施形態は、本発明の例示的な用途を単に示すだけである。例えば、考察される、原理、特徴、および方法は、あらゆる医学的用途に適用され得る。さらに、本発明の様々な局面が、他の用途に適切に適用され得る。さらに、「皮脂腺」に対する言及は、腺自体を含むだけでなく、腺の中の内容物全てを含む。
【0024】
図1を参照すると、すでにあるざ瘡を処置し、そして、将来のざ瘡を予防する方法は、関心のある領域を標的にエネルギーを向けることを包含し、該関心のある領域は、毛包脂腺単位構造と、その内容物とを含む。例示的な実施形態において、エネルギーは、超音波エネルギーである。他の例示的な実施形態において、エネルギーは、マイクロ波エネルギー、無線周波数エネルギー、光エネルギー、これらのエネルギーの形態のうちの任意のものの組み合わせ、またはその他任意のエネルギーの形態である。
【0025】
この方法は、概略的に、全体を通して方法10と呼ばれ、血液灌流の増加、タンパク質の変性などの多数の生理学的効果を生成し、様々な機械的効果をもたらし、ざ瘡に寄与するバクテリアおよび有機体にとって生息に適さない環境を作り出し、そして、バクテリアおよび他のざ瘡をもたらす有機体のプログラム細胞死を加速させる。これらの生理学的効果は、関心のある領域12(ROI12)において生じる。ROI12におけるこれらの生理学的効果のいずれもが、現在のざ瘡を処置し、将来のざ瘡がROI12において生じることを予防する。
【0026】
ROI12は、患者の中の、関心のある内部処置領域、関心のある表面領域、関心のある皮下領域、ならびに/または内部処置領域、表面領域、および/もしくは皮下領域の間の、関心のあるその他任意の領域を含み得る。様々な例示的な実施形態において、ROI12は、少なくとも1つの毛包脂腺単位構造68と、関連付けられる皮脂腺70とを含む。本明細書全体を通して、「毛包脂腺単位構造68」に対する言及は、毛包脂腺単位構造68と、関連付けられる皮脂腺70の内容物全てとを含む。
【0027】
さらに、1つのROI12だけが描かれているが、複数のROI12が、例示的な、切除を伴わないざ瘡処置方法の範囲内でシステム14によって処置され得る。また、本発明は、毛包脂腺単位構造68と皮脂腺70とを有するROI12に向けられるが、方法10lは、皮脂腺70以外の他の腺を処置するためにも使用され得る。
【0028】
方法10によって処置されることが可能である皮脂腺以外の他の腺は、汗腺、内分泌腺、および哺乳類の体の中の他の腺を含む。したがって、方法10は、本明細書において考察される方法およびシステムによって、脂性の毛髪および脂性の皮膚、ならびにざ瘡以外の他の病気を処置するために使用され得る。
【0029】
ROI12に超音波エネルギー72を加えることが、ROI12の中で組織の切除または凝固をもたらすことなく、ROI12の中の温度を上昇させる。温度の上昇が、現在のざ瘡を処置し、将来のざ瘡が生じることを予防するための様々な生理学的効果をもたらす。第1に、超音波エネルギー72などのエネルギーを放出するように構成されたシステム14から提供される超音波エネルギー72によってもたらされる温度の上昇に応答して、体は、ROI12を冷却しようとしてより多くの血液をROI12に送る。血液灌流の増加が、より多くの血液をROI12に送達する。ROI12における血液の増加が、結果として、ROI12に送達される血液の中に含まれる修復細胞の数の増加をもたらす。特に、ROI12に流れる血液が、多くなれば多くなるほど、繊維芽細胞、および治療に役立つ他の白血球細胞(白血球細胞)、例えば、リンパ球、マクロファージ、および好中球が、ROI12において多くなることにより、現在のざ瘡を処置し、将来のざ瘡が発達することを予防する。修復細胞は、ざ瘡障害がより迅速に治癒することを助けることによってすでにあるざ瘡を処置する。さらに、ROI12におけるより多くの養分が、アクネ桿菌などのざ瘡をもたらすバクテリアと戦うことを可能にするので、将来のざ瘡が予防される。
【0030】
さらに、ROI12の温度増加は、タンパク質が、ROI12の中で変性させられるように充分に高い。変性させられる、ROI12の中のタンパク質は、アクネ桿菌および他のざ瘡をもたらす微生物が、食料源として食べるものと同じタンパク質である。タンパク質を変性させることによってこれらのタンパク質を破壊することは、アクネ桿菌の食料供給をなくし、これらのバクテリアの破壊に寄与する。
【0031】
変性させられたタンパク質とROI12の温度増加とが、アクネ桿菌と、ざ瘡に寄与する他のバクテリアおよび微生物とにとって生息に適さない環境を作り出す。例示的な実施形態において、生息に適さない環境は、アクネ桿菌と、ざ瘡に寄与する他の有機物にとって生命を維持することができない。これらの寄生生物が、死に、このことがまた、患者の中の現在のざ瘡(軽いざ瘡とひどいざ瘡との両方)を減少させ、そして、最初に、ざ瘡が形成することを予防する。
【0032】
ROI12を加熱することによってもたらされる別の生理学的効果は、プログラム細胞死である。プログラム細胞死は、自然な割合で生じるが、その割合は、切除を伴わず、かつ、凝固させないレベルでROI12に熱を加えることによって増加され得る。特に、熱は、死をもたらす化学物質の生成の原因となる特定の遺伝子を活性させる。死をもたらすこれらの化学物質は、バクテリア細胞をプログラム細胞死で死なせる。ROI12を加熱することが、バクテリアに、バクテリアが通常行うよりも速く、死をもたらす化学物質を作り出させ、プログラム細胞死を実現する。例示的な実施形態において、バクテリアは、アクネ桿菌であり、アクネ桿菌のプログラム細胞死は、すでにあるざ瘡を減少させ、さらなるざ瘡が発達することを防止する。
【0033】
さらに別の生理学的効果は、皮脂および皮脂の生成の抑制である。皮脂および皮脂の生成は、ROI12において作り出された標的に向けられた熱だけによって抑制されるのではなく、超音波エネルギー72の一定の機械的な効果もまた、皮脂腺70、および皮脂腺70を含む細胞に効果を有する。切除を伴わず、かつ、凝固されないものではあるが、熱は、皮脂腺70を含む細胞に一定の効果をもたらす。特に、熱は、細胞の生存能力を低下させ、したがって、皮脂を作り出す皮脂腺の能力を低下させる。例えば、約8秒間、52℃の温度にROI12を加熱することが、皮脂腺を含む一定の細胞の生存能力を低下させる。
【0034】
超音波がまた、皮脂腺70に一定の機械的効果を生み出す。例示的な実施形態において、これらの機械的効果は、キャビテーション、ストリーミング、および皮脂腺70を含む細胞の細胞膜における剪断応力を含む。キャビテーション、およびストリーミングなどのこれらの機械的効果は、アクネ桿菌およびざ瘡をもたらす他の有機物の細胞壁と接触する様々な力を作り出し、このことが、それらを損傷するか、または殺す。さらに、これらの機械的効果はまた、以下で記述されるように、より良く処置を実現するために、医薬クリームや他の薬剤を細胞の中に押しやることを助ける。ここでもやはり、これらの機械的効果は、切除を伴うこともなく、凝固も伴わないが、それらは、皮脂の生成に重要な細胞に損傷または応力をもたらす。この応力が、活性な皮脂腺70を生成する細胞の能力を減少させ、皮脂の生成が、顕著に、抑制または減少させられる。
【0035】
ROI12におけるこれらの生理学的効果が、ROI12において、アクネ桿菌、およびざ瘡をもたらすか、またはざ瘡に寄与する他の有機物などのざ瘡をもたらすバクテリアにとって生息に適さない環境を作り出す。この生息に適さない環境を作り出すことが、ROI12におけるバクテリアを減少させ、特に、ROI12におけるアクネ桿菌の個体数を減少させ、このことが、すでにあるざ瘡を処置し、将来のざ瘡が発達することを予防する。
【0036】
切除を伴わないざ瘡処置のための例示的なシステム14が、提供され、そして、図2に描かれている。皮膚の温度を上げるデバイスとは異なり、方法10とシステム14とは、皮膚の表面と表面下とで、温度を上昇させ、そして、必要とされる範囲に直接的に熱を加えるように構成されている。したがって、システム14は、表面から下に熱を加えることにより、皮膚の表面と、表面下の深さとにおけるすでにあるざ瘡を処置する。例示的な実施形態において、図3を参照すると、プローブ18と、制御システム20と、表示システム22とを備えている超音波システム16が、ROI12にエネルギーを送達し、そして、ROI12をモニタリングするために使用される。他の例示的なシステムが、「Method and System For Treating Acne and Sebaceous Glands」と題される同時係属中の米国特許出願第11/163,177号と、「Method and System For Combined Ultrasound Treatment」と題される米国特許出願第10/950,112号に開示されており、それらの両方が、参考として援用される。
【0037】
さらに図4を参照すると、例示的なプローブ18が、トランスデューサ19であり、該トランスデューサ19は、毛包脂腺単位構造68と皮脂腺70とを標的にするために、特定の深さでROI12を加熱するように超音波エネルギー72をROI12に放出する。例示的な実施形態において、結合剤が、プローブ18を患者の体に結合するために使用される。
【0038】
別の例示的な実施形態において、吸引が、プローブ18を患者の体に取り付けるために使用される。この例示的な実施形態において、負の圧力差が作り出され、そして、プローブ18が、吸引によって皮膚85に付着する。減圧タイプのデバイスが、吸引を作り出すために使用され、そして、減圧デバイスは、プローブ18と一体であり得るか、プローブ18から取り外し可能であり得るか、またはプローブ18とは完全に別個であり得る。皮膚85へのプローブ18の吸引取付けと、関連付けられる負の圧力差とが、プローブ18が皮膚85に適切に結合されるということを確実にする。さらに、吸引取付けはまた、組織の厚さを減少させて、毛包脂腺単位構造68に到達することをより容易にする。
【0039】
さらに図5Aおよび図5Bを参照すると、この例示的な実施形態においては、超音波エネルギー72が、様々なエネルギー場73に放出され得る。エネルギー場73は、複数の異なる効果を提供するように、焦点を合わせ得、焦点をはずされ得、および/またはトランスデューサ19によって実質的に平面にされ得る。エネルギーが、自動的な運動または手動による運動によって、1つ以上のC形平面または1つ以上のC形走査線における1つ以上の点に加えられる。例えば、実質的に平面のエネルギー場が、加熱および/または前処置効果を提供し得、焦点を合わせたエネルギー場が、より集中させられた加熱源、または過熱(hyperthermal)効果を提供し得、そして、焦点を合わせていないエネルギー場は、散乱された加熱効果を提供し得る。全体を通して使用されるように、用語「焦点を合わせていない」は、焦点をもたないエネルギー、または焦点はずしたエネルギーを含むように意味されているということに留意されたい。
【0040】
例示的なトランスデューサ19は、画像化、もしくは処置、または画像化と処置との両方の組み合わせのために超音波エネルギーを放出する。例示的な実施形態において、トランスデューサ19は、以下で記述されるように、ROI12において特定の深さで超音波エネルギーを放出するように構成されている。図5Aのこの例示的な実施形態において、トランスデューサ19は、処置の目的のために、ROI12における広い範囲にわたって、焦点をもたない超音波エネルギー、または焦点をはずした超音波エネルギーを放出する。
【0041】
続けて図4を参照すると、トランスデューサ19は、処置を容易にするように構成された1つ以上のトランスデューサを備え得る。トランスデューサ19はまた、1つ以上の変換要素26、例えば、要素26Aおよび要素26Bを備え得る。変換要素26は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などの圧電活性の材料、またはその他任意の圧電活性の材料を含み得、例えば、圧電性のセラミック、圧電性の水晶、圧電性のプラスチック、および/または圧電性の複合材料、ならびにニオブ酸リチウム、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、および/またはメタニオブ酸鉛を含み得る。圧電活性の材料に加えて、または圧電活性の材料の代わりに、トランスデューサ19は、放射線および/または音響エネルギーを発生させるように構成されたその他任意の材料を備え得る。トランスデューサ19はまた、圧電性の活性材料に結合されたような1つ以上の変換要素26と共に構成された1つ以上の整合層および/または1つ以上の裏打ち層を備え得る。トランスデューサ19はまた、変換要素26に沿った単一または複数の制動要素と共に構成され得る。
【0042】
さらに、変換要素26は、患者の皮膚から任意の距離にあり得る。それに関して、変換要素26は、長いトランスデューサの中に配置された皮膚から遠くに離れ得るか、または変換要素26は、患者の皮膚の表面からたった数ミリメートルであり得る。一定の例示的な実施形態において、患者の皮膚のより近くに変換要素26を位置決めすることが、高い周波数で超音波を放出するためにはより良い。さらに、要素の3次元のアレイと2次元のアレイとの両方が、本発明において使用され得る。
【0043】
例示的な実施形態に従って、トランスデューサ19の変換要素26の厚さは、均一になるように構成され得る。つまり、変換要素26は、全体にわたって実質的に同じ厚さを有するように構成され得る。別の例示的な実施形態に従って、変換要素26はまた、様々な厚さで構成され得、および/または多重減衰デバイスとして構成され得る。例えば、トランスデューサ19の変換要素26は、例えば、約1kHzから3MHzまでの低い範囲の中心動作周波数を提供するように選択された第1の厚さを有するように構成され得る。変換要素26はまた、例えば、約3MHzから100MHz以上の高い範囲の中心動作周波数を提供するように選択された第2の厚さを伴って構成され得る。
【0044】
トランスデューサ19は、所望のレベルにROI12の中の温度を上げるための適切な出力を提供するために少なくとも2つ以上の周波数で励起される単一のブロードバンドトランスデューサとして構成され得る。トランスデューサ19はまた、2つ以上の個々のトランスデューサとして構成され得、各トランスデューサ19は、変換要素26を備えている。変換要素26の厚さは、所望の処置範囲において中心動作周波数を提供するように構成され得る。例えば、トランスデューサ19は、約1MHzから3MHzまでの中心周波数範囲に対応する厚さを有する第1の変換要素26を伴って構成された第1のトランスデューサ19と、約3MHzから100MHz以上の中心周波数に対応する厚さを有する第2の変換要素26を伴って構成された第2のトランスデューサ19とを備え得る。第1および/または第2の変換要素26に対する様々な他の厚さの範囲がまた、実現され得る。
【0045】
さらに、例示的な実施形態において、任意の様々な機械レンズ、または任意の様々な可変焦点レンズ、例えば、液体充填レンズがまた、エネルギー場の焦点を合わせるために、および/または焦点をはずすために使用され得る。例えば、図6Aおよび図6Bに描かれた例示的な実施形態を参照すると、トランスデューサ19はまた、ROI12を処置する際の可撓性を増すようにするために、1つ以上の変換要素26と組み合わされた、電子的に焦点を合わせるアレイ24を伴って構成され得る。アレイ24はまた、トランスデューサ19と同様に構成され得る。つまり、アレイ24は、電子的なアパーチャのアレイとして構成され得、該電子的なアパーチャのアレイは、例えば、τ、τ、τ、・・・τなどの可変の電子の時間遅延による様々な位相によって動作され得る。用語「動作される」によって、アレイ24の電子的なアパーチャが、電子的な時間遅延によってもたらされる位相変化に対応するように、エネルギーを生成および/または送達するように、操作、駆動、使用、および/または構成され得る。例えば、これらの位相変化は、焦点をはずしたビーム、平面のビーム、および/または焦点を合わせたビームを送達するために使用され得、これらのビームのそれぞれが、ROI12における異なる生理学的効果を達成するために組み合わせて使用され得る。
【0046】
変換要素26は、凹状、凸状、および/または平面になるように構成され得る。例えば、図6Aに描かれた例示的な実施形態において、変換要素26Aは、ROI12における処置に、焦点を合わせたエネルギーを提供すために凹状になるように構成される。さらなる実施形態が、さらに本明細書において参考として援用される「System and Method for Variable Depth Ultrasound Treatment」と題される米国特許出願第10/944,500号において開示されている。
【0047】
図6Bに描かれた別の例示的な実施形態において、変換要素26Aと変換要素26Bとは、実質的に均一なエネルギーをROI12に提供するために実質的に平坦になるように構成され得る。図6Aおよび図6Bは、それぞれ、凹状および実質的に平坦として構成された変換要素26を有する例示的な実施形態を描いているが、変換要素26は、凹状、凸状、および/または実質的に平坦になるように構成され得る。さらに、変換要素26は、凹状構造、凸状構造、および/または実質的に平坦な構造の任意の組み合わせになるように構成され得る。例えば、第1の変換要素26は、凹状になるように構成され得るが、第2の変換要素26は、実質的に平坦になるように構成され得る。
【0048】
図6Cおよび図6Dを参照すると、トランスデューサ19はまた、平面の音響エネルギー、焦点を合わせた音響エネルギー、および/または焦点をはずした音響エネルギーを提供するように環状のアレイとして構成され得る。例えば、例示的な実施形態に従って、環状のアレイ28は、複数のリング30、リング32、リング34からリングNを備え得る。リング30、リング32、リング34からリングNは、機械的に、かつ、電気的に隔離されて、一組の個々の要素になり得、そして、平面波、焦点を合わせた波、焦点をはずした波を作り出し得る。例えば、かかる波は、例えば、対応する伝達および/または受信の遅延τ、τ、τ、・・・τを調節する方法によって、軸上に中心を合わされ得る。電子の焦点は、様々な深さの位置に沿って適切に動かされ得、そして、可変の強度または可変のビームの緊密性を可能にし得、一方で、電子の焦点はずしは、様々な量の焦点はずしを有し得る。例示的な実施形態に従って、レンズおよび/または凹形状または凸形状の環状アレイ28がまた、あらゆる時間差の遅延を減少させ得るように、焦点合わせまたは焦点はずしを補助するために提供され得る。例えば、プローブの使用、および/または任意の従来のロボットアームメカニズムの使用を介した、1次元、2次元、もしくは3次元における環状アレイ28の運動、または任意の経路に沿った環状アレイ28の運動が、ROI12の中の体積または対応する空間を走査および/または処置するために実装され得る。
【0049】
図6Eを参照すると、例示的なトランスデューサ570はまた、画像化および/または治療の両方のために、焦点を合わせた音場、焦点をもたない音場、または焦点をはずした音場を達成するために、機械的焦点585、凸レンズ焦点586、凹レンズ焦点587、複合/多重のレンズ焦点588、および/または平面アレイの形態589を有する、球状焦点単一要素572、環状/多重要素574、画像化領域を有する環状576、直線状焦点単一要素578、1−D線形アレイ580、1−D湾曲(凸状/凹状)線形アレイ582、および/または2−Dアレイ584として構成され得る。一定の例示的な実施形態において、球状レンズが、ざ瘡を処置する際に使用され、円筒形レンズが、ROI12におけるざ瘡を予防するために使用される。本発明の他の例示的な実施形態において、他のレンズ形状が、さらに使用され得る。
【0050】
例示的なトランスデューサは、制御システム20によって様々な方法で適切に制御および動作される。図7A〜図7Cに描かれた例示的な実施形態において、制御システム20が、ROI12の中の皮脂腺70を標的にすることによって所望の治療効果を達成するための、ざ瘡処置プロセス全体の調整および制御のために構成されている。例えば、制御システム20は、電源コンポーネント36、感知およびモニタリングコンポーネント38、冷却および結合制御装置40、および/または処理および制御論理コンポーネント42を適切に備えている。制御システム20は、毛包脂腺単位構造68および皮脂腺70の制御された標的化のための治療システムを実装するために、サブシステムおよびコンポーネントをより少なく、またはより多く有する様々な方法で構成および最適化され得る。そして、図6Aおよび図6Bの実施形態は、単に例示の目的のためのものである。
【0051】
例えば、電源コンポーネント36に関して、制御システム20は、制御システム20全体に電気エネルギーを提供するように構成された1つ以上の直流電流(DC)電源44を備え得、該電気エネルギーは、トランスデューサの電子増幅器/ドライバ48によって必要とされる電力を含む。DC電流感知デバイス46がまた、安全およびモニタリングの目的のために増幅器/ドライバ48の中に入る電力のレベルを確認するために提供され得る。
【0052】
増幅器/ドライバ48は、多重チャネルまたは単一チャネルの電力増幅器および/またはドライバを備え得る。トランスデューサアレイ構成に対する例示的な実施形態に従って、増幅器/ドライバ48はまた、アレイの焦点合わせを容易にするためにビームフォーマを伴って形成され得る。例示的なビームフォーマは、関連付けられる切り替え論理を有する、発振器/デジタル制御の波形シンセサイザ/発振器50によって電気的に励起させられ得る。
【0053】
電源コンポーネント36はまた、様々なフィルタリング構成52を含み得る。例えば、切り替え可能な高調波フィルタおよび/または整合が、駆動効率および駆動の有効性を増加させるために増幅器/ドライバ/ビームフォーマ48の出力において使用され得る。電力検出コンポーネント54がまた、適切な動作および適切な較正を確認するために含まれ得る。例えば、電力および他のエネルギー検出コンポーネント54は、プローブ18の中に入る電力の量をモニタリングするために使用され得る。
【0054】
様々な感知およびモニタリングコンポーネント38がまた、制御システム20の中に適切に実装され得る。例えば、例示的な実施形態に従って、モニタリング、感知、およびインタフェースの制御コンポーネント56は、ROI12からの、音響的情報、または他の空間的情報および時間的情報などの情報を受信し処理するために、トランスデューサ19の中に実装された、様々な、運動検出システムと共に動作するように構成され得る。感知およびモニタリングコンポーネント38はまた、様々な、制御装置、インタフェースおよびスイッチ58、および/または電力検出器54を含み得る。かかる感知およびモニタリングコンポーネント38は、処置システム14の中で、開ループフィードバックシステムおよび/または閉ループフィードバックシステムを容易にし得る。
【0055】
例示的な実施形態において、感知およびモニタリングコンポーネント38は、センサを備え、該センサは、システム14の酷使を防ぐために、聴覚または視覚の警報システムに接続されている。この例示的な実施形態において、センサは、皮膚85に伝達されるエネルギー量を感知するか、またはシステム14が能動的にエネルギーを放出している時間を感知する。一定の時間または温度の閾値に到達したときには、アラームが、閾値に到達したということをユーザに警告するために、可聴警報を鳴らすか、または視覚的インジケータを作動させる。これが、ユーザがシステム14を酷使することを防ぐ。例示的な実施形態において、センサは、プローブ18から超音波エネルギー72を放出することを止めるために、制御システム20および焦点制御システム20に動作するように接続されている。
【0056】
冷却/結合制御システム60は、例示的なプローブ18から無駄な熱を除去し、表面の組織界面における制御された温度および組織の中深くの制御された温度を提供し、および/またはプローブ18からROI12への音響的結合を提供するために提供され得る。かかる冷却/結合制御システム60はまた、様々な結合およびフィードバックコンポーネントを有する、開ループフィードバック構成および/または閉ループフィードバック構成の両方において動作するように構成され得る。
【0057】
さらに、例示的な制御システム20はさらに、1つ以上の制御またはインタフェーススイッチ58および関連付けられるコンポーネントなどの様々なシステムプロセッサおよびデジタル制御論理62をさらに備え得、ファームウェアおよび制御ソフトウェア64を含み、該ファームウェアおよび制御ソフトウェア64は、ユーザ制御装置、およびインタフェース回路、ならびに入力/出力回路および通信、表示、インタフェース、格納、文書化、および他の有用な機能のためのシステムにインタフェースする。システムソフトウェア64は、全ての初期化、タイミング、レベル設定、モニタリング、安全モニタリング、およびユーザ定義の処置目的を達成するために必要とされる全ての他の機能を制御する。さらに、様々な制御スイッチ66がまた、動作を制御するために適切に構成され得る。
【0058】
図7Cを参照すると、例示的なトランスデューサが、ハンドヘルドのフォーマット制御システム1000によって様々な方法で適切に制御および動作される。例示的なバッテリ充電器1002が、再充電可能なタイプのバッテリ1004と共に使用され得るか、またはバッテリ1004は、AAサイズの電池などの一回きりの使用の使い捨てタイプであり得る。電力変換器1006は、ドライバ/フィードバック回路1008に電力を与えるために適切な電圧を生成し、同調ネットワーク1010が、1つ以上の音響的結合キャップ1014を介して患者に結合されたトランスデューサ1012を駆動する。キャップ1014は、(筐体の中に含まれた)音響的結合剤と同等な、固体の媒体、半固体、例えば、ゼラチン状の媒体、および/または液体の媒体のうちの少なくとも1つで構成され得る。キャップ1014は、音響的結合剤1015で患者に結合される。さらに、関連付けられるソフトウェアおよびアルゴリズムを有するマイクロコントローラおよびタイミング回路1016が、ディスプレイ1018を介した制御およびユーザインタフェース、発振器1020、ならびにスイッチおよび聴覚デバイスなどの他の入力/出力制御装置1022を提供する。EEPROM、安全なEEPROM、改ざん防止EEPROM、または同様なデバイスなどの格納要素1024が、較正データおよび使用データを保持する。フィードバック1026を用いた運動メカニズムが、望ましい場合には、直線状のパターンまたは2次元のパターンで、および/または可変の深さでトランスデューサを走査するように適切に制御され得る。他のフィードバック制御装置は、容量性、音響的、または他の結合検出手段および/または制限制御装置、ならびに熱センサ1030を含む。プラスチックまたは他の筐体と共に、結合キャップ1014、トランスデューサ1012、熱センサ1030、結合検出器1028、または同調ネットワーク1010のうちの少なくとも1つと安全なEEPROMの組み合わせは、使い捨て先端1032を備え得る。
【0059】
再び図3および図4を参照すると、例示的なシステム14はまた、一定の例示的な実施形態において、ROI12の画像を提供するために表示システム22を含み、該一定の例示的な実施形態においては、超音波エネルギーが、画像化に適した方法でトランスデューサ19から放出される。表示システムは、システム14またはROI12に関する画像以外の画像および情報をユーザに伝達する任意のタイプのシステムであり得る。したがって、様々な例示的な実施形態において、表示システム22は、コンピュータのモニタ、テレビスクリーンであり得るか、または液表ディスプレイまたは発光ダイオードディスプレイなどの単純なタイプのインジケータシステムであり得る。液晶ディスプレイおよび発光ダイオードディスプレイは、システム14がハンドヘルドシステムであるときに、特に有用である。
【0060】
表示システム22は、ユーザが処置範囲および周囲構造の位置探査、例えば、毛包脂腺単位構造68および皮脂腺70の識別を容易にすることを可能にする。位置探査の後、皮脂腺70を処置するための所望の治療効果を達成するための深さ、分布、タイミング、およびエネルギーレベルにおける超音波エネルギー72の送達が、提供される。治療の前、間、および/または後、すなわち、超音波エネルギーの送達の前、間、および/または後、処置範囲および周囲構造のモニタリングが、さらに計画し、結果を評価するために行われ、および/または表示システム22を介して制御システム20およびシステムのオペレータにフィードバックを提供し得る。
【0061】
例示的な実施形態に従って、位置探査は、超音波画像診断によって容易にされ得、該超音波画像診断は、ROI12における、皮脂腺70の位置および/または皮脂腺70の深さを画定するために使用され得る。かかる腺は、毛穴に沿って位置していることが見られ得、それらの画像は、信号および画像処理を介してさらに向上され得る。
【0062】
超音波エネルギーの送達に関して、トランスデューサ19は、ROI12における広範な範囲にわたって処置ゾーンとするように機械的に、および/または電子的に走査され得る。処置の深さが、約1ミクロンから10ミリメートル(および/または皮脂腺70の最大の深さ)の範囲の間で調節され得る。かかるエネルギーの送達は、標的にされた皮脂腺70の画像化し、そして、次に、超音波エネルギーを加えるか、または最初の画像化または同時の画像化なしに、広範な範囲にわたって既知の深さで超音波エネルギーを加えることによって生じる。
【0063】
1つの例示的な実施形態を描いている図5Aを参照すると、処置されるゾーン74は、直線、平面、もしくは表面にわたって延び得るか、一般的に約1ミクロンから10ミリメートルの範囲である皮脂腺の深さ76を横切る広範なゾーンにわたって延び得る。トランスデューサ19は、広い範囲にわたって処置ゾーン74を延ばすために、例えば、78に沿う方向で、機械的、および/または電子的に走査され得る。トランスデューサ19はさらに、処置ゾーン74をさらに広げるために、より長い方向を示す線80に沿って走査され得るか、または動かされ得る。あらゆる処置されるゾーン74に関して、処置されるゾーン74が、ROI12の中で深さを増加させると、処置されるゾーン74の断面積は、小さいサイズから中程度のサイズに増加し、大きいサイズに増加し得る。
【0064】
トランスデューサ19からの超音波ビームは、トランスデューサ19の空間的パラメータ、例えば、配置、距離、処置の深さ、およびトランスデューサ19の構造を変化させることによって、ならびにトランスデューサの時間的パラメータ、例えば、周波数、駆動振幅、およびタイミングを変化させることによって、空間的に、および/または時間的に制御され得、かかる制御は、制御システム20を介して処理される。かかる空間的および時間的パラメータはまた、超音波システム16の中の、開ループフィードバックシステムおよび/または閉ループフィードバックシステムにおいて適切にモニタリングおよび/または利用され得る。
【0065】
本発明の別の例示的な実施形態に従って、図5Bを参照すると、例示的なモニタリング方法は、ROI12の、温度プロフィール、または他の組織パラメータ、例えば、減衰、音の速度、または処置領域の堅さおよびひずみなどの機械的特性をモニタリングすることを包含し、空間的および/または時間的特性、ならびにトランスデューサ19から放出される超音波エネルギー72のエネルギーレベルを適切に調節する。かかるモニタリング技術の結果は、モニタリングの結果の1次元、2次元、または3次元の画像によって表示システム22に示され得るか、または成功もしくは失敗タイプのインジケータ、あるいはそれらの組み合わせを備え得る。追加の処置モニタリング技術は、温度、ビデオ、プロフィロメトリー、および/もしくは堅さまたはひずみゲージのうちの1つ以上、またはその他任意の適切な感知技術に基づき得る。
【0066】
別の例示的な実施形態に従って、図5Aおよび図5Bを続けて参照すると、システム14は、広範な処置のROI12にわたる処置のために構成され得、該広範な処置のROI12は、皮下脂肪/脂肪組織82、筋肉84などの組織の組み合わせを含む。表皮86、真皮88、脂肪組織、筋肉84の上にある筋膜、粘膜、角質層、毛球、毛幹、毛球と表皮86との間の毛穴、血管、アポクリン汗腺、真皮88、脂肪82、または筋肉84の中にある漏出分泌腺、および/またはその他任意の関心のある組織のうちの少なくとも1つと組み合わせた皮脂腺70を含む複合的なかかる組織が、処置され得る。
【0067】
例示的な実施形態において、システム14は、ROI12の中で少なくとも1つの生理学的効果を起こすために、様々な時間的および/または空間的レジメンの下でエネルギーを放出する。生理学的効果は、ROI12の中の温度増加の結果である。特に、システム14は、毛包脂腺単位構造68、特に、皮脂腺70を標的にするために約1ミクロンから10ミリメートルの間の特定の深さで、ROI12の中にエネルギーを放出する。特定の例示的な実施形態において、加熱は、毛包脂腺単位構造68を標的にするために約1〜5ミリメートルの深さで生じる。
【0068】
大部分の毛包脂腺単位構造68は、皮膚85の表面の約1〜3ミリメートル下に位置されているが、毛包脂腺単位構造68、特に皮脂腺70は、腫れ、このことが、皮膚85の下での深さを増加させる。特定の状況において、深さは、5ミリメートル未満であり得る。超音波エネルギー72は、これまでどおり、皮膚85の下のあらゆる深さで、これらの炎症した皮脂腺70を効果的に標的にするように到達する。一定の例示的な実施形態において、これらの腫れた皮脂腺の深さは、皮膚85の表面の約10ミリメートル下であり得る。
【0069】
ROI12の中の組織が、切除されないか、凝固させられない限り、任意の量のエネルギーが、方法10の間に使用され得る。例示的な実施形態において、プローブ18から放出されたエネルギーは、焦点をもたない、または焦点をはずした超音波エネルギー72である。あるいは、焦点を合わせた超音波エネルギー72が、プローブ18から放出され、そして、ROI12に加えられ得る。
【0070】
一定の例示的な実施形態において、システム14は、ユーザを補助するために一定の特徴を装備され得る。1つの特徴は、使用中にプローブ18を覆う使い捨て先端である。使い捨て先端は、超音波エネルギー72が、先端を通過し、そして、患者と接触することを可能にする。しかし、使い捨て先端は、1人の患者から、別の患者に、患者の皮膚85と接触した後に、プローブ18に存在し得る細菌の拡散を防止するために、使用後にプローブ18から取り外され、そして、新しい使い捨て先端と交換される。異なるサイズの使い捨て先端が、使用され得、そして、本発明の範囲に該当し得る。
【0071】
1つの例示的な実施形態において、ROI12に放たれたエネルギーは、体の通常の温度を上回って約1℃〜25℃まで、ROI12の中の局所的な温度を増加させる。温度を上昇させる期間は、数分の一秒から一分以上までのどこにでも変わり得る。したがって、処置の間のROI12の中の温度は、約35℃〜60℃の間である。別の例示的な実施形態において、温度は、体の通常の温度を上回って約1℃〜15℃上昇させられる。したがって、この実施形態において、ROI12の中の温度は、約35℃〜49℃の間である。特定の温度が、本明細書において開示されているが、任意の温度が、本発明の範囲に該当するように考慮されるということに留意されたい。
【0072】
特定の実施形態において、温度増加は、非常に高くなり得るが、ROI12に送達されるエネルギーが、組織の切除または凝固をもたらさないように充分に短い期間の間加えられる。他の状況において、温度の増加は、非常に小さく、組織の切除または凝固を伴うことなく皮脂腺70に効果をもたらすために充分に長く加えられる。
【0073】
方法10に対する時間−温度のプロフィールが、投与熱量の概念の補助を用いてモデリングおよび最適化され得る。投与熱量、またはt43は、43℃における受熱時間であり、該43℃における受熱時間は、任意選択の時間−温度の加熱プロフィールに起因した均等な生物学的効果をもたらす。一般的に、障害の切除には、56℃において1秒程度を要し、これは、43℃における約120秒の投与熱量に対応する。同じ投与熱量が、約1分の間の50℃に対応する。したがって、切除を伴わないプロフィールは、非常に短い時間の間、高い温度を含み得、および/もしくはより長い時間に間、より低い温度を含み得、または様々な時間−温度のプロフィールの組み合わせを含み得る。例えば、一秒未満の時間の間の56℃の高さの温度、15秒未満の間の46℃の高さの温度が、利用され得る。かかる処理は、様々な例示的な実施形態において実装され得、それにより、1つ以上のプロフィールが、単一の処置に組み合わされ得る。
【0074】
例示的な実施形態において、ROI12における温度が、約50℃以上などの高いレベルに上昇され、そして、数秒間維持される。別の例示的な実施形態において、温度は、一秒未満から5秒以上までの間、(例えば、50℃を上回る)高いレベルに上昇され、そして、次に、一秒未満から5秒以上までの間、オフにされ、そして、パルス化されたプロフィールを作り出すように繰り返される。
【0075】
別の例示的な実施形態において、温度は、(50℃を上回る)高いレベルに迅速に上昇され、そして、次に、(50℃未満の)低い温度に下げられ、そして、次に、一秒から数秒まで、または一分以上などの所与の期間の間、その温度で維持される。
【0076】
別の例示的な実施形態において、温度は、迅速に高いレベル(THIGH)に増加させられ、それにより、THIGHは、40℃を上回り、そして、システム14に対する電力が、オフにされるが、温度が低い閾値(TLOW)よりも下がると、再びオンにされ、それにより、TLOWが、THIGHよりも低くなる。温度が、再びTHIGHに到達すると、システム14に対する電力が、オフにもどり、そして、このプロセスが繰り返され、事実上、サーモスタットのように作用して、プロセスは、一秒未満から一分以上までの全処置時間の後に終了する。
【0077】
別の例示的な実施形態において、温度が、高いレベル(TSTART)まで迅速に上昇され、それにより、TSTARTが、40℃を上回り、そして、オフにされるが、温度が、認められる程度に(すなわち、数度)TSTARTを下回って下がる前に、再びオンにされ、それにより、電力が、再びオフにされる前に、温度が、TSTARTを上回ってわずかな量(すなわち、数度)を増加し得る。かかる例示的な実施形態において、温度は、迅速に開始地点に到達し、そして、次に、より高い温度まで増加することを可能にされ得、それでもやはり、処置が終わるまで、切除を伴わないか、または凝固を伴わないレジメンのままである。
【0078】
別の例示的な実施形態に従って、例示的なシステム14はまた、薬物送達を補助するように構成され得る。1つの例示的な実施形態において、システム14は、図3に描かれているように薬物送達のために使用され得る。この実施形態において、クリームなどの薬剤96が、プローブ18が皮膚85に配置される前に、患者の皮膚85に直接的に塗布される。薬剤96は、医薬を含み得るか、または患者を処置することに有用であり得る。例示的な実施形態において、薬剤96は、ざ瘡を処置するか、または患者の皮膚の状態を改善するために使用される薬物を含む。
【0079】
例示的な実施形態において、薬剤96がまた、プローブ18を皮膚85に結合するために使用され得る。したがって、薬剤96は、複数の用途を有し得る。第1に、薬剤96は、プローブ18を皮膚85に結合するために使用される。第2に、薬剤96は、薬物および他の薬を含むので、エネルギーがプローブ18から加えられたときに、薬と薬物とが、皮膚に送達される。最後に、例示的な実施形態において、薬剤96の中の薬と薬物とが、皮膚の処置のために使用される。したがって、患者が、切除を伴わないレベルにおいてエネルギーを加えることによって処置されているときに、治療薬物がまた、ざ瘡などの皮膚疾患を処置するために患者に投与されている。
【0080】
薬剤96の送達が、超音波エネルギー72を加えることによって向上され得る。特に、ROI12における加熱が、ROI12における、皮膚を通った薬剤96のより良い拡散をもたらし得る。さらに、キャビテーションなどの、超音波エネルギー72の物理的効果がまた、皮膚を通って、ROI12の中に薬剤96を物理的に駆動し得るか、または押し得る。
【0081】
薬剤96に対して超音波エネルギー72を加えることが、患者を処置する際に一定の利点を有し得る。一定の薬剤96の効力は、超音波エネルギー72を加えることによって増加させられ得る。さらに、薬剤96の送達の効率が、超音波エネルギー72を薬剤96に加えることによって増加させられ得る。さらに、一定の薬剤96は、それらが、エネルギーまたは熱にさらされるまで不活性であり、薬剤96に超音波エネルギー72を加えることが、薬剤96を活性させる。
【0082】
薬剤96が、皮膚85に塗布された後に、システム14は、通常どおりに使用され、そして、ROI12の中の皮膚85の下の熱の増加が、公知の薬物送達技術によって、薬剤96の中の薬物を患者の体に結合することを助ける。
【0083】
すでにあるざ瘡を処置することに加えて、方法10は、さらなるざ瘡が、ROI12において再発することを予防するために使用され得る。すでにあるざ瘡を処置する上で記述された同じ生理学的効果がまた、新たなざ瘡が生じることを予防する。従って、すでにあるざ瘡が処置された後に、方法10を用いて患者を処置し続けると、新しいざ瘡が、ROI12において発達しない。
【0084】
本発明は、本明細書において、様々な機能コンポーネントおよび処理ステップに関して記述され得る。かかるコンポーネントとかかるステップとが、特定の機能を行うように構成された任意の数のハードウェアコンポーネントによって実現され得るということが、理解され得る。例えば、本発明は、様々な医療処置デバイス、様々な視覚的画像化および表示デバイス、様々な入力端末などを利用し得、それらは、1つ以上の制御システムまたは他の制御デバイスの制御の下で、多様な機能を実行し得る。さらに、本発明は、多数の医学的状況において実施され得、そして、本明細書に記述されているような方法およびシステムに関する。例示的な実施形態は、本発明の例示的な用途を単に示すだけである。例えば、考察される、原理、特徴、および方法は、あらゆる医学的用途に適用され得る。さらに、本発明の様々な局面が、他の医学的用途または他の産業的用途などの他の用途に適切に適用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡を処置するための方法であって、
毛包脂腺単位構造を含む範囲を標的に超音波エネルギーを向けること
を包含し、
該超音波エネルギーは、患者の皮膚の下の特定の深さにおいて、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の温度を上昇させ、
該超音波エネルギーは、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中で組織の切除または凝固をもたらすことなく、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織に効果をもたらすために充分であり、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の該上昇させられた温度は、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中のざ瘡を処置する生理学的効果をもたらす、方法。
【請求項2】
前記生理学的効果は、血液灌流の増加、タンパク質の変性、プログラム細胞死、皮脂およびそれの生成の減少、およびざ瘡に寄与する有機物にとって生息に適さない環境の創出である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機体は、バクテリアである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の皮脂腺およびそれらの内容物は、前記血液灌流の増加、前記タンパク質の変性、前記プログラム細胞死、前記皮脂およびそれの生成の減少、および前記ざ瘡に寄与する有機物にとって生息に適さない環境の創出によって特に影響を受ける、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記特定の深さは、約1ミクロンから10ミリメートルの範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の温度は、35℃〜49℃まで上昇させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ざ瘡を処置するための方法であって、
焦点をもたない超音波エネルギーを放出するトランスデューサプローブを提供することと、
毛包脂腺単位構造を含む範囲を標的に超音波エネルギーを向けることと
を包含し、
該超音波エネルギーは、約1ミクロンから10ミリメートルの深さにおいて、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の温度を上昇させ、
該超音波エネルギーは、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織の切除または凝固をもたらすことなく、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織に効果をもたらすために充分であり、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の該上昇させられた温度は、
血液灌流の増加と、
タンパク質の変性と、
皮脂の生成の抑制と、
プログラム細胞死と
をもたらす、方法。
【請求項8】
前記温度は、50℃以上に上昇させられ、そして、そのレベルにおいて、5秒よりも長い間、維持される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記温度は、上げられたり下げられたりし、パルス化されたプロフィールを作り出す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の皮脂腺およびそれらの内容物が、影響を受けるが、破壊されない、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲を標的に前記超音波エネルギーを向けるステップの前に、該毛包脂腺単位構造を含む範囲に薬剤を適用するステップをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
切除を伴わないざ瘡の処置のための超音波処置システムであって、
該超音波処置システムの制御を容易にするための制御システムと、
炎症した皮脂腺を含む範囲を標的とした、焦点を合わせていない超音波エネルギーの送達のために構成されたプローブであって、該プローブは、該皮脂腺およびそれらの内容物に影響を与えるが、該皮脂腺を破壊しない、プローブと
を備えている、超音波処置システム。
【請求項13】
前記プローブに取り付けられた使い捨て先端をさらに備えている、請求項13に記載の超音波処置システム。
【請求項14】
ざ瘡を処置し、そして、患者に薬物を送達するための方法であって、
毛包脂腺単位構造を含む範囲に薬剤を適用することと、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲を標的に超音波エネルギーを向けることと
を包含し、
該超音波エネルギーは、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の温度を1〜15℃だけ上昇させ、
該標的に向けられた超音波エネルギーは、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織の切除または凝固をもたらすことなく、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織に影響を与えるために充分であり、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の該上昇させられた温度は、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中のざ瘡を処置する生理学的効果をもたらし、
該上昇させられた温度は、該毛包脂腺単位構造を含む範囲に対する該薬剤の中の薬物の送達を容易にする、方法。
【請求項15】
前記薬剤は、前記超音波エネルギーを放出するプローブを患者の皮膚に結合する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤は、皮膚の処置のために使用される薬を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記生理学的効果は、前記毛包脂腺単位構造を含む範囲における血液灌流の増加である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲の中のタンパク質の変性である第2の生理学的効果をさら包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記毛包脂腺単位構造を含む範囲の中でざ瘡に寄与する有機物にとって生息に適さない環境の創出である第3の生理学的効果をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
プログラム細胞死である第4の生理学的効果をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
皮脂およびそれの生成の抑制である第5の生理学的効果をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ざ瘡を処置するための方法であって、
超音波エネルギーを放出するプローブを提供することと、
毛包脂腺単位構造を含む範囲に該プローブを結合することと、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲を標的に該プローブからの該超音波エネルギーを向けることと
を包含し、
該超音波エネルギーが、特定の深さにおいて、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の細胞に一定の物理的効果を有し、
該超音波エネルギーは、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織の切除または凝固をもたらすことなく、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の組織に効果をもたらすために充分であり、
該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中の該物理的効果は、該毛包脂腺単位構造を含む範囲の中のざ瘡を処置する生理学的効果をもたらす、方法。
【請求項23】
前記物理的効果は、キャビテーションを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記物理的効果は、皮脂腺を含む細胞に関する細胞の壁における剪断応力を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記物理的効果は、ストリーミングを含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図6E】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate


【公表番号】特表2010−503514(P2010−503514A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529330(P2009−529330)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/078712
【国際公開番号】WO2008/036622
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(507084604)ガイデッド セラピー システムズ, エル.エル.シー. (15)
【Fターム(参考)】